図1〜図8は、本願発明の実施の形態に係る調理容器を備えた電気炊飯器の構成及びその制御内容を示している。
まず図1、図2は、本願発明の実施の形態に係る調理容器を備えた電気炊飯器の炊飯器本体部分の構成を、また図3は、同電気炊飯器において使用される調理容器部分の構成を、また図4は、同電気炊飯器本体内部の制御回路部分の構成を、また図5は、同電気炊飯器における通常の白米炊飯用の炊飯制御シーケンスのフローチャートを、また図6は、同電気炊飯器における通常の白米炊飯用の炊飯制御シーケンスのタイムチャートを、また図7は、同電気炊飯器における同時調理炊飯専用の炊飯制御シーケンスのフローチャートを、さらに図8は、同電気炊飯器における同時調理炊飯専用の炊飯制御シーケンスのタイムチャートを、それぞれ詳細に示している。
(電気炊飯器本体部分の構成)
すなわち、本願発明の実施の形態に係る電気炊飯器は、炊飯用の内鍋1と、該内鍋1を任意に収納セットし得るように構成された有底筒状の内ケース2と、該内ケース2を保持する筺体である有底筒状の外ケース3と、該外ケース3と上記内ケース2とを底部材4および肩部材5を介して一体化して形成された炊飯器本体6と、該炊飯器本体6の上部側開口部に対して開閉可能に設けられた蓋体7とから構成されている。
そして、この実施の形態の場合、上記内鍋1としては、例えば誘導発熱が可能で、熱伝導性が良い金属部材よりなるものが採用されている一方、該内鍋1に対する炊飯用の加熱手段として、上記内ケース2の底部2a側にあって、上記内鍋1の底部1aの下面(平面)および側面(アール面)に対向する電磁誘導加熱用の第1のIHコイル(ワークコイル)C1、第2のIHコイル(ワークコイル)C2が設けられている。
また、上記内鍋1に対する保温用の加熱手段として、上記内ケース2の側壁部2b外周部分に位置して、上記内鍋1の側部1bの全周をカバーする側面ヒータH1が設けられている。
さらに、これらに加えて、上記蓋体7の放熱板74部分には、上記炊飯および保温時に内蓋75を介して内鍋1の上方部を加熱する蓋ヒータH2が設けられている。
そして、これら第1、第2のIHコイルC1、C2、側面ヒータH1、蓋ヒータH2を後述するマイコン式の炊飯制御ユニット20(図4参照)により適切に駆動制御することによって、適切な各種炊飯機能、同時調理炊飯機能、調理機能、保温機能等を実現することができるようになっている。
上記内ケース2の底部2aの下方には、底部材4上に支持され、かつフェライトコア9を備えたコイル台10が設けられており、該コイル台10によりフェライトコア9を介して、上記第1、第2のIHコイルC1、C2が上記内ケース2の底部下面部分に支持されている。このコイル台10の中央部には、上下方向に同心状に貫通した温度センサ収納空間11が形成されており、該温度センサ収納空間11中に上下方向に昇降自在な状態で、かつ常時コイルスプリングにより上方に上昇付勢された状態で内鍋底部1aの温度を検知する温度センサ(底センサ)12が設けられている。
一方、蓋体7は、その器体を構成する合成樹脂製の上カバー71と、該上カバー71の下方に蒸気ユニット72および内枠73を介して設けられた金属製の放熱板74とを備えて構成されている。そして、放熱板74の上面側には、放熱板74を加熱するための上記蓋ヒータH2が設けられている。
また、符号75は、パッキン76を介して、上記内枠73の外周部に着脱可能に取り付けられた内蓋であり、上記パッキン76の下部側リブを介して、上記内鍋1の上端側開口縁部(半径方向外方に伸びたフランジ部)1cの上面に当接されるようになっており、蓋体7を閉めた状態における内鍋1とのシール機能を果たすようになっている。
蓋体7は、上記炊飯器本体6上部の肩部材5の後端部に対してヒンジ機構77を介して回動自在に取付けられており、その開放端側(前端部正面)には、上記炊飯器本体6側肩部材5の係合部に係合して当該蓋体7の上下方向への開放を阻止するロック片を備えたロック機構78が設けられている。
一方、この実施の形態の電気炊飯器の場合、たとえば白米炊飯、玄米炊飯、炊き込み・おこわ、おかゆ、極うま、早炊き、エコ炊き、調理、同時調理炊飯、ケーキ、洗浄の各種機能が設けられており、これら各機能に対する操作入力スイッチが19a〜19kが上記蓋体7の前部側上面の操作パネル部13に設けられている。
したがって、それら各機能の選択設定は、同操作パネル部13に設けられた各種入力スイッチ19a〜19kの操作により行われ、その設定内容に応じて、上記第1、第2のIHコイルC1、C2、保温ヒ−タH1、蓋ヒータH2の加熱量が適切に制御されるようになっている。
また、同操作パネル部13の後部側位置には、上記各機能の選択設定状態や、現在時刻、炊飯完了までの残時間その他の必要な事項を表示する液晶パネル等よりなる表示部14が設けられている。
この実施の形態の場合、上記各種入力スイッチ19a〜19kの操作キーや表示部14の表示面部は、ユーザーが当該電気炊飯器の傍にいない非操作状態では消灯状態にコントロールされており、蓋体7の表面には何も表示されないマスキング状態となっているが、蓋体7の前端部分には、図示のように人感センサMSが設けられており、この人感センサMSがユーザーの接近を検知した時には、図2に示すように、各種入力スイッチ19a〜19kの操作キーおよび表示部14の表示面を点灯させて、操作可能とするようになっている。
(調理容器部分の構成)
一方、図1中における符号15が調理容器であり、この調理容器15は、たとえば内鍋1からの蒸気を利用した蒸し料理に適したものに構成されており、図2のように、底壁部15a、側壁部15b、開口部15cよりなる比較的底の浅い容器本体15Aと、該容器本体15Aの開口部15cの外周にあって、同開口部15cとの間に所定の幅の蒸気流通空間15dを保って設けられた内鍋開口部1cへの係合縁部15eを有する係合部15Bとから構成されており、周方向の複数カ所で相互に連結されて一体化されている。この調理容器は、当然ながら全体として耐熱性の高い材料により形成されている。
そして、同時調理炊飯を行う場合には、上記係合部15Bの係合縁部15eを上記内鍋1の開口部1cの内側に係合することにより、図1に示すように、上記内鍋1内の上部(ご飯の上部)にセットされる。このように調理容器15がセットされた状態で、炊飯が行われると、内鍋1内の水が沸騰して蒸気を発生し、この蒸気が上記調理容器15の容器本体15Aと係合部15Bとの間の蒸気流通空間15dを通って、容器本体15A内に入り込み、容器本体15A内の調理物Xを蒸し調理することになる。
そして、容器本体15A内の蒸気は、さらに上記蓋体7側の上記ユニット72を有する蒸気排出流路79を通して外部に排出される。
この蒸気排出流路79の上部には、上記内鍋1の中心軸部分に位置して、図示のように蒸気温度検知部16aを下方に露出させた状態で、蒸気センサ16が設けられており、通常の炊飯時において上記内鍋1内から上昇する蒸気の温度および同時調理炊飯時において上記調理容器15内から上昇する蒸気の温度をそれぞれ応答性良く検出するようになっている。
このような構成の場合、調理容器15が無い通常の炊飯時における内鍋1内の沸騰はもちろんのこと、調理容器15がセットされている同時調理炊飯時においても、調理容器15内の調理物Xの温度を正確に、かつ応答性良く検出することができる。
したがって、たとえば調理容器15内の調理物Xが冷凍食品であるような場合には、内鍋1側から調理容器15内に入ってきた蒸気が調理物Xによって冷やされ、冷気となるため、沸騰検知が遅くなり、それによって、調理物Xが冷凍食品である場合と、調理済みの食品である場合との区別、それらに基づく調理物の有無の判定、調理物の状態に応じた炊飯制御シーケンスの変更、冷凍食品の蒸気による解凍などが可能となる。
なお、上記調理容器15は、ご飯の炊飯と調理のみに使用されるものではなく、例えば内鍋1で煮込み料理、調理容器15でおかずを作る場合などにも利用される。
(炊飯制御回路部分の構成)
この実施の形態の電気炊飯器における炊飯制御回路は、図4のように構成されている。
すなわち、図4において、符号20は、マイクロコンピュータにより構成された炊飯制御ユニットであり、該炊飯制御ユニット20には、前述した各種入力スイッチ19a〜19kの操作設定入力、内鍋底部の温度を検知する温度センサ12の検知温度、蒸気温度を検知する蒸気センサ16の検知温度を入力して、設定された炊飯、同時調理炊飯、保温等所望のメニューに応じた炊飯、同時調理炊飯、保温制御を行ない、前述した第1、第2のIHコイルC1、C2、保温ヒータH1、蓋ヒータH2の出力を調整する。また、上記表示部14の表示状態を制御し、必要に応じて音声等報知部21を駆動して音声等の報知を行う。
(通常の白米炊飯時の炊飯制御シーケンス)
次に、図5は、この発明の実施の形態の上記電気炊飯器における通常の白米炊飯制御の場合の炊飯制御シーケンスを示すフローチャート、図6は、同フローチャートに対応するタイムチャートである。この炊飯制御シーケンスについての以下の説明では、当該電気炊飯器に対するAC電源がONで、炊飯メニューとして、たとえば「白米(ふつう)」が選択設定され、上記内鍋1内に上述した調理容器15はセットされていないものとして話を進める。
すなわち、同状態で、図2に示す白米炊飯スイッチ19aが押されると、ご飯のみを炊く通常の白米(ふつう)の炊飯制御が開始され、まず吸水工程が実行される(ステップS1)。この吸水工程では、上記内鍋1底部の温度センサ12により検知される検知温度が、図6のタイムチャートの特性に示す目標吸水温度(たとえば40℃)になるように、予め吸水タイマーにより設定された所定の吸水時間内、上記第1、第2のIHコイルC1、C2の出力を70%、デューティ−比を6〜14、側面ヒータH1のデューティ−比を0〜8、蓋ヒータH2のデューティ−比を0に設定して、温調制御する。
次に、同予め設定された吸水時間が経過すると、続いて昇温工程に進んで、加熱量を大きくし、沸騰検知温度T1まで速やかに昇温させる(ステップS2)。この実施の形態の場合、たとえば図6のタイムチャートに示されるように、同昇温工程では、上述した蒸気センサ16により内鍋1内の水が沸騰を始めたことが検知されるまでの間(沸騰検知温度T1に達するまでの間)、上記第1、第2のIHコイルC1、C2の出力をフルパワー90%(定格出力の90%、以下同じ)、デューティ−比を8〜16、側面ヒータH1のデューティ−比を0〜8、蓋ヒータH2のデューティ−比を0に制御して、内鍋1の温度を速やかに沸騰検知温度T1まで上昇させる。
そして、同昇温工程では、上記蒸気センサ16により内鍋1から出る蒸気の温度を周期的に検知し、検知された蒸気の温度が沸騰検知温度(完全な沸騰状態になる100℃よりも少し低い蒸気が出始めた時の温度)T1になったか否かの判定を行う(ステップS3)。
そして、同沸騰開始状態になったことが検知されると、当該昇温工程を終了して沸騰維持工程に進む(ステップS3)。この沸騰維持工程では、図6のタイムチャートに示すように、上記第1、第2のIHコイルC1、C2の出力を上記昇温工程に比べてやや低い出力80%に低下させる一方、デューティ−比を6〜14、側面ヒータH1のデューティ−比を0〜8、蓋ヒータH2のデューティ−比を0〜8に制御して、内鍋1内を予め沸騰維持タイマーにより設定された一定の時間内沸騰状態に維持し、対流状態において吸水後の米に十分に熱を通す。
その後、当該一定の沸騰維持時間が経過したか否かを判定し、一定の沸騰維持時間が経過した場合には、さらに炊き上げ工程に進み、上記第1、第2のIHコイルC1、C2の出力を70%、デューティ−比を3〜9、側面ヒータH1のデューティ−比を4〜12、蓋ヒータH2のデューティ−比を8〜14に制御して、内鍋1の底部および側部からだけでなく、上部からも十分に加熱して、効率良くご飯を炊き上げる(ステップS4)。
この結果、次第に水分が少なくなってきた内鍋1内の飯米の上層部及び内鍋1の開口縁部、内蓋75部分も有効に加熱されて、内鍋1の開口縁部や内蓋75部分への露付きも防止される。
その後、当該炊き上げ工程の後半においては、たとえば上記温度センサ12により検知される上記内鍋1底部の検知温度が予め設定されている炊き上げ検知温度(例えば130℃)以上になったか否かにより炊き上げ検知を行う。そして、その結果、炊き上がり状態(130℃以上)と判定されると、次に蒸らし工程に進んで、炊き上がったご飯の蒸らしを行う(ステップS5〜S9)。
この実施の形態の場合、同「蒸らし工程」は、例えば、上記炊き上げ検知温度(130℃)から余熱を利用して緩やかに温度を下げ、内鍋1内を可能な限り高温状態に維持することによって、ご飯中に残っている余分な水分を速やかに飛ばすとともに、ご飯の甘みを高める「蒸らし1(高温蒸らし)」と、残された余分な水分を飛ばすとともに、内鍋1の開口縁部や内蓋75部分の露付き、それによるご飯の白ボケを防止しながら、ご飯の甘みをも高める「蒸らし2」と、高温状態を続けすぎると、ご飯中の水分は飛び、甘みは高くなるが、ご飯の外周部が焦げてくるので、「蒸らし1」、「蒸らし2」よりは温度を下げて、焦げの発生を回避し、かつ必要な水分を保持させながら蒸し上げて、最終的に保温状態に移行させる「蒸らし3」の3つの蒸らし工程により構成されている。
そして、このような作用を実現するために、まず「蒸らし1」では、一定の蒸らし時間を設定するとともに、上記第1、第2のIHコイルC1、C2の出力を70%、デューティ−比を0〜6として、「炊き上げ」時に比べて内鍋底部からの加熱量は小さくするものの、側面ヒータH1のデューティ−比を「炊き上げ」時と同じ4〜12、蓋ヒータH2のデューティ−比を「炊き上げ」時と同じ8〜14に制御して、高温である炊き上げ検知温度(130℃)から緩やかに温度を下げる高温での蒸らし状態を実現する。
これにより、炊き上げ後のご飯中の余分な水分が効率良く飛ばされるとともに、高温状態で効率良くご飯の甘みが増進される。
次に、同「蒸らし1」の蒸らし時間に対応した一定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS6)。その結果、YESと判定されると、続いて「蒸らし2」に進む(ステップS7)。
「蒸らし2」では、「蒸らし1」と同じく、上記第1、第2のIHコイルC1、C2の出力を70%、デューティ−比を0〜6、側面ヒータH1のデューティ−比を4〜12、蓋ヒータH2のデューティ−比を8〜14に制御して、「蒸らし1」の終了温度(110℃弱)から緩やかに温度を下げる中温での蒸らし状態を実現する。
これにより、ご飯中の残された余分な水分が飛ばされるとともに、焦げ付きを生じることなく、内鍋1の開口縁部や内蓋75部分の露付き、それによるご飯の白ボケを防止しながら、ご飯の甘みをも高めることができる。
次に、同「蒸らし2」の蒸らし時間に対応した一定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS8)。その結果、YESと判定されると、続いて「蒸らし3」に進む(ステップS9)。
「蒸らし3」では、「蒸らし1」、「蒸らし2」と同じく、上記第1、第2のIHコイルC1、C2の出力を70%とするが、デューティ−比を0〜4として少し下げ、内鍋底部からの加熱量をより小さくするものの、側面ヒータH1のデューティ−比は「蒸らし1」、「蒸らし2」と同じ4〜12、蓋ヒータH2のデューティ−比も「蒸らし1」、「蒸らし2」と同じ8〜14に制御して、「蒸らし2」の終了温度(95℃程度)から緩やかに温度を下げる沸騰温度付近での蒸らし状態を実現する。
これにより、焦げの発生を回避し、かつ必要な水分を保持させながら適切に蒸し上げて、最終的に所定の目標温度の保温状態にスムーズに移行させることができる。
このような蒸らし1〜蒸らし3工程によると、焦げ付きを生じさせることなく、高温状態での蒸らしにより甘みの強い、美味しいご飯が炊き上げられるとともに、内鍋や内蓋への露付きを生じさせることなく、効率良くご飯中の水分を飛ばすことができるので、ご飯の白ボケも発生しない。
そして、ステップS10で蒸らし3の一定の設定時間が経過したことが判定されると、当該炊飯制御を終了して、保温状態に移行する。
(同時調理炊飯時の炊飯制御シーケンス)
次に、図7は、この実施の形態の上記電気炊飯器において、白米炊飯制御と同時に、上記調理容器(蒸し器)15を使用して蒸し料理等何らかの料理の調理を行う場合の同時調理炊飯制御シーケンスを示すフローチャートであり、図8は、同フローチャートの内容に対応したタイムチャートである。
白米炊飯制御と同時に、上記調理容器(蒸し器)15を使用して蒸し料理等何らかの料理の調理を行う場合、上記図5および図6に示す通常の炊飯制御シーケンスをそのまま使用して行ったのでは、炊飯工程によっては加熱量が不足し、ご飯の炊き上げが不十分になるだけでなく、調理物Xの調理も不十分になる問題がある。
たとえば、上述した蒸らし工程(蒸らし1〜蒸らし3)の場合、できるだけ高温の状態に維持し、効率良く水分を飛ばすとともに、ご飯の甘みを増進するようにしているとは言え、焦げを生じさせないようにしなければならない。したがって、上述のように炊き上げ検知時点から相当に加熱量が低減され、内鍋1の温度も大きく低下する。
しかも、同時調理炊飯時には、調理物Xに相当量の熱量を取られる。そのため、ご飯への加熱量が不足して、炊飯時本来の良好なむらし性能を実現することができなくなる。また、その結果、この段階で、いまだ上記調理物Xの調理が完了していないとすると、調理物Xの加熱量自体も不足するので、良好な調理をも行なえないことになる。
さらに、蒸らし段階では、内鍋1の開口縁部1cや内蓋75部分への露付きを防止して、ご飯の白ボケを回避しなければならない。しかるに、上述のように、内鍋1の上部に調理容器15があると、ご飯から出る蒸気が調理容器15で遮られ、その外周の幅の狭い蒸気流通空間15d部分を回って内蓋75側に出てゆくだけであるので、蒸気を外部に排出しにくくなり、調理容器15の下面や内鍋1の開口縁部、内蓋75部分に露が付きやすく、より白ボケが発生しやすくなる。
図7のフローチャートおよび図8のタイムチャートに示す炊飯制御シーケンスは、このような問題を解決するために、ご飯のみを炊く通常の炊飯制御シーケンスとは別に、ご飯を炊くと同時に調理容器15を使用して調理を行う同時調理炊飯制御専用の炊飯制御シーケンスとして構成されたもので、調理容器15を使用して、内鍋1の加熱によるご飯の炊き上げと同時に蒸し料理等の内鍋1から出る蒸気を利用した調理を行う場合には、昇温工程から沸騰維持、炊き上げ、蒸らしに至る各工程、特に上記蒸らし工程(蒸らし1〜蒸らし3)における各加熱手段C1、C2、H1、H2の加熱量を所定の基準で通常の炊飯時よりも大きく設定することによって、上述した加熱不足の問題を解決するように構成されている。
この同時調理炊飯制御シーケンスは、当該電気炊飯器に対するAC電源がONの時に、上述した同時調理炊飯スイッチ19iが押され、炊飯メニューとして「同時調理炊飯」が選択されると、実行可能となる。もちろん、この時には、当然ながら上記内鍋1内に上述した調理容器15がセットされ、同調理容器15内には蒸し料理等の必要な調理物Xが入れられているものとする。
いま、上記同時調理炊飯スイッチ19iが押されたとすると、この実施の形態の場合、たとえば白米(ふつう)の炊飯制御をベースとする同時調理炊飯制御が開始され、まず吸水タイマーが設定され、同吸水タイマーにより設定された吸水時間内吸水工程が実行される(ステップS1)。この吸水工程では、上記温度センサ12により検知される検知温度が、図8のタイムチャートの特性に示す目標吸水温度(たとえば40℃程度)になるように、設定された所定の吸水時間内、たとえば上記第1、第2のIHコイルC1、C2の出力を70%、デューティ−比を6〜14、側面ヒータH1のデューティ−比を0〜8、蓋ヒータH2のデューティ−比を0〜8の範囲でコントロールし、内鍋1内の実際の水の温度が上記目標吸水温度になるように温調制御する。
次に、上記設定された吸水時間が経過すると、続いて昇温工程に進んで、加熱量を大きくし(フルパワー)、内鍋1内の水の温度を沸騰状態まで速やかに昇温させる(ステップS2)。
ところで、この実施の形態の場合、該昇温工程は、たとえば図8のタイムチャートに示されるように、上述した蒸気センサ16の蒸気温度検出値を基に、第1、第2の相互に閾値を異にする沸騰検知温度T1、T2を用いて2回(2段階)の沸騰検知を行うことにより、吸水工程の終了から第2の閾値T2よりも低い第1の閾値T1による第1回目の沸騰検知までの昇温工程1と、該第1の閾値T1による第1回目の沸騰検知から同第1の閾値T1よりも高い第2の閾値T2による第2回目の沸騰検知までの昇温工程2との2つの工程により構成されている。
この場合、例えば上記第1の閾値T1が、上述した図6のタイムチャートに示す通常の白米炊飯制御シーケンにおける沸騰検知の閾値(蒸気が出始めるようになったことを示す値)に該当し、第2の閾値T2は、それよりも高い、内鍋1内から多量の蒸気が出るようになった沸騰状態を示す値となっている。
そして、上記吸水工程の終了から、上記第1の閾値T1による第1回目の沸騰検知に至るまでの昇温工程1では、上記第1、第2のIHコイルC1、C2の出力をフルパワー90%、デューティ−比を8〜16、側面ヒータH1のデューティ−比を0〜8、蓋ヒータH2のデューティ−比を0〜8に制御して、第1、第2のIHコイルC1、C2を中心として、内鍋1の温度を速やかに第1の沸騰検知温度T1まで上昇させる。
第1回目の沸騰検知に使用される第1の閾値T1は、上述のように通常の白米炊飯制御における蒸気センサ16による沸騰検知の場合と同様に、上記内鍋1内から蒸気が出始めた沸騰開始時点の、完全な沸騰状態に至る手前のやや低い温度に設定されており、上記吸水工程の終了から該第1の閾値T1による第1回目の沸騰検知に至るまでの間は、上記第1、第2のIHコイルC1、C2の出力をフルパワー90%、デューティ−比を8〜16、側面ヒータH1のデューティ−比を0〜8、蓋ヒータH2のデューティ−比を0〜8に制御し、内鍋1の底部1aおよび側部1bを中心とした大きな加熱量で内鍋1内の蒸気温度を速やかに蒸気が出始める第1の沸騰検知温度T1まで上昇させる。
他方、同昇温工程1の終了から、上記第2の閾値T2による第2回目の沸騰検知に至るまでの昇温工程2では、上記第1、第2のIHコイルC1、C2の出力を昇温工程1のフルパワー90%よりも少しダウンさせた高出力80%、デューティ−比を8〜16、側面ヒータH1のデューティ−比を0〜8、蓋ヒータH2のデューティ−比を0〜8に制御して、上記内鍋1内から十分な量の蒸気が発生し、上記調理容器15内にも充満して、上記蒸気センサ16の蒸気温度検出部16a部分を流れる蒸気の温度が上記第2の沸騰検知温度T2になるまで、第1、第2のIHコイルC1、C2による加熱量を中心として十分に内鍋1を加熱する。
この結果、第2回目の沸騰検知がなされた段階では、内鍋1内の水を十分な沸騰状態に維持させることができ、内鍋1内から十分な量の蒸気を発生させることができるようになり、調理容器15内にも十分な量の蒸気が流入するようになる。そして、上記蒸気センサ16による第2回目の沸騰検知は、この確実な沸騰状態を検知することになる。
従来の内鍋底部の温度センサ12を使用して沸騰検知を行うタイプの電気炊飯器では、内鍋底部の温度を基準として沸騰状態を判定していたが、その場合、実際の蒸気の発生状態が分からないため、正確な沸騰検知は不可能であった。そのため、そのような電気炊飯器で同時調理炊飯を行うと、調理物を必要以上に加熱してしまったり、逆に加熱不足を招いたりして、良好な調理ができなかった。
これに対し、上述のように蒸気センサ16を使用して沸騰状態を検知するようにすると、正確に沸騰状態を検知することができるので、一応そのような問題は解決することができる。
しかし、上述した同時調理炊飯の場合には、例えば調理物Xに冷凍食材が用いられることもあり、またご飯も白米炊飯の場合に限らず、雑穀ご飯や炊き込みご飯の場合がある。調理物Xが冷凍食材の場合、内鍋1内で蒸気が発生し始めたとしても、同蒸気が調理容器15内に入った時点で冷凍食材により冷却されて凝縮し、結露してしまう。
したがって、仮に蒸気センサ16を用いたとしても、相当量の蒸気が発生するようにならないと、蒸気センサ16が沸騰と検知することができない。また、ご飯側に比べて調理物X側の温度の上昇が遅れる。そのため、調理物Xの仕上がりが悪くなる。
さらに、白米ご飯の場合に比べて、雑穀ご飯や炊き込みご飯の場合には、白米ご飯に比べて大きい加熱量を必要とし、その分白米ご飯の場合に比べて蒸気の発生も遅くなる。
このような事情に対応し、この実施の形態の同時調理炊飯制御では、上記のように昇温工程において、第1、第2の2回の沸騰検知を行うようにし、第1回目では上記通常の白米水飯制御の場合と同様に、内鍋1から蒸気が出始めた時点のやや低い閾値温度T1で沸騰判定を行い、同温度T1になるまでは、上述のような高火力で加熱し、可能な限り速やかに蒸気が出始める温度まで加熱する。これが昇温工程1である。
この昇温工程1は、基本的に上述した図5、図6の白米炊飯制御における昇温工程に相当し、上記第1、第2のIHコイルC1、C2の出力およびデューティ−比、側面ヒータH1のデューティ−比、蓋ヒータH2のデューティ−比が、上述した通常の白米炊飯制御の場合と比較して、上記調理物Xの存在に対応して蓋ヒータH2のデューティ−比が0から0〜8にアップされているだけで、それ以外は通常の白米炊飯制御の場合と同じである。
しかし、一旦蒸気が出始めたことが検知された第1回目の沸騰検知から、十分な量の蒸気が出るようになる第2回目の沸騰検知までの昇温工程2では、第1、第2のIHコイルC1、C2の出力を90%のフルパワー高出力から80%の弱高出力(デューティ−比は同じ)に落として温調をかけ、発生する蒸気量を調節しながら最終的に完全な沸騰状態(第2回目の沸騰検知)となるまで加熱するようにしている。
このように第2回目の沸騰検知で完全な沸騰状態(100℃の高温)になるまで加熱するようにすると、仮に炊飯しているご飯が雑穀米や炊き込みご飯である場合にも、十分に加熱して、しっかりと沸騰させることができる。また、白米のご飯の場合に比べて、昇温工程2における加熱時間を増やして(2回目の沸騰検知までの時間が長くなるので)、十分に内鍋1内の温度を上げ、調理物Xを十分に加熱することができる。
この結果、上記調理容器15内の調理物Xが蒸気の冷気化や凝縮を招く冷凍食材などの冷温物であったり、炊き上げるご飯が雑穀米や炊き込みご飯などの白米に比べて大きな加熱量を必要とするものであった場合で、従来のように蒸気の出始めのみを基準として沸騰検知する第1回目の沸騰検知だけでは確実な沸騰検知を行なえないような場合にも、確実な加熱、確実な沸騰検知を行うことができるようになり、確実な炊き上げ、確実な調理を行なえるようになる。
また、第1回目の沸騰検知と第2回目の沸騰検知との間の検知レベルの差により、それらの間に発生する蒸気の量を調整することができることから、ご飯の種類、調理物の種類に応じた適切な昇温加熱、沸騰状態への移行が可能となる。
特に、第1回目の沸騰検知が終わった段階で、第1、第2のIHコイルC1、C2の出力を少し落としているので(90%から80%に)、実質的な沸騰時間の延長により調理物Xに対する十分な加熱を実現しながら、ご飯側の加熱しすぎをも防ぐことができ、調理物Xおよびご飯の何れに対しても良好な加熱状態を実現することができる。
以上のようにして、第2回目の沸騰状態が検知され、上記内鍋1内の水および米が確実に沸騰状態になると、続いて沸騰維持工程に進んで、一定の沸騰維持時間内当該沸騰状態を継続させる(ステップS3)。この沸騰維持工程では、上記第1、第2のIHコイルC1、C2の出力を上記昇温工程2の80%よりも少し低い75%、デューティ−比を上記昇温工程2の8〜16よりも少し小さい6〜14、側面ヒータH1のデューティ−比を上記昇温工程2と同じ0〜8、蓋ヒータH2のデューティ−比を上記昇温工程2の0〜8よりも十分に大きい10〜16に制御して、上記内鍋1上方部の加熱量の増大を図る。
その後、上記一定の沸騰維持時間が経過したか否かを判定し、一定の沸騰維持時間が経過した場合には、次に炊き上げ工程に進む(ステップS4)。
そして、この炊き上げ工程では、上記第1、第2のIHコイルC1、C2の出力を沸騰維持工程と同じ75%、デューティ−比を沸騰維持工程よりも小さい3〜9、側面ヒータH1のデューティ−比を沸騰維持工程と同じ4〜12、蓋ヒータH2のデューティ−比を沸騰維持工程と同じ10〜16に制御して、上記内鍋1の側部および上方部の加熱量の増大を図る。この結果、内鍋1の底部、側部、上方部分が有効に加熱されて、米のアルファー化が促進される。また、内鍋1内の水が次第に減少してゆく。
その後、殆ど水がなくなった上記炊き上げ工程の後半において、例えば上記温度センサ12により検知される上記内鍋1底部の検知温度が予め設定されている炊き上げ検知温度(例えば130℃)以上になったか否かにより炊き上げ検知を行う。そして、その結果、炊き上がり状態(130℃以上)と判定されると、次に蒸らし工程に進んで、炊き上がったご飯の蒸らし制御が行われる。
この実施の形態の場合、該蒸らし工程は、たとえば上記高温の炊き上げ検知温度(130℃)から余熱を利用して緩やかに温度を下げ、内鍋1内を可能な限り高温状態に維持することによって、ご飯中に残っている余分な水分を速やかに飛ばすとともに、ご飯の甘みを高めるステップS5の「蒸らし1(高温蒸らし)」と、高温状態を続けすぎると、ご飯中の水分は飛び、甘みは高くなるが、ご飯の外周部が焦げるので、「蒸らし1」よりは温度を下げて、余分な水分を飛ばしながら、ご飯の甘みを高めるステップS7の「蒸らし2」、「蒸らし2」より温度を下げ、それまでより水分の蒸発量を下げて、必要な水分量を保持させながら、内鍋1の開口縁部や内蓋75に露が付かないように適度な加熱量を維持して、目標とする保温温度に移行させるステップS9の「蒸らし3」の3つの蒸らし工程により構成されている。
そして、このような作用を、加熱不足になりやすい同時調理に際しても適切に実現するために、まずステップS5の「蒸らし1」では、上記第1、第2のIHコイルC1、C2の出力を白米炊飯時の70%よりも大きい75%、デューティ−比を白米炊飯時の0〜6よりも大きい2〜8、側面ヒータH1のデューティ−比を白米炊飯時の4〜12よりも大きい6〜14、蓋ヒータH2のデューティ−比を白米炊飯時の8〜14よりも大きい10〜16に制御して、高温である炊き上げ検知温度(130℃)から緩やかに温度を下げる高温での蒸らし状態を実現する。この高温での蒸らし状態は、蒸らしタイマーにより設定された一定の蒸らし時間内継続される。
このように、第1、第2のIHコイルC1、C2の出力およびデューティ−比、並びに側面ヒータH1、蓋ヒータH2のデューティ−比をそれぞれ通常の炊飯時よりも十分に大きくすることにより、同時調理の場合にも、ご飯中に残っている余分な水分を速やかに飛ばすとともに、ご飯の甘みを高め、また、側面ヒータH1及び蓋ヒータH2からの加熱量を大きくすることによって、加熱する蒸気量が少なくなった調理物Xにも十分に熱を通す。
そして、その後、上記蒸らしタイマーにより設定された一定の蒸らし時間が経過したか否かが判定される(ステップS6)。そして、同一定の蒸らし時間が経過したと判定されると、次に「蒸らし2」に進む(ステップS7)。
「蒸らし2」では、上記「蒸らし1」と同じく、上記第1、第2のIHコイルC1、C2の出力を白米炊飯時の70%よりも大きい75%、デューティ−比を白米炊飯時の0〜6よりも大きい2〜8、側面ヒータH1のデューティ−比を白米炊飯時の4〜12よりも大きい6〜14、蓋ヒータH2のデューティ−比を白米炊飯時の8〜14よりも大きい10〜16に制御して、上記「蒸らし1」の終了温度(110℃弱)から、さらに緩やかに温度を下げる中温での蒸らし状態を実現する。
このように、「蒸らし1」に比べて或る程度内鍋1内の温度が低下し、ご飯中の水分が低下した「蒸らし2」でも、同時調理の場合には、「蒸らし1」と同様に第1、第2のIHコイルC1、C2の出力およびデューティ−比、並びに側面ヒータH1、蓋ヒータH2のデューティ−比をそれぞれ通常の炊飯時よりも十分に大きくすることにより、ご飯中に残っている余分な水分を飛ばすとともに、さらに、ご飯の甘みを高め、また、側面ヒータH1及び蓋ヒータH2からの加熱量を大きくすることによって、内蓋75の下面や調理容器15の下面に生じる露付きを防止するとともに、より加熱する蒸気量が少なくなった調理物Xに十分な熱を通す。
その後、上記蒸らしタイマーにより設定された「蒸らし2」における一定の蒸らし時間が経過したか否かが判定される(ステップS8)。そして、同一定の蒸らし時間が経過したと判定されると、次に「蒸らし3」に進む(ステップS9)。
「蒸らし3」では、「蒸らし1」、「蒸らし2」と同じく、上記第1、第2のIHコイルC1、C2の出力を白米炊飯時よりも大きい75%とするが、他方デューティ−比を白米炊飯時と同じ0〜4として少し下げ、内鍋1底部側からの加熱量を小さくすることによって焦げの発生を回避する一方、側面ヒータH1のデューティ−比は白米炊飯時の4〜12よりも大きい「蒸らし1」、「蒸らし2」と同じ6〜14、蓋ヒータH2のデューティ−比も白米炊飯時の8〜14よりも大きい「蒸らし1」、「蒸らし2」と同じ10〜16に制御して、「蒸らし2」の終了温度(たとえば95℃程度)から沸騰温度以下まで温度を下げる蒸らし状態(ご飯の焦げ、露付き、白ボケを回避しながら保温温度へ移行)を実現する。
このように、沸騰温度付近まで内鍋1内の温度が低下し、ご飯中の水分が大きく低下した「蒸らし3」の段階では、同時調理の場合にも、高温状態を続けすぎると、ご飯中の必要な水分まで飛んでしまい、しかもご飯の外周部が焦げる問題がある。
したがって、「蒸らし1」、「蒸らし2」よりも第1、第2のIHコイルC1、C2による加熱量を下げて、ご飯の焦げを防止するとともに、必要な水分を保持させる。
他方、「蒸らし1」、「蒸らし2」と同様に、側面ヒータH1、蓋ヒータH2のデューティ−比はそれぞれ通常の炊飯時よりも大きい状態にすることにより、加熱する蒸気量がなくなった調理物Xを側部および上方より効果的に加熱して加熱不足が生じないようにする。
このような蒸らし工程によると、十分な加熱量による良好な調理を可能としながら、ご飯の焦げ付きを生じさせることなく、高温状態での蒸らしにより甘みの強い、美味しいご飯が炊き上げられるとともに、内鍋や内蓋への露付きを生じさせることなく、効率良くご飯中の水分を飛ばすことができ、ご飯の白ボケも発生しない。
そして、上記最終工程である「蒸らし3」における蒸らし制御も、上記蒸らしタイマーにより設定された一定の蒸らし時間が経過すると(ステップS10でYESになると)、「蒸らし3(炊飯制御)」を終了して、保温工程へ進む。
以上のように、この発明の実施の形態では、内鍋1のみを使用した白米炊飯等の通常の炊飯と内鍋1に加えて調理容器15を使用した同時調理炊飯とを本来の炊飯工程を利用して同時に行えるようにした電気炊飯において、本来の炊飯と調理容器15を使用した調理を同時に行う場合には、蒸らし工程等炊飯工程に応じて炊飯のみの場合に比べて加熱量を大きくするようにしている。
このような構成によれば、内鍋1を使用したご飯の炊飯に加えて、調理容器15を使用した調理を同時に行う場合には、加熱量制御手段により制御される内鍋加熱手段の内鍋加熱量がご飯の炊飯のみを行う場合に比べて大きくなるように制御される。
このため、炊飯のみを考慮した加熱量で調理容器15内の調理物Xが加熱される場合に比べて、調理容器15内の調理物にも十分な加熱量が付与されるようになり、加熱不足の無い良好な調理を行なえるようになる。
また、加熱量を大きくする炊飯工程を、例えば蒸らし工程に設定すれば、蒸らし工程におけるご飯に対する加熱量不足が解消され、良好なむらし性能を確保することができるようになる。
炊飯工程最後の蒸らし工程では、通常の炊飯時の場合、炊き上げ検知にいたるまでの加熱手段の加熱量が低減され、内鍋への加熱量自体が相当に小さくなる。したがって、この段階で、未だ調理容器内の調理物の調理が完了していないとすると、当該調理物への加熱量が不足し、適正な調理が不可能になる。
また、炊飯のみの場合に比べて、調理物に加熱量を取られるので、ご飯に対する加熱量も不足し、良好なむらし性能を確保することができない。
しかも、調理容器があるために、ご飯から出る蒸気を有効に内鍋外に排出することができず、ご飯への露付きや白ボケを生じる問題がある。
このため、特に蒸らし工程で、上述のように加熱量を大きくすると、これらの問題を有効に解消することができ、ご飯と調理物のそれぞれを共に美味しく仕上げるのに有効となる。
また、そのように加熱量を大きくすると、調理容器15の存在にも拘わらず、蒸らし工程におけるご飯からの蒸気を有効に内鍋外に排出することができるようになり、ご飯への露付きや白ボケを回避することができる。
さらに、この発明の実施の形態では、その場合において、炊飯工程と該炊飯工程に対応する加熱量が設定された炊飯制御シーケンスとして、内鍋1を使用してご飯のみの炊飯を行う通常の炊飯制御シーケンスとは別に、ご飯の炊飯と調理容器15を使用した調理とを同時に行う同時調理用の炊飯制御シーケンスを設けて構成しており、該同時調理用の炊飯制御シーケンスでは、ご飯のみの炊飯を行う通常の炊飯制御シーケンスの場合に比べて炊飯工程における加熱量が大きく設定されている。
したがって、このような構成によれば、同時調理メニュー選択用の入力スイッチを押せば、それだけで自動的に上記同時調理用の炊飯制御シーケンスにより内鍋を使用した炊飯と調理容器を使用した調理を同時に行う適切な加熱量の同時調理が実行され、所定の炊飯工程においては炊飯のみの場合よりも加熱量が大きくなるように自動制御される。
(他の実施例)
以上の説明では、同時調理炊飯時の蒸らし工程等における加熱量を大きくする手段として、例えば電力自体を大きくする方法を採用したが、これは、例えば加熱時間(蒸らし時間)を長くする方法、又はそれらの両者を組み合わせる方法などを採用することもできる。