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JP6582846B2 - トナー、トナー収容ユニット、及び画像形成装置 - Google Patents

トナー、トナー収容ユニット、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、トナー、トナー収容ユニット、及び画像形成装置に関する。
近年、トナーには、出力画像の高品質化のための小粒径化、及び耐高温オフセット性、省エネルギー化のための低温定着性、並びに製造後の保管時や運搬時における高温高湿に耐えうる耐熱保存性が要求されている。特に、定着時における消費電力は画像形成工程における消費電力の多くを占めるため、低温定着性の向上は非常に重要である。
従来、混練粉砕法で作製されたトナーが使用されてきた。混練粉砕法で作製されたトナーは、小粒径化が困難であると共に、その形状が不定形かつ粒径分布がブロードであることから出力画像の品質が十分ではないこと、定着エネルギーが高いことなどの問題点があった。また、定着性向上のためにワックス(離型剤)を添加している場合、混練粉砕法で作製されたトナーは、粉砕の際にワックスの界面で割れるために、ワックスがトナー表面に多く存在してしまう。そのため、離型効果が出る一方で、キャリア、感光体及びブレードへのトナーの付着(フィルミング)が起こりやすくなり、全体的な性能としては、満足のいくものではないとう問題点があった。
そこで、混練粉砕法による上述の問題点を克服するために、重合法によるトナーの製造方法が提案されている。重合法で製造されたトナーは、小粒径化が容易であり、粒度分布も粉砕法で製造されたトナーの粒度分布に比べてシャープであり、更に、離型剤の内包化も可能である。重合法によるトナーの製造方法としては、低温定着性の改良及び耐高温オフセット性の改良を目的として、トナーバインダーとして、ウレタン変性されたポリエステルの伸長反応物からトナーを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、小粒径トナーとした場合の粉体流動性及び転写性に優れると共に、耐熱保存性、低温定着性及び耐高温オフセット性のいずれにも優れたトナーの製造方法が開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。
また、安定した分子量分布のトナーバインダーを製造し、低温定着性及び耐高温オフセット性を両立させるための、熟成工程を有するトナーの製造方法が開示されている(例えば、特許文献4、5参照)。
しかし、これら提案の技術は、近年要求される高いレベルの低温定着性を満足するものでない。
そこで、高いレベルの低温定着性を得る目的で、結晶性ポリエステル樹脂を含む樹脂、及び離型剤を含有し、樹脂とワックスが互いに非相溶で海島状の相分離構造を有するトナーが提案されている(例えば、特許文献6参照)。
また、結晶性ポリエステル樹脂、離型剤及びグラフト重合体を含有するトナーが提案されている(例えば、特許文献7参照)。
これらの提案の技術は、結晶性ポリエステル樹脂が非晶質ポリエステル樹脂に比べて急速に溶融するため低温定着化を成し得る。しかし、海島状の相分離構造における島にあたる結晶性ポリエステル樹脂が融解しても、大部分の海にあたる非晶質ポリエステル樹脂は未だ融解しない。そうすると、結晶性ポリエステル樹脂、及び非晶質ポリエステル樹脂の双方がある程度融解しないと定着しないため、これらの提案の技術は、近年更に高まっている高いレベルの低温定着性を満足するものでない。
更に高いレベルの低温定着性を得る目的で、ガラス転移温度が非常に低い分岐構造を有する反応性前駆体と硬化剤との反応によって得られる非晶質ポリエステルを含んでなるトナーが提案されている(例えば、特許文献8参照)。
この提案の技術は、ガラス転移温度が非常に低いポリエステル樹脂が低温で変形する性質を利用し、定着時の加熱、及び加圧に対して変形し、より低温で紙などの記録媒体に接着しやすくなる性質を利用する。 また、反応性前駆体が非線状であることから、分子骨格中に分岐構造を有し、分子鎖が三次元的な網目構造となるため、低温で変形するが、流動しないというゴム的な性質を有する。 そのため、トナーの耐熱保存性、耐高温オフセット性の保持が可能となる。
しかし、この技術によると三次元的な網目構造は、ジオール、ジカルボン酸、多価アルコール、又は酸のエステル反応により得られるものであり、分岐構造となる多価アルコール又は酸が不均一に存在するため、網目構造が緩い部分と、緻密な部分が存在し、緩い部分は耐熱保存性の悪化を招き、緻密な部分は低温定着性、画像光沢、画像濃度、色再現性の低下を招く。
また、分岐を形成している部分はエステル構造であり、樹脂の架橋点としては凝集力が弱く、従って緻密な網目構造を持たせないと耐熱保存性の保持は困難であり、それに伴って十分な低温定着性、画像光沢は得られない。従って、近年更に高まっている高いレベルの低温定着性、画質を満足するものでない。
したがって、フィルミングがなく、優れた低温定着性、耐高温オフセット性、高光沢、高色再現性、及び耐熱保存性を有するトナーが求められているのが現状である。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、フィルミングがなく、優れた低温定着性、耐高温オフセット性、高光沢、高色再現性、及び耐熱保存性を有するトナーを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
本発明のトナーは、少なくともポリエステル樹脂を含有するトナーであって、前記ポリエステル樹脂が、以下構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有することを特徴とする。
1) R1−(NHCONH−R2)n−
2) R1−(NHCOO−R2)n−
3) R1−(OCONH−R2)n−
(上記式中、n≧3
R1:芳香族、又は脂肪族系の有機基、
R2:ポリカルボン酸、及びポリオールの少なくともいずれかからなるポリエステル、並びにポリエステルがイソシアネート変性された変性ポリエステルのいずれかの樹脂に由来する基を表す)
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、フィルミングがなく、優れた低温定着性、耐高温オフセット性、高光沢、高色再現性、及び耐熱保存性を有するトナーを提供することができる。
図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 図2は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 図3は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 図4は、図3の部分拡大図である。 図5は、プロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。 図6は、従来のポリエステル樹脂の分岐構造を説明するためのイメージ図である。 図7は、本発明で規定するポリエステル樹脂の分岐構造を説明するためのイメージ図である。
(トナー)
本発明のトナーは、ポリエステル樹脂を少なくとも含有し、好ましくは更に結晶性ポリエステル樹脂を含有し、更に必要に応じて、着色剤などのその他の成分を含有する。
前記ポリエステル樹脂は、以下構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有する。
1) R1−(NHCONH−R2)n−
2) R1−(NHCOO−R2)n−
3) R1−(OCONH−R2)n−
(上記式中、n≧3
R1:芳香族、又は脂肪族系の有機基、
R2:ポリカルボン酸、及びポリオールの少なくともいずれかからなるポリエステル、並びにポリエステルがイソシアネート変性された変性ポリエステルのいずれかの樹脂に由来する基を表す)
つまり、前記ポリエステル樹脂は、ポリエステル又は変性ポリエステル部分であるR2と、分岐構造に相当するR1とを、ウレタン又はウレア基により結合させた構造を持つ。
低温定着性を向上させるためは、ポリエステル樹脂(例えば、非晶質ポリエステル樹脂)を結晶性ポリエステル樹脂と共に溶融するように、ガラス転移温度を低くする方法又は分子量を小さくする方法が考えられる。しかし、単純にポリエステル樹脂のガラス転移温度を低くする又は分子量を小さくすることにより溶融粘性を低下させた場合、トナーの耐熱保存性、及び定着時の高温オフセット性が悪化することは容易に想像される。
それに対して、本発明の前記トナーにおいて、前記ポリエステル樹脂は、ウレタン、又はウレア結合により分子骨格中に分岐構造を有し、分子鎖が三次元的な網目構造となるため、低温で変形するが、流動しないというゴム的な性質を有する。そのため、前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度を非常に低くした場合にも、トナーの耐熱保存性、耐高温オフセット性の保持が可能となる。
また、網目構造が不均一であると、網目が粗な部分は樹脂の流動抑制が不十分であるため耐熱保存性の悪化を生じ、網目が密な部分は樹脂の変形性が不十分であるため低温定着性、画像光沢の低下を招く。
例えば、上記背景技術で記載した特許第5408210号公報(上記特許文献8に対応)に記載のポリエステル樹脂において、分岐を形成している部分が、エステル構造である場合(つまり、本願で規定する上記1)〜3)のいずれかで表される構造式中、R2の部分が分岐構造を有する場合)、図6のイメージ図で示すように分岐構造が不均一に存在するため、低温定着性や画像光沢性が十分に満足のいくものとはならない。図6は、従来の合成方法で得られるポリエステル樹脂の分岐構造の概略図である。
このように、従来のポリエステル樹脂では、低温定着性や画像光沢性も良く、一方、耐熱保存性や耐高温オフセット性も良いという、これらの全ての項目が満足のいくバランスのとれた結果を得ることは容易ではない。
しかし、本発明の前記ポリエステル樹脂は、ポリエステル又は変性ポリエステル部分であるR2を合成した後に、R1とウレタンまたはウレア基により結合させ網目構造を形成させることが出来るため、R2部分の分子量分布を狭分布化させることで、網目構造を均一化することが可能となる。
本発明で規定する上記1)〜3)のいずれかで表される構造式を有する前記ポリエステル樹脂の状態は、図7のイメージ図のように示される。図7は、以下で記載する本発明の合成方法で得られるポリエステル樹脂の分岐構造の概略図である。R2部分の直鎖のポリエステル樹脂部分の長さが揃っているため、図7で示されるように、前記ポリエステル樹脂の分岐構造は均一化されている。
このように、前記ポリエステル樹脂の網目構造が均一化されることで、トナーの耐熱保存性、低温定着性、画像光沢、耐高温オフセット性の両立が可能となる。
更に、前記ポリエステル樹脂は、分岐構造部分が凝集エネルギーの高いウレタン結合又はウレア結合を有するため、 強い架橋点のような挙動を示すことから、より粗い網目構造であった場合でも、樹脂の流動抑制の効果が強いため、トナーの耐熱保存性、低温定着性、画像光沢、耐高温オフセット性の両立が可能となる。
<ポリエステル樹脂>
前記ポリエステル樹脂は、上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有し、ポリエステル又は変性ポリエステル部分であるR2と、分岐構造に相当するR1とをウレタン又はウレア基により結合させた構造を持つ。
前記ポリエステル樹脂は、分岐構造部分にウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有しているため、ウレタン結合又はウレア結合が擬似架橋点のような挙動を示し、前記ポリエステル樹脂のゴム的性質が強くなり、耐熱保存性、耐高温オフセット性に優れたトナーを作製することができる。
前記ポリエステル樹脂は、構成成分として、ジオール成分を含み、更に好ましくは構成成分としてジカルボン酸成分を含む。
前記ポリエステル樹脂は、非晶質ポリエステル樹脂であることが好ましい。
前記ポリエステル樹脂は、ポリエステル又は変性ポリエステル部に相当するR2と分岐構造部分に相当するR1とをウレタンまたはウレア基により結合させたものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記R1とR2との結合方法としては、以下に制限されるものではないが、例えば以下三点のような方法がある。
a)ジオール成分とジカルボン酸成分とをエステル反応させ、末端が水酸基になるポリエステルポリオール(R2)を作製し、得られたポリエステルポリオールを3価以上のポリイソシアネート(R1)で反応させる方法。
b)ジオール成分とジカルボン酸成分とをエステル反応させ、末端が水酸基になるポリエステルポリオール(R2)を作製し、得られたポリエステルポリオールを2価のポリイソシアネートと反応させ、イソシアネート変性ポリエステル(R2)を作製し、得られたイソシアネート変性ポリエステルを3価以上のアルコール(R1)と反応させる方法。
c)ジオール成分とジカルボン酸成分とをエステル反応させ、末端が水酸基になるポリエステルポリオール(R2)を作製し、得られたポリエステルポリオールを2価のポリイソシアネートと反応させ、イソシアネート変性ポリエステル(R2)を作製し、純水の存在下、得られたイソシアネート変性ポリエステルに3価以上のポリイソシアネート(R1)を反応させる方法。
上記a)〜c)のいずれかにより得られたポリオールに残留した水酸基を更に2価以上のポリイソシアネートと反応させポリエステルプレポリマーとし、トナー作製プロセスにおいて硬化剤と反応させ使用することも可能である。
トナー作製プロセス中において、硬化剤との反応によりウレタン、ウレア結合を生成し、強い架橋点のような挙動を示すことで、前記ポリエステル樹脂のゴム的性質が強くなり、耐熱保存性、耐高温オフセット性に更に優れることから、R2の部分がイソシアネートにより変性された変性ポリエステルの樹脂とすることが更に好ましい。
前記ポリエステル樹脂のTgを低くし、低温で変形する性質を付与しやすくするために、前記ポリエステル樹脂は、構成成分にジオール成分を含み、前記ジオール成分は、炭素数3以上12以下の脂肪族ジオールを含有することが好ましく、炭素数4以上12以下の脂肪族ジオールを含有することがより好ましい。
前記ポリエステル樹脂において、前記炭素数3〜12の脂肪族ジオールを50mol%以上含有することが好ましく、80mol%以上含有することがより好ましく、90mol%以上含有することがさらに好ましい。
前記炭素数3〜12の脂肪族ジオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどが挙げられる。
特に、前記ポリエステル樹脂において、前記ジオール成分が、炭素数4以上12以下の脂肪族ジオールであって、ジオール成分の主鎖となる部分の炭素数が、奇数であり、前記ジオール成分が、アルキル基を側鎖に有するものであることがさらに好ましい。
主鎖となる部分の炭素数が奇数であり、アルキル基を側鎖に有する炭素数4〜12の脂肪族ジオールとして、例えば、下記一般式(1)で表される脂肪族ジオールが挙げられる。
HO−(CR)−OH ・・・一般式(1)
ただし、前記一般式(1)中、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基を表す。nは、3〜9の奇数を表す。n個の繰り返し単位において、Rは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、n個の繰り返し単位において、Rは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、前記ポリエステル樹脂のTgを低くし、低温で変形する性質を付与しやすくするために、前記ポリエステル樹脂は、全アルコール成分中に炭素数3以上12以下の脂肪族ジオールを50mol%以上含有することが好ましい。
前記ポリエステル樹脂のTgを低くし、低温で変形する性質を付与しやすくするために、前記ポリエステル樹脂は、構成成分にジカルボン酸成分を含み、前記ジカルボン酸成分は、炭素数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸を含有することが好ましい。
前記ポリエステル樹脂において、前記炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸を、30mol%以上含有することが好ましい。
前記炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などが挙げられる。
−ジオール成分−
前記ジオール成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の脂肪族ジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン基を有するジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;脂環式ジオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;ビスフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等のビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。これらの中でも、炭素数4〜12の脂肪族ジオールが好ましい。
これらのジオールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−ジカルボン酸成分−
前記ジカルボン酸成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。また、これらの無水物を用いてもよいし、低級(炭素数1〜3)アルキルエステル化物を用いてもよいし、ハロゲン化物を用いてもよい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
前記炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
これらのジカルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−3価以上のアルコール−
前記3価以上のアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3価以上の脂肪族アルコール、3価以上のポリフェノール類、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。
前記3価以上の脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。
前記3価以上のポリフェノール類としては、例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどが挙げられる。
前記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物としては、例えば、3価以上のポリフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したものなどが挙げられる。
−ポリイソシアネート−
前記ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジイソシアネート、3価以上のイソシアネートなどが挙げられる。
前記ジイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたものなどが挙げられる。
前記3価以上のイソシアネートとしては、例えばリジントリイソシアネート、又は3価以上のアルコールをジイソシアネートで反応させたもの、ポリイソシアネートを反応させ、イソシアヌレート化させたものなどが挙げられる。
中でも、より強い架橋点として作用し、耐熱保存性、耐高温オフセット性に更に優れることから、イソシアヌレート骨格を有するポリイソシアネートを使用することが更に好ましい。
3価のイソシアネート成分は、前記トナーのTHF不溶分中の樹脂組成分に対して0.2mol%以上1.0mol%以下であることが好ましい。3価のイソシアネート成分により架橋構造を形成する場合、架橋点におけるウレタンまたはウレア結合による擬似架橋により分子鎖の凝集力が高くなることにより、少ない架橋密度でも耐熱保存性を向上させることができ、低温定着性を高いレベルで達成することができる。3価のイソシアネート成分が0.2mol%未満である場合、分岐構造の形成が不十分になり、網目構造が不均一になる部分が起点となることにより耐熱保存性、耐フィルミング性が悪化する場合がある。3価のイソシアネート成分が1.0mol%より大きい場合、緻密な架橋構造を形成することによって低温定着性が悪化する場合がある。
前記脂肪族ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトカプロン酸メチル、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香族ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリレンジイソシアネート、ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3−メチルジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナト−ジフェニルエーテルなどが挙げられる。
前記芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記イソシアヌレート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリス(イソシアナトアルキル)イソシアヌレート、トリス(イソシアナトシクロアルキル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
これらのポリイソシアネートは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−硬化剤−
前記硬化剤としては、ポリエステルプレポリマー(前記R2のポリエステル部と前記ポリイソシアネートとの反応生成物、つまり硬化剤と反応させる反応前駆体をいう)と反応し、前記ポリエステル樹脂を生成できる硬化剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性水素基含有化合物などが挙げられる。
−−活性水素基含有化合物−−
前記活性水素基含有化合物における活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記活性水素基含有化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ウレア結合を形成可能な点で、アミン類が好ましい。
前記アミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジアミン、3価以上のアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸、これらのアミノ基をブロックしたものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ジアミン、ジアミンと少量の3価以上のアミンとの混合物が好ましい。
前記ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミンなどが挙げられる。前記芳香族ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。前記脂環式ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどが挙げられる。前記脂肪族ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。
前記3価以上のアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
前記アミノアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
前記アミノメルカプタンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
前記アミノ酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
前記アミノ基をブロックしたものとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ基を、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類でブロックすることにより得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、−60℃以上0℃以下であることが好ましく、−40℃以上−20℃以下がより好ましい。
前記ガラス転移温度が、−60℃未満であると、低温でのトナーの流動が抑制できずに、耐熱保存性が悪化し、また、耐フィルミング性が悪化することがある。
前記ガラス転移温度が、0℃を超えると、定着時の加熱及び加圧によるトナーが十分に変形できず、低温定着性が不十分であることがある。
前記ポリエステル樹脂において、上記構造式1)〜3)中、R1は、下記構造式(I)で表されるイソシアヌレート骨格を有しているのが、耐熱保存性、耐高温オフセット性の点で好ましい。
また、前記ポリエステル樹脂において、詳細な理由は明らかではないが、分子の三次元的な網目構造が低温定着性と画像光沢、耐熱保存性、耐オフセット性を両立させるのに適した状態になることから、上記構造式1)〜3)中、nは3であるとより好ましい。
また、前記ポリエステル樹脂において、上記構造式1)〜3)中、R1の有機基としては、炭素数が短い有機基で構成されることが、網目構造が均一化しやすい点で好ましく、炭素数20以下の脂肪族、芳香族有機基が好ましい。
またR1の有機基は、エステル結合を含んでもよい。
中でも、架橋点の凝集力を適切な範囲に調整でき、高光沢と耐熱保存性を両立しやすい点から、R1の有機基としては、脂肪族系、又はエステル結合を含んでなる脂肪族系化合物が好ましい。
前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定において、20,000以上1,000,000以下が好ましい。
前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、前記反応性前駆体と前記硬化剤とを反応させた反応生成物の分子量をいう。
前記重量平均分子量が、20,000未満であると、トナーが低温で流動しやすくなり、耐熱保存性に劣る場合がある。
また溶融時の粘性が低くなり、高温オフセット性が低下する場合がある。
本発明でいう前記ポリエステル樹脂としては、上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂が含有されていればよく、上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂を単独で使用してもよいし、あるいは上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂(第一のポリエステル樹脂ともいう)の他に、他のポリエステル樹脂(第二のポリエステル樹脂ともいう)を併用してもよい。
<<他のポリエステル樹脂>>
前記他のポリエステル樹脂(第二のポリエステル樹脂)は、例えば、構成成分として、ジオール成分及びジカルボン酸成分を含む。
前記他のポリエステル樹脂は、上記1)〜3)のいずれかの構造式を有する前記ポリエステル樹脂とは異なる種類のポリエステル樹脂をいう。
前記他のポリエステル樹脂は、非晶質ポリエステル樹脂であることが好ましい。
また、前記他のポリエステル樹脂は、線状のポリエステル樹脂であることが好ましい。
さらにまた、前記他のポリエステル樹脂としては、未変性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
ここで、未変性ポリエステル樹脂とは、多価アルコールと、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸エステルなどの多価カルボン酸又はその誘導体とを用いて得られるポリエステル樹脂であって、イソシアネート化合物などにより変性されていないポリエステル樹脂をいう。
前記多価アルコールとしては、例えば、ジオールなどが挙げられる。
前記ジオールとしては、例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物;エチレングリコール、プロピレングリコール;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価カルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸などが挙げられる。
前記ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸;ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、酸価、水酸基価を調整する目的で、前記他のポリエステル樹脂は、その樹脂鎖の末端に3価以上のカルボン酸及び3価以上のアルコールの少なくともいずれかを含んでいてもよい。
前記3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、又はそれらの酸無水物などが挙げられる。
前記3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
前記他のポリエステル樹脂の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分子量が低すぎる場合、トナーの耐熱保存性、現像機内での攪拌等のストレスに対する耐久性に劣る場合があり、分子量が高すぎる場合、トナーの溶融時の粘弾性が高くなり低温定着性に劣る場合があることから、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定において、重量平均分子量(Mw)3,000〜10,000であることが好ましい。
また、数平均分子量(Mn)は、1,000〜4,000であることが好ましい。
また、Mw/Mnは、1.0〜4.0であることが好ましい。
前記重量平均分子量(Mw)は、4,000〜7,000がより好ましい。
前記数平均分子量(Mn)は、1,500〜3,000がより好ましい。
前記Mw/Mnは、1.0〜3.5がより好ましい。
前記他のポリエステル樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mgKOH/g〜50mgKOH/gが好ましく、5mgKOH/g〜30mgKOH/gがより好ましい。
前記酸価が、1mgKOH/g以上であることにより、トナーが負帯電性となりやすく、更には、紙への定着時に、紙とトナーの親和性が良くなり、低温定着性を向上させることができる。
前記酸価が、50mgKOH/gを超えると、帯電安定性、特に環境変動に対する帯電安定性が低下することがある。
前記他のポリエステル樹脂の水酸基価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mgKOH/g以上であることが好ましい。
前記他のポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40℃以上70℃以下が好ましく、50℃以上60℃以下がより好ましい。
前記ガラス転移温度が、40℃未満であると、トナーの耐熱保存性、及び現像機内での攪拌等のストレスに対する耐久性が劣り、また、耐フィルミング性が悪化することがある。
前記ガラス転移温度が、70℃を超えると、トナーの定着時における加熱及び加圧による変形が十分ではなく、低温定着性が不十分となることがある。
前記ポリエステル樹脂(上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂の単独使用、及び他のポリエステル樹脂との併用のいずれの場合も含む)の分子構造は、溶液又は固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定などにより確認することができる。簡便には赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm−1及び990±10cm−1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有しないものを前記ポリエステル樹脂として検出する方法が挙げられる。
前記ポリエステル樹脂(上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂の単独使用、及び他のポリエステル樹脂との併用のいずれの場合も含む)の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記ポリエステル樹脂が、上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂と他のポリエステル樹脂との2種類を含有する場合には、前記トナー100質量部に対して、上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂は、5質量部〜25質量部含有させることが好ましく、10質量部〜20質量部がより好ましい。前記含有量が、5質量部未満であると、低温定着性、及び耐高温オフセット性が悪化することがあり、25質量部を超えると、耐熱保存性の悪化、及び定着後に得られる画像の光沢度が低下することがある。前記含有量が、前記より好ましい範囲内であると、低温定着性、耐高温オフセット性、及び耐熱保存性の全てに優れる点で有利である。
一方、前記トナー100質量部に対して、他のポリエステル樹脂は、50質量部〜90質量部含有させることが好ましく、60質量部〜80質量部がより好ましい。前記含有量が、50質量部未満であると、トナー中の顔料、離型剤の分散性が悪化し、画像のかぶり、乱れを生じやすくなることがあり、90質量部を超えると、後述する結晶性ポリエステル樹脂や上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂の含有量が少なくなるため、低温定着性に劣ることがある。前記含有量が、前記より好ましい範囲であると、高画質、及び低温定着性の全てに優れる点で有利である。
<結晶性ポリエステル樹脂>
前記結晶性ポリエステル樹脂は、高い結晶性をもつために、定着開始温度付近において急激な粘度低下を示す熱溶融特性を示す。このような特性を有する前記結晶性ポリエステル樹脂を前記ポリエステル樹脂と共に用いることで、溶融開始温度直前までは結晶性による耐熱保存性がよく、溶融開始温度では結晶性ポリエステル樹脂の融解による急激な粘度低下(シャープメルト)を起こし、それに伴い前記ポリエステル樹脂と相溶し、共に急激に粘度低下することで定着することから、良好な耐熱保存性と低温定着性とを兼ね備えたトナーが得られる。また、離型幅(定着下限温度と耐高温オフセット発生温度との差)についても、良好な結果を示す。
前記結晶性ポリエステル樹脂は、多価アルコールと、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸エステルなどの多価カルボン酸又はその誘導体とを用いて得られる。
なお、本発明において結晶性ポリエステル樹脂とは、上記のごとく、多価アルコールと、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸エステル等の多価カルボン酸又はその誘導体とを用いて得られるものを指し、ポリエステル樹脂を変性したもの、例えば、前記プレポリマー、及びそのプレポリマーを架橋及び/又は伸長反応させて得られる樹脂は、前記結晶性ポリエステル樹脂には属さない。
本発明での結晶性ポリエステル樹脂の結晶性の有無は、結晶解析X線回折装置(例えばX’Pert Pro MRD フィリッップス社)により確認することができる。以下測定方法を記す。
まず、対象試料を乳鉢によりすり潰し試料粉体を作成し、得られた試料粉体を試料ホルダーに均一に塗布する。その後、回折装置内に試料ホルダーをセットし、測定を行い、回折スペクトルを得る。
得られた回折ピークに20°<2θ<25°の範囲に得られたピークのうち最もピーク強度が大きいピークのピーク半値幅が2.0以下である場合結晶性を有すると判断する。
結晶性ポリエステル樹脂に対し、上記状態を示さないポリエステル樹脂を、本発明では、非晶質ポリエステル樹脂という。
以下にX線回折の測定条件を記す。
〔測定条件〕
Tension kV: 45kV
Current: 40mA
MPSS
Upper
Gonio
Scanmode: continuos
Start angle : 3°
End angle : 35°
Angle Step:0.02°
Lucident beam optics
Divergence slit : Div slit 1/2
Difflection beam optics
Anti scatter slit: As Fixed 1/2
Receiving slit : Prog rec slit
−多価アルコール−
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール、3価以上のアルコールが挙げられる。
前記ジオールとしては、例えば、飽和脂肪族ジオールなどが挙げられる。前記飽和脂肪族ジオールとしては、直鎖飽和脂肪族ジオール、分岐飽和脂肪族ジオールが挙げられるが、これらの中でも、直鎖飽和脂肪族ジオールが好ましく、炭素数が2以上12以下の直鎖飽和脂肪族ジオールがより好ましい。前記飽和脂肪族ジオールが分岐型であると、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が低下してしまうことがある。また、前記飽和脂肪族ジオールの炭素数が12を超えると、実用上の材料の入手が困難となる。炭素数としては12以下であることがより好ましい。
前記飽和脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、前記結晶性ポリエステル樹脂の結晶性が高く、シャープメルト性に優れる点で、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましい。
前記3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−多価カルボン酸−
前記多価カルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2価のカルボン酸、3価以上のカルボン酸が挙げられる。
前記2価のカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸;などが挙げられ、更に、これらの無水物やこれらの低級(炭素数1〜3)アルキルエステルも挙げられる。
前記3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級(炭素数1〜3)アルキルエステルなどが挙げられる。
また、前記多価カルボン酸としては、前記飽和脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸が含まれていてもよい。更に、前記飽和脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸を含有してもよい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数4以上12以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸と、炭素数2以上12以下の直鎖飽和脂肪族ジオールとから構成されることが好ましい。即ち、前記結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数4以上12以下の飽和脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位と、炭素数2以上12以下の飽和脂肪族ジオールに由来する構成単位とを有することが好ましい。そうすることにより、結晶性が高く、シャープメルト性に優れることから、優れた低温定着性を発揮できる点で好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以上80℃以下であることが好ましい。前記融点が、60℃未満であると、結晶性ポリエステル樹脂が低温で溶融しやすく、トナーの耐熱保存性が低下することがあり、80℃を超えると、定着時の加熱による結晶性ポリエステル樹脂の溶融が不十分で、低温定着性が低下することがある。
前記結晶性ポリエステル樹脂の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分子量分布がシャープで低分子量のものが低温定着性に優れ、かつ分子量が低い成分が多いと耐熱保存性が低下するという観点から、前記結晶性ポリエステル樹脂のオルトジクロロベンゼンの可溶分が、GPC測定において、重量平均分子量(Mw)3,000〜30,000、数平均分子量(Mn)1,000〜10,000、Mw/Mn1.0〜10であることが好ましい。さらには、重量平均分子量(Mw)5,000〜15,000、数平均分子量(Mn)2,000〜10,000、Mw/Mn1.0〜5.0であることが好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、紙と樹脂との親和性の観点から、所望の低温定着性を達成するためには、5mgKOH/g以上が好ましく、10mgKOH/g以上がより好ましい。一方、耐高温オフセット性を向上させるには、45mgKOH/g以下が好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、所望の温定着性を達成し、かつ良好な帯電特性を達成するためには、0mgKOH/g〜50mgKOH/gが好ましく、5mgKOH/g〜50mgKOH/gがより好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の分子構造は、溶液又は固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定などにより確認することができる。簡便には赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm−1又は990±10cm−1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有するものを結晶性ポリエステル樹脂として検出する方法が挙げられる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー100質量部に対して、3質量部〜20質量部が好ましく、5質量部〜15質量部がより好ましい。前記含有量が、3質量部未満であると、結晶性ポリエステル樹脂によるシャープメルト化が不十分なため低温定着性に劣ることがあり、20質量部を超えると、耐熱保存性が低下すること、及び画像のかぶりが生じやすくなることがある。前記含有量が、前記より好ましい範囲内であると、高画質、及び低温定着性の全てに優れる点で有利である。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、例えば、離型剤、着色剤、帯電制御剤、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料などが挙げられる。
−離型剤−
前記離型剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。
ロウ類及びワックス類の離型剤としては、例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス;などの天然ワックスが挙げられる。
また、これら天然ワックスのほか、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス;などが挙げられる。
更に、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド系化合物;低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等);側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子、などを用いてもよい。
これらの中でも、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの炭化水素系ワックスが好ましい。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以上80℃以下が好ましい。前記融点が、60℃未満であると、低温で離型剤が溶融しやすくなり、耐熱保存性が劣る場合がある。前記融点が、80℃を超えると、樹脂が溶融して定着温度領域にある場合でも、離型剤が充分溶融せずに定着オフセットを生じ、画像の欠損を生じる場合がある。
前記離型剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー100質量部に対して、2質量部〜10質量部が好ましく、3質量部〜8質量部がより好ましい。前記含有量が、2質量部未満であると、定着時の耐高温オフセット性、及び低温定着性に劣ることがあり、10質量部を超えると、耐熱保存性が低下すること、及び画像のかぶりなどが生じやすくなることがある。前記含有量が、前記より好ましい範囲内であると、高画質化、及び定着安定性を向上させる点で有利である。
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンなどが挙げられる。
前記着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー100質量部に対して、1質量部〜15質量部が好ましく、3質量部〜10質量部がより好ましい。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造又はマスターバッチとともに混練される樹脂としては、例えば、前記他のポリエステル樹脂の他にポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合し、混練して得ることができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練を行い、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。
具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業株式会社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
前記帯電制御剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがある。これらの帯電制御剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させることもできるし、もちろん有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えてもよいし、トナー表面にトナー粒子作製後固定化させてもよい。
−外添剤−
前記外添剤としては酸化物微粒子の他に、無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができるが、疎水化処理された一次粒子の平均粒径は1nm〜100nmが好ましく、5nm〜70nmの無機微粒子がより好ましい。
また、疎水化処理された一次粒子の平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも1種類以上含み、かつ30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類含むことが好ましい。また、BET法による比表面積は、20m/g〜500m/gであることが好ましい。
前記外添剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ微粒子、疎水性シリカ、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等)、金属酸化物(例えばチタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモン等)、フルオロポリマーなどが挙げられる。
好適な添加剤としては、疎水化されたシリカ、チタニア、酸化チタン、アルミナ微粒子が挙げられる。シリカ微粒子としては、例えば、R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも、日本アエロジル社製)などが挙げられる。また、チタニア微粒子としては、例えばP−25(日本アエロジル社製)、STT−30、STT−65C−S(いずれも、チタン工業株式会社製)、TAF−140(富士チタン工業株式会社製)、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(いずれも、テイカ株式会社製)などが挙げられる。
疎水化処理された酸化チタン微粒子としては、例えば、T−805(日本アエロジル株式会社製)、STT−30A、STT−65S−S(いずれも、チタン工業株式会社製)、TAF−500T、TAF−1500T(いずれも、富士チタン工業株式会社製)、MT−100S、MT−100T(いずれも、テイカ株式会社製)、IT−S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
疎水化処理された酸化物微粒子、疎水化処理されたシリカ微粒子、疎水化処理されたチタニア微粒子、疎水化処理されたアルミナ微粒子は、例えば、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤で処理して得ることができる。またシリコーンオイルを必要ならば熱を加えて無機微粒子に処理した、シリコーンオイル処理酸化物微粒子、無機微粒子も好適である。
前記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。これらの中でも、シリカと二酸化チタンが特に好ましい。
前記外添剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部が好ましく、0.3質量部〜3質量部がより好ましい。
前記無機微粒子の一次粒子の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100nm以下が好ましく、3nm以上70nm以下がより好ましい。この範囲より小さいと、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくい。またこの範囲より大きいと、感光体表面を不均一に傷つけ好ましくない。
−流動性向上剤−
前記流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。前記シリカ、前記酸化チタンは、このような流動性向上剤により表面処理行い、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして使用するのが特に好ましい。
−クリーニング性向上剤−
前記クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加されるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好適である。
−磁性材料−
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライトなどが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
<ガラス転移温度(Tg1st)>
前記トナーは、示差走査熱量測定(DSC)の昇温1回目におけるガラス転移温度(Tg1st)が、20℃以上50℃以下であることが好ましい。
従来のトナーであると、Tgが50℃以下程度になると、夏場や熱帯地方を想定したトナーの輸送時、及び保管環境での温度変化によりトナーの凝集が発生しやすくなる。その結果、トナーボトル中での固化、及び現像機内でのトナーの固着が発生する。また、トナーボトル内でのトナー詰りによる補給不良、及び現像機内でのトナー固着による画像異常が発生しやすくなる。
本発明の前記トナーは、従来のトナーよりTgが低い。しかし、トナー中の低Tg成分である、上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂が非線状であるため、本発明の前記トナーは、耐熱保存性を保持することができる。特に、上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂が凝集力の高いウレタン結合又はウレア結合を有する場合には、耐熱保存性を保持する効果がより顕著になる。
前記Tg1stが、20℃未満であると、耐熱保存性の低下、現像機内でのブロッキング、及び感光体へのフィルミングが発生し、50℃を超えると、トナーの低温定着性が低下することがある。
本発明の好ましい態様として、前記ポリエステル樹脂が、上記1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂及び前記他のポリエステル樹脂の2種類を含有し、前記ポリエステル樹脂を含有するトナーのTg1stが、20℃以上50℃以下である態様が挙げられる。
また、前記トナーの示差走査熱量測定(DSC)の昇温1回目のガラス転移温度(Tg1st)と昇温2回目のガラス転移温度(Tg2nd)との差(Tg1st−Tg2nd)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10℃以上であることがより好ましい。前記差の上限は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記差(Tg1st−Tg2nd)は、50℃以下が好ましい。
本発明の好ましい態様として、前記ポリエステル樹脂に、更に結晶性ポリエステル樹脂を含有し、これらを含有するトナーのTg1stとTg2ndとの差(Tg1st−Tg2nd)が、10℃以上である態様が挙げられる。
前記差が10℃以上であると、より低温定着性に優れる点で有利である。前記差が10℃以上であることは、加熱前(昇温1回目の前)には非相溶状態で存在していた前記結晶性ポリエステル樹脂と、前記ポリエステル樹脂とが、加熱後(昇温1回目の後)には相溶状態になることを意味する。
なお、加熱後の相溶状態は、完全な相溶状態である必要はない。
前記トナーの融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以上80℃以下が好ましい。
<体積平均粒径>
前記トナーの体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm以上7μm以下であることが好ましい。また、個数平均粒径に対する体積平均粒径の比は1.2以下であることが好ましい。また、体積平均粒径が2μm以下である成分を1個数%以上10個数%以下含有することが好ましい。
<トナー及びトナー構成成分の各種特性の算出方法及び分析方法>
前記ポリエステル樹脂、前記結晶性ポリエステル樹脂、及び離型剤のSP値、Tg、酸価、水酸基価、分子量、及び融点は、それぞれ、それ自体について測定してもよいが、実際のトナーからゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等により分離を行い、その分離した各成分について後述の分析手法を採ることで、SP値、Tg、分子量、融点、構成成分の質量比を算出してもよい。
GPCによる各成分の分離は、例えば、以下の方法により行うことができる。
THF(テトラヒドロフラン)を移動相としたGPC測定において、溶出液についてフラクションコレクターなどにより分取を行い、溶出曲線の全面積分のうちの所望の分子量部分に相当するフラクションをまとめる。
このまとめた溶出液をエバポレーターなどにより濃縮及び乾燥した後、固形分を重クロロホルム又は重THFなどの重溶媒に溶解させ、H−NMR測定を行い、各元素の積分比率から、溶出成分における樹脂の構成モノマー比率を算出する。
また、他の手法としては、溶出液を濃縮後、水酸化ナトリウムなどにより加水分解を行い、分解生成物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などにより定性定量分析することで構成モノマー比率を算出する。
なお、前記トナーの製造方法が、前記非線状の反応性前駆体と前記硬化剤との伸長反応及び/又は架橋反応によりポリエステル樹脂を生成しながら、トナー母体粒子を形成する場合には、実際のトナーからGPC等により分離を行い、前記ポリエステル樹脂のTgなどを求めてもよいし、別途、前記非線状の反応性前駆体と前記硬化剤との伸長反応及び/又は架橋反応によりポリエステル樹脂を合成し、その合成したポリエステル樹脂からTgなどを測定してもよい。
<<トナー構成成分の分離手段>>
前記トナーを分析する際の各成分の分離手段の一例を詳細に示す。
まず、トナー1gを100mLのTHF中に投入し、25℃の条件下、30分間攪拌しながら可溶分が溶解した溶解液を得る。
これを目開き0.2μmのメンブランフィルターにてろ過し、トナー中のTHF可溶分を得る。
次いで、これをTHFに溶解してGPC測定用の試料とし、前述の各樹脂の分子量測定に用いるGPCに注入する。
一方、GPCの溶出液排出口にフラクションコレクターを配置して、所定のカウントごとに溶出液を分取しておき、溶出曲線の溶出開始(曲線の立ち上がり)から面積率で5%毎に溶出液を得る。
次いで、各溶出分について、1mLの重クロロホルムに30mgのサンプルを溶解させ、基準物質として0.05体積%のテトラメチルシラン(TMS)を添加する。
溶液を5mm径のNMR測定用ガラス管に充填し、核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製JNM−AL400)を用い、23℃〜25℃の温度下、128回の積算を行い、スペクトルを得る。
トナーに含まれる前記ポリエステル樹脂及び前記結晶性ポリエステル樹脂などのモノマー組成、及び構成比率は得られたスペクトルのピーク積分比率から求めることができる。
例えば、以下のようにピークの帰属を行い、それぞれの積分比から構成モノマーの成分比率を求める。
ピークの帰属は、例えば、
8.25ppm付近:トリメリット酸のベンゼン環由来(水素1個分)
8.07ppm〜8.10ppm付近:テレフタル酸のベンゼン環由来(水素4個分)
7.1ppm〜7.25ppm付近:ビスフェノールAのベンゼン環由来(水素4個分)
6.8ppm付近:ビスフェノールAのベンゼン環由来(水素4個分)及びフマル酸の二重結合由来(水素2個分)
5.2ppm〜5.4ppm付近:ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のメチン由来(水素1個分)
3.7ppm〜4.7ppm付近:ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のメチレン由来(水素2個分)及びビスフェノールAエチレンオキサイド付加物のメチレン由来(水素4個分)
1.6ppm付近:ビスフェノールAのメチル基由来(水素6個分)
とすることができる。
これらの結果から、例えば、上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂が90%以上を占めるフラクションに回収された抽出物を上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂として扱うことができる。
また、同様に前記他のポリエステル樹脂が90%以上を占めるフラクションに回収された抽出物を前記他のポリエステル樹脂として扱うことができる。
また、前記結晶性ポリエステル樹脂が90%以上を占めるフラクションに回収された抽出物を前記結晶性ポリエステル樹脂として扱うことができる。
<<トナーのTHF不溶分の分析>>
前記トナーのTHF不溶分の抽出は、例えば、次のようにして行うことができる。
THF40部に対してトナー1部を添加し6時間還流した後に、遠心分離機により不溶成分を沈降させて、不溶成分と上澄み液とを分離する。前記不溶成分を40℃、20時間乾燥させて、THF不溶分を得る。前記THF不溶分は、非線状のポリエステル樹脂に該当する。従って、前記THF不溶分には、3価のイソシアネートに由来する構造部分が複数存在する。
THF不溶分中の組成は、溶液又は固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定などにより分析することができる。
簡便には、メチル化反応試薬を用いた熱分解同時メチル化GC−MS法により、例えば以下の方法で分析可能である。
装置名:島津製作所 QP2010 フロンティアラボPy2020D
データ解析ソフト:島津製作所製 GCMSsolution
加熱温度:280℃
反応熱分解温度:300℃
カラム名:Ultra ALLOY−5 L=30m ID=0.25mm Film=0.25μm
恒温槽温度:50℃(保持1分)〜10℃/min〜330℃(保持11分)
キャリアガス:53.6kPa一定、He 1.0mL/min
注入モード:Split(1:100)
イオン化法:EI法(70eV)
測定モード:スキャンモード
ライブラリー:NIST 20 MASS SPECTRAL
<<水酸基価、酸価の測定方法>>
水酸基価は、JIS K0070−1966に準拠した方法を用いて測定することができる。
具体的には、まず、試料0.5gを100mLのメスフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5mLを加える。次に、100±5℃の温浴中で1時間〜2時間加熱した後、フラスコを温浴から取り出して放冷する。更に、水を加えて振り動かして無水酢酸を分解する。
次に、無水酢酸を完全に分解させるために、再びフラスコを温浴中で10分間以上加熱して放冷した後、有機溶剤でフラスコの壁を十分に洗う。更に、電位差自動滴定装置DL−53 Titrator(メトラー・トレド社製)及び電極DG113−SC(メトラー・トレド社製)を用いて、23℃で水酸基価を測定し、解析ソフトLabX Light Version 1.00.000を用いて解析する。なお、装置の校正には、トルエン120mLとエタノール30mLの混合溶媒を用いる。
このとき、測定条件は、以下の通りである。
〔測定条件〕
Stir
Speed[%] 25
Time[s] 15
EQP titration
Titrant/Sensor
Titrant CHONa
Concentration[mol/L] 0.1
Sensor DG115
Unit of measurement mV
Predispensing to volume
Volume[mL] 1.0
Wait time[s] 0
Titrant addition Dynamic
dE(set)[mV] 8.0
dV(min)[mL] 0.03
dV(max)[mL] 0.5
Measure mode Equilibrium controlled
dE[mV] 0.5
dt[s] 1.0
t(min)[s] 2.0
t(max)[s] 20.0
Recognition
Threshold 100.0
Steepest jump only No
Range No
Tendency None
Termination
at maximum volume[mL] 10.0
at potential No
at slope No
after number EQPs Yes
n=1
comb.termination conditions No
Evaluation
Procedure Standard
Potential1 No
Potential2 No
Stop for reevaluation No
酸価は、JIS K0070−1992に準拠した方法を用いて測定することができる。
具体的には、まず、試料0.5g(酢酸エチル可溶分では0.3g)をトルエン120mLに添加して、23℃で約10時間撹拌することにより溶解させる。次に、エタノール30mLを添加して試料溶液とする。なお、試料が溶解しない場合は、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の溶媒を用いる。
さらに、電位差自動滴定装置DL−53 Titrator(メトラー・トレド社製)及び電極DG113−SC(メトラー・トレド社製)を用いて、23℃で酸価を測定し、解析ソフトLabX Light Version 1.00.000を用いて解析する。
なお、装置の校正には、トルエン120mLとエタノール30mLの混合溶媒を用いる。
このとき、測定条件は、上記した水酸基価の場合と同様である。
酸価は、以上のようにして測定することができるが、具体的には、予め標定された0.1N水酸化カリウム/アルコール溶液で滴定し、滴定量から、酸価[mgKOH/g]=滴定量[mL]×N×56.1[mg/mL]/試料[g](ただし、Nは、0.1N水酸化カリウム/アルコール溶液のファクター)により酸価を算出する。
<<融点、及びガラス転移温度(Tg)の測定方法>>
本発明における融点、ガラス転移温度(Tg)は、例えば、DSCシステム(示差走査熱量計)(「Q−200」、TAインスツルメント社製)を用いて測定することができる。
具体的には、対象試料の融点、ガラス転移温度は、下記手順により測定できる。
まず、対象試料約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、−80℃から昇温速度10℃/minにて150℃まで加熱する(昇温1回目)。その後、150℃から降温速度10℃/minにて−80℃まで冷却させ、更に昇温速度10℃/minにて150℃まで加熱(昇温2回目)する。この昇温1回目、及び昇温2回目のそれぞれにおいて、示差走査熱量計(「Q−200」、TAインスツルメント社製)を用いてDSC曲線を計測する。
得られるDSC曲線から、Q−200システム中の解析プログラムを用いて、1回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温1回目におけるガラス転移温度を求めることができる。また同様に、2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温2回目におけるガラス転移温度を求めることができる。
また、得られるDSC曲線から、Q−200システム中の解析プログラムを用いて、1回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温1回目における吸熱ピークトップ温度を融点として求めることができる。また同様に、2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温2回目における吸熱ピークトップ温度を融点として求めることができる。
本明細書では、対象試料としてトナーを用いた際の、1回目昇温時におけるガラス転移温度をTg1st、2回目昇温時におけるガラス転移温度をTg2ndとする。
また、本明細書では、前記ポリエステル樹脂、前記結晶性ポリエステル樹脂、更には前記離型剤等のその他構成成分のガラス転移温度、融点については、特に断りが無い場合、2回目昇温時における吸熱ピークトップ温度、Tgを各対象試料の融点、Tgとする。
<<粒度分布の測定方法>>
前記トナーの体積平均粒径(D4)と個数平均粒径(Dn)、その比(D4/Dn)は、例えば、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)等を用いて測定することができる。
本発明ではコールターマルチサイザーIIを使用した。
以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100mL〜150mL中に分散剤として界面活性剤(好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性の界面活性剤))を0.1mL〜5mL加える。ここで、電解水溶液とは1級塩化ナトリウムを用いて1質量%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2mg〜20mg加える。
試料を懸濁した電解水溶液は、超音波分散器で約1分間〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。
得られた分布から、トナーの体積平均粒径(D4)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00μm以上2.52μm未満;2.52μm以上3.17μm未満;3.17μm以上4.00μm未満;4.00μm以上5.04μm未満;5.04μm以上6.35μm未満;6.35μm以上8.00μm未満;8.00μm以上10.08μm未満;10.08μm以上12.70μm未満;12.70μm以上16.00μm未満;16.00μm以上20.20μm未満;20.20μm以上25.40μm未満;25.40μm以上32.00μm未満;32.00μm以上40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上40.30μm未満の粒子を対象とする。
<<分子量の測定>>
トナーの各構成成分の分子量は、例えば、以下の方法で測定することができる。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定装置:GPC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel SuperHZM−H 15cm 3連(東ソー社製)
温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流速:0.35mL/min
試料:0.15質量%の試料を0.4mL注入
試料の前処理:トナーをテトラヒドロフランTHF(安定剤含有和光純薬製)に0.15質量%で溶解後0.2μmフィルターで濾過し、その濾液を試料として用いる。
前記THF試料溶液を100μL注入して測定する。
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580を用いる。
検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
<トナーの製造方法>
前記トナーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナーは、前記ポリエステル樹脂を含み、好ましく前記結晶性ポリエステル樹脂を更に含み、更に必要に応じて、前記離型剤、前記着色剤などを含む油相を水系媒体中で分散させることにより造粒されることが好ましい。特に前記ポリエステル樹脂が、上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂と、前記他のポリエステル樹脂との2種類のポリエステル樹脂を含んでいるとより好ましい。
また、前記トナーは、前記ポリエステル樹脂として、前記ポリエステルプレポリマー(前記R2のポリエステル部と前記ポリイソシアネートとの反応生成物、つまり硬化剤と反応させる反応前駆体をいう)であるポリエステル樹脂と、ウレタン結合及びウレア結合を有しない前記他のポリエステル樹脂を含み、好ましくは前記結晶性ポリエステル樹脂を含み、更に必要に応じて、前記硬化剤、前記離型剤、前記着色剤などを含む油相を水系媒体中で分散させることにより造粒されることがさらに好ましい。
このような前記トナーの製造方法の一例としては、公知の溶解懸濁法が挙げられる。前記トナーの製造方法の一例として、前記ポリエステルプレポリマーと前記硬化剤との伸長反応及び/又は架橋反応により上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂を生成しながら、トナー母体粒子を形成する方法を以下に示す。このような方法においては、水系媒体の調製、トナー材料を含有する油相の調製、トナー材料の乳化乃至分散、有機溶媒の除去を行う。
−水系媒体(水相)の調製−
前記水系媒体の調製は、例えば、樹脂粒子を水系媒体に分散させることにより行うことができる。前記樹脂粒子の水系媒体中の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記水系媒体100質量部に対して、0.5質量部〜10質量部が好ましい。
前記水系媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、水と混和可能な溶媒、これらの混合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水が好ましい。
前記水と混和可能な溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セロソルブ類、低級ケトン類などが挙げられる。前記アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどが挙げられる。前記低級ケトン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
−油相の調製−
前記トナー材料を含有する油相の調製は、前記ポリエステルプレポリマーと、前記他のポリエステル樹脂と、前記結晶性ポリエステル樹脂とを少なくとも含み、更に必要に応じて前記硬化剤、前記離型剤、前記着色剤などを含むトナー材料を、有機溶媒中に溶解乃至分散させることにより行うことができる。
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、除去が容易である点で、沸点が150℃未満の有機溶媒が好ましい。
前記沸点が150℃未満の有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等が好ましく、酢酸エチルがより好ましい。
−乳化乃至分散−
前記トナー材料の乳化乃至分散は、前記トナー材料を含有する油相を、前記水系媒体中に分散させることにより行うことができる。そして、前記トナー材料を乳化乃至分散させる際に、前記硬化剤と前記ポリエステルプレポリマーとを伸長反応及び/又は架橋反応させることにより、上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂が生成する。
上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂は、例えば、以下の(1)〜(3)の方法により生成させることができる。
(1)前記ポリエステルプレポリマーと前記硬化剤とを含む油相を、水系媒体中で乳化又は分散させ、水系媒体中で前記硬化剤と前記ポリエステルプレポリマーとを伸長反応及び/又は架橋反応させることにより上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂を生成させる方法。
(2)前記ポリエステルプレポリマーを含む油相を、予め前記硬化剤を添加した水系媒体中で乳化又は分散させ、水系媒体中で前記硬化剤と前記ポリエステルプレポリマーとを伸長反応及び/又は架橋反応させることにより上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂を生成させる方法。
(3)前記ポリエステルプレポリマーを含む油相を水系媒体中で乳化又は分散させた後で、水系媒体中に前記硬化剤を添加し、水系媒体中で粒子界面から前記硬化剤と前記ポリエステルプレポリマーとを伸長反応及び/又は架橋反応させることにより上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂を生成させる方法。
なお、粒子界面から前記硬化剤と前記ポリエステルプレポリマーとを伸長反応及び/又は架橋反応させる場合、生成するトナーの表面に優先的に上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂が形成され、トナー中に上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂の濃度勾配を設けることもできる。
上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂を生成させるための反応条件(反応時間、反応温度)としては、特に制限はなく、前記硬化剤と、前記ポリエステルプレポリマーとの組み合わせに応じて、適宜選択することができる。
前記反応時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましい。
前記反応温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0℃〜150℃が好ましく、40℃〜98℃がより好ましい。
前記水系媒体中において、前記ポリエステルプレポリマーを含有する分散液を安定に形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水系媒体相中に、トナー材料を溶媒に溶解乃至分散させて調製した油相を添加し、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。
前記分散のための分散機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機などが挙げられる。
これらの中でも、分散体(油滴)の粒子径を2μm〜20μmに制御することができる点で、高速せん断式分散機が好ましい。
前記高速せん断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度等の条件は、目的に応じて適宜選択することができる。
前記回転数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000rpm〜30,000rpmが好ましく、5,000rpm〜20,000rpmがより好ましい。
前記分散時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、バッチ方式の場合、0.1分間〜5分間が好ましい。
前記分散温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、加圧下において、0℃〜150℃が好ましく、40℃〜98℃がより好ましい。なお、一般に、前記分散温度が高温である方が分散は容易である。
前記トナー材料を乳化乃至分散させる際の、水系媒体の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー材料100質量部に対して、50質量部〜2,000質量部が好ましく、100質量部〜1,000質量部がより好ましい。
前記水系媒体の使用量が、50質量部未満であると、前記トナー材料の分散状態が悪くなって、所定の粒子径のトナー母体粒子が得られないことがあり、2,000質量部を超えると、生産コストが高くなることがある。
前記トナー材料を含有する油相を乳化乃至分散する際には、油滴等の分散体を安定化させ、所望の形状にすると共に粒度分布をシャープにする観点から、分散剤を用いることが好ましい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤などを用いることができる。
前記陰イオン界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、フルオロアルキル基を有するものが好ましい。
上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂を生成させる際の伸長反応及び/又は架橋反応には、触媒を用いることができる。
前記触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレートなどが挙げられる。
−有機溶媒の除去−
前記乳化スラリー等の分散液から有機溶媒を除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、反応系全体を徐々に昇温させて、油滴中の有機溶媒を蒸発させる方法、分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の有機溶媒を除去する方法などが挙げられる。
前記有機溶媒が除去されると、トナー母体粒子が形成される。トナー母体粒子に対しては、洗浄、乾燥等を行うことができ、さらに分級等を行うことができる。前記分級は、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離などにより、微粒子部分を取り除くことにより行ってもよいし、乾燥後に分級操作を行ってもよい。
前記得られたトナー母体粒子は、前記外添剤、前記帯電制御剤等の粒子と混合してもよい。このとき、機械的衝撃力を印加することにより、トナー母体粒子の表面から前記外添剤等の粒子が脱離するのを抑制することができる。
前記機械的衝撃力を印加する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高速で回転する羽根を用いて混合物に衝撃力を印加する方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させて粒子同士又は粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などが挙げられる。
前記方法に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
(現像剤)
本発明の現像剤は、少なくとも前記トナーを含み、必要に応じてキャリア等の適宜選択されるその他の成分を含む。
このため、転写性、帯電性等に優れ、高画質な画像を安定に形成することができる。なお、現像剤は、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命が向上することから、二成分現像剤が好ましい。
前記現像剤を一成分現像剤として用いる場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するブレード等の部材へのトナーの融着が少なく、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
前記現像剤を二成分現像剤として用いる場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像装置における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
<キャリア>
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層を有するものが好ましい。
−芯材−
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50emu/g〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム系材料、50emu/g〜90emu/gのマンガン−マグネシウム系材料などが挙げられる。また、画像濃度を確保するためには、100emu/g以上の鉄粉、75emu/g〜120emu/gのマグネタイト等の高磁化材料を用いることが好ましい。また、穂立ち状態となっている現像剤の感光体に対する衝撃を緩和でき、高画質化に有利であることから、30emu/g〜80emu/gの銅−亜鉛系等の低磁化材料を用いることが好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記芯材の体積平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm〜150μmが好ましく、40μm〜100μmがより好ましい。前記体積平均粒子径が10μm未満であると、キャリア中に微粉が多くなり、一粒子当たりの磁化が低下してキャリアの飛散が生じることがあり、150μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特に、ベタ部の再現が悪くなることがある。
前記トナーを二成分系現像剤に用いる場合には、前記キャリアと混合して用いればよい。前記二成分現像剤中の前記キャリアの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記二成分現像剤100質量部に対して、90質量部〜98質量部が好ましく、93質量部〜97質量部がより好ましい。
本発明の現像剤は、磁性一成分現像方法、非磁性一成分現像方法、二成分現像方法等の公知の各種電子写真法による画像形成に好適に用いることができる。
本発明におけるトナー収容ユニットとは、トナーを収容する機能を有するユニットに、トナーを収容したものをいう。ここで、トナー収容ユニットの態様としては、例えばトナー収容容器、現像器、プロセスカートリッジ等があげられる。
トナー収容容器とは、トナーを収容した容器をいう。
現像器は、トナーを収容し現像する手段を有するものをいう。
プロセスカートリッジとは、少なくとも像担持体と現像手段とを一体とし、トナーを収容し、画像形成装置に対して着脱可能であるものをいう。前記プロセスカートリッジは、更に帯電手段、露光手段、クリーニング手段のから選ばれる少なくとも一つを備えてもよい。
本発明のトナー収容ユニットを、画像形成装置に装着して画像形成することで、フィルミングがなく、優れた低温定着性、耐高温オフセット性、高光沢、高色再現性、及び耐熱保存性を有するという前記トナーの特徴を活かした画像形成を行うことができる。
以下では、特にトナーを含む現像剤を収容する現像剤収容容器について説明する。
(現像剤収容容器)
本発明に関する現像剤収容容器は、本発明の現像剤が収容されているが、容器としては、特に限定されず、公知のものの中から適宜選択することができるが、容器本体とキャップを有するもの等が挙げられる。
また、容器本体の大きさ、形状、構造、材質等は、特に限定されないが、形状は、円筒状等であることが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより、内容物である現像剤が排出口側に移行することが可能であり、スパイラル状の凹凸の一部又は全てが蛇腹機能を有することが特に好ましい。さらに、材質は、特に限定されないが、寸法精度がよいものであることが好ましく、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
現像剤収容容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れるため、後述するプロセスカートリッジ、画像形成装置等に着脱可能に取り付け、現像剤の補給に使用することができる。
(画像形成装置、及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
本発明に関する画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記画像形成方法は、前記画像形成装置により好適に行うことができ、前記静電潜像形成工程は、前記静電潜像形成手段により好適に行うことができ、前記現像工程は、前記現像手段により好適に行うことができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
<静電潜像担持体>
前記静電潜像担持体の材質、構造、大きさとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、その材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコンが好ましい。
前記アモルファスシリコン感光体としては、例えば、支持体を50℃〜400℃に加熱し、該支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD(化学気相成長、Chemical Vapor Deposition)法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりa−Siからなる光導電層を有する感光体を用いることができる。これらの中でも、プラズマCVD法、即ち、原料ガスを直流又は高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が好適である。
前記静電潜像担持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、円筒状が好ましい。前記円筒状の前記静電潜像担持体の外径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3mm〜100mmが好ましく5mm〜50mmがより好ましく、10mm〜30mmが特に好ましい。
<静電潜像形成手段及び静電潜像形成工程>
前記静電潜像形成手段としては、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記静電潜像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光部材とを少なくとも有する手段などが挙げられる。
前記静電潜像形成工程としては、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記静電潜像担持体の表面を帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段を用いて行うことができる。
−帯電部材及び帯電−
前記帯電部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器などが挙げられる。
前記帯電は、例えば、前記帯電部材を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電部材の形状としては、ローラの他にも、磁気ブラシ、ファーブラシ等どのような形態をとってもよく、前記画像形成装置の仕様や形態にあわせて選択することができる。
前記帯電部材としては、前記接触式の帯電部材に限定されるものではないが、帯電部材から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られるので、接触式の帯電部材を用いることが好ましい。
−露光部材及び露光−
前記露光部材としては、前記帯電部材により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光部材などが挙げられる。
前記露光部材に用いられる光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般などが挙げられる。
また、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
前記露光は、例えば、前記露光部材を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
<現像手段及び現像工程>
前記現像手段としては、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を現像して可視像を形成する、トナーを備える現像手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記現像工程としては、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよい。また、単色用現像手段であってもよいし、多色用現像手段であってもよい。
前記現像手段としては、前記トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に前記トナーを含む現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有する現像装置が好ましい。
前記現像手段内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体近傍に配置されている。そのため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
<その他の手段及びその他の工程>
前記その他の手段としては、例えば、転写手段、定着手段、クリーニング手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段などが挙げられる。
前記その他の工程としては、例えば、転写工程、定着工程、クリーニング工程、除電工程、リサイクル工程、制御工程などが挙げられる。
−転写手段及び転写工程−
前記転写手段としては、可視像を記録媒体に転写する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
前記転写工程としては、可視像を記録媒体に転写する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましい。
前記転写工程は、例えば、前記可視像を、転写帯電器を用いて前記感光体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。
ここで、前記記録媒体上に二次転写される画像が複数色のトナーからなるカラー画像である場合に、前記転写手段により、前記中間転写体上に各色のトナーを順次重ね合わせて当該中間転写体上に画像を形成し、前記中間転写手段により、当該中間転写体上の画像を前記記録媒体上に一括で二次転写する構成とすることができる。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルトなどが好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記感光体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写器としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器などが挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
−定着手段及び定着工程−
前記定着手段としては、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧部材が好ましい。前記加熱加圧部材としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せなどが挙げられる。
前記定着工程としては、前記記録媒体に転写された可視像を定着させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着工程は、前記定着手段により行うことができる。
前記加熱加圧部材における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記定着工程における面圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10N/cm〜80N/cmであることが好ましい。
−クリーニング手段及びクリーニング工程−
前記クリーニング手段としては、前記感光体上に残留する前記トナーを除去できる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナなどが挙げられる。
前記クリーニング工程としては、前記感光体上に残留する前記トナーを除去できる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記クリーニング手段により行うことができる。
−除電手段及び除電工程−
前記除電手段としては、前記感光体に対し除電バイアスを印加して除電する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電ランプなどが挙げられる。
前記除電工程としては、前記感光体に対し除電バイアスを印加して除電する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記除電手段により行うことができる。
−リサイクル手段及びリサイクル工程−
前記リサイクル手段としては、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像装置にリサイクルさせる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の搬送手段などが挙げられる。
前記リサイクル工程としては、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像装置にリサイクルさせる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記リサイクル手段により行うことができる。
−制御手段及び制御工程−
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御できる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器などが挙げられる。
前記制御工程としては、前記各工程の動きを制御できる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記制御手段により行うことができる。
次に、本発明の画像形成装置により画像を形成する方法を実施する一の態様について、図1を参照しながら説明する。図1に示すカラー画像形成装置100Aは、前記静電潜像担持体としての感光体ドラム10(以下「感光体10」と称することがある)と、前記帯電手段としての帯電ローラ20と、前記露光手段としての露光装置30と、前記現像手段としての現像器40と、中間転写体50と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、前記除電手段としての除電ランプ70とを備える。
中間転写体50は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50の近傍には、クリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。また、中間転写体50の近傍には、記録媒体としての転写紙95に現像像(トナー画像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が、中間転写体50に対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー画像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、感光体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と転写紙95との接触部との間に配置されている。
現像器40は、前記現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えている。イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えている。マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えている。シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が静電潜像担持体10と接触している。
図1に示すカラー画像形成装置100において、例えば、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置30が感光体ドラム10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光体ドラム10上に形成された静電潜像を、現像器40からトナーを供給して現像してトナー画像を形成する。該トナー画像が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に転写紙95上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙95上には転写像が形成される。なお、感光体10上の残存トナーは、クリーニング装置60により除去され、感光体10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
図2に、本発明の画像形成装置の他の一例を示す。画像形成装置100Bは、現像ベルト41を設けずに、感光体ドラム10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されている以外は、図1に示す画像形成装置100Aと同様の構成を有する。
図3に、本発明の画像形成装置の他の一例を示す。図2に示す画像形成装置は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図3中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、前記露光部材である露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される転写紙と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には前記定着手段である定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、これに押圧されて配置された加圧ローラ27とを備えている。
なお、タンデム画像形成装置においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動する。そして、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段、及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達される。そして、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図4に示すように、それぞれ、静電潜像担持体10(ブラック用静電潜像担持体10K、イエロー用静電潜像担持体10Y、マゼンタ用静電潜像担持体10M、及びシアン用静電潜像担持体10C)と、該静電潜像担持体10を一様に帯電させる前記帯電手段である帯電装置160と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記静電潜像担持体を露光(図4中、L)し、該静電潜像担持体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光装置と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する前記現像手段である現像装置61と、該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、クリーニング装置63と、除電器64とを備えている。そして、各画像形成手段18は、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用静電潜像担持体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用静電潜像担持体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用静電潜像担持体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用静電潜像担持体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出す。シートは、分離ローラ145で1枚ずつ分離されて給紙路146に送り出され、搬送ローラ147で搬送されて複写機本体150内の給紙路148に導かれ、レジストローラ49に突き当てて止められる。あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ54上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)する。そうすることにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。あるいは、シートは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導かれ、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
(プロセスカートリッジ)
本発明に関するプロセスカートリッジは、各種画像形成装置に着脱可能に成型されており、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、静電潜像担持体上に担持された静電潜像を本発明の現像剤で現像してトナー像を形成する現像手段を少なくとも有する。なお、本発明のプロセスカートリッジは、必要に応じて、他の手段をさらに有していてもよい。
前記現像手段としては、本発明の現像剤を収容する現像剤収容容器と、現像剤収容容器内に収容された現像剤を担持すると共に搬送する現像剤担持体を少なくとも有する。なお、現像手段は、担持する現像剤の厚さを規制するため規制部材等をさらに有してもよい。
図5に、本発明に関するプロセスカートリッジの一例を示す。プロセスカートリッジ110は、感光体ドラム10、コロナ帯電器52、現像器40、転写ローラ80及びクリーニング装置90を有する。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。「部」は、特に明示しない限り「質量部」を表す。「%」は、特に明示しない限り「質量%」を表す。
下記実施例における各測定値は、本明細書中に記載の方法により測定した。尚、上記構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有するポリエステル樹脂、前記他のポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂などのTg、分子量は、製造例で得られた各樹脂から測定した。
(製造例1)
<ケチミンの合成>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部、及びメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。
[ケチミン化合物1]のアミン価は418であった。
(製造例A−1)
<ポリエステル樹脂A−1の合成>
−プレポリマーA−1の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、テレフタル酸、アジピン酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.2であり、ジオール成分の構成が3−メチル−1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がテレフタル酸50mol%及びアジピン酸50mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。
その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。
その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA’−1を得た。
得られた中間体ポリエステルA’−1のTgは−40℃、Mw15,000、Mw/Mn2.0であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA’−1とリジントリイソシアネート(RTI)とをモル比(RTIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)0.2で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、中間体ポリエステルA−1溶液を得た。
得られた中間体ポリエステルA−1のTgは−35℃、Mw20,000、Mw/Mn2.2であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA−1溶液とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とをモル比(IPDIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)1.5で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、プレポリマーA−1溶液を得た。
−ポリエステル樹脂A−1の合成−
得られたプレポリマーA−1を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−1中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。
得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質のポリエステル樹脂A−1を得た。
得られたポリエステル樹脂A−1の物性値を表1−1に示す。
(製造例A−2)
<ポリエステル樹脂A−2の合成>
−プレポリマーA−2の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、テレフタル酸、アジピン酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.2であり、ジオール成分の構成が3−メチル−1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がテレフタル酸50mol%及びアジピン酸50mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。
その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。
その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA’−2を得た。
得られた中間体ポリエステルA’−2のTgは−40℃、Mw15,000、Mw/Mn2.0であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA’−2とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とをモル比(IPDIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)1.5で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、中間体ポリエステルA−2溶液を得た。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステル溶液A−2とトリメチロールプロパン(TMP)とをモル比(中間体ポリエステルA−2のイソシアネート基/TMPの水酸基)5.0で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、プレポリマーA−2を得た。
−ポリエステル樹脂A−2の合成−
得られたプレポリマーA−2を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−2中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。
得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質のポリエステル樹脂A−2を得た。
得られたポリエステル樹脂A−2の物性値を表1−1に示す。
(製造例A−3)
<ポリエステル樹脂A−3の合成>
−プレポリマーA−3の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、テレフタル酸、アジピン酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.2であり、ジオール成分の構成が3−メチル−1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がテレフタル酸50mol%及びアジピン酸50mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。
その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。
その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA’−3を得た。
得られた中間体ポリエステルA’−3のTgは−40℃、Mw15,000、Mw/Mn2.0であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA’−3とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とをモル比(IPDIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)1.5で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、中間体ポリエステルA−3溶液を得た。 得られた中間体ポリエステルA−3のTgは−35℃、Mw20,000、Mw/Mn2.2であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA−3とリジントリイソシアネート(RTI)とをモル比(RTIのイソシアネート基/中間体ポリエステルのイソシアネート基)0.2で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、反応系内に存在するNCO量に対して、モル比で0.5となる量の純水を滴下した後、100℃で5時間反応させ、プレポリマーA−3溶液を得た。
−ポリエステル樹脂A−3の合成−
得られたプレポリマーA−3を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−3中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。
得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質のポリエステル樹脂A−3を得た。
得られたポリエステル樹脂A−3の物性値を表1−1に示す。
(製造例A−4)
<ポリエステル樹脂A−4の合成>
−プレポリマーA−4の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、ヘキサンジオール、テレフタル酸、アジピン酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.2であり、ジオール成分の構成がヘキサンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がテレフタル酸30mol%及びアジピン酸70mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。
その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。
その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA’−4を得た。
得られた中間体ポリエステルA’−4のTgは−30℃、Mw12,000、Mw/Mn2.1であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA’−4とリジントリイソシアネート(RTI)とをモル比(RTIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)0.2で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、中間体ポリエステルA−4溶液を得た。
得られた中間体ポリエステルA−4のTgは−25℃、Mw18,000、Mw/Mn2.3であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA−4溶液とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とをモル比(IPDIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)1.5で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、プレポリマーA−4溶液を得た。
−ポリエステル樹脂A−4の合成−
得られたプレポリマーA−4を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−4中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。
得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質のポリエステル樹脂A−4を得た。
得られたポリエステル樹脂A−4の物性値を表1−1に示す。
(製造例A−5)
<ポリエステル樹脂A−5の合成>
−プレポリマーA−5の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、テレフタル酸、アジピン酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.2であり、ジオール成分の構成が3−メチル−1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がテレフタル酸10mol%及びアジピン酸90mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。
その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。
その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA’−5を得た。
得られた中間体ポリエステルA’−5のTgは−70℃、Mw13,000、Mw/Mn2.2であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA’−5とリジントリイソシアネート(RTI)とをモル比(RTIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)0.2で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、中間体ポリエステルA−5溶液を得た。
得られた中間体ポリエステルA−5のTgは−65℃、Mw19,000、Mw/Mn2.4であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA−5溶液とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とをモル比(IPDIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)1.5で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、プレポリマーA−5溶液を得た。
−ポリエステル樹脂A−5の合成−
得られたプレポリマーA−5を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−5中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。
得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質のポリエステル樹脂A−5を得た。
得られたポリエステル樹脂A−5の物性値を表1−1に示す。
(製造例A−6)
<ポリエステル樹脂A−6の合成>
−プレポリマーA−6の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、テレフタル酸、アジピン酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.2であり、ジオール成分の構成が3−メチル−1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がテレフタル酸90mol%及びアジピン酸10mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。
その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。
その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA’−6を得た。
得られた中間体ポリエステルA’−6のTgは−5℃、Mw13,000、Mw/Mn2.2であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA’−6とリジントリイソシアネート(RTI)とをモル比(RTIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)0.2で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、中間体ポリエステルA−6溶液を得た。
得られた中間体ポリエステルA−6のTgは0℃、Mw19,000、Mw/Mn2.4であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA−6溶液とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とをモル比(IPDIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)1.5で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、プレポリマーA−6溶液を得た。
−ポリエステル樹脂A−6の合成−
得られたプレポリマーA−6を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−6中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。
得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質のポリエステル樹脂A−6を得た。
得られたポリエステル樹脂A−6の物性値を表1−2に示す。
(製造例A−7)
<ポリエステル樹脂A−7の合成>
−プレポリマーA−7の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、テレフタル酸、アジピン酸、及びトリメチロールプロパンを、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.5であり、ジオール成分の構成が3−メチル−1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がテレフタル酸60mol%及びアジピン酸40mol%であり、全モノマー中におけるトリメチロールプロパンの量が1mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。
その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。
その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA−7を得た。
得られた中間体ポリエステルA−7のTgは−30℃、Mw10,000、Mw/Mn2.5であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA−7とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とをモル比(IPDIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)1.8で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、プレポリマーA−7を得た。
−ポリエステル樹脂A−7の合成−
得られたプレポリマーA−7を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−7中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。
得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質のポリエステル樹脂A−7を得た。
得られたポリエステル樹脂A−7の物性値を表2に示す。
(製造例A−8)
<ポリエステル樹脂A−8の合成>
−プレポリマーA−8の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、テレフタル酸、アジピン酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.2であり、ジオール成分の構成が3−メチル−1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がテレフタル酸50mol%及びアジピン酸50mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。
その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。
その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA’−8を得た。
得られた中間体ポリエステルA’−8のTgは−40℃、Mw15,000、Mw/Mn2.0であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA’−8とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とをモル比(IPDIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)0.2で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、中間体ポリエステルA−8溶液を得た。
得られた中間体ポリエステルA−8のTgは−34℃、Mw17,000、Mw/Mn2.2であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA−8溶液とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とをモル比(IPDIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)1.5で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、プレポリマーA−8溶液を得た。
−ポリエステル樹脂A−8の合成−
得られたプレポリマーA−8を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−8中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。
得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質のポリエステル樹脂A−8を得た。
得られたポリエステル樹脂A−8の物性値を表2に示す。
(製造例A−9)
<ポリエステル樹脂A−9の合成>
−プレポリマーA−9の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、イソフタル酸、アジピン酸、及び無水トリメリット酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.5であり、ジオール成分の構成が3−メチル−1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がイソフタル酸40mol%及びアジピン酸60mol%であり、全モノマー中における無水トリメリット酸の量が1mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。
その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。
その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA−9を得た。
得られた中間体ポリエステルA−9のTgは−50℃、Mw18,000、Mw/Mn2.4であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA−9とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とをモル比(IPDIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)2.0で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、プレポリマーA−9を得た。
−ポリエステル樹脂A−9の合成−
得られたプレポリマーA−9を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−9中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。
得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質のポリエステル樹脂A−9を得た。
得られたポリエステル樹脂A−9の物性値を表2に示す。
(製造例A−10)
<ポリエステル樹脂A−10の合成>
−プレポリマーA−10の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、テレフタル酸、アジピン酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.15であり、ジオール成分の構成が3−メチル−1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がテレフタル酸40mol%及びアジピン酸60mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。
その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。
その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で6時間反応し中間体ポリエステルA’−10を得た。
得られた中間体ポリエステルA’−10のTgは−50℃、Mw18,000、Mw/Mn2.0であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA’−1とヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるイソシアヌレート型トリイソシアネート((株)DIC社製 バーノックDN−901S)とをモル比(DN−901Sのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)0.1で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、中間体ポリエステルA−10溶液を得た。得られた中間体ポリエステルA−10のTgは−45℃、Mw22,000、Mw/Mn2.2であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA−10溶液とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とをモル比(IPDIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)1.5で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、プレポリマーA−10溶液を得た。
−ポリエステル樹脂A−10の合成−
得られたプレポリマーA−10を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−10中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。
得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質のポリエステル樹脂A−10を得た。
得られたポリエステル樹脂A−10の物性値を表1−2に示す。
(製造例A−11)
<ポリエステル樹脂A−11の合成>
−プレポリマーA−11の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、テレフタル酸、アジピン酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.2であり、ジオール成分の構成が3−メチル−1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がテレフタル酸15mol%及びアジピン酸85mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。
その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。
その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA’−11を得た。
得られた中間体ポリエステルA’−11のTgは−65℃、Mw14,000、Mw/Mn2.0であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA’−11とリジントリイソシアネート(RTI)とをモル比(RTIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)0.2で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、中間体ポリエステルA−11溶液を得た。
得られた中間体ポリエステルA−11のTgは−60℃、Mw20,000、Mw/Mn2.3であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA−11溶液とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とをモル比(IPDIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)1.5で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、プレポリマーA−11溶液を得た。
−ポリエステル樹脂A−11の合成−
得られたプレポリマーA−11を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−11中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。
得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質のポリエステル樹脂A−11を得た。
得られたポリエステル樹脂A−11の物性値を表1−2に示す。
(製造例A−12)
<ポリエステル樹脂A−12の合成>
−プレポリマーA−12の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、テレフタル酸、アジピン酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.2であり、ジオール成分の構成が3−メチル−1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がテレフタル酸85mol%及びアジピン酸15mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。
その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。
その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA’−12を得た。
得られた中間体ポリエステルA’−12のTgは−5℃、Mw12,000、Mw/Mn2.1であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA’−12とリジントリイソシアネート(RTI)とをモル比(RTIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)0.2で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、中間体ポリエステルA−12溶液を得た。
得られた中間体ポリエステルA−12のTgは0℃、Mw18,000、Mw/Mn2.3であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA−12溶液とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とをモル比(IPDIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)1.5で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、プレポリマーA−12溶液を得た。
−ポリエステル樹脂A−12の合成−
得られたプレポリマーA−12を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−12中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。
得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質のポリエステル樹脂A−12を得た。
得られたポリエステル樹脂A−12の物性値を表1−2に示す。
(製造例A−13)
<ポリエステル樹脂A−13の合成>
−プレポリマーA−13の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、テレフタル酸、アジピン酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.2であり、ジオール成分の構成が3−メチル−1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がテレフタル酸50mol%及びアジピン酸50mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。
その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。
その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA’−13を得た。
得られた中間体ポリエステルA’−13のTgは−40℃、Mw15,000、Mw/Mn2.0であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA’−13とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とをモル比(IPDIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)1.5で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、中間体ポリエステルA−13溶液を得た。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステル溶液A−13と1,2,3,4−ブタンテトラオール(BT)とをモル比(中間体ポリエステルA−13のイソシアネート基/BTの水酸基)5.0で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、プレポリマーA−13を得た。
−ポリエステル樹脂A−13の合成−
得られたプレポリマーA−13を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−13中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。
得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質のポリエステル樹脂A−13を得た。
得られたポリエステル樹脂A−13の物性値を表1−2に示す。
(製造例A−14)
<ポリエステル樹脂A−14の合成>
−プレポリマーA−14の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、2−メチル−1,4−ブタンジオール、テレフタル酸、アジピン酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.2であり、ジオール成分の構成が2−メチル−1,4−ブタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がテレフタル酸30mol%及びアジピン酸70mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。
その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。
その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA’−14を得た。
得られた中間体ポリエステルA’−14のTgは−32℃、Mw13,000、Mw/Mn2.1であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA’−14とリジントリイソシアネート(RTI)とをモル比(RTIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)0.2で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、中間体ポリエステルA−14溶液を得た。
得られた中間体ポリエステルA−14のTgは−27℃、Mw19,000、Mw/Mn2.3であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA−14溶液とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とをモル比(IPDIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)1.5で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、プレポリマーA−14溶液を得た。
−ポリエステル樹脂A−14の合成−
得られたプレポリマーA−14を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−14中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。
得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質のポリエステル樹脂A−14を得た。
得られたポリエステル樹脂A−14の物性値を表1−3に示す。
(製造例A−15)
<ポリエステル樹脂A−15の合成>
−プレポリマーA−15の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、1,5−ペンタンジオール、テレフタル酸、アジピン酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.2であり、ジオール成分の構成が1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がテレフタル酸60mol%及びアジピン酸40mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。
その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。
その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA’−15を得た。
得られた中間体ポリエステルA’−15のTgは−38℃、Mw12,000、Mw/Mn2.1であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA’−15とリジントリイソシアネート(RTI)とをモル比(RTIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)0.2で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、中間体ポリエステルA−15溶液を得た。
得られた中間体ポリエステルA−15のTgは−28℃、Mw18,000、Mw/Mn2.3であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA−5溶液とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とをモル比(IPDIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)1.5で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、プレポリマーA−15溶液を得た。
−ポリエステル樹脂A−15の合成−
得られたプレポリマーA−15を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−15中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。
得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質のポリエステル樹脂A−15を得た。
得られたポリエステル樹脂A−15の物性値を表1−3に示す。
(製造例A−16)
<ポリエステル樹脂A−16の合成>
−ポリエステル樹脂A−16の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、テレフタル酸、アジピン酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.1であり、ジオール成分の構成が3−メチル−1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がテレフタル酸60mol%及びアジピン酸40mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。
その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。
その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA’−16を得た。
得られた中間体ポリエステルA’−16のTgは−30℃、Mw20,000、Mw/Mn2.4であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA’−16とリジントリイソシアネート(RTI)とをモル比(RTIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)0.6で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂A−16溶液を得た。
得られた中間体ポリエステルA−16のTgは−20℃、Mw35,000、Mw/Mn2.4であった。
得られたポリエステル樹脂A−16の物性値を表1−3に示す。
(製造例A−17)
<ポリエステル樹脂A−17の合成>
−プレポリマーA−17の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、テレフタル酸、アジピン酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.18であり、ジオール成分の構成が3−メチル−1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がテレフタル酸40mol%及びアジピン酸60mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。
その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。
その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で6時間反応し中間体ポリエステルA’−17を得た。
得られた中間体ポリエステルA’−17のTgは−53℃、Mw15,000、Mw/Mn2.0であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA’−17とヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるイソシアヌレート型トリイソシアネート((株)DIC社製 バーノックDN−901S)とをモル比(DN−901Sのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)0.4で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、中間体ポリエステルA−17溶液を得た。得られた中間体ポリエステルA−17のTgは−43℃、Mw24,000、Mw/Mn2.4であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA−17溶液とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とをモル比(IPDIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)1.5で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、プレポリマーA−17溶液を得た。
−ポリエステル樹脂A−17の合成−
得られたプレポリマーA−17を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−17中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。
得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質のポリエステル樹脂A−17を得た。
得られたポリエステル樹脂A−17の物性値を表1−3に示す。
(製造例A−18)
<ポリエステル樹脂A−18の合成>
−プレポリマーA−18の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、テレフタル酸、アジピン酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.18であり、ジオール成分の構成が3−メチル−1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がテレフタル酸40mol%及びアジピン酸60mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。
その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。
その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で6時間反応し中間体ポリエステルA’−18を得た。
得られた中間体ポリエステルA’−18のTgは−53℃、Mw15,000、Mw/Mn2.0であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA’−18とヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるイソシアヌレート型トリイソシアネート((株)DIC社製 バーノックDN−901S)とをモル比(DN−901Sのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)0.8で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、中間体ポリエステルA−18溶液を得た。得られた中間体ポリエステルA−18のTgは−40℃、Mw28,000、Mw/Mn2.6であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルA−18溶液とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とをモル比(IPDIのイソシアネート基/中間体ポリエステルの水酸基)1.5で投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈後、100℃で5時間反応させ、プレポリマーA−18溶液を得た。
−ポリエステル樹脂A−18の合成−
得られたプレポリマーA−18を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−18中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。
得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質のポリエステル樹脂A−18を得た。
得られたポリエステル樹脂A−18の物性値を表1−3に示す。
(製造例B−1)
<ポリエステル樹脂B−1の合成>
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物、イソフタル酸、及びアジピン酸を、ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物とビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物とがモル比(ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物)で85/15であり、テレフタル酸とアジピン酸とがモル比(テレフタル酸/アジピン酸)で80/20であり、水酸基とカルボキシル基とのモル比であるOH/COOHが1.2となるように仕込み、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に常圧で230℃で8時間反応し、更に10mmHg〜15mmHgの減圧で4時間反応後、反応容器に無水トリメリット酸を全樹脂成分に対して1mol%になるよう入れ、180℃、常圧で3時間反応し、非晶質のポリエステル樹脂B−1を得た。
物性値を表1−1、1−2、及び2に記載した。
(製造例C−1)
<結晶性ポリエステル樹脂C−1の合成>
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ドデカン二酸、及び1,6−ヘキサンジオールを、水酸基とカルボキシル基とのモル比であるOH/COOHが0.9となるように仕込み、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に、180℃で10時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、更に8.3kPaの圧力にて2時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂C−1を得た。
物性値を表1−1、1−2、及び2に記載した。
(実施例1)
<マスターバッチ(MB)の調製>
水1,200部、カーボンブラック(Printex35デクサ製)〔DBP吸油量=42mL/100mg、pH=9.5〕500部、及び前記ポリエステル樹脂B−1 500部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分間混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕し、[マスターバッチ1]を得た。
<WAX分散液の作製>
撹拌棒、及び温度計をセットした容器に離型剤1としてパラフィンワックス50部(日本精鑞株式会社製、HNP−9、炭化水素系ワックス、融点75℃、SP値8.8)、及び酢酸エチル450部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒間、直径0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、分散を行い[WAX分散液1]を得た。
<結晶性ポリエステル樹脂分散液の作製>
撹拌棒、及び温度計をセットした容器に結晶性ポリエステル樹脂C−1 50部、及び酢酸エチル450部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒間、直径0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、分散を行ない[結晶性ポリエステル樹脂分散液1]を得た。
<油相の調製>
[WAX分散液1]500部、[プレポリマーA−1]200部、[結晶性ポリエステル樹脂分散液1]500部、[ポリエステル樹脂B−1]750部、[マスターバッチ1]100部、及び硬化剤として[ケチミン化合物1]2部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで60分間混合し、[油相1]を得た。
<有機微粒子エマルション(微粒子分散液)の合成>
撹拌棒、及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30:三洋化成工業株式会社製)11部、スチレン138部、メタクリル酸138部、及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分間で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し、5時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。
[微粒子分散液1]をLA−920(HORIBA社製)で測定した体積平均粒径は、0.14μmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。
<水相の調製>
水990部、[微粒子分散液]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業株式会社製)37部、及び酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とした。
<乳化・脱溶剤>
[油相1]が入った容器に、[水相1]1,200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、[分散スラリー1]を得た。
<洗浄・乾燥>
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する、という前記(1)〜(4)の操作を2回行い[濾過ケーキ]を得た。
[濾過ケーキ]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmのメッシュで篩い[トナー母体粒子1]を得た。
得られた[トナー母体粒子1]の構成比、Tg1st、Tg2nd、及びTHF不溶分中の樹脂組成分に対するトリイソシアネート成分の占める割合を表1−1に示す。
<外添処理>
トナー母体粒子1を100質量部に対して、平均粒径100nmの疎水性シリカ0.6質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン1.0質量部と、平均粒径15nmの疎水性シリカ微粉体を0.8部とをヘンシェルミキサーにて混合し、トナー1を得た。
<キャリアの作製>
トルエン100質量部に、シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン)100質量部、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン5質量部、及びカーボンブラック10質量部を添加し、ホモミキサーで20分間分散させて、樹脂層塗布液を調製した。流動床型コーティング装置を用いて、平均粒径50μmの球状マグネタイト1,000質量部の表面に前記樹脂層塗布液を塗布して、キャリアを作製した。
<現像剤の作製>
ボールミルを用いて、前記トナー1 5質量部と前記キャリア95質量部とを混合し、現像剤を作製した。次に、作製した各現像剤を用いて、以下のようにして諸特性の評価を行った。結果を表1−1に示す。
<低温定着性、及び耐高温オフセット性>
imageo MP C5002(株式会社リコー製)の定着部を改造した装置を用いて、タイプ6200紙(株式会社リコー製)に複写テストを行った。
具体的には、定着温度を変化させてコールドオフセット温度(定着下限温度)及び高温
オフセット温度(定着上限温度)を求めた。
定着下限温度の評価条件は、紙送りの線速度を200mm/秒間、面圧を1.0kgf/cm、ニップ幅を7mmとした。
また、定着上限温度の評価条件は、紙送りの線速度を100mm/秒間、面圧を1.0kgf/cm、ニップ幅を7mmとした。
定着下限温度110℃以下であれば、本発明で得られる低温定着性の効果として十分なものである。
定着上限温度170℃以上であれば、本発明で得られる耐高温オフセット性の効果として十分なものである。
<画像光沢>
imagioMP C5002(株式会社リコー製)の定着部を改造した装置を用いて、PODグロスコート 128g/m(王子製紙株式会社製)に複写テストを行った。
具体的には、定着温度を140度で通紙した画像の光沢度を求めた。複写テスト後の画像を光沢度計VG−7000(日本電色株式会社製)で60度光沢を計測した。
定着評価条件は、紙送りの線速度を100mm/秒間、面圧を1.0kgf/cm、ニップ幅を7mmとした。
画像光沢20以上であれば、本発明で得られる高光沢、高画質の効果として十分なものである。
<耐熱保存性>
トナーを50℃で8時間保管した後、42メッシュの篩で2分間篩い、金網上の残存率を測定した。このとき、耐熱保存性が良好なトナー程、残存率は小さい。
なお、耐熱保存性の評価基準は以下のとおりとした。
◎:残存率が5%未満
○:残存率が5%以上15%未満
△:残存率が15%以上30%未満
×:残存率が30%以上
<耐フィルミング性>
画像形成装置Ricoh pro 6001(株式会社リコー製)を用いて、30,000枚画像を形成させた後の感光体を目視で検査し、トナー成分、主に離型剤の感光体への固着が生じていないかを下記評価基準により評価した。
◎:感光体へのトナー成分の固着が確認されない
○:感光体へのトナー成分の固着が確認できるが、実用上、問題になるレベルではない
△:感光体へのトナー成分の固着が確認でき、実用上問題の出るレベルである
×:感光体へのトナー成分の固着が確認でき、実用上大きく問題のあるレベルである
(実施例2)
実施例1において、プレポリマーA−1をプレポリマーA−2に代えた以外は、実施例1と同様にして、[トナー母体粒子2]を得、係る[トナー母体粒子2]を用いた[トナー2]に対して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1−1に示す。
(実施例3)
実施例1において、プレポリマーA−1をプレポリマーA−3に代えた以外は、実施例1と同様にして、[トナー母体粒子3]を得、係る[トナー母体粒子3]を用いた[トナー3]に対して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1−1に示す。
(実施例4)
実施例1において、プレポリマーA−1をプレポリマーA−4に代えた以外は、実施例1と同様にして、[トナー母体粒子4]を得、係る[トナー母体粒子4]を用いた[トナー4]に対して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1−1に示す。
(実施例5)
実施例1において、プレポリマーA−1をプレポリマーA−5に代えた以外は、実施例1と同様にして、[トナー母体粒子5]を得、係る[トナー母体粒子5]を用いた[トナー5]に対して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1−1に示す。
(実施例6)
実施例1において、プレポリマーA−1をプレポリマーA−6に代えた以外は、実施例1と同様にして、[トナー母体粒子6]を得、係る[トナー母体粒子6]を用いた[トナー6]に対して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1−2に示す。
(実施例7)
実施例1において、プレポリマーA−1をプレポリマーA−10に代えた以外は、実施例1と同様にして、[トナー母体粒子10]を得、係る[トナー母体粒子10]を用いた[トナー10]に対して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1−2に示す。
(実施例8)
実施例1において、プレポリマーA−1をプレポリマーA−11に代えた以外は、実施例1と同様にして、[トナー母体粒子11]を得、係る[トナー母体粒子11]を用いた[トナー11]に対して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1−2に示す。
(実施例9)
実施例1において、プレポリマーA−1をプレポリマーA−12に代えた以外は、実施例1と同様にして、[トナー母体粒子12]を得、係る[トナー母体粒子12]を用いた[トナー12]に対して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1−2に示す。
(実施例10)
実施例1において、プレポリマーA−1をプレポリマーA−13に代えた以外は、実施例1と同様にして、[トナー母体粒子13]を得、係る[トナー母体粒子13]を用いた[トナー13]に対して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1−2に示す。
(実施例11)
実施例1において、プレポリマーA−1をプレポリマーA−14に代えた以外は、実施例1と同様にして、[トナー母体粒子14]を得、係る[トナー母体粒子14]を用いた[トナー14]に対して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1−3に示す。
(実施例12)
実施例1において、プレポリマーA−1をプレポリマーA−15に代えた以外は、実施例1と同様にして、[トナー母体粒子15]を得、係る[トナー母体粒子15]を用いた[トナー15]に対して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1−3に示す。
(実施例13)
実施例1において、プレポリマーA−1をポリエステル樹脂A−16溶液に代えた以外は、実施例1と同様にして、[トナー母体粒子16]を得、係る[トナー母体粒子16]を用いた[トナー16]に対して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1−3に示す。
(実施例14)
実施例1において、プレポリマーA−1をプレポリマーA−17に代えた以外は、実施例1と同様にして、[トナー母体粒子17]を得、係る[トナー母体粒子17]を用いた[トナー17]に対して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1−3に示す。
(実施例15)
実施例1において、プレポリマーA−1をプレポリマーA−18に代えた以外は、実施例1と同様にして、[トナー母体粒子18]を得、係る[トナー母体粒子18]を用いた[トナー18]に対して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1−3に示す。
(比較例1)
実施例1において、プレポリマーA−1をプレポリマーA−7に代えた以外は、実施例1と同様にして、[トナー母体粒子7]を得、係る[トナー母体粒子7]を用いた[トナー7]に対して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例1において、プレポリマーA−1をプレポリマーA−8に代えた以外は、実施例1と同様にして、[トナー母体粒子8]を得、係る[トナー母体粒子8]を用いた[トナー8]に対して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例1において、プレポリマーA−1をプレポリマーA−9に代えた以外は、実施例1と同様にして、[トナー母体粒子9]を得、係る[トナー母体粒子9]を用いた[トナー9]に対して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2に示す。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 少なくともポリエステル樹脂を含有するトナーであって、前記ポリエステル樹脂が、以下構造式1)〜3)のいずれかで表される構造を有することを特徴とするトナーである。
1) R1−(NHCONH−R2)n−
2) R1−(NHCOO−R2)n−
3) R1−(OCONH−R2)n−
(上記式中、n≧3
R1:芳香族、又は脂肪族系の有機基、
R2:ポリカルボン酸、及びポリオールの少なくともいずれかからなるポリエステル、並びにポリエステルがイソシアネート変性された変性ポリエステルのいずれかの樹脂に由来する基を表す)
<2> 前記R1が、下記構造式(I)で表されるイソシアヌレート骨格を有する前記<1>に記載のトナーである。
<3> 前記R2が、イソシアネート変性された変性ポリエステルの樹脂に由来する基である前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーである。
<4> 前記ポリエステル樹脂が、構成成分としてジオール成分を含み、前記ジオール成分が、炭素数4〜12の脂肪族ジオールを50mol%以上含有し、かつ前記ジオール成分の主鎖となる部分の炭素数が奇数であり、前記ジオール成分が、アルキル基を側鎖に有する前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーである。
<5> 前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度が、−60℃以上0℃以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載のトナーである。
<6> 前記nが3である前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーである。
<7> 前記ポリエステル樹脂が、構成成分としてジカルボン酸成分を含み、前記ジカルボン酸成分が、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸を30mol%以上含有する前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーである。
<8> 前記トナーのTHF不溶分中の樹脂組成分に対して3価のイソシアネート成分を0.2mol%〜1.0mol%含有する前記<1>から<7>のいずれかに記載のトナーである。
<9> 更に、ガラス転移温度が40℃以上70℃以下である第二のポリエステル樹脂を含有し、前記トナーの示差走査熱量測定(DSC)の昇温1回目におけるガラス転移温度(Tg1st)が20℃以上50℃以下である前記<1>から<8>のいずれかに記載のトナーである。
<10> 更に、結晶性ポリエステル樹脂を含有し、前記結晶性ポリエステル樹脂の融点が、60℃以上80℃以下であり、前記トナーの示差走査熱量測定(DSC)の昇温1回目のガラス転移温度(Tg1st)と昇温2回目のガラス転移温度(Tg2nd)との差(Tg1st−Tg2nd)が、10℃以上である前記<1>から<9>のいずれかに記載のトナーである。
<11> 前記結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数4以上12以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸と、炭素数2以上12以下の直鎖飽和脂肪族ジオールとから構成される前記<10>に記載のトナーである。
<12> 前記<1>から<11>のいずれかに記載のトナーを収容したトナー収容ユニットである。
<13> 静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を現像して可視像を形成する、トナーを備える現像手段とを有し、
前記トナーが、前記<1>から<11>のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置である。
10 静電潜像担持体
21 露光装置
25 定着装置
61 現像装置
160 帯電装置
特開平11−133665号公報 特開2002−287400号公報 特開2002−351143号公報 特許第2579150号公報 特開2001−158819号公報 特開2004−46095号公報 特開2007−271789号公報 特許第5408210号公報

Claims (12)

  1. 以下構造式1)及び3)のいずれかで表される構造を有する均一化した網目構造を有するポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂とを含有し、
    前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度が、−60℃以上0℃以下であることを特徴とするトナー。
    1)ジオール成分とジカルボン酸成分とをエステル反応させ、末端が水酸基になるポリエステルポリオール(R2)を得た後、前記ポリエステルポリオール(R2)を3価以上のポリイソシアネート(R1)で反応させて得られ、次構造式;R1−(NHCOO−R2)n−で表される構造を有するポリエステル樹脂
    3)ジオール成分とジカルボン酸成分とをエステル反応させ、末端が水酸基になるポリエステルポリオール(R2)を得た後、前記ポリエステルポリオール(R2)を2価のポリイソシアネートと反応させ、イソシアネート変性ポリエステル(R2)を得た後、純水の存在下において前記イソシアネート変性ポリエステル(R2)に3価以上のポリイソシアネート(R1)を反応させて得られ、次構造式;R1−(NHCONH−R2)n−で表される構造を有するポリエステル樹脂
    (上記式中、n≧3
    R1:下記構造式(I)で表されるイソシアヌレート骨格を有する基を表す
    R2:ポリカルボン酸、及びポリオールの少なくともいずれかからなる直鎖状のポリエステル、並びにポリエステルがイソシアネート変性された直鎖状の変性ポリエステルのいずれかの樹脂に由来する基を表す)
  2. 前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、前記トナー100質量部に対し、3質量部以上20質量部以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記構造式3)の前記R2が、イソシアネート変性された変性ポリエステルの樹脂に由来する基である請求項1から2のいずれかに記載のトナー。
  4. 前記ポリエステル樹脂が、構成成分としてジオール成分を含み、前記ジオール成分が、炭素数4〜12の脂肪族ジオールを50mol%以上含有し、かつ前記ジオール成分の主鎖となる部分の炭素数が奇数であり、前記ジオール成分が、アルキル基を側鎖に有する請求項1から3のいずれかに記載のトナー。
  5. 前記nが3である請求項1から4のいずれかに記載のトナー。
  6. 前記ポリエステル樹脂が、構成成分としてジカルボン酸成分を含み、前記ジカルボン酸成分が、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸を30mol%以上含有する請求項1から5のいずれかに記載のトナー。
  7. 前記トナーのTHF不溶分中の樹脂組成分に対して3価のイソシアネート成分を0.2mol%〜1.0mol%含有する請求項1から6のいずれかに記載のトナー。
  8. 更に、ガラス転移温度が40℃以上70℃以下である第二のポリエステル樹脂を含有し、前記トナーの示差走査熱量測定(DSC)の昇温1回目におけるガラス転移温度(Tg1st)が20℃以上50℃以下である請求項1から7のいずれかに記載のトナー。
  9. 前記結晶性ポリエステル樹脂の融点が、60℃以上80℃以下であり、前記トナーの示差走査熱量測定(DSC)の昇温1回目のガラス転移温度(Tg1st)と昇温2回目のガラス転移温度(Tg2nd)との差(Tg1st−Tg2nd)が、10℃以上である請求項1から8のいずれかに記載のトナー。
  10. 前記結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数4以上12以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸と、炭素数2以上12以下の直鎖飽和脂肪族ジオールとから構成される請求項9に記載のトナー。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載のトナーを収容したトナー収容ユニット。
  12. 静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を現像して可視像を形成する、トナーを備える現像手段とを有し、
    前記トナーが、請求項1から10のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
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