以下、車両のシートに設けられた乗員検知装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両用のシート1は、シートクッション2と、このシートクッション2の後端部に設けられたシートバック3と、を備えている。そして、そのシートバック3の上端には、ヘッドレスト4が設けられている。
本実施形態の車両10において、このシート1は、図示しない運転席の隣に設けられた助手席としての構成を有している。具体的には、車両10の床部12には、車両前後方向に延びる左右一対のロアレール13が設けられている。また、これら各ロアレール13には、それぞれ、その延伸方向に沿って当該ロアレール13上を相対移動可能なアッパレール14が装着されている。そして、本実施形態のシート1は、これらの各ロアレール13及びアッパレール14が形成するシートスライド装置15の上方に支持される構成となっている。
また、シートクッション2の下方には、そのシート1に作用するシート荷重Wを検出するための荷重センサ20が設けられている。尚、本実施形態の荷重センサ20には、アッパレール14とシートクッション2(のフレーム)との間に介在された周知の歪みセンサが用いられている。更に、この荷重センサ20のセンサ出力(出力信号)Swは、ECU40に入力される。そして、本実施形態の車両10においては、これにより、そのシート1に対する乗員の着座状態を検知するための乗員検知装置45が形成されている。
詳述すると、図2に示すように、本実施形態のECU40は、荷重センサ20のセンサ出力Swに基づき検出されたシート荷重Wと予め定められた閾値Wth(W1,W2,…)とを比較する。尚、これらの各閾値Wthは、ECU40の記憶領域40mに保持されている(図1参照)。そして、本実施形態のECU40は、このシート荷重Wと閾値Wthとの比較結果に基づいて、そのシート1に着座する乗員の種別が異なる複数の着座状態ST(ST0,ST1,ST2)を検知する。
具体的には、図2中、着座状態ST0は、そのシート1に着座する乗員の種別が「子供(荷物又は空席)」である場合に対応して設定されている。また、着座状態ST1は、その乗員の種別が「子供」である場合よりも大きなシート荷重Wを生じさせる「軽い大人」である場合に対応して設定されている。そして、着座状態ST2は、その乗員の種別が「軽い大人」である場合よりも大きなシート荷重Wを生じさせる「重い大人」である場合に対応して設定されている。
尚、図1に示すように、本実施形態のECU40には、車両10のイグニッション信号Sig等、各種の車両制御信号が入力される。そして、本実施形態のECU40は、車両始動時(IGオン時)に、その着座状態STを「子供(空席)」に対応した着座状態ST0に初期化する構成になっている。
さらに詳述すると、図2に示すように、本実施形態のECU40は、現在の着座状態STが「子供」に対応する着座状態ST0にある場合には、荷重センサ20により検出されたシート荷重Wが閾値W1以上となった場合(W≧W1)に、その着座状態STが「軽い大人」に対応する着座状態ST1に移行したものと判定する。そして、現在の着座状態STが「軽い大人」に対応する着座状態ST1にある場合には、シート荷重Wが、上記閾値W1よりも大きな値に設定された閾値W2以上となった場合(W≧W2,W2>W1)に、その着座状態STが「重い大人」に対応する着座状態ST2に移行したものと判定する。
また、本実施形態のECU40は、現在の着座状態STが「重い大人」に対応する着座状態ST2にある場合には、シート荷重Wが上記閾値W2よりも小さな値に設定された閾値W3以下となった場合(W≦W3,W3<W2)に、そのシート1が「軽い大人」に対応する着座状態ST1に移行したものと判定する。そして、本実施形態のECU40は、現在の着座状態STが「軽い大人」に対応する着座状態ST1にある場合には、シート荷重Wが上記閾値W1よりも小さな値が設定された閾値W4以下となった場合(W≦W4,W4<W1)に、そのシート1が「子供」に対応する着座状態ST0に移行したものと判定する。
図1に示すように、本実施形態のECU40は、このようなシート荷重Wと閾値Wthとの比較に基づき検知したシート1の着座状態ST(ST0,ST1,ST2)を乗員検知信号Socとして上位ECU50に出力する。また、助手席としての構成を有するシート1の前方には、車両10のダッシュボード51が位置している。そして、このダッシュボード51には、車両10の衝突時、上位ECU50に制御されることにより展開するエアバッグ55が設けられている。
具体的には、図2に示すように、本実施形態の車両10において、上位ECU50は、車両10の衝突時、乗員検知信号Socが着座状態ST1,ST2を示す場合、即ちシート1に着座する乗員の種別が「大人」である場合に、そのエアバッグ55を展開させる(エアバッグ展開許可モード)。そして、乗員検知信号Socが着座状態ST0を示す場合、即ちシート1に着座する乗員の種別が「子供」である場合には、そのエアバッグ55を展開させない構成になっている(エアバッグ展開禁止モード)。
更に、本実施形態のエアバッグ55は、その展開圧を二段階で調節することが可能となっている。そして、上位ECU50は、ECU40から取得した乗員検知信号Socが「軽い大人」に対応する着座状態ST1を示す場合には、そのエアバッグ55の展開圧を「弱」に設定し、乗員検知信号Socが「重い大人」に対応する着座状態ST2を示す場合には、そのエアバッグ55の展開圧を「強」に設定する構成となっている。
また、図1に示すように、本実施形態の車両10には、ダッシュボード51の下方に検出領域Rdを有した近接センサ60が設けられている。具体的には、本実施形態の車両10において、この近接センサ60は、そのダッシュボード51の内側に設けられた周知の静電容量センサ61により形成されている。即ち、静電容量センサ61を用いることにより、その検出対象となる物体との距離Dに応じてセンサ出力(出力信号)Sdが変化するような近接センサ60を形成することができる。更に、本実施形態のECU40は、この近接センサ60のセンサ出力Sdに基づいて、そのシート1に着座した乗員の足配置を検知する。そして、この検知した乗員の足配置に基づいて、そのシート荷重Wと閾値Wthとの比較に基づいた着座状態検知の判定条件(図2参照)を変更する構成になっている。
詳述すると、図3及び図4に示すように、本実施形態のECU40は、シート1に着座した乗員70(大人70g)の足配置が、足71をシート1の前方に延ばした状態で床部12に置いた「足延ばし状態」にある場合(図3参照)と、膝72を立てた状態で足71を床部12に置いた「足立て状態」にある場合(図4参照)と、を判別する。
具体的には、本実施形態の近接センサ60は、当該近接センサ60が設けられたダッシュボード51の下方において、その図示しないフロントガラスの下端から車両10の後方側(各図中、右側)にせり出したダッシュボード51が床部12の上方を覆う範囲(各図中、一点鎖線に示す領域)を、概ねその検出領域Rdとする。つまり、この近接センサ60は、ダッシュボード51の後端位置P1よりもシート1側(車両後方側、各図中、右側)に非検出領域R0、即ち、そのセンサ出力Sdに基づき乗員70の足71に相当する物体を検出することのできない領域を有している。そして、本実施形態のECU40は、この近接センサ60のセンサ出力Sdに基づいて、当該近接センサ60の検出領域Rd内に乗員70の足71(に相当する物体)を検出した場合に、そのシート1に着座した乗員70の足配置が「足延ばし状態」にあると判定する。
即ち、通常、シート1に着座した乗員70の足71は、この乗員70が体重をシート1に預けることにより前方に延びた状態となる。そして、これにより、このシート1に着座する乗員70が「大人70」である場合には、そのシート1の前方に延ばした足71をダッシュボード51下方の床部12に置くことになる。
本実施形態のECU40は、近接センサ60のセンサ出力Sdに基づいて、その近接センサ60の検出領域Rdであるダッシュボード51下方の床部12に置かれた乗員70の足71を検出する。そして、これにより、乗員70の足配置が「足延ばし状態」にあることを検知する構成になっている。
また、本実施形態のECU40は、近接センサ60のセンサ出力Sdに基づき判定した乗員70の足配置を、足配置情報Iftとして、その記憶領域40mに保持する(図1参照)。更に、この足配置情報Iftは、車両10の始動時(IGオン時)、イグニッション信号Sigの入力より「足無し状態」に初期化される(Ift=Ift0)。即ち、この「足無し状態」は、シート1の前方に乗員の足が配置されていない場合に対応する。そして、本実施形態のECU40は、上記のように乗員70の足配置が「足延ばし状態」にあると判定した後(Ift=Ift1)、その近接センサ60のセンサ出力Sdに基づき当該近接センサ60の検出領域Rdに乗員70の足71を検出できない状態となった場合に、その乗員70の足配置が「足立て状態」にあると判定する(Ift=Ift2)。
即ち、シート1に着座する乗員70は、通常、膝72を曲げ、シート1の前方に延ばした足71を手前に引くことにより、その足配置を「足延ばし状態」から「足立て状態」に変更する。また、これにより床部12に置いた乗員70の足71は、その近接センサ60の検出領域Rd外に出る、つまりはシート1近傍の非検出領域R0に置かれることになる。そして、本実施形態のECU40は、これにより生ずるセンサ出力Sdの変化に基づいて、その乗員70の足配置が近接センサ60による非検出領域R0に足71を置いた「足立て状態」にあることを検知する構成になっている。
さらに詳述すると、図5のフローチャートに示すように、本実施形態のECU40は、先ず、車両10が始動直後(IGオン時)であるか否かを判定し(ステップ101)、IGオン時である場合(ステップ101:YES)には、その記憶領域40mに保持する足配置情報Iftを「足無し状態」に初期化する(Ift=Ift0、ステップ102)。
次に、ECU40は、シート1の前方に位置するダッシュボード51に設けられた近接センサ60のセンサ出力Sdを取得し(ステップ103)、そのダッシュボード51の下方に設定された検出領域Rd内に、乗員70の足71に相当する物体を検出したと判定される状態にあるか否かを判定する(ステップ104)。更に、ECU40は、近接センサ60の検出領域Rd内に乗員70の足71に相当する物体を検出したと判定される状態にある場合(ステップ104:YES)には、続いて、この状態が所定時間以上継続しているか否かを判定する(ステップ105)。そして、本実施形態のECU40は、近接センサ60の検出領域Rd内に乗員70の足71に相当する物体を検出したと判定される状態が所定時間以上継続していると判定した場合(ステップ105:YES)に、そのシート1に着座した乗員70の足配置が「足延ばし状態」にあると判定する(Ift=Ift1、ステップ106)。
また、ECU40は、上記ステップ104において、近接センサ60の検出領域Rd内に乗員70の足71に相当する物体を検出できないと判定される場合(ステップ104:NO)には、記憶領域40mから足配置情報Iftを読み出して(ステップ107)、現在の足配置が「足無し状態」と判定されているか否かを判定する(ステップ108)。そして、現在、乗員70の足配置が「足無し状態」と判定されている場合(ステップ108:YES)には、その「足無し状態」の判定を維持する(Ift=Ift0、ステップ109)。
更に、本実施形態のECU40は、上記ステップ108において、その記憶領域40mに保持する足配置情報Iftが「足無し状態」ではないことを示す場合(ステップ108:NO)には、続いて、この状態が所定時間以上継続しているか否かを判定する(ステップ110)。そして、このような近接センサ60の検出領域Rd内に乗員70の足71を検出できず、且つその足配置情報Iftが「足無し状態」ではないことを示す状態が所定時間以上継続している場合(ステップ110:YES)に、その乗員70の足配置が「足立て状態」にあると判定する構成になっている(Ift=Ift2、ステップ111)。
即ち、本実施形態のECU40は、IGオン時に初期化した足配置情報Iftを、一度、「足無し状態」から「足延ばし状態」に更新した後は(Ift=Ift0→Ift1)、所定時間以上、近接センサ60の検出領域Rd内に乗員70の足71を検出しているか否かに基づいて、その「足延ばし状態」と「足立て状態」とを判別する。そして、ステップ106において、新たに乗員70の足配置が「足延ばし状態」にあると判定した場合、又はステップ111において、新たに乗員70の足配置が「足立て状態」にあると判定した場合に、その記憶領域40mに保持する足配置情報Iftを更新する構成になっている(Ift=Ift1→Ift2、又はIft=Ift2→Ift1)。
また、図6のフローチャートに示すように、本実施形態のECU40は、シート1に設けられた荷重センサ20のセンサ出力Swに基づきシート荷重Wを検出すると(ステップ201)、続いて、このシート荷重Wと比較する閾値Wthを記憶領域40mから読み出す(ステップ202)。更に、ECU40は、その記憶領域40mに保持された足配置情報Iftを読み出す(ステップ203)。そして、この足配置情報Iftに示される乗員70の足配置に基づいて、そのシート荷重Wと閾値Wthとの比較に基づいた着座状態検知(図2参照)における判定条件を変更する構成になっている(ステップ204〜ステップ209)。
具体的には、本実施形態のECU40は、先ず、足配置情報Iftに示される乗員70の足配置が「足無し状態」であるか否かを判定し(ステップ204)、「足無し状態」でない場合(ステップ204:NO)には、続いて「足立て状態」であるか否かを判定する(ステップ205)。そして、そのシート1に着座した乗員70の足配置が「足立て状態」ではない場合(ステップ205:NO)、即ち「足延ばし状態」である場合には、上記ステップ201において検出したシート荷重Wを用いて、その閾値Wthとの比較に基づいた着座状態STの検知判定を実行する(ステップ206)。
また、本実施形態のECU40は、上記ステップ205において、乗員70の足配置が「足立て状態」であると判定した場合(ステップ205:YES)には、上記ステップ201において検出したシート荷重Wに所定の補正値αを加えることで、その補正後の値(W´)が大きくなるような補正処理を実行する(W´=W+α、ステップ207)。そして、このステップ207において補正されたシート荷重W´(>W)に基づいて、その閾値Wthとの比較による着座状態STの検知判定を実行する(ステップ208)。
更に、本実施形態のECU40は、上記ステップ204において、乗員70の足配置が「足無し状態」であると判定した場合(ステップ204:YES)には、上記ステップ201において検出したシート荷重Wから所定の補正値βを減ずることで、その補正後の値(W´)が小さくなるような補正処理を実行する(W´=W−β、ステップ209)。そして、このステップ209において補正されたシート荷重W´(<W)に基づいて、その閾値Wthとの比較による着座状態STの検知判定を実行する構成になっている(ステップ208)。
即ち、シート1に着座した乗員70の足配置が「足延ばし状態」から「足立て状態」に変化することにより、その乗員70の着座姿勢が前傾しやすい傾向がある。そして、これにより乗員70の体重が床部12に置いた足71に分散されることで、乗員70の足配置が「足延ばし状態」である場合よりも、そのシート1に設けられた荷重センサ20により検出されるシート荷重Wが小さな値に変化する。
この点を踏まえ、本実施形態のECU40は、上記のように、乗員70の足配置が「足立て状態」である場合には、そのシート荷重Wを増加させるような補正処理を実行する(W´>W、ステップ207)。つまりは、大きなシート荷重Wを生じさせる乗員の種別に対応した着座状態STが検知されやすいように、そのシート荷重W(W´)と閾値Wthとの比較に基づいた着座状態STの判定条件を変更する。そして、これにより、例えば、シート1に着座する乗員70が、その足配置を「足延ばし状態」から「足立て状態」に変更することで「軽い大人」との境界にあたる閾値W3(図2参照)よりもシート荷重Wが小さくなるような「重い大人」であっても、正しく、その「重い大人」に対応する着座状態ST2と判定することが可能となっている。
また、図7〜図12に示すように、本実施形態のECU40は、そのシート1の着座状態STが、「子供」や「荷物」、或いは「空席」に対応する着座状態ST0である場合についても、その足配置の検知判定に基づいて、正しく、その着座状態ST0を検知することが可能になっている。
例えば、図7に示すように、「軽い大人」が着座している場合に近いシート荷重W(図2参照、閾値W1近傍)を生じさせるような大きな荷物81がシート1上に載置されている場合が考えられる。そして、同様の状況としては、例えば、図8に示すように、シート1上に大きな子供70cが座っている場合、或いは、図9に示すようにシート1上に設置された重いチャイルドシート82に重い子供70cが座っている場合等が考えられる。
本実施形態のECU40においては、このような場合、その乗員70の足配置が「足無し状態」と判定されることで、シート荷重Wを減少させるような補正処理が実行される(W´<W、図6参照、ステップ209)。つまりは、その乗員70の足配置が「足延ばし状態」にある場合よりも、大きなシート荷重Wを生じさせる乗員の種別に対応した着座状態STが検知され難いように、そのシート荷重W(W´)と閾値Wthとの比較に基づいた着座状態STの判定条件が変更される。そして、本実施形態のECU40は、これにより、そのシート1の着座状態STを「大人(軽い大人)」に対応する着座状態ST1と誤判定することなく、正しく、「子供(荷物又は空席)」に対応する着座状態ST0にあると判定することが可能になっている。
また、本実施形態のECU40は、ダッシュボード51の下方に検出領域Rdを有した近接センサ60のセンサ出力Sdに基づいて、その足配置の検知判定を実行する。更に、この近接センサ60は、車両前後方向におけるダッシュボード51の後端位置P1よりもシート1側(車両後方側、各図中、右側)に非検出領域R0を有する。そして、ECU40は、乗員70の足配置が近接センサ60の検出領域Rd内に乗員70の足71を置いた「足延ばし状態」にあると判定した後、その近接センサ60の検出領域Rd内に乗員70の足71に相当する物体を検出できなくなった場合に、その乗員70の足配置が「足立て状態」に移行したものと判定する(図5参照)。
このため、例えば、図10に示すように、その近接センサ60による非検出領域R0であるシート1近傍の床部12に荷物83が載置されている場合においても、正しく「足無し状態」が検知される。また、図11に示すように、シート1近傍の床部12に脚部84aを立てる態様でシート1に設置されたチャイルドシート84に子供70cが座っている場合についても、正しく「足無し状態」が検知される。そして、本実施形態のECU40は、これにより、これらの場合についても、「大人(軽い大人)」に対応する着座状態ST1と誤判定することなく、正しく、その「子供」に対応した着座状態ST0にあると判定することが可能になっている。
また、本実施形態のECU40は、図12に示すように、近接センサ60の検出領域Rdであるダッシュボード51下方の床部12に荷物83が載置されている場合についても、シート荷重Wに基づいて、正しく、その「空席」に対応した着座状態ST0と判定することが可能となっている。そして、本実施形態の車両10においては、近接センサ60に静電容量センサ61を用いることから、その誘電率の違いに基づいて、乗員70の足71とその他の物体とを判別することも可能な構成となっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)荷重検出部90a及び着座状態検知部90bとしてのECU40は、車両10のシート1に作用するシート荷重Wを検出することにより、そのシート1に対する乗員70の着座状態STを検知する。具体的には、ECU40は、検出されたシート荷重Wと閾値Wth(W1,W2,…)とを比較することにより、そのシート1に着座する乗員70の種別が異なる複数の着座状態ST(ST0,ST1,ST1)を判別する。また、足配置検知部90cとしてのECU40は、シート1の前方における乗員70の足配置が、その足71を前方に延ばした状態で床部12に置いた「足延ばし状態」にある場合(Ift=Ift1)と、その膝72を立てた状態で足71を床部12に置いた「足立て状態」にある場合(Ift=Ift2)と、を判別する。そして、ECU40は、乗員70の足配置が「足立て状態」にある場合には、その乗員70の足配置が「足延ばし状態」にある場合よりも、大きなシート荷重Wを生じさせる乗員70の種別に対応した着座状態STが検知されやすくなるように、そのシート荷重Wと閾値Wthとの比較に基づいた着座状態STの判定条件を変更する。
即ち、シート1に着座した乗員70の足配置が「足延ばし状態」から「足立て状態」に変化することで、その乗員70の体重が床部12に置いた足71に分散される。そして、これによりシート荷重Wが小さな値に変化することで、シート1に着座する実際の乗員70の種別よりも軽い種別に対応した着座状態STにあると誤判定してしまう可能性が生ずる。
しかしながら、上記構成によれば、このような場合、そのシート荷重Wと閾値Wthとの比較に基づいた着座状態STの判定条件が変更されることで、乗員70の足配置が「足延ばし状態」にあるよりも、大きなシート荷重Wを生じさせる乗員70の種別に対応した着座状態STが検知されやすくなる。
例えば、そのシート荷重Wとして「子供(荷物又は空席)」に対応した着座状態ST0と「軽い大人」に対応する着座状態ST1との境界にあたる閾値W1又は閾値W4に近い値が検出されている場合には、その判定条件の変更により「軽い大人」に対応する着座状態ST1にあると判定されやすくなる。また、そのシート荷重Wとして「軽い大人」に対応した着座状態ST0と「重い大人」に対応する着座状態ST1との境界あたる閾値W2又は閾値W3に近い値が検出されている場合には、その「重い大人」に対応する着座状態ST2にあると判定されやすくなる。そして、これにより、誤判定の発生を抑えて、より精度よく、その乗員70の種別に対応した着座状態STを検知することができる。
(2)ECU40は、シート1の前方に位置するダッシュボード51の下方に検出領域Rdを有した近接センサ60のセンサ出力Sdに基づいて、その乗員70の足配置が「足延ばし状態」にある場合と「足立て状態」にある場合とを判別する。
即ち、シート1に着座した乗員70の足71は、この乗員70が体重をシート1に預けることにより前方に延びた状態となる。そして、これにより近接センサ60の検出領域Rdであるダッシュボード51下方の床部12に置かれた乗員70の足71を検出することで、その乗員70の足配置が「足延ばし状態」にあることを検知することができる。
更に、乗員の足配置が「足延ばし状態」から「足立て状態」に変更されることにより、近接センサ60のセンサ出力Sdが変化する。そして、このセンサ出力Sdの変化に基づいて、その乗員70の足配置が「足立て状態」にあることを検知することができる。
(3)近接センサ60は、ダッシュボード51の後端位置P1よりもシート1側に非検出領域R0を有する。また、ECU40は、近接センサ60のセンサ出力Sdに基づき当該近接センサ60の検出領域Rd内に乗員70の足71に相当する物体を検出した場合に、その乗員70の足配置が近接センサ60の検出領域Rd内に乗員70の足71を置いた「足延ばし状態」にあると判定する(Ift=Ift1)。そして、ECU40は、乗員70の足配置が「足延ばし状態」にあると判定した後、センサ出力Sdに基づき近接センサ60の検出領域Rd内に乗員70の足71に相当する物体を検出できない状態となった場合に、その足配置が近接センサ60による非検出領域R0に足71を置いた「足立て状態」にあると判定する(Ift=Ift2)。
即ち、通常、シート1に着座する乗員70は、膝72を曲げ、シート1の前方に延ばした足71を手前に引くことにより、その足配置を「足延ばし状態」から「足立て状態」に変更する。そして、これにより、その乗員70が足71を床部12に置く位置が、その近接センサ60の検出領域Rdからシート1近傍の非検出領域R0に移動することになる。従って、上記構成によれば、近接センサ60のセンサ出力Sdに基づいて、その乗員70の足配置が「足延ばし状態」にある場合と「足立て状態」にある場合とを判別することができる。
また、その足配置の検知を乗員70の足71に相当する物体が検出領域Rdに存在するか否かに基づいて行うことにより、必ずしも、その検出対象と近接センサ60との距離Dを正確に測定しなくともよいという利点がある。そして、これにより、そのECU40の演算負荷を軽減することができる。
(4)近接センサ60は、静電容量センサ61を用いて構成される。
即ち、静電容量センサ61を用いることにより、その検出対象となる物体との距離Dに応じてセンサ出力Sdが変化するような近接センサ60を形成することができる。そして、これにより、精度よく、そのシート1に着座した乗員70の足配置を検出することができる。
更に、静電容量センサ61を用いることで、その誘電率の違いに基づいて、乗員70の足71とその他の物体とを判別することも可能になる。そして、これにより、その乗員70の足71を検出できない場合も含めて、より精度よく、そのシート1に着座した乗員70の足配置を検出することができる。
(5)ECU40は、シート1の前方に乗員70の足71が配置されていない「足無し状態」を判別する。そして、ECU40は、乗員70の足配置が「足無し状態」にあると判定される場合には、その乗員70の足配置が「足延ばし状態」にある場合よりも、大きなシート荷重Wを生じさせる乗員70の種別に対応した着座状態STが検知され難くなるように、そのシート荷重Wと閾値Wthとの比較に基づいた着座状態STの判定条件を変更する。
即ち、シート1の前方に乗員70の足71が配置されていない「足無し状態」と判定される場合、そのシート1の乗員70が「大人」ではない、つまりは「子供(荷物又は空席)」に対応する着座状態ST0である可能性が高い。
上記構成によれば、このような場合、そのシート荷重Wと閾値Wthとの比較に基づいた着座状態STの判定条件が変更されることで、乗員70の足配置が「足延ばし状態」にある場合よりも、大きなシート荷重Wを生じさせる乗員70の種別に対応した着座状態STが検知され難くなる。具体的には、シート荷重Wとして「子供(荷物又は空席)」に対応した着座状態ST0と「大人(軽い大人)」に対応する着座状態ST1との境界にあたる閾値W1又は閾値W4に近い値が検出されている場合に、その「大人」に対応する着座状態ST1と判定され難くなる。そして、これにより、例えば、大きな荷物81がシート1上に載置されている場合や大きな子供70cが座っている場合等においても、正しく、その「子供(荷物)」に対応した着座状態ST0を検知することができる。
更に、シート1に着座する乗員70がシート1上に足71をおいた着座姿勢(例えば、胡座や膝抱え等)をとることで、その検出されるシート荷重Wが大きな値に変化する。しかしながら、このような場合においても、乗員70の足配置が「足無し状態」であることにより「重い大人」に対応する着座状態ST2とは判定され難くなる。その結果、シート荷重Wとして「軽い大人」に対応した着座状態ST0と「重い大人」に対応する着座状態ST1との境界にあたる閾値W2又は閾値W3に近い値が検出されている場合であっても、正しく、その「軽い大人」に対応する着座状態ST1と判定されやすくなる。そして、これにより、より精度よく、その乗員70の種別に対応した着座状態STを検知することができる。
(6)ECU40は、シート荷重Wを補正することにより、そのシート荷重Wと閾値Wthとの比較に基づいた着座状態STの判定条件を変更する。
即ち、補正後の値(W´)が補正前の値(W)よりも大きくなるようにシート荷重Wを補正することにより(W´>W)、そのシート荷重W(W´)と閾値Wthとの比較に基づいた着座状態STの検知判定において、大きなシート荷重Wを生じさせる乗員70の種別に対応した着座状態STが検知されやすくなる。また、補正後の値(W´)が補正前の値(W)よりも小さくなるようにシート荷重Wを補正することで(W´<W)、大きなシート荷重Wを生じさせる乗員70の種別に対応した着座状態STが検知され難くなる。そして、このように、シート荷重Wの補正によって、そのシート荷重Wと閾値Wthとの比較に基づいた着座状態STの判定条件を変更することにより、簡素な構成にて、より精度よく、その乗員70の種別に対応した着座状態STを検知することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、荷重センサ20には、アッパレール14とシートクッション2(のフレーム)との間に介在された歪みセンサが用いられることとした。しかし、これに限らず、シート1に作用するシート荷重Wを検出可能な構成であれば、例えば、静電容量式のもの等、その荷重センサ20の形式は任意に変更してもよい。そして、シート1における荷重センサ20の配置、及び、その数についてもまた、任意に変更してもよい。
・上記実施形態では、シート荷重Wを補正することにより、そのシート荷重Wと閾値Wthとの比較に基づいた着座状態STの判定条件を変更することとした(図6参照)。しかし、これに限らず、閾値Wthを補正することにより、そのシート荷重Wと閾値Wthとの比較に基づいた着座状態STの判定条件を変更する構成としてもよい。
例えば、図13のフローチャートに示すように、シート1に着座した乗員70の足配置が「足延ばし状態」である場合(ステップ304:NO、且つステップ305:NO)には、ステップ302において読み出した所定の閾値Wthを用いることにより、そのシート荷重Wとの比較に基づいた着座状態STの検知判定を実行する(ステップ306)。
また、乗員70の足配置が「足立て状態」であると判定した場合(ステップ305:YES)には、そのステップ302において読み出した所定の閾値Wthから所定の補正値γを減ずることで、その補正後の値(Wth´)が小さくなるような補正処理を実行する(Wth´=Wth−γ,Wth´<Wth、ステップ307)。そして、このステップ307において補正された閾値Wth´を用いることにより、そのシート荷重Wとの比較に基づいた着座状態STの検知判定を実行する(ステップ308)。
更に、乗員70の足配置が「足無し状態」であると判定した場合(ステップ304:YES)には、そのステップ302において読み出した所定の閾値Wthに所定の補正値δを加えることで、その補正後の値(Wth´)が大きくなるような補正処理を実行する(Wth´=Wth+δ,Wth´>Wth、ステップ309)。そして、このステップ307において補正された閾値Wth´を用いることにより、そのシート荷重Wとの比較に基づいた着座状態STの検知判定を実行する構成(ステップ308)とすればよい。
即ち、補正後の値(Wth´)が補正前の値(Wth)よりも小さくなるように閾値Wthを補正することにより(Wth´<Wth)、そのシート荷重Wと閾値Wth(Wth´)との比較に基づいた着座状態STの検知判定において、大きなシート荷重Wを生じさせる乗員70の種別に対応した着座状態STが検知されやすくなる。また、補正後の値(Wth´)が補正前の値(Wth)よりも大きくなるように閾値Wthを補正することにより(Wth´>Wth)、大きなシート荷重Wを生じさせる乗員70の種別に対応した着座状態STが検知され難くなる。そして、このように、閾値Wthの補正によって、そのシート荷重Wと閾値Wthとの比較に基づいた着座状態STの判定条件を変更する構成を採用しても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
そして、シート荷重Wの補正と閾値Wthの補正との組み合わせにより、着座状態STの判定条件を変更する構成であってもよい。
・また、乗員70の足配置が「足無し状態」であると判定した場合には、必ずしも、そのシート荷重Wと閾値Wthとの比較に基づいた着座状態STの判定条件を変更しなくともよい。そして、例えば、足配置が「足無し状態」である場合には、シート荷重Wと閾値Wthとの比較を行うことなく、その着座状態STを「子供(荷持又は空席)」に対応する着座状態ST0にあると判定する構成であってもよい。
・上記実施形態では、近接センサ60は、静電容量センサ61を用いて構成されることとしたが、例えば、電波式等、その他の型式の近接センサ60を用いる構成としてもよい。
・また、図14に示すように、シート1の近傍を含むかたちで、その検出領域Rdが拡張された近接センサ60Bを用いる。更に、この近接センサ60Bのセンサ出力Sdに基づいて、その検出領域Rd内に配置された検出対象となる物体、即ち乗員70の足71に相当する物体との距離Dを測定する。そして、この測定された距離Dに基づいて、そのシート1に着座する乗員70の足配置を検知する構成としてもよい。
例えば、図15のフローチャートに示すように、近接センサ60Bのセンサ出力Sdを取得し(ステップ401)、このセンサ出力Sdに基づいて、その検出対象となる物体との距離Dを測定する(ステップ402)。更に、このステップ402において検出対象との距離Dを測定可能であった場合(ステップ403:YES)には、その測定された距離Dが所定の閾値D1以下であるか否かを判定する(ステップ404)。そして、測定された距離Dが閾値D1以下である場合(D≦D1、ステップ404:YES)には、乗員70の足配置が「足延ばし状態」にあると判定し(ステップ405)、その測定された距離Dが閾値D1よりも大きい場合(D>D1、ステップ404:NO)には、「足立て状態」にあると判定する構成とすればよい(ステップ406)。
このような構成としても、その乗員70の足配置が「足延ばし状態」にある場合と「足立て状態」にある場合とを判別することができる。そして、この近接センサ60Bのセンサ出力Sdに基づいて、検出対象との距離Dを測定することができなかった場合(ステップ403:NO)に、その足配置が「足無し状態」にあると判定するとよい(ステップ407)。
・また、図16に示すように、上記実施形態と同様、ダッシュボード51の後端位置P1よりもシート1側に非検出領域R0を有した近接センサ60を用いる構成において、その検出領域Rd内に足71を置いた「足立て状態」を検知する。更に、上記実施形態において検知した近接センサ60による非検出領域R0に足71を置いた「足立て状態(図4参照)」と、この図16に示すような近接センサ60の検出領域Rd内に足71を置いた「足立て状態」と、を判別する。そして、乗員70の足配置が、近接センサ60の検出領域Rd内に足71を置いた「足立て状態」にある場合(Ift=Ift3)には、近接センサ60の非検出領域R0に足71を置いた「足立て状態」にある場合(Ift=Ift2)よりも大きく、シート荷重Wと閾値Wthとの比較に基づいた着座状態STの判定条件を変更する構成としてもよい。
例えば、図17のフローチャートに示すように、上記実施形態と同様(図5参照)、ダッシュボード51に設けられた近接センサ60のセンサ出力Sdを取得し(ステップ503)、そのダッシュボード51の下方に設定された検出領域Rd内に乗員70の足71に相当する物体を検出したと判定される状態にあるか否かを判定する(ステップ504)。
次に、近接センサ60の検出領域Rd内に乗員70の足71に相当する物体を検出したと判定される状態にある場合(ステップ504:YES)には、続いて、そのセンサ出力Sdに基づいて、この検出対象との距離Dを測定する(ステップ505)。更に、このステップ501において測定した距離Dが所定の閾値D2以下であるか否かを判定し(ステップ506)、その測定された距離Dが閾値D2よりも大きい場合(D>D2、ステップ506:NO)には、乗員70の足配置が「足延ばし状態」にあると判定する(ステップ507)。そして、その検出対象との距離Dが所定の閾値D2以下である場合(D≦D2、ステップ506:YES)には、近接センサ60の検出領域Rd内に足71を置いた「足立て状態」にあると判定して、そのシート荷重Wと閾値Wthとの比較に基づいた着座状態STの判定条件を大きく変更する決定をすればよい(Ift=Ift3、ステップ508)。
尚、図17のフローチャートにおいて記載を略したステップ501,502、及びステップ509以降の各処理は、図5のフローチャートに示すステップ101,102、及びステップ107以降の各処理と同一である。そして、上記ステップ508において「着座状態STの判定条件を大きく変更する」ことを決定した場合には、例えば、乗員70の足配置が「足立て状態」であることをもってシート荷重Wに所定の補正値αを加える補正を行う際(図6参照、ステップ207、W´=W+α)、その補正値αを大きな値(α´)に変更する等とすればよい。
即ち、図16に示すように、乗員70の足配置がダッシュボード51の下方に設定された検出領域Rd内に足71を置いた「足立て状態」にある場合、その乗員70の膝72はダッシュボード51に設けられた近接センサ60に近い位置に配置されることになる。従って、検出領域Rd内に置かれた乗員70の足71までの距離Dを測定し、所定の閾値D2と比較することにより、その乗員70の足配置が検出領域Rd内に足71を置いた「足立て状態」であることを判別することができる(図17参照)。
また、乗員70の足配置が検出領域Rd内に足71を置いた「足立て状態」にある場合、その乗員70の着座姿勢は、大きく前傾したものとなる。そして、これにより、その床部12に置いた足71に体重が分散することで、その荷重センサ20により検出されるシート荷重Wが大きく減少することになる。
しかしながら、このような場合であっても、上記のように、そのシート荷重Wと閾値Wthとの比較に基づいた着座状態STの判定条件を大きく変更することで、より一層、大きなシート荷重Wを生じさせる乗員70の種別に対応した着座状態STが検知されやすくなる。そして、これにより、そのシート1に着座する実際の乗員70の種別よりも軽い種別に対応した着座状態STにあると誤判定してしまう可能性を低減することで、より精度よく、乗員70の種別に対応した着座状態STを検知することができる。
・上記実施形態では、ダッシュボード51の下方に近接センサ60を設ける。そして、そのダッシュボード51の下方に設定された検出領域Rdに乗員70の足71に相当する物体が検出されるか否かに基づいて、その乗員70の足配置を検知することとした。しかし、これに限らず、その足配置の検知方法は、任意に変更してもよい。例えば、ダッシュボード51下方の床部12近傍、或いはシート1の前端部に近接センサ(測位センサ)を設ける。尚、シート1側から距離Dを測定した場合には、その距離Dが近い場合に「足立て状態」と判定することができる。そして、その他、近接センサ60以外の方法で、床部12上に足71を置く位置を検出することにより、その乗員の足配置を検知する等の構成を採用してもよい。
・上記実施形態では、シート荷重Wと閾値Wthとの比較に基づいて、そのシート1に着座する乗員70の種別が異なる3つの着座状態ST、即ち「子供(荷物又は空席)」に対応する着座状態ST0、「軽い大人」に対応する着座状態ST1、及び「重い大人」に対応する着座状態ST2を検知することとした。しかし、これに限らず、そのシート荷重Wと閾値Wthとの比較に基づき検知する着座状態STの数は、任意に変更してもよい。
例えば、「大人」又は「子供(荷物又は空席)」に対応する2つの着座状態STを検知する構成でもよい。また、「大人」を3つ以上の種別に区分して、その着座状態STを検知する構成でもよい。そして、「子供」を複数の種別に区分する、或いは、「子供」「荷物」「空席」を、それぞれ、独立の種別として、その着座状態STを検知する構成としてもよい。
・また、荷重センサ20により検出されるシート荷重Wと乗員70の足配置の検知結果とを組み合わせた「場合分け」によって、その乗員70の着座状態STを検知する構成としてもよい。
例えば、図18に示すように、シート荷重Wを検出し(ステップ601)、その記憶領域40mに保持する足配置情報Iftを読み出すと(ステップ602)、先ず、その検出されたシート荷重Wが所定の閾値W0以上であるか否かを判定する(ステップ603)。更に、シート荷重Wが閾値W0以上である場合(W≧W0、ステップ603:YES)には、その乗員70の足配置が「足延ばし状態」と判定されているか否かを判定する(ステップ604)。そして、「足延ばし状態」にあると判定されている場合(ステップ605:YES)には、そのシート1に「足延ばし状態」の大人70gが着座した状態にあると判定する(ステップ606、図3参照)。
また、上記ステップ604において、「足延ばし状態」にないと判定されている場合(ステップ605:NO)には、続いて、その乗員70の足配置が「足立て状態」と判定されているか否かを判定する(ステップ606)。そして、「足立て状態」にあると判定されている場合(ステップ606:YES)には、そのシート1の近傍に足71を置いた「足立て状態」の大人70gが着座した状態にあると判定する(ステップ607、図4参照)。
そして、上記ステップ606において、「足立て状態」にないと判定される場合(ステップ606:NO)、つまりは「足無し状態」にあると判定されている場合には、「非大人」に対応する着座状態にあると判定する(ステップ608)。尚、このステップ608において特定される「非大人」に対応する着座状態には、例えば、大きな荷物81がシート1上に載置されている場合(図7参照)やシート1上に設置されたチャイルドシート82に子供70cが座っている場合(図9参照)等が該当する。
一方、上記ステップ603において、シート荷重Wが閾値W0よりも小さい場合(W<W0、ステップ603:NO)にも、その乗員70の足配置が「足延ばし状態」と判定されているか否かを判定する(ステップ609)。そして、このステップ609において、「足延ばし状態」にあると判定されている場合(ステップ609:YES)にも、「非大人」に対応する着座状態にあると判定する(ステップ610)。尚、このステップ610において特定される「非大人」に対応する着座状態には、例えば、近接センサ60の検出領域Rdであるダッシュボード51下方の床部12に荷物83が載置されている場合(図12参照)等が該当する。
また、上記ステップ609において、「足延ばし状態」にないと判定される場合(ステップ609:NO)には、続いて、その乗員70の足配置が「足無し状態」と判定されているか否かを判定する(ステップ611)。そして、「足無し状態」にあると判定されている場合(ステップ611:YES)にも、「非大人」に対応する着座状態にあると判定する(ステップ612)。
尚、このステップ612において特定される「非大人」に対応する着座状態には、例えば、シート1上に子供70cが座っている場合(図8参照、この場合は普通の子供)が該当する。そして、その他、更にシート1近傍の床部12に荷物83が載置されている場合(図10参照)、或いはシート1近傍の床部12に脚部84aを立てたチャイルドシート84が設置されている場合(図11参照)等が該当する。
そして、上記ステップ606において、「足無し状態」にないと判定される場合(ステップ611:NO)、つまり乗員70の足配置が「足立て状態」にあると判定されている場合には、そのシート1に前傾姿勢の大人70gが着座した状態にあると判定する(ステップ613)。尚、この場合において、図16に示すようなダッシュボード51下方の床部12に足71を置いた「足立状態」を判別するためには、上記別例のように、その膝72の位置を検出する方法を用いるとよい(図17参照)。
また、このような処理手順に示される「場合分け」を予めマップやテーブルの形式で保持する構成を採用してもよい。更に、この図18に示す例においては、そのシート1上に大人70gが着座した状態にあると判定した場合(ステップ605,607,613)に、エアバッグ55の展開許可モードが選択される(ステップ614)。そして、そのシート1に対する着座状態が「非大人」と判定された場合(ステップ608,610,612)には、エアバッグ55の展開禁止モードが選択される構成になっている(ステップ615)。