以下に、本発明の実施形態に係るごみ処理システム、電力供給システム及び可搬式バッテリ管理システムにつき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1から図28を参照して、本実施形態について説明する。本実施形態は、ごみ処理システム、電力供給システム及び可搬式バッテリ管理システムに関する。ごみ処理システム100は、ごみ焼却式発電設備3、収集車5、バッテリ1、及び電力供給ユニット2を含む。
図1に示すように、ごみ焼却式発電設備3は、ごみGを焼却することで発生する熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電設備である。ごみ焼却式発電設備3は、補助燃料として化石燃料を用いることなく、ごみGを燃焼させることができる。ごみ焼却式発電設備3は、発電した電力をごみ焼却式発電設備3の各装置に対して供給する。ごみ焼却式発電設備3は、ごみ焼却式発電設備3の消費電力を上回る発電能力を有している。すなわち、ごみ焼却式発電設備3は、系統電力(商用電源)からの供給を受けることなく、自家発電の電力によって継続して操業することが可能である。ごみ焼却式発電設備3は、系統電力と接続されており、系統電力からの受電及び系統電力への送電(売電)が可能である。
本実施形態の収集車5は、収集した収集物を運搬する車両であり、バッテリ1を搭載する移動体の一例である。本実施形態において、移動体とは、複数の可搬式のバッテリ1のうち少なくとも1つを、夫々異なる場所に存在する複数のごみ焼却式発電設備3間で移動させて、移動先のごみ焼却式発電設備3にて使用済みのバッテリ1を充電済みのバッテリ1と交換することで運用させる車両を意味する。ここで、収集車5が収集する収集物とは、例えば、ごみ、空瓶、プラスチック、資源ごみ等を含むがこれらに限定されない。一例として、収集車5としては、ごみ収集車、空瓶収集車、プラスチック収集車、資源ごみ収集車などが挙げられる。なお、本実施形態では、収集車5として、収集したごみをごみ焼却式発電設備3に運搬するごみ収集車を一例に説明する。
ここで、収集車5は、電気自動車である。収集車5は、動力源としてのモータ5bを有する。モータ5bは、供給される電力を、走行用の動力及び架台5aを駆動する動力に変換する。なお、走行用のモータ5bと架台5aの駆動用のモータ5bは独立していてもよい。収集車5には、バッテリ1が搭載可能である。収集車5は、バッテリ1をモータ5bに対する電力源とする。収集車5は、ごみGを圧縮しながら架台5aの内部に収納する。収集車5は、収集したごみGをごみ焼却式発電設備3に運搬し、ピット31に投入する。
バッテリ1は、可搬式であり、充放電可能な二次電池である。バッテリ1は、収集車5の運転席と架台5aの間のスペースに搭載される。本実施形態の収集車5には、1台につき1つのバッテリ1が搭載される。
電力供給ユニット2は、ごみ焼却式発電設備3において発電された電力をバッテリ1に対して供給する。電力供給ユニット2は、複数のバッテリ1を搭載可能であり、バッテリ1を収納する収納設備(貯蔵設備)としての機能を有している。収集車5は、1日に複数の収集ルートを巡回する。収集車5は、1つの収集ルートのごみ収集を完了すると、ごみ焼却式発電設備3へ移動して、収集したごみGをピット31へ投入する。収集車5は、ごみ焼却式発電設備3に到着してから次の収集ルートへ出発するまでの間に、使用済みのバッテリ1を充電済の別のバッテリ1と交換する。収集車5は、例えば、1つの収集ルートにおける収集が完了するごとにバッテリ1を交換する。
図2に示すように、電力供給ユニット2は、バッテリ1を収納する収納部11を複数有している。本実施形態の電力供給システム10は、1台の収集車5に対して複数のバッテリ1を有している。例えば、1日のごみ収集について1台の収集車5が5つのバッテリ1を使用する場合、1台につき少なくとも5つのバッテリ1が準備される。電力供給システム10が有する電力供給ユニット2の台数は、1日に稼働する全収集車5に必要な数のバッテリ1を全て収納可能な数である。各収納部11には、1つのバッテリ1が収納される。
図2に示すように、電力供給ユニット2は、ごみ処理場の構内道路に隣接して設置されている。電力供給ユニット2には、ごみ焼却式発電設備3において発電された交流電力が供給される。収集車5は、収集作業に使用した後のバッテリ1を電力供給ユニット2によって充電された新たなバッテリ1と交換する。バッテリ運搬装置6は、電力供給ユニット2に収納されたバッテリ1を取り出して運搬し、収集車5に搭載する機能、及び収集車5に搭載されたバッテリ1を取り出して運搬し、電力供給ユニット2に収納する機能を有する。バッテリ運搬装置6の詳細については後述する。
図3には、収納部11の拡大図が示されている。本実施形態の電力供給システム10は、バッテリ1、電力供給ユニット2、及び充放電制御装置4を含む。図3に示すように、収納部11には、支持板12と、スプリング13と、固定棒14と、ローラコンベア15が配置されている。なお、以下の説明では、収納部11に対してバッテリ1が出入りする移動方向であり、かつ水平な方向をY軸方向と称する。また、水平面上でY軸と直交する方向をX軸方向、鉛直方向をZ軸方向と称する。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、互いに直交する。
支持板12は、各収納部11の奥部に設置されている板状の部材である。スプリング13は、支持板12の下端と電力供給ユニット2の躯体との間に介在しており、支持板12を下方から支持している。すなわち、支持板12は、電力供給ユニット2の躯体に対して鉛直方向(Z軸方向)に相対移動可能である。
固定棒14は、支持板12が電力供給ユニット2の躯体に対してY軸方向へ相対移動することを規制すると共に、Z軸方向への相対移動を許容する支持部材である。固定棒14は、電力供給ユニット2の躯体に固定されている。固定棒14は、X軸方向に延在している棒状の部材であり、支持板12に対してY軸方向の両側に平行に配置されている。一対の固定棒14は、支持板12がZ軸方向に移動することを許容するように、支持板12の厚みよりもわずかに大きな隙間を設けて配置されている。
充放電制御装置4は、バッテリ1に対する充電及びバッテリ1からの電力供給を制御する制御装置である。また、充放電制御装置4は、バッテリ1及び電力供給ユニット2の夫々に対して着脱可能である。本実施形態の充放電制御装置4の形状は、直方体形状である。充放電制御装置4は、例えば、ボルト及びナットのような締結部材によって支持板12に対して固定されている。
ローラコンベア15は、収納部11に収納されるバッテリ1を充放電制御装置4に導くガイド機構であり、かつバッテリ1を下方から支持する支持部材でもある。ローラコンベア15は、複数のローラ15bと、ローラ15bを回転自在に支持する枠15aを有する。ローラ15bは、X軸方向の回転軸線周りに回転する。複数のローラ15bは、Y軸方向に沿って、所定の間隔で互いに平行に配置されている。バッテリ1は、ローラ15bの上に載置されて押し込まれると、ローラコンベア15によって矢印Y1で示すように充放電制御装置4に向けて案内される。一対の枠15aのX軸方向における間隔の大きさは、ローラコンベア15の手前側の端部15cから奥側の端部15dへ向かうに従って小さくなる。つまり、一対の枠15aによって、充放電制御装置4とバッテリ1とのX軸方向の位置合わせがなされる。奥側の端部15dにおける枠15aの間隔は、充放電制御装置4とバッテリ1とのX軸方向のずれの大きさが許容範囲内の値となるように設定されている。また、スプリング13は、バッテリ1がローラコンベア15の奥側の端部15dにあるときの充放電制御装置4とバッテリ1とのZ軸方向のずれの大きさが許容範囲内の値となるように設計されている。
本実施形態のバッテリ1の形状は、直方体形状である。バッテリ1は、最も面積が大きい面(以下、「側面」と称する。)1aがX軸方向と直交するように、ローラコンベア15上に載置される。バッテリ1には、上部保持部材7及び下部保持部材8が取り付けられている。後述するバッテリ運搬装置6は、各保持部材7,8を保持しながらバッテリ1を運搬する。本実施形態の上部保持部材7の形状は、直方体形状である。上部保持部材7は、バッテリ1の両側の側面1a,1aに夫々固定されている。上部保持部材7は、バッテリ1の上部に配置されており、バッテリ1の前端面1bから後端面1cまで延在している。上部保持部材7には、溝部7aが設けられている。溝部7aは、上部保持部材7におけるバッテリ1と対向する面に設けられており、上部保持部材7の前端から後端まで形成されている。本実施形態では、溝部7aの断面積は、前端側から後端側へ向かうに従って大きくなっている。
下部保持部材8は、バッテリ1の下面に固定されている。本実施形態の下部保持部材8の形状は、直方体形状である。下部保持部材8は、バッテリ1の前端面1bから後端面1cまで延在している。下部保持部材8には、貫通孔8aが設けられている。貫通孔8aは、下部保持部材8の前端から後端まで貫通している。本実施形態では、貫通孔8aの断面積は、前端側から後端側へ向かうに従って大きくなっている。
図4に示すように、充放電制御装置4の対向面4bには、コネクタ41及びガイドピン42が配置されている。対向面4bは、充放電制御装置4とバッテリ1が接続される際にバッテリ1と対向する面である。ガイドピン42は、コネクタ41に隣接して配置されており、コネクタ41よりもY軸方向に突出している。ガイドピン42は、断面形状が円形の棒状部材である。ガイドピン42は、基端から先端へ向かうに従って断面積が減少する先細形状である。本実施形態のコネクタ41の形状は、直方体形状である。ガイドピン42は、コネクタ41におけるバッテリ1と対向する面の対角線上に1本ずつ配置されている。
バッテリ1の前端面1bには、コネクタ41と対応するコネクタ18が配置されている。コネクタ18は、バッテリ1に接続された案内部16と、案内部16から突出するコネクタ部17を有する。充放電制御装置4は、コネクタ41がコネクタ部17と係合することでバッテリ1と接続され、コネクタ41がコネクタ部17から外れることでバッテリ1と遮断される。このように、充放電制御装置4は、バッテリ1に対して着脱可能となっている。コネクタ18は、案内部16の断面積がコネクタ部17の断面積よりも大きい2段形状となっている。本実施形態の案内部16及びコネクタ部17の形状は、直方体形状である。充放電制御装置4とバッテリ1は、コネクタ18,41を介して電気的に接続される。案内部16には、ガイド孔16aが設けられている。ガイド孔16aの直径は、ガイドピン42の先端の直径よりも大きい。ガイド孔16aの位置は、ガイドピン42の位置に応じて定められている。すなわち、ガイド孔16aは、コネクタ部17の対角線上にコネクタ部17に隣接して1つずつ設けられている。
矢印Y2に示すようにバッテリ1が充放電制御装置4に接近していくと、ガイドピン42がガイド孔16aに挿入される。ガイドピン42の直径が先端から基端に向けて大きくなっていることから、バッテリ1が充放電制御装置4へ近づくことによりコネクタ41とコネクタ部17との位置合わせがなされる。ガイドピン42及びガイド孔16aからなる案内機構によって、X軸方向及びZ軸方向の位置合わせがなされて、コネクタ部17がコネクタ41と接続される。充放電制御装置4は、衝撃検知器43を備えている。衝撃検知器43は、例えば、加速度センサであり、充放電制御装置4に加えられた衝撃の大きさを検知する。
図5には、充放電制御装置4の前面4aが示されている。前面4aは、対向面4bとは反対側の面である。図5に示すように、充放電制御装置4の前面4aには、充電用接続部44、切替スイッチ45、残量メータ46、警告灯47、出力表示灯48、選択スイッチ49、コンセント50、及び供給用接続部51が配置されている。
充電用接続部44は、電力供給ユニット2から供給される電力の入力部である。図3に示す支持板12には、充電用接続部44が露出するように、充電用接続部44に対応する孔部が設けられている。充電用接続部44には、電力供給ユニット2の充電用コネクタが接続される。
図5に戻り、切替スイッチ45は、平常モードと非常モードの切り替え用のスイッチである。充放電制御装置4の平常モードは、平常時において実行されるモードであり、基本的に電力供給ユニット2に接続された状態で実行される。一方、充放電制御装置4の非常モードは、非常時において実行されるモードであり、電力供給ユニット2に接続された状態、及び電力供給ユニット2から切り離された状態で異なる動作を行う。本実施形態における非常時は、系統電力の供給が停止・制限されている場合を含む。系統電力の供給が停止・制限される原因としては、例えば、地震、火災等の災害や、電力会社のシステムトラブルによる停電などが挙げられる。
平常モードにおける充放電制御装置4の主な機能は、バッテリ1に対する充電制御である。充放電制御装置4は、収納部11に収納されたバッテリ1と電力供給ユニット2との間に介在してバッテリ1に対する充電を制御する。非常モードの充放電制御装置4は、電力供給ユニット2に接続された状態では、収納部11に収納されたバッテリ1と電力供給ユニット2との間に介在してバッテリ1に対する充電を制御する。非常モードの充放電制御装置4は、電力供給ユニット2から切り離され、かつバッテリ1に接続された状態でバッテリ1から外部への電力供給を制御する。従って、本実施形態の充放電制御装置4は、バッテリ1と組み合わされることで、非常用の可搬式電源ユニットとして機能することができる。
残量メータ46は、バッテリ1の残量を表示するメータである。警告灯47は、過負荷を警告するランプである。バッテリ1から充放電制御装置4を介して外部に電力を供給する際に、過負荷が検出されると警告灯47が点灯する。出力表示灯48は、バッテリ1から外部に電力を供給しているときに点灯する。選択スイッチ49は、バッテリ1から出力する交流電力の周波数を切り替えるスイッチである。コンセント50は、単相100Vの出力用のコンセントである。供給用接続部51は、三相200Vの出力用の接続部である。
図6に示すように、充放電制御装置4は、入力用AC/DCコンバータ52、出力用DC/ACインバータ53、DC/DCコンバータ54、及び制御部55を有する。入力用AC/DCコンバータ52は、DC/DCコンバータ54を介してバッテリ1と接続されている。入力用AC/DCコンバータ52は、ごみ焼却式発電設備3から供給される単相200Vの交流電力を直流電力に変換してDC/DCコンバータ54に送る。DC/DCコンバータ54は、双方向の電流を変圧することができる変圧器である。DC/DCコンバータ54は、入力用AC/DCコンバータ52から供給される電力をバッテリ1用の電圧に変圧してバッテリ1に充電することができる。また、DC/DCコンバータ54は、バッテリ1が放電する電力を予め定められた電圧に変圧して出力用DC/ACインバータ53に供給することができる。出力用DC/ACインバータ53は、DC/DCコンバータ54から供給される電力を単相100V及び三相200Vに変換して出力する。
制御部55は、入力用AC/DCコンバータ52、出力用DC/ACインバータ53及びDC/DCコンバータ54を制御する制御装置であり、例えば、電子制御ユニットである。制御部55は、入力用AC/DCコンバータ52及びDC/DCコンバータ54に指令を与えてバッテリ1の充電制御を行う。制御部55は、出力用DC/ACインバータ53及びDC/DCコンバータ54に指令を与えてバッテリ1から外部への電力供給制御を行う。
制御部55は、充放電制御装置4の切替スイッチ45が平常モードの位置に設定されている場合、予め定められた所定の時間帯にバッテリ1に対する充電を実行する。所定の時間帯は、例えば、系統電力の電力料金が安価となる夜間の時間帯である。ごみ焼却式発電設備3によって発電される電力によって夜間にバッテリ1の充電を実行し、系統電力の電力料金が高価となる時間帯、すなわち所定の時間帯以外の時間帯にはバッテリ1の充電を行わずに余剰電力を売電するようにすれば、ごみ処理システム100の経済性を向上させることができる。バッテリ1の充電を実行する際には、図7に示すように、充放電制御装置4の充電用接続部44にごみ焼却式発電設備3が入力電源として接続される。充放電制御装置4は、ごみ焼却式発電設備3からの交流電力を直流電力に変換してバッテリ1を充電する。
制御部55は、充放電制御装置4の切替スイッチ45が非常モードの位置に設定されている場合、所定の時間帯に限らずバッテリ1に対する充電を実行する。制御部55は、非常時において、残量が低下したバッテリ1が接続された場合、常にバッテリ1に対する充電を行うことが好ましい。このようにすれば、収集車5の稼働用の電源を確保できるだけでなく、収集車5によって使用されていないバッテリ1を非常用の電源として公共施設や避難所等に配置することができる。
ここで、電力供給ユニット2に併設されたバッテリ運搬装置6について説明する。図8に示すように、バッテリ運搬装置6は、レール61、台車部62、ターンテーブル63、ガイド板64、上部アーム65、及び下部アーム66を有する。一対のレール61は、X軸方向に沿って敷設されている。台車部62は、レール61に対応する車輪を有しており、レール61上を自走することができる。ターンテーブル63は、台車部62に対してZ軸周りに相対回転可能である。ターンテーブル63と台車部62との間には、台車部62に対してターンテーブル63を相対回転させる回転用アクチュエータが介在している。また、ターンテーブル63は、台車部62に対して、Y軸方向に相対移動可能である。ターンテーブル63と台車部62との間には、台車部62に対してターンテーブル63をY軸方向に相対移動させる位置調整用アクチュエータが介在している。
ガイド板64は、ターンテーブル63と直交する板状のガイド部材である。ガイド板64は、ターンテーブル63上を直線移動可能である。バッテリ運搬装置6は、ガイド板64をターンテーブル63に対してターンテーブル63の長手方向に相対移動させるスライド用アクチュエータを有している。上部アーム65及び下部アーム66は、ガイド板64に支持されており、かつZ軸方向に移動可能である。バッテリ運搬装置6は、上部アーム65及び下部アーム66をZ軸方向に移動させる上下動用アクチュエータを有している。一対の上部アーム65、及び下部アーム66は、ガイド板64の一方側の面に配置されている。上部アーム65は、上部保持部材7の溝部7aに挿入されて、上部保持部材7を介してバッテリ1を保持する。上部アーム65の全長は、溝部7aの全長よりも長い。下部アーム66は、下部保持部材8の貫通孔8aに挿入されて、下部保持部材8を介してバッテリ1を保持する。下部アーム66の全長は、貫通孔8aの全長よりも長い。
バッテリ運搬装置6は、台車部62の位置や各アクチュエータの位置・作動量を検出するセンサ、及び各アクチュエータを制御する制御部を有しており、バッテリ1の運搬を自動で行うことが可能である。バッテリ運搬装置6は、電力供給ユニット2に収納されたバッテリ1を搬出する場合、図9に示すように、搬出対象のバッテリ1に対応する位置に台車部62を位置づけ、ガイド板64をバッテリ1の後端面1cと対向させる。バッテリ運搬装置6は、上下動用アクチュエータによって上部アーム65を溝部7aに対応する位置に位置づけ、下部アーム66を貫通孔8aに対応する位置に位置づける。バッテリ運搬装置6は、スライド用アクチュエータによって、矢印Y3で示すようにガイド板64をY軸方向にスライドさせて上部アーム65を溝部7aに、下部アーム66を貫通孔8aに夫々挿入する。バッテリ運搬装置6は、各アーム65,66を溝部7a及び貫通孔8aの所定位置まで挿入すると、上下動用アクチュエータによって各アーム65,66を上方に移動させてバッテリ1を持ち上げる。なお、収納部11からバッテリ1が搬出される際には、予めバッテリ1のコネクタ18が充放電制御装置4のコネクタ41から外されている。
次に、バッテリ運搬装置6は、図10に示すようにガイド板64をスライドさせてバッテリ1を搬出する。バッテリ運搬装置6は、電力供給ユニット2からのバッテリ1の搬出が完了すると、図11に示すように回転用アクチュエータによってターンテーブル63を回転させ、図12に示すようにバッテリ1の前端面1bを車両側に向ける。バッテリ運搬装置6は、収集車5へバッテリ1を搭載するための所定位置まで台車部62を車両側に向けて走行させる。バッテリ運搬装置6は、例えば、収集車5の停車位置を検出して、自動的にバッテリ1の位置を調整する。図13に示すように、バッテリ運搬装置6は、台車部62を走行させてX軸方向における収集車5とバッテリ1との相対位置を調整する。また、バッテリ運搬装置6は、位置調整用アクチュエータによって、Y軸方向における収集車5とバッテリ1との相対位置を調整する。バッテリ運搬装置6は、X軸方向及びY軸方向の位置調整が完了すると、上下動用アクチュエータ及びスライド用アクチュエータによってバッテリ1を収集車5の搭載位置まで運搬する。収集車5は、バッテリ1に接続するハーネスを有している。ハーネスは、例えば、収集車5のオペレータによってバッテリ1に着脱される。
バッテリ運搬装置6は、収集車5からバッテリ1を回収して電力供給ユニット2に搬入する場合、上記の手順とは逆の手順を実行する。電力供給ユニット2からのバッテリ1の搬出及び収集車5への搭載作業や、収集車5からのバッテリ1の回収及び電力供給ユニット2への搬入作業は、例えば、オペレータの操作によって実行される。
本実施形態において、バッテリ1及び充放電制御装置4を組み合わせた電源ユニット20は、可搬式の電源として用いることができる。電源ユニット20は、例えば、図14に示すように台車70に積載されて運搬される。また、図15に示すように、バッテリ1は、充放電制御装置4が接続された電源ユニット20の状態で電力供給ユニット2から搬出される。電源ユニット20は、バッテリ運搬装置6によって搬出され、台車70に積載される。また、使用済みの電源ユニット20は、バッテリ運搬装置6によって、台車70から回収されて電力供給ユニット2に搬入される。なお、バッテリ運搬装置6は手動でも操作可能であるが、バッテリ運搬装置6は、ごみ焼却式発電設備3を電源としているため、例えば系統電力の停電時であっても動作可能である。台車70に積載された電源ユニット20は、例えば、トラック等の運搬車両によって各所への運搬及び回収がなされる。
なお、本実施形態において、充放電制御装置4は、電力供給ユニット2から切り離され、かつバッテリ1に接続された状態、すなわち電源ユニット20を構成する状態において、衝撃検知器43が衝撃を検知するとバッテリ1から外部への電力供給を禁止してもよい。これにより、例えば、電力供給中の電源ユニット20が衝撃を受けた場合に電力供給を中止あるいは中断して安全を確保することができる。衝撃検知機43が検知する衝撃としては、例えば、地震による振動、電源ユニット20の運搬中の振動、載置されている電源ユニット20に車両や人がぶつかった場合の衝撃などが挙げられる。充放電制御装置4は、衝撃が検知された場合に、衝撃が検知されている間は電力供給を停止するようにしても、ユーザによってリセット等の解除操作がなされるまで電力供給を停止するようにしてもよい。
また、充放電制御装置4は、電力供給ユニット2に接続された状態において、衝撃検知機43が衝撃を検知した場合に、バッテリ1に対する充電を禁止するようにしてもよい。この場合、切替スイッチ45が平常モード及び非常モードの何れの位置にあっても充電が禁止されることが好ましい。充放電制御装置4は、衝撃が検知された場合に、衝撃が検知されている間はバッテリ1に対する充電を停止するようにしても、ユーザによってリセット等の解除操作がなされるまで充電を停止するようにしてもよい。
また、本実施形態に係るごみ処理システム100は、ごみ焼却式発電設備3と、可搬式のバッテリ1を収納する収納部11を備え、ごみ焼却式発電設備3において発電された電力をバッテリ1に対して供給する電力供給ユニット2と、バッテリ1を電力源とするモータ5bによって作動し、収集したごみGをごみ焼却式発電設備3に運搬する収集車5と、を有する。本実施形態のごみ処理システム100は、ごみ焼却式発電設備3によって発電された電力を利用して、収集車5によってごみGを収集する。よって、化石燃料の供給や系統電力からの電力供給を受けることなくごみ収集サイクルを自立的に行うことが可能である。従って、本実施形態のごみ処理システム100は、従来のごみ処理システムと比較して環境に対する負荷が小さい。また、ごみ処理システム100は、系統電力が停電している場合であっても、ごみ焼却式発電設備3によって発電される電力によりごみ処理サイクルを継続することができる。
また、本実施形態のごみ処理システム100は、更に、バッテリ1及び電力供給ユニット2の夫々に対して着脱可能な充放電制御装置4を有しており、充放電制御装置4は、収納部11に収納されたバッテリ1と電力供給ユニット2との間に介在してバッテリ1に対する充電を制御し、電力供給ユニット2から切り離され、かつバッテリ1に接続された状態でバッテリ1から外部への電力供給を制御する。従って、本実施形態のごみ処理システム100は、停電時等の非常時にはバッテリ1と充放電制御装置4とを組み合わせた非常用の電源ユニット20により、非常用の電力を継続的に供給することができる。
上述の例では、本実施形態における移動体の一例として、収集車5を例に挙げて説明したがこれに限定されない。本実施形態における移動体は、上述の電源ユニット20を複数のごみ焼却式発電設備3間で運搬可能なトラック等の運搬車両であってもよい。
以下、夫々異なる場所に存在する複数のごみ焼却式発電設備3にて充電される複数の可搬式のバッテリ1を、複数の移動体としての収集車5が複数のごみ焼却式発電設備3間で運搬することにより、収集車5間で複数のバッテリ1を共有して運用する状況を一例に挙げ、本実施形態の可搬式バッテリ管理システム500の詳細について説明する。
ここで、収集車5は、限られた時間内で多量のごみを収集してごみ焼却式発電設備3に運搬する必要がある。そのため、ごみ収集作業の効率化を考えると、運搬先のごみ焼却式発電設備3にて使用済みのバッテリ1を充電完了させる時間よりも、使用済みのバッテリ1を充電済みのバッテリ1と交換する時間の方が短時間となるため、複数の収集車5間で複数のバッテリ1を交換しながら共有する運用形態が好ましい。また、ごみ焼却式発電設備3は、定期的にメンテナンスを行う必要があるため、メンテナンス期間中は他のごみ焼却式発電設備3でごみ収集作業を行うこととなり、バッテリ1の所在は所定のごみ焼却式発電設備3だけではなく流動的に変化することになる。
また、本実施形態のごみ処理システム100において、収集車5、可搬式のバッテリ1、電力供給ユニット2、ごみ焼却式発電設備3の所有者が夫々異なる場合が考えられる。所有者としては、例えば、自治体、特別地方公共団体、民間会社等が挙げられる。なお、所有者は購入している場合もあれば、リース契約やレンタル契約をしている場合もある。ここで、ごみ焼却式発電設備3において発電された電力は売電可能であり、売電した収入は所有者のものとなる。そのため、複数の収集車5間で複数のバッテリ1を交換しながら共有する運用形態においては、課金制を行うにしても、どの収集車5が、どの可搬式のバッテリ1を使用し、当該バッテリ1の電力をどの程度消費し、どのごみ焼却式発電設備3で充電したか等の情報を管理する必要がある。
また、収集車5等の車両は車検登録する必要があるが、車検登録する際には、駆動能力を持っていない状態では車両として登録できない。そのため、本実施形態のごみ処理システム100の運用に関わる収集車5の所有者は、収集車5を購入するか又はリース契約やレンタル契約を結ぶにしても、車検登録した収集車5を提供する必要がある。ここで、収集車5の所有者は、当初は当該収集車5と当該収集車5に搭載された可搬式のバッテリ1をセットで持っていたものの、ごみ処理システム100においてごみ収集作業を行うとバッテリ1は交換していく運用形態であるため、当該バッテリ1の所在が分からなくなることが考えられる。例えば、収集車5の所有者は、購入した収集車5を廃車にする際、又は、リース契約期間の終了をもって返却する際においても、当初のバッテリ1と収集車5のセットで廃車又は返却する必要が生じるため、バッテリ1の所在を把握する必要がある。
また、本実施形態のごみ処理システム100の運用において、複数の可搬式のバッテリ1を不規則に交換していくと、バッテリ1の使用電力量やバッテリ1の使用回数などにバラツキが生じ、これに伴い各バッテリ1の使用存続期間にバラツキが生じることが考えられる。このバッテリ1の使用存続期間のバラツキは、バッテリ1のメンテナンス・交換のタイミングなどにも影響するため、本実施形態のごみ処理システム100に用いられる各バッテリ1に関する使用電力量を管理して、バッテリ1の交換の優先度の公平性を保つ必要がある。またバッテリ1は、収集車5等の車両の購入タイミングやリース時期、予備バッテリの導入時期などによって、バッテリ個々の使用電力量が異なる。そのため、電力供給ユニット2にてバッテリ1を交換する際には、使用電力量と導入時期の両方を勘案して、交換するバッテリ1を選定する必要がある。
このように、夫々異なる場所に存在する複数のごみ焼却式発電設備3にて充電される複数の可搬式のバッテリ1を、複数の収集車5が複数のごみ焼却式発電設備3間で運搬することにより、収集車5間でバッテリ1を共有して運用する状況においては、異なる地点に点在する複数の可搬式のバッテリ1の運用状況を共有して有効活用することが望ましい。
本実施形態において、ごみ焼却式発電設備3−1〜3−6は、例えば図16に示すように、夫々異なる場所に存在する。なお、図16の例においては、可搬式バッテリ管理システム500(図19参照)が対象とする最大範囲となる日本全国におけるごみ焼却式発電設備3−1〜3−6を一例に示したが、実際に可搬式のバッテリ1の運用状況を共有する際には、バッテリ1を移動させる移動体が所定時間内で移動可能な近隣の所定地域において、夫々異なる場所に存在する複数のごみ焼却式発電設備3を対象とするものとする。各ごみ焼却式発電設備3−1〜3−6には、図17に示すように、複数の電力供給ユニット2−1〜2−4が設けられている。各電力供給ユニット2−1〜2−4には、図18に示すように、複数の可搬式のバッテリ1−1〜1−10が搭載されている。なお、図16乃至図18において例示したごみ焼却式発電設備3、電力供給ユニット2、可搬式のバッテリ1の数は一例であり、これに限定されない。
図19に示すように、可搬式バッテリ管理システム500は、バッテリ1と、充放電制御装置4(図19において、充電・電源)と、収集車5(図19において、車両)と、ユニット装置200と、拠点管理装置300と、集約装置400と、を少なくとも備えて構成される。
図19において、車両としての収集車5は、車両毎に異なる一意の識別情報である車両IDを外付けデータとして有する。バッテリ1は、バッテリ毎に異なる一意の識別情報である電池IDを外部取付データとして有する。充放電制御装置4は、制御部55、記憶部56、電池検出器57、充放電部58、ID読取部59、及び通信部60を少なくとも備える。制御部55は、記憶部56、電池検出器57、充放電部58、ID読取部59、及び通信部60を制御する制御装置であり、例えば、電子制御ユニットである。記憶部56は、バッテリ1を搭載する収集車5の車両IDを格納し、かつ、充放電制御装置4を一意に特定する識別情報として充電器IDを格納する記憶装置であり、例えば、メモリである。
電池検出器57は、充放電制御装置4に接続されたバッテリ1を検出し、充放電部58は、電池検出器57により検出されたバッテリ1に対する充電及びバッテリ1からの放電を行う機能を有する。ID読取部59は、収集車5の車両IDやバッテリ1の電池IDを読み取り、通信部60は、充放電制御装置4に格納された各種情報を本実施形態における電池情報としてユニット装置200とデータ通信する機能を有する。この他、図示しないが、通信部60は、電池情報を拠点管理装置300や集約装置400とデータ通信する機能も有するものとする。ここで、車両ID、電池ID、充電器IDは夫々、所有者を特定可能な情報と対応付けられている。なお、図19において、充放電制御装置4−1〜4−4とバッテリ1−1〜1−4は、上述の充放電制御装置4とバッテリ1と同様に構成されており、対象の電力供給ユニット2に搭載されているものとする。
ユニット装置200は、各電力供給ユニット2に設置される情報処理装置であり、通信部90、制御部91、及び記憶部92を少なくとも備える。通信部90は、充放電制御装置4及び拠点管理装置300とデータ通信を行い、充放電制御装置4に格納された各種情報を本実施形態における電池情報として拠点管理装置300へ送信する機能を有する。この他、図示しないが、通信部90は、電池情報を集約装置400とデータ通信する機能も有するものとする。制御部91は、通信部90及び記憶部92を制御する制御装置であり、例えば、電子制御ユニットである。記憶部92は、ユニット装置200を一意に特定する識別情報としてユニットIDを格納し、かつ、各充電制御装置4からデータ通信により収集した情報、例えば、日時、充電器ID、電池ID、車両ID、電力量、走行時電池情報、充電時電池情報等を含む電池情報を格納する記憶装置であり、例えば、メモリである。ここで、ユニットIDは、所有者を特定可能な情報の他、更に、当該ユニット装置200の所在を示す位置情報と対応付けられている。ユニット装置200には、更に、電力供給ユニット2に搭載された各バッテリ1のユニット装置200内における位置情報を格納していてもよい。これにより、所有者はバッテリ1の所在を把握することができる。なお、図19において、ユニット装置200−1〜nは、上述のユニット装置200と同様に構成されており、各ユニット装置200−1〜nは、拠点管理装置300と通信可能に接続されているものとする。
拠点管理装置300は、各ごみ焼却式発電設備3に設置される情報処理装置であり、図示しないが、通信部、制御部、及び記憶部を少なくとも備える。拠点管理装置300は、各ユニット装置200−1〜nからデータ通信により収集した電池情報を集約し、集約装置400へ送信する機能を有する。なお、図19において、拠点管理装置300−1〜nは、上述の拠点管理装置300と同様に構成されており、各拠点管理装置300−1〜nは、集約装置400と通信可能に接続されているものとする。この他、拠点管理装置300は、集約装置400に対して、各ごみ焼却式発電設備3の廃棄物処理可能量、収集車5の稼動可能台数などの情報をデータ通信により送信してもよい。これにより、集約装置400は、ごみ焼却式発電設備3の稼動状況を容易に共有化することができ、情報展開を迅速かつ正確に行うことも可能となる。
集約装置400は、図示しないが、通信部、制御部、及び記憶部を少なくとも備えるサーバ装置等の情報処理装置であり、各拠点管理装置300−1〜nからデータ通信により収集した電池情報を集約し、集約した電池情報に基づいて算出されたバッテリの使用優先度を示す情報等を、必要に応じて収集車5やごみ焼却式発電設備3(充放電制御装置4、ユニット装置200、拠点管理装置300を含む)へデータ通信により提供する機能を有する。例えば、収集車5のユーザは、図示しないが、車両に搭載されたカーナビゲーション装置やユーザが所持する携帯情報端末などを介して集約装置400から提供される情報を閲覧可能である。また、ごみ焼却式発電設備3のオペレータは、図示しないが、充放電制御装置4やユニット装置200や拠点管理装置300などに備えられたディスプレイ等の表示装置やオペレータが所持する携帯情報端末等などを介して集約装置400から提供される情報を閲覧可能である。集約装置400から提供される情報を閲覧する際には、パスワードが要求されるように設定することで、特定のユーザ及びオペレータのみが閲覧可能とすることもできる。
本実施形態において、図20及び図21に示すように、バッテリ1と充電・電源としての充放電制御装置4とはスレーブとマスターの関係にあり、バッテリ1と充放電制御装置4とが接続された際にデータ通信を行う。図20では、充放電制御装置4がバッテリ1に対して電池IDを要求しており、図21では、要求に応じてバッテリ1が充放電制御装置4に対して電池IDを応答する様子を示している。図22に示すように、充放電制御装置4は、バッテリ1から収集した電池ID等を含む電池情報を、上述のユニット装置200や拠点管理装置300を介して、集約装置400へ送信する。また、図23に示すように、充放電制御装置4は、バッテリ1から収集した電池ID等を含む電池情報を、内蔵又は外付けのメモリへ格納した後、所定のタイミングで上述のユニット装置200や拠点管理装置300を介して、集約装置400へ送信してもよい。この他、充放電制御装置4は、電池情報を集約装置400へ直接送信してもよい。集約装置400に集約された電池情報は、適宜ユーザ又はオペレータによって電池管理に用いられる。このように、本実施形態において、電池ID等を含む電池情報を管理、保持、発信するマスターは充放電制御装置4側であって、スレーブはバッテリ1である。
なお、本実施形態において、バッテリ1側に電池IDが格納されていない場合には、図24及び図25に示すように、バッテリ1の任意の位置に取り付けられたQRコード(登録商標)やバーコードを、当該バッテリ1を一意に特定する識別情報としてオペレータ等が各種コードリーダーを用いて読み取り、当該オペレータがコードリーダーからデータ通信により充放電制御装置4へ送信することで、これらの識別情報を充放電制御装置4にて管理してもよい。このようにして管理された識別情報等を含む電池情報は、図24に示すように、充放電制御装置4から上述のユニット装置200や拠点管理装置300を介して、集約装置400へ送信してもよいし、図25に示すように、内蔵又は外付けのメモリへ格納した後、所定のタイミングで上述のユニット装置200や拠点管理装置300を介して、集約装置400へ送信してもよい。この他、充放電制御装置4は、電池情報を集約装置400へ直接送信してもよい。集約装置400に集約された電池情報は、適宜ユーザ又はオペレータによって電池管理に用いられる。
集約装置400に集約される電池情報としては、上述の情報の他、バッテリ1の導入時期、バッテリ1の使用回数、充放電情報(充電量、放電量、使用電力量等)などを含む。充放電情報は、充放電制御装置4とバッテリ1が繋がっている状態の時にデータ通信を行い収集される。充放電情報としては、例えば、バッテリ1の電流、電圧、SOC(充電率)、最大温度又は最小温度を示すデータ、トータルの充電量・充電時間、トータルの放電量・放電時間等を含むが、これらに限定されない。集約装置400は、このような情報を含む電池情報を管理することで、本実施形態のごみ処理システム100に用いられるバッテリ1の使用電力量を一元管理することができるので、バッテリ1を共有して使用する際の公平性を図ることが可能となる。具体的には、集約装置400は、本実施形態のごみ処理システム100に用いられるバッテリ1に関する電池情報を一元管理することができるので、本実施形態のごみ処理システム100の運用に関わるユーザ及びオペレータは、バッテリ1の使用存続期間を把握し、メンテナンス・交換のタイミングを容易に認識することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態の可搬式バッテリ管理システム500では、例えば、バッテリ1の所有者、バッテリ1の使用者(すなわち、車両所有者)、ごみ焼却式発電設備3における充電電力量等を管理する。これにより、本実施形態のごみ処理システム100の運用に関わるユーザ等は、どの収集車5がどのバッテリ1を使用し、当該バッテリ1の電力をどの程度消費し、どのごみ焼却式発電設備3で充電したか等の情報を把握することができる。その結果、例えば、バッテリ1の使用者は、使用した電力に応じた料金をバッテリ1の所有者へ支払い、バッテリ1の所有者は、充電した電力に応じた料金をごみ焼却式発電設備3の所有者へ支払うことが可能となる。あるいは、本実施形態のごみ処理システム100の運用に関わるユーザがごみ収集業者とごみ焼却式発電設備3の場合には、使用した電力に応じた料金をごみ収集業者がごみ焼却式発電設備3へ支払うことが可能となる。
続いて、上述のように構成された本実施形態の可搬式バッテリ管理システム500において実行される処理の一例について説明する。
図26に示すように、ユーザが収集車5をごみ焼却式発電設備3に駐車すると(ステップST−1)、ごみ焼却式発電設備3のオペレータは、収集車5に付帯している車両IDを示すデータを各種コードリーダー等で読取って、充放電制御装置4へ送信する(ステップST−2)。そして、充放電制御装置4は、受信した車両IDをメモリ内に記憶する(ステップST−3)。更に、ごみ焼却式発電設備3のオペレータは、収集車5に搭載されたバッテリ1に付帯している電池IDを示すデータを各種コードリーダー等で読取って、充放電制御装置4へ送信する(ステップST−4)。そして、充放電制御装置4は、受信した電池IDをメモリ内に記憶する(ステップST−5)。
ごみ焼却式発電設備3のオペレータによりバッテリ1の交換が行われると(ステップST−6)、充放電制御装置4は、交換された充電済みのバッテリ1からデータ通信により電池IDを再度読取り、メモリ内に記憶する(ステップST−7)。そして、ユニット装置200は、電力供給ユニット2内に搭載された使用済みのバッテリ1に対して充電を許可すると(ステップST−8)、充放電制御装置4は、充電を開始し(ステップST−9)、充電が完了するまで続ける(ステップST−10)。その後、ユニット装置200は、電力供給ユニット2内に搭載された各バッテリ1に関する電池情報を、充放電制御装置4のメモリ内から収集して拠点管理装置300へ送信する(ステップST−11)。
拠点管理装置300は、ごみ焼却式発電設備3内の各ユニット装置200から送信される電池情報を受信して集約し、集約装置400へ転送する(ステップST−12)。そして、集約装置400は、各拠点管理装置300から転送される電池情報を受信して集約し、共有化する(ステップST−13)。例えば、集約装置400は、電池数量、充電状態、車両稼動台数、焼却施設処理能力等を示す情報をリアルタイムにアップすることで、近隣のごみ焼却式発電設備3のオペレータや収集車5のユーザに対して共有化する。
以下、上述のステップST−13において、集約装置400が収集車5やごみ焼却式発電設備3(充放電制御装置4、ユニット装置200、拠点管理装置300等)に対して集約した情報を提供する処理の一例について説明する。
ここで、バッテリ1の使用存続期間が短くなる原因は、主に熱であるといわれているが、熱が発生する条件は、大電流充電、大電流放電、過電圧、下限電圧、周辺温度など様々であるため、一般的には、バッテリ1の使用存続期間は、バッテリ1の使用回数で表示していることが多い。しかし、実際にバッテリ1を使用した場合には、バッテリ1の充放電の容量は、状況によって異なる。そのため、本実施形態の可搬式バッテリ管理システム500では、使用するバッテリ1の電力の容量を毎回管理している。これは、使用するバッテリ1の電力のトータルの容量を把握しバッテリ1の使用電力量の合計を確認することの方が、従来のようにバッテリ1の使用回数を管理、把握することよりも適していると考えられるためである。例えば、ごみ焼却式発電設備3から収集車5が近場でごみ収集を行い戻ってきた場合、バッテリ1の使用量は少量となる。そこで電池交換を行い、バッテリ1の使用回数を1回カウントする場合と、遠方でごみ収集を行い多量の電力を使用した上で電池交換を行って、バッテリ1の使用回数を1回カウントした場合では、同じカウント数であっても実際のバッテリ1の使用電力量の合計は異なってくる。そのため、本実施形態のように収集車5間でバッテリ1を共有して運用する状況においては、収集車5の走行距離が毎回流動的になると考えられるため、バッテリ1の使用存続期間をより具体的に示すためには、バッテリ1の使用回数ではなく、使用電力量に基づく方が望ましい。
一例として、図27を参照して、集約装置400が集約した情報を提供しない場合における、使用電力量と使用年月の関係について説明する。
図27が示すグラフにおいて、縦軸は各バッテリ1の使用電力量の合計を示し、横軸は各バッテリの使用年月を示している。図27の例では、導入時期Aに導入された4台のバッテリA−1〜4と、導入時期Bに導入された3台のバッテリB−1〜3とを含む合計7台のバッテリ1が挙げられている。ここで、導入時期Aは、導入時期Bよりも使用年月が前になる。そのためバッテリ1のリース契約又はレンタル契約の期間や経年劣化等の影響を考慮すると、導入時期Aと導入時期Bのバッテリ1が同程度の使用電力量の場合、導入時期Aのバッテリ1が優先的に使用されるほうが望ましい。また、使用存続期間終了判定値は、バッテリ1の性能を考慮して予め設定されている閾値である。バッテリ1の使用電力量の合計がこの判定値を超えるとバッテリ1の充放電性能が通常レベルから低下することから、バッテリ1の使用電力量の合計がこの判定値に達する直前で、対象のバッテリ1のメンテナンスを行うか、廃棄して新たなバッテリ1を導入するなどの対処をすることが求められる。
図27の例は、集約装置400が集約した情報を考慮せずに、これら7台のバッテリ1を不規則に交換していった結果の一例を示している。図27に示すように、7台のバッテリ1の使用電力量の合計の推移には大きなバラツキが生じている。例えば、導入時期AのバッテリA−1〜4の間では、バッテリA−1が他のバッテリA−2〜4よりも使用されることが多かったため、このバッテリA−1のみ、使用電力量の合計が使用存続期間終了判定値の直前に差し掛かっている。これは、同じ導入時期Aに導入されたバッテリA−1〜4を別々のタイミングでメンテナンス又は廃棄や返却等を行うことになるため、メンテナンス作業等の効率性を考えると好ましくない。また、このように同じ導入時期Aに導入されたバッテリA−1〜4の間で、使用存続期間のバラツキを生じてしまうと、導入時期Aに導入されたバッテリA−1〜4に対するリース契約又はレンタル契約の期間が終了した際、これらの4台のバッテリA−1〜4のうち、あまり使用されていないバッテリ1が存在する状態で契約期間が終了してしまう状況が生じてしまうことになるため、例えばバッテリ1の所有者間での公平性を担保できず好ましくない。これらの問題は、導入時期Bに導入されたB−1〜B−3についても同様である。
そこで、本実施形態では、上述の図26のステップST−13において、集約装置400は、例えば、バッテリ1の充放電情報及びバッテリ1の導入時期を少なくとも含む電池情報に基づいて算出された、バッテリ1の交換優先度情報を、ごみ焼却式発電設備3(充放電制御装置4、ユニット装置200、拠点管理装置300を含む)に対して提供する処理を実行する。
本実施形態において、バッテリ1の交換優先度情報には、例えば、対象とする電力供給ユニット2に搭載された複数のバッテリ1のうち、どのバッテリ1を優先的に交換するべきかを示すスコアデータが含まれる。このスコアの算出方法としては、例えば、対象とする複数のバッテリ1のうち、導入時期が遅いバッテリ1よりも導入時期が早いバッテリ1に対して高いスコアが付与されるものとする。更に、導入時期が同じ場合は、導入時期が共通する複数のバッテリ1間で、使用電力量の合計が低い順に高いスコアが付与される。このようにして付与されたスコアの合計値が高い順からバッテリ1の交換優先度は高くなる。
本実施形態の可搬式バッテリ管理システム500では、このようにして集約装置400においてバッテリ1の充放電情報及びバッテリ1の導入時期を少なくとも含む電池情報に基づいて算出された、バッテリ1の交換優先度情報がオペレータに提供される。そして、ごみ焼却式発電設備3でバッテリ1の交換を行うオペレータは、充放電制御装置4などに備えられたディスプレイ等の表示装置やオペレータが所持する携帯情報端末等などを介して、集約装置400から提供されるバッテリ1の交換優先度情報に基づく交換優先順位に並べられたバッテリ1のリスト等を閲覧することが可能となる。これにより、ごみ焼却式発電設備3でバッテリ1の交換を行うオペレータは、電力供給ユニット2に複数搭載されたバッテリ1のうち、バッテリ1の充電量が監視閾値以上であり、かつ、導入時期と使用電力量の合計の両方を考慮した交換優先度の高いバッテリ1から優先して交換することができる。
上記の例では、バッテリ1の交換優先度情報に基づいて、ごみ焼却式発電設備3でバッテリ1の交換を行うオペレータが、交換優先度の高いバッテリ1から優先して交換する例を示したが、これに限定されない。本実施形態の可搬式バッテリ管理システム500は、集約装置400から提供されるバッテリ1の交換優先度情報に基づいて、ごみ焼却式発電設備3内の複数の電力供給ユニット2のうち、交換優先度の高いバッテリ1が多く存在する電力供給ユニット2へ、収集車5を優先的に誘導させるという処理を実行する機能も有する。
例えば、バッテリ1の交換優先度情報が、各電力供給ユニット2に設置されるユニット装置200又は各ごみ焼却式発電設備3に設置される拠点管理装置300に提供された場合、ユニット装置200又は拠点管理装置300は、バッテリ1の交換優先度情報に基づいて、高いスコアを有するバッテリ1が多く搭載された電力供給ユニット2に優先的に誘導するように、ごみ処理場の構内道路に設置された信号等のランプの点灯状態を制御する。これにより、収集車5のユーザは、交換優先度の高いバッテリ1が多く搭載された電力供給ユニット2を目指して収集車5を移動させて停車させることが可能となる。その結果、ごみ焼却式発電設備3でバッテリ1の交換を行うオペレータは、交換優先度の高いバッテリ1が多く搭載された電力供給ユニット2において、更に、この電力供給ユニット2に複数搭載されたバッテリ1のうち交換優先度の高いバッテリ1から優先して交換することができるようになる。
このようにして交換するバッテリ1を選定することにより、本実施形態では、バッテリ1の使用存続期間のバラツキを抑えることが可能となる。一例として、図28を参照して、集約装置400が集約した情報を提供した場合における、使用電力量と使用年月の関係について説明する。図28が示すグラフにおいて、縦軸、横軸、導入時期A〜B、バッテリA−1〜4,B−1〜3、及び、使用存続期間終了判定値は、図27と共通であるため説明を省略する。図28に示すように、バッテリA−1〜4,B−1〜3の使用電力量の合計の推移は、集約装置400が集約した情報を考慮せずにこれら7台のバッテリ1を不規則に交換していった結果を示す図27の例と比べて、7台のバッテリ1の使用電力量の合計の推移のバラツキが抑えられている。その結果、本実施形態では、従来よりもバッテリ1の各所有者に対する公平性を向上させることができる。更に、図28の例では、これら7台のバッテリ1の使用電力量の合計の推移を示す傾きが、図27の例と比べて小さくなっているため、各バッテリ1が使用電力量の合計が使用存続期間終了判定値に達するまでの使用年月が、図27の例と比べて長くなっている。このように、本実施形態によれば、バッテリ1の使用存続期間の終了判定時期が延びることによる経済的な効果に加え、複数のバッテリ1を概ね同時期に交換することも可能となるため、作業効率の向上を図ることもできる。
以上説明したように、本実施形態によれば、夫々異なる場所に存在する複数の充電設備にて充電される可搬式バッテリを車両が複数の充電設備間で運搬することにより、複数の車両間でこれらのバッテリを共有して運用する状況において、異なる地点に点在する可搬式バッテリの運用状況を共有して有効活用することができる。
なお、本実施形態において、ユニット装置200は、図19に示すように、電力供給ユニット2ごとに1台設置される一例を説明したが、これに限定されない。ユニット装置200は、複数の電力供給ユニット2に対して1台設置される運用であってもよい。