添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態の通信端末100(通信端末100a〜通信端末100d)および基地局200における通信処理の概要を示す概念図である。通信端末100は、無線通信を行なうことができる携帯端末であって、基地局200を介した無線通信機能による無線通信を実行することができる。また、これら通信端末100a〜通信端末100dは、ブルートゥースなどの近距離無線通信機能を用いた無線通信を行なうことができ、基地局200を介することなく、直接、無線通信を行なうことができる。
そして、通信端末100a〜通信端末100dは、近距離無線通信を行なうことで、通信のためのグループを形成することができる。本実施形態においては、リング状のトポロジーを形成することができる。また、いずれか一の通信端末が送信権を保持しており、その一の通信端末のみが送信権に基づいて、基地局200を介した通信を実行することができる。その一の通信端末が送信権に基づく通信を終了すると、あらかじめ定められた通信端末に対して送信権を転送する。送信権を受け取った通信端末は、その送信権に基づく通信を実行することができる。
例えば、通信端末100aが、送信権を保持していた場合、通信端末100aから通信端末100dのうち、通信端末100aのみが基地局200を介して無線通信を行なうことができる。そして、通信端末100aが送信権に基づく通信を終了すると、同じ送信グループに属するあらかじめ定められた通信端末に送信権を転送する。図1の例では、通信端末100aは、通信端末100bに送信権を送信することができる。経路P1〜P4は、送信権の転送経路を示しており、図1に示される通りの順番で、通信端末100aから通信端末100dは、順次、無線通信機能による送信処理を行なうことができる。なお、図1では送信権は一つのみの場合を説明したが、複数の送信権を用意しておいてもよい。例えば、通信端末100aと通信端末100cがそれぞれ送信権を有しており、それぞれにおいてデータ送信が終了すると、送信権を転送するようにしてもよい。
このように送信権を、リング状に形成したトポロジー内で転送することで、通信端末100は、順番に送信権に基づいた通信を実行することができ、ネットワークおよびそこに配置されている通信制御装置の負荷軽減や、無線リソースの枯渇を防止するとともに、データの中継装置となる代表ノードのようなものを決める必要がなく、またデータの秘匿性も保つことができる。
図2に、送信グループであるリング状のトポロジーを形成するときの概念図を示す。本実施形態においては、通信端末100aから通信端末100dが、近距離無線通信を行なうことで、リング状にトポロジーを形成することができる。図2(a)は、通信端末100a〜通信端末100dが、相互に近距離無線通信を行ない、相互に隣接している通信端末の端末識別情報を記憶することにより、リング状のトポロジーを形成していることを示す。図2(b)および図2(c)は、そのようなトポロジーを形成している状態において、さらに通信端末100dが、既に形成されているトポロジーに加入するための処理を行ない、通信端末100dを含めたリング状のトポロジーを形成していることを示す。
図2(d)は、通信端末100dが離脱しようとしたときを示し、図2(e)は、通信端末100dの離脱が完了し、通信端末100a〜通信端末100cの中で、再度リング状のトポロジーを形成することを示す。
このように、リング状のトポロジーを形成する際において、動的に通信端末の入れ替えを行なうことができる。そして、このように動的に形成されたトポロジー内で送信権を転送することで、送信権を共有することができ、送信権に基づいた通信を順番に実行可能にすることができる。以下、このようなリング状のトポロジーを形成して、送信権に基づいた送信を可能にする通信端末について説明する。
図3は、本実施形態の通信端末100(通信端末100a〜通信端末100d)の機能構成を示すブロック図である。図3に示される通り、この通信端末100は、近距離無線通信部101(近距離無線通信機能)、電波強度判断部102(判断手段)、送信グループ形成部103(発信手段、受信手段、送信権取得手段)、送信権管理部104(送信手段)、送信グループ情報記憶部105(記憶手段)、通信制御部106(通信制御手段)、送信データ記憶部107、および無線通信部108(無線通信機能)を含んで構成されている。
なお、通信端末100a〜通信端末100dも同様の構成要件を含んでおり、それぞれ近距離無線通信部101a〜101d(近距離無線通信機能)、電波強度判断部102a〜102d(判断手段)、送信グループ形成部103a〜103d(送信権取得手段)、送信権管理部104a〜104d(送信手段)、送信グループ情報記憶部105a〜105d(記憶手段)、通信制御部106a〜106d(通信制御手段)、送信データ記憶部107a〜107d、および無線通信部108a〜108d(無線通信機能)で表記される。
図4は、通信端末100のハードウェア構成図である。図3に示される通信端末100は、物理的には、図4に示すように、一または複数のCPU11、主記憶装置であるRAM12及びROM13、入力デバイスであるタッチパネルやテンキーなどの入力装置14、ディスプレイ等の出力装置15、公衆移動通信網を介した通信を行なう無線通信部16、半導体メモリ等の補助記憶装置17、およびブルートゥース通信を行う近距離無線通信部18などを含むコンピュータシステムとして構成されている。図3における各機能は、図4に示すCPU11、RAM12等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU11の制御のもとで入力装置14、出力装置15、近距離無線通信部18、無線通信部16を動作させるとともに、RAM12や補助記憶装置17におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。以下、図3に示す機能ブロックに基づいて、各機能ブロックを説明する。
近距離無線通信部101は、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信により、近接した他の通信端末と通信を行なう部分である。
電波強度判断部102は、近距離無線通信部101により行われた近距離無線通信における受信信号の電波強度を判断する部分である。電波強度が強い受信信号を発した通信端末とリング状のトポロジー(グループ)を形成するために、このような判断処理が行われる。
送信グループ形成部103は、送信権を共有するグループを定めるために、他の通信端末100とのリング状のトポロジーを生成する部分である。この送信グループ形成部103は、加入要求を行なう側である場合には、以下の処理を行なう。
ユーザの操作指示により、通信端末100(例えば通信端末100a)の周囲にいる他の通信端末100(通信端末100b〜通信端末100c)に対して加入要求信号を、近距離無線通信を用いて発信する。これを受け取った他の通信端末100は、これに対して許可信号を返信する。そして、電波強度判断部102において判断した電波強度に基づいて決定された接続相手となる通信端末に対して、グループを形成する通信端末を特定する端末識別情報を含んだ加入指示信号を出力し、その応答である許可信号を受け付ける。このように送信グループ形成部103は、送信権の送受信先となる相手を決定することができる。このとき送信グループ形成部103は、2つの通信端末100を決定し、それぞれにおける端末識別情報を取得する。
また、加入要求に応答する側である場合には、以下の処理を行なう。すなわち、送信グループ形成部103は、加入要求信号に対して、グループを形成していない旨を示す情報を含んだ許可信号を近距離無線通信部101を介して返信する。その後、加入指示信号を受信すると、それに対して、自機の端末識別情報を含んだ許可信号を返信する。また、既にグループを形成している場合には、グループを形成していることを示す情報と、その接続先を示す通信端末の端末識別情報とを許可信号に含めて返信する。
このような許可信号を受けた通信端末100は、その許可信号に応じた加入指示信号をそれぞれの通信端末100に対して送信することで、加入処理を行なうことができる。
そして、送信グループ形成部103は、決定された2つの通信端末100の端末識別をするための端末識別情報を送信グループ情報記憶部105に記憶する。ブルートゥースにより通信端末を特定した場合には、識別アドレスを端末識別情報として記憶する。
ここで、図5に送信グループ情報記憶部105に記憶する送信グループ情報テーブルを示す。図5に示される通り、この送信グループ情報テーブルには、送信グループ情報として、送信権の送信先・送信元なる端末識別情報が2つ記憶されている。なお、いずれが送信先端末、送信元端末を定める必要はなく、一方の端末識別情報で特定される通信端末から送信権を受信すると、他方の端末識別情報で特定される通信端末に対して送信権を送信するといった制御がなされる。
また、本実施形態にようにリング状にトポロジーを形成する場合には、端末識別情報は2つ記憶することになるが、2つの通信端末のみでトポロジーを形成する場合には、端末識別情報は1つだけ記憶することになる。
送信権管理部104は、送信グループ形成部103によりグループが形成されると、送信権を生成する部分である。すなわち、他の通信端末から許可信号を受信した場合、送信グループを記憶するとともに送信権を生成する。送信権は、単なる無線通信部108による送信を実行可能にするための権利を示す情報である。
そして、送信権管理部104は、送信権に基づく無線通信部108による通信が行われると、生成した送信権を、送信グループ情報記憶部105に記憶されている送信グループ情報テーブルに従って、転送処理を行なう。
さらに、送信権管理部104は、他の通信端末100から送信権を、近距離無線通信部101を介して受信すると、その送信権を記憶し、それに応じて通信制御部106に対してデータ送信指示を行なう。そして、通信制御部106からデータ通信の終了または所定時間が経過すると、送信グループ情報記憶部105に記憶されている送信グループ情報テーブルに従って、送信権を送信した他の通信端末100の端末識別情報ではないもう一方の端末識別情報により特定される通信端末100に送信権を送信する。
また、送信権管理部104は、送信権の取得頻度を管理している。すなわち、送信権管理部104は、どれぐらいの間隔で送信権が取得されるのか、を判断して、所定時間以上の間隔をもって送信権を取得した場合には、送信権を増加するよう要求処理を基地局200に対して行なう。
通信制御部106は、送信データ記憶部107に記憶されている送信データを、無線通信部108を介して送信するための制御を行う部分である。
無線通信部108は、基地局200を介した無線通信を行なう部分である。この無線通信部108は、送信権管理部104による制御に従って、送信権を記憶している時のみ電源オン状態とすることで、通信端末100の消費電力を削減することができる。なお、送信権管理部104において送信権を取得した時以外にも、送信権が転送されてくる周期を把握しておき、それに基づいて事前に電源オンとするような制御をしてもよい。
つぎに、基地局200について説明する。図6は、基地局200の機能構成を示すブロック図である。この基地局200は、無線通信部201(受信手段)、通信部202、中継制御部203、履歴情報記憶部204(頻度情報記憶手段、記憶手段)、および送信権管理部205(実行手段、判断手段、拒絶手段)を含んで構成されている。
この基地局200のハードウェア構成は、無線信号を送受信するためのアンテナ部、このアンテナ部で受信した信号の処理を実行するためのベースバンド回路などの各種処理回路、コアネットワークと接続するためのネットワークインターフェースからなる。本実施形態における基地局200においては、さらに、通信履歴情報や送信権管理のためのプログラムを記憶するためのメモリや、それに基づく送信権管理のための制御を行なうCPU等を備える。以下、この基地局200の機能について図6に基づいて説明する。
無線通信部201は、通信端末100と無線通信により通信する部分である。
通信部202は、コアネットワークに接続するためのネットワークボードからなるものである。
中継制御部203は、通信端末100からデータ送信の依頼を受け付けると、通信部202を介してコアネットワークにデータを転送する制御を行なう部分である。
履歴情報記憶部204は、通信端末100からのデータ送信依頼の履歴を記憶する部分であり、データ受付時刻とその発信元となる通信端末100を特定可能な情報(例えば、端末識別情報)を対応付けて記憶する部分である。
送信権管理部205は、無線通信部201を介して送信権に基づくデータ送信依頼を受けると、その送信頻度をカウントして、その送信頻度が、あらかじめ定めた単位時間あたり所定値以上であるか否かを判断する部分である。その送信頻度が所定値以上であると判断されると、無線通信部201を介して、その送信依頼を拒絶するか、または送信依頼を受けつつ、その送信権を削除する指示を、送信依頼元である通信端末100に対して行う。
また逆に、送信権管理部205は、送信依頼元の通信端末100における送信間隔が所定間隔(例えば所定時間)以上あいていると判断する場合には、その送信依頼元の通信端末100に対してさらに送信権を授与する。通信端末100においては、授与された送信権を所定時間保持しつつ、所定時間経過後送信権を起動して、データ送信を実行することができる。
以上説明した通り、通信端末100は、送信権を共有するグループを形成しつつ、そのグループ内で送信権を転送することで、送信処理を順番に行うことを可能にしている。
また、基地局200は、通信端末100などのグループを形成する通信端末以外の通信端末からのデータ送信依頼を受け付けると、その依頼の頻度や間隔に従って、データ送信を行うか、データ送信依頼を拒絶する。
つぎに、通信端末100の処理について説明する。図7は、最初に送信グループ情報(リング状のトポロジー)を形成するときの処理を示すシーケンス図である。
まず、通信端末100aから通信端末100cが互いに近い位置に存在していたとする。通信端末100aにおいて、近距離無線通信部101aにより、ユーザの指示に基づいて加入要求信号が、その周囲に向けて発信される(S101)。ここでは、通信端末100bおよび通信端末100cに対して発信される。
通信端末100bおよび通信端末100cにおいては、それぞれ近距離無線通信部101bおよび近距離無線通信部101cにより、それぞれ許可信号が、通信端末100aに対して出力される(S102)。この許可信号の中には、通信端末100bおよび通信端末100cがそれぞれ送信グループ情報に基づいたグループを形成していない旨の情報が付与されている。なお、端末識別情報が付与されていないようにすることによって、グループを形成していない旨を通知するようにしてもよい。また、周囲に通信端末100b等が存在しておらず、許可信号が送信されてこない場合もある。さらに、通信端末100b等の故障や、本実施形態における機能を実行できない端末もあり得る。その場合には、グループ形成処理を行なうことなく、無線通信部108による通信を実行してもよい。
許可信号を受信した通信端末100aにおいて、送信グループ形成部103aにより、許可信号に含まれている通信端末100bおよび通信端末100cの端末識別情報に基づいて、グループを形成する相手が特定される。そして、送信グループ形成部103aにより、近距離無線通信部101aを介して、通信端末100bおよび通信端末100cに対して加入指示信号が出力される(S103)。この加入指示信号には、通信端末100a、通信端末100b、および通信端末100cでグループを形成する旨の情報が付与されている。
通信端末100bおよび通信端末100cにおいては、それぞれ近距離無線通信部101bおよび近距離無線通信部101cを介して加入指示信号を受信すると、それぞれ送信グループ形成部103bおよび送信グループ形成部103cの制御に従って、通信端末100bおよび通信端末100cの間で接続確認処理が行われる(S104)。そして、通信端末100bおよび通信端末100cにおける送信グループ形成部103bおよび送信グループ形成部103cのそれぞれにより、接続確認が行われると、通信端末100aに対して許可信号が出力される。
通信端末100aにおいて、送信グループ形成部103aにより、許可信号が受信されると、許可信号を出力した通信端末100bおよび通信端末100cの端末識別情報が、送信グループ情報記憶部105aに送信グループ情報として記憶される(S106:図5(b)参照)。
一方、通信端末100bおよび通信端末100cにおいて、許可信号がそれぞれ出力された後に、その送信先となる通信端末100aおよび接続確認を行った相手となる通信端末100bまたは通信端末100cの端末識別情報が、それぞれの送信グループ情報記憶部105bおよび送信グループ情報記憶部105cに送信グループ情報として記憶される(S107、S108:図5(b)参照)。
なお、接続確認処理によって接続ができないと判断された場合、例えば通信端末100bと通信端末100cとの距離が離れている場合には、接続確認をとることができず、エラー信号が出力される。
ところで、本実施形態では、通信端末100aから通信端末100cの3台が存在した場合について説明したが、4台以上の場合もあり得る。上述の通り、エラー信号を受信した通信端末100aにおいては、必要に応じて、S101の加入要求に対する許可信号に基づいて、通信端末100bおよび通信端末100c以外の他の通信端末100を加入指示の宛先として選択することで、再度グループ情報の形成を試みるようにしてもよい。
つぎに、既にグループが形成されている状態において新たな通信端末100dを加入する場合についての処理を説明する。図8は、その時の処理を示すシーケンス図である。
通信端末100dにおいて、グループを形成している通信端末100aから通信端末100cの近隣で、送信グループ形成部103dにより、加入要求信号が発信される(S201)。
そして、通信端末100aおよび通信端末100cにおいて、送信グループ形成部103aおよび送信グループ形成部103cにより、その加入要求信号に対して、許可信号が出力される(S202)。なお、3つ以上の許可信号が出力される場合も考えられるが、受信した順に上位2つの加入指示信号の送信対象とするか、または信号強度に基づいて上位2つを送信対象とすることが考えられる。
通信端末100cからの許可信号には、通信端末100cの端末識別情報とともに、通信端末100bと通信端末100aとが接続している旨を含んでいる。また、同様に、通信端末100aからの許可信号には、通信端末100aの端末識別情報とともに、通信端末100bと通信端末100cとが接続している旨が含んでいる。なお、通信端末100bにおいては、加入要求信号を受信できない位置にいたとして、何も応答はなされていない。
また、周囲に通信端末100b等が存在しておらず、許可信号が送信されてこない場合もある。また、通信端末100b等の故障や、本実施形態における機能を実行できない端末もあり得る。その場合には、グループ形成処理を行なうことなく、無線通信部108による通信を実行してもよい。
そして、通信端末100dにおいて、送信グループ形成部103dにより、許可信号の応答として加入指示信号が通信端末100cおよび通信端末100aに対して送信される(S203)。なお、それぞれの許可信号に基づいて、通信端末100aと通信端末100cとが接続されていることを判断することができる。よって、この加入指示信号に、通信端末100aと通信端末100cとの間のリンクに割り込むように、当該グループに加入する旨の通知を含めることができる。
そして、それぞれ通信端末100aおよび通信端末100cから許可信号が出力される(S204)。この許可信号が受信されると、通信端末100dにおいては、その送信グループ情報記憶部105に、送信グループ情報として、通信端末100aおよび通信端末100cの端末識別情報が記憶される(S207)。
一方、許可信号を出力した通信端末100aおよび通信端末100cにおいて、通信端末100dから通信端末100aおよび通信端末100cの間に入るように加入することの指示が来ていることから、その送信グループ情報として、通信端末100cの端末識別情報に代えて、通信端末100dの端末識別情報を記憶する(S205)。通信端末100cにおいても同様に、送信グループ情報として、通信端末100aの端末識別情報に代えて、通信端末100dの端末識別情報を記憶する(S206)。このようにして、送信グループ情報を動的に形成することができる。
つぎに、一の通信端末がグループから離脱する場合の処理について説明する。図9は、通信端末100aから通信端末100dでグループを形成している状態において、通信端末100dが離脱するときの処理を示すシーケンス図である。図9に示される通り、通信端末100dがグループから離脱しようとしている(S301)。そして、通信端末100cおよび通信端末100dにおいては、それぞれ電波強度判断部102cおよび電波強度判断部102dにより、近距離無線通信の接続状況が判断され、所定値以下となった場合には、通信端末100cおよび通信端末100dは、グループから離脱したと判断される(S302、S303)。
通信端末100cにおいて、離脱と判断されると、一旦グループ形成を解消するために、送信グループ形成部103cにより、送信グループ情報記憶部105cに記憶されている送信グループ情報に記述されている端末識別情報で特定される通信端末100bに対して、切断信号が出力される(S304)。通信端末100dにおいても同様に、切断信号が通信端末100aに対して出力される(S305)。なお、ここでは、通信端末100dと通信端末100aは、近距離無線通信ができる程度の距離にいることを前提としているが、届かないこともありえる。よって、通信端末100cから切断信号を受け取った通信端末100bは、さらに通信端末100aに対して切断信号を出力するようにしてもよい。
切断信号を受信した通信端末100aおよび通信端末100b、並びに切断信号を出力した通信端末100cおよび通信端末100dにおいて、それぞれの送信グループ情報記憶部105a〜送信グループ情報記憶部105dに記憶されている送信グループ情報テーブルが消去される(S307〜S309)。
その後、通信端末100a〜通信端末100dにおいて、送信グループ形成部103a〜送信グループ形成部103dのそれぞれにより、ランダムに所定時間がそれぞれ設定され、そのランダムに設定された相互に異なる所定時間が経過したか否かの判断がなされる(S310〜S313)。そして、ランダムに設定された所定時間が一番小さい通信端末100(ここでは通信端末100c)において、加入要求信号がその周囲にいる通信端末100aおよび通信端末100bに対して発信され、再度送信グループ情報の形成処理が行われる。
なお、通信端末100dに設定された所定時間が一番小さくなる場合がある。本実施形態においては、通信端末100dが離脱していることから、他の通信端末100a〜通信端末100cには加入要求信号が受信されることがない。一方で、通信端末100cから加入要求信号が発信され、その所定時間経過前に、通信端末100aおよび通信端末100bにおいて加入要求信号が受信されると、そこで所定時間の計時処理は中止され、加入要求信号の発信処理を行なうことなく、グループ形成処理に移行することになる。
上記の例では、グループ形成の再構成は通信端末100dが離脱し、それに伴って、切断信号を出力することにより送信グループ情報記憶部105の消去により行われているが、これに限るものではない。例えば、通信端末100a〜通信端末100dで構成される送信グループは、どこかが離脱すると、送信権の転送処理がそこでとだえることになる。したがって、通信端末100a〜通信端末100dにおいて、送信権を転送してから所定時間を計時した場合、送信グループが破たんした(どこかの端末がいなくなった)と判断して、送信グループ情報記憶部105の情報を消去するとともに、加入要求信号を発信することで、送信グループの再構成処理を行なうようにしてもよい。
つぎに、通信端末100aから通信端末100dの間で送信権を転送するときの処理を示す。図10は、その処理を示すシーケンス図である。
図10に示される通り、通信端末100dから送信権が通信端末100aに転送される。送信権管理部104aにより、送信権が受信されると、送信権管理部104aからの指示に従って、通信制御部106aにより、データ送信が実行される(S402)。そのデータ送信が終了すると、送信権管理部104aにより、送信グループ情報記憶部105aに記憶されている端末識別情報に基づいた宛先に、送信権が転送される(S404)。ここで、送信グループ情報記憶部105aには、2つの端末識別情報が記憶されている。送信権は、S401による処理によって通信端末100dからの受信であることから、その送信元とは異なるもう一方の端末識別情報が転送先であることが決定される。このような処理が、通信端末100b、通信端末100cと順次行われる(S405〜S408)。
なお、上述の送信権の転送先の決定方法は、送信権の送信元とは異なるもう一方の端末識別情報を、転送先として決定しているが、送信権の1回目の転送先としては、あらかじめ定められたいずれか端末識別情報を転送先とすることになる。
つぎに、通信端末100aから通信端末100dにおける送信権に基づいた送信間隔の平均化処理について説明する。図11は、基地局200によるその平均化処理のシーケンス図である。通信端末100aにおいて、送信権管理部104aにより、送信権に基づくデータ送信が所定時間以上経過したことが判断される(S411)。そして、通信制御部106aによる制御に従って、無線通信部108aにより、送信権に基づく送信データと、送信権取得要求とが基地局200に送信される(S412)。
基地局200において、無線通信部201により送信データおよび送信権取得要求が受信され、通信部202により送信データは、そのあて先に対して中継される(S413)。そして、基地局200において、その送信処理が履歴情報記憶部204に記憶されるとともに、送信権取得要求に対応して、送信権管理部205により、送信依頼間隔が判断される(S414)。ここでは、送信権管理部205により、履歴情報記憶部204に記憶されている履歴情報に基づいて、その送信元からの送信依頼の頻度や、送信間隔が所定値以上であるか否かが判断される。ここでは、送信間隔が所定値以下であると判断され、送信権管理部205の制御に従って、送信権が無線通信部201により送信される(S415)。
通信端末100aにおいて、送信権が授与されると、送信権管理部104aにより送信権が記憶される(S416)。そして、送信権が記憶されてから所定時間経過すると、当該送信権に基づくデータ送信が可能となる(S417)。
このように、送信権に基づくデータ送信が所定間隔以下である場合には、そのグループにおいて送信権の数が少ないと判断することができる。よって、そのような場合には、基地局200において、その送信間隔を管理することによって、送信権を適切な数に調整することができる。
つぎに、送信権の削除処理について説明する。図12は、送信依頼が所定値以上である場合に、そのデータ送信依頼を拒絶するときの処理を示すシーケンス図である。通信端末100aにおいて、無線通信部108aにより、データ送信依頼が基地局200に送信される(S501)。基地局200において、送信権管理部205により、送信依頼の頻度が所定値以上であると判断されると(S502)、そのデータ送信の依頼は拒絶される(S503)。そして、通信端末100aに対して、無線通信部201により、送信権の削除指示が出力される(S504)。
通信端末100aにおいて、送信権の削除指示が受け付けられると、送信権管理部104aにより、当該送信権管理部104aに記憶されている送信権が削除される(S505)。このようにして、送信権の調整を行なうことで、ネットワーク負荷を軽減することができる。
なお、図12の例では、送信権に基づいた送信依頼を処理の対象としているが、それに限るものではない。通信端末100は送信権に基づかない送信依頼も行う場合もあり、その場合には、送信権に基づかない送信依頼であることを基地局200は認識し、それに応じた処理を行なうようにしてもよい。例えば、通信端末100が、送信権に基づかないデータ送信を行なう場合、基地局200においては、送信権に基づくデータ送信の送信依頼ではないことを認識し、当該基地局200に対する接続数、密度情報や、通信端末100に対する送信頻度に基づいて、通信を拒絶するようにしてもよい。すなわち、基地局200は、送信権を持たない通信端末からの送信依頼は、その基地局200の負荷の状況に応じて拒絶する。
つぎに、本実施形態の変形例について説明する。上述の通信端末100a等は、送信権を他の通信端末100から取得し、その送信権に基づいたデータ送信を可能にしていた。本変形例においては、近距離無線通信の届く範囲において存在する通信端末がデータ送信中ではない場合に、送信権を取得したものとして、データ送信を可能にするものである。
図13は、変形例における通信端末100eの機能構成を示すブロック図である。図13に示される通り、上記図3の通信端末100の機能ブロック図と比較して、送信権管理部104に代えて、送信要求処理部104xを備え、送信権を用いることなく送信処理を行なうことを特徴とするものである。以下、相違点に着目して説明する。
送信要求処理部104xは、他の通信端末に対して送信要求を行い、拒絶の旨の応答に基づいた送信処理を行なう部分である。すなわち、送信要求処理部104xは、送信要求に対して、所定時間内に、拒絶の応答を受け取ると、基地局200に対する送信処理を行なうことなく待機処理を行なう。
一方、送信要求処理部104xは、所定時間内に何も応答を受け取らない場合には、その所定時間経過後、基地局200を介してデータ送信処理を行なうよう通信制御部106に対して指示を出力する。この場合、送信要求処理部104xは、送信権を他の通信端末の応答状態によって取得したものとなり、その送信権に基づいた処理を実行することができる。この場合、送信処理の終了後、送信権は自動的に削除される。
上述の処理は、データ送信を行なう際における処理である。通信端末がその送信要求を受け付ける立場である場合には、送信要求処理部104xは、以下の処理を実行する。
すなわち、送信要求処理部104xは、他の通信端末から送信要求信号を受信すると、通信制御部106がデータ送信処理実行中であるか否かを判断し、データ送信中であると判断する場合には、当該他の通信端末に対して拒絶の旨の応答信号を出力する。また、データ送信処理実行中ではない場合には、何も応答はしないが、データ送信を許可する信号を送るようにしてもよい。
つぎに、その処理について説明する。図14は、変形例における通信端末100eおよび通信端末100fの処理を示すシーケンス図である。
ここでは、通信端末100eがデータ送信要求を出力する側であり、通信端末100fがデータ送信要求を受信する側である。図14(a)に示される通り、ユーザからの操作指示によって送信要求が周囲の通信端末100fおよび通信端末100gに対して発信される(S601)。通信端末100fは、無線通信部108によるデータ送信中であることから、送信要求処理部104xにより、拒絶の旨の応答信号が通信端末100eに対して送信される(S602)。通信端末100eにおいて、送信要求処理部104xにより拒絶の旨の応答信号を受信すると、所定時間待機する(S603)。その後、通信端末100eは、再度送信要求を発信するようにしてもよい。
図14(b)は、拒絶の旨の応答信号が受信されなかった時の処理である。ユーザからの操作指示によって送信要求が周囲の通信端末100fおよび通信端末100gに対して発信される(S701)。その後、通信端末100eは、所定時間待機し、拒絶の旨の応答信号待ちとなる(S702)。ここでは、所定時間経過するまで拒絶の旨の応答信号が受信されないため、通信端末100eは、データ送信処理を実行する(S703)。
つぎに、本実施形態の通信端末100の作用効果について説明する。本実施形態の通信端末100によれば、送信権管理部104は、近距離無線通信部101による要求に対する他の通信端末(例えば通信端末100bや、通信端末100fなど)からの応答に基づいて、送信権を取得する。そして、送信権管理部104は、送信権を取得すると、通信制御部106に対して指示を出力し、無線通信部108による通信を実行可能な状態にする。これによって、送信権を有しているときに無線通信部108による通信を実行することができ、他の通信端末と同時期に無線通信を行なうことを避けることができる。したがって、無線リソースの消費の削減や、ネットワークにおける負荷を軽減することができる。
なお、送信権の取得の方法として、変形例のように他の通信端末100fや通信端末100gから拒絶の応答を所定時間内に受信しない場合に、送信要求処理部104xは、送信権が取得されたと判断し、通信制御部106に対してデータ送信を可能にするという制御も可能である。
なお、一般的に、近距離無線通信部101からの通信は、無線通信部108からの通信を妨げるものではないため、変形例における方法は十分に実用的である。また、仮に通信が衝突したとしても、LTEなどにおいては、チャネル割り当て機能がある為、正常通信はある程度担保できる。
また、本実施形態の通信端末100によれば、無線通信部108による通信を実行後または送信権取得してから所定時間経過後、送信権管理部104は、近距離無線通信部101により、送信グループ情報記憶部105に記憶されている端末識別情報を示す通信端末(例えば通信端末100b)に送信権を送信する。これにより、順番に送信権を回すことができ、その結果、他の通信端末と同時期に無線通信を行なうことなく、無線リソースの消費の削減や、ネットワークにおける負荷を軽減することができる。また、データの中継装置となる代表ノードのようなものを決める必要がなく、またデータの秘匿性も保つことができる。
また、本実施形態の通信端末100によれば、送信グループ形成部103は、近距離無線通信部101により、送信グループの生成または送信グループへの加入要求を示す加入要求信号を発信し、それに対する許可を示す許可信号を受信する。送信グループ情報記憶部105は、許可信号に含まれている端末識別情報に基づいて送信グループを構成する端末識別情報を記憶する。これによって、送信グループを構成する通信端末を決定することができ、送信グループを簡易に決定することができる。
また、本実施形態の通信端末100によれば、送信グループ情報記憶部105に記憶されている端末識別情報により特定される通信端末が、送信権の送信先として機能することができる位置から外れたことを、電波強度判断部102が、近距離無線通信部101による通信状況に基づいて判断する。その判断にしたがって、送信グループ形成部103は、送信グループを再構成するために加入要求信号を発信する。これにより、送信権を共有する送信グループを再構成することができ、その結果、送信権に基づく無線通信機能によるデータ送信を順番に行わせることができる。
また、本実施形態の通信端末100によれば、送信権管理部104は、送信権を取得するまで、無線通信部108に対する電源供給をオフとすることで、待機電力を必要とせず、全体の消費電力を低減することができる。
また、本実施形態の基地局200によれば、履歴情報記憶部204は、送信依頼とその送信依頼元となる通信端末の端末識別情報とを対応付けた履歴情報を記憶している。そして、無線通信部201を介して通信端末100から新たに送信依頼があった場合、送信権管理部205は、その履歴情報に基づいて、送信依頼元となる通信端末100が所定値を超えた頻度で送信依頼を行ったか否かを判断する。そして、所定値を超えた頻度で送信依頼を行ったと判断すると、送信権管理部205は、その送信依頼を拒絶する。これにより、グループ内において、そのグループを構成する端末数に比べて送信権が多く、結果的に数多くの送信依頼が行われた場合に、ネットワークの負荷を軽減することができる。また、送信権を共有するグループに属していない通信端末からの送信依頼も抑えることができる。
また、本実施形態の通信端末100によれば、履歴情報記憶部204は、送信グループを形成する上記複数の通信端末からの送信依頼の頻度を、当該通信端末ごとに記憶している。無線通信部201は、通信端末100からの送信依頼を受信すると、送信権管理部205は、記憶されている送信依頼の頻度に基づいて、各通信端末における送信頻度を平均化するための処理を実行する。
例えば、送信権管理部205は、当該複数の通信端末のそれぞれの送信依頼の間隔に応じて、送信グループにおける送信権の数を追加または削減したり、当該複数の通信端末のそれぞれの送信依頼の間隔が所定値以下であると判断した場合、その間隔を所定値より長くするように、送信権の待機指示を送信依頼元となる通信端末に対して行う。これにより、送信権に基づく送信頻度を平均化することができる。