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JP6510612B2 - 半導体装置 - Google Patents

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Description

本発明は、SiCが使用された半導体装置に関する。
近年、高耐圧、低オン抵抗を実現する次世代のパワーデバイス材料として、SiC(シリコンカーバイト:炭化ケイ素)の使用が検討されている。
また、パワーデバイスの微細化およびオン抵抗の低減のための構造として、トレンチゲート構造が知られている。たとえば、パワーMOSFETでは、トレンチゲート構造を採用したものが主流になりつつある。
図11は、SiCが使用された従来のトレンチゲート型VDMOSFETを有する半導体装置の模式断面図である。
半導体装置201は、トレンチゲート型VDMOSFETの単位セルがマトリクス状に配置された構造を有している。
半導体装置201は、半導体装置201の基体をなすN型のSiC基板202を備えている。SiC基板202のSi面(シリコン面)上には、SiC基板202よりもN型不純物が低濃度にドーピングされたSiC(シリコンカーバイト:炭化ケイ素)からなる、N型のエピタキシャル層203が積層されている。エピタキシャル層203の基層部は、エピタキシャル成長後のままの状態が維持された、N型のドレイン領域204をなしている。また、エピタキシャル層203には、ドレイン領域204上に、P型のボディ領域205がドレイン領域204に接して形成されている。
エピタキシャル層203には、ゲートトレンチ206がその表面217(Si面)から掘り下がって形成されている。ゲートトレンチ206は、ボディ領域205を層厚方向に貫通し、その最深部(底面216)がドレイン領域204に達している。
ゲートトレンチ206内には、ゲートトレンチ206の側面214および底面216を熱酸化させることにより、SiOからなるゲート絶縁膜207がゲートトレンチ206の内面全域に形成されている。
そして、ゲート絶縁膜207の内側をN型不純物が高濃度にドーピングされたポリシリコンで埋め尽くすことにより、ゲートトレンチ206内にゲート電極208が埋設されている。
エピタキシャル層203の表層部には、ゲートトレンチ206に対してゲート幅と直交する方向(図11における左右方向)の両側に、N型のソース領域209が形成されている。ソース領域209は、ゲートトレンチ206に沿ってゲート幅に沿う方向に延び、その底部がエピタキシャル層203の表面217側からボディ領域205に接している。
また、エピタキシャル層203には、その表面217から、ゲート幅と直交する方向におけるソース領域209の中央部を貫通し、ボディ領域205に接続されるP型のボディコンタクト領域210が形成されている。
エピタキシャル層203上には、SiOからなる層間絶縁膜211が積層されている。層間絶縁膜211上には、ソース配線212が形成されている。ソース配線212は、層間絶縁膜211およびゲート絶縁膜207に形成されたコンタクトホール213を介してソース領域209およびボディコンタクト領域210にコンタクトされるニッケルシリサイド層218と、ニッケルシリサイド層218上に形成されたアルミニウム層219とを有している。
SiC基板202の裏面(カーボン面:C面)には、ドレイン配線215が形成されている。ドレイン配線215は、SiC基板202にコンタクトされるニッケルシリサイド層220と、ニッケルシリサイド層220上に形成されたアルミニウム層221とを有している。
ソース配線212とドレイン配線215との間(ソース−ドレイン間)に所定の電位差を発生させた状態で、ゲート電極208に所定の電圧(ゲート閾値電圧以上の電圧)が印加されることにより、ゲート電極208からの電界によりボディ領域205におけるゲート絶縁膜207との界面近傍にチャネルが形成される。これにより、ソース配線212とドレイン配線215との間に電流が流れ、VDMOSFETがオン状態となる。
特開2007−258465号公報
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、表面を有する半導体層と、前記半導体層に形成され、前記半導体層の前記表面を形成するソース領域と、前記半導体層に形成され、前記半導体層の裏面側から前記ソース領域に接するボディ領域と、前記半導体層に形成され、前記半導体層の前記裏面側から前記ボディ領域に接するドレイン領域と、前記半導体層の前記表面から掘り下がって前記ソース領域および前記ボディ領域を貫通し、その最深部が前記ドレイン領域に達するゲートトレンチと、前記ゲートトレンチの内面および前記半導体層の前記表面、前記ゲートトレンチの内面を覆うように形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜を介して前記ゲートトレンチに埋設されたゲート電極と、前記半導体層の前記表面から掘り下がって前記ソース領域を貫通し、かつ前記ドレイン領域に達するソーストレンチと、前記ゲート絶縁膜、前記ソース領域および前記ソーストレンチの内面に接するように前記半導体層上に形成されたソース配線と、前記ドレイン領域に接するように前記半導体層の裏面側に形成されたドレイン配線とを含む。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の模式断面図である。 図2Aは、図1に示す半導体装置の製造方法を説明するための模式断面図である。 図2Bは、図2Aの次の工程を示す図である。 図2Cは、図2Bの次の工程を示す図である。 図2Dは、図2Cの次の工程を示す図である。 図2Eは、図2Dの次の工程を示す図である。 図2Fは、図2Eの次の工程を示す図である。 図2Gは、図2Fの次の工程を示す図である。 図2Hは、図2Gの次の工程を示す図である。 図2Iは、図2Hの次の工程を示す図である。 図2Jは、図2Iの次の工程を示す図である。 図2Kは、図2Jの次の工程を示す図である。 図2Lは、図2Kの次の工程を示す図である。 図2Mは、図2Lの次の工程を示す図である。 図2Nは、図2Mの次の工程を示す図である。 図3(a)(b)は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の模式平面図であって、図3(a)は全体図、図3(b)は内部拡大図をそれぞれ示す。 図4は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の模式断面図であって、図3(b)の切断線IV−IVでの切断面を示す。 図5Aは、図4に示す半導体装置の製造方法を説明するための模式断面図である。 図5Bは、図5Aの次の工程を示す図である。 図5Cは、図5Bの次の工程を示す図である。 図5Dは、図5Cの次の工程を示す図である。 図5Eは、図5Dの次の工程を示す図である。 図5Fは、図5Eの次の工程を示す図である。 図5Gは、図5Fの次の工程を示す図である。 図5Hは、図5Gの次の工程を示す図である。 図5Iは、図5Hの次の工程を示す図である。 図5Jは、図5Iの次の工程を示す図である。 図5Kは、図5Jの次の工程を示す図である。 図5Lは、図5Kの次の工程を示す図である。 図5Mは、図5Lの次の工程を示す図である。 図5Nは、図5Mの次の工程を示す図である。 図5Oは、図5Nの次の工程を示す図である。 図5Pは、図5Nの次の工程を示す図である。 図5Qは、図5Nの次の工程を示す図である。 図5Rは、図5Nの次の工程を示す図である。 図5Sは、図5Nの次の工程を示す図である。 図5Tは、図5Nの次の工程を示す図である。 図5Uは、図5Nの次の工程を示す図である。 図6は、抵抗加熱炉内における温度変化を示すグラフである。 図4に示す半導体装置の変形例を説明するための模式断面図である。 図8は、プレーナゲート型の半導体装置の模式断面図である。 図9Aは、図8の半導体装置の製造方法を説明する模式断面図である。 図9Bは、図9Aの次の工程を示す模式的な断面図である。 図9Cは、図9Bの次の工程を示す模式的な断面図である。 図9Dは、図9Cの次の工程を示す模式的な断面図である。 図9Eは、図9Dの次の工程を示す模式的な断面図である。 図9Fは、図9Eの次の工程を示す模式的な断面図である。 図9Gは、図9Fの次の工程を示す模式的な断面図である。 図9Hは、図9Gの次の工程を示す模式的な断面図である。 図9Iは、図9Hの次の工程を示す模式的な断面図である。 図9Jは、図9Iの次の工程を示す模式的な断面図である。 図9Kは、図9Jの次の工程を示す模式的な断面図である。 図9Lは、図9Kの次の工程を示す模式的な断面図である。 図10(a)(b)(c)は、酸化膜の厚さを酸化ガスの供給時間ごとにプロットしたグラフであって、(a)は参考例1のグラフ、(b)は参考例2のグラフ、(c)は参考例3のグラフをそれぞれ示す。 図11は、SiCが使用された従来のトレンチゲート型VDMOSFETを有する半導体装置の模式断面図である。
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の模式断面図である。
半導体装置1は、トレンチゲート型VDMOSFETの単位セルがマトリクス状に配置された構造を有している。なお、図1では、複数の単位セルのうちの一部が示されている。
半導体装置1は、半導体装置1の基体をなすSiC基板2を備えている。SiC基板2には、N型不純物が高濃度(たとえば、1e18〜1e21cm−3)にドーピングされている。SiC基板2は、その表面21(上面)がSi面であり、その裏面(下面)がC面である。
SiC基板2の表面21には、SiC基板2よりもN型不純物が低濃度にドーピングされたSiC(シリコンカーバイト:炭化ケイ素)からなる、N型のエピタキシャル層3が積層されている。半導体層としてのエピタキシャル層3は、SiC基板2上に、いわゆるエピタキシャル成長によって形成されている。Si面である表面21上に形成されるエピタキシャル層3は、Si面を成長主面として成長させられる。したがって、成長により形成されるエピタキシャル層3の表面31は、SiC基板2の表面21と同様、Si面である。
エピタキシャル層3におけるSi面側の部分(表層部)とは反対のC面側の部分(基層部)は、その全域がエピタキシャル成長後のままの状態が維持された、N型のドレイン領域4をなしている。ドレイン領域4のN型不純物濃度は、たとえば、1e15〜1e17cm−3である。
一方、エピタキシャル層3の表層部には、P型のボディ領域5が形成されている。ボディ領域5は、エピタキシャル層3の表面31側(Si面側)からドレイン領域4に接している。ボディ領域5のP型不純物濃度は、たとえば、1e16〜1e19cm−3である。
エピタキシャル層3には、ゲートトレンチ6が表面31から掘り下がって形成されている。ゲートトレンチ6は、図1では図示しないが、一定の間隔を空けて複数形成され、それらが互いに平行をなして同一方向(図1の紙面に垂直な方向、以下、この方向を「ゲート幅に沿う方向」ということがある。)に延び、たとえば、ストライプ構造をなしている。
各ゲートトレンチ6は、互いに間隔を空けて対向し、それぞれが表面31に対して直交する平面状の側面7一対と、表面31に対して平行な部分を有する底面8とを有している。ゲートトレンチ6は、ボディ領域5を層厚方向に貫通し、その最深部(底面8)がドレイン領域4に達している。
ゲートトレンチ6の内面およびエピタキシャル層3の表面31には、ゲートトレンチ6の内面(側面7および底面8)全域を覆うように、ゲート絶縁膜9が形成されている。ゲート絶縁膜9は、窒素を含有する酸化膜、たとえば、窒素含有ガスを用いた熱酸化により形成される窒化酸化シリコン膜からなる。ゲート絶縁膜9における窒素含有量(窒素濃度)は、たとえば、0.1〜10%である。
また、ゲート絶縁膜9は、底面8上の部分(絶縁膜底部11)の厚さTが、側面7上の部分(絶縁膜側部10)の厚さTよりも小さい。具体的には、絶縁膜側部10の厚さTに対する絶縁膜底部11の厚さTの比(絶縁膜底部11の厚さT/絶縁膜側部10の厚さT)が、0.3〜1.0であり、好ましくは、0.5〜1.0である。また、双方の厚さの具体的な大きさは、たとえば、絶縁膜側部10の厚さTが300〜1000Åであり、絶縁膜底部11の厚さTが150〜500Åである。
そして、ゲート絶縁膜9の内側をN型不純物が高濃度にドーピングされたポリシリコン材料で埋め尽くすことにより、ゲートトレンチ6内にゲート電極12が埋設されている。
ボディ領域5の表層部には、ゲートトレンチ6に対してゲート幅と直交する方向(図1における左右方向)の両側に、N型のソース領域13が形成されている。ソース領域13は、ドレイン領域4のN型不純物濃度よりも高く、N型不純物が高濃度にドーピングされた領域である。ソース領域13のN型不純物濃度は、たとえば、1e18〜1e21cm−3である。ソース領域13は、ゲートトレンチ6に隣接する位置においてゲート幅に沿う方向に延びている。
また、エピタキシャル層3には、その表面31から、ゲート幅と直交する方向におけるソース領域13の中央部を貫通し、ボディ領域5に接続されるP型のボディコンタクト領域14が形成されている。ボディコンタクト領域14は、ボディ領域5のP型不純物濃度よりも高く、P型不純物が高濃度にドーピングされた領域である。ボディコンタクト領域14のP型不純物濃度は、たとえば、1e18〜1e21cm−3である。
すなわち、ゲートトレンチ6およびソース領域13は、ゲート幅と直交する方向に交互に設けられ、それぞれゲート幅に沿う方向に延びている。そして、ソース領域13上に、ソース領域13に沿って、ゲート幅と直交する方向に隣接するユニットセル間の境界が設定されている。ボディコンタクト領域14は、ゲート幅と直交する方向に隣接する2つのユニットセル間に跨って少なくとも1つ以上設けられている。また、ゲート幅に沿う方向に隣接するユニットセル間の境界は、各ユニットセルに含まれるゲート電極12が一定のゲート幅を有するように設定されている。
エピタキシャル層3上には、SiOからなる層間絶縁膜15が積層されている。層間絶縁膜15およびゲート絶縁膜9には、ソース領域13およびボディコンタクト領域14の表面を露出させるコンタクトホール16が形成されている。
層間絶縁膜15上には、ソース配線17が形成されている。ソース配線17は、コンタクトホール16を介してソース領域13およびボディコンタクト領域14にコンタクト(電気的に接続)されている。ソース配線17は、ソース領域13およびボディコンタクト領域14とのコンタクト部分にポリシリコン層18を有し、ポリシリコン層18上にメタル層20を有している。
ポリシリコン層18は、不純物がドーピングされたドープトポリシリコンを用いて形成されたドープ層であり、たとえば、1019〜1021cm−3の高濃度で不純物がドーピングされた高濃度ドープ層であることが好ましい。ポリシリコン層18をドープ層(高濃度ドープ層を含む)として形成するときの不純物としては、リン(P)やA(ひ素)などのN型不純物、B(ホウ素)などのP型不純物を用いることができる。また、ポリシリコン層18は、コンタクトホール16を埋め尽くしている。そのようなポリシリコン層18の厚さは、コンタクトホール16の深さにより異なるが、たとえば、5000〜10000Åである。
メタル層20は、たとえば、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、それらの合金およびそれらを含有するメタル材料を用いて形成されている。メタル層20は、ソース配線17の最表層をなし、たとえば、金属ワイヤなどが接続(ボンディング)される。また、メタル層20の厚さは、たとえば、1〜5μmである。
ソース配線17において、ポリシリコン層18とメタル層20との間には、チタンを含有する中間層19が介在されている。中間層19は、チタン(Ti)を含有する層の単層もしくはその層を有する複数の層からなる。チタンを含有する層は、チタン、窒化チタンなどを用いて形成することができる。また、中間層19の厚さは、たとえば、200〜500nmである。
上記のようなポリシリコン層18、中間層19およびメタル層20を有するソース配線17は、ポリシリコン(ポリシリコン層18)、チタン(中間層19)、窒化チタン(中間層19)およびアルミニウム(メタル層20)が順に積層される積層構造(Po−Si/Ti/TiN/Al)であることが好ましい。
SiC基板2の裏面22には、ドレイン配線23が形成されている。ドレイン配線23は、SiC基板2にコンタクト(電気的に接続)されている。ドレイン配線23は、SiC基板2とのコンタクト部分にポリシリコン層24を有し、ポリシリコン層24上にメタル層26を有している。
ポリシリコン層24は、上記したポリシリコン層18を構成する材料と同様のものを用いて形成することができる。また、ポリシリコン層24の厚さは、たとえば、1000〜2000Åである。
メタル層26は、上記したメタル層20を構成する材料と同様のものを用いて形成することができる。メタル層26は、ドレイン配線23の最表層をなし、たとえば、SiC基板2がリードフレームのダイパッドにボンディングされるとき、ダイパッドに接合される。また、メタル層26の厚さは、たとえば、0.5〜1μmである。
ドレイン配線23において、ポリシリコン層24とメタル層26との間には、チタンを含有する中間層25が介在されている。中間層25は、上記した中間層19を構成する材料と同様のものを用いて形成することができる。
ゲート電極12には、層間絶縁膜15に形成されたコンタクトホール(図示せず)を介して、ゲート配線27がコンタクト(電気的に接続)されている。
ソース配線17とドレイン配線23との間(ソース−ドレイン間)に所定の電位差を発生させた状態で、ゲート配線27に所定の電圧(ゲート閾値電圧以上の電圧)が印加されることにより、ゲート電極12からの電界によりボディ領域5におけるゲート絶縁膜9との界面近傍にチャネルが形成される。これにより、ソース配線17とドレイン配線23との間に電流が流れ、VDMOSFETがオン状態となる。
図2A〜図2Nは、図1に示す半導体装置の製造方法を説明するための模式断面図である。
まず、図2Aに示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法、LPE(Liquid Phase Epitaxy:液相エピタキシ)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシ)法などのエピタキシャル成長法により、SiC基板2の表面21(Si面)上に、不純物をドーピングしながらSiC結晶が成長させられる。これにより、SiC基板2上に、N型のエピタキシャル層3が形成される。続いて、P型不純物が、エピタキシャル層3の表面31からエピタキシャル層3の内部にインプランテーション(注入)される。このときの注入条件は、P型不純物の種類により異なるが、たとえば、加速エネルギーが200〜400keVである。
これにより、図2Bに示すように、エピタキシャル層3の表層部に、P型不純物がインプランテーションされた領域(P型インプラ領域28)が形成される。P型インプラ領域28の形成により、エピタキシャル層3の基層部には、P型インプラ領域28と分離され、エピタキシャル成長後のままの状態を維持するドレイン領域4が形成される。
次いで、図2Cに示すように、CVD法により、エピタキシャル層3上にSiOからなるマスク29が形成される。続いて、マスク29がフォトレジスト(図示せず)を介してエッチングされることにより、ボディコンタクト領域14を形成すべき領域に開口30を有するパターンにパターニングされる。開口30の形成後、P型不純物が、エピタキシャル層3の表面31からエピタキシャル層3の内部にインプランテーション(注入)される。このときの注入条件は、P型不純物の種類により異なるが、たとえば、加速エネルギーが30〜200keVである。これにより、P型インプラ領域28の表層部に、P型不純物が高濃度でインプランテーションされた領域(P型インプラ領域32)が形成される。P型不純物の注入後、マスク29が除去される。
次いで、図2Dに示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法により、エピタキシャル層3上にSiOからなるマスク33が形成される。続いて、マスク33がフォトレジスト(図示せず)を介してエッチングされることにより、ソース領域13を形成すべき領域に開口34を有するパターンにパターニングされる。開口34の形成後、N型不純物が、エピタキシャル層3の表面31からエピタキシャル層3の内部にインプランテーション(注入)される。このときの注入条件は、N型不純物の種類により異なるが、たとえば、加速エネルギーが30〜200keVである。N型不純物の注入後、マスク33が除去される。これにより、P型インプラ領域28の表層部に、N型不純物が高濃度でインプランテーションされた領域(N型インプラ領域35)が形成される。
次いで、図2Eに示すように、たとえば、1400〜2000℃でエピタキシャル層3が熱処理される。これにより、注入されたN型およびP型不純物が活性化して、エピタキシャル層3の表層部にボディ領域5が形成されるとともに、ボディ領域5の表層部にソース領域13およびボディコンタクト領域14が形成される。
次いで、図2Fに示すように、CVD法、熱酸化法などにより、エピタキシャル層3の表面31全域にSiOからなるマスク36が形成される。なお、マスク36は、CVD法を利用することにより、SiNなどで形成することもできる。
次いで、図2Gに示すように、マスク36がフォトレジスト(図示せず)を介してエッチングされることにより、ゲートトレンチ6を形成すべき領域に開口37を有するパターンにパターニングされる。
次いで、図2Hに示すように、SF6(六フッ化硫黄)およびO(酸素)を含む混合ガス(SF6/Oガス)が、開口37を介してエピタキシャル層3の表面31へ入射される。これにより、エピタキシャル層3が表面31(Si面)からドライエッチングされて、表面31に平行な部分(Si面)を有する底面8およびSi面に対して直交する側面7を有するゲートトレンチ6が形成される。ゲートトレンチ6の形成後、マスク36が除去される。
次いで、図2Iに示すように、SiC基板2が拡散炉内に搬入され、拡散炉内が加熱された状態で窒素含有ガスが供給されることにより、ゲートトレンチ6の内面(側面7および底面8)およびエピタキシャル層3の表面31が熱酸化される。窒素含有ガスとしては、たとえば、NOガス、NOガスなどを用いることができる。また、拡散炉のヒータ温度(加熱温度)は、たとえば、1200〜1350℃であり、窒素含有ガスの供給時間(酸化時間)は、たとえば、3〜5時間である。ゲートトレンチ6がSiCからなるエピタキシャル層3に形成されていることから、ゲートトレンチ6の内面の酸化は、Si面を有する底面8の酸化レートおよびSi面に直交する面である側面7の酸化レートが、関係式:底面8の酸化レート/側面7の酸化レート<0を満たす条件で進行する。これにより、底面8上の部分(絶縁膜底部11)の厚さが、側面7上の部分(絶縁膜側部10)の厚さよりも小さいゲート絶縁膜9が形成される。
次いで、図2Jに示すように、CVD法により、ドーピングされたポリシリコン材料がエピタキシャル層3上に堆積される。堆積されたポリシリコン材料は、エッチバック面がエピタキシャル層の表面31に対して面一になるまでエッチバックされる。これにより、ポリシリコン材料におけるゲートトレンチ6外の部分が除去されて、ゲートトレンチ6内に残存するポリシリコン材料からなるゲート電極12が形成される。
次いで、図2Kに示すように、CVD法により、エピタキシャル層3上にSiOからなる層間絶縁膜15が積層される。そして、層間絶縁膜15およびゲート絶縁膜9がパターニングされることにより、層間絶縁膜15およびゲート絶縁膜9にソース領域13およびボディコンタクト領域14を露出させるコンタクトホール16が形成される。
次いで、図2Lに示すように、CVD法により、ポリシリコン材料38がコンタクトホール16を埋め尽くすまで堆積される。
次いで、図2Mに示すように、堆積されたポリシリコン材料38に対してN型またはP型不純物がインプランテーション(注入)される。このときの注入条件は、不純物の種類により異なるが、たとえば、加速エネルギーが10〜100keVである。これにより、不純物が高濃度にドーピングされたポリシリコン層18が形成される。
次いで、図2Nに示すように、スパッタ法、蒸着法などの方法により、ポリシリコン層18の表面にチタンおよび窒化チタンがこの順に堆積されて、中間層19が形成される。続いて、スパッタ法、蒸着法などの方法により、中間層19の表面にアルミニウムが堆積されて、メタル層20が形成される。そして、メタル層20、中間層19およびポリシリコン層18が所定の配線パターンにパターニングされることにより、ソース配線17が形成される。続いて、ゲート電極12に接続されるゲート配線27が形成される。その後、ソース配線17と同様の方法により、SiC基板2の裏面22に、ポリシリコン層24、中間層25およびメタル層26を有するドレイン配線23が形成される。
以上の工程を経て、図1に示す半導体装置1が得られる。
以上のように、半導体装置1によれば、ゲートトレンチ6がSiCからなるエピタキシャル層3の表面31(Si面)から掘り下がって形成されている。そのため、ゲートトレンチ6の内面の酸化は、Si面を有する底面8の酸化レートおよびSi面に直交する面である側面7の酸化レートが、関係式:底面8の酸化レート/側面7の酸化レート<0を満たす条件で進行する。
上記の製造方法では、ゲートトレンチ6の内面の酸化が、酸素ガスを用いた熱酸化(Dry酸化)や水蒸気(HO)ガスを用いた熱酸化(Wet酸化)とは異なり、窒素含有ガスを用いた熱酸化により行なわれる。そのため、側面7の酸化レートに対する底面8の酸化レートの比(底面8の酸化レート/側面7の酸化レート)を、ゲート絶縁膜がDry酸化もしくはWet酸化で形成される場合に比べて大きくすることができる。
そして、そのようにして形成されるゲート絶縁膜9は、絶縁膜側部10の厚さTに対する絶縁膜底部11の厚さTの比(絶縁膜底部11の厚さT/絶縁膜側部10の厚さT)が0.3〜1.0の範囲である。
絶縁破壊を抑制できる程度に絶縁膜底部11の厚さTを増大させても、(絶縁膜底部11の厚さT/絶縁膜側部10の厚さT1)の下限が0.3であるため、絶縁膜側部10の厚さTの過剰な増大を抑制することができる。一方、上限が1.0であるため、絶縁膜底部11の厚さTを適切な大きさに設計したときに、絶縁膜側部10の厚さTが過剰に小さくなることがない。これらの結果、絶縁膜底部11の厚さTを適切に設計することにより、絶縁膜側部10の厚さTの増大を抑制しつつ、絶縁膜底部11の絶縁破壊を抑制することができる。
また、ゲート絶縁膜9が窒素含有ガスを用いた熱酸化により形成される窒化酸化シリコン膜からなるため、VDMOSFETのチャネル移動度を向上させることができる。
図3(a)(b)は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の模式平面図であって、図3(a)は全体図、図3(b)は内部拡大図をそれぞれ示す。
この半導体装置41は、SiCを用いたトレンチゲート型パワーVDMOSFET(個別素子)であり、たとえば、平面視正方形のチップ状である。チップ状の半導体装置41は、図3(a)の紙面における左右(上下)方向の長さが数mm程度である。
半導体装置41は、SiC基板42と、このSiC基板42上に形成され、平面視格子状のゲートトレンチ43により区画された多数の単位セル44とを有している。すなわち、SiC基板42上には、格子状ゲートトレンチ43の各窓部分に配置された直方体状の単位セル44がマトリクス状に整列している。各単位セル44は、たとえば、図3(b)の紙面における左右(上下)方向の長さが10μm以下であり、その中央には表面側からSiC基板42側へ掘り下がった平面視正方形状のソーストレンチ45が形成されている。
半導体装置41の表面には、ソースパッド46が形成されている。ソースパッド46は、四隅が外方へ湾曲した平面視略正方形状であり、半導体装置41の表面のほぼ全域を覆うように形成されている。このソースパッド46には、図3(a)の紙面における左右方向やや左寄りに、その一部が平面視略正方形状に除去された除去領域47が形成されている。
この除去領域47には、ゲートパッド48が配置されている。ゲートパッド48とソースパッド46との間には間隔が設けられており、これらは互いに絶縁されている。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の模式断面図であって、図3(b)の切断線IV−IVでの切断面を示す。
図4を参照して半導体装置41の断面構造を説明する。半導体装置41は、N型(たとえば、濃度が1e18〜1e21cm−3)のSiC基板42を備えている。このSiC基板42は、その表面49(上面)がSi面であり、その裏面50(下面)がC面である。
SiC基板42上には、SiC基板42よりも低濃度のN型(たとえば、濃度が1e15〜1e17cm−3)のSiCからなるエピタキシャル層51が積層されている。半導体層としてのエピタキシャル層51は、SiC基板42上に、いわゆるエピタキシャル成長によって形成されている。Si面である表面49上に形成されるエピタキシャル層51は、Si面を成長主面として成長させられる。したがって、成長により形成されるエピタキシャル層51の表面52は、SiC基板42の表面49と同様、Si面である。
エピタキシャル層51の表面52側(Si面側)には、P型のボディ領域53が広範囲にわたってウェル状に形成されていて、その濃度は、たとえば、1e16〜1e19cm−3である。また、エピタキシャル層51において、ボディ領域53よりもSiC基板42側(C面側)の領域は、エピタキシャル成長後のままの状態が維持された、N型のドレイン領域54(ドリフト領域)となっている。
ボディ領域53内には、その表面52側のほぼ全域にN型(たとえば、濃度が1e18〜1e21cm−3)のソース領域55と、このソース領域55よりもSiC基板42側(下方)にP型(たとえば、濃度が1e18〜1e21cm−3)のボディコンタクト領域56とが形成されている。ボディコンタクト領域56は、マトリクス状に多数形成されている。
そして、個々のボディコンタクト領域56を貫通するようにソーストレンチ45がボディコンタクト領域56と同数形成されており、ソーストレンチ45が形成された各ボディコンタクト領域56を取り囲むように、格子状のゲートトレンチ43が形成されている。これにより、エピタキシャル層51に、それぞれが電界効果トランジスタとして機能する単位セル44が多数形成されている。すなわち、単位セル44では、ボディコンタクト領域56がソーストレンチ45を取り囲むように形成されており、さらにそのボディコンタクト領域56を取り囲むようにボディ領域53が形成されている。そして、ボディ領域53におけるボディコンタクト領域56側の反対側は、ゲートトレンチ43の側面に露出している。また、単位セル44では、ゲートトレンチ43の深さ方向がゲート長方向であり、そのゲート長方向に直交する各単位セル44の周方向がゲート幅方向である。
ソーストレンチ45およびゲートトレンチ43は、その両方がエピタキシャル層51の表面52からボディ領域53を貫通してドレイン領域54に達しており、この実施形態では、それらの深さは同じである。また、ソーストレンチ45の側面59とゲートトレンチ43の側面57との距離D1は、たとえば、0.5〜3μmである。距離D1がこの範囲であれば、各単位セル44をオンしたときの抵抗値(オン抵抗)の上昇を抑制でき、ゲートトレンチ43の底部にかかる電界を緩和することができる。
ゲートトレンチ43は、その底部におけるゲート幅に直交する方向(隣接する単位セル44との対向方向)の両端角部61がドレイン領域54側へ向かって湾曲していて、互いに対向する側面57と底面58とが湾曲面を介して連続する断面U字状である。さらに、ソーストレンチ45も、ゲートトレンチ43同様、互いに対向する側面59と底面60とが湾曲面を介して連続する断面U字状である。これにより、単位セル44のターンオフ時に、ゲートトレンチ43の底部における両端角部61に加わる電界を、両端角部61以外の部分へ分散させることができるため、後述するゲート絶縁膜63における底面58上の部分(絶縁膜底部64)の絶縁破壊を抑制することができる。
ドレイン領域54において、ゲートトレンチ43の底面58からその厚さ方向途中部に至る部分には、P型不純物(たとえば、B(ホウ素)、Al(アルミニウム)など)のインプランテーションにより形成されたインプラ層としてのインプラ活性層62が形成されている。インプラ活性層62は、平面視でゲートトレンチ43に重なる格子状に、隣接する単位セル44間の距離よりも幅狭な形状に形成されている。インプラ活性層62の深さは、この実施形態では、たとえば、0.1〜0.5μmである。
このインプラ活性層62は、エピタキシャル層51における周囲の領域(たとえば、ドレイン領域54)よりも抵抗値が高い高抵抗層であり、その抵抗値は、たとえば、数十k〜数百kΩ/□である。また、インプラ活性層62のP型不純物濃度は、たとえば、1e16〜1e21cm−3である。
ゲートトレンチ43の内面には、その全域を覆うように、ゲート絶縁膜63が形成されている。ゲート絶縁膜63は、窒素を含有する酸化膜、たとえば、窒素および酸素を含有するガスを用いた熱酸化により形成される窒化酸化シリコン膜からなる。ゲート絶縁膜63における窒素含有量(窒素濃度)は、たとえば、0.1〜10%である。
このゲート絶縁膜63は、ゲートトレンチ43の底面58上の部分(絶縁膜底部64)の厚さTが、ゲートトレンチ43の側面57上の部分(絶縁膜側部65)の厚さTよりも小さく、厚さTに対する厚さTの比(厚さT/厚さT)が、0.3〜1.0であり、好ましくは、0.5〜1.0である。また、双方の厚さの具体的な大きさは、たとえば、厚さTが300〜1000Åであり、厚さTが150〜500Åである。絶縁膜側部65の厚さTが上記範囲であれば、適当なゲートオン電圧で半導体装置41を動作させることができ、効率的なトランジスタ動作を達成できる。
そして、ゲート絶縁膜63の内側をN型不純物が高濃度にドーピングされたポリシリコン材料で埋め尽くすことにより、ゲートトレンチ43内にゲート電極66が埋設されている。
エピタキシャル層51上には、SiOからなる層間絶縁膜67が積層されている。層間絶縁膜67およびゲート絶縁膜63には、各単位セル44のソーストレンチ45およびソース領域55の表面を露出させるコンタクトホール68が形成されている。
層間絶縁膜67上には、ソース配線69が形成されている。ソース配線69は、各コンタクトホール68を介して、すべての単位セル44のソーストレンチ45に一括して入り込んでいて、各単位セル44において、ソーストレンチ45の底側から順にドレイン領域54、ボディコンタクト領域56およびソース領域55に接触している。つまり、ソース配線69は、すべての単位セル44に対して共通の配線となっている。そして、このソース配線69上には層間絶縁膜(図示せず)が形成されており、その層間絶縁膜(図示せず)を介して、ソース配線69がソースパッド46(図3(a)参照)に電気的に接続されている。一方、ゲートパッド48(図3(a)参照)は、当該層間絶縁膜(図示せず)上に引き回されたゲート配線(図示せず)を介して、ゲート電極66に電気的に接続されている。
また、ソース配線69は、エピタキシャル層51との接触側から順にポリシリコン層70、中間層71およびメタル層72を有している。
ポリシリコン層70は、不純物がドーピングされたドープトポリシリコンを用いて形成されたドープ層であり、たとえば、1e19〜1e21cm−3の高濃度で不純物がドーピングされた高濃度ドープ層である。ポリシリコン層70をドープ層(高濃度ドープ層を含む)として形成するときの不純物としては、N(窒素)、P(リン)、As(ひ素)などのN型不純物、Al(アルミニウム)、B(ホウ素)などのP型不純物を用いることができる。また、ポリシリコン層70の厚さは、たとえば、5000〜10000Åである。
また、ポリシリコン層70は、この実施形態では、コンタクトホール68内に露出する単位セル44の表面全域を覆うように形成されていて、ソーストレンチ45内でドレイン領域54、ボディコンタクト領域56およびソース領域55に接触している。
ソース配線69におけるドレイン領域54、ボディコンタクト領域56およびソース領域55との接触層にポリシリコンを用いることにより、ソース配線69を、高濃度な不純物領域であるボディコンタクト領域56およびソース領域55の両方に対してオーミック接合させることができる。一方で、低濃度なドレイン領域54に対しては、半導体装置41に内在するボディダイオード73(ボディ領域53とドレイン領域54との接合により形成されるPNダイオード)の拡散電位よりも接合障壁の小さいヘテロジャンクション接合を形成することができる。
ところで、半導体装置41に内在するボディダイオード73に電流が流れると、ボディ領域53からドレイン領域54に移動した正孔(ホール)がドレイン領域54内で電子と再結合し、その際に生じる結合エネルギーによって、エピタキシャル層51におけるSiC結晶の欠陥が面内に広がる場合がある。この結晶欠陥は抵抗値が高いので、結晶欠陥がゲートトレンチ43側へ拡大すると、結晶欠陥が通常のトランジスタ動作の妨げとなって、オン抵抗が上昇するおそれがある。
これに対し、この実施形態のように、ポリシリコン層70とドレイン領域54との接触によりヘテロジャンクション接合が形成されていれば、ソース−ドレイン間に逆電圧がかかって、上記ボディダイオード73に電流が流れる状態になっても、ボディダイオード73側よりもヘテロジャンクション接合側に優先的に電流を流すことができる。その結果、SiCの結晶欠陥の拡大を防止することができ、オン抵抗の上昇を抑制することができる。
中間層71は、ポリシリコン層70上に積層されており、Ti(チタン)を含有する層の単層もしくはその層を有する複数の層からなる。Tiを含有する層は、Ti、TiN(窒化チタン)などを用いて形成することができる。また、中間層71の厚さは、たとえば、200〜500nmである。
メタル層72は、中間層71上に積層されており、たとえば、Al(アルミニウム)、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)、Mo(モリブデン)、それらの合金およびそれらを含有するメタル材料を用いて形成されている。メタル層72は、ソース配線69の最表層をなしている。また、メタル層72の厚さは、たとえば、1〜5μmである。
上記のようなポリシリコン層70、中間層71およびメタル層72の組み合わせとしては、具体的には、Poly−Si(ポリシリコン層70)、Ti(中間層71)、TiN(中間層71)およびAl(メタル層72)が順に積層される積層構造(Poly−Si/Ti/TiN/Al)が例示できる。
SiC基板42の裏面50には、その全域を覆うようにドレイン電極74が形成されている。このドレイン電極74は、すべての単位セル44に対して共通の電極となっている。ドレイン電極74としては、たとえば、SiC基板42側から順にTiおよびAlが積層された積層構造(Ti/Al)が例示できる。
ソースパッド46(ソース配線69)とドレイン電極74との間(ソース−ドレイン間)に所定の電位差を発生させた状態で、ゲートパッド48に所定の電圧(ゲート閾値電圧以上の電圧)が印加されることにより、ゲート電極66からの電界によりボディ領域53におけるゲート絶縁膜63との界面近傍にチャネルが形成される。これにより、ソース配線69とドレイン電極74との間に電流が流れ、VDMOSFETがオン状態となる。
図5A〜図5Uは、図4に示す半導体装置の製造方法を説明するための模式断面図である。
まず、図5Aに示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法、LPE(Liquid Phase Epitaxy:液相エピタキシ)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシ)法などのエピタキシャル成長法により、SiC基板42の表面49(Si面)上に、不純物をドーピングしながらSiC結晶が成長させられる。これにより、SiC基板42上に、N型のエピタキシャル層51が形成される。
続いて、図5Bに示すように、P型不純物が、エピタキシャル層51の表面52からエピタキシャル層51の内部にインプランテーション(注入)される。このときの注入条件は、P型不純物の種類により異なるが、たとえば、加速エネルギーが200〜3000keVである。
次いで、図5Cに示すように、CVD法により、エピタキシャル層51上にSiOからなるマスク75が形成される。続いて、マスク75がフォトレジスト(図示せず)を介してエッチングされることにより、ボディコンタクト領域56を形成すべき領域に開口76を有するパターンにパターニングされる。開口76の形成後、P型不純物が、エピタキシャル層51の表面52からエピタキシャル層51の内部にインプランテーション(注入)される。このときの注入条件は、P型不純物の種類により異なるが、たとえば、加速エネルギーが30〜400keVである。P型不純物の注入後、マスク75が除去される。
次いで、図5Dに示すように、N型不純物が、エピタキシャル層51の表面52からエピタキシャル層51の内部にインプランテーション(注入)される。このときの注入条件は、N型不純物の種類により異なるが、たとえば、加速エネルギーが30〜400keVである。
次いで、図5Eに示すように、CVD法、熱酸化法などにより、エピタキシャル層51の表面52全域にSiOからなるマスク77が形成される。なお、マスク77は、CVD法を利用することにより、SiNなどで形成することもできる。続いて、マスク77がフォトレジスト(図示せず)を介してエッチングされることにより、ゲートトレンチ43およびソーストレンチ45を形成すべき領域に開口78を有するパターンにパターニングされる。開口78の形成後、たとえば、SF6(六フッ化硫黄)およびO(酸素)を含む混合ガス(SF6/Oガス)、SF6、OおよびHBr(臭化水素)を含む混合ガス(SF6/O/HBrガス)が、開口78を介してエピタキシャル層51の表面52へ入射される。これにより、エピタキシャル層51が表面52(Si面)からドライエッチングされて、ゲートトレンチ43およびソーストレンチ45が同時に形成される。それとともに、エピタキシャル層51に多数の単位セル44が形成される。
次いで、図5Fに示すように、Oガスを用いた熱酸化法(Dry酸化)により、ゲートトレンチ43の内面およびソーストレンチ45の内面が酸化される。これにより、ストッパ膜79が形成される。なお、このストッパ膜79の厚さは全体的に一様でない場合があるが、図5F〜図5Iでは、便宜上、ストッパ膜79が一様な厚さを有する場合を表している。
次いで、図5Gに示すように、CVD法により、ゲートトレンチ43およびソーストレンチ45を形成するためのマスク77の材料(SiO)とは異なる材料であるポリシリコン材料が、エピタキシャル層51上にストッパ膜79の表面全域およびマスク77の表面全域が覆い尽くされるまで堆積される。これにより、ストッパ膜79上およびマスク77上に、保護マスク80が形成される。保護マスク80の厚さは、たとえば、0.1〜0.5μmとなるように制御される。
次いで、図5Hに示すように、保護マスク80が、エピタキシャル層51の上方からエッチバックされる。エッチバックは、保護マスク80におけるソーストレンチ45の底面60上の部分をマスクした状態で行なわれ、ストッパ膜79およびマスク77によりエッチングが停止するまで続けられる。これにより、保護マスク80におけるゲートトレンチ43の底面58上の部分のみが除去され、保護マスク80におけるゲートトレンチ43の側面57およびソーストレンチ45の底面60および側面59を覆う部分が残存する。
次いで、図5Iに示すように、P型不純物が、ストッパ膜79を介してゲートトレンチ43の底面58からエピタキシャル層51の内部にインプランテーション(注入)される。このときの注入条件は、P型不純物の種類により異なるが、たとえば、加速エネルギーが30〜400keVである。
次いで、図5Jに示すように、ウェットエッチングにより、保護マスク80が除去され、続いて、マスク77およびストッパ膜79が除去される。
その後、図5Kに示すように、エピタキシャル層51の表面52全域に有機材料膜81が形成される。有機材料膜81は、カーボン(炭素)を含有する材料であり、たとえば、フォトレジストとして用いられる有機材料(たとえば、ポリイミドなど)などを適用することができる。このような有機材料膜81は、たとえば、スピンコータなどを用いて形成される。
有機材料膜81の形成後、SiC基板42が抵抗加熱炉82に装入される。抵抗加熱炉82としては、被加熱体がセットされる抵抗加熱炉82内の気密性を確保できるとともに、抵抗加熱炉82内に各種ガスを導入することができる装置であれば、特に制限されず、その加熱方式は、直接加熱方式、間接加熱方式のいずれであってもよい。
そして、SiC基板42が抵抗加熱炉82内にセットされた状態で、抵抗加熱炉82内に不活性ガス(たとえば、N、Arなど)が導入されるとともに、抵抗加熱炉82が昇温制御(第1の昇温制御)される。
この第1の昇温制御では、図6に示すように、加熱温度が、たとえば、35〜45分掛けて100℃から1000℃まで上昇するように制御され、上昇後、たとえば、5〜10分間、加熱温度が1000℃に保持(第1の温度保持)される。この昇温および温度保持により、有機材料膜81中のカーボン以外の元素が蒸発し、図5Lに示すように、有機材料膜81がカーボン膜83に変質する。したがって、エピタキシャル層51の表面52は、その全域がカーボン膜83に覆われる。
続いて、抵抗加熱炉82内を不活性雰囲気に維持したまま、抵抗加熱炉82がさらに昇温制御(第2の昇温制御)される。
この第2の昇温制御では、図6に示すように、加熱温度が、たとえば、30〜60分掛けて1000℃から1600℃まで上昇するように制御される。上昇後、たとえば、5〜10分間、加熱温度が1600℃に保持(第2の温度保持)される。この昇温および温度保持により、エピタキシャル層51の表層部に注入された個々のN型不純物およびP型不純物のイオンが活性化され、図5Mに示すように、注入された箇所に応じて、ボディ領域53、ソース領域55、ボディコンタクト領域56がそれぞれ形成される。また、エピタキシャル層51の基層部には、エピタキシャル成長後のままの状態を維持するドレイン領域54が形成される。
次いで、抵抗加熱炉82内を不活性雰囲気に維持したまま、抵抗加熱炉82が降温制御される。
降温制御では、図6に示すように、加熱温度が、たとえば、15〜30分掛けて1600℃から1300℃まで降下するように制限(降温制限)される。降温後、加熱温度が1300℃に保持(第3の温度保持)された状態で、抵抗加熱炉82内に、たとえば、5〜10分間、窒素・酸素含有ガスが導入される。窒素・酸素含有ガスの導入により、図5Nに示すように、カーボン膜83がガス中の酸素と反応して酸化除去される。導入される窒素・酸素含有ガスとしては、少なくともNO(一酸化二窒素)を含有するガスを用いることができ、NO(一酸化窒素)を含有していてもよい。さらにNOガスは、導入されるガスの総流量に対して30%以下、好ましくは、1〜30%の流量比で供給される。
その後、抵抗加熱炉82内に窒素・酸素含有ガスを同じ流量で導入しながら、さらに、たとえば、200〜240分間、加熱温度が1300℃に保持(第4の温度保持)される。これにより、エピタキシャル層51の表面52が酸化されて、図5Oに示すように、表面52全域を覆う窒化酸化シリコン膜(ゲート絶縁膜63)が形成される。
ゲート絶縁膜63の形成後、抵抗加熱炉82内に不活性ガス(たとえば、N2、Arなど)が再度導入されるとともに、加熱温度が、1300℃から300℃まで降下するように制御される。降温後、SiC基板42が抵抗加熱炉82から取り出される。
次いで、図5Pに示すように、CVD法により、ドーピングされたポリシリコン材料84がエピタキシャル層51の上方から堆積される。ポリシリコン材料84の堆積は、少なくともゲートトレンチ43およびソーストレンチ45が埋め尽くされるまで続けられる。
その後、図5Qに示すように、堆積したポリシリコン材料84が、エッチバック面がエピタキシャル層51の表面52に対して面一になるまでエッチバックされる。
続いて、図5Rに示すように、ソーストレンチ45内に残存するポリシリコン材料84のみがドライエッチングにより除去される。これにより、ゲートトレンチ43内に残存するポリシリコン材料84からなるゲート電極66が形成される。
次いで、図5Sに示すように、CVD法により、エピタキシャル層51上にSiOからなる層間絶縁膜67が積層される。
そして、図5Tに示すように、層間絶縁膜67およびゲート絶縁膜63が連続してパターニングされることにより、層間絶縁膜67およびゲート絶縁膜63にコンタクトホール68が形成される。
次いで、図5Uに示すように、CVD法により、ポリシリコン材料がコンタクトホール68を埋め尽くすまで堆積される。この後、堆積されたポリシリコン材料に対してN型またはP型不純物がインプランテーション(注入)される。このときの注入条件は、不純物の種類により異なるが、たとえば、加速エネルギーが10〜100keVである。その後、たとえば、900℃で20分間不純物拡散が行なわれる。これにより、不純物が高濃度にドーピングされたポリシリコン層70が形成される。次いで、スパッタ法、蒸着法などの方法により、ポリシリコン層70の表面にTiおよびTiNがこの順に堆積されて、中間層71が形成される。続いて、スパッタ法、蒸着法などの方法により、中間層71の表面にAlなどの金属が堆積されて、メタル層72が形成される。これにより、ソース配線69が形成される。次いで、SiC基板42の裏面50に、ドレイン電極74が形成される。
この後、層間絶縁膜(図示せず)、ソースパッド46、ゲートパッド48などが形成されることにより、図4に示す半導体装置41が得られる。
以上のように、この半導体装置41によれば、第1の実施形態の半導体装置1と同様に、ゲートトレンチ43がSiCからなるエピタキシャル層51の表面52(Si面)から掘り下がって形成されている。そのため、ゲートトレンチ43の内面の酸化(図5O参照)は、Si面を有する底面58の酸化レートおよびSi面に直交する面である側面の酸化レートが、関係式:底面58の酸化レート/側面57の酸化レート<0を満たす条件で進行する。
そして、上記の製造方法では、ゲートトレンチ43の内面の酸化が、Oガスを用いた熱酸化(Dry酸化)やHO(水蒸気)ガスを用いた熱酸化(Wet酸化)ではなく、窒素・酸素含有ガスを用いた熱酸化により行なわれる。さらに、ゲートトレンチ43の底面58直下に、P型不純物がインプランテーションされたインプラ活性層62が形成されている。そのため、側面57の酸化レートに対する底面58の酸化レートの比(底面58の酸化レート/側面57の酸化レート)を、ゲート絶縁膜63がDry酸化もしくはWet酸化で形成される場合に比べて大きくすることができる。
そして、そのようにして形成されるゲート絶縁膜63は、絶縁膜側部65の厚さTに対する絶縁膜底部64の厚さTの比(厚さT/厚さT)が0.3〜1.0の範囲である。
すなわち、絶縁破壊を抑制できる程度に絶縁膜底部64の厚さTを増大させても、(厚さT/厚さT)の下限が0.3であるため、絶縁膜側部65の厚さTの過剰な増大を抑制することができる。一方、上限が1.0であるため、絶縁膜底部64の厚さTを適切な大きさに設計したときに、絶縁膜側部65の厚さTが過剰に小さくなることがない。これらの結果、絶縁膜底部64の厚さTを適切に設計することにより、絶縁膜側部65の厚さTの増大を抑制しつつ、絶縁膜底部64の絶縁破壊を抑制することができる。
また、ゲート絶縁膜63が窒素含有ガスを用いた熱酸化により形成される窒化酸化シリコン膜からなるため、VDMOSFETのチャネル移動度を向上させることができる。
また、ゲートトレンチ43の直下にインプラ活性層62が形成されているため、インプラ活性層62とエピタキシャル層51との間に形成されるエネルギー障壁を大きくすることができる。そのため、電流をインプラ活性層62に流れにくくすることができる。その結果、ゲートトレンチ43の底面58への電界集中を抑制することができる。
また、ゲートトレンチ43で取り囲まれる個々の単位セル44の中央にソーストレンチ45が形成されているので、ゲートトレンチ43の両端角部61付近における等電位線の密集を抑制することができる。その結果、ゲートトレンチ43の底部における両端角部61に加わる電界を緩和できるので、絶縁膜底部64の絶縁破壊を抑制することができる。
なお、ソーストレンチ45は、図7に示す半導体装置85のように、ゲートトレンチ43よりも深くてもよい。これにより、ゲートトレンチ43の底部における両端角部61に加わる電界を一層緩和することができる。
また、半導体装置41では、ソース配線69が、ソース領域55およびボディコンタクト領域56とのコンタクト部分にポリシリコン層70を有しているので、ソース配線69を、高濃度な不純物領域であるボディコンタクト領域56およびソース領域55の両方に対してオーミック接合させることができる。
そのため、半導体装置41の製造に際して、Alなどの金属のみからなる層が不純物領域に直接にコンタクトされる場合とは異なり、エピタキシャル層51の表面52にNi層を形成する工程を省略でき、さらにはそのようなNi層をシリサイド化する工程を省略することができる。よって、エピタキシャル層51の表面52でのカーボン層の発生を防止することができる。
その結果、ソース配線69とエピタキシャル層51との間での層剥がれを抑制することができる。よって、ソース配線69の接続信頼性を向上させることができる。
また、ソーストレンチ45に入り込んでドレイン領域54、ボディコンタクト領域56およびソース領域55に接触する層(ポリシリコン層70)が、カバレッジ性に優れるポリシリコンからなるので、ソース配線69のカバレッジ性を向上させることができる。その結果、ソース配線69の接続信頼性を一層向上させることができる。
また、ポリシリコン層70とメタル層72との間に、Ti層およびTiN層の積層構造からなる中間層71が介在されている。Tiを含有する材料は、ポリシリコン材料およびメタル材料のいずれに対しても優れた密着性を有する。そのため、ポリシリコン層70とメタル層72との密着性を向上させることができる。その結果、ソース配線69の接続信頼性をより一層向上させることができる。
さらに、メタル層72にAlが含有される場合には、TiN層が、メタル層72からポリシリコン層70へのAlの拡散を防止するためのバリア層として利用できるので、余分なAlがポリシリコン層70へ拡散することを防止することができる。その結果、ポリシリコン層70の不純物濃度を安定させることができるので、ポリシリコン層70の抵抗値を安定させることができる。
次いで、抵抗加熱炉を利用したSiC半導体装置の製造方法の発明に関する実施形態を示しておく。
図8は、プレーナゲート型の半導体装置の模式断面図である。
半導体装置101は、プレーナゲート型VDMOSFETの単位セルがマトリクス状に配置された構造を有している。なお、図8では、複数の単位セルのうちの一部が示されている。
半導体装置101は、半導体装置101の基体をなすN型のSiC基板102を備えている。SiC基板102の表面121には、SiC基板102よりもN型不純物が低濃度にドーピングされたSiC(シリコンカーバイト:炭化ケイ素)からなる、N型のエピタキシャル層103が積層されている。エピタキシャル層103の表面131は、たとえば、SiCの(0001)面で構成されている。
エピタキシャル層103には、エピタキシャル成長後のままの状態が維持された、N型のドレイン領域104が形成されている。
また、エピタキシャル層103の表層部には、P型のボディ領域105が形成されている。ボディ領域105は、図8では図示しないが、一定の間隔を空けて複数形成され、それらが互いに平行をなして同一方向(図8の紙面に垂直な方向)に延び、たとえば、ストライプ状、マトリクス状(行列状)に配置されている。そして、互いに隣り合うボディ領域105の間において、ドレイン領域104が露出している。
ボディ領域105の表層部には、その周縁から間隔を空けて、N型のソース領域106が形成されている。
また、エピタキシャル層103の表面131には、ドレイン領域104、ボディ領域105およびソース領域106に跨るゲート絶縁膜107が形成されている。ゲート絶縁膜107は、SiOからなる。
そして、ゲート絶縁膜107上には、N型不純物が高濃度にドーピングされたポリシリコンからなるゲート電極108が形成されている。ゲート電極108は、ゲート絶縁膜107を介して、ドレイン領域104、ボディ領域105およびソース領域106に対向している。
エピタキシャル層103上には、SiOからなる層間絶縁膜109が積層されている。層間絶縁膜109上には、ソース配線111が形成されている。ソース配線111は、層間絶縁膜109に形成されたコンタクトホール110を介して、ボディ領域105およびソース領域106に電気的に接続されている。
ゲート電極108には、層間絶縁膜109に形成されたコンタクトホール(図示せず)を介して、ゲート配線112が電気的に接続されている。
SiC基板102の裏面には、ドレイン電極113が形成されている。
ソース配線111を接地し、ドレイン電極113に適当な大きさの正電圧を印加しつつ、ゲート電極108の電位を制御すると、ゲート電極108からの電界によりボディ領域105におけるゲート絶縁膜107との界面近傍にチャネルを形成することができる。これにより、ソース配線111とドレイン電極113との間に電流を流すことができる。
図9A〜図9Lは、図8の半導体装置の製造方法を説明する模式断面図である。
まず、図9Aに示すように、エピタキシャル成長法により、SiC基板102の表面121に、エピタキシャル層103が形成される。このとき、SiC基板102の成長主面(表面121)は、(0001)面である。SiC基板102の表面121が(0001)面であることにより、SiC基板102上にエピタキシャル成長によって形成されるエピタキシャル層103は、やはり(0001)面を主面として形成されることになる。したがって、SiC基板102の表面121に平行なエピタキシャル層103の表面131は、(0001)面となる。
次いで、公知のフォトリソグラフィ技術により、エピタキシャル層103の表面131に、ボディ領域105を形成すべき領域に対向する部分に開口115を有するフォトレジスト114が形成される。そして、フォトレジスト114上からエピタキシャル層103の表面131に対して、P型不純物のイオン(たとえば、ホウ素イオン)が入射される。これにより、図9Bに示すように、エピタキシャル層103の開口115から露出する部分の表層部に、P型不純物が注入される。
続いて、公知のフォトリソグラフィ技術により、エピタキシャル層103の表面131に、ソース領域106を形成すべき領域に対向する部分に開口117を有するフォトレジスト116が形成される。そして、フォトレジスト116上からエピタキシャル層103の表面131に対して、N型不純物のイオン(たとえば、ヒ素イオン)が入射される。これにより、図9Cに示すように、エピタキシャル層103の開口117から露出する部分の表層部(P型不純物の注入箇所よりも表面131側)に、N型不純物が注入される。
エピタキシャル層103の表層部への不純物イオン注入後、図9Dに示すように、エピタキシャル層103の表面131全域に有機材料膜118が形成される。有機材料膜118は、カーボン(炭素)を含有する材料であり、たとえば、フォトレジストとして用いられる有機材料(たとえば、ポリイミドなど)などを適用することができる。このような有機材料膜118は、たとえば、スピンコータなどを用いて形成される。
有機材料膜118の形成後、SiC基板102が抵抗加熱炉122に装入される。抵抗加熱炉122としては、被加熱体がセットされる抵抗加熱炉122内の気密性を確保できるとともに、抵抗加熱炉122内に各種ガスを導入することができる装置であれば、特に制限されず、その加熱方式は、直接加熱方式、間接加熱方式のいずれであってもよい。
そして、SiC基板102が抵抗加熱炉122内にセットされた状態で、抵抗加熱炉122内に不活性ガス(たとえば、N、Arなど)が導入されるとともに、抵抗加熱炉122が昇温制御(第1の昇温制御)される。
この第1の昇温制御では、図6に示すように、加熱温度が、たとえば、35〜45分掛けて100℃から1000℃まで上昇するように制御され、上昇後、たとえば、5〜10分間、加熱温度が1000℃に保持(第1の温度保持)される。この昇温および温度保持により、有機材料膜118中のカーボン以外の元素が蒸発し、図9Eに示すように、有機材料膜118がカーボン膜119に変質する。したがって、エピタキシャル層103の表面131は、その全域がカーボン膜119に覆われる。
続いて、抵抗加熱炉122内を不活性雰囲気に維持したまま、抵抗加熱炉122がさらに昇温制御(第2の昇温制御)される。
この第2の昇温制御では、図6に示すように、加熱温度が、たとえば、30〜60分掛けて1000℃から1600℃まで上昇するように制御される。上昇後、たとえば、5〜10分間、加熱温度が1600℃に保持(第2の温度保持)される。この昇温および温度保持により、エピタキシャル層103の表層部に注入されたN型不純物およびP型不純物のイオンが活性化され、図9Fに示すように、エピタキシャル層103の表層部にボディ領域105およびソース領域106が形成される。また、エピタキシャル層103の基層部には、ボディ領域105と分離され、エピタキシャル成長後のままの状態を維持するドレイン領域104が形成される。
次いで、抵抗加熱炉122内を不活性雰囲気に維持したまま、抵抗加熱炉122が降温制御される。
降温制御では、図6に示すように、加熱温度が、たとえば、15〜30分掛けて1600℃から1300℃まで降下するように制限(降温制限)される。降温後、加熱温度が1300℃に保持(第3の温度保持)された状態で、抵抗加熱炉122内に、たとえば、5〜10分間、酸素含有ガスが導入される。酸素含有ガスの導入により、図9Gに示すように、カーボン膜119が酸素含有ガスの酸素と反応して酸化除去される。ただし、抵抗加熱炉122内に導入される酸素含有ガスとしては、酸素および窒素を含有するガスを用いることが好ましく、具体的には、NO(一酸化窒素)、NO(一酸化二窒素)などを含有するガスを用いることができる。
その後、抵抗加熱炉122内に酸素含有ガスを導入しながら、さらに、たとえば、200〜240分間、加熱温度が1300℃に保持(第4の温度保持)される。これにより、エピタキシャル層103の表面131が酸化されて、図9Hに示すように、表面131全域を覆う酸化膜120が形成される。
酸化膜120の形成後、抵抗加熱炉122内に不活性ガス(たとえば、N、Arなど)が再度導入されるとともに、加熱温度が、1300℃から300℃まで降下するように制御される。降温後、SiC基板102が抵抗加熱炉122から取り出される。
次いで、スパッタ法により、導電材料が成膜される。そして、公知のフォトリソグラフィおよびエッチング技術により、導電材料がパターニングされて、図9Iに示すように、酸化膜120上にゲート電極108が形成される。
その後、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法により、図9Jに示すように、エピタキシャル層103上に層間絶縁膜109が積層される。
そして、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、図9Kに示すように、層間絶縁膜109および酸化膜120にコンタクトホール110が形成される。酸化膜120の残存する部分は、ゲート絶縁膜107となる。
次いで、スパッタ法により、エピタキシャル層103上に、導電材料が成膜される。導電材料は、コンタクトホール110を埋め尽くし、層間絶縁膜109上に薄膜を形成するように付着(堆積)される。そして、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、層間絶縁膜109上の導電材料がパターニングされる。これにより、図9Lに示すように、ソース配線111が形成される。また、ゲート電極108と電気的に接続されるゲート配線112が形成される。さらに、SiC基板102の裏面にドレイン電極113が形成される。
以上の工程を経て、図8に示す半導体装置101が得られる。
上記の製造方法によれば、有機材料膜118の形成後、抵抗加熱炉122の第1の昇温制御により、抵抗加熱炉122内の有機材料膜118が加熱されてカーボン膜119に変質し、エピタキシャル層103の表面131にカーボン膜119が形成される。
カーボン膜119の形成後、抵抗加熱炉122内を不活性雰囲気に維持したまま、抵抗加熱炉122の第2の昇温制御により、エピタキシャル層103が加熱されてエピタキシャル層103内のN型不純物およびP型不純物のイオンが活性化される。
そして、抵抗加熱炉122内を不活性状態に維持したまま、降温制御(たとえば、1600℃から1300℃への降温)が実行される。その後、加熱温度が1300℃に保持(第3の温度保持)された状態で、酸素含有ガスが、たとえば、5〜10分間導入される。これにより、カーボン膜119が酸化除去されてエピタキシャル層103の表面131が露出する。
カーボン膜119の除去後、引き続き抵抗加熱炉122内に酸素含有ガスを導入しながら、抵抗加熱炉122が温度保持(第4の温度保持)されることにより、露出した表面131が酸化されて酸化膜120が形成される。
イオン活性のための加熱(第2の昇温制御)に先立って、エピタキシャル層103の表面131にカーボン膜119が形成されるので、エピタキシャル層103の加熱時に、表面131からのSi抜けを防止することができる。そのため、エピタキシャル層103の表面131の荒れを抑制することができ、表面131の平坦性を維持することができる。その結果、エピタキシャル層103とゲート絶縁膜107との界面を滑らかにすることができるので、半導体装置101のチャネル移動度を向上させることができる。
さらに、有機材料膜118を加熱してカーボン膜119に変質させる工程(第1の昇温制御)、エピタキシャル層103を加熱してイオンを活性化させる工程(第2の昇温制御)、酸素含有ガスによりカーボン膜119を酸化除去する工程(降温制限制御および第3の温度保持)およびSiC層の表面を酸化させて酸化膜を形成する工程(第4の温度保持)からなる4工程を、1つの抵抗加熱炉122で連続して行なうことができる。カーボン膜を除去するための装置などを別途必要としないので、装置コストの増加を抑制することもできる。しかも、抵抗加熱炉122を用いるので、第1の昇温制御、第2の昇温制御、降温制限制御および第3の温度保持、ならびに第4の温度保持を、精密かつ簡単に実行することができる。
また、酸化膜120の形成されるエピタキシャル層103の表面131が(0001)面であり、加熱炉内に導入される酸素含有ガスが酸素および窒素を含有するガスである。
たとえば、Oガス、HOガス(水蒸気)およびNOガスにより、SiC層の(0001)面を酸化させて酸化膜を形成した場合、そのSiC層を備えるMOSFETのチャネル移動度は、たとえば、それぞれ1〜5cm/V・s、5〜15cm/V・sおよび15〜25cm/V・sであり、NOガスの場合が最もチャネル移動度に優れる。
そして、この実施形態の半導体装置101では、エピタキシャル層103の(0001)面(表面131)をNOガスやNOガスにより酸化して酸化膜120を形成するので、半導体装置101のチャネル移動度を一層向上させることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、半導体装置1の各半導体部分の導電型を反転した構成が採用されてもよい。すなわち、半導体装置1,41,85において、P型の部分がN型であり、N型の部分がP型であってもよい。
また、ソース配線17,69およびドレイン配線23(ドレイン電極74)は、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)がシリサイド化された層と、上記したメタル層との積層構造であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
なお、前述の実施形態の内容から、特許請求の範囲に記載した発明以外にも、以下のような特徴が抽出され得る。
たとえば、図11において、エピタキシャル層203の表面217がSi面であるため、表面217から掘り下がったゲートトレンチ206の底面216はSi面である。
そのため、ゲート絶縁膜207がDry酸化もしくはWet酸化で形成される場合、側面214の酸化レートに対する底面216の酸化レートの比(底面216の酸化レート/側面214の酸化レート)が、0.2もしくはそれ未満となる。そのため、ゲート絶縁膜207では、底面216上の部分の厚さが側面214上の部分の厚さよりも小さくなる。
一方、半導体装置201において、VDMOSFETがターンオフしたとき、ゲート電極208とドレイン配線215との間(ゲート−ドレイン間)に高い電位差が生じ、ゲートトレンチ206の底面216に電界が集中する。上記のように底面216上の部分の厚さが小さいゲート絶縁膜207では、電界の集中による絶縁破壊が起きやすい。
その不具合に対して、ゲート絶縁膜207形成時の酸化時間を長くすることにより底面216上の部分の厚さを大きくする対策が検討される。しかし、底面216の酸化に並行して側面214の酸化が進行するので、上記酸化レートの差に起因して、側面214上の部分の厚さが非常に大きくなってしまう。
下記に記載の特徴の目的は、ゲート絶縁膜における、ゲートトレンチ側面上の部分の厚さの増大を抑制しつつ、ゲートトレンチ底面上の部分の絶縁破壊を抑制することのできる半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
(項1)SiCからなり、表面がSi面である第1導電型の半導体層と、前記半導体層の表面から掘り下がったゲートトレンチと、前記ゲートトレンチの底面および側面上に形成され、前記側面上の部分の厚さに対する前記底面上の部分の厚さの比が0.3〜1.0であるゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜を介して前記ゲートトレンチに埋設されたゲート電極とを含む、半導体装置。
この構成によれば、SiCからなり、表面がSi面である第1導電型の半導体層の表面から掘り下がってゲートトレンチが形成されている。ゲートトレンチの底面および側面上には、ゲート絶縁膜が形成されている。また、ゲートトレンチには、ゲート絶縁膜を介してゲート電極が埋設されている。
これにより、この半導体装置には、ゲート絶縁膜におけるゲートトレンチの側面上の部分(Oxide)を介して半導体層(Semiconductor)にゲート電極(Metal)が対向するMOS(Metal Oxide Semiconductor)構造を有するトレンチゲート型MOSFETが形成されている。
そのMOSFETにおいて、ゲート絶縁膜における側面上の部分の厚さに対する底面上の部分の厚さの比が0.3〜1.0である。絶縁破壊を抑制できる程度に底面上の部分の厚さを増大させても、(底面上の部分の厚さ/側面上の部分の厚さ)の下限が0.3であるため、側面上の部分の厚さの過剰な増大を抑制することができる。一方、上限が1.0であるため、底面上の部分の厚さを適切な大きさに設計したときに、側面上の部分の厚さが過剰に小さくなることがない。これらの結果、底面上の部分の厚さを適切に設計することにより、側面上の部分の厚さの増大を抑制しつつ、底面上の部分の絶縁破壊を抑制することができる。
(項2)前記半導体層において、前記ゲートトレンチの側方に形成され、前記ゲートトレンチの側面で前記ゲート絶縁膜と接する第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域の表層部において、前記ゲートトレンチに隣接して形成された第1導電型のソース領域とを含み、前記ゲート絶縁膜に窒素が含有されている、項1に記載の半導体装置。
この構成では、半導体層において、ゲートトレンチの側方には、ゲートトレンチの側面でゲート絶縁膜と接する第2導電型のボディ領域が形成されている。ボディ領域の表層部には、ゲートトレンチに隣接して第1導電型のソース領域が形成されている。したがって、半導体装置におけるトレンチゲート型MOSFETにおいて、ボディ領域におけるゲート絶縁膜との界面近傍の部分が、ゲート電極からの電界によりチャネルが形成されるチャネル部分である。そして、この半導体装置では、ゲート絶縁膜に窒素が含有されているので、MOSFETのチャネル移動度を向上させることができる。
(項3)前記ボディ領域の前記第2導電型不純物の濃度が、1e19cm−3以下である、項2に記載の半導体装置。
ゲートトレンチ側方のボディ領域の不純物濃度が1e19cm−3を超えていると、ゲートトレンチの底面および側面を酸化したときに、トレンチ底面に対してトレンチ側面が相対的に非常に高い酸化レートで酸化されて、ゲート絶縁膜における側面上の部分が非常に厚くなってしまう。
これに対し、ボディ領域の不純物濃度が1e19cm−3以下であれば、ゲートトレンチの底面および側面を酸化する際、トレンチ底面の酸化レートに対するトレンチ側面の酸化レートの比を適切な大きさに維持することができる。その結果、ゲート絶縁膜における側面上の部分の厚さの増大を抑制することができる。
(項4)前記半導体層における前記ゲートトレンチの前記底面から前記半導体層の厚さ方向途中部に至る部分に、不純物のインプランテーションにより形成されたインプラ層をさらに含む、項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置。
ゲートトレンチの底面の直下にインプラ層を形成することにより、インプラ層の形成後、ゲートトレンチの底面および側面の酸化に際して、トレンチ側面に対してトレンチ底面を相対的に高い酸化レートで酸化させて、ゲート絶縁膜における側面上の部分の厚さに対する底面上の部分の厚さの比を0.3〜1.0にすることができる。
(項5)前記インプラ層が、前記第2導電型不純物のインプランテーションにより形成されている、項3に記載の半導体装置。
インプラ層を、半導体層の導電型とは異なる第2導電型不純物のインプランテーションにより形成すれば、インプラ層と半導体層との間に形成されるエネルギー障壁を大きくすることができる。そのため、電流をインプラ層に流れにくくすることができる。その結果、ゲートトレンチの底面への電界集中を抑制することができる。
(項6)前記ゲート絶縁膜における前記ゲートトレンチの前記側面上の部分の厚さが、2000Å以下である、項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置。
ゲートトレンチの側面上の部分の厚さが2000Åを超えていると、高いゲートオン電圧(たとえば、20V程度)で半導体装置を動作させる必要が生じ、効率的なトランジスタ動作を実行できない場合がある。
これに対し、ゲートトレンチの側面上の部分の厚さが2000Å以下であれば、適当なゲートオン電圧で半導体装置を動作させることができ、効率的なトランジスタ動作を達成できる。
(項7)前記ゲートトレンチの底部のゲート幅に直交する方向における端部が、外方へ向かって湾曲している、項1〜6のいずれか一項に記載の半導体装置。
この構成では、ターンオフ時に電界が集中し易いゲートトレンチ底部の端部を湾曲させることにより、当該端部に加わる電界を、端部以外の部分へ分散させることができる。その結果、ゲート絶縁膜における底面上の部分の絶縁破壊を抑制することができる。
(項8)前記半導体層上に形成され、前記ソース領域にコンタクトされるソース配線を含み、前記ソース配線は、前記ソース領域とのコンタクト部分にポリシリコン層を有し、前記ポリシリコン層上にメタル層を有している、項2に記載の半導体装置。
たとえば、図11に示す半導体装置201において、ソース配線212を形成するには、まず、スパッタ法により、エピタキシャル層203における不純物のドーピングされた領域(不純物領域)の表面(ソース領域209およびボディコンタクト領域210の表面)にNiが堆積される。次いで、Niを不純物領域にオーミック接合させるため、高温(たとえば、1000℃程度)の熱処理により、SiC中のSiとNiとを反応させてNiがシリサイド化される。これにより、ニッケルシリサイド層218が形成される。その後、スパッタ法により、ニッケルシリサイド層218上にAlが堆積される。これにより、アルミニウム層219が形成されて、ソース配線212が形成される。
しかしながら、ニッケルシリサイド層218の形成時、ニッケルシリサイド層218の表面およびニッケルシリサイド層218における不純物領域との界面近傍に、SiC中の残留カーボン(C)が析出して、Cが多く含有されるカーボン層が形成される。そして、カーボン層がメタルやSiCとの密着性に乏しいことから、アルミニウム層219とニッケルシリサイド層218との間、ニッケルシリサイド層218と不純物領域との間で層剥がれが生じやすい。
そこで、項8の構成では、ソース領域にコンタクトされるソース配線が、ソース領域とのコンタクト部分にポリシリコン層を有し、ポリシリコン層上にメタル層を有している。
ポリシリコンは、SiCにおける不純物がドーピングされた領域(不純物領域)との間に良好なオーミック接合を形成することができる。そのため、メタル層がソース領域に直接にコンタクトされる構造に不可欠なシリサイド化を省略することができる。よって、ポリシリコン層の表面およびポリシリコン層におけるソース領域との界面近傍でのカーボン層の発生を防止することができる。その結果、ポリシリコン層とメタル層との間およびポリシリコン層とソース領域との間での層剥がれを抑制することができる。よって、ソース配線の接続信頼性を向上させることができる。
(項9)前記ポリシリコン層と前記メタル層との間に、Tiを含有する中間層が介在されている、項8に記載の半導体装置。
チタンを含有する材料は、ポリシリコン材料およびメタル材料のいずれに対しても優れた密着性を有する。そのため、ポリシリコン層とメタル層との間にチタンを含有する層が介在されている構成を有する半導体装置では、ポリシリコン層とメタル層との密着性を向上させることができる。その結果、ソース配線の接続信頼性を一層向上させることができる。
(項10)前記メタル層が、Alを含有する層を有し、前記中間層が、前記ポリシリコン層の側からTi層およびTiN層がこの順で積層された構造を有する、項9に記載の半導体装置。
Alは、ポリシリコン層に導電性を付与するための不純物として利用することができるが、適当な量でポリシリコン層に混入しないと、ソース配線として利用されるポリシリコン層の抵抗値が不安定になる場合がある。
そこで、項10の構成では、Alを含有する層とポリシリコン層との間に、ポリシリコン層へのAlの拡散を防止するためのバリア層としてTiN層が介在されている。これにより、余分なAlがポリシリコン層に拡散しないので、ポリシリコン層の不純物濃度を安定させることができる。その結果、ポリシリコン層の抵抗値を安定させることができる。
(項11)SiCからなり、表面がSi面である第1導電型の半導体層の表層部に、その表面から掘り下がったゲートトレンチを形成する工程と、前記ゲートトレンチの底面および側面を、窒素および酸素を含有するガス中において1200℃以上の熱処理温度で酸化させることにより、前記ゲートトレンチの前記底面および前記側面上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に、前記ゲートトレンチを埋め尽くすようにゲート電極を形成する工程とを含む、半導体装置の製造方法。
この方法における条件(雰囲気ガスおよび熱処理温度)で前記ゲートトレンチの底面および側面を酸化させれば、ゲート絶縁膜における側面上の部分の厚さに対する底面上の部分の厚さの比を0.3〜1.0にすることができる。
また、前記ゲート絶縁膜を形成する工程では、(項12)として、少なくともNOを含有するガス中において前記ゲートトレンチの前記底面および前記側面を酸化させることが好ましく、さらに、NOガスは、(項13)として、供給するガスの総流量に対して30%以下の流量比で供給することが好ましい。
なお、前記ゲート絶縁膜を形成する工程は、前記半導体層を抵抗加熱炉に装入する工程と、前記抵抗加熱炉内に窒素および酸素を含有するガスを導入して、窒素および酸素含有ガス雰囲気を作り出す工程と、前記ガス雰囲気を維持したまま、前記抵抗加熱炉の加熱温度を1200℃以上に制御する工程とを含んでいてもよい。
たとえば、SiCからなる半導体層の加熱に関する背景技術として、以下の知見が知られている(たとえば、特開2003−318388号公報)。
具体的には、SiCが採用された半導体装置として、たとえば、表層部に活性化イオン領域を有するSiC層と、SiC層の表面に形成されたゲート酸化膜と、ゲート酸化膜上に形成され、ゲート酸化膜を介してイオン領域と対向するゲート電極とからなるMOS(Metal Oxide Semiconductor)構造を有するMOSFETが知られている。
このようなMOS構造を作製するには、たとえば、まず、SiC層の表層部に不純物イオンが注入される。次いで、抵抗加熱炉内において、SiC層が加熱されることにより、注入されたイオンが活性化する。イオンの活性化後、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)装置内において、酸素含有ガスの供給により、SiC層の表面にゲート酸化膜が形成される。そして、スパッタ法により、ゲート酸化膜上にゲート電極が形成される。これにより、ゲート電極(Metal)−ゲート酸化膜(Oxide)−SiC層(Semiconductor)の層構造(MOS構造)が作製される。
SiC層内のイオンを活性化させるには、たとえば、1600〜1700℃の温度でアニール処理する必要がある。抵抗加熱炉では高温域までの加熱時間が長くなるため、イオン活性のための加熱中に、SiC層の表面からSiが昇華する、いわゆるSi抜けが生じ、SiC層の表面が荒れてしまう。その結果、SiC層とゲート酸化膜との界面が凸凹になり、MOSFETのチャネル移動度が低下する。
そこで、高周波誘導加熱炉を利用して高温域までの加熱時間を短縮することにより、SiC層の表面荒れを抑制し、その後、ゲート酸化炉を利用してゲート酸化膜を形成する手法が採用されている。
しかし、このような手法では、高周波誘導加熱炉およびゲート酸化炉の2つの装置が別途必要になるため、装置コストが増加するという不具合を生じる。
別の手法として、イオンの活性化に先立ってSiC層の表面にカーボン膜を形成し、このカーボン膜によってSi抜けを防止することにより、SiC層表面の平坦性を維持することが提案されている。
カーボン膜は、たとえば、SiC層表面にカーボンを含む膜を形成し、高周波誘導加熱炉内においてカーボンを含む膜を加熱することにより、当該膜からカーボン以外の元素を蒸発させて形成される。
しかしながら、本発明者らは、鋭意研究したところ、カーボン膜を形成するための加熱温度は、1000℃程度でよく、イオンを活性化させるための温度(1600〜1700℃)よりも低い。そのため、加熱温度を2段階制御する必要があるが、高周波誘導加熱炉を精密に温度制御することは困難であるという課題を見出した。
また、イオンの活性化後、カーボン膜は不要となる。この不要になったカーボン膜は、高周波誘導加熱炉とは別の装置において、酸化ガスにより酸化除去される。高周波誘導加熱炉内に酸化ガスを導入し、イオンの活性化に引き続いてカーボン膜を除去することも検討されるが、高周波誘導加熱炉の発熱体にはカーボン材料が使用されているため、酸化ガスが供給されると当該カーボン材料が酸化されてしまう。そのため、カーボン膜除去装置が別途必要不可欠であり、装置コストの増加が不可避であるという課題も見出した。
そこで、装置コストを増加させることなく、簡単な温度制御により、SiC層表面の荒れを抑制することのできる半導体装置の製造方法を提供する目的を達するために、下記の発明をした。
その発明とは、具体的には、表層部にイオンが注入されたSiC層の表面に有機材料膜を形成する工程と、前記有機材料膜の形成後、抵抗加熱炉内において、前記有機材料膜を加熱することにより、前記有機材料膜をカーボン膜に変質させる工程と、前記抵抗加熱炉内において、前記カーボン膜が形成された前記SiC層を加熱することにより、前記SiC層内のイオンを活性化する工程と、前記抵抗加熱炉内に酸素含有ガスを導入することにより、前記カーボン膜を酸化させて除去する工程と、前記カーボン膜の除去後、引き続き前記抵抗加熱炉内において、前記酸素含有ガスにより、前記SiC層の表面を酸化させて酸化膜を形成する工程とを含む、半導体装置の製造方法である。
この製造方法によれば、有機材料膜の形成後、抵抗加熱炉内において有機材料膜を加熱することにより、有機材料膜がカーボン膜に変質して、SiC層表面にカーボン膜が形成される。カーボン膜の形成後、SiC層内のイオンを活性化させるために、SiC層が加熱される。その後、抵抗加熱炉内に酸素含有ガスが導入されることにより、カーボン膜が酸化除去される。カーボン膜の除去後、引き続き抵抗加熱炉内において、酸素含有ガスにより、SiC層の表面が酸化されて酸化膜が形成される。
イオン活性のための加熱に先立って、SiC層の表面にカーボン膜が形成されるので、SiC層の加熱時に、SiC層表面からのSi抜けを防止することができる。そのため、SiC層表面の荒れを抑制することができ、SiC層表面の平坦性を維持することができる。その結果、SiC層と酸化膜との界面を滑らかにすることができるので、半導体装置のチャネル移動度を向上させることができる。
さらに、有機材料膜を加熱してカーボン膜に変質させる工程、SiC層を加熱してイオンを活性化させる工程、酸素含有ガスによりカーボン膜を酸化除去する工程およびSiC層の表面を酸化させて酸化膜を形成する工程からなる4工程を、1つの抵抗加熱炉内で連続して行なうことができる。カーボン膜を除去するための装置などを別途必要としないので、装置コストの増加を抑制することもできる。しかも、抵抗加熱炉を用いるので、カーボン膜を形成するための加熱温度およびイオンを活性化させるための加熱温度を、精密かつ簡単に制御することができる。
また、前記酸素含有ガスは、酸素および窒素を含有するガスであってもよい。酸化膜を形成するための酸素含有ガスが酸素および窒素を含有するガスであれば、半導体装置のチャネル移動度を一層向上させることができる。
なお、酸素および窒素を含有するガスとしては、たとえば、NO(一酸化窒素)、NO(一酸化二窒素)などを含有するガスを用いることができる。
また、前記SiC層の表面は、(0001)面、つまりSi面であることが好ましい。
上記のように、本発明者らは、SiCからなる半導体層の加熱に関する発明として、抵抗加熱炉を利用した発明をした。
したがって、前記ゲート絶縁膜を形成する工程が、前記半導体層を抵抗加熱炉に装入する工程と、前記抵抗加熱炉内に窒素および酸素を含有するガスを導入して、窒素および酸素含有ガス雰囲気を作り出す工程と、前記ガス雰囲気を維持したまま、前記抵抗加熱炉の加熱温度を1200℃以上に制御する工程とを含む場合には、本発明の作用効果に加えて、上記した抵抗加熱炉を利用した発明による作用効果を享受することができる。
次に、本発明の参考例に基づいて説明するが、本発明は下記の参考例によって限定されるものではない。
参考例1(NO酸化)
まず、ウエハ状のSiC基板(Cree社製)のSi面に、N型不純物をドーピングしながらSiC結晶を成長させてSiCからなるエピタキシャル層を形成した。次いで、エピタキシャル層の表面(Si面)に所定パターンのSiOマスクを形成し、そのSiOマスクを介して、SF/Oガスをエピタキシャル層の表面に入射することによりトレンチを形成した。
次いで、SiC基板を拡散炉に搬入し、拡散炉内を1275℃に加熱した状態でNOガスを3時間供給した。これにより、トレンチ内面を酸化させて酸化膜を形成した。
また、NOガスの供給時間(酸化時間)を8時間および12時間とした場合の酸化膜も、上記と同様の操作により形成した。
参考例2(Dry酸化)
トレンチを形成する工程まで、参考例1と同様の工程を行なった。トレンチの形成後、SiC基板を拡散炉に搬入し、拡散炉内を1150℃に加熱した状態でOガスを4時間供給した。これにより、トレンチ内面を酸化させて酸化膜を形成した。
また、Oガスの供給時間(酸化時間)を6時間および8時間とした場合の酸化膜も、上記と同様の操作により形成した。
参考例3(Wet酸化)
トレンチを形成する工程まで、参考例1と同様の工程を行なった。トレンチの形成後、SiC基板を拡散炉に搬入し、拡散炉内を1275℃に加熱した状態で水蒸気(HOガスを15分間供給した。これにより、トレンチ内面を酸化させて酸化膜を形成した。
また、HOガスの供給時間(酸化時間)を25分間および35分間とした場合の酸化膜も、上記と同様の操作により形成した。
1)酸化膜の厚さ測定
参考例1〜3により形成された各酸化膜の厚さを、トレンチ側面上の部分およびトレンチ底面上の部分ごとに測定した。結果を、図10(a)〜(c)(図10(a):参考例1、図10(b):参考例2、図10(c):参考例3)に示す。
2)酸化膜の厚さ比
図10(a)〜(c)で示される各酸化膜の厚さを用いて、酸化膜における側面上の部分の厚さに対する底面上の部分の厚さの比(底面/側面)を算出した。結果を図10(a)〜(c)に示す。
図10(a)によると、酸化膜における側面上の部分の厚さに対する底面上の部分の厚さの比(底面/側面)は、供給時間ごとに、約0.54(3時間)、0.46(8時間)、0.48(12時間)であることが確認された。
また、図10(b)によると、酸化膜における側面上の部分の厚さに対する底面上の部分の厚さの比(底面/側面)は、供給時間ごとに、約0.20(4時間)、0.20(6時間)、0.19(8時間)であることが確認された。
また、図10(c)によると、酸化膜における側面上の部分の厚さに対する底面上の部分の厚さの比(底面/側面)は、供給時間ごとに、約0.23(15分間)、0.21(25分間)、0.22(35分間)であることが確認された。
1 半導体装置
3 エピタキシャル層
5 ボディ領域
6 ゲートトレンチ
9 ゲート絶縁膜
10 絶縁膜側部
11 絶縁膜底部
12 ゲート電極
13 ソース領域
18 ポリシリコン層
25 中間層
26 メタル層
41 半導体装置
43 ゲートトレンチ
51 エピタキシャル層
53 ボディ領域
55 ソース領域
61 角部
62 インプラ活性層
63 ゲート絶縁膜
64 絶縁膜底部
65 絶縁膜側部
66 ゲート電極
69 ソース配線
70 ポリシリコン層
71 中間層
72 メタル層
85 半導体装置

Claims (20)

  1. 表面を有する半導体層と、
    前記半導体層に形成され、前記半導体層の前記表面を形成するソース領域と、
    前記半導体層に形成され、前記半導体層の裏面側から前記ソース領域に接するボディ領域と、
    前記半導体層に形成され、前記半導体層の前記裏面側から前記ボディ領域に接するドレイン領域と、
    前記半導体層の前記表面から掘り下がって前記ソース領域および前記ボディ領域を貫通し、その最深部が前記ドレイン領域に達するゲートトレンチと、
    前記ゲートトレンチの内面および前記半導体層の前記表面、前記ゲートトレンチの内面を覆うように形成されたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜を介して前記ゲートトレンチに埋設されたゲート電極と、
    前記半導体層の前記表面から掘り下がって前記ソース領域を貫通し、かつ前記ドレイン領域に達するソーストレンチと、
    前記ゲート絶縁膜、前記ソース領域および前記ソーストレンチの内面に接するように前記半導体層上に形成された、少なくとも2層からなるソース配線と、
    前記ドレイン領域に接するように前記半導体層の裏面側に形成されたドレイン配線とを含む、半導体装置。
  2. 前記ソース配線は、前記半導体層上の第1ソース配線層、前記第1ソース配線層上の第2ソース配線層および前記第1ソース配線層と前記第2ソース配線層との間の中間層を含む積層構造を有し、前記第1ソース配線層および前記第2ソース配線層が互いに異なる導電性物質からなる、請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記ソース配線は、前記ゲート電極の上方に前記積層構造を有している、請求項2に記載の半導体装置。
  4. 前記第1ソース配線層は、前記ソーストレンチの側面および底面に沿っている、請求項2または3に記載の半導体装置。
  5. 前記第1ソース配線層と、前記半導体層との間には、オーミックコンタクトが選択的に形成されている、請求項4に記載の半導体装置。
  6. 前記ドレイン配線は、前記半導体層上の第1ドレイン配線層および前記第1ドレイン配線層上の第2ドレイン配線層を含む積層構造を有し、前記第1ドレイン配線層および前記第2ドレイン配線層が互いに異なる導電性物質からなる、請求項〜5のいずれか一項に記載の半導体装置。
  7. 前記ドレイン配線は、前記第1ドレイン配線層と前記第2ドレイン配線層との間に中間層をさらに有する、請求項6に記載の半導体装置。
  8. 前記ソース配線の前記中間層および/または前記ドレイン配線の前記中間層は、Tiを含有している、請求項7に記載の半導体装置。
  9. 前記ソース配線の前記中間層および/または前記ドレイン配線の前記中間層は、TiNを含有している、請求項7に記載の半導体装置
  10. 前記ソース配線の前記中間層および/または前記ドレイン配線の前記中間層は、TiおよびTiNの積層構造を有している、請求項7に記載の半導体装置。
  11. 前記半導体層は、SiC層であり、
    前記ソース領域は、n型ソース領域であり、
    前記ドレイン領域は、n型ドレイン領域であり、
    前記ボディ領域は、前記ゲートトレンチの前記側面を形成するp型領域と、前記ソーストレンチの前記側面を形成し、前記p型領域よりも高い不純物濃度を有するp型領域とを有している、請求項〜10のいずれか一項に記載の半導体装置。
  12. 前記第1ソース配線層と前記n型ソース領域との間には、オーミックコンタクトが選択的に形成されている、請求項11に記載の半導体装置。
  13. 前記第1ソース配線層および/または前記第1ドレイン配線層は、ポリシリコンからなり、
    前記第2ソース配線層および/または前記第2ドレイン配線層は、Alからなる、請求項6に記載の半導体装置。
  14. 前記ゲートトレンチは、平面視で前記ソーストレンチを取り囲むように形成されている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の半導体装置。
  15. 前記ソース配線は、前記半導体装置に内在するボディダイオードの拡散電位よりも接合障壁が小さい第1接合を前記半導体層に対して選択的に形成している、請求項1に記載の半導体装置。
  16. 前記ゲート絶縁膜は、窒化酸化シリコン膜であり、前記ゲート絶縁膜の窒素含有量が0.1〜10%である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の半導体装置。
  17. 前記ゲート絶縁膜は、前記ゲートトレンチの底面に配置された底部および前記ゲートトレンチの側面に配置された側部を含み、前記底部および前記側部の厚さが互いに異なっており、
    前記ゲート絶縁膜の前記底部の厚さが、150〜500Åである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の半導体装置。
  18. 前記ゲート絶縁膜は、前記ゲートトレンチの底面に配置された底部および前記ゲートトレンチの側面に配置された側部を含み、前記底部および前記側部の厚さが互いに異なっており、
    前記ゲート絶縁膜の前記側部の厚さが、300〜1000Åである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の半導体装置。
  19. 前記ゲートトレンチの底面に形成され、前記半導体層とは異なる導電型の不純物層を含み、
    前記ソーストレンチは、前記不純物層の底部よりも深く形成されている、請求項1〜18のいずれか一項に記載の半導体装置。
  20. 前記ソース配線は、略平坦な上面を有している、請求項1〜19のいずれか一項に記載の半導体装置。
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