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JP6780793B1 - 口栓、及び口栓を備える包装容器 - Google Patents

口栓、及び口栓を備える包装容器 Download PDF

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JP6780793B1 JP2020035809A JP2020035809A JP6780793B1 JP 6780793 B1 JP6780793 B1 JP 6780793B1 JP 2020035809 A JP2020035809 A JP 2020035809A JP 2020035809 A JP2020035809 A JP 2020035809A JP 6780793 B1 JP6780793 B1 JP 6780793B1
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Abstract

【課題】キャップを取り外す際の回転操作が容易であり、キャップを取り外す際の指の痛みを十分に低減することが可能な口栓を提供すること。【解決手段】口栓100は、スパウト30と、スパウト30に取り付けられたキャップ10とを備える。スパウトは、外ネジが形成された円筒状の側壁と、側壁の一端側にフランジ32と、を備える。キャップ10は、天板14と、天板14の外周縁に接続し、内周面に外ネジと螺合する内ネジが形成されるとともに、外周面にローレット13が形成された側壁15と、を備える。ローレット13は、円周方向に沿って交互に並ぶように、鋸状突起11と、鋸状突起11よりも小さい高さを有する山状突起12と、で構成される。鋸状突起11の頂部は、キャップ10をスパウト30から取り外す際のキャップ10の回転方向でみたときに、下流側に隣接する山状突起12よりも上流側に隣接する山状突起12の方に寄っている。【選択図】図1

Description

本開示は、口栓、及び口栓を備える包装容器に関する。
液体等を収容する容器には、注出用の口栓が設けられることがある。口栓にはキャップが取り付けられており、キャップを回転することで開封することができる。このようなキャップには、開閉操作を容易にするため、側面にローレットといわれる突起物が設けられる。ところが、開封時にはある程度の力が必要となるため、ローレットによって指に痛みを感じる場合がある。このような指の痛みを小さくするため、ローレットの形状が種々検討されている。例えば、特許文献1では、ローレットの断面形状を不等辺三角形とすることが提案されている。また、特許文献2では、互いに周方向に交互に配置された大突起と小突起とを含む複数のローレットを備えるキャップが提案されている。
特開2004−149164号公報 特開2019−199280号公報
特許文献1のように、キャップの外側面に同一の形状及び大きさを有するローレットを、円周方向に連続して並べると、キャップの開け易さと、開封時の指の痛みの軽減の両方を両立するのは困難である。また、特許文献2のような大突起と小突起とを含むローレットを有するキャップを指で把持する場合、指で把持される場所に応じてキャップの開け易さ及び指触りが大きく変わると考えられる。
本開示は、キャップを取り外す際の回転操作が容易であり、キャップを取り外す際の指の痛みを十分に低減することが可能な口栓を提供する。また、本開示は、そのような口栓を備えることによって、開栓し易く、開栓時の指の痛みを十分に低減することが可能な包装容器を提供する。
本開示は、スパウトと、スパウトに取り付けられたキャップと、を具備する口栓を提供する。上記スパウトは、外ネジが形成された円筒状の側壁と、側壁の一端側にフランジと、を備える。上記キャップは、天板と、天板の外周縁に接続し、内周面に外ネジと螺合する内ネジが形成されるとともに、外周面にローレットが形成された側壁と、を備える。ローレットは、円周方向に沿って交互に並ぶように、鋸状突起と、鋸状突起よりも小さい高さを有する山状突起と、で構成される。鋸状突起の頂部は、キャップをスパウトから取り外す際のスパウトに対するキャップの相対的な回転方向でみたときに、下流側に隣接する山状突起よりも上流側に隣接する山状突起の方に寄っている。
上記口栓のキャップは側壁の外周面に円周方向に沿って交互に並ぶように、鋸状突起と、鋸状突起よりも小さい高さを有する山状突起とを有する。鋸状突起は、キャップをスパウトから取り外す際の回転方向でみたときに、下流側に隣接する山状突起よりも上流側に隣接する山状突起の方に寄っている。このため、キャップをスパウトから取り外すためにキャップを把持して回転しようとすると、指が鋸状突起の頂部にかかり易い。さらに鋸状突起の間に鋸状突起よりも小さい高さを有する山状突起を有するため、指に接する鋸状突起の間隔が広くなるとともに同時に指に接する鋸状突起の数が減るため、指の力を鋸状突起に十分に伝達することができる。このため、キャップが指で把持し易くなり、回転操作によって容易に取り外すことができる。また、鋸状突起の間に鋸状突起よりも小さい高さを有する山状突起が、指が鋸状突起に過剰に押し付けられることを抑制するため、鋸状突起のみの場合に比べて、回転操作時の指の痛みを低減することができる。
上記口栓では、スパウトに対してキャップを相対的に回転させて、スパウトからキャップを取り外すまでのトルクの最大値が25〜75cN・mであることが好ましい。このような口栓は、例えば包装容器に用いたときに、誤って開封されることを抑制しつつ適度な力で開封することができる。
鋸状突起の頂部の曲率半径は0.1〜0.9mmであり、山状突起の頂部の曲率半径は1〜5mmであることが好ましい。このような鋸状突起と山状突起を有するキャップは、一層回転させ易くなるうえに回転操作時の指の痛みを一層低減することができる。
互いに隣り合う前記鋸状突起と前記山状突起との間の谷底を通る仮想円弧を基準としたときに、鋸状突起の高さは0.3〜1.5mmであることが好ましい。また、同じ基準で、山状突起の高さは0.1〜0.6mmであることが好ましい。このような鋸状突起と山状突起を有するキャップは、一層回転させ易くなるうえに回転操作時の指の痛みを一層軽減することができる。
キャップの外径は20〜30mmであることが好ましい。このようなサイズのキャップであれば、指による回転操作を一層容易にしつつ、回転操作時の指の痛みを一層軽減することができる。また、種々の包装容器の口栓として好適に用いることができる。なお、キャップの外径が一様ではない場合、その最大値が上述の範囲にあればよい。
一つの山状突起を介して隣り合う鋸状突起の頂部同士を結ぶ仮想円弧の長さが、2〜10mmであることが好ましい。これによって、指による回転操作を一層容易にしつつ、回転操作時の指の痛みを一層軽減することができる。
上記口栓は、キャップの側壁の一端に接続され、その側壁とスパウトのフランジとの間においてキャップをスパウトに固定する円筒状のバンド部を備えることが好ましい。これによって、キャップが、意図せずに回転して開栓されることを抑制することができる。なお、このようなバンド部を設けると、回転操作に大きな力が必要となるが、上記キャップは上述の構成を備えるため、指で把持し易いうえに、指の痛みが低減されることから、回転操作の際に鋸状突起に大きな力を伝えることが可能であるため、容易に取り外すことができる。バンド部は、例えば薄肉部によってキャップの側壁の一端に接続されれば、回転操作によって破断することが容易となるため、回転操作によるキャップの取り外しを十分円滑にすることができる。
上記バンド部は、天板に向かうように傾斜するフック部を有してよい。このフック部は、スパウトの側壁に設けられた突起に当接することによって、キャップがスパウトに対して相対的に離間することを規制することが好ましい。これによって、誤ってキャップの回転操作を行って開封されることを抑制できる。
本開示は、上述のいずれかの口栓と当該口栓が取り付けられる容器本体とを備える包装容器を提供する。この包装容器は上述のいずれかの口栓を備えることから、開封し易く、開封時の指の痛みを十分に低減することができる。
本開示によれば、キャップを取り外す際の回転操作が容易であり、キャップを取り外す際の指の痛みを十分に低減することが可能な口栓を提供することができる。また、本開示は、そのような口栓を備えることによって、開封し易く、開封時の指の痛みを十分に低減することが可能な包装容器を提供することができる。
一実施形態に係る口栓の側面図である。 一実施形態に係る口栓の断面図である。 図2のIII−III線で切断したときのキャップとバンド部の境界の断面図である。 一実施形態に係る口栓の平面図である。 図4に示される口栓のローレットの一部を拡大して示す一部拡大図である。 スパウトからトルクを取り外す際に必要なトルクを測定する方法を説明するための図である。 スパウトに対するキャップの回転角度と、トルクの測定値の推移の一例を示す図である。 一実施形態に係る包装容器の斜視図である。 比較例1の口栓のキャップの側壁に形成されたローレットの一部を拡大して示す平面図である。
以下、場合により図面を参照して、本開示の一実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
図1は、一実施形態に係る口栓の側面図であり、図2は、図1の口栓の縦断面を示す断面図である。口栓100は、スパウト30と、スパウト30に取り付けられたキャップ10と、を備える。キャップ10は、天板14と、内周面に内ネジ15aが形成された側壁15と、側壁15で取り囲まれるように天板14に周状に設けられた円筒状のインナーリング19とを有する。天板14の外周縁には、テーパー部16が形成されている。テーパー部16から下方に延びる側壁15の外周面には、複数の突起を含むローレット13が形成されている。ローレット13は、円周方向に沿って交互に並ぶ鋸状突起11と、鋸状突起11よりも小さい高さを有する山状突起12とによって構成される。
側壁15の下部には、円筒形状を有するベース部17が設けられている。ベース部17の下端に、薄肉部45を介してバンド部20が接続されている。ベース部17を設けることによって、キャップ10の成型及び薄肉部45を介したバンド部20との接続を容易にすることができる。キャップ10、バンド部20、及びスパウト30は、いずれも樹脂製であってよい。例えば、キャップ10及びバンド部20は、ポリプロピレン樹脂製であってよい。スパウト30は、低密度ポリエチレン樹脂製であってよく、その中でも直鎖状低密度ポリエチレン樹脂製であってよい。
ローレット13は、テーパー部16の下端とベース部17の上端の間に形成されている。キャップ10がベース部17及びテーパー部16を有することは必須ではなく、キャップ10の側壁15の全体にローレット13が形成されていてもよい。
口栓100は、薄肉部45を介して側壁15の下端部に取り付けられた円筒状のバンド部20を備える。バンド部20は、側壁15の下部に設けられているベース部17と薄肉部45を介して接続され、側壁15とスパウト30のフランジ32との間において、キャップ10をスパウト30に固定する機能を有する。
図2に示すように、キャップ10の天板14の内面には、円筒状のインナーリング19が形成されている。スパウト30は、外ネジ35aが形成された円筒状の側壁35と、側壁35の下端から外方に延出するフランジ32と、を備える。円筒状の側壁35は、インナーリング19とキャップ10の側壁15の間に挿入され、側壁35は、インナーリング19及び側壁15と複数位置で密着している。これによって、スパウト30とキャップ10の間からの液漏れが抑制される。
フランジ32は、口栓100を容器本体に取り付ける際の接合箇所となる。フランジ32の一方面32aには、容器本体の包装材が接合されてよい。フランジ32と包装材との接合は、超音波溶着、又は接着等によって行ってよい。フランジ32の内縁には、フランジ32と円筒状の側壁35とを接続するリング部33が設けられている。リング部33の上端は、バンド部20と接触していてもよい。
図3は、図2のIII−III線で切断したときのキャップ10とバンド部20の境界の断面図である。バンド部20はピルファープルーフバンドと称される場合もある。バンド部20は、内壁面から天板14に向かうように傾斜して設けられる複数のフック部22を有する。フック部22は、フラップと称される場合もある。フック部22は、バンド部20の内壁面の下部に接続され、周方向に沿って所定の間隔で複数設けられている。フック部22は、キャップ10がスパウト30に対して相対的に離間することを規制する機能と、薄肉部45を破断させてバンド部20を開放する機能を有する。図3に示すように、フック部22が周方向に沿って複数に分割されたものであれば、スパウト30にキャップ10を取り付けて口栓100を製造する際に、フック部22による反発力を低減することができる。
バンド部20とキャップ10の側壁15とを接続する薄肉部45は、突起状の接続部45A,45B,45C,45D,45Eで構成される。図3に示されるように、バンド部20は、連通部24によって2つの半リング20A,20Bに分割されている。半リング20A,20Bは、それぞれ、時計回りに5つの接続部45A,45B,45C,45D,45Eをこの順に有している。接続部45A,45B,45C,45D,45Eによって、半リング20A,20Bがそれぞれ側壁15の下端に接続されている。接続部45A,45B,45C,45D,45Eのうち、接続部45Eは他の4つの接続部45A,45B,45C,45Dよりも大きくなっている。
未開栓状態、すなわち、キャップ10がスパウト30に固定された状態では、図2に示すように、フック部22は、その先端がスパウト30の側壁35において外ネジ35aよりも下方に形成された突起37と対向している。スパウト30からキャップ10を取り外すために、スパウト30に対してキャップ10を相対的に回転させると、内ネジ15a及び外ネジ35aによって、キャップ10及びバンド部20は、スパウト30のフランジ32から徐々に離れる。
キャップ10とバンド部20がスパウト30のフランジ32から離れ始めると、ほどなくバンド部20のフック部22が突起37に当接する。これによって、バンド部20とキャップ10のベース部17との間(薄肉部45)に引っ張り応力が生じ、キャップ10及びバンド部20がスパウト30のフランジ32から離れることを規制する。そして、所定の引っ張り応力に達すると、薄肉部45の少なくとも一部(例えば、図3の接続部45A,45B,45C,45D)が破断し、キャップ10の移動の規制が解除される。このとき、接続部45Eはキャップ10との接続状態を維持してもよい。これによって、キャップ10がスパウト30から取り外された後も、バンド部20をキャップ10に接続されたままにしてバンド部20が散乱することを抑制できる。
図1に示される連通部24は、バンド部20を分割するための切り欠き部である。連通部24は、キャップ10とスパウト30との隙間に浸入した冷却水を、キャップ10とスパウト30との隙間から排出する排出口としての機能も兼ね備えていてよい。冷却水は、口栓100が取り付けられた包装容器に高温の内容物を充填した際に、内容物を冷却するために容器本体にシャワーされる液体であってよい。このような機能を有することによって、冷却水による口栓100の上端部及び内部の汚染を抑制することができる。なお、変形例では、連通部24を設けなくてもよい。
図4は、口栓100の平面図である。側壁15の外周面において、鋸状突起11と、鋸状突起11よりも小さい高さを有する山状突起12で構成されるローレット13が円周方向に沿って形成されている。山状突起12の稜線は、その頂部12aと天板14の中心点Cとを通る直線L2を基準としてみたときに、直線L2を対称の軸とする線対称の形状を有する。一方、鋸状突起11の稜線は、その頂部11aと天板14の中心点Cとを通る直線L1を基準としてみたときに線対称ではない。すなわち、当該直線L1によって分割される2つの稜線の長さが異なっている。このため、指で把持してキャップ10を回転する場合に、その回転方向によって、指のかかり方及び感触が異なることとなる。
スパウト30を固定した状態で、図4における矢印OP方向(反時計回り)にキャップ10を回転すれば、キャップ10はスパウト30から取り外すことができる。一方、スパウト30を固定した状態で、取り外したキャップ10をスパウト30に嵌めて、図4における矢印CL方向(時計回り)にキャップ10を回転すれば、外ネジ35aと内ネジ15aが螺合して、キャップ10をスパウト30に取り付けることができる。
口栓100が未開栓である場合、キャップ10が薄肉部45でバンド部20と接続されているため、一旦開栓した後にキャップ10をスパウト30に対して回転するときよりも大きな回転力が必要である。ここで、矢印OP方向の回転方向でみたときに、鋸状突起11の頂部11aが下流側に隣接する山状突起12よりも上流側に隣接する山状突起12の方に寄っている。これによって、鋸状突起11を構成する稜線を直線L1で分割した場合に、上流側の稜線の傾きを大きくできるため、指で把持して矢印OP方向にキャップ10を回転させる場合に、指が鋸状突起11にかかり易くなる。
また、鋸状突起11の間に鋸状突起11よりも小さい高さを有する山状突起12が形成されているため、指に接する鋸状突起11の数を少なくすることができる。したがって、指の力を鋸状突起11に十分に伝達することができる。これらの要因によって、キャップ10が矢印OP方向に回転操作し易くなり、スパウト30からキャップ10を容易に取り外すことができる。また、鋸状突起11の間にある鋸状突起11よりも小さい高さを有する山状突起12は、指が鋸状突起11に過剰に押し付けられることを抑制する。したがって、鋸状突起11のみで構成されるローレットに比べて、開封時の回転操作時の指の痛みを低減することができる。
キャップ10の外径L0は、20〜30mmであることが好ましく、23〜28mmであることがより好ましい。このようなサイズのキャップ10であれば、指による回転操作を一層容易にしつつ、回転操作時の指の痛みを一層軽減することができる。また、種々の包装容器の口栓として好適に用いることができる。
図5は、図4に示される口栓100のローレット13の一部を拡大して示す一部拡大図である。鋸状突起11の頂部11aにおける曲率半径は、0.1〜0.9mmであることが好ましい。頂部11aの曲率半径の上限は、好ましくは0.7mmであり、より好ましくは0.5mmである。これによって矢印OP方向にキャップ10を回転させる場合に、鋸状突起11に指が一層かかり易くなり、キャップ10をスパウト30から十分円滑に取り外すことができる。頂部11aの曲率半径の下限は、好ましくは0.2mmであり、より好ましくは0.3mmである。これによって、矢印OP方向にキャップ10を回転させる場合に、指の痛みを一層低減し、指触りを良くすることができる。
山状突起12の頂部12aの曲率半径は1〜5mmであることが好ましく、2〜4mmであることがより好ましい。これによって、鋸状突起11の間隔を、キャップ10を指で把持するのに適した範囲にしつつ、指触りを十分良好にすることができる。
互いに隣り合う鋸状突起11と山状突起12との間の谷底40を通る仮想円弧VC1を基準としたときに、鋸状突起11の高さH1は好ましくは0.3〜1.5mmであり、より好ましくは0.5〜1.2mmであり、さらに好ましくは0.6〜1.0mmである。これによって、鋸状突起11の指へのかかり易さを十分に高めつつ、鋸状突起11が指に与える痛みを十分に低減することができる。なお、高さH1は、仮想円弧VC1と鋸状突起11の頂部11aとの最短距離である。また、仮想円弧VC1は、キャップ10の回転中心を中心とする円の円弧であってよい。
仮想円弧VC1を基準としたときに、山状突起12の高さH2は好ましくは0.1〜0.6mmであり、より好ましくは0.2〜0.5mmである。これによって、鋸状突起11の指へのかかり易さを十分に高めつつ、鋸状突起11が指に与える痛みを十分に低減することができる。なお、高さH2は、仮想円弧VC1と山状突起12の頂部12aとの最短距離である。
一つの山状突起12を介して隣り合う鋸状突起11の頂部11a同士を結ぶ仮想円弧の長さVL1は、好ましくは2〜10mmであり、より好ましくは3〜8mmである。これによって、指による回転操作を一層容易にしつつ、回転操作時の指の痛みを一層軽減することができる。
スパウト30に対してキャップ10を相対的に回転させて、スパウト30からキャップ10を取り外すまでに必要なトルクの最大値は、好ましくは25〜75cN・mであり、より好ましくは30〜60cN・mである。このようなトルクが必要な口栓100は、誤って開封されることを抑制することができる。また、キャップ10の側壁15の外周面に形成されたローレット13を把持する指が滑り難くなっているため、このようなトルクが必要な口栓100であっても適度な力で開封することができる。
図6は、スパウト30からキャップ10を取り外す際のトルクを測定するための測定装置に一例を示す図である。トルク測定装置50は、本体部52に設けられた測定台53を備えており、測定台53の上に4本のポール54が取り付けられている。口栓100を挟んで固定する固定部56を備えるエアシリンダ60が、4本のポール54で固定されている。固定部56で固定された口栓100のキャップ10と相補的な形状を有する凹部が形成された治具62をキャップ10に装着し、治具62を矢印OP方向(例えば、反時計回り)に回転する。回転を開始してから、キャップ10がスパウト30から取り外されるまでのトルクを連続的に測定する。
図7は、スパウト30に対するキャップ10の回転角度と、トルクの測定値の推移の一例を示す図である。トルクは、回転角度10〜15°付近で一つ目の極大値に到達した後、低下し、90°付近で再び2つ目の極大値に到達する。このように、測定されるトルクは複数のピークを有していてもよいし、ピークを一つのみ有していてもよい。ピークは、例えば、インナーリング19及び側壁15とスパウト30の側壁35との摩擦が最大となるとき、及び、薄肉部45を切断するときに現れる。キャップ10は、側壁15の外周面に形成されたローレット13を有することから、複数のピークがある場合であっても、容易に回転させてローレット13から取り外すことができる。最も高いピークのトルクの値がトルクの最大値となる。
口栓100の製造方法の一例を以下に説明する。口栓100の製造方法は、スパウト30にキャップ部材を取り付ける工程を有する。この工程では、バンド部20とキャップ部材が一体化したキャップ部材と、スパウト30とを準備する。キャップ部材は、薄肉部45を有しないこと以外は、キャップ10及びバンド部20と同様の形状を有する。したがって、キャップ10及びバンド部20の構成部材の名称を用いて以下に説明する。
キャップ部材の側壁15の内部にスパウト30の側壁35の上端部分を挿入する。スパウト30に対してキャップ部材を図4のCL方向に回転させると、内ネジ15aと外ネジ35aが螺合し、キャップ部材がスパウト30のフランジ32側に移動する。そして、フック部22が突起37に当接し、突起37に乗り上げ始める。また、スパウト30の側壁35の上端部がキャップ部材の側壁15とインナーリング19との間に挿入され始める。
キャップ部材をスパウト30に対してさらにCL方向に回転させると、フック部22が突起37を乗り越えるとともに、スパウト30の側壁35の上端部がキャップ部材の側壁15とインナーリング19との間に完全に挿入された状態となる。これによって、スパウト30が、キャップ部材によってキャッピングされた状態となる。続いて、キャップ部材に薄肉部45を形成する。具体的には、スコアカッターを用いてキャップ部材の側壁15に切り込みを入れて、薄肉部45を形成する。これによって、キャップ部材がキャップ10とバンド部20に分けられ、口栓100が得られる。切り込みのサイズを調整することで、薄肉部45の大きさ及び厚みを変えて、破断させるために必要な力を調整することができる。
図8は、一実施形態に係る包装容器の斜視図である。包装容器150は、口栓100と口栓100が取り付けられる容器本体120とを備える。容器本体120の材質としては、例えば、紙、樹脂、及びガラスが挙げられる。紙と樹脂とがラミネートされたものであってもよい。口栓100は、容器本体120にフランジ32の一方面32aが溶着されて取り付けられてよい。包装容器150に収容される内容物としては、液体状のものであってよく、例えば、飲料及び調味料等が挙げられる。包装容器150は、注出用の口栓として口栓100を備える。したがって、開封し易く、開封時の指の痛みを十分に低減することができる。
以上、幾つかの実施形態を説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、包装容器は図8に示すような形状に限定されず、例えば、円柱形状を有するものであってよい。また、口栓100の取り付け位置も図8に示される位置に限定されるものではない。バンド部20及び薄肉部45の構成も上述の形態に限定されない。例えばバンド部20はなくてもよい。また、薄肉部45は、上記実施形態のように周方向に沿って突起状の接続部が点在するのではなく、全周に亘って設けられていてもよい。
実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明するが、本開示は下記の実施例に限定されるものではない。
[口栓の作製]
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂を押出成形して、キャップ部材を成形した。また、ポリエチレン樹脂を押出成形してスパウト30を成形した。キャップ部材をスパウト30に対して時計回りに回転させてキャップ部材をスパウトに取り付けた後、スコアカッターを用いて薄肉部を形成して図1に示すような口栓100を作製した。この口栓100のキャップ10の外径L0は24.77mmであった。キャップ10の側壁15の外周面に形成されたローレット13は、鋸状突起11(高さH1=0.8mm、頂部の曲率半径=0.4mm)と、山状突起12(高さH2=0.3mm、頂部の曲率半径=3mm)とで構成されていた。鋸状突起11及び山状突起12の数は、それぞれ12個であった。また、一つの山状突起12を介して隣り合う鋸状突起11の頂部11a同士を結ぶ仮想円弧の長さVL1は6.5mmであった。
(比較例1)
実施例1と同様にして口栓を作製した。この口栓のキャップの側壁の外周面に形成されたローレットは、図9に示されるように、鋸状突起(高さH1=0.6mm、頂部の曲率半径=0.2mm)のみで構成されていた。鋸状突起の数は36個であった。
(比較例2)
実施例1と同様にして口栓を作製した。この口栓のキャップの側壁の外周面に形成されたローレットは、比較例1と同様に、鋸状突起(高さH1=0.3mm、頂部の曲率半径=0.1mm)のみで構成されていた。鋸状突起の数は60個であった。
(比較例3)
実施例1と同様にして口栓を作製した。この口栓のキャップの側壁の外周面に形成されたローレットは、山状突起(高さH2=0.4mm、頂部の曲率半径=0.2mm)のみで構成されていた。山状突起の数は60個であった。
[トルクの測定]
図7に示すようなトルク測定装置を用い、上記実施例1及び比較例1〜3の口栓のそれぞれについて、スパウト30に対してキャップ10を相対的に反時計回りに回転させ、スパウト30からキャップ10が取り外されるまでのトルクを測定した。トルク測定装置としては、東日製作所株式会社製のデジタルトルクメータ(商品名:TME2)を用いた。測定は、スパウト30にキャップ10を取り付けた後、1日間常温で保管した後に行った。測定のn数は10とし、それぞれの測定におけるトルクの最大値を求め、その最大値の平均値を求めた。結果は表1に示すとおりであった。
[包装容器の作製と、把持し易さ及び指の痛みの評価]
上記実施例1及び比較例1〜3の口栓をそれぞれ容器本体に装着し、日本酒が収容された包装容器を作製した。このような包装容器を日常的に開封しているモニター10名(40歳代〜60歳代、男性7名、女性3名)を選定した。モニターに、包装容器に装着された実施例1及び比較例1〜3の口栓のキャップを指で把持して開封してもらい、以下の評価基準で、キャップを回転させる際の把持し易さ及び指の痛みを評価した。評価結果は表2に示すとおりであった。
<把持し易さの評価基準>
5:把持し易い
4:やや把持し易い
3:どちらでもない
2:やや把持しにくい
1:把持しにくい
<指の痛みの評価基準>
5:痛くない
4:殆ど痛くない
3:どちらでもない
2:やや痛い
1:痛い
Figure 0006780793

表1中の数値の単位は「cN・m」である。
Figure 0006780793
Figure 0006780793
表1に示すとおり、実施例1の口栓を開栓するのに必要なトルクは、比較例1〜3の口栓と大きく変わらなかった。一方、表2に示すとおり、実施例1の口栓は、キャップを回転させる際の把持し易さの評価が最も良好であった。また、表3に示すとおり、実施例1の口栓は、指の痛みの評価でも最も良好であった。したがって、実施例1の口栓は、指の痛みの低減しつつ、キャップを回転操作によって容易に取り外すことができる。
[口栓の作製]
(実施例2)
3Dプリンタを用いて、側壁15の外周面に、実施例1と同様のローレット13が形成されたキャップ10(外径L0:24.77mm)を作製した。ローレット13は、鋸状突起11(高さH1=0.8mm、頂部の曲率半径=0.2mm)と、山状突起12(高さH2=0.3mm、頂部の曲率半径=3mm)が円周方向に沿って交互に並んで構成されていた。鋸状突起11及び山状突起12の数は、それぞれ18個であった。また、一つの山状突起12を介して隣り合う鋸状突起11の頂部11a同士を結ぶ仮想円弧の長さVL1は4.3mmであった。
(実施例3)
鋸状突起11の曲率半径を0.4mmとしたこと以外は、実施例2と同じ形状を有するキャップ10を作製した。
(実施例4)
山状突起12の高さH2を、0.5mmとしたこと以外は、実施例2と同じ形状を有するキャップ10を作製した。
[曲率半径による影響]
実施例2,3,4の指のかかり具合、及び、指触りを比較した。その結果、指のかかり具合については、いずれも有意差はなく良好な評価であった。これに対し、指触りについては、実施例2,4よりも実施例3の方が高評価であった。ただし、実施例2,4のキャップも、指の痛みは殆ど感じないという評価であった。
[口栓の作製]
(実施例5)
3Dプリンタを用いて、側壁15の外周面に、実施例1と同様のローレット13が形成されたキャップ10(外径L0:24.77mm)を作製した。ローレット13は、鋸状突起11(高さH1=0.8mm、頂部の曲率半径=0.2mm)と、山状突起12(高さH2=0.3mm、頂部の曲率半径=3mm)が円周方向に沿って交互に並んで構成されていた。鋸状突起11及び山状突起12の数は、それぞれ12個であった。また、一つの山状突起12を介して隣り合う鋸状突起11の頂部11a同士を結ぶ仮想円弧の長さVL1は6.5mmであった。
(比較例4)
実施例5と同様にして、側壁の外周面にローレットが形成されたキャップ(外径L0:24.77mm)を作製した。このキャップのローレットの鋸状突起及び山状突起のそれぞれの形状(高さ及び曲率半径)は実施例5と同一としたが、キャップの円周方向に沿って2つの鋸状突起が連続して連なるように形成した点で、実施例5のキャップとは異なっていた。すなわち、比較例4のローレットは、山状突起−鋸状突起−鋸状突起−山状突起−鋸状突起−鋸状突起・・・の順に円周方向に沿って並んで構成されていた。鋸状突起及び山状突起の数は、それぞれ24個及び12個であった。
(比較例5)
実施例5と同様にして、側壁の外周面にローレットが形成されたキャップ(外径L0:24.77mm)を作製した。このキャップのローレットの鋸状突起及び山状突起のそれぞれの形状(高さ及び曲率半径)は、実施例5と同一としたが、キャップの円周方向に沿って2つの山状突起が連続して連なるように形成した点で、実施例5のキャップとは異なっていた。すなわち、比較例5のローレットは、鋸状突起−山状突起−山状突起−鋸状突起−山状突起−山状突起・・・の順に円周方向に沿って並んで構成されていた。鋸状突起及び山状突起の数は、それぞれ12個及び24個であった。
[突起の並び方による影響]
実施例4,比較例4,5の指のかかり具合、及び、指触りを比較した。その結果、指触りについては、いずれも有意差はなく良好な評価であった。これに対し、指のかかり具合については、比較例4,5よりも実施例4の方が明らかに優れていた。
本開示によれば、キャップを取り外す際の回転操作が容易であり、キャップを取り外す際の指の痛みを十分に低減することが可能な口栓を提供することができる。また、本開示は、そのような口栓を備えることによって、開封し易く、開封時の指の痛みを十分に低減することが可能な包装容器を提供することができる。
10…キャップ、11…鋸状突起、11a…頂部、12…山状突起、12a…頂部、13…ローレット、14…天板、15…側壁、15a…内ネジ、16…テーパー部、17…ベース部、19…インナーリング、20…バンド部、20A、20B…半リング、22…フック部、24…連通部、30…スパウト、32…フランジ、32a…一方面、33…リング部、35…側壁、35a…外ネジ、37…突起、40…谷底、45…薄肉部、45A、45B、45C、45D、45E…接続部、50…トルク測定装置、52…本体部、53…測定台、54…ポール、56…固定部、60…エアシリンダ、62…治具、100…口栓、120…容器本体、150…包装容器。

Claims (9)

  1. スパウトと、前記スパウトに取り付けられたキャップと、を具備する口栓であって、
    前記スパウトは、外ネジが形成された円筒状の側壁と、前記側壁の一端側にフランジと、を備え、
    前記キャップは、天板と、前記天板の外周縁に接続し、内周面に前記外ネジと螺合する内ネジが形成されるとともに、外周面にローレットが形成された側壁と、を備え、
    前記ローレットは複数の鋸状突起と複数の山状突起とで構成され前記鋸状突起と前記鋸状突起よりも小さい高さを有する前記山状突起とが一つずつ円周方向に沿って交互に並んでおり
    前記鋸状突起の頂部は、前記キャップを前記スパウトから取り外す際の前記スパウトに対する前記キャップの相対的な回転方向でみたときに、下流側に隣接する前記山状突起よりも上流側に隣接する前記山状突起の方に寄っている、口栓。
  2. 前記スパウトに対して前記キャップを相対的に回転させて前記スパウトから前記キャップを取り外すまでのトルクの最大値が25〜75cN・mである、請求項1に記載の口栓。
  3. 前記鋸状突起の頂部の曲率半径が0.1〜0.9mmであり、前記山状突起の頂部の曲率半径が1〜5mmである、請求項1又は2に記載の口栓。
  4. 互いに隣り合う前記鋸状突起と前記山状突起との間の谷底を通る仮想円弧を基準としたときに、
    前記鋸状突起の高さが0.3〜1.5mmであり、
    前記山状突起の高さが0.1〜0.6mmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の口栓。
  5. 前記キャップの外径が20〜30mmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の口栓。
  6. 一つの前記山状突起を介して隣り合う前記鋸状突起の頂部同士を結ぶ仮想円弧の長さが、2〜10mmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の口栓。
  7. 前記キャップの前記側壁の一端に接続され、前記側壁と前記フランジとの間において前記キャップを前記スパウトに固定する円筒状のバンド部を備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の口栓。
  8. 前記バンド部は、前記天板に向かうように傾斜するフック部を有し、
    前記フック部は、前記スパウトの前記側壁に設けられた突起に当接することによって、前記キャップが前記スパウトに対して相対的に離間することを規制する、請求項7に記載の口栓。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載された口栓と当該口栓が取り付けられる容器本体とを備える包装容器。
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