JP6954760B2 - 合成樹脂製キャップ、閉止装置、および飲料入り閉止装置 - Google Patents
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Description
図11は、従来のキャップの例を示す図である。ここに示すキャップ31は、天板部2と、その周縁から垂下した筒部3とを備えている。天板部2には、容器の口元部に嵌入して口元部の内面に当接する内側シール突起4と、口元部の外面または開口端面に当接する外側シール突起5とが形成されている。筒部3は、スコア6(弱化部)によって、主部8と、ブリッジ7によって主部8に連結されたタンパーエビデンスリング部(TEリング部)9とに区画されている。主部8の内周面には、容器の雄ネジに螺合するネジ部10が形成されている。TEリング部9の内周面には、開栓時に容器に係止してTEリング部9の移動を阻止する係止突起11が形成されている。主部8の外周面には、複数のナール凸部33からなるナール部32が形成されている。ナール部32は、使用者がキャップ31を把持して回転させる際の滑り止めの機能を有する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、開閉栓操作が容易であり、かつ使用者がキャップを把持して回転させる際に手指に痛みを感じることがない合成樹脂製キャップ、閉止装置、および飲料入り閉止装置を提供することを目的とする。
前記第1ナール凸部の突出高さと、前記第2ナール凸部の突出高さとは同じであることが好ましい。
少なくとも1つの前記第2ナール領域内の、複数の前記第2ナール凸部の突出高さは互いに同じであることが好ましい。
前記第1ナール領域と前記第2ナール領域とは、前記筒部の周方向に位置を違えて形成されていることが好ましい。
本発明は、飲料が充てんされた容器と、その口元部に装着されるキャップとを備えた飲料入り閉止装置であって、前記キャップが上述の構成を有する飲料入り閉止装置を提供する。
第2ナール凸部が形成された第2ナール領域は、第1ナール領域より低い位置にあるため、第2ナール凸部にも十分な高さを与えることができる。そのため、第2ナール凸部も高い係止力を発揮できる。よって、第2ナール凸部が低い位置にあることを原因とする滑り止め性能の低下は起こりにくい。
従って、開閉栓操作が容易であり、かつ使用者がキャップを把持して回転させる際の手指の痛みを小さくできる。
図1は、本発明のキャップの第1実施形態であるキャップ1を示す正面図である。図2は、キャップ1の一部を示す、中心軸C1に沿う断面図である。図3は、キャップ1の一部を示す断面図であり、図2におけるI−I’断面を示す図である。図4は、キャップ1の一部を示す断面図であり、図2におけるII−II’断面を示す図である。図5は、キャップ1と、キャップ1が装着される容器20とを示す断面図である。
以下の説明において、「上」および「下」は図1および図2における上下方向に応じて定められる。上下方向は、キャップ1の中心軸C1に沿う方向である。中心軸C1周りの方向(筒部3の周方向)を「キャップ周方向」ということがある。
天板部2には、容器20の口元部21に嵌入して口元部21の内面21aに当接する内側シール突起4と、開口端面21bに当接する開口端シール突起5とが形成されている。
第1ナール領域13は、筒部3の周方向の一部であって主部8の上部から下部にかけての領域であり、上下方向にほぼ一定の幅を有する。第2ナール領域14は、筒部3の周方向の一部であって主部8の上部から下部にかけての領域であり、上下方向にほぼ一定の幅を有する。
キャップ1では、第1ナール領域13と第2ナール領域14とが、筒部3の周方向に交互に配置されており、第2ナール領域14の両側に第1ナール領域13,13があるため、第2ナール領域14において第2ナール凸部16が使用者の手指に加える力を軽減できる。
第1ナール領域13は、下方に向かって、徐々にわずかに拡径するように中心軸C1(図1参照)に対して傾斜している。
第2ナール領域14は、傾斜角度が第1ナール領域13における傾斜角度より小さい。第2ナール領域14は、概略、上下方向に沿って形成されており、第2ナール領域14の外周面は、概略、中心軸C1を中心軸とする円筒面である。
図2に示すように、第1ナール領域13に対する第2ナール領域14の深さD1の最大値は、0.05mm以上(好ましくは0.25mm以上)が好ましい。深さD1を前記範囲とすることによって、開栓時に使用者がキャップ1を把持する際のナール部12(第2ナール凸部16)による手指の痛みを緩和できる。深さD1は、例えば0.5mm以下とすることができる。深さD1を前記範囲とすることによって、使用者がキャップ1を開栓する際にナール部12(第2ナール凸部16)の係止力を高めることができる。
図3および図4に示すように、第1ナール凸部15は、第1ナール領域13に、筒部3の径方向外方に突出して形成されている。第1ナール凸部15の断面形状は特に限定されず、例えば、円弧形、多角形などとすることができる。図1示すように、第1ナール凸部15は、主部8の上部から下部にかけて、上下方向に沿って直線状に形成されている。複数の第1ナール凸部15は、筒部3の周方向に間隔をおいて形成されている。
なお、第1ナール凸部15のうち、第2ナール領域14との境界を含む位置に形成された第1ナール凸部15(例えば図3および図4に示す第1ナール凸部15A)は、第1ナール領域13からの高さと第2ナール領域14からの高さが異なるが、第1ナール領域13からの高さをその第1ナール領域13についての突出高さとする。
キャップ1では、少なくとも1つの第1ナール領域13において、複数の第1ナール凸部15の突出高さH1が互いに同じであることが好ましく、すべての第1ナール領域13の第1ナール凸部15の突出高さH1が互いに同じであることがさらに好ましい。
図1に示すように、第1ナール凸部15のピッチP1(隣り合う2つの第1ナール凸部15の頂点間のキャップ周方向の距離)は、0.5〜3mm(好ましくは1〜3mm)とするのが好適である。ピッチP1を前記範囲とすることによって、開栓時に手指を第1ナール凸部15に確実に係止させることができ、かつ、手指の痛みを緩和できる。
キャップ1では、少なくとも1つの第2ナール領域14内の複数の第2ナール凸部16は、互いに同じ高さであることが好ましく、すべての第2ナール領域14において第2ナール凸部16の高さが同じであることがさらに好ましい。
図1に示すように、第2ナール凸部16のピッチP2(隣り合う2つの第2ナール凸部16の頂点間のキャップ周方向の距離)は、0.5〜3mm(好ましくは1〜3mm)とするのが好適である。ピッチP2を前記範囲とすることによって、開栓時に手指を第2ナール凸部16に係止しやすくし、かつ、手指の痛みを緩和できる。ピッチP2は、第1ナール凸部15のピッチP1と同じであることが好ましい。
隣り合う第1ナール凸部15と第2ナール凸部16のピッチ(第1ナール凸部15と第2ナール凸部16の頂点間のキャップ周方向の距離)は、第1ナール凸部15のピッチP1と同じであることが好ましい。
図2に示すように、第2ナール凸部16の頂部16aの、第1ナール凸部15の頂部15aに対する高低差H3の最大値は、0.05mm以上(好ましくは0.1mm以上)が好ましい。高低差H3を前記範囲とすることによって、開栓時に使用者がキャップ1を把持する際のナール部12による手指の痛みを緩和できる。高低差H3は、例えば0.5mm以下とすることができる。高低差H3を前記範囲とすることによって、使用者がキャップ1を開栓する際にナール部12(第2ナール凸部16)の係止力を高めることができる。
容器20と、口元部21に装着されるキャップ1とは、閉止装置を構成する。
図5に示す閉栓状態において、使用者が筒部3を把持し、開栓方向に回すと、主部8が回転に従って上昇する一方、係止突起11は係止段部23に係止するため、TEリング部9の上方移動は阻止され、主部8とTEリング部9とを連結しているブリッジ(図示略)に引張力が作用する。前記引張力によりブリッジ7は破断し、TEリング部9は主部8から切り離される。これによって、キャップ1が開栓されたことが明示される。
第2ナール凸部16が形成された第2ナール領域14は、第1ナール領域13より低い位置にあるため、第2ナール凸部16にも十分な高さを与えることができる。そのため、第2ナール凸部16も高い係止力を発揮できる。よって、第2ナール凸部16が低い位置にあることを原因とする滑り止め性能の低下は起こりにくい。
従って、キャップ1では、開閉栓操作が容易であり、かつ使用者がキャップを把持して回転させる際の手指の痛みを小さくできる。
図6は、キャップ1の変形例であるキャップ1Aを示す正面図である。キャップ1Aは、1つの第2ナール領域14に形成される第2ナール凸部16の数が4である点で、図1に示すキャップ1と異なる。
図7は、本発明のキャップの第2実施形態であるキャップ101を示す正面図である。図8は、図7に示すキャップ101の一部を示す、中心軸C1に沿う断面図である。図9は、キャップ101の一部を示す断面図であり、図8におけるIII−III’断面を示す図である。
第1ナール領域13と第2ナール領域114とは、筒部3の周方向に交互に配置されている。
第2ナール領域114は、筒部3の周方向の一部であって主部8の上部から下部にかけての領域であり、上下方向にほぼ一定の幅を有する。
第2ナール領域114の幅W5は、主部8の全周長に対して、1.6%以上が好ましい。例えば1.6〜5.4%(好ましくは1.6〜4.3%)とするのが好適である。第2ナール領域114の幅W5の合計は、主部8の全周長に対して、20%以上が好ましい。例えば20〜80%(好ましくは30〜50%)とするのが好適である。幅W5を前記範囲とすることによって、使用者がキャップ1を開栓する際に手指に感じる痛みを緩和する効果を高めることができる。
キャップ101では、少なくとも1つの第2ナール領域114内の複数の第2ナール凸部116は、互いに同じ高さである。第2ナール凸部116は、すべての第2ナール領域114において高さが同じであることが好ましい。
図7に示すように、第2ナール凸部116のピッチP3(隣り合う2つの第2ナール凸部116の頂点間のキャップ周方向の距離)は、0.5〜3mm(好ましくは1〜3mm)とするのが好適である。ピッチP3を前記範囲とすることによって、開栓時に手指を第2ナール凸部116に係止しやすくし、かつ、手指の痛みを緩和できる。ピッチP3は、第1ナール凸部15のピッチP1と同じであることが好ましい。
隣り合う第1ナール凸部15と第2ナール凸部116のピッチ(第1ナール凸部15と第2ナール凸部116の頂点間のキャップ周方向の距離)は、第1ナール凸部15のピッチP1と同じであることが好ましい。
第2ナール凸部116の頂部116aの、第1ナール凸部15の頂部15aに対する高低差H5の最大値は、0.05mm以上(好ましくは0.1mm以上)が好ましい。この高低差H5を前記範囲とすることによって、開栓時に使用者がキャップ101を把持する際のナール部12による手指の痛みを緩和できる。高低差H5は、例えば0.5mm以下とすることができる。高低差H5を前記範囲とすることによって、使用者がキャップ101を開栓する際にナール部12(第2ナール凸部116)の係止力を高めることができる。
キャップ101では、少なくとも1つの第2ナール領域114において、第2ナール凸部116の突出高さH4が互いに同じであるため、第2ナール凸部に十分な高さを与えれば、第2ナール凸部116は高い係止力を発揮できる。
図10は、キャップ101の変形例であるキャップ101Aを示す正面図である。キャップ101Aでは、第2ナール凸部116Aの外周面の曲率半径が、0.4mmを越え、0.6mm以下である点で、図7に示すキャップ101と異なる。
図1に示すキャップ1を作製した。第1ナール凸部15および第2ナール凸部16の突出高さH1,H2は0.35mmとした。第2ナール凸部16の頂部16aの、第1ナール凸部15の頂部15aに対する高低差H3の最大値は、0.5mmとした。第1ナール領域13に対する第2ナール領域14の深さD1の最大値は0.5mmとした。第1ナール凸部15および第2ナール凸部16の幅W3,W4は1mmとした。ピッチP1,P2は2.15mmとした。1つの第2ナール領域14に形成された第1ナール凸部15の数は3つである。第1ナール領域13の幅W1は2.2mmとし、第2ナール領域14の幅W2は1.6mmとした。W1/W2は約1.4である。キャップ1の外径(主部8の外径)は約28mmである。
このキャップ1を容量約100mlの容器20の口元部21に装着した。
第2ナール領域の、中心軸C1に対する傾斜角度が第1ナール領域における傾斜角度と同じであるキャップを作製した。このキャップでは、第2ナール領域は、第1ナール領域に比べて筒部の径方向について同じ高さ位置にある。このキャップのナール凸部の断面形状、突出高さ、ピッチは、それぞれ第1ナール凸部の断面形状、突出高さ、ピッチと同じである。その他の条件は実施例1に準じて定めた。
このキャップを容量約100mlの容器20の口元部21に装着した。
ナール凸部のピッチを比較例1に対して2倍とすること以外は比較例1のキャップと同様のキャップを作製した。
このキャップを容量約100mlの容器20の口元部21に装着した。
(1)開栓官能試験(開栓しやすさ)
10人の女性パネラーに、実施例1および比較例1を、いずれも3つずつ連続して開栓させ、開栓しやすさについて評価させた。サンプルは試験直前まで5℃に冷却しておき、キャップ表面に結露が生じた状態で、室温下で試験を行った。
その結果、パネラー全員が、実施例1の方が比較例1よりも開栓しやすかったと評価した。
10人の女性パネラーに、実施例1および比較例2を、いずれも3つずつ連続して開栓させ、開栓時の手の痛みについて評価させた。サンプルは試験直前まで5℃に冷却しておき、キャップ表面に結露が生じた状態で、室温下で試験を行った。
その結果、パネラー全員が、実施例1の方が比較例2よりも開栓時の手の痛みが少なかったと評価した。
これらの試験の結果より、実施例1では、使用者がキャップを把持して回転させる際に、手指の痛みが少なく、しかも開栓操作が容易となることが確認された。
例えば、図1に示すキャップ1では、主部8の外周面は複数の第1ナール領域13と複数の第2ナール領域14とを有するが、第1ナール領域と第2ナール領域14との数はこれに限定されず、主部の外周面は少なくとも1つの第1ナール領域と少なくとも1つの第2ナール領域とを有していればよい。
キャップ1では、第2ナール領域14は、ほぼ全域が第1ナール領域13に比べて筒部3の径方向について低い位置にあるが、第2ナール領域は、少なくとも一部が第1ナール領域に比べて筒部の径方向について低い位置にあればよい。
2 天板部
3 筒部
7 ブリッジ
8 主部
9 TEリング部(タンパーエビデンスリング部)
10 ネジ部
11 係止突起
12 ナール部
13 第1ナール領域
14 第2ナール領域
15 第1ナール凸部
15a 第1ナール凸部の頂部
16,116 第2ナール凸部
16a,116a 第2ナール凸部の頂部
20 容器
21 口元部
22 雄ネジ
23 係止段部
H1 第1ナール凸部の突出高さ
H2 第2ナール凸部の突出高さ
H4 第2ナール凸部の突出高さ
Claims (8)
- 容器の口元部に装着される合成樹脂製キャップであって、
天板部とその周縁から垂下した筒部とを備え、
前記筒部の外周面は、第1ナール領域と、少なくとも一部が前記第1ナール領域に比べて前記筒部の径方向について低い位置にある第2ナール領域とを有し、
前記第1ナール領域には、前記垂下方向に延在する1または複数の第1ナール凸部が形成され、
前記第2ナール領域には、前記垂下方向に延在する1または複数の第2ナール凸部が形成され、
前記第2ナール凸部のうち少なくとも一部の頂部は、前記筒部の径方向について、前記第1ナール凸部のうち少なくとも1つの頂部に比べて低い位置にあり、
前記第1ナール領域は、下方に向かって徐々に拡径するようにキャップ中心軸に対して傾斜しており、前記第2ナール領域は、傾斜角度が前記第1ナール領域における傾斜角度より小さく、前記第1ナール領域と前記第2ナール領域との前記筒部の径方向の高低差は、下方に行くほど大きくなる、合成樹脂製キャップ。 - 前記第1ナール凸部の突出高さと、前記第2ナール凸部の突出高さとは同じである、請求項1に記載の合成樹脂製キャップ。
- 少なくとも1つの前記第2ナール領域内の、複数の前記第2ナール凸部の突出高さは互いに同じである、請求項1または2に記載の合成樹脂製キャップ。
- 前記第1ナール領域と前記第2ナール領域とは、前記筒部の周方向に位置を違えて形成されている、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の合成樹脂製キャップ。
- 容器の口元部に装着される合成樹脂製キャップであって、
天板部とその周縁から垂下した筒部とを備え、
前記筒部の外周面は、第1ナール領域と第2ナール領域とを有し、
前記第1ナール領域には、前記垂下方向に延在する1または複数の第1ナール凸部が形成され、
前記第2ナール領域には、前記垂下方向に延在する複数の第2ナール凸部が形成され、
少なくとも1つの第2ナール領域において、前記複数の第2ナール凸部は、突出高さが互いに同じであり、かつ前記第1ナール凸部の少なくとも一部より突出高さが低く、
前記第1ナール領域は、下方に向かって徐々に拡径するようにキャップ中心軸に対して傾斜しており、前記第2ナール領域は、傾斜角度が前記第1ナール領域における傾斜角度より小さく、前記第1ナール領域と前記第2ナール領域との前記筒部の径方向の高低差は、下方に行くほど大きくなる、合成樹脂製キャップ。 - 前記筒部が、主部と、ブリッジによって前記主部に連結されたタンパーエビデンスリング部とに区画され、
前記主部の内周面に、前記口元部の雄ネジに螺合するネジ部が設けられ、
前記タンパーエビデンスリング部に、開栓の際に前記口元部の係止段部に係止して前記タンパーエビデンスリング部の移動を阻止する複数の係止突起が設けられている、請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の合成樹脂製キャップ。 - 飲料が充てんされる容器と、その口元部に装着されるキャップとを備えた閉止装置であって、
前記キャップは、請求項1〜6のうちいずれか1項に記載のものであることを特徴とする閉止装置。 - 飲料が充てんされた容器と、その口元部に装着されるキャップとを備えた飲料入り閉止装置であって、
前記キャップは、請求項1〜6のうちいずれか1項に記載のものであることを特徴とする飲料入り閉止装置。
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