以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と環状カルボジイミド化合物とを有している。当該樹脂組成物は、各種の電子部品に幅広く利用することができる。
また、本実施形態に係る環状カルボジイミド化合物は、1つの環状内に1つのカルボジイミド基を有する環状構造を備えるものである。また、当該環状カルボジイミド化合物は、カルボジイミド基を有する構造単位を、1分子内に3以上含むポリカルボジイミド化合物を含まない、カルボジイミド化合物のモノマーを意味する。
本発明者は、種々の実験結果より、本実施形態の環状カルボジイミド化合物が硬化促進剤として作用する、という新規な機能を見出した。詳細なメカニズムは定かでないが、ゲルタイムや溶融粘度などの流動特性が低くならずに、ガラス転移温度(Tg)が高くなることから、本実施形態の環状カルボジイミド化合物は、ポストキュアのときに架橋密度を高める働きをする、と考えられる。また、他の硬化剤と競合することを抑制できる。このため、環状カルボジイミド化合物を硬化促進剤として利用することにより、本実施形態の樹脂組成物の低収縮特性を安定して得られることが可能になった。
また、本発明者がさらに検討を深めた結果、上記環状カルボジイミド化合物を利用することにより、本実施形態の樹脂組成物において、低収縮性と低弾性とのトレードオフの関係を改善できることが新たに見出された。
以下、本実施形態に係る樹脂組成物を構成する各成分について詳述する。
(熱硬化性樹脂(A))
本実施形態に係る樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(A)を有している。
当該熱硬化性樹脂(A)は、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、オキセタン樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、およびマレイミド樹脂からなる群から選択される一種類または二種類以上を含む。これらの中でも、硬化性、保存性、耐熱性、耐湿性、および耐薬品性を向上させる観点から、エポキシ樹脂を含むことがとくに好ましい。
本実施形態において、熱硬化性樹脂(A)に含まれるエポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。本実施形態において、エポキシ樹脂は、たとえばビフェニル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等に例示されるトリスフェノール型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂;フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂等のナフトール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等の有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂からなる群から選択される一種類または二種類以上を含む。成形体の反り抑制や、充填性、耐熱性、耐湿性等の諸特性のバランスを向上させる観点からは、これらのうちビフェニル型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、およびフェノールアラルキル型エポキシ樹脂から選択される一種または二種以上を含むことがより好ましく、多官能エポキシ樹脂を少なくとも含むことがとくに好ましい。
本実施形態において、熱硬化性樹脂(A)の含有量は、樹脂組成物全体に対して1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、2.5質量%以上であることがとくに好ましい。これにより、成形時における流動性を向上させることができる。このため、充填性や成形安定性の向上を図ることができる。一方で、熱硬化性樹脂(A)の含有量は、樹脂組成物全体に対して15質量%以下であることが好ましく、14質量%以下であることがより好ましく、13質量%以下であることがとくに好ましい。これにより、電子部品の耐湿信頼性や耐リフロー性を向上させることができる。また、熱硬化性樹脂(A)の含有量をこのような範囲に制御することによって、樹脂組成物により電子素子等を封止して得られる成形体の反り抑制に寄与することが可能である。
(硬化剤(B))
本実施形態の樹脂組成物は、たとえば硬化剤(B)を含むことができる。樹脂組成物に含まれる硬化剤(B)としては、たとえば重付加型の硬化剤、触媒型の硬化剤、および縮合型の硬化剤の3タイプに大別することができる。
上記硬化剤(B)として用いられる重付加型の硬化剤は、たとえばジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ジヒドララジドなどを含むポリアミン化合物;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)などの芳香族酸無水物などを含む酸無水物;ノボラック型フェノール樹脂、ポリビニルフェノール、アラルキル型フェノール樹脂などのフェノール樹脂系硬化剤;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルなどのポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類からなる群から選択される一種類または二種類以上を含む。
上記硬化剤(B)として用いられる触媒型の硬化剤は、たとえばベンジルジメチルアミン(BDMA)、2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノール(DMP−30)などの3級アミン化合物;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール(EMI24)などのイミダゾール化合物;BF3錯体などのルイス酸からなる群から選択される一種類または二種類以上を含む。
上記硬化剤(B)として用いられる縮合型の硬化剤は、たとえばレゾール型フェノール樹脂;メチロール基含有尿素樹脂などの尿素樹脂;メチロール基含有メラミン樹脂などのメラミン樹脂からなる群から選択される一種類または二種類以上を含む。
これらの中でも、耐燃性、耐湿性、電気特性、硬化性、および保存安定性等についてのバランスを向上させる観点から、フェノール樹脂系硬化剤を含むことがより好ましい。フェノール樹脂系硬化剤としては、一分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量、分子構造は特に限定されない。硬化剤(B)として用いられるフェノール樹脂系硬化剤は、たとえばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック等のノボラック型フェノール樹脂;ポリビニルフェノール、トリフェノールメタン型フェノール樹脂等の多官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル型フェノール樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物からなる群から選択される一種類または二種類以上を含む。これらの中でも、樹脂組成物により電子素子等を封止して得られる成形体の反りを抑制する観点からは、多官能型フェノール樹脂およびフェノールアラルキル型フェノール樹脂のうちの少なくとも一方を含むことがより好ましい。なお、本実施形態においては、熱硬化性樹脂(A)としての多官能エポキシ樹脂と、硬化剤(B)としての多官能フェノール樹脂と、の一方または双方を樹脂組成物中に含む場合を、好ましい態様の例として挙げることができる。
本実施形態において、硬化剤(B)の含有量は、樹脂組成物全体に対して0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、1.5質量%以上であることがとくに好ましい。これにより、成形時において、優れた流動性を実現し、充填性や成形性の向上を図ることができる。一方で、硬化剤(B)の含有量は、樹脂組成物全体に対して9質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、7質量%以下であることがとくに好ましい。これにより、電子部品の耐湿信頼性や耐リフロー性を向上させることができる。また、硬化剤(B)の含有量をこのような範囲に制御することによって、樹脂組成物により電子素子等を封止して得られる成形体の反り抑制に寄与することが可能である。
(硬化促進剤(C))
本実施形態に係る樹脂組成物は、たとえば硬化促進剤(C)を含むことができる。硬化促進剤(C)は、熱硬化性樹脂(A)(たとえばエポキシ樹脂)と、硬化剤(B)(たとえばフェノール樹脂系硬化剤)と、の架橋反応を促進させるものであればよい。
本実施形態において、硬化促進剤(C)は、たとえば有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、ベンジルジメチルアミン、2−メチルイミダゾール等が例示されるアミジンや3級アミン、前記アミジンやアミンの4級塩等の窒素原子含有化合物から選択される1種類または2種類以上を含むことができる。これらの中でも、硬化性を向上させる観点からはリン原子含有化合物を含むことがより好ましい。
上記樹脂組成物で用いることができる有機ホスフィンとしては、例えばエチルホスフィン、フェニルホスフィン等の第1ホスフィン;ジメチルホスフィン、ジフェニルホスフィン等の第2ホスフィン;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の第3ホスフィンが挙げられる。
上記樹脂組成物で用いることができるテトラ置換ホスホニウム化合物としては、例えば下記一般式(6)で表される化合物等が挙げられる。
(上記一般式(6)において、Pはリン原子を表す。R
4、R
5、R
6およびR
7は芳香族基またはアルキル基を表す。Aはヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基から選ばれる官能基のいずれかを芳香環に少なくとも1つ有する芳香族有機酸のアニオンを表す。AHはヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基から選ばれる官能基のいずれかを芳香環に少なくとも1つ有する芳香族有機酸を表す。x、yは1〜3の数、zは0〜3の数であり、かつx=yである。)
一般式(6)で表される化合物は、例えば以下のようにして得られるがこれに限定されるものではない。まず、テトラ置換ホスホニウムハライドと芳香族有機酸と塩基を有機溶剤に混ぜ均一に混合し、その溶液系内に芳香族有機酸アニオンを発生させる。次いで水を加えると、一般式(6)で表される化合物を沈殿させることができる。一般式(6)で表される化合物において、リン原子に結合するR4、R5、R6およびR7がフェニル基であり、かつAHはヒドロキシル基を芳香環に有する化合物、すなわちフェノール類であり、かつAは該フェノール類のアニオンであるのが好ましい。上記フェノール類としては、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコールなどの単環式フェノール類、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、アントラキノールなどの縮合多環式フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノール類、フェニルフェノール、ビフェノールなどの多環式フェノール類などが例示される。
上記樹脂組成物で用いることができるホスホベタイン化合物としては、例えば、下記一般式(7)で表される化合物等が挙げられる。
(上記一般式(7)において、R
8は炭素数1〜3のアルキル基、R
9はヒドロキシル基を表す。fは0〜5の数であり、gは0〜3の数である。)
一般式(7)で表される化合物は、例えば以下のようにして得られる。まず、第三ホスフィンであるトリ芳香族置換ホスフィンとジアゾニウム塩とを接触させ、トリ芳香族置換ホスフィンとジアゾニウム塩が有するジアゾニウム基とを置換させる工程を経て得られる。しかしこれに限定されるものではない。
上記樹脂組成物で用いることができるホスフィン化合物とキノン化合物との付加物としては、例えば、下記一般式(8)で表される化合物等が挙げられる。
(上記一般式(8)において、Pはリン原子を表す。R
10、R
11およびR
12は炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R
13、R
14およびR
15は水素原子または炭素数1〜12の炭化水素基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく、R
14とR
15が結合して環状構造となっていてもよい。)
ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物に用いるホスフィン化合物としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリナフチルホスフィン、トリス(ベンジル)ホスフィン等の芳香環に無置換またはアルキル基、アルコキシル基等の置換基が存在するものが好ましく、アルキル基、アルコキシル基等の置換基としては1〜6の炭素数を有するものが挙げられる。入手しやすさの観点からはトリフェニルホスフィンが好ましい。
また、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物に用いるキノン化合物としては、ベンゾキノン、アントラキノン類が挙げられ、中でもp−ベンゾキノンが保存安定性の点から好ましい。
ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物の製造方法としては、有機第三ホスフィンとベンゾキノン類の両者が溶解することができる溶媒中で接触、混合させることにより付加物を得ることができる。溶媒としてはアセトンやメチルエチルケトン等のケトン類で付加物への溶解性が低いものがよい。しかしこれに限定されるものではない。
一般式(8)で表される化合物において、リン原子に結合するR10、R11およびR12がフェニル基であり、かつR13、R14およびR15が水素原子である化合物、すなわち1,4−ベンゾキノンとトリフェニルホスフィンを付加させた化合物が樹脂組成物の硬化物の熱時弾性率を低下させる点で好ましい。
上記樹脂組成物で用いることができるホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物としては、例えば下記一般式(9)で表される化合物等が挙げられる。
(上記一般式(9)において、Pはリン原子を表し、Siは珪素原子を表す。R
16、R
17、R
18およびR
19は、それぞれ、芳香環または複素環を有する有機基、あるいは脂肪族基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。式中R
20は、基Y
2およびY
3と結合する有機基である。式中R
21は、基Y
4およびY
5と結合する有機基である。Y
2およびY
3は、プロトン供与性基がプロトンを放出してなる基を表し、同一分子内の基Y
2およびY
3が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。Y
4およびY
5はプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基を表し、同一分子内の基Y
4およびY
5が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。R
20、およびR
21は互いに同一であっても異なっていてもよく、Y
2、Y
3、Y
4およびY
5は互いに同一であっても異なっていてもよい。Z
1は芳香環または複素環を有する有機基、あるいは脂肪族基である。)
一般式(9)において、R16、R17、R18およびR19としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、ヒドロキシナフチル基、ベンジル基、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−オクチル基およびシクロヘキシル基等が挙げられ、これらの中でも、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基等のアルキル基、アルコキシ基、水酸基などの置換基を有する芳香族基もしくは無置換の芳香族基がより好ましい。
また、一般式(9)において、R20は、基Y2およびY3と結合する有機基である。同様に、R21は、基Y4およびY5と結合する有機基である。Y2およびY3はプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基であり、同一分子内の基Y2およびY3が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。同様にY4およびY5はプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基であり、同一分子内の基Y4およびY5が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。基R20およびR21は互いに同一であっても異なっていてもよく、基Y2、Y3、Y4、およびY5は互いに同一であっても異なっていてもよい。このような一般式(9)中の−Y2−R20−Y3−、およびY4−R21−Y5−で表される基は、プロトン供与体が、プロトンを2個放出してなる基で構成されるものであり、プロトン供与体としては、分子内にカルボキシル基、または水酸基を少なくとも2個有する有機酸が好ましく、さらには芳香環を構成する隣接する炭素にカルボキシル基または水酸基を少なくとも2個有する芳香族化合物が好ましく、芳香環を構成する隣接する炭素に水酸基を少なくとも2個有する芳香族化合物がより好ましく、例えば、カテコール、ピロガロール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,2’−ビフェノール、1,1’−ビ−2−ナフトール、サリチル酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、クロラニル酸、タンニン酸、2−ヒドロキシベンジルアルコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−プロパンジオールおよびグリセリン等が挙げられるが、これらの中でも、カテコール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレンがより好ましい。
また、一般式(9)中のZ1は、芳香環または複素環を有する有機基または脂肪族基を表し、これらの具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基およびオクチル基等の脂肪族炭化水素基や、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基およびビフェニル基等の芳香族炭化水素基、グリシジルオキシプロピル基、メルカプトプロピル基、アミノプロピル基等のグリシジルオキシ基、メルカプト基、アミノ基を有するアルキル基およびビニル基等の反応性置換基等が挙げられるが、これらの中でも、メチル基、エチル基、フェニル基、ナフチル基およびビフェニル基が熱安定性の面から、より好ましい。
ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物の製造方法としては、メタノールを入れたフラスコに、フェニルトリメトキシシラン等のシラン化合物、2,3−ジヒドロキシナフタレン等のプロトン供与体を加えて溶かし、次に室温攪拌下ナトリウムメトキシド−メタノール溶液を滴下する。さらにそこへ予め用意したテトラフェニルホスホニウムブロマイド等のテトラ置換ホスホニウムハライドをメタノールに溶かした溶液を室温攪拌下滴下すると結晶が析出する。析出した結晶を濾過、水洗、真空乾燥すると、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物が得られる。しかし、これに限定されるものではない。
本実施形態において、硬化促進剤(C)の含有量は、樹脂組成物全体に対して0.05質量%以上であることが好ましく、0.10質量%以上であることがより好ましく、0.15質量%以上であることがとくに好ましい。これにより、封止成形時における硬化性を効果的に向上させることができる。一方で、硬化促進剤(C)の含有量は、樹脂組成物全体に対して5.0質量%以下であることが好ましく、4.0質量%以下であることがより好ましく、3.5質量%以下であることがとくに好ましい。これにより、封止成形時における流動性の向上を図ることができる。
本実施形態に係る環状カルボジイミド化合物は、下記一般式(i)で表される環状カルボジイミド化合物であってもよい。なお、下記一般式(i)で示される環状カルボジイミド化合物は、1つの分子中、2つのカルボジイミド基を有してもよく、1つのカルボジイミド基を有してもよい。
(一般式(i)中、Xは、下記一般式(i−1)〜(i−3)で表される2価の基または下記式(i−4)で表される4価の基である。Xが2価のときqは0で、Xが4価のときqは1である。Ar
1〜Ar
4は各々独立に芳香族基である。これらの芳香族基は炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基で置換されていてもよい。)
(上記式(i−2)中、mおよびnは各々独立に0〜3の整数である。)
(上記式(i−3)中、R
1およびR
2は各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基を表す。)
また、上記一般式(i)で表される環状カルボジイミド化合物としては、以下の構造式を有する化合物がいくつか例示される。
本実施形態に係る環状カルボジイミド化合物の製造方法としては、たとえば、次のような手法を用いることができる。
(i)単環の環状カルボジイミド化合物は、たとえば、下記工程(1)から工程(3)を含む製造工程により製造することができる。まず、上記Ar1およびAr2を含むニトロ体を準備する(工程(1))。続いて、ニトロ体からアミン体を製造する(工程(2))。その後、アミン体から、トリフェニルホスフィン体またはウレア体を経由して、単環の環状カルボジイミド化合物を製造することができる(工程(3))。
(ii)複環の環状カルボジイミド化合物は、たとえば、上記工程(1)において、上記Ar1〜Ar4を含むニトロ体を準備する点を除いて、(i)と同様にして、製造することができる。
また、本実施形態に係る環状カルボジイミド化合物は従来公知の方法により製造することができる。例として、アミン体からイソシアネート体を経由して製造する方法、アミン体からイソチオシアネート体を経由して製造する方法、カルボン酸体からイソシアネート体を経由して製造する方法等が挙げられる。
本実施形態において、環状カルボジイミド化合物の含有量の下限値は、特に限定されないが、本実施形態に係る樹脂組成物の全体に対して0.1質量%以上が好ましく、0.15質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が特に好ましい。一方、当該環状カルボジイミド化合物の含有量の上限値は、特に限定されないが、2.0質量%以下が好ましく、1.8質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が特に好ましい。環状カルボジイミド化合物の含有量を上記範囲内とすることにより、低収縮特性が得られるだけでなく、低弾性と流動特性のバランスに優れた樹脂組成物が得られる。
本実施形態において、上記硬化促進剤(C)に加えて、上記環状カルボジイミド化合物を併用することにより、樹脂組成物の樹脂設計の制御をより容易に実現できることができる。このため、たとえば、低収縮性と低弾性のバランスを高めることができる。
(充填材(D))
本実施形態の樹脂組成物は、充填材(D)を含むことができる。充填材(D)は、たとえば、溶融破砕シリカ及び溶融球状シリカ等の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化珪素、および窒化アルミからなる群から選択される一種類または二種類以上の無機充填材を含むことができる。この中でも、好ましくは、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ等のシリカであり、より好ましくは溶融球状シリカを使用することができる。
本実施形態において、充填材(D)の平均粒径(D50)は、0.01μm以上1μm以下であることが好ましく、1μmより大きく50μm以下であることがより好ましい。平均粒径を上記下限値以上とすることにより、樹脂組成物の流動性を良好なものとし、成形性をより効果的に向上させることが可能となる。また、平均粒径を上記上限値以下とすることにより、ゲート詰まり等が生じることを確実に抑制できる。なお、本実施形態において、充填材(D)の平均粒径(D50)は、市販のレーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、島津製作所社製、SALD−7000)を用いて粒子の粒度分布を体積基準で測定し、そのメディアン径(D50)を平均粒径とすることができる。
上記充填材(D)の含有量は、樹脂組成物全体に対して80質量%以上であることが好ましく、83質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることがとくに好ましい。これにより、低吸湿性および低熱膨張性を向上させ、電子部品の耐湿信頼性や耐リフロー性をより効果的に向上させることができる。一方で、充填材(D)の含有量は、樹脂組成物全体に対して95質量%以下であることが好ましく、93質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることがとくに好ましい。これにより、樹脂組成物の成形時における流動性や充填性をより効果的に向上させることが可能となる。また、充填材(D)の含有量をこのような範囲に制御することによって、樹脂組成物により電子素子等を封止して得られる成形体の反り抑制に寄与することが可能である。
また、充填材(D)は、たとえば異なる平均粒径(D50)の充填材を二種以上併用することができる。これにより、樹脂組成物全体に対する充填材(D)の充填性をより効果的に高めることができる。このため、成形体の反りの抑制に寄与することも可能となる。また、本実施形態においては、平均粒径0.01μm以上1μm以下の第一充填材と、平均粒径1μmより大きく50μm以下の第二充填材とを含むことが、樹脂組成物の充填性を向上させる観点や、成形体の反りを抑制する観点から、好ましい態様の一つとして挙げられる。
本実施形態において、平均粒径0.01μm以上1μm以下の第一充填材と、平均粒径1μmより大きく50μm以下の第二充填材とを含む場合、充填材(D)全体に対する平均粒径1μmより大きく50μm以下の第二充填材の含有量は、たとえば70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましい。これにより、成形体の反りをより効果的に抑制することが可能となる。一方で、充填材(D)全体に対する平均粒径1μmより大きく50μm以下の第二充填材の含有量の上限値は、とくに限定されず、たとえば99質量%以下とすることができる。
(その他の成分)
本実施形態の樹脂組成物には、必要に応じて、たとえば、カップリング剤、離型剤、難燃剤、イオン捕捉剤、着色剤、低応力剤および酸化防止剤等の各種添加剤のうち一種または二種以上を適宜配合することができる。
本実施形態の樹脂組成物において、エポキシ樹脂と無機充填材との密着性を向上させるため、シランカップリング剤等のカップリング剤を添加することができる。カップリング剤としては、エポキシ樹脂と無機充填材との間で反応し、エポキシ樹脂と無機充填材の界面強度を向上させるものであればよく、特に限定されるものではないが、例えばエポキシシラン、アミノシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン等が挙げられる。
上記エポキシシランとしては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、アミノシランとしては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−(トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ベンゼンジメタナン等が挙げられる。また、ウレイドシランとしては、例えば、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。アミノシランの1級アミノ部位をケトン又はアルデヒドを反応させて保護した潜在性アミノシランカップリング剤として用いてもよい。また、アミノシランとしては、2級アミノ基を有してもよい。また、メルカプトシランとしては、例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランのほか、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドのような熱分解することによってメルカプトシランカップリング剤と同様の機能を発現するシランカップリング剤など、が挙げられる。またこれらのシランカップリング剤は予め加水分解反応させたものを配合してもよい。これらのシランカップリング剤は1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
連続成形性という観点では、メルカプトシランが好ましく、流動性の観点では、アミノシランが好ましく、密着性という観点ではエポキシシランが好ましい。
上記カップリング剤の含有量の下限値としては、樹脂組成物全体に対して、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、特に好ましくは0.1質量%以上である。カップリング剤の含有量が上記下限値以上であれば、エポキシ樹脂と無機充填材との界面強度が低下することがなく、良好な耐振動性を得ることができる。また、カップリング剤の含有量の上限値としては、樹脂組成物全体に対して、1質量%以下が好ましく、より好ましくは0.8質量%以下、特に好ましくは0.6質量%以下である。カップリング剤の含有量が上記上限値以下であれば、エポキシ樹脂と無機充填材との界面強度が低下することがなく、良好な耐振動性を得ることができる。また、シランカップリング剤等のカップリング剤の含有量が上記範囲内であれば、固定用樹脂組成物の硬化物の吸水性が増大することがなく、良好な防錆性を得ることができる。
上記離型剤は、たとえばカルナバワックス等の天然ワックス、モンタン酸エステルワックスや酸化ポリエチレンワックス等の合成ワックス、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸およびその金属塩類、ならびにパラフィンから選択される1種類または2種類以上を含むことができる。
上記難燃剤は、たとえば水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、ホスファゼンから選択される1種類または2種類以上を含むことができる。着色剤は、たとえばカーボンブラックを含むことができる。
上記イオン捕捉剤は、ハイドロタルサイト類またはマグネシウム、アルミニウム、ビスマス、チタン、ジルコニウムから選ばれる元素の含水酸化物から選択される1種類または2種類以上を含むことができる。
上記着色剤は、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタンから選択される1種類または2種類以上を含むことができる。
上記低応力剤は、ポリブタジエン化合物、アクリロニトリルブタジエン共重合化合物、シリコーンオイル、シリコーンゴム等のシリコーン化合物から選択される1種類または2種類以上を含むことができる。
本実施形態において、樹脂組成物の硬化物中のハロゲンイオン(イオン性不純物)の含有量の上限値は、樹脂組成物全体に対して、好ましくは20ppm以下であり、より好ましくは15ppm以下であり、さらに好ましくは10ppm以下である。ハロゲンイオンの含有量の下限値は、特に限定されないが、例えば、樹脂組成物全体に対して、0ppb以上であり、より好ましくは10ppb以上であり、より好ましくは100ppb以上である。本実施の形態においては、例えば、純度の高いエポキシ樹脂または本実施形態のカルボジイミド化合物を使用することにより、ハロゲンイオンを低減することができる。ハロゲンイオンの含有量を上限値以下とすることにより、耐久性に優れた樹脂組成物の硬化物を得られる。
一般的に硬化促進剤としてイミダゾールを使用した場合、塩素が増加することが知られている。詳細なメカニズムは定かでないが、本実施形態のカルボジイミド化合物は、例えばイミダゾールと異なる反応機構を有しているために、エポキシ樹脂内の結合性塩素が脱離しないものと考えられる。
上記ハロゲンイオンの濃度は、下記のようにして求めることができる。まず、本実施形態の樹脂組成物を175℃180秒で成形硬化後、粉砕機で粉砕し硬化物の粉末を得る。得られた硬化物粉末を純水中で120℃、24時間処理し、純水中にイオンを抽出した後、ICP−MS(誘導結合プラズマイオン源質量分析装置)を用い測定できる。本実施形態において、ハロゲン原子は、樹脂組成物のエポキシ樹脂に含有される結合性のハロゲン成分と、エポキシ樹脂から遊離しているハロゲン成分とを含む。濃度測定されるハロゲンイオンは、この2つのうち、遊離しているハロゲン成分由来を指す。
以下、封止樹脂組成物に関する特性を評価する手法について説明する。
本実施形態において、樹脂組成物に対し、例えば175℃で120秒間熱処理した後、175℃で4時間熱処理して得られる硬化物のガラス転移温度が、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、135℃以上であることがとくに好ましい。これにより、電子部品の耐熱性をより効果的に向上させることができる。一方で、上記ガラス転移温度の上限値は、とくに限定されないが、たとえば250℃以下とすることができる。本実施の形態においては、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤の軟化点を上げることにより、上記ガラス転移温度(Tg)を増加することができる。
本実施形態においては、樹脂組成物に対し、たとえば175℃で120秒間熱処理した後、175℃で4時間熱処理して得られる硬化物の、ガラス転移温度以下における線膨張係数(CTE1)が、15ppm/℃以下であることが好ましく、12ppm/℃以下であることがより好ましい。また、ガラス転移温度以下における線膨張係数(CTE1)は、たとえば1ppm/℃以上であることが好ましい。CTE1をこのように制御することによって、電子素子と封止樹脂の線膨張係数の差に起因した成形体の反りを、より確実に抑制することができる。本実施の形態においては、例えば、充填材の配合量を増やすことにより、上記線膨張係数(CTE1)を低減することができる。
本実施形態においては、樹脂組成物に対し、例えば175℃で120秒間熱処理した後、175℃で4時間熱処理して得られる硬化物の、ガラス転移温度超過における線膨張係数(CTE2)が、40ppm/℃以下であることが好ましく、38ppm/℃以下であることがより好ましい。また、ガラス転移温度超過における線膨張係数(CTE2)は、たとえば5ppm/℃以上であることが好ましい。CTE2をこのように制御することによって、とくに高温環境下において、電子素子と封止樹脂の線膨張係数の差に起因した成形体の反りを、より確実に抑制することができる。本実施の形態においては、例えば、充填材の配合量を増やすことにより、上記線膨張係数(CTE2)を低減することができる。
本実施形態の樹脂組成物の上記ガラス転移温度および上記線膨張係数(CTE1、CTE2)は、たとえば次のように測定することができる。まず、低圧トランスファー成形機(コータキ精機(株)製「KTS−15」)を用いて金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒で樹脂組成物を注入成形し、10mm×4mm×4mmの試験片を得る。次いで、得られた試験片を175℃、4時間で後硬化した後、熱機械分析装置(セイコー電子工業(株)製、TMA100)を用いて、測定温度範囲0℃〜320℃、昇温速度5℃/分の条件下で測定を行う。この測定結果から、ガラス転移温度、ガラス転移温度以下における線膨張係数(CTE1)、ガラス転移温度超過における線膨張係数(CTE2)を算出する。
本実施形態において、樹脂組成物の成形収縮率の上限値は、0.12%以下とすることが好ましく、0.125%以下とすることがより好ましく、0.11%以下とすることがとくに好ましい。上記成形収縮率の上限値を低く抑えることにより、成形体の反りを抑制することができる。一方、樹脂組成物の成形収縮率の下限値は、たとえば−0.5%以上とすることが好ましく、−0.3%以上とすることがより好ましい。上記成形収縮率の収縮率を上記範囲内とすることにより、成形体の脱型をより容易にすることができる。上記成形収縮率の測定は、たとえば樹脂組成物を用いて、低圧トランスファー成形機(コータキ精機(株)製「KTS−15」)により金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒の条件で作製した試験片に対して、JIS K 6911に準じて行うことができる。本実施の形態においては、例えば、樹脂組成物中の熱硬化性樹脂の配合組成に応じて、カルボジイミド化合物の添加量を調整することにより、上記成形収縮率を所望の数値に抑えることができる。
本実施形態においては、樹脂組成物に対し、たとえば175℃で120秒間熱処理した後、175℃で4時間熱処理して得られる硬化物の、260℃で測定した際の貯蔵弾性率(E')の下限値は、特に限定されないが、例えば、500MPa以上が好ましく、600MPa以上がより好ましく、700MPa以上がさらに好ましい。一方、上記貯蔵弾性率(E')の上限値は、特に限定されないが、例えば、1500MPa以下が好ましく、1200MPa以下がより好ましく、1100MPa以下がさらに好ましい。本実施形態の樹脂組成物の熱時弾性率(260℃時の貯蔵弾性率(E'))を上記範囲内とすることにより、基板の反りを抑制することができ、信頼性に優れた半導体装置の構造を実現できる。
本実施形態の熱時弾性率の測定方法としては、例えば、次の手法が挙げられる。本実施形態の樹脂組成物を用いてトランスファー成形を行い、幅4mm、長さ20mm、厚み0.1mmの試験片を得た。トランスファー成形の条件は、成形温度125℃、硬化時間7分とした。得られた試験片を、三点曲げモード、周波数10Hz、測定温度260℃の条件で、DMA(Dynamic mechanical analysis/動的粘弾性測定器)を用いて測定した際の、260℃における貯蔵弾性率(E')を求める。単位はMPaである。
また、本実施形態の樹脂組成物において、次の条件(1)を満たすことが好ましく、(2)を満たすことがさらに好ましい。
(1)成形収縮率が上記上限値以下であり、かつ熱時弾性率が上記上限値以下であること。
(2)(1)を満たし、かつ、成形収縮率と熱時弾性率の関係式である「Y(%)+αX(MPa)」が0.15%以下である、ことを満たすこと。
なお、上記(2)の関係式において、Yは成形収縮率を示し、Xは熱時弾性率を示す。また、比例定数α(%/Mpa)が、たとえば、3.5×10−5であり、好ましくは4.0×10−5であり、さらに好ましくは4.5×10−5である。
ここで、上記(2)の関係式について技術的な意味について説明する。
本発明者が検討したところ、成形収縮率と熱時弾性率との間に一定の関係を見出した。
具体的には、図3に示すように、環状カルボジイミド化合物を含まない通常の樹脂組成物の比較例から、成形収縮率と熱時弾性率との関係を示す検量線が得られることが判明した。この検量線よりも、成形収縮率が小さくかつ熱時弾性率が小さい場合は、低収縮性と低弾性に優れた樹脂組成物が得られたこと示す事が分かる。つまり、図3に示す検量線は、低収縮性かつ低弾性の両立を示す指標となる。
この指標を具体的に検討した結果、「Y(%)+αX(MPa)」が0.15%以下である、という関係式が導き出される。
0.15%は、たとえば、半導体分野における封止用樹脂組成物の硬化物が求められる収縮性の一般的な技術水準を示す。
また、比例定数αは、環状カルボジイミド化合物を含まない通常の樹脂組成物における成形収縮率と熱時弾性率との比例関係を示しており、実験データより算出された数値である。比例定数αが大きい程、低収縮性と低弾性とのバランスが向上する。
したがって、上記(2)の関係式を満たすということは、所定の技術分野で求められる低収縮性を満たすとともに、環状カルボジイミド化合物を含まない通常の樹脂組成物よりも、低収縮性と低弾性に優れた樹脂組成物が得られたことが分かる。
本実施形態において、樹脂組成物は、スパイラルフローの流動長が90cm以上であることが好ましく、100cm以上であることがより好ましく、110cm以上であることがとくに好ましい。これにより、樹脂組成物を成形する際の充填性をより効果的に向上させることができる。スパイラルフローの流動長の上限値は、とくに限定されないが、たとえば200cm以下とすることができる。上記スパイラルフローの測定は、たとえば低圧トランスファー成形機(コータキ精機(株)製「KTS−15」)を用いて、EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型に金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒の条件で樹脂組成物を注入し、流動長を測定することにより行うことができる。本実施の形態においては、例えば、充填材として溶融球状シリカを用いる、エポキシ樹脂、硬化剤の軟化点を下げる、硬化促進剤の量を減らすなどにより、上記スパイラルフローを増加することができる。
本実施形態において、樹脂組成物は、たとえばゲルタイムが10秒以上50秒以下であることが好ましく、15秒以上45秒以下であることがより好ましい。これにより、樹脂組成物の成形性の向上を図りつつ、成形サイクルを速くすることができる。ゲルタイムの測定は、175℃に加熱した熱板上で樹脂組成物を溶融した後、へらで練りながら硬化するまでの時間(ゲルタイム)を測定することにより行うことができる。本実施の形態においては、例えば、硬化促進剤やカルボジイミド化合物の量を増やすことにより、上記ゲルタイムを低減することができる。
本実施形態において、ガラス転移温度、成形収縮率、スパイラルフロー、ゲルタイムおよび熱時弾性率は、たとえば樹脂組成物の各成分の種類や配合割合、樹脂組成物の調製方法等をそれぞれ適切に調整することによって制御することができる。この中でも、例えば、環状カルボジイミド化合物を使用することにより、上記スパイラルフローおよびゲルタイムを所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。また、環状カルボジイミド化合物の使用と配合量、他の硬化促進剤の併用、樹脂の選択などが、成形収縮率を低くかつ熱時弾性率を低くするための要素として挙げられる。
以下、本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法について説明する。
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、とくに限定されないが、たとえば上述の各成分を、公知の手段で混合し、さらにロール、ニーダーまたは押出機等の混練機で溶融混練し、冷却した後に粉砕した顆粒状のものや、粉砕後にタブレット状に打錠成型したもの、また必要に応じて、上記粉砕したものを篩分したり、遠心製粉法、ホットカット法などで適宜分散度や流動性等を調整した造顆方法により製造した顆粒状のもの等を樹脂組成物として用いることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物においては、様々な電子部品に用いることが可能である。このような電子部品に用いる樹脂組成物の用途の一例として、半導体素子や電子素子などの電子部品を封止するための封止材料(封止用樹脂組成物)、基板の材料(コア層、ビルドアップ層、最外層のソルダーレジスト層など)、白色ダイオード等の受光素子に用いられる絶縁層、等が挙げられる。
以下、本実施形態に係る電子装置の構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る電子部品100の一例を示す断面図である。
本実施形態の電子装置は、上述の樹脂組成物の硬化物を備えるものである。
本実施形態に係る電子装置(電子部品100)の概要を説明する。
本実施形態に係る電子部品100は、電子素子10または金属部材、を封止する封止樹脂20を備えている。封止樹脂20は、本実施形態に係る樹脂組成物の硬化物により構成されている。また、電子素子10および金属部材としては、たとえば上記において例示したものを用いることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、ウェハの回路面を樹脂封止することにより得られるウェハレベルパッケージを構成する封止樹脂に好ましく用いられるものであるが、以下に説明する疑似ウェハに用いられる封止樹脂にも適用可能なものである。
次いで、本実施形態に係る電子部品100の詳細を説明する。図1に例示される電子部品100は、半導体素子である電子素子10と、電子素子10を封止する封止樹脂20と、を備える半導体パッケージである。図1では、とくにウェハレベルパッケージである電子部品100が示されている。なお、本実施形態に係る電子部品100は、図1に示すものに限定されるものではない。電子部品100は、たとえば有機基板やリードフレーム上に搭載された電子素子10(半導体素子)を樹脂組成物によって封止して得られる半導体パッケージであってもよい。また、電子部品100は、たとえば配線基板と、配線基板上に搭載された複数の電子素子10と、を樹脂組成物によってともに封止して得られる車載用電子制御ユニットであってもよい。
また、電子部品100は、金属部材と、金属部材を封止する封止樹脂20と、を備えていてもよい。このような電子部品100としては、たとえば金属配線を樹脂組成物により封止して形成される樹脂基板が挙げられる。
以上から、本実施形態に係る樹脂組成物は、一般的な電子装置に限らず、上記半導体パッケージに用いられる半導体封止樹脂組成物、上記車載用電子制御ユニット(ECU)に用いられるECU封止樹脂組成物、または上記樹脂基盤に用いられる樹脂基板用封止樹脂組成物に適用可能である。
図1に示す電子部品100は、一面に電極12が設けられた電子素子10と、電子素子10の一面以外を覆うように設けられた封止樹脂20と、を備えている。電子素子10の一面上には、たとえば電極12に接続するビア40が埋め込まれた絶縁層30が設けられている。絶縁層30上には、再配線層を構成する配線42が、ビア40と接続するように設けられている。また、絶縁層30上および配線42上には、ソルダーレジスト層である絶縁層32が設けられている。また、絶縁層32には配線42に接続する開口が設けられており、当該開口内に半田ボール44が設けられている。図1に示す電子部品100は、半田ボール44を介して外部と電気的に接続することとなる。
次に、電子部品100の製造方法について説明する。
電子部品100の製造方法は、上述の樹脂組成物を用いて電子素子10または金属部材を封止成形する工程を備えている。これにより、電子素子10または金属部材を封止して得られる成形体において反りが発生することを抑制することができる。
図2は、本実施形態に係る電子部品100の製造方法の一例を示す断面図である。図2においては、キャリア50上に半導体素子である複数の電子素子10をマウントして形成した疑似ウェハを用いて、ウェハレベルパッケージを形成する方法が例示されている。図2に示す製造方法によれば、電子部品100の薄型化を図ることが可能である。なお、本実施形態に係る電子部品100の製造方法は、図2に示すものに限定されない。電子部品100は、たとえば有機基板やリードフレーム上に搭載された電子素子10を樹脂組成物によって封止することにより製造されてもよい。また、電子部品100は、たとえばMAP(Mold Array Package)成形等によって製造されるものであってもよい。
以下、図2に示す電子部品100の製造方法の一例について詳述する。
まず、図2(a)に示すように、キャリア50上に形成されたマウントフィルム52上に、複数の電子素子10を配置する。これにより、疑似ウェハが形成されることとなる。キャリア50は、たとえば板状である。マウントフィルム52は、たとえば加熱により電子素子10に対する接着性が低下する熱剥離性フィルムである。本実施形態においては、たとえば電子素子10のうちの外部電極が設けられた一面がマウントフィルム52と対向するよう、マウントフィルム52上に電子素子10を配置することができる。
次に、図2(b)に示すように、樹脂組成物を用いて電子素子10を封止成形する。封止成形する当該工程は、たとえば電子素子10に対してウェハレベルにおいて行われる。なお、ウェハレベルにおいて封止成形を行うとは、図2(b)に示すように疑似ウェハを構成する複数の電子素子10を樹脂組成物によって一括で封止することや、ウェハ上の回路面を樹脂組成物によって一括で封止することを含む概念である。これにより、複数の電子素子10と、複数の電子素子10を封止する封止樹脂20と、により構成される成形体200が形成されることとなる。本実施形態においては、上述の樹脂組成物を用いて成形体200が形成される。このため、大面積であり、かつ膜厚の薄い成形体200であっても、反りを抑制することが可能となる。
本実施形態の樹脂組成物による封止成形は、とくに限定されないが、たとえば圧縮成形により行うことができる。この場合、圧縮成形は、たとえば120℃以上160℃以下の温度条件により行うことがより好ましい。これにより、樹脂組成物を十分に硬化させることができる。また、成形体200を冷却した際に、封止樹脂20の収縮によって成形体200に反りが生じてしまうことを抑制することが可能となる。
次に、図2(c)に示すように、成形体200をマウントフィルム52から剥離する。
次に、図2(d)に示すように、成形体200のうちの電子素子10が露出した一面上に、再配線層を形成する。再配線層は、たとえば上述した絶縁層30と、絶縁層30に埋め込まれたビア40と、絶縁層30上に設けられた配線42と、絶縁層30上および配線42上に設けられた絶縁層32と、により構成される。次いで、再配線層上に、配線42に接続する複数の半田ボール44を形成する。その後、成形体200をダイシングして、各電子部品100に個片化する。
本実施形態においては、たとえばこのようにして電子部品100が形成される。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、本発明の参考形態の一例を示す。
<1>
熱硬化性樹脂と、
環状カルボジイミド化合物と、
無機充填材を含む、樹脂組成物であって、
前記無機充填材がシリカを含み、かつ当該無機充填材の含有量が当該樹脂組成物全体に対して80質量%以上、95質量%以下であり、
当該樹脂組成物を175℃で120秒間熱処理した後、175℃で4時間熱処理して得られる硬化物のガラス転移温度が、100℃以上である、電子部品に用いる樹脂組成物。
<2>
<1>に記載の樹脂組成物であって、
硬化剤をさらに含む、樹脂組成物。
<3>
<1>または<2>に記載の樹脂組成物であって、
無機充填材をさらに含む、樹脂組成物。
<4>
<3>に記載の樹脂組成物であって、
前記無機充填材がシリカを含む、樹脂組成物。
<5>
<1>から<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
硬化促進剤をさらに含む、樹脂組成物。
<6>
<1>から<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
前記環状カルボジイミド化合物の含有量は、当該樹脂組成物の全体に対して0.1質量%以上2.0質量%以下である、樹脂組成物。
<7>
<1>から<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む、樹脂組成物。
次に、本発明の実施例について説明する。
(樹脂組成物の調製)
各実施例について、次のように樹脂組成物を調製した。まず、表1に示す配合に従い、熱硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)、環状カルボジイミド化合物、硬化促進剤(C)、シランカップリング剤、離型剤、および着色剤を、ミキサーを用いて混合して混合物を得た。次いで、上記混合物に対し、表1に示す配合に従い充填材(D)を添加した後、ミキサーを用いて混合した。次いで、得られた混合物を、70〜100℃でロール混練した。次いで、混練後の混合物を冷却し、粉砕して、粉粒状の樹脂組成物を得た。
各比較例について、次のように樹脂組成物を調製した。まず、表1に示す配合に従い、熱硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)、硬化促進剤(C)、シランカップリング剤、離型剤、および着色剤を、ミキサーを用いて混合して混合物を得た。次いで、上記混合物に対し、表1に示す配合に従い充填材(D)を添加した後、ミキサーを用いて混合した。次いで、得られた混合物を、70〜100℃でロール混練した。次いで、混練後の混合物を冷却し、粉砕して、粉粒状の樹脂組成物を得た。
なお、表1中における各成分の配合割合の単位は質量%である。また、表1中における各成分の詳細は下記のとおりである。
(A)熱硬化性樹脂
熱硬化性樹脂1:ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000、日本化薬(株)製)
熱硬化性樹脂2:ビフェニル型エポキシ樹脂(YX−4000H、三菱化学(株)製)
(B)硬化剤
硬化剤1:ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂(MEH−7851SS、明和化成(株)製)
硬化剤2:フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂を(XLC−3L、三井化学(株)製、)
環状カルボジイミド化合物:環状カルボジイミド化合物(TCC、帝人(株)製)
(C)硬化促進剤
トリフェニルホスフィン(PP360、ケイ・アイ化成(株)製)
(D)充填材
無機充填材1:球状溶融シリカ(電気化学工業(株)製、FB−950FC、平均粒径D50:24μm)
無機充填材2:球状溶融シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R、平均粒径D50:0.5μm)
なお、充填材(D)の平均粒径(D50)は、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製、SALD−7000)を用いて粒子の粒度分布を体積基準で測定し、そのメディアン径(D50)を平均粒径とした。
シランカップリング剤:N−フェニルγ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、商品名KBM−573)
離型剤:カルナバワックス(日興ファイン(株)製、ニッコウカルナバ)
着色剤:カーボンブラック(三菱化学(株)製、MA600)
(スパイラルフロー)
各実施例および各比較例について、得られた樹脂組成物に対しスパイラルフロー測定を行った。スパイラルフロー測定は、低圧トランスファー成形機(コータキ精機(株)製「KTS−15」)を用いて、EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型に金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒の条件で樹脂組成物を注入し、流動長を測定することにより行った。結果を表1に示す。
(ガラス転移温度、線膨張係数)
各実施例および各比較例について、得られた樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度(Tg)、線膨張係数(CTE1、CTE2)を、以下のように測定した。まず、低圧トランスファー成形機(コータキ精機(株)製「KTS−15」)を用いて金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒で樹脂組成物を注入成形し、10mm×4mm×4mmの試験片を得た。次いで、得られた試験片を175℃、4時間で後硬化した後、熱機械分析装置(セイコー電子工業(株)製、TMA100)を用いて、測定温度範囲0℃〜320℃、昇温速度5℃/分の条件下で測定を行った。この測定結果から、ガラス転移温度(Tg)、ガラス転移温度以下における線膨張係数(CTE1)、ガラス転移温度超過における線膨張係数(CTE2)を算出した。結果を表1に示す。
(成形収縮率)
各実施例および各比較例について、得られた樹脂組成物の成形収縮率を測定した。測定は、低圧トランスファー成形機(コータキ精機(株)製「KTS−15」)を用いて金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒の条件で作製した試験片に対して、JIS K 6911に準じて行った。結果を表1に示す。
各実施例および各比較例について、得られた樹脂組成物の熱時弾性率を測定した。上記樹脂組成物を用いてトランスファー成形を行い、幅4mm、長さ20mm、厚み0.1mmの試験片を得た。トランスファー成形の条件は、成形温度125℃、硬化時間7分とした。得られた試験片を、三点曲げモード、周波数10Hz、測定温度260℃の条件で、DMA(Dynamic mechanical analysis/動的粘弾性測定器)を用いて測定した際の、熱時弾性率である「260℃における貯蔵弾性率(E')」を求めた。単位はMPaである。
また、図3に各実施例と各比較例の樹脂組成物における成形収縮率(%)と熱時弾性率(MPa)の関係を示す。図3中、ひし形は実施例を示し、四角は比較例を示す。
以上、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。