JP5022179B2 - 容器蓋 - Google Patents
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Description
通常、容器蓋には突部が同じ形状で同じ高さのものが形成されているが、さらなる容器蓋の開閉性を向上させるために、下記の特許文献1の技術が開示されている。特許文献1の技術では、スカート壁の上下方向へ延びる線条の突部について、容器蓋の半径方向外側に向けて背の高い突部(以下、大突部という)と背の低い突部(以下小突部という)の2種の突部を形成し、これらの大突部と小突部とを容器蓋のスカート壁の全周部の周方向へ向けて互い違いに並べている。こうして、容器蓋の開閉の際に、指の引っ掛かりを良くし、容器蓋に回転トルクを与えて開閉性を向上させている。
また、突部の形状において、開閉性の向上のため、大突部の領域と小突部の領域とを交互に組み合わせたり、さらには、突部を形成した部分と突部を形成しない部分の領域をスカート壁の周方向へ交互に並べた形状のものなどが考えられる。このような形状のものは、スカート壁の厚みが大突部の領域では厚肉になり小突部の領域若しくは突部が形成されていない領域では薄肉になるので、容器蓋の各部において肉厚が異なってしまう。このように、容器蓋に肉厚の厚い部分と薄い部分とがあると、成形時における冷却効率が各部で均一にならず、容器蓋の内周面に形成されている雌ネジのネジダレ等が発生することがある。
前記主部には、肉厚の等しい周壁部が設けられ、前記厚肉部領域が、前記周壁部の外側に突出し前記主部の上下方向に延在する線条の複数の突部によって形成され、前記薄肉部領域が、前記周壁部の外側に突出し前記主部の上下方向に延在する線条の複数の突部から形成され、
更に、前記厚肉部領域は、前記周壁部の周方向に形成された前記突部のうち高さの大きな複数の大突部からなり、前記薄肉部領域は前記周壁部の周方向に形成された前記突部のうち前記大突部よりも高さの小さな複数の小突部から形成され、
前記薄肉部領域と前記厚肉部領域とが連続して交互に形成され、
前記雌ネジ形成領域にはネジ山である複数のネジ部からなる前記雌ネジと、ネジ山が欠落した複数の欠落部とを形成し、少なくとも前記薄肉部領域の前記周壁部内周面には前記ネジ部が配設され、少なくとも前記欠落部が位置する前記周壁部の外面には前記厚肉部領域が配設され、
前記ネジ部は隣り合う前記厚肉部領域の両端部から前記薄肉部領域に亘って周壁部の内周面に形成され、該厚肉部領域の両端部に対応する内周面に該ネジ部の両端部に形成された傾斜部を位置させた。
また、前記小突部領域内において、前記小突部の突出高さは周方向外側から中間側に向かって漸次減少することができる。
上記容器蓋によれば、容器蓋の主部には、肉厚の等しい周壁部が設けられ、前記厚肉部領域が、前記周壁部の外側に突出し前記主部の上下方向に延在する線条の複数の突部によって形成されているので、厚肉部領域の突部に指先が引っ掛かることによって、容器蓋に指先が滑ることなく容易に開けることができる。
また、上記容器蓋の前記薄肉部領域には、前記周壁部の外側に突出し前記主部の上下方向に延在する線条の複数の突部が形成され、前記厚肉部領域は、前記突部のうち高さの大きな複数の大突部を前記周壁部の周方向に設け、前記薄肉部領域は前記突部のうち前記大突部よりも高さの小さな複数の小突部を前記周壁部の周方向に設けるようにしたので、全周に複数の突部が形成された容器蓋において、剛性の大きな大突部で形成される厚肉部領域は、ネジ山の欠落部を配置し、剛性の小さな小突部で形成される薄肉部領域は、ネジ部を形成することによって、前記各領域の剛性の均一化を図ることができる。
さらに、前記小突部領域内において、前記小突部の突出高さは周方向外側から中間側に向かって漸次減少するように形成したので、容器蓋を開閉するときの触感性がより向上するようになった。
図1は、本発明に係る容器蓋1の斜視図であり、図2は中心線より右側が容器蓋1の正面図、左側が容器蓋1の断面図であり、図3は、容器蓋1の水平方向断面図(図4のX−X線方向断面)であり、図4は図1の容器蓋を垂直方向へ切断した断面図である。
この容器蓋1は、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂などから形成されており、円板形状の天面壁5とこの天面壁5の周縁から垂下する略円筒形状のスカート壁6とを有する。容器蓋1の円形天面壁5は、全体が実質上水平に延在し、スカート壁6の下部には周方向に延在する弱化ライン7が形成されている。スカート壁6には、その弱化ライン7よりも上方に主部8を設け、それよりも下方にタンパーエビデント裾部10を設けている。
スカート壁6の主部8は、肉厚の等しい筒状の周壁部16と周壁部16から半径方向外側に突出する複数の突部17が形成されている。突部17はスカート壁6の上下方向に直線状に延びる線条(リブ状)形状であって、主部8の全周に亘って形成されている。
環状リップ24は、内周面側に逆階段形状の段部24aを形成し、段部24aは、口頸部3の肩部3bに対応する位置に形成され、環状シール23と共にシール性を向上する役割を果たしている。
弱化ライン7を分離するときには、通常の開栓時よりも負荷が大きいが、本実施形態では、容器蓋1の主部8の周囲には、厚肉部領域18及び薄肉部領域19が交互に形成されている。この厚肉部領域18及び薄肉部領域19の段差により、ユーザは主部8に指を当てて、指先が滑ることなく容器蓋1に大きな回転トルクをかけることができる。
なお、容器蓋1のスカート壁6の裾部10には、フラップ30を裾部10の周方向に間隔を開けて配設しているが、少なくとも薄肉部領域19のある部分に対応させてフラップ30を形成し、厚肉部領域18のある部分にはフラップ30を省略して、薄肉部領域19の剛性強化をするようにしてもよい。
図6は本実施形態の容器蓋の側断面図、図7は図6の容器蓋のY−Y線方向における断面図であり、天面壁部分を省略した図である。なお、上記実施形態と同一名称部については、同一の符合を付して説明する。
上記第1の実施形態では、図3に示すように、雌ネジ形成領域21においては、小突部領域19がある部分に対応させてネジ部21aを形成し、剛性の大きな大突部領域18がある部分に対応させて欠落部21bが位置し、容器蓋1の強度のバランスをとるようにしていた。
しかしながら、例えば、ネジ山が周方向に1.5回転などの場合は、ネジ部が上下方向に2重になって存在する部分と、重なり部がなく単一に存在する部分があり、このような場合、単一に存在する部分は、ネジ部が上下方向に2重になって存在する部分よりも主部の剛性が低くなるため、このようなネジ部が上下方向に単一に存在する部分に欠落部を形成すると、更にこの部分の剛性が他の部分と比べて低くなると考えられる。本実施形態では、このようなネジ部が上下方向に単一に存在する部分には欠落部を形成しないようにして、容器蓋の剛性のバランスを考慮するものである。
そこで、本実施形態では、ネジ周方向単一領域S内では、小突部領域19がある領域のみならず大突部領域18がある部分についても、欠落部21bを形成しないで、連続ネジ部21dを形成している。詳しくは、雌ネジ形成領域21の一端(始端)部のネジ部21aが形成されていない側から、他端(終端)部までの間にあるネジ周方向単一領域S間にネジ部を形成し、さらに本実施形態ではこのネジ周方向単一領域Sの両端に隣接するネジ部21aまで連続させて、連続ネジ部21dを形成している。
こうして、ネジの巻き数が1周目から2周目までの間にあり、上下方向にネジが1本のみ存在する部分において、容器蓋1の周壁に対する剛性が過剰に弱くなることを防止している。
[実施例]
試験例1として、図3に示す大突部と小突部の配置別又は小突部の有無等による、容器蓋の開栓性、キャッピング適正、重量を試験した。容器蓋の開栓性は、容器蓋の開栓時における容器蓋の引っ掛かり性を比較した。キャッピング適性は、容器に容器蓋を閉栓するときに、保治具が一定の荷重、回転トルクで容器蓋を巻き締めるが、突部を係止する保治具が、スリップしないように、安定して閉栓できる適性を比較した。
図8のBは、実施例2の容器蓋を示し、容器蓋のスカート壁6の主部8に形成される厚肉部領域18には、同じ大きさの大突部18aが6個並設され、薄肉部領域19に位置する周壁部16には、突部を形成していない。厚肉部領域18の外側端部にある大突部18aと薄肉部領域19にわたってネジ部21aが形成されている。
図8のDは、比較例1の容器蓋を示し、容器蓋のスカート壁6の主部8には、厚肉部領域18及び薄肉部領域19が形成されておらず、大突部18aと小突部19aが交互に並んで形成されている。
図8のEは、比較例2の容器蓋を示し、容器蓋のスカート壁6の主部8は全体として厚肉部で形成され、周壁部16から外側に大突部18aが突出している。
これらの試験結果を表1に示す。
試験結果から、実施例1及び実施例2のように、明確な厚肉部領域及び薄肉部領域を設けたものは、開栓性についての評価が高かった。比較例1及び比較例2のように厚肉部領域と薄肉部領域の両者がない容器蓋は、開栓時に引っ掛かりが弱く、開閉時の開栓性の評価は低かった。
容器蓋の条件として、薄肉部領域は、上記実施の形態で示したものと同じ突部形状(突部数5)とし、厚肉部領域の大突部のピッチを変更することなく、大突部の数を増減することによって周方向角度θの大きさを変更した。なお、大突部及び小突部の1ピッチの周方向角度は3度である(全体として120山)。図3に示す厚肉部領域の周方向角度θは、大突部が4ピッチであるので12度である。(実施例1)
実施例4として、周方向角度θが6度(3山)のもの、実施例5(なお、実施例1と同一形状であるが、説明の便宜上別の実施例5とした)としてθが12度(5山)、実施例6としてθが27度(10山)、実施例7としてθが42度(15山)のもの、実施例8として57(20山)度のものを同一容器によって容器蓋の開閉を行い、指先の容器蓋への引っ掛かり具合(開閉性)、開閉時における指の突部への食い込みや感触具合(開栓感触性)及び容器蓋の重量を調べてみた。
その結果を表2に示す。
周方向角θの角度が大きくなると、実施例8ように開栓性が悪くなるが、キャッピング適性は向上する。容器蓋の重量については、当然ではあるが、大突部の数が多い実施例8が最も重く、大突部の数が少ない実施例4が最も軽量である。このように実施例4では、小突部を形成している分だけ容器蓋の軽量化を図ることができた。なお、小突部の部位は主部が薄肉になったため、剛性が失われるが、上述したようにネジ部を形成して補強している。
例えば、上記各実施形態では、薄肉部領域19を中央側に向けて漸次、小突部19a〜19cの大きさを小さくして、容器蓋1の半径方向内側へ突出高さを小さくしたが、小突部は突出高さを同じにして、それらの先端部を同一円周上に配置するようにもできる。
2 容器
3 口頸部
5 天面壁
6 スカート壁
7 弱化ライン
8 主部
10 裾部
16 周壁部
17 複数の突部
18 厚肉部領域
18a 大突部
19 薄肉部領域
19a〜19c 小突部
21 雌ネジ形成領域
21a ネジ部(雌ネジ)
21b 欠落部
Claims (2)
- 天面壁と該天面壁の周縁から垂下する筒状のスカート壁とを有し、該スカート壁は周方向に延在する破断可能な弱化ラインよりも上方の主部と前記弱化ラインよりも下方のタンパーエビデント裾部とに区画され、前記スカート壁の少なくとも前記主部の周壁部には、複数の肉厚の厚い厚肉部領域と複数の肉厚の薄い薄肉部領域とを前記主部の周壁部の周方向に亘って形成し、前記主部の周壁部内面の雌ネジ形成領域には容器の口頸部に係合する雌ネジを形成した容器蓋において、
前記主部には、肉厚の等しい周壁部が設けられ、前記厚肉部領域が、前記周壁部の外側に突出し前記主部の上下方向に延在する線条の複数の突部によって形成され、前記薄肉部領域が、前記周壁部の外側に突出し前記主部の上下方向に延在する線条の複数の突部から形成され、
更に、前記厚肉部領域は、前記周壁部の周方向に形成された前記突部のうち高さの大きな複数の大突部からなり、前記薄肉部領域は前記周壁部の周方向に形成された前記突部のうち前記大突部よりも高さの小さな複数の小突部から形成され、
前記薄肉部領域と前記厚肉部領域とが連続して交互に形成され、
前記雌ネジ形成領域にはネジ山である複数のネジ部からなる前記雌ネジと、ネジ山が欠落した複数の欠落部とを形成し、少なくとも前記薄肉部領域の前記周壁部内周面には前記ネジ部が配設され、少なくとも前記欠落部が位置する前記周壁部の外面には前記厚肉部領域が配設され、
前記ネジ部は隣り合う前記厚肉部領域の両端部から前記薄肉部領域に亘って周壁部の内周面に形成され、該厚肉部領域の両端部に対応する内周面に該ネジ部の両端部に形成された傾斜部を位置させたことを特徴とする容器蓋。 - 前記小突部領域内において、前記小突部の突出高さは周方向外側から中間側に向かって漸次減少していることを特徴とする請求項1に記載の容器蓋。
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