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JP6404585B2 - ラジカル硬化性組成物およびその硬化物 - Google Patents

ラジカル硬化性組成物およびその硬化物 Download PDF

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JP6404585B2 JP2014064264A JP2014064264A JP6404585B2 JP 6404585 B2 JP6404585 B2 JP 6404585B2 JP 2014064264 A JP2014064264 A JP 2014064264A JP 2014064264 A JP2014064264 A JP 2014064264A JP 6404585 B2 JP6404585 B2 JP 6404585B2
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Description

本発明は、ラジカル硬化性組成物およびその硬化物に関する。より詳しくは、ラジカル架橋性基を有する(メタ)アクリル系重合体を含有するラジカル硬化性組成物およびその硬化物に関する。
ゴム材料は、建築、自動車、電気・電子、機械、物流、化学、医療・介護・スポーツ等様々な分野において、接着剤やシール材、封止材、粘着剤、塗料、コーティング材、レジスト材、衝撃吸収材、制振材、圧力分散材、成形部品、成形材料等として利用されている。
ゴム材料の中でも、柔軟性、防振性、衝撃吸収性、耐熱性、耐油性、耐透湿性、機械的強度に優れ、シリコーン系化合物を含有していないなどの観点から、(メタ)アクリル系重合体を主成分としたゴム材料が最近好適に用いられている。また、ゴム材料の硬化形式としては、硬化が速く、取扱いが容易な硬化方法として、光ラジカル硬化や熱ラジカル硬化等のラジカル反応を用いたゴム材料の需要がとりわけ高まっている。
発明者らは、これらのラジカル硬化性ゴム材料に好適なものとして、これまでに末端に(メタ)アクリロイル基を有し、主鎖がリビングラジカル重合により得られる(メタ)アクリル系重合体およびそれらを用いた組成物について報告している(特許文献1、2)。
これらのラジカル硬化性組成物に対する作業性向上の要求は年々高まるばかりであるが、これまでの技術では十分な作業性が得られない場合があり、特に得られるゴム材料の特性を損なうことなく、良好な作業性を有するラジカル硬化性組成物への要求は年々高まるばかりである。
作業性の向上として、特に粘度を低減させる要求が強いが、このような課題を改善するための公知の技術として、溶剤や可塑剤、あるいは反応性希釈剤として希釈用モノマーを添加するといった手段が知られている。溶剤を添加した場合には作業環境中に溶剤が揮散するため作業環境が劣化したり、爆発の危険があるなどの課題があり、また、溶剤を除去するための装置が必要であり、多大なエネルギーが消費されるなど経済面でも多くの課題がある。可塑剤を添加する場合には、得られる硬化物から可塑剤が染み出したり、長期にわたり徐々に揮発するといった課題がある。
希釈用モノマーを添加する場合にも、(メタ)アクリル系重合体との相溶性が悪かったり、得られる硬化物の物性が悪化するといった種々課題があり、例えば、特許文献3には、(メタ)アクリロイル基を有するリビングラジカル重合により得られるアクリル系重合体に対し、炭素数6〜20の脂環式脂肪族構造または脂肪族分岐構造である有機基を有するアクリルモノマーを添加することが開示されているが、これらに開示されているアクリルモノマーでは、作業性は改善されるものの、得られる硬化物の硬度や耐熱性、低温特性といったその他の物性において特性が損なわれるという課題があった。また、(メタ)アクリル系重合体に対して、種々のアクリルモノマーの添加(特許文献4,5)や、(メタ)アクリル系重合体のモノマー種の検討(特許文献6)が開示されているが、十分に満足できるものは得られていない。
特開2000−72816号公報 特開2000−95826号公報 特開2013−142102号公報 特開2013−36024号公報 特開2013−227436号公報 特開2013−227561号公報
本発明は作業性に優れ、ゴム弾性、低温特性に優れ、耐熱性を損なうことのない硬化物を与えることのできるラジカル架橋性基を有する(メタ)アクリル系重合体の硬化性組成物を得ることを目的とする。
上記事情に鑑み、本発明者がラジカル硬化性組成物について鋭意検討した結果、
ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)に対し、一般式(1):
−OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは炭素数22〜30の分岐鎖状のアルキル基を示す。Rは水素またはメチル基を示す。)
で表わされる(メタ)アクリル酸エステルモノマー(III)を特定量添加することにより、ゴム弾性、低温特性、耐熱性を損なうことなく、作業性に優れる硬化性組成物が得られることを見出し、本発明を得るに至った。同じ炭素数を有するアルキル基の中でも分岐構造のないものは、ゴム弾性、低温特性に劣り、炭素数21より少ないアルキル基は、分岐構造を有していてもゴム弾性あるいは低温特性に劣り、上記特定の炭素数で分岐構造を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを使用した場合のみ、作業性、ゴム弾性、低温特性、耐熱性に対して同時に効果を奏することを見出した。
すなわち、本発明は、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)100重量部に対し、ラジカル重合開始剤(II)0.01〜10重量部、および一般式(1):
−OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは炭素数22〜30の分岐鎖状のアルキル基を示す。Rは水素またはメチル基を示す。)
で表わされる(メタ)アクリル酸エステルモノマー(III)を0.1〜150重量部含有することを特徴とするラジカル硬化性組成物に関する。
好ましい実施態様としては、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)が、ラジカル架橋性の炭素−炭素二重結合を分子末端に有する(メタ)アクリル系重合体であるラジカル硬化性組成物に関する。
好ましい実施態様としては、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)が、(メタ)アクリロイル基を分子末端に有する(メタ)アクリル系重合体であるラジカル硬化性組成物に関する。
好ましい実施態様としては、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)の分子量分布が1.8未満であるラジカル硬化性組成物に関する。
好ましい実施態様としては、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)が、炭素数4〜22の飽和炭化水素基を有するモノマーを重合または共重合して得られるラジカル硬化性組成物に関する。
好ましい実施態様としては、ラジカル重合開始剤(II)が、光ラジカル開始剤であるラジカル硬化性組成物に関する。
好ましい実施態様としては、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(III)中のRが、エステル結合のβ位に分岐をもつアルキル基を有しているラジカル硬化性組成物に関する。
好ましい実施態様としては、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(III)が、2−デシルテトラデカニル(メタ)アクリレートであるラジカル硬化性組成物に関する。
また本発明は、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)100重量部に対し、ラジカル重合開始剤(II)0.01〜10重量部、一般式(1):
−OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは炭素数22〜30の分岐鎖状のアルキル基を示す。Rは水素またはメチル基を示す。)
で表わされる(メタ)アクリル酸エステルモノマー(III)を0.1〜150重量部含有することを特徴とするラジカル硬化性組成物より得られる硬化物に関する。
本発明のラジカル硬化性組成物は、作業性に優れ、ゴム弾性、低温特性、耐熱性を損なうことのない硬化物を与えることができる。
以下に、本発明のラジカル硬化型組成物に含まれる成分について説明する。
<ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)>
<ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)の主鎖>
本発明のラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)の主鎖を構成する(メタ)アクリル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。
具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデカニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸トリル、(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸1−メチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸1−エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸3、5−ジヒドロキシ−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸メチルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸m−フェノキシベンジル、(メタ)アクリル酸エチルカルビトール、(メタ)アクリル酸−メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸−エトキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルジエチレングリコ−ル、(メタ)アクリル酸メトキシ−ジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸1,4−シクロヘキサンジメタノール、(メタ)アクリル酸グリセリン、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(日油製ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、PE−350G、AE−90、AE−200、AE−400等)、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール(日油製ブレンマーPP−500、PP−800、PP−1000、AP−150、AP−400、AP−550等)(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(日油製ブレンマー50PEP−300、70PEP−350B等)、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール−ポリテトラメチレングリコール)、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル−グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル四級化物(共栄社化学製ライトエステルDQ−100、DQ−75等)、4−(メタ)アクリル酸−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、2−(メタ)アクリル酸−1,4−ジオキサスピロ[4,5]デシ−2−イルメチル(大阪有機化学工業製、CHDOL−10)、(メタ)アクリル酸3−エチル−3−オキセタニル(大阪有機化学工業製、OXE−10)、(メタ)アクリル酸γ−ブチロラクトン、(メタ)アクリル酸2−フェニルチオエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロピル、無水フタル酸−(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル付加物(大阪有機化学工業製ビスコート#2100)、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸(共栄社化学製ライトエステルHPA−MPL、新中村化学製CB−1等)、1,2−シクロヘキシルジカルボン酸−モノ[1−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチル]エステル(大阪有機化学工業製ビスコート#2150)、(メタ)アクリルロイルオキシ−エチルヘキサヒドロフタレート(共栄社化学製ライトエステルHO−HH、HOA−HH等)、(メタ)アクリルロイルオキシエチルサクシネート(共栄社化学製ライトエステルHO−MS、HOA−MS、新中村化学製SA、A−SA等)、2−(メタ)アクリルロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸(共栄社化学製ライトエステルHO−MPP等)、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−ヒドロキシエチルフタル酸(共栄社化学製HOA−MPE等)、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−リン酸エステル(共栄社化学製ライトエステルP−1M、P−2M等)、(メタ)アクリル酸エトキシ化−o−フェニルフェノール、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール(共栄社化学製ライトエステルMC、130MA、041MA、MTG、MTG−A、130A、新中村化学製M−90G、AM−90G、M−230G、AM130G、日立化成製ファンクリルFA−400M、日油製ブレンマーPME−100、PME−200、PME−400、PME−550、PME−1000、PME−4000、AME−400等)、(メタ)アクリル酸フェノキシポリエチレングリコール(共栄社化学製ライトアクリレートP−200A、新中村化学製AMP−20GY、日油製ブレンマーPAE−50、PAE−100、AAE−50、AAE−300、東亞合成製アロニックスM−101、M−102等)、(メタ)アクリル酸パラクミルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール(共栄社化学製ライトアクリレートNP−4EA、NP−8EA、日立化成製ファンクリルFA−314A、FA−318A、日油製ブレンマーANE−1300、東亞合成製M−111、M113、M−117等)、(メタ)アクリル酸オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ラウロキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ステアロキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸フェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸アリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ウンデシレノキシ、(メタ)アクリル酸ウンデシレノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(東亞合成製M−5300等)、アクリル酸ダイマー(東亞合成製M−5600、ダイセルサイテック製β−CEA等)、(メタ)アクリル酸N−エチルマレイミド、(メタ)アクリル酸ペンタメチルピペリジニル、(メタ)アクリル酸テトラメチルピペリジニル、γ−[(メタ)アクリロイルオキシプロピル]トリメトキシシラン、γ−[(メタ)アクリロイルオキシプロピル]トリエトキシシラン、γ−[(メタ)アクリロイルオキシプロピル]メチルジメトキシシラン、(メタ)アクリル酸2−イソシアネートエチル、(メタ)アクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸バリウム、(メタ)アクリル酸ストロンチウム、(メタ)アクリル酸ニッケル、(メタ)アクリル酸銅、(メタ)アクリル酸アルミニウム、(メタ)アクリル酸リチウム、(メタ)アクリル酸ネオジウム、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチルパーフルオロブチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2,2−ジ−パーフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチルパーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。ここで、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを表す(以下同じ)。
本発明におけるラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)の主鎖は、モノマーの入手性や取り扱いやすさ、重合の容易性、硬化物の低温での柔軟性や伸びなどの物性に優れる点から、アクリル酸エステル系モノマーを主として重合して製造されるものであることが好ましい。ここで「主として」とは、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)を構成するモノマー単位のうち、50モル%以上がアクリル酸エステル系モノマーであることを意味し、好ましくは70モル%以上である。
得られる硬化物の耐熱性に優れ、良好なゴム弾性が得られるという点から、好ましいアクリル酸エステルモノマーとしては、飽和炭化水素基を有するアクリル酸アルキルエステルモノマーが挙げられ、具体的には、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸イソステアリルである。さらに、低温特性に優れ、本願成分である(メタ)アクリル酸エステルモノマー(III)との相溶性が良好であるという点から、さらに好ましいアクリル酸エステルモノマーとしては、炭素数4〜22の飽和炭化水素基を有するアクリル酸アルキルエステルモノマーが挙げられ、具体的には、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸イソステアリルである。
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わない。共重合させるモノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等を挙げることができる。
本発明におけるラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)の分子量分布、即ち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1.8未満であり、より好ましくは1.7以下であり、さらに好ましくは1.6以下であり、よりさらに好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。分子量分布が大きすぎると、粘度が高くなり取り扱いが困難になるだけでなく、得られる硬化性組成物および硬化物の機械物性や温度特性のコントロールが困難になる傾向にある。本発明でのGPC測定は、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにて行い、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
本発明におけるラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)の数平均分子量は特に制限はないが、GPCで測定した場合に、500〜1,000,000の範囲が好ましく、1,000〜100,000がより好ましく、5,000〜100,000がさらに好ましい。分子量が低くなりすぎると、硬化物の柔軟性が損なわれ、伸びが低下するなど十分なゴム弾性が得られなくなる。一方、高くなりすぎると、粘度が高くなり取扱いが困難になる傾向がある。
<ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)の合成法>
本発明で使用するラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)は、種々の重合法により得ることができ、特に限定されないが、モノマーの汎用性、制御の容易性等の点からラジカル重合法が好ましく、ラジカル重合の中でも制御ラジカル重合がより好ましい。この制御ラジカル重合法は「連鎖移動剤法」と「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。得られる(メタ)アクリル系重合体の分子量、分子量分布の制御が容易であるリビングラジカル重合がさらに好ましく、原料の入手性、重合体末端への官能基導入の容易さから原子移動ラジカル重合が特に好ましい。
リビングラジカル重合は、重合末端の活性が失われることなく維持されるラジカル重合である。リビング重合とは狭義においては、末端が常に活性を持ち続ける重合のことを示すが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にある擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後者である。リビングラジカル重合は近年様々なグループで積極的に研究がなされている。その例としては、コバルトポルフィリン錯体(J.Am.Chem.Soc.1994、116、7943)やニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの(Macromolecules、1994、27、7228)、有機ハロゲン化物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)(J.Am.Chem.Soc.1995,117,5614)、シングルエレクトロントランスファー重合(Sigle Electron Transfer:SET)などがあげられる。原子移動ラジカル重合およびシングルエレクトロントランスファー重合は、一般に有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤とし、銅を中心金属とする銅錯体を触媒として重合される。(例えば、Percec,Vら、J.Am.Chem.Soc.2006,128,14156,JPSChem 2007,45,1607を参照)。さらに、これらの系に還元剤を併用するAGET((Macromolecules.2005,38,4139)及びARGET(Macromolecules.2006,39,39)、熱あるいは光分解性ラジカル発生剤を併用するICAR(PNAS.2006,103,15309)も本発明の範疇に含まれものであり、本発明においても還元剤、および熱あるいは光分解性ラジカル発生剤を併用してもよい。
上記ラジカル重合、制御ラジカル重合、連鎖移動剤法、リビングラジカル重合法、原子移動ラジカル重合は公知の重合法ではあるが、これら各重合法については、たとえば、特開2005−232419公報や、特開2006−291073公報などの記載を参照できる。
本発明におけるラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)の好ましい合成法の一つである、原子移動ラジカル重合について以下に簡単に説明する。
原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられることが好ましい。
ラジカル架橋性基を1分子内に2つ以上有する(メタ)アクリル系重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。
原子移動ラジカル重合において用いられる(メタ)アクリル系モノマーとしては特に制約はなく、例示した(メタ)アクリル系モノマーをすべて好適に用いることができる。
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、又は11族元素を中心金属とする金属錯体でありより好ましくは0価の銅、1価の銅、2価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルを中心金属とする遷移金属錯体、特に好ましくは銅の錯体が挙げられる。銅の錯体を形成するために使用される1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。2価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第二銅、臭化第二銅、ヨウ化第二銅、シアン化第二銅、酸化第二銅、過塩素酸第二銅、硫化第二銅等である。
銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるためにポリアミン等が配位子として添加される。ポリアミン化合物を例示するならば、2,2−ビピリジン、1,10−フェナントロリン若しくはその誘導体、トリブチルアミンなどのアルキルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン若しくはヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミンエチレンジアミン、N,N’−ヘキサメチルエチレンジアミン、4,4’−ジ−(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン、N−(n−プロピル)ピリジルメタンイミン、N−(n−オクチル)ピリジルメタンイミン、ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N−プロピル−N,N−ジ(2−ピリジルメチル)アミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン、N,N−ビス(2−ジメチルアミノエチル)−N,N’−ジメチルエチレンジアミン、2,5,9,12−テトラメチル−2,5,9,12−テトラアザテトラデカン、2,6,9,13−テトラメチル−2,6,9,13−テトラアザテトラデカン、4,11−ジメチル−1,4,8,11−テトラアザビシクロヘキサデカン、N’,N’’−ジメチル−N’,N’’−ビス((ピリジン−2−イル)メチル)エタン−1,2−ジアミン、トリス[(2−ピリジル)メチル]アミン、2,5,8,12−テトラメチル−2,5,8,12−テトラアザテトラデカン、トリエチレンテトラミン、N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン、ポリエチレンイミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらは単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本リビングラジカル重合としてAGETまたはARGETを用いる場合には、還元剤を使用してもよい。以下に還元剤を例示するが、これらの還元剤に限定されるものではない。
金属。具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属類;アルミニウム;亜鉛等の典型金属;銅、ニッケル、ルテニウム、鉄等の遷移金属等が挙げられる。またこれらの金属は水銀との合金(アマルガム)の状態であってもよい。
金属化合物。典型金属又は遷移金属の塩や典型元素との塩、さらに一酸化炭素、オレフィン、含窒素化合物、含酸素化合物、含リン化合物、含硫黄化合物等が配位した錯体等が挙げられる。具体的には、金属とアンモニア/アミンとの化合物、三塩化チタン、チタンアルコキシド、塩化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、塩化鉄、塩化銅、臭化銅、塩化スズ、酢酸亜鉛、水酸化亜鉛、Ni(CO)、CoCO等のカルボニル錯体、[Ni(cod)]、[RuCl(cod)]、[PtCl(cod)]等のオレフィン錯体(ただしcodはシクロオクタジエンを表す)、[RhCl(P(C]、[RuCl(P(C]、[PtCl(P(C]等のホスフィン錯体等が挙げられる。
金属水素化物。具体例としては、水素化ナトリウム;水素化ゲルマニウム;水素化タングステン;水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、水素アルミニウムナトリウム、水素化トリエトキシアルミニウムナトリウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等のアルミニウム水素化物;水素化トリフェニルスズ、水素化トリ−n−ブチルスズ、水素化ジフェニルスズ、水素化ジ−n−ブチルスズ、水素化トリエチルスズ、水素化トリメチルスズ等の有機スズ水素化物等が挙げられる。
有機スズ化合物。具体例としては、オクチル酸スズ、2−エチルヘキシル酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズメルカプチド、ジブチルスズチオカルボキシレート、ジブチルスズジマレエート、ジオクチルスズチオカルボキシレート等が挙げられる。
ケイ素水素化物。具体例としては、トリクロロシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、ジフェニルシラン、フェニルシラン、ポリメチルヒドロシロキサン等が挙げられる。
ホウ素水素化物。具体的には、ボラン、ジボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリメトキシホウ酸ナトリウム、硫化水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素リチウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリ−s−ブチルホウ素リチウム、水素化トリ−t−ブチルホウ素リチウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素亜鉛、水素化ホウ素テトラ−n−ブチルアンモニウム等が挙げられる。
窒素化合物。具体的には、ヒドラジン、ジイミド等が挙げられる。
リン又はリン化合物。具体的には、リン、ホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、ヘキサメチルホスフォラストリアミド、ヘキサエチルホスフォラストリアミド等が挙げられる。
硫黄又は硫黄化合物。具体的には、硫黄、ロンガリット類、ハイドロサルファイト類、二酸化チオ尿素等が挙げられる。ロンガリットとは、スルホキシル酸塩のホルムアルデヒド誘導体であり、MSO・CHO(MはNa又はZnを示す)で表される。具体的には、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート、亜鉛ホルムアルデヒドスルホキシレート等が挙げられる。ハイドロサルファイトとは、次亜硫酸ナトリウム及び次亜硫酸ナトリウムのホルムアルデヒド誘導体の総称である。
水素。
還元作用を示す有機化合物。具体的には、アルコール、アルデヒド、フェノール類及び有機酸化合物等が挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ギ酸等が挙げられる。フェノール類としては、フェノール、ハイドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール等が挙げられる。有機酸化合物としては、クエン酸、アスコルビン酸、及びこれらの塩、エステル等が挙げられる。
これら還元剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもかまわない。
還元剤の添加量は遷移金属化合物に対して0.01〜100モル当量が重合速度および構造制御の点から好ましく、0.1〜40モル当量がより好ましく、0.5〜10モル当量がさらに好ましい。
<塩基性化合物>
本リビングラジカル重合としてAGETまたはARGETを用いる場合には、塩基性化合物を使用してもよい。以下に塩基性化合物を例示するが、これらの還元剤に限定されるものではなく、ブレンステッドの塩基の定義に当てはまる、プロトンを受け入れる性質を持つ化合物、あるいはルイスの塩基の定義に当てはまる、非共有電子対を持っていてそれを授与することができ配位結合をつくる性質を有する化合物であれば良い。
例示するならばアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、アニリン等のアミン誘導体。エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミンなどのポリアミン誘導体。ピリジン、ビピリジン、ピペリジン、ピロール、イミダゾール等の含窒素複素環化合物。ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、ナトリウムペントキシド、ナトリウムヘキソキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロポキシド、カリウムブトキシド、カリウムペントキシド、カリウムヘキソキシド、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム等の有機金属化合物。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化アンモニウム等の水酸化物。炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素アルミニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の弱酸塩などが挙げられる。
これらは、単独で用いても良いし、複数を併用しても構わない。
また、塩基性化合物は、直接反応系に添加してもよいし、反応系中で発生させてもよい。
塩基性化合物の添加量は遷移金属化合物に対して0.01〜400モル当量が重合速度および構造制御の点から好ましく、0.1〜150モル当量がより好ましく、0.5〜40モル当量がさらに好ましい。
重合反応は、無溶媒でも可能であるが、各種の溶媒中で行うこともできる。溶媒の種類としては特に限定されず、特開2005−232419号公報段落[0067]記載の溶剤が挙げられる。これらは、単独でもよく、2種以上を併用してもよい。また、エマルジョン系もしくは超臨界流体COを媒体とする系においても重合を行うことができる。
重合温度は、限定はされないが、0〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは、室温〜150℃の範囲である。
<ラジカル架橋性基>
次に、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)のラジカル架橋性基について説明する。
ラジカル架橋性基としては、(メタ)アクリロイル基やアリル基などのラジカル架橋性の炭素−炭素二重結合であれば何れの官能基でも、特に限定はされないが、例えば前述の原子移動ラジカル重合法で製造された(メタ)アクリル系重合体の場合、(メタ)アクリロイル基が導入し易いことから、ラジカル架橋性基は、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
(メタ)アクリロイル基の導入方法について説明する。(メタ)アクリロイル基の導入は、公知の方法を利用することができる。例えば、特開2004−203932公報段落[0080]〜[0091]記載の方法が挙げられる。これらの方法の中でも制御がより容易である点から、(メタ)アクリル系重合体の末端ハロゲン基を、(メタ)アクリロイル基を有する化合物で置換することにより製造されたものであることが好ましい。

末端ハロゲン基を有する(メタ)アクリル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒として(メタ)アクリル系モノマーを重合する方法、あるいは、ハロゲン化合物を連鎖移動剤として(メタ)アクリル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては特に限定されないが、下記一般式(2)で表される化合物が使用でき、
+-OC(O)C(R)=CH2 (2)
上記式(1)中のRの具体例としては、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C65、−CH2OH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。
上記式(2)中のM+はオキシアニオンの対カチオンであり、M+の種類としてはアルカリ金属イオン、具体的にはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、および4級アンモニウムイオンが挙げられる。4級アンモニウムイオンとしてはテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンおよびジメチルピペリジニウムイオン等が挙げられ、反応性および入手のし易さから、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオンである。
一般式(2)のオキシアニオンの使用量は、ハロゲン基に対して、好ましくは1〜5当量、更に好ましくは1.0〜1.2当量である。この反応はほぼ定量的に進行することから、少なすぎるとハロゲン基に対して十分な量の(メタ)アクリロイル基が導入されず、また多すぎた場合には、経済的に好ましくない。
この反応を実施する溶媒としては特に限定はされないが、求核置換反応であるため極性溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル等が用いられる。
反応を行う温度は限定されないが、一般に0〜150℃で、重合性の末端基を保持するために好ましくは室温〜100℃で行う。 ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)の(メタ)アクリロイル基の数は、それぞれ同数であっても構わないし、異なっていても構わない。特に限定されないが、硬化性、及び硬化物の柔軟性、伸び、引張強さといった物性の観点から、分子中に平均して少なくとも0.8個有する。好ましくは0.9個以上4.0個以下、さらに好ましくは1.0個以上2.0個以下である。
異なる種類のラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)を複数混合して使用する場合は、(メタ)アクリル系重合体全体の平均として、上記範囲内にあるように官能基数があればよい。
本発明の硬化物にゴム的な性質が特に要求される場合には、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)の(メタ)アクリロイル基の少なくとも1個は分子鎖の末端にあることが好ましい。より好ましくは、全ての(メタ)アクリロイル基を分子鎖末端に有するものである。
本発明の硬化物に、より柔軟な性質が要求される場合には、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)が、重合体の両末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体と重合体の片末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体を共に含むことが好ましい。両末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体と重合体の片末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体を混合する場合は、両末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体100重量部に対して、片末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体が0〜3000重量部であることが好ましい。片末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体が少ないほど硬化物は硬くなり、逆に片末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体が多くなるほど、得られる硬化物は柔らかく伸びに優れるものとなる。
ラジカル重合開始剤(II)> ラジカル重合開始剤(II)としては特に制限はないが、UVや電子線などの活性エネルギー線により硬化させる場合には光ラジカル開始剤が好ましく、熱により硬化させる場合には熱ラジカル開始剤が好ましい。近年では、硬化に要するエネルギーがより少なくて済み、作業環境を良好に保てるという点から、光ラジカル開始剤を用いて、UVや電子線などの活性エネルギー線により硬化させる場合が好まれやすい。
<光ラジカル開始剤>
光ラジカル開始剤としては特に制限はないが、光ラジカル開始剤として、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名IRGACURE651、BASFジャパン製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名IRGACURE184、BASFジャパン製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名DAROCUR1173、BASFジャパン製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名IRGACURE2959、BASFジャパン製)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名IRGACURE907、BASFジャパン製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名IRGACURE369、BASFジャパン製)、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリンー4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(商品名IRGACURE379、BASFジャパン製)、ジベンゾイル等が挙げられる。
これらのうち、α−ヒドロキシケトン化合物(例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等)、フェニルケトン誘導体(例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン等)が好ましい。
さらに、硬化物表面の酸素阻害を抑制できる開始剤種として、分子内に光分解性の基を2個以上有する光ラジカル開始剤として、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2-ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル-プロパン−1−オン(商品名IRGACURE127、BASFジャパン製)、1−〔4−(4−ベンゾイキシルフェニルサルファニル)フェニル〕−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン(商品名ESURE1001M)、メチルベンゾイルフォ−メート(商品名SPEEDCURE MBF LAMBSON製)、O−エトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名SPEEDCURE PDO LAMBSON製)、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン(商品名ESCURE KIP150 LAMBERTI製)、分子内に芳香環を3つ以上有する水素引き抜き型光ラジカル開始剤として1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]1,2−オクタンジオン(商品名IRGACURE OXE 01、BASFジャパン製)、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(0−アセチルオキシム)エタノン(商品名IRGACURE OXE 02、BASFジャパン製)、4−ベンゾイル−4‘メチルジフェニルサルファイド、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’,4“−(ヘキサメチルトリアミノ)トリフェニルメタン等が挙げられる。また、深部硬化性改善を特徴とする2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(商品名DAROCUR TPO、BASFジャパン製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名IRGACURE819、BASFジャパン製)、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系光ラジカル開始剤が挙げられる。
光ラジカル開始剤としては、本発明の硬化性組成物の硬化性と貯蔵安定性のバランスの点で、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名IRGACURE184、BASFジャパン製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名DAROCUR1173、BASFジャパン製)、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2-ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル-プロパン−1−オン(商品名IRGACURE127、BASFジャパン製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名IRGACURE369、BASFジャパン製)、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリンー4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(商品名IRGACURE379、BASFジャパン製)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(商品名DAROCUR TPO、BASFジャパン製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名IRGACURE819、BASFジャパン製)、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドがより好ましい。
これらの光ラジカル開始剤は、単独、又は2種以上混合して用いても、他の化合物と組み合わせて用いてもよい。
他の化合物との組み合わせとしては、具体的には、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ジエタノールメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート等のアミンとの組み合わせ、さらにこれにジフェニルヨードニウムクロリド等のヨードニウム塩を組み合わせたもの、メチレンブルー等の色素及びアミンと組み合わせたもの等が挙げられる。
なお、前記光ラジカル開始剤を使用する場合、必要により、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、パラターシャリーブチルテコール、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジステアリルヒドロキシルアミン等N,N−ジアルキルヒドロキシルアミン等の重合禁止剤類を添加することもできる。
<熱ラジカル開始剤>
熱ラジカル開始剤としては特に限定されないが、アゾ系開始剤、過酸化物、過硫酸、及びレドックス開始剤が含まれる。 適切なアゾ系開始剤としては、限定されるわけではないが、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 33)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(VAZO 50)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 52)、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO 64)、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(VAZO 67)、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO 88)(全てDuPont Chemicalから入手可能)、2,2′−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、及び2,2′−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)(V−601)(和光純薬より入手可能)等が挙げられる。
適切な過酸化物開始剤としては、限定されるわけではないが、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(Perkadox 16S)(Akzo Nobelから入手可能)、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート(Lupersol 11)(Elf Atochemから入手可能)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(Trigonox 21−C50)(Akzo Nobelから入手可能)、及び過酸化ジクミル等が挙げられる。
適切な過硫酸塩開始剤としては、限定されるわけではないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸アンモニウムが挙げられる。
適切なレドックス(酸化還元)開始剤としては、限定されるわけではないが、上記過硫酸塩開始剤とメタ亜硫酸水素ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムのような還元剤との組み合わせ;有機過酸化物と第3級アミンに基づく系、例えば過酸化ベンゾイルとジメチルアニリンに基づく系;並びに有機ヒドロパーオキシドと遷移金属に基づく系、例えばクメンヒドロパーオキシドとコバルトナフテートに基づく系等が挙げられる。
他の開始剤としては、限定されるわけではないが、テトラフェニル1,1,2,2−エタンジオールのようなピナコール等が挙げられる。
熱ラジカル開始剤としては、アゾ系開始剤及び過酸化物系開始剤からなる群から選ばれるものが好ましい。更に好ましいものは、2,2′−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、t−ブチルパーオキシピバレート、及びジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、並びにこれらの混合物である。
また、場合によっては光ラジカル開始剤と熱ラジカル開始剤を併用してもよい。
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は触媒的に有効な量で存在し、このような量は、限定はされないが、硬化性と貯蔵安定性の点から、本発明のラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)を100重量部とした場合に0.01〜10重量部、より好ましくは約0.1〜5量部である。開始剤の混合物が使用される場合には、開始剤の混合物の合計量として上記添加量が好ましく用いられる。
(メタ)アクリル酸エステルモノマー(III)
一般式(1):
−OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは炭素数22〜30の分岐鎖状のアルキル基を示す。Rは水素またはメチル基を示す。)
で表わされる(メタ)アクリル酸エステルモノマー(III)としては、特に制限はないが、入手が容易であり、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)との相溶性に優れる点から、Rはエステル結合のβ位に分岐をもつアルキル基であることが好ましい。さらに、得られる硬化物の低温特性により優れることから2−デシルテトラデカニル(メタ)アクリレートが好ましい。さらに、ラジカル硬化性に優れることから、2−デシルテトラデカニルアクリレートがより好ましい。
本発明に用いられる(メタ)アクリル酸エステルモノマー(III)は、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)を100重量部とした場合に0.1〜150重量部重量部が好ましく、5〜100重量部がより好ましい。0.1重量部より少ない場合には、作業性改善の効果が低く、150重量部を超えると硬化性が低下する場合や、得られる硬化物の耐熱性や低温特性が逆に悪化する場合がある。
特開2013−36024号公報には、環状エーテル骨格を有する(メタ)アクリレートとアクリル樹脂に、炭素数1〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを含有することで、耐熱性、密着性、透明性に優れる感光性樹脂組成物が開示されており、実施例には炭素数1〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとして2−デシルテトラデカニルアクリレートが開示されている。しかしながら、作業性・低温特性に関する記載はなく、本願成分が特段の効果を奏することは何ら記載されていないため、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)に対して用いたときに、どのような効果を奏するかを当業者らが容易に想到することはできない。
特開2013−227561号公報には、本願成分をモノマーとするアクリル系樹脂を用いた樹脂粒子が、柔らかい触感と耐傷付き性に優れることが開示されているが、本願とは技術課題、技術分野がまったく異なっており、本願成分を用いることで作業性や低温特性といった技術課題に対してどのような効果を奏するかを当業者らが容易に想到することはできない。
特開2013−227436号公報には、アクリル樹脂、有機溶媒に対し、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有するエチレン性不飽和化合物を添加することで、厚塗り加工が可能で、綺麗な塗膜表面が得られ段差追従性に優れた活性エネルギー線硬化タイプの溶剤系アクリル系粘着剤組成物が開示されている。しかしながら、本願とは、技術課題、技術分野、構成成分が大きく異なっており、本願成分を用いることで、作業性や低温特性といった技術課題に対してどのような効果を奏するかを当業者らが容易に想到することはできない。
つまり、従来知られている技術では、ラジカル架橋性基を有する(メタ)アクリル系重合体と炭素数22〜30の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを組み合わせた場合に、得られる硬化物のゴム弾性や低温特性、耐熱性に関してどのような効果を及ぼすかは知られていなかったが、炭素数22〜30の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを特定量用いることで、作業性・透明性に優れ、得られる硬化物のゴム弾性、低温特性、耐熱性に優れることが見出された。炭素数21以下では、低温特性に劣り、さらに炭素数12以下では耐熱性にも劣る。また、炭素数8以下では、耐熱性に劣るのみではなく、硬化性組成物からの臭気が激しく作業環境を大きく悪化させることから添加量に対しては大きく制限されるという課題がある。また、分岐構造がない場合は、低温特性に劣るのみならずラジカル架橋性基を有する(メタ)アクリル系重合体との相溶性に著しく劣るという課題がある。
硬化性組成物
本発明の硬化性組成物においては、目的とする物性に応じて、各種の配合剤を添加しても構わない。
<反応性希釈剤> 本発明の硬化性組成物には、粘度低減による作業性の向上や、硬化物物性の改良等を目的として、ラジカル重合性の基を有するモノマー類を併用することもできる。
前記ラジカル重合性の基としては、(メタ)アクリル基、スチレン基、アクリロニトリル基、ビニルエステル基、N−ビニルピロリドン基、共役ジエン基、ビニルケトン基、塩化ビニル基等が挙げられる。なかでも、本発明に使用するラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)で使用されるラジカル架橋性基と類似する(メタ)アクリロイル系基、アクリルアミド基を有するものが好ましい。
前記モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル系モノマー、スチレン系モノマー、アクリロニトリル、ビニルエステル系モノマー、N−ビニルピロリドン、共役ジエン系モノマー、ビニルケトン系モノマー、ハロゲン化ビニル・ハロゲン化ビニリデン系モノマー、多官能モノマー等が挙げられる。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、前述のラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)に用いられる(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
ビニルエステル系モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。
共役ジエン系モノマーとしては、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。ビニルケトン系モノマーとしては、メチルビニルケトン等が挙げられる。
ハロゲン化ビニル・ハロゲン化ビニリデン系モノマーとしては、塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等が挙げられる。
2官能性以上の多官能モノマーとしては、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジ(メタ)アクリレート、1,2−エチレンジ(メタ)アクリレート等の飽和炭化水素ジオールのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール−ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジエトキシジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO−EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジエトキシジ(メタ)アクリレート、4,4−ジメルカプトジフェニルサルファイドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ジメチル)−5−エチル−5−アクリロイルオキシメチル−1,3−ジオキサン、2−[5−エチル−5−[(アクリロイルオキシ)メチル]−1,3−ジオキサン−2−イル]−2,2−ジメチルエチル、1,1−(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等の2官能の(メタ)アクリレート化合物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート化合物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートポリヘキサノリドトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
オリゴマーとしては、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂、フェノールノボラック型エポキシアクリレート樹脂、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート樹脂、COOH基変性エポキシアクリレート系樹脂等のエポキシアクリレート系樹脂;ポリオール(ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコールとアジピン酸のポリエステルジオール、ε−カプロラクトン変性ポリエステルジオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端水添ポリイソプレン、水酸基末端ポリブタジエン、水酸基末端水添ポリブタジエン、水酸基末端ポリイソブチレン等)と有機イソシアネート(トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等)から得られたウレタン樹脂を、水酸基含有(メタ)アクリレート{ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等}と反応させて得られたウレタンアクリレート系樹脂;前記ポリオールにエステル結合を介して(メタ)アクリル基を導入した樹脂(大阪有機化学工業製BAC−15、BAC−45、SPBDA−S30等);ポリエステルアクリレート系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリルアクリレート系樹脂(重合性の反応基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂)等の一般的なUV硬化性樹脂や酸素硬化性樹脂、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するメチルメタクリレート樹脂、スチレン樹脂、スチレン/アクリロニトリル樹脂、ポリブチルアクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、メチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合樹脂、2−エチルヘキシルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合樹脂、シリコーン樹脂等のいわゆるマクロモノマー等が挙げられる。
反応性希釈剤を添加する場合の添加量は特に制限はないが、硬化性組成物の作業性が良好で、硬化収縮率への影響が小さい点から、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)100重量部に対して、0.1〜200重量部が好ましく、0.1〜100重量部がさらに好ましい。
<充填剤>
本発明のラジカル硬化性組成物には、機械的強度や耐摩耗性を付与したり、硬化性組成物のチクソ性を調整したりするために、充填剤を添加することができる。具体的には、特開2006−291073公報段落[0134]〜[0151]記載の各種充填剤や微小中空粒子が挙げられる。充填剤としては、ヒュームドシリカ、湿式法シリカ等の補強性シリカである微粉シリカ、カーボンブラック、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、白土、シリカ(結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸等)、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、べんがら、アルミニウム微粉末、フリント粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、亜鉛末、炭酸亜鉛、シラスバルーン、ポリアクリル樹脂・ポリアクリロニトリル−塩化ビニリデン樹脂・フェノール樹脂・ポリスチレン樹脂等のビーズ類やその中空微粒子、ガラスバルーン・シラスバルーン、フライアッシュバルーン等の無機系中空微粒子、ガラス繊維、ガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等の繊維状充填材等が挙げられる。
これらの中でも、補強性に優れる点から、ヒュームドシリカや湿式法シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウムが好ましい。
補強性シリカとして用いられる、ヒュームドシリカ、湿式法シリカの中でも粒子径が50μm以下であり、比表面積が80m/g以上のものが補強性の効果から好ましい。また、表面処理シリカ、例えば、オルガノシラン、オルガノシラザン、ジオルガノシクロポリシロキサン等で表面処理されたものよりは、表面無処理シリカの方が、混練のしやすさ、組成物の流動性が良好であり経済性にも優れるといった点からさらに好ましい。補強性シリカのより具体的な例としては、特に限定されないが、ヒュームドシリカの1つである日本アエロジル社のアエロジルや、湿式法シリカの1つである日本シリカ工業社のNipsil等が挙げられる。
なお、上記比表面積値は、BET法(不活性気体の低温低湿物理吸着)による測定値をいう。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等いずれのカーボンブラックでも好ましく用いられ、補強性が良好で経済性にも優れる点からファーネスブラックがさらに好ましい。
これらの充填剤の添加量としては特に制限はないが、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜80重量部、特には1〜50重量部用いることが好ましい。配合量が0.1重量部未満の場合には、補強性の改善効果が充分でないことがあり、100重量部を越えると該硬化性組成物の作業性が低下したりすることがある。また、充填剤は単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
<可塑剤>
本発明のラジカル硬化性組成物には可塑剤を添加することができる。可塑剤の添加により、ラジカル硬化性組成物の粘度や得られる硬化物の引張り強度、伸びなどの機械特性を調整できたり、また硬化物の透明性を改善できたりする。可塑剤としては特に限定されないが、物性の調整、性状の調節等の目的により、例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の非芳香族二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール酸メチル等の脂肪族エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット酸エステル類;ピロメリット酸エステル類;ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリクロロプレン;塩素化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル等の炭化水素系油;プロセスオイル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールとこれらポリエーテルポリオールの水酸基をエステル基、エーテル基等に変換した誘導体等のポリエーテル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類;セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩基酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールから得られるポリエステル系可塑剤類;東亞合成製ARUFONシリーズのようなアクリル系可塑剤を始めとするビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られる(メタ)アクリル系重合体類等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
可塑剤を添加する場合の添加量は特に制限はないが、ラジカル硬化性組成物の作業性が良好で、得られる硬化物の機械特性への影響が小さいという点から、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)100重量部に対して、1〜100重量部が好ましく、1〜50重量部がさらに好ましい。
<溶剤>
本発明で用いられる硬化性組成物には、必要に応じて溶剤を配合することができる。
配合できる溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素系溶剤が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
溶剤を添加する場合の添加量は特に制限はないが、硬化性組成物の作業性が良好で、硬化収縮への影響が小さいという点から、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)100重量部に対して、50重量部以下が好ましく、30重量部以下がさらに好ましく、作業環境への影響が小さいという点から10重量部以下がさらに好ましい。
<チクソ性付与剤(垂れ防止剤)>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて垂れを防止し、作業性を良くするためにチクソ性付与剤(垂れ防止剤)を添加しても良い。
チクソ性防止剤としては特に限定されないが、たとえば、水添ヒマシ油誘導体類、長鎖アルキル基を有する金属石鹸類、長鎖アルキル基を有するエステル化合物、シリカ等の無機充填剤、アミドワックス等が挙げられる。これらチクソ性付与剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
チクソ性付与剤を添加する場合の添加量は特に制限はないが、硬化性組成物の作業性が良好であるという点から、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がさらに好ましい。
<酸化防止剤>
本発明の硬化性組成物には酸化防止剤(老化防止剤)を使用することができる。酸化防止剤を使用すると硬化物の耐熱性を高めることができる。酸化防止剤としては、一般的なヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、エタノールアミン系酸化防止剤等の一次酸化防止剤、およびイオウ系酸化剤やリン系酸化剤等の二次酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤としては、特開2007−308692公報段落[0232]〜[0235]やWO05/116134公報段落[0089]〜[0093]に記載されているものを用いることができる。
酸化防止剤を添加する場合の添加量は特に制限はないが、耐熱性への効果が十分に発揮され、かつ経済的にも不利にならないという点から、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.1〜3重量部がさらに好ましい。
<その他の添加剤>
本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物又は硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。このような添加物の例としては、たとえば、相溶化剤、硬化性調整剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、消泡剤、発泡剤、防蟻剤、防かび剤、紫外線吸収剤、光安定剤などがあげられる。本明細書にあげた添加物の具体例以外の具体例は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号、特開2001−72854号の各公報などに記載されている。
<ラジカル硬化性組成物の調製>
本発明のラジカル硬化性組成物は、全ての配合成分を予め配合し、施工後にUVや電子線を照射することにより硬化する一液光硬化型や、施工後に加熱することにより硬化する一液熱硬化型、あるいは配合成分を二液に分割しておき、混合することでラジカルを発生させる二液混合型として調製することができる。
本発明の硬化性組成物の調製法には特に限定はなく、例えば上記した成分を配合し、ハンドミキサーやスタティックミキサーで混合したり、プラネタリーミキサーやディスパー、ロール、ニーダーなどを用いて常温又は加熱下で混練したり、適した溶剤を少量使用して成分を溶解させ、混合したりするなどの通常の方法が採用されうる。特に充填剤を混合する場合には、プラネタリーミキサーやディスパー、ロール、ニーダーなどを用いることが好ましい。
<硬化方法>
本発明の硬化性組成物は、特に限定されないが、UVや電子線などの活性エネルギー線又は熱により硬化させることが好ましい。
<活性エネルギー線硬化>
本発明の活性エネルギー線照射は、通常の活性エネルギー線硬化に用いられる光源であれば使用可能であり、例えば、太陽光線、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、冷陰極蛍光管(CCFL)、蛍光灯、白熱電球、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、タングステンランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、ジルコニウムランプ、フィールドエミッションランプ、紫外線エキシマ蛍光ランプ、有機EL、LED、UV−LED等が挙げられる。これらの中でも、取り扱いのし易さや経済性の点から、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、無電極放電ランプ、冷陰極蛍光管(CCFL)、UV−LEDが好適である。
また、活性エネルギー線の波長や照射強度や積算光量は、ラジカル架橋性基の種類や量、光ラジカル開始剤の種類・量、所望の硬化物の厚みや大きさなどの形状により適宜調整されて照射される。
活性エネルギー線照射の方法としては、例えばベルトコンベア上で活性エネルギー線を連続的に照射する方法や活性エネルギー線を照射する時のみベルトコンベアを停止し、均一に活性エネルギー線を照射する方法、あるいは照射ごとに活性エネルギー線照射装置に硬化性組成物を投入・取り出しを行う方法(バッチ式)等が挙げられる。ベルトコンベア方式は連続的に硬化する場合に向いている。バッチ式法では、ベルトコンベア等の大がかりな装置が必要なく、また、対象物に対し活性エネルギー線を均一に照射させやすいという利点がある。ベルトコンベア式の場合、例えば、硬化性組成物をベルトコンベアに載せ、コンベアの上方または横方、あるいは下方に固定された活性エネルギー線照射装置から活性エネルギー線を照射する。
あるいは、スポット型活性エネルギー線照射装置を用いて、塗布ロボットあるいは照射ロボット、またはステージの動きに合わせて、硬化性組成物の塗布・硬化を行うこともできる。
活性エネルギー線硬化の場合は、空気中の酸素の影響により表面硬化阻害を生じやすいことが知られており、これを回避するために、例えばラジカル硬化性組成物をPPフィルムやPETフィルム、テフロン(登録商標)フィルムなどの透明性のあるバリヤフィルムにより覆って表面が酸素と触れないようにして、該フィルムを介して活性エネルギー紫外線を照射してもよいし、窒素ガスや炭酸ガスのような不活性ガスにより酸素を置換したイナートゾーン中で活性エネルギー線を照射してもよい。後者の方法においては、ラジカル硬化性組成物の反応率を向上させるために、照射雰囲気の酸素濃度は5000ppm以下が好ましく、より好ましくは500ppm以下である。
しかしながら、本発明の硬化方法が上記の方法に限定されないことは明白である。
<熱硬化>
熱により硬化させる場合には、その温度は、使用する熱ラジカル開始剤、ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)及び添加される化合物等の種類により異なるが、50℃〜250℃の範囲内が好ましく、70℃〜200℃の範囲内がより好ましい。硬化時間は、使用する熱ラジカル開始剤、単量体、溶媒、反応温度等により異なるが、通常1分〜10時間の範囲内である。成形体を得るために熱硬化させる場合には、特に限定されず、一般に使用されている各種の成形方法を用いることができる。例えば、注型成形、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、押し出し成形、回転成形、中空成形、熱成形等が挙げられる。特に自動化、連続化が可能で、生産性に優れるという観点から射出成形によるものが好ましい。
<硬化物の性状>
本発明の硬化物は、ゴム弾性を示すことが好ましい。ゴム弾性とは、得られた硬化物を触ったときに、柔らかく、伸びに優れ、伸ばしたり曲げたりしても元の形状に容易に戻る性状を示すものである。
具体的には、硬化物のガラス転移温度(Tg)が25℃以下であることが好ましく、10℃以下であることがさらに好ましい。ガラス転移温度が25℃以上であると、室温でゴム弾性を示しにくくなる。
ここで、ガラス転移温度(Tg)は、損失正接(tanδ)のピークトップの値に基づく方法(DMA法)により測定される。損失正接は、損失弾性率/貯蔵弾性率の値により測定される。損失弾性率と貯蔵弾性率は、試験片に剪断モードで一定の周波数(例えば5Hz)で力を付与し、その力を与えた時の応力を、動的粘弾性計測装置を用いて計測することで測定される。
<硬化物の使用方法について>
本発明の硬化物は、必要に応じて、単体で用いてもよいし、他の部材と複合して用いてもよい。ラジカル硬化性組成物を何らかの型に流し込んで固めてから取り出してもよいし、所望の型を用いて硬化し、その型ごと用いてもよい。あるいは、ローラやディスペンサ等でドット状、ビード状、面状または任意の形状に塗布して用いてもよい。また、得られた硬化物をフィルムやゴム、プラスチック、金属、セラミックス、紙、不織布等他の部材と貼り合わせたり、嵌め込んだり、挟み込んだり、接着剤や粘着剤を介して一体化させてもよいし、塗布や注入といった方法で、ラジカル硬化性組成物の状態で他部材と接触させた後に、活性エネルギー線の照射あるいは加熱により硬化させ、複合成形体を得てもよい。
しかしながら、本発明の硬化物が上記の使用方法に限定されないことは明白である。
<用途>
本発明のラジカル硬化性組成物および硬化物の用途としては、限定はされないが、スポーツ用品、玩具・遊具、文房具、医薬・医療・介護用品、履物、寝具・寝装品、家具、衣料、各種雑貨、輸送用品、OA機器、家電製品、オーディオ機器、携帯機器、産業用機械・機器、精密機器、電気・電子機器、電気・電子部品、建材用品のシール材・コーティング材・接着剤・粘着剤・成形体・封止材・成形部品・塗料・インク・発泡体・レジスト材・現場成形ガスケット・衝撃吸収材・衝撃緩衝材・圧力分散材・制振材・防振材・吸音材・防音材・断熱材・感触改善部材等の様々な用途に利用可能である。
また、各種用途に用いる場合に、ショックアブソーバー、インシュレーター、ブッシュ、各種マウント、ローラ、フィルム、シート、テープ、シール、チップ、成形部材としての利用も可能である。
スポーツ用途としては、球技場、競技場、体育館のフェンス・床面等に設置する衝撃緩衝材、体操競技や運動用の着地マット、床運動用マット、ジムのストレッチ用マット、キッズマット、ボルダリング用マット(クラッシュパッド)、ビート板、高飛び用のクッション材、ウエットスーツ、ゴルフクラブ・バット・テニスラケットなどのグリップや心材、グラブやミットの心材、スポーツシューズの上敷き、中敷き、中底、靴底、スキーブーツ・スノーボードブーツのライナー、トゥ・シューズ、バレエシューズ、ゴルフクラブヘッド、ゴルフボールや野球用ボールその他の球技用ボール、スポーツ用プロテクター類(例えば、ラグビーやボクシング等の格闘技で使用するヘッドギア、野球やフットボールのヘルメット、野球・サッカー・格闘技等のひじあて、レガース(シンガード)等)、ラケット、ボール、ライダー用スーツ、グローブ(サッカーのキーパーグローブ、ゴルフ、スキー、ライダー用)、ライフルジャケット(例えば肩パット)等の成形体用途、シール材用途、封止剤用途、衝撃吸収用途、衝撃緩衝用途、圧力分散用途、制振用途、防振用途、吸音用途、防音用途、人体との接触部の感触改善用途などに有用である。
玩具・遊具用途としては、シール、ハンドエクササイザー、ヒーリンググッズ、キーホルダー、ぬいぐるみ、動くぬいぐるみ、マネキンボデイー、ボール、マッサージボール等のクッション材や詰め物、ゲームのコントローラーやマット、携帯電話やスマートフォン等のデコレート用品やその他装飾品用の作製材料、動物模型、怪獣や人形、フィギュア等の成形体用途、シール材用途、封止剤用途、衝撃吸収用途、衝撃緩衝用途、圧力分散用途、制振用途、防振用途、吸音用途、防音用途、人体との接触部の感触改善部用途などに有用である。
医療・介護用途としては、人工皮膚、人工骨、人工軟骨、 人工臓器、人工角膜、人工水晶体、人工硝子体、人工筋肉、人工血管、人工関節、人体模型、水着や豊胸用の胸パットや挿入用材料、その他生体適合材料としての利用や、薬液染み出しパッド、止血パッド、気液分離フィルター(留置針フィルター)、貼布剤、医療用液体吸収用具、マスク、圧迫パッド、手術用ディスポ製品、医療用チューブ・キャップ・バッグ・ガスケット・、ホース、医療用のベッド・治療台・椅子、心電図測定用電極材、低周波治療器用電極パッド、センサーパッド、床ずれ予防マットレス、体位変換クッション、車椅子用クッション、車椅子の座面、シャワー椅子等の介護用品、入浴介護用枕、テーピング、ギブス用ライナー、ソフトコンタクトレンズ用材料、義手・義足そのものや義足や義手の人体への接続用緩衝材(ライナー等)、又は義足や義手の関接部分構成材、入れ歯台、その他歯科用品、衝撃吸収パッド、ヒッププロテクター、肘・膝用プロテクター、術後の身体形状補助材、湿布材、創傷被覆材、細胞培養シート、治療実習用の成体モデル等にも利用できるものである。その他、人体に接触させ使用される物品として、例えば、魚の目もしくはたこの痛み緩衝材、サポーター、パンプスなどのずれ防止材、またはひじもしくはかかとなどの乾燥防止パッド、外反母趾や巻き爪等による痛みを緩和するためのフットケア用衝撃吸収用途などに有用である。 その他に、経皮吸収製剤や貼付用の粘着剤、医薬・医療用シール材、医療用粘着剤、医療用ゴム栓、印象材、歯科充填材、シリンジガスケット、および減圧血管用ゴム栓、人工透析装置用のOリング又は平形ガスケット、医薬品・医療器具の包装材料、キャップ、キャップライナー、真空採血管のキャップ、カテーテルのシール材や接着剤、体内埋め込み型医療機器や添付形センサー類のシール材や接着剤等に利用可能である。
履物用途としては、紳士靴、婦人靴、子供用靴、高齢者用靴、スポーツシューズ、安全靴等に使用が可能であり、それぞれの靴の表皮材、裏打ち、中敷(インナーソール)、靴底(アウトソール、ミッドソール、ヒール)、靴擦れ防止パッド、各種靴パッド、インナーブーツ、スリッパ、スリッパ芯、サンダル、サンダル中敷等の成形体用途、衝撃緩衝用途、衝撃吸収用途、履き心地改善用途、美容・痩身用途として有用である。
寝具・寝装品用途としては、枕、掛け布団、敷布団、ベッド、理容用・美容用ベッド、マットレス、ベッドマット、ベッドパッド、クッション、ベビーベッド、ベビー用首まくら等の床ずれ防止用途や体圧分散用途や寝心地改善用途、衝撃吸収用途、成形体用途等が挙げられる。
家具用途としては、椅子、座イス、座布団、ソファー、ソファークッション・シートクッション、腰当クッション等の各種クッション、カーペット・マット類、コタツ敷・掛け布団、便座マットの体圧分散用途や座り心地改善用途、衝撃吸収用途、感触改善用途等が挙げられる。机、タンス、衣装ケース、本棚、階段、ドア、扉、ふすま、障子、引き戸の取手や持手、手すり、戸当たり部等の感触改善部用途、衝撃吸収用途、防音用途、成形体用途等が挙げられる。
衣料用途としては、肩・ブラジャー等のパッド材や、防寒材、ヘルメット、防弾チョッキ、等に衝撃吸収用途や断熱用途、成形体用途等が挙げられる。
各種雑貨用途としては、バスピロー等の風呂用品、マッサージ用パフ、マウスパッド、パソコン用アームレストやリストレスト、滑り止めクッション、文具(ペングリップ、浸透印材)、デスク用小まくら、耳栓、綿棒、ホットパック用シート、コールドパック用シート、湿布、めがねパッド、水中眼鏡用パッド、顔面プロテクター、腕時計パッド、ヘッドホーンイヤーパット、イヤホン、保温カップ、飲料缶、氷枕カバー、折りたたみまくら、筆記具、鞄(例えばランドセルの肩掛け部、手提げ部等)、日用雑貨・大工用品のグリップ、カーペット用部材、人工芝用部材等の敷物用部材、肘当て、膝当て、手袋、魚つり用等の疑似餌、鞍による馬の背中の鞍ずれ防止材等の成形体用途、シール材用途、衝撃吸収用途、緩衝用途、防振用途、制振用途、吸音用途、消音用途、人体との接触部の感触改善部用途として利用が可能である。
輸送用途としては、自動車・オートバイ・自転車・電動自転車・三輪車・ベビーカー・建築機械・鉄道車両・船舶・航空機等の座席、チャイルドシート、ヘッドレスト、アームレスト、フットレスト、ヘッドライナー、サドル、ライダークッション、ヘルメット、カスタムカー用のベッドマット、キャンピングカー用クッション、天井材、ドアトリム、フロアクッションインストルメントパネル、ダッシュボード、ドアパネル、インナーパネル、シフトノブ、ハンドル、グリップ、ピラー、コンソールボックス、エアバックカバー、パーキングブレーキカバー、クォータートリム、内張り、センターピラーガーニッシュ、サンバイザー等の内装材、車載型道路ナビゲーションシステムの記録再生装置や各種センサー類、制御機器等の車載電子機器、ハーネス・ダストカバー・ホース・エンジン・バッテリー・オイルパン・フロントカバー・ロッカーカバー等のエンジン周り、タイヤ、バンパー、フロア、アンダーフロア、ドア、ルーフ、パネル、ホイルハウス、トランスミッション、ウェザーストリップ、各種補機カバー、ウインドーパッキン、ルーフモール、ドア下モール、シートバック、トランクルーム、荷台等の車体周りの成形体用途、シール材用途、制振用途、防振用途、衝撃吸収用途、吸音用途、防音用途、緩衝用途、人体との接触部の感触改善用途等が挙げられる。また、キャリーバッグ・台車・コンテナ・フレキシブルコンテナー・パレット等人荷運搬用具の防振用途、制振用途、衝撃吸収用途、振動吸収用途も挙げられる。運搬するものとしては、例えば、美術品、精密機器、果物、鮮魚、卵、陶器・磁器類が挙げられ、これらの直接梱包用、間接梱包用あるいは梱包したものを搬送する用途に使用できる。また、輸送用、運搬用、搬送用にショックアブソーバー、インシュレーター、ブッシュ、各種マウント、フィルムシート、テープ、シール、チップ、成形部材としての利用も可能である。防振ゴムとして、自動車用防振ゴム、鉄道車両用防振ゴム、航空機用防振ゴム、防舷材等に使用できる。
更に、自動車分野ではボディ部品として、気密保持のためのシール材、ガラスの振動防止材、車体部位の防振材、特にウインドシールガスケット、ドアガラス用ガスケットに使用することができる。シャーシ部品として、防振、防音用のエンジンおよびサスペンジョンゴム、特にエンジンマウントラバーに使用することができる。エンジン部品としては、冷却用、燃料供給用、排気制御用などのホース類、エンジンカバーやオイルパン用のガスケット、エンジンオイル用シール材などに使用することができる。また、排ガス清浄装置部品、ブレーキ部品にも使用できる。タイヤ部品としては、ビード部位、サイドウォール部位、ショルダー部位、トレッド部位のほか、インナーライナー用の樹脂や空気圧センサー・パンクセンサーのシール材として利用可能である。また、各種電子部品・制御部品のシール材、封止材、ガスケット、コーティング材、モールド部材、接着剤、粘着剤として利用可能である。また、銅製・アルミ製ワイヤーハーネスの被覆材やコネクタ部のシール材としても利用可能である。その他、ランプ、バッテリー、ウィンドウォッシャー液ユニットやエアコンディショナーユニット、クーラントユニット、ブレーキオイルユニット、電装部品、各種内外装品、オイルフィルター等のシール材、接着剤、粘着剤、ガスケット、Oリングやパッキン、ベルト等の成形部品、イグナイタHICもしくは自動車用ハイブリッドICのポッティング材等としても利用可能である。
各種機器用途としては、OA機器(ディスプレイ・パソコン・電話機・コピー機・プリンタ・複写機・ゲーム機・テレビ・DVDレコーダーやブルーレイレコーダー、HDDレコーダー等の各種レコーダー類・DVDプレイヤーやブルーレイプレイヤー等の各種プレイヤー類・プロジェクタ・デジタルカメラ・ホームビデオ・アンテナ・スピーカー・電子辞書・ICレコーダー・FAX・コピー機・電話機・ステッピングモーター・磁気ディスク・ハードディスク等)の成形体用途、シール材用途、封止剤用途、防振用途、制振用途、衝撃吸収用途、衝撃緩衝用途、吸音用途、防音用途、人体との接触部の感触改善部用途や接着剤、粘着剤、パッキン、Oリング、ベルトとして有用である。
家電製品(冷蔵庫・洗濯機・洗濯乾燥機・布団乾燥機・掃除機・空気清浄機・浄水器・電動歯ブラシ・照明器具・エアコン・エアコン室外機・除湿機・加湿器・ファンヒーター・扇風機・換気扇・ドライヤー・マッサージャー・送風機・ミシン・食器洗浄機・食器乾燥機・ドアホン・炊飯器・電子レンジ・オーブンレンジ・IHクッキングヒーター・ホットプレート・各種充電器・アイロン)の防振用途、制振用途、衝撃吸収用途、衝撃緩衝用途、吸音用途、防音用途、取手や持手、扉・ドア・手すり等人体との接触部の感触改善部用途やシール材、接着剤、粘着剤、パッキン、Oリング、ベルトとして有用である。
オーディオ機器(スピーカー・ターンテーブル・光ピックアップ装置や光記録再生装置・磁気ピックアップ装置や磁気記録再生装置・インシュレーター・スぺーサー等)の防振用途、制振用途、衝撃吸収用途、衝撃緩衝用途として有用である。
ノート型パソコン、携帯型ハードディスク、携帯電話、スマートフォン、携帯型音楽情報機器、携帯ゲーム機等の携帯機器の防振用途、制振用途、衝撃緩衝用途、人体との接触部の感触改善用途として有用である。
電気・電子用途では、例えば、LED材料、各種電池周辺材料、センサー類、半導体周辺材料、回路基板周辺材料、液晶等のディスプレイ周辺材料、照明材料、光通信・光回路周辺材料、光記録周辺材料、磁気記録材料、等に利用可能である。
LED材料としては、LED素子のモールド材、封止材、封止フィルム、ダイボンド材、コーティング材、シール材、接着剤、粘着剤、レンズ用材料としての使用や、LED電球、LED表示灯、LED表示板、LED表示機等のシール材、接着剤、粘着剤、コーティング材等に利用可能である。
電池周辺材料としては、リチウムイオン電池、ナトリウム・硫黄電池、ナトリウム溶融塩電池、有機ラジカル電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、レドックスフロー電池、リチウム硫黄電池、空気電池、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、燃料電池、太陽電池、色素増感型太陽電池等のシール材、裏面封止材、各素子のモールド材、接着剤、粘着剤、封止材、封止フィルム、コーティング材、ポッティング材、充填材、セパレーター、触媒固定用皮膜、保護フィルム、電極の結着剤、冷媒油用シール材、ホース材等に利用可能である。
センサー類としては、力・荷重・衝撃・圧力・回転・振動・接触・流量・日射・光・におい・時間・温度・湿度・風速・距離・位置・慣性・傾斜・速度・加速度・角速度・硬度・歪・音・磁気・電流・電圧・電力・電子・放射線・赤外線・X線・紫外線・液量・重量・ガス量・イオン量・金属量・色彩等各種センサーの封止材、封止フィルム、振動吸収材、振動抑制材、レンズ用材料、接着剤、粘着剤、コーティング剤、フィルム等として利用可能である。
回路基板周辺材料としては、IC、LSI、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ、コンデンサ、抵抗体、コイル等の各種素子が搭載されたリジッドまたはフレキシブル配線基板やMEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)のシール材、コーティング材、コンフォーマルコーティング材、ポッティング材、上記各素子のモールド材、アンダーフィル材、ダイボンド材、ダイボンディングフィルム、接着剤、粘着剤、封止材、封止フィルムとして利用可能である。
ディスプレイ周辺材料としては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、LED表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、電子ペーパー、フレキシブルディスプレイ、3Dホログラム、有機薄膜トランジスタディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ等の各素子のモールド材、各種フィルター、保護フィルム、反射防止フィルム、視野角補正フィルム、偏光子保護フィルム、光学補正フィルムなどのフィルム類、シール材、接着剤、粘着剤、封止材、封止フィルム、基板や部材のコーティング材、ポッティング材、充填材、視認性改良材、レンズ用材料、導光板、プリズムシート、偏光板、位相差板、液晶ダム材として利用可能である。
照明材料としては、照明用LED、照明用有機EL、照明用無機ELのシール材・コーティング材・接着剤・封止材・成形部品として利用可能である。
光通信・光回路周辺材料としては、有機フォトリフラクティブ素子、光ファイバー、光スイッチ、レンズ、光導波路、発光素子、フォトダイオード、光増幅素子、光電子集積回路、光コネクタ、光カプラ、光演算素子、光電変換装置、レーザー素子等の各素子のモールド材、シール材、接着剤、粘着剤、封止材、封止フィルム、コーティング材、ポッティング材、充填材、保護膜、レンズ用材料、導光板、プリズムシート、偏光板、フェルールとして利用可能である。
光記録材料としては、VD(ビデオディスク)、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、BD、BD−ROM、BD−R、BD−RE、MO、MD、PD(相変化ディスク)、ホログラム、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ等の保護フィルム、シール材、接着剤、粘着剤、封止材、封止フィルム、コーティング材、防振材、制振材として利用可能である。
磁気記録材料としては、ハードディスク、磁気テープ、クレジットカード等の磁気カードの防振材、制振材、シール材、接着剤、粘着剤、封止材、コーティング材、カバーガスケット、カード材料として利用可能である。
情報電気機器として、携帯電話、メディアプレーヤー、タブレット端末、スマートフォン、携帯ゲーム機、コンピュータ、プリンタ、スキャナ、プロジェクタ、インクジェットタンク等のシール材、封止材、接着剤、粘着剤、パッキン、Oリング、ベルト、防振材、制振材防音材などに利用可能である。
その他に、タッチパネルの防汚膜、潤滑膜、ICチップのモールド材、ペルチェ素子のモールド材、電解コンデンサの封口体、ケーブルジョイントポッティング材、IGBT(車両推進制御装置)のポッティング材、半導体ウェハ加工用ダイシングテープ、ダイボンド剤、ダイボンドフィルム、アンダーフィル、異方導電性接着剤、異方導電性フィルム、導電性接着剤、導電性ペースト、熱伝導性接着剤、熱伝導性ペースト、仮止め用フィルム、固定用フィルム、封止用フィルム等に利用可能である。
その他の産業機械、電気・電子機器やその部品として、MEMSと呼ばれる微小電気機械素子や各種センサー類、制御機器や電池、電池周辺部材、LED材料、半導体周辺材料、回路基板周辺材料、液晶等のディスプレイ周辺材料、照明材料、光通信・光回路周辺材料、光記録周辺材料、磁気記録材料、電子顕微鏡やその他理工学機器、各種測定装置、自動販売機、TVカメラ、レジスタ、キャビネット、ロボットの皮膚シュータ、エレベータ、エスカレータ、動く歩道、コンベア、リフト、トラクタ、ブルドーザ、発電機、コンプレッサ、コンテナ、ホッパ、選果機用コンベアー、現金自動取引装置(ATM)、両替機、計数機、自動販売機、キャッシュディスペンサー(CD)、リチウム電池等二次電池、ICトレーや搬送コンベア等の半導体製造装置、制振鋼板、削岩機、切削機、チェーンソー、ハンドミキサー、草刈り機等の激しいモーター振動のある機械等の防振用途、制振用途、衝撃緩衝用途、衝撃吸収用途、人体との接触部の感触改善用途として有用である。
家電分野では、パッキン、Oリング、ベルトなどに使用できる。具体的には、照明器具用の飾り類、防水パッキン類、防振ゴム類、防虫パッキン類、クリーナ用の防振・吸音と空気シール材、電気温水器用の防滴カバー、防水パッキン、ヒータ部パッキン、電極部パッキン、安全弁ダイアフラム、酒かん器用のホース類、防水パッキン、電磁弁、スチームオーブンレンジ及びジャー炊飯器用の防水パッキン、給水タンクパッキン、吸水バルブ、水受けパッキン、接続ホース、ベルト、保温ヒータ部パッキン、蒸気吹き出し口シールなど燃焼機器用のオイルパッキン、Oリング、ドレインパッキン、加圧チューブ、送風チューブ、送・吸気パッキン、防振ゴム、給油口パッキン、油量計パッキン、送油管、ダイアフラム弁、送気管など、音響機器用のスピーカーガスケット、スピーカーエッジ、ターンテーブルシート、ベルト、プーリー等が挙げられる。
建材用途として防音パネル、防音ガラス、一般ガラス、天井材、内壁材、外壁材、床材、配管用材、水道部材、フェンス等の建材、空気膜構造屋根材、構造用ガスケット(ジッパーガスケット)、免震ゴム、防振ゴム、シート、防水シート、不定形ガスケット、定形ガスケット、防水材、シール材、パッキング、グロメット、包装輸送資材、住宅用制振シート、制振ダンパー材、橋梁用制振材、防音材、セッティングブロック、摺動材、合わせガラスおよび複層ガラスのガラスシール材、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材、シャッタ、カーテンレール、カーテンウォール、免振アイソレーター、地盤改良材等の防振用途、制振用途、衝撃緩衝用途、衝撃吸収用途、可聴域しきい値近傍の低周波音及び高周波音に対応する等の防音用制振用途として有用である。
海洋・土木分野では、構造用材料として、ゴム伸縮継手、支承、止水板、防水シート、ラバーダム、弾性舗装、防振パット、防護体等、工事副材料としてゴム型枠、ゴムパッカー、ゴムスカート、スポンジマット、モルタルホース、モルタルストレーナ等、工事補助材料としてゴムシート類、エアホース等、安全対策商品としてゴムブイ、消波材等、環境保全商品としてオイルフェンス、シルトフェンス、防汚材、マリンホース、ドレッジングホース、オイルスキマー等に使用できる。その他、板ゴム、マット、フォーム板等にも使用できる。
また防振・制振・防音・免震材料が特に求められる用途として、ステッピングモーター、磁気ディスク、ハードディスク、自動販売機、スピーカフレーム、BSアンテナ、VTRカバー用制振材等の電気・電子機器用途;ルーフ、フロア、シャッタ、カーテンレール、床、配管ダクト、デッキプレート、カーテンウォール、階段、ドア、免振アイソレーター、構造材用制振材等の建築用途;粘弾性ダンパー、耐震マット等の建築用途;エンジンルーム、計測ルーム用制振材等の船舶用途;エンジン(オイルパン、フロントカバー、ロッカーカバー)、車体(ダッシュ、フロア、ドア、ルーフ、パネル、ホイルハウス)、トランスミッション、パーキングブレーキカバー、シートバック用制振材等の自動車用途;TVカメラ、複写機、電算機、プリンタ、レジスタ、キャビネット用制振材等のカメラ・事務機器用途;シュータ、エレベータ、エスカレータ、コンベア、トラクタ、ブルドーザ、発電機、コンプレッサ、コンテナ、ホッパ、防音ボックス、草刈り機のモータカバー用制振材等の産業機械関係用途;鉄道車両ルーフ、側板、ドア、アンダーフロア、各種補機カバー、橋梁用制振材等の鉄道用途;半導体用途の精密除振装置用制振材;可聴域しきい値近傍の低周波音及び高周波音に対応する等の防音用制振材として利用可能である。
その他に、本発明の硬化物は、成形体として、パッキン、Oリング、ベルト、チューブ、ホース、弁、シート等に利用可能である。
配線コネクタ用反応性ホットメルト剤、反応性ホットメルト接着剤、OCA(光学用透明接着剤)、弾性接着剤、コンタクト接着剤、嫌気性接着剤、タイル用接着剤、紫外線硬化性接着剤、電子線硬化性接着剤、タッチパネルやタッチセンサー用接着剤等の各種接着剤として利用可能である。
ブチル系粘着剤の改質や、マスキングテープ、パイプ防食テープ、建築止水テープ、電気用自己融着テープ、再剥離用粘着剤、電線用融着テープ等の各種粘着剤として利用可能である。
電線・ケーブル・光ファイバー類の被覆材またはその補修材、結線部の絶縁シール材、ガス管、水道管等の管内ライニング材、無機フィラー、有機フィラーのコーティング材、エポキシ型内成形用離型材等の各種コーティング用途に利用可能である。
熱伝導シート、放熱シート、電磁波吸収シート、導電性シート、防水シート、自動車用保護シート、パネル用衝撃吸収シート等の各種シートとして利用可能である。
衝撃吸収ゲル、ベッド、靴等の衝撃吸収材、合わせガラスの中間層膜、弾性塗料、水性エマルジョン等の塗料、プリプレグ、OA機器用や搬送用の各種ローラ、キャップライナー、撥インク剤、インキ、各種冷媒用シール材、工業用缶・食品用缶のシール材・ガスケット、発泡ガスケット、塗料、粉体塗料、発泡体、缶蓋等のシール材、フィルム、ガスケット、マリンデッキコーキング、注型材料、各種成形材料、人工大理石として利用可能である。
ドライフィルムレジスト用途、電着レジスト用途等のレジスト用途にも利用可能である。
しかしながら、本発明の硬化物が上記の用途に限定されないことは明白である。
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804、K−802.5;昭和電工(株)製)を、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
また重合体1分子当たりに導入された官能基数は、1H−NMRによる濃度分析、及びGPCにより求まる数平均分子量を基に算出した。ただしNMRはBruker社製ASX−400を使用し、溶媒として重クロロホルムを用いて23℃にて測定した。
(合成例1)アクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[P1]の合成例
公知の方法(例えば、特開2012−211216号公報記載)に従い、臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、ジエチル−2,5−ジブロモアジペートを開始剤、アクリル酸n−ブチルをモノマーとし、(アクリル酸n−ブチル)/(ジエチル−2,5−ジブロモアジペート)比を160にして重合し、末端臭素基ポリアクリル酸n−ブチルを得た。
この重合体をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させ、アクリル酸カリウムを加え、窒素雰囲気下、70℃で加熱攪拌した。この混合液中のN,N−ジメチルアセトアミドを減圧留去したのち、残渣に酢酸ブチルを加えて、不溶分を濾過により除去した。濾液の酢酸ブチルを減圧留去して、両末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[P1]を得た。
重合体[P1]の数平均分子量は23,000、分子量分布は1.1、重合体1分子当たりに導入された平均のアクリロイル基の数をH−NMR分析により求めたところ約1.9個であった。
(合成例2)アクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)/(アクリル酸2-エチルへキシル)共重合体[P2]の合成例
モノマーとして、アクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−エチルヘキシルを50部/50部用い、モノマー/開始剤比を400とする以外は、合成例1と同様にして両末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)/(アクリル酸2-エチルへキシル)共重合体[P2]を得た。
共重合体[P2]の数平均分子量は約60000、分子量分布は1.4であった。重合体1分子当たりに導入された平均のアクリロイル基の数をH−NMR分析により求めたところ、約1.8個であった。
(合成例3)アクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)/(アクリル酸エチル)/アクリル酸メトキシエチル)共重合体[P3]の合成例
モノマーとして、アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/アクリル酸メトキシエチルを28部/40部/33部用い、モノマー/開始剤比を180とする以外は、合成例1と同様にして両末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)/(アクリル酸エチル)/アクリル酸メトキシエチル)共重合体[P3]を得た。
共重合体[P3]の数平均分子量は約25000、分子量分布は1.2であった。重合体1分子当たりに導入された平均のアクリロイル基の数をH−NMR分析により求めたところ、約1.9個であった。
(合成例4)アクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[P4]の合成例
開始剤としてα−ブロモ酪酸エチルを用い、モノマー/開始剤比を80とする以外は、合成例1と同様にして片末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[P4]を得た。
重合体[P4]の数平均分子量は12,000、分子量分布は1.1、重合体1分子当たりに導入された平均のアクリロイル基の数をH−NMR分析により求めたところ約0.9個であった
<物性評価方法>
実施例及び比較例で作製された硬化性組成物および硬化物の各物性評価は、以下の方法、条件に従って実施した。
(粘度)
JIS K 7117−2円すい−平板システムに準拠し、東機産業製E型粘度計を使用し、測定温度23℃で測定した。
(相溶性)
硬化性組成物を、20mLのガラス瓶に約10g秤量し、数日間放置後に相溶性を目視で判定した。透明の場合を相溶、濁りが見られるが背景が識別できるものを半相溶、白濁または分離した場合を非相溶とした。
(引張物性)
JIS K 6251に準拠し、試験片としてシートをダンベル3号型に打抜いたものを用意し、これを測定に使用した。引張速度は500mm/分とし、切断時引張応力(引張強さと表記)、切断時伸び(伸びと表記)を求めた。
(硬度)
JIS K 6253に準拠し、2mm厚みの試験片を3枚重ねてタイプAデュロメータまたはタイプEデュロメーターを用いて測定した。
(耐熱性)
2mm厚みのシートから約2cm角の試験片を切り出し、150℃の熱風乾燥オーブンに所定時間放置し、試験前後の重量から加熱減量を求めた。
(動的粘弾性)
アイティー計測制御株式会社製動的粘弾性測定装置DVA−200にて、周波数0.5Hz、歪み0.05%、剪断モードで測定し、所定温度の貯蔵弾性率を比較した。
(実施例1)
合成例1で得られた重合体[P1]100重量部に対し、2−デシルテトラデカニルアクリレート(共栄社化学製、ライトアクリレートDTD−A)10重量部と、光ラジカル開始剤として、DAROCUR1173(BASFジャパン製、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン)0.2重量部とIRGACURE819(BASF・ジャパン製、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド)0.1重量部をあらかじめ混合・溶解したものとを添加し、十分に混合した後、脱泡して、ラジカル硬化性組成物を得た。透明な液状物であった。2mm厚みになるようにポリプロピレン製型枠に流し込み、空気下でUV照射を実施することにより、ゴム状のシート硬化物を得た。UV照射には、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製、型式LH6、Hバルブを使用した。紫外線光量計はEIT製、4バンドUV測定器:UV POWER PUCK IIを使用し、受光センサーとしてUVA(320−290nm)の測定値を用いた。照射条件は照度500mW/cm、光量6000mJ/cmであった。得られた硬化性組成物および硬化物の物性を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006404585
(実施例2、3)
表1に示す部数の2−デシルテトラデカニルアクリレート(共栄社化学製、ライトアクリレートDTD−A)を用いる以外は実施例1と同様にしてラジカル硬化性組成物を作製したのち、ゴム状のシート硬化物を得た。得られた硬化性組成物および硬化物の物性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
表面をPETフィルムで覆い、UV照射装置として清原製スーパーレジンUVクリスタルランプ 36Wを用い、照射条件として照度7mW/cm、光量2000mJ/cmでUV照射する以外は、実施例3と同様にして2mm厚のゴム状のシート硬化物を得た。試験片を切り出して硬度を測定したところ、12であった。
(比較例1)
2−デシルテトラデカニルアクリレートを添加しないこと以外は、実施例1と同様にしてラジカル硬化性組成物を作製したのち、ゴム状のシート硬化物を得た。得られた硬化性組成物および硬化物の物性を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2、3)
2−デシルテトラデカニルアクリレートの代わりに、炭素数18の分岐鎖状アルキル基を有するイソステアリルアクリレート(大阪有機化学工業製、ISTA)、または炭素数12の直鎖状のアルキル基を有するラウリルアクリレート(共栄社化学製、ライトアクリレートL−A)を添加する以外は、実施例1と同様にしてラジカル硬化性組成物を作製したのち、ゴム状のシート硬化物を得た。硬化性組成物および得られた硬化物の物性を測定した。結果を表1に示す。
(比較例4)
2−デシルテトラデカニルアクリレートの代わりに、炭素数22の直鎖状アルキル基を有するベヘニルアクリレート(日油製、ブレンマーVA)を添加する以外は、実施例1と同様にしてラジカル硬化性組成物を作製した。しかしながら、組成物は白濁し、流動性のないものが得られたため硬化物は得られなかった。
(比較例5)
2−デシルテトラデカニルアクリレートの代わりに、炭素数18の直鎖状アルキル基を有するステアリルアクリレート(BASFジャパン製、SA)を添加する以外は、実施例1と同様にしてラジカル硬化性組成物を作製した。しかしながら、組成物は数日後に白濁した。
表1から明らかなように、(メタ)アクリル系重合体に長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー(DTD―A、ISTA、LA)を添加した場合、いずれの化合物でも低粘度化することで作業性は向上し、さらに得られる硬化物は、低硬度で高伸びとなり、より柔軟なゴム弾性を示す。しかしながら、炭素数18の分岐鎖状アルキル基を有するイソステアリルアクリレート(ISTA)や炭素数12の直鎖状アルキル基を有するラウリルアクリレート(LA)では室温(23℃)での貯蔵弾性率に比較して低温(−5℃)での貯蔵弾性率が大きく上昇しており、低温での柔軟なゴム弾性の維持が困難であることが示されている。これに対して、炭素数24の分岐鎖状のアルキル基を有する2−デシルテトラデカニルアクリレート(DTD−A)を用いると、常温(23℃)と低温(−5℃)での貯蔵弾性率の差が非常に小さく、低温でも室温と同様の良好なゴム弾性を維持していることが明らかである。
さらに、炭素数22の直鎖状アルキル基を有するベヘニルアクリレートや炭素数18の直鎖状アルキル基を有するステアリルアクリレートでは、 (メタ)アクリル系重合体との相溶性が乏しく、硬化性組成物の希釈剤としての使用は困難であることが比較例4,5より明らかである。
(実施例5、比較例6、7)
実施例1と同様にして、表2に示す処方のラジカル硬化性組成物を作製し、2mm厚みのゴム状のシート硬化物を得た。得られた硬化物を用いて150℃での耐熱試験を実施した。結果を表2に示す。
Figure 0006404585
表2の結果から、炭素数24の分岐鎖状のアルキル基を有する2−デシルテトラデカニルアクリレート(DTD−A)を用いた場合、炭素数18の分岐鎖状のアルキル基を有するイソステアリルアクリレート(ISTA)と同等の耐熱性を示し、炭素数12の直鎖状アルキル基を有するラウリルアクリレート(LA)は大きく劣ることが明らかである。
(実施例6−8)
実施例1と同様にして、表3に示す処方のラジカル硬化性組成物を作製し、2mm厚みのゴム状のシート硬化物を得た。得られた組成物及び硬化物の物性を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006404585
炭素数24の分岐鎖状のアルキル基を有する2−デシルテトラデカニルアクリレート(DTD−A)を用いた場合、低粘度で作業性に優れた硬化性組成物が得られ、柔軟性に優れ良好なゴム弾性を示す硬化物が得られる。
表に記載の化合物は、下記の通りである。
<モノマー類>
DTD−A:2−デシルテトラデカニルアクリレート、共栄社化学製
ISTA:イソステアリルアクリレート 大阪有機化学工業製
LA:ラウリルアクリレート 共栄社化学製
<酸化防止剤>
IRGANOX1010:ヒンダードフェノール系酸化防止剤 BASFジャパン製
<光ラジカル開始剤>
DAROCUR1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン BASFジャパン製
IRGACURE819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド BASF・ジャパン製

Claims (10)

  1. ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)100重量部に対し、ラジカル重合開始剤(II)0.01〜10重量部、および一般式(1):
    −OC(O)C(R)=CH (1)
    (式中、Rは炭素数24〜30の分岐鎖状のアルキル基を示す。Rは水素またはメチル基を示す。)
    で表わされる(メタ)アクリル酸エステルモノマー(III)を0.1〜150重量部含有することを特徴とするラジカル硬化性組成物。
  2. ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)が、ラジカル架橋性の炭素−炭素二重結合を分子末端に有する(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする請求項1に記載のラジカル硬化性組成物。
  3. ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)が、(メタ)アクリロイル基を分子末端に有する(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載のラジカル硬化性組成物。
  4. ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)の分子量分布が1.8未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のラジカル硬化性組成物。
  5. ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)が、炭素数4〜22の飽和炭化水素基を有するモノマーを重合または共重合して得られることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のラジカル硬化性組成物。
  6. ラジカル架橋性基を平均して少なくとも0.8個有する(メタ)アクリル系重合体(I)の数平均分子量が1,000〜100,000であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のラジカル硬化性組成物。
  7. ラジカル重合開始剤(II)が、光ラジカル開始剤であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のラジカル硬化性組成物。
  8. (メタ)アクリル酸エステルモノマー(III)中のRが、エステル結合のβ位に分岐をもつアルキル基であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のラジカル硬化性組成物。
  9. (メタ)アクリル酸エステルモノマー(III)が、2−デシルテトラデカニル(メタ)アクリレートであること特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のラジカル硬化性組成物。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載のラジカル硬化性組成物より得られた硬化物。
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