JP6569519B2 - アシスト装置 - Google Patents
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Description
以下、図1から図10に基づいて本発明の実施形態1に係るアシスト装置10について説明する。本実施形態に係るアシスト装置10は、人の歩行改善をアシストする装置である。ここで、図中に示すx方向、y方向、及びz方向は、アシスト装置10を装着した人の前方向、上方向、及び左右方向に対応している。
アシスト装置10は、図1に示すように、人の上体、及び腰周りに装着される上体装着具12と、前記上体装着具12の腰周り部分に設けられた支持架台部14とを備えている。支持架台部14は、図2に示すように、上体装着具12の背面で左右に延びるように設けられた背面板部14zと、その背面板部14zの左右両側で前記背面板部14zに対してほぼ直角に設けられた側板部14xとを備えている。そして、支持架台部14の左右の側板部14xには、図2に示すように、人の股関節に対応する位置、即ち、人の股関節とxy方向においてほぼ同位置に軸受孔14jが形成されている。
可変剛性機構20は、出力リンク30から見た見かけの剛性を変えられるように構成された機構であり、図3に示すように、入力部22と、渦巻きバネ24と、減速機26とを備えている。入力部22は、前記モータ40の回転を渦巻きバネ24に伝達するための部分である。入力部22は、モータ40の回転軸41が相対回転不能な状態で連結される入力軸22eと、その入力軸22eと同軸に設けられた円板部22rと、入力軸22eの反対側で円板部22rの周縁に設けられたトルク伝達軸22pとを備えている。そして、入力部22のトルク伝達軸22pが渦巻きバネ24の外周側バネ端部24eに連結されている。
制御ボックス50は、図1に示すように、上体装着具12の背面に取付けられるボックスである。制御ボックス50には、図4に示すように、コントローラユニット52とドライバユニット54と電源ユニット56とが収納されている。コントローラユニット52は、モータ40の回転角度θ1を制御するユニットである。ドライバユニット54は、モータ40を駆動させるユニットであり、コントローラユニット52からの信号に基づいて動作する。電源ユニット56は、コントローラユニット52とドライバユニット54に対して電力を供給するユニットである。
次に、図10のフローチャートに基づいて、アシスト装置10の動作を説明する。ここで、図10のフローチャートに示す処理は、コントローラユニット52のメモリ(図示省略)に格納されているプログラムに基づいて実行される。また、モータ40の回転角度θ1の演算等に使用される定数、即ち、歩行動作の理想とされる大腿部の最大振れ角AIと振れ中心角度θ0とは入力装置44によってコントローラユニット52に予め入力されている。同様に、人の脚部の質量m、脚部の重心位置、股関節の周りの脚部の慣性モーメントJ、及び回動動作における脚部の粘性d等が入力装置44によってコントローラユニット52に予め入力されている。
次に、図8、図9等に基づいて、モータ40の回転軸41の角度θ1の具体的な演算手順について説明する。ここで、図8は、実際の歩行動作において、大腿部と出力リンク30とが角度θだけ上回動した様子を模式的に表した図である。なお、符号cは、人の股関節と出力リンク30の回動中心を表わしており、Lは回動中心cから脚部の重心位置までの距離を表している。このため、回動中心c周りの脚部の質量mに起因するトルクは、mg×L×sinθで表わされる。出力リンク30の回動により可変剛性機構20の出力回転軸26pが、図9に示すように、角度θだけ回動する。このため、出力リンク30の回動中心cには、可変剛性機構20の見かけの剛性をkRに起因するアシストトルクτが加わるようになる。アシストトルクτは、τ=kR×θで表わされる。
股関節周りの粘性dに起因するトルクは、[数2]に示す値で表わされる。
このため、大腿部と出力リンク30とを上方に角度θだけ回動させる際に必要な運動トルクτHは、[数3]に示す式で表される。
即ち、τS=−AIJω2×sinωt+AId×cosωt+AI×(kR+mgL)×sinωtとなる。この式を整理すると、
τS=AI×(kR+mgL−Jω2)×sinωt+AId×cosωt
このため、出力リンク30から見た可変剛性機構20の見かけの剛性kRを、Jω2−mgLになるように調整すれは、理想歩行状態での脚部の運動トルクτSが、τS=AId×cosωtとなって大腿部に加わる負荷が最小になる。
即ち、τH=−(AI+Ae)Jω2×sinωt+(AI+Ae)d×cosωt+(kR+mgL)×{(AI+Ae)×sinωt+θe}となる。この式を整理すると、
τH=(AI+Ae)×(kR+mgL−Jω2)×sinωt+(AI+Ae)d×cosωt+(kR+mgL)×θeとなる。
ここで、出力リンク30から見た可変剛性機構20の見かけの剛性kRを、Jω2−mgLになるように調整すれは、実際の歩行状態での脚部の運動トルクτH=(AI+Ae)d×cosωt+(kR+mgL)×θeとなり、同じく大腿部に加わる負荷が最小になる。
即ち、τH=τS+Aed×cosωt+(kR+mgL)×θeで表わされる。ここで、Aed×cosωtは、非常に小さい値であるためほぼ零と考えると、実際の歩行状態での脚部の運動トルクτHは、τH=τS+(kR+mgL)×θeで表わされる。このように、出力リンク30から見た可変剛性機構20の見かけの剛性kRをJω2−mgLに調整しても、実際の歩行状態での脚部の運動トルクτHは、理想歩行状態での脚部の運動トルクτSよりも(kR+mgL)×θeだけ大きな値になる。
前記アシスト装置10によると、コントローラユニット52(制御装置)は、角度検出器43(角度検出手段)による検出角度と、入力装置44(入力手段)により入力された入力値とに基づいてモータ40(剛性可変アクチュエータ)を制御する。そして、コントローラユニット52は、大腿部に対して所定負荷を加えられるように、モータ40を制御して可変剛性機構20の見かけの剛性kRを変化させる。これにより、出力リンク30に加わるアシストトルクτが制御される。このため、モータによる回転トルクを出力リンクの回動方向に加える従来のアシスト装置と比較して消費電力を抑えることができる。
次に、図11等に基づいて本発明の実施形態2に係るアシスト装置10について説明する。本実施形態に係るアシスト装置10は、人の歩行トレーニング等をアシストする装置である。ここで、本実施形態に係るアシスト装置10における装置構成は、実施形態1において説明したアシスト装置10における装置構成と同一であるため説明を省略する。本実施形態に係るアシスト装置10では、歩行トレーニング等において大腿部に加える負荷の程度を決定する係数である負荷率γを使用する。ここで、負荷率γは、0以上の値である(0≦γ)。なお、本実施形態に係るアシスト装置10では、実施形態1で説明したような歩行改善は行なわれないため、歩容改善率ε=0に設定されており、これにより振幅修正ゲインα=1となる。
次に、負荷率γを使用して可変剛性機構20の見かけの剛性kRを求める手順を説明する。実際の歩行動作において、図8に示すように、脚部を上方に角度θだけ回動させる際に必要な運動トルクτHは、実施形態1で説明したように、[数6]の式で表される。
また、実際の歩行動作時における出力リンク30の回動角度θを、図5に基づいて、θ=Ah×sinωtと仮定する。なお、Ahは、上記したように、出力リンク30の最大触れ角度である。また、歩行改善を考慮していないため、振れ中心角度θeは零としている(θe=0)。
この式を整理すると、τH=Ah×(kR+mgL−Jω2)×sinωt+Ahd×cosωtとなる。
次に、実際の歩行状態での脚部の目標運動トルクをτH0とし、目標運動トルクτH0を負荷率γを使用して次のように表わす。即ち、目標運動トルクτH0=γAh×(mgL−Jω2)×sinωt+Ahd×cosωtと表わす。
実際の歩行状態での脚部の運動トルクτHを目標運動トルクτH0に等しくすると、Ah×(kR+mgL−Jω2)=γAh×(mgL−Jω2)となる。この式を整理すると、kR=(γ−1)×(mgL−Jω2)・・(2)となる。
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、アシスト装置10を歩行改善、あるいは歩行トレーニングに使用する例を示したが、スクワット等のトレーニングに使用することも可能である。また、本実施形態では、可変剛性機構20の弾性体として渦巻きバネ24を使用する例を示したが、渦巻きバネ24の代わりにコイルバネを使用したり、ゴム状の弾性体を使用することも可能である。また、本実施形態では、可変剛性機構20に減速機26を使用する例を示したが、バネの強さによっては減速機26を省略することも可能である。また、本実施形態では、左右両側に可変剛性機構20、及び出力リンク30を設ける例を示したが、トレーニングの種類によっては、片側にのみ設けることも可能である。
12・・・上体装着具(身体装着具)
14・・・支持架台部(身体装着具)
20・・・可変剛性機構
24・・・渦巻きバネ(弾性体)
30・・・出力リンク
40・・・モータ(剛性可変アクチュエータ)
43・・・角度検出器(角度検出手段)
44・・・入力装置(入力手段)
52・・・コントローラユニット(制御装置)
Ah・・・・最大振れ角度
AI・・・・最大振れ角度
kR・・・・見かけの剛性
γ・・・・負荷率
ε・・・・歩容改善率
θe・・・ずれ角
τ・・・・アシストトルク
Claims (6)
- 身体に装着される身体装着具と、
弾性体を備え、剛性を変えられるように構成された可変剛性機構と、
人の股関節に対応する前記身体装着具の所定位置に前記可変剛性機構を介して回動中心部が連結されており、回動自由端側が大腿部に装着される出力リンクと、
前記出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性を変化させる剛性可変アクチュエータと、
前記出力リンクの回動角度を検出する角度検出手段と、
入力値を入力可能な入力手段と、
前記角度検出手段による検出角度と、前記入力手段により入力された前記入力値とに基づいて前記剛性可変アクチュエータを制御する制御装置と、
を有しており、
前記制御装置は、前記股関節を中心とした前記大腿部の往復回動動作において、前記大腿部に対して所定負荷を加えられるように、前記剛性可変アクチュエータを制御して前記出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性を変化させるアシスト装置。 - 請求項1に記載されたアシスト装置であって、
前記股関節を中心とした前記大腿部の往復回動動作は歩行動作であり、
前記入力手段は、理想とされる歩行動作における前記大腿部の振れ中心角度を前記制御装置に対して入力できるように構成されており、
前記制御装置は、実際の歩行動作時における前記出力リンクの振れ中心角度が、前記理想の歩行動作における前記大腿部の振れ中心角度からずれている場合に、前記出力リンクの前記振れ中心角度のずれ角の程度に応じて前記大腿部に加わる負荷を大きくできるように構成されているアシスト装置。 - 請求項2に記載されたアシスト装置であって、
前記入力手段は、理想とされる歩行動作における前記大腿部の最大振れ角度を前記制御装置に対して入力できるように構成されており、
前記制御装置は、実際の歩行動作時における前記出力リンクの最大振れ角度が、前記理想の歩行動作における前記大腿部の最大振れ角度と差がある場合に、前記出力リンクの最大振れ角度が、前記理想の歩行動作における前記大腿部の最大振れ角度に近づくように、前記剛性可変アクチュエータを制御して前記出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性を変化させるアシスト装置。 - 請求項3に記載されたアシスト装置であって、
前記入力手段は、前記理想の歩行動作における前記大腿部の最大振れ角度に対する前記出力リンクの最大振れ角度の角度差が前記出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性の制御に与える影響の程度を決める歩容改善率を前記制御装置に入力できるように構成されているアシスト装置。 - 請求項1に記載されたアシスト装置であって、
前記入力手段は、前記大腿部に対して加える負荷の程度を決定する負荷率を前記制御装置に対して入力できるようにように構成されており、
前記制御装置は、前記負荷率に基づいて前記大腿部に負荷が加わるように、前記剛性可変アクチュエータを制御して前記出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性を変化させるアシスト装置。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載されたアシスト装置であって、
前記可変剛性機構の前記弾性体は、前記出力リンクの回動中心と同軸に設けられた渦巻きバネであり、
前記渦巻きバネの一端側は、前記剛性可変アクチュエータ側に連結され、前記渦巻きバネの他端側は、前記出力リンク側に連結されており、
前記剛性可変アクチュエータは、前記渦巻きバネの一端側の回転角度を変えることで前記出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性を変えるアシスト装置。
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