JP6347506B2 - 油性菓子の製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、耐熱性を向上させるために、一般的な油性菓子の総油分(30〜35重量%)を下回る量まで総油分を減らすことが試みられたが、油性菓子の粘度上昇や、油性菓子本来の滑らかな口溶けが失われ、嗜好性が低下していた。
また、一般的に油性菓子生地に水分の多い液状アルコール或いは大量のアルコール溶液を加えると、著しく増粘してダマができ、砂のようにざらついた状態になるなど、油性菓子特有の滑らかな口溶けを維持することはできなかった。
また、特許文献2には、全乳糖に対する非結晶乳糖の割合が100重量%である油性菓子生地が記載されているが、エタノールを加えることにより、油性菓子の耐熱性に与える影響についての開示はない。
また、油性菓子生地に96%濃度のエタノール溶液を9重量%添加した後、成形し、50℃で5日間加温し、エタノールを蒸発させた耐熱油性菓子も記載されている。
(1)アモルファス糖を5〜40重量%含有した油性菓子生地を、28〜36℃に保ち、エタノール溶液を添加し均一に混合し、ただちに成形し、冷却固化させ、得られた油性菓子の40℃での強度が150〜700gfになるよう、温度5〜23℃、湿度20〜60%RHの大気雰囲気下に1日以上保管することを特徴とする油性菓子の製造方法。
(2)前記油性菓子生地のSFC(固体脂含量)が、15℃で55〜90%、25℃で35〜80%、35℃で0〜15%であることを特徴とする、前記(1)に記載の油性菓子の製造方法。
(3)前記エタノール溶液が、95.0〜99.8容量%エタノールであることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の油性菓子の製造方法。
(4)前記成形工程において、成形直後の油性菓子に含まれるエタノール含有量が、0.9〜4.0重量%であることを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の油性菓子の製造方法。
(5)前記保管工程において、保管日数が、1〜5日であることを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の油性菓子の製造方法。
(6)a)アモルファス糖を5〜40重量%含有し、かつSFCが、15℃で55〜90%、25℃で35〜80%、35℃で0〜15%である油性菓子生地を、
b)28〜36℃に保ち、
c)95.0〜99.8容量%エタノール溶液を添加して均一に混合し、
d)ただちに成形し、冷却固化させた、
e)成形直後のエタノール含有量が、0.9〜4.0重量%である油性菓子を、
f)包装し、
g)前記油性菓子の40℃での強度が、150〜700gfとなるよう、
温度5〜23℃、湿度20〜60%RHの大気雰囲気下に1〜5日間保管することを特徴とする油性菓子の製造方法、に関するものである。
強度とは、以下の方法で測定した油性菓子の最大応力のことを指す。本実施形態の測定方法は、測定機器にFUDOHレオメーターRTC-3010D-CWを用い、進入速度を2cm/分に設定し、直径3mmの円筒状のプランジャーが、測定サンプルに3mm進入するまでの数値(測定単位はgf)で表した。
測定サンプルの形状が保持されているか、加温前後の形状を写真で比較し、評価した。評価は2回行い、1回目の評価(以降、静置評価という)は、加温前の形状と、40℃2時間加温した後の形状を比較し、評価した。2回目の評価(以降、移動後の評価という)は、加温前の形状と、可搬性の評価後の形状を比較し、移動により測定サンプルが変形したか否か評価した。
評価はAまたはBで示し、Aは、静置評価で変形がなく、移動後の評価でも変形がないものとした。Bは、静置評価または移動後の評価のいずれか、または両方で、目視で確認できる1mm以上の変形があったものとした。
測定サンプルを親指と人差し指で挟むように持ち、喫食行動に相当する50cm以上移動して評価した。
評価はA〜Cで示し、Aは保形性を保ち、かつ測定サンプル全量を50cm以上移動できた場合、Bは測定サンプル全量を25cm以上移動できた場合、Cは測定サンプル全量を25cm移動できなかった場合とした。
測定サンプルに人差し指を3秒間押し当て、押し当てた指をただちに白紙に押し当て、前記白紙に付着した油脂や着色の有無を評価した。
評価はAまたはBで示し、Aは白紙に油脂の付着や着色がない場合、Bは白紙に油脂の付着または着色がある場合とした。
前記1)〜4)の評価を基に、耐熱性を評価した。評価はA〜Cで示し、AまたはBは耐熱性あり、Cは耐熱性なしとした。
A:強度250gf以上700gf以下、保形性A、可搬性A、付着性Aを満たす場合
B:強度150gf以上250gf未満、かつ可搬性AまたはBを満たす場合
C:AまたはBに該当しないものすべて
測定サンプルを喫食し、油性菓子本来の滑らかな口溶けを有しているか官能評価により評価した。
評価はAまたはBで示し、Aは滑らかな口溶けを有する場合、Bはざらつき、カリカリとした食感になるなど、滑らかな口溶けを有しない場合とした。
前記5)、6)の評価を総合し、耐熱油性菓子として好ましい品質かどうか、総合的に評価した。なお、評価はA〜Cで示し、AまたはBは耐熱油性菓子としての品質と認められるものであり、Cは耐熱油性菓子としての品質であると受け入れられないものとした。
A:耐熱性A、口溶けAである場合
B:耐熱性B、口溶けAである場合
C:耐熱性C、口溶けBいずれか1つに該当する場合
本発明でいう油性菓子とは、日本国公正取引委員会認定のルールであるチョコレート類の表示に関する公正競争規約でいうチョコレート、準チョコレート、チョコレート製品に限定されるものでなく、前記ルールに該当しないテンパータイプ、ノンテンパータイプのファットクリーム等、あらゆる種類の油性菓子を用いることができる。本発明の指すチョコレートとは、スイートチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレートなど、いずれのチョコレートでもよい。
さらに、これらに果物や野菜等を粉末化したもの、豆類(アーモンド、ヘーゼルナッツ、ゴマ等)、穀類(米、麦等)、ドライフルーツ(レーズン、オレンジ等)、焼成菓子(クッキー、ビスケット等)などの可食物を組み合わせることもできる。
本発明においてアモルファス糖には、骨格形成力が高く、入手が容易でかつ常温流通可能なアモルファス乳糖が好ましい。また、一般的なショ糖や乳糖は結晶糖であるが、アモルファス乳糖は、生乳を原料とする粉末食品、例えば、アモルファス乳糖そのもの、あるいは全粉乳や脱脂粉乳、ホエイパウダー等にも含まれている。
よって、油性菓子を製造する前に、配合する生乳を原料とする粉末食品中の乳糖のアモルファス化度を測定することが好ましい。
なお、アモルファス乳糖の含有量は、生乳を原料とする粉末食品中の結晶乳糖の割合を測定し、前記食品中の全乳糖から結晶乳糖の量を引いて求めることができる。
X線回折装置:RINT Ultima III((株)リガク製)
管球:銅管球
計測時間:0.5秒/0.02°
走査角度:2θ/θ=5°〜40°
計算式:結晶化度(%)=100×結晶性ピークの面積/(結晶性ピークの面積+非晶質ピークの面積)
計算式:アモルファス化度(%)=100−結晶化度(%)
なお、アモルファス乳糖の含有量が5重量%を下回る場合、耐熱性を得るために必要なエタノール溶液の添加量が増加する。エタノール溶液の添加量が一定量を超えると、油性菓子生地が増粘して成形が困難になる上に、本発明の特徴とする口溶けの良さは失われてしまう。また、前記アモルファス乳糖の含有量が40重量%を上回る場合、エタノール溶液の添加により耐熱性は得られるが、硬い外殻をもった油性菓子が形成され、食感が硬く、口溶けが悪く好ましくない。
また、油性菓子生地の粘度が80000cPを超えると、油性菓子生地がデポジッターのノズルに詰まる、もしくは型の隅まで油性菓子生地が入らない、気泡が入るなど外観不良が生じて好ましくない。
一般的なスイートチョコレート(カカオマス50.0重量%、砂糖37.0重量%、ココアバター12.5重量%、乳化剤0.5重量%)であれば、99.5容量%のエタノールを16重量%加えると100000cPとなり好ましくない。
すなわち、油性菓子生地の種類により、エタノール溶液を添加した場合の粘度が異なることから、添加量は適宜調整されることが好ましい。
また、従来技術に耐熱性があると記載されていても、油性菓子表面部分しか耐熱性がないもの、保形性があるように見えても、手で触れると形が崩れたり、融解して手や衣服等に付着するものもあった。
エタノールが揮発しないよう撹拌時間を短くする、揮発しにくい容器内で混合する、または、ただちに成形することが好ましい。
なお、パンコーティングなど長時間にわたり油性菓子生地を成形する場合は、複数回に分けてエタノールを添加することが好ましい。
さらに、油性菓子生地に含まれるエタノール溶液量が0.9重量%を下回ると、本願の定義する耐熱性は得ることができない。一方、エタノール溶液を油性菓子生地中に過剰に添加し、成形直後の油性菓子生地中に含まれるエタノール溶液量が4.0重量%を超えると、耐熱性は得られるが、硬い外殻をもった油性菓子が形成され、食感が硬く、口溶けが悪く好ましくない。また、高濃度のエタノールを添加するため、エタノール臭くなり好ましくない。
ただし、エタノールの添加量は、油性菓子の組成に合わせて調整する必要がある。
波長:340nm
光路長:1cm
測定温度:20℃
油性菓子生地にエタノール溶液を混合し、成形、冷却して得られた油性菓子は、耐熱性を向上させる目的で、保管工程が必要である。保管温度は、油性菓子が融解しない23℃以下の温度で行われるが、5〜23℃であることが好ましく、13〜20℃であることがより好ましい。
〔糖類〕
・砂糖:アモルファス化度0%((株)明治フードマテリア製)
・アモルファスショ糖60(アモルファスショ糖60%、脱脂濃縮乳40%の混合物、乳 糖含有量20.6%):アモルファス化度100%
・アモルファスショ糖80(アモルファスショ糖80%、脱脂濃縮乳20%の混合物、乳 糖含有量10.3%):アモルファス化度100%
アモルファス乳糖は、水溶液中に乳糖を溶解し、噴霧乾燥法により製造した。
〔生乳を原料とする粉末食品〕
・乳糖(乳糖99.8重量%):アモルファス化度0%
・アモルファス乳糖(乳糖含有量99.8重量%):アモルファス化度100%
・ホエイパウダーA(乳糖含有量75.5重量%):アモルファス化度18%((株)明 治製)
・ホエイパウダーB(乳糖含有量76.9重量%):アモルファス化度100%(森永乳 業(株)製)
・脱脂粉乳(乳糖含有量51.5重量%):アモルファス化度100%((株)明治製)
・全粉乳(乳糖含有量38.1重量%):アモルファス化度100%((株)明治製)
本実施例で使用されるエタノール溶液の比重は0.8とした。また、油性菓子生地には、24℃に加温されたエタノール溶液を添加した。
〔強度〕
(0028)段落に記載の最大応力の数値を、gfで表した。
〔保形性〕
A:静置評価で変形がなく、移動後の評価でも変形がない
B:静置評価または移動後の評価のいずれか、または両方で、目視で確認できる1mm以上の変形がある
〔可搬性〕
A:保形性を保ち、かつ測定サンプル全量を50cm以上移動できる
B:測定サンプル全量を25cm以上移動できる
C:測定サンプル全量を25cm移動できない
〔付着性〕
A:白紙に油脂の付着や着色がない
B:白紙に油脂の付着または着色がある
〔耐熱性〕
A:強度250gf以上700gf以下、保形性A、可搬性A、付着性Aを満たす場合
B:強度150gf以上250gf未満、かつ可搬性AまたはBを満たす場合
C:AまたはBに該当しないものすべて
〔口溶け〕
A:口溶けが良い(滑らかな口溶け)
B:口溶けが悪い(ざらつき、カリカリとした食感あり)
〔総合評価〕
A:耐熱性A、口溶けAである場合
B:耐熱性B、口溶けAである場合
C:耐熱性C、口溶けBいずれか1つに該当する場合
〔アモルファス乳糖量と耐熱性の関係〕
生乳を原料とする粉末食品を植物油脂と混合し、レファイナーを用いて微細化した後、エタノールを添加して成形、冷却固化させた油脂混合物を、包装し、20℃湿度40%RHで1日保管し、40℃2時間加温した後ただちに耐熱性を評価した。結果は表1に示した。
結晶乳糖を配合した油脂混合物は、エタノールを添加しても耐熱性が向上しなかった。
アモルファス乳糖を70g配合した油脂混合物は、エタノールの添加によって耐熱性が向上したが、強度が700gfを上回り、組織が硬化してしまった。
アモルファス乳糖含有量が多い程、エタノールの添加によって耐熱性が向上した。
アモルファス乳糖含有量の低いホエイパウダーAを配合した油脂混合物は、成形後20℃湿度40%RHで1日保管した条件では、耐熱性の基準は満たさなかった。
〔一般的な油性菓子の耐熱性検証〕
スイートチョコレート(カカオマス50.0g、砂糖37.0g、ココアバター12.5g、乳化剤0.5g)とミルクチョコレート(砂糖42.0g、カカオマス20.0g、全粉乳20.0g、ココアバター17.5g、乳化剤0.5g)をそれぞれ55℃の湯煎で融解し、テンパリング後に成形、冷却固化させ、包装し、20℃で1日保管した。前記チョコレートは、40℃ではなく、各温度帯で2時間加温した後ただちに耐熱性および口溶けを評価した。
恒温器の温度は、28.0、30.0、30.2、30.5、31.0、31.5、32.0℃とし、成形品は1度のみ使用し、温度を変える度に新しい成形品を用いた。結果は表2に示した。
比較例1、2に記載のチョコレートは、いずれも30.5℃までしか耐熱性がなかった。
〔水またはエタノールの添加による粘度、耐熱性の変化〕
ミルクチョコレート(砂糖42.0g、カカオマス20.0g、アモルファス乳糖含有量が8%である全粉乳20.0g、ココアバター17.5g、乳化剤0.5g)300gを55℃の湯煎で融解し、テンパリング後(生地温度30℃)、水または99.5容量%エタノールを添加し、均一に混合した。
エタノールを添加したミルクチョコレート生地のうち、50gはただちに成形、冷却固化させ、包装し、20℃湿度50%RHで1日保管した後、40℃2時間加温し、耐熱油性菓子として好ましい品質かどうか、総合的に評価した。なお、前記ミルクチョコレート生地の粘度が90000cPを上回った群は、流し込み成形ができなかったことから、ヘラで型に生地を押し込み、成形した。
エタノールを添加したミルクチョコレート生地のうち、250gは30℃での粘度を測定した。評価結果は表3に示した。
いずれの例も、水の添加により、チョコレート生地は激しく増粘し、流し込み成形することができなかった。また、比較例5は、ざらつきが生じ、滑らかな口溶けが失われてしまった。
エタノールの添加による著しい粘度上昇はみられなかったが、エタノール添加量が0.8gでは、耐熱性は向上しなかった。また、エタノールを1.6g添加した場合、保管日数が1日では、強度は増したが、耐熱性の基準は満たさなかった。
エタノール添加量が2.4gを超えると、強度が250gfを超え、保形性および可搬性があり、付着性もなかった。また、エタノールを添加しても、ざらつきは生じず、滑らかな口溶けを有していた。
エタノール添加量が4.8gを超えると、粘度が著しく上昇したが、強度が250gfを超え、保形性および可搬性があり、付着性もなかった。また、エタノールを添加しても、ざらつきは生じず、滑らかな口溶けを有していた。しかし、エタノール臭が強く風味が悪かった。
〔アモルファス乳糖に対するエタノール添加量の検討〕
スイートチョコレート(カカオマス40.0g、砂糖45.0g、ココアバター14.5g、乳化剤0.5g)100gを55℃の湯煎で融解し、アモルファス乳糖を添加した。前記アモルファス乳糖は、前記スイートチョコレート生地100gに対し、それぞれ0、5、10、20g添加し、均一に混合した。前記チョコレート生地をテンパリングした後(生地温度32℃)、99.5容量%エタノールを2.4g添加し、均一に混合し、成形、冷却固化後、包装し、20℃湿度60%RHで1日保管した。前記油性菓子を40℃で2時間加温し、耐熱性を評価し果は表4に示した。
アモルファス乳糖含有量が5.0重量%を下回ると、エタノールを添加しても強度が150gfを上回らなかった。
強度が250gfを上回り、保形性および可搬性があり、付着性もなく、さらに口溶けは滑らかだった。
強度が700gfを上回り、保形性および可搬性はあり、付着性はなかったが、食感がボソボソする、クッキー様の食感となるなど、口溶けが悪かった。
〔総油脂量42重量%の油性菓子を用いた保管日数の検討〕
スイートチョコレート(カカオマス40.0g、アモルファス乳糖40.0g、ココアバター19.5g、乳化剤0.5g)100gを55℃で融解し、テンパリング後(生地温度30℃)、99.5容量%エタノールをそれぞれ0、0.8、1.6、2.4g添加し、均一に混合した後、ただちに成形し、冷却固化させた。成形して得られた油性菓子を包装し、20℃湿度20%RHで3、90日保管した後、40℃2時間加温し、耐熱油性菓子として好ましい品質かどうか、総合的に評価した。表5に結果を記した。
アモルファス乳糖含有量が40重量%であっても、エタノールを添加しないと耐熱性は向上しなかった。
アモルファス乳糖含有量が40重量%であっても、エタノール添加量が0.8gを下回ると、耐熱性は向上しなかった。
成形後3日保管しても強度は90gfであったが、成形後90日保管すると、強度が150gfを超え、耐熱性の基準を満たした。保管日数が伸びる程、耐熱性が向上するが、90日保管では生産性が悪かった。
成形後3日保管することで耐熱性が得られ、成形後90日保管することで、強度が250gfを上回り、保形性および可搬性があり、付着性もなく、さらに口溶けは滑らかだった。
〔総油脂量35重量%の油性菓子を用いた保管日数の検討〕
スイートチョコレート(カカオマス45.0g、砂糖45.0g、ココアバター9.5g、乳化剤0.5g)中に含まれる砂糖を、一部アモルファス乳糖に代替した3種類のスイートチョコレートを製造した。砂糖からアモルファス乳糖への代替は、10、20、30gとした。
砂糖をアモルファス乳糖10、20、30gに代替したスイートチョコレートに、エタノールを0.8g添加した群は、成形後5日保管しても、耐熱性は向上しなかった。
砂糖10gをアモルファス乳糖に代替したスイートチョコレートに、エタノールを1.6g添加した場合、保管日数が1日、2日、5日と伸びる程、強度は増したが、耐熱性の基準は満たさなかった。
砂糖20gをアモルファス乳糖に代替したスイートチョコレートに、エタノールを1.6g添加した場合、成形後2日保管することで耐熱性が得られ、成形後5日保管することで、強度が250gfを上回り、保形性および可搬性があり、付着性もなく、さらに口溶けは滑らかだった。
砂糖30gをアモルファス乳糖に代替したスイートチョコレートに、エタノールを1.6g添加した場合、成形後2日以上保管することで、強度が250gfを上回り、保形性および可搬性があり、付着性もなく、さらに口溶けは滑らかだった。
砂糖10gをアモルファス乳糖に代替したスイートチョコレートに、エタノールを2.4g添加した場合、成形後1日以上保管することで耐熱性が得られ、成形後5日保管すると、強度が250gfを上回り、保形性および可搬性があり、付着性もなく、口溶けは滑らかだった。
砂糖20gをアモルファス乳糖に代替したスイートチョコレートに、エタノールを2.4g添加した場合、成形後1日保管することで強度が250gfを上回り、保形性および可搬性があり、付着性もなく、口溶けは滑らかだった。しかし、成形後2日以上保管すると強度が700gfを上回り、チョコレートの食感が硬くなり、滑らかさが失われてしまった。
砂糖30gをアモルファス乳糖に代替したスイートチョコレートに、エタノールを2.4g添加した場合、成形後1日以上保管すると、強度が700gfを上回り、チョコレートの食感が硬くなり、滑らかさが失われてしまった。そして、900gfを超えた場合、カリカリとした食感となっていた。
〔成形時に必要なエタノール量の検討〕
ミルクチョコレート(砂糖42.0g、カカオマス20.0g、アモルファス乳糖を8g含有した全粉乳20.0g、ココアバター17.5g、乳化剤0.5g)300gを55℃の湯煎で融解し、32℃に温度調節し、BOB脂(1,3-dibehenoyl-2-oleoyl glycerolのβ2型結晶)を用いてテンパリングした後、99.5容量%エタノールを2.4g添加して混合した。前記混合は、ミキサーを用いて200回転/分で行い、1、3、5分間撹拌した直後に成形し、冷却固化させた。成形後の油性菓子は包装し、23℃湿度30%RHで3日保管した後、40℃2時間加温し、耐熱油性菓子として好ましい品質かどうか、総合的に評価した。評価結果は表9に記した。
チョコレート生地中にエタノールを均一に分散するには撹拌が欠かせないが、撹拌時間が増えるとエタノールが揮発して減少し、耐熱性が低下した。すべての例でエタノールは2.4g添加していたが、成形直後のエタノール含有量を測定すると、撹拌時間5分でエタノール含有量は0.5gまで減少し、耐熱性を付与することができなかった。
〔特許文献3との比較〕
特許文献3に記載のミルクチョコレート(砂糖50.4重量%、ココアバター代用脂27.3重量%、脱塩ホエイ13.9重量%、ココアバター6.6重量%、カカオマス1.0重量%、乳化剤0.5重量%、バニリン0.2重量%)102.5gを50℃に加温した、96%容量エタノール溶液を16.3重量%添加した後、均一に混合し、40℃に加温した型に入れて成形した油性菓子を、40℃で3日保管した後、さらに40℃2時間加温し、耐熱油性菓子として好ましい品質かどうか、総合的に評価した。評価結果は表10に記した。
エタノールを19.5重量%添加することから、均一に混合するための撹拌時間が伸び、滑らかなチョコレートが、空気を抱き込み流動性のないホイップ状となった。また、流動性がないため、デポジッターを用いた成形はできず、型に押し込むように成形した。
40℃3日保管後のチョコレートは、ほろほろと崩壊するような食感となり、油性菓子本来の滑らかな口溶けが失われていた。
また、ホイップ状のチョコレートは組織が脆く、強度の測定値が、1回目110gf、2回目330gf、3回目170gfと測定誤差が大きくなった。
その結果、エタノール添加量が多いために、滑らかなチョコレートが、空気を抱き込み流動性のないホイップ状となり、ほろほろと崩壊するような食感となり、油性菓子本来の滑らかな口溶けが失われていた。さらに、20℃保管ではエタノールが揮発しないため、エタノール臭が強く風味が悪かった。
〔アモルファスショ糖の効果検証〕
ミルクチョコレート(砂糖またはアモルファスショ糖、脱脂粉乳、カカオマス、ココアバター、乳化剤、配合は表10参照)100gにエタノールを2.4g添加し、テンパリング後(生地温度30℃)、99.5容量%エタノールを2.4g添加し、均一に混合した後、ただちに成形し、冷却固化させた。成形して得られた油性菓子を包装し、20℃湿度30%RHで5日保管した後、40℃2時間加温し、耐熱油性菓子として好ましい品質かどうか、総合的に評価した。表11に結果を記した。
強度が250gfを上回り、保形性および可搬性があり、付着性もなく、さらに口溶けは滑らかだった。
実施例12の砂糖をアモルファスショ糖に置き換えたところ、実施例12と比較して強度が著しく増加した。しかし、アモルファス乳糖と比べ、大きな糖骨格が形成され、ガリガリとした食感となり好ましくなかった。
Claims (5)
- アモルファス乳糖を5〜40重量%含有した油性菓子生地を、28〜36℃に保ち、エタノール溶液を添加し均一に混合し、ただちに成形し、冷却固化させ、得られた油性菓子の40℃での強度が150〜700gfになるよう、温度5〜23℃、湿度20〜60%RHの大気雰囲気下に1日以上保管することを特徴とする油性菓子の製造方法であって、成形直後の油性菓子に含まれるエタノール含有量が0.9〜4.0重量%であることを特徴とする、油性菓子の製造方法。
- 前記油性菓子生地のSFC(固体脂含量)が、15℃で55〜90%、25℃で35〜80%、35℃で0〜15%であることを特徴とする、請求項1に記載の油性菓子の製造方法。
- 前記エタノール溶液が、95.0〜99.8容量%エタノールであることを特徴とする、請求項1または2に記載の油性菓子の製造方法。
- 前記保管工程において、保管日数が、1〜5日であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の油性菓子の製造方法。
- a)アモルファス乳糖を5〜40重量%含有し、かつSFCが、15℃で55〜90%、25℃で35〜80%、35℃で0〜15%である油性菓子生地を、
b)28〜36℃に保ち、
c)95.0〜99.8容量%エタノール溶液を添加して均一に混合し、
d)ただちに成形し、冷却固化させた、
e)成形直後のエタノール含有量が、0.9〜4.0重量%である油性菓子を、
f)包装し、
g)前記油性菓子の40℃での強度が、150〜700gfとなるよう、
温度5〜23℃、湿度20〜60%RHの大気雰囲気下に1〜5日間保管することを特徴とする油性菓子の製造方法。
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