JP6237030B2 - 硬化性樹脂組成物、硬化物及び積層体 - Google Patents
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Description
成分(A):イソシアヌル酸エステル基、(メタ)アクリロイル基、カルボン酸無水物基、エポキシ基及びメルカプト基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有し、アルコキシシリル基を有する化合物
成分(B):酸構造基を有する(メタ)アクリレート
成分(C):1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート
成分(D):ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有する(メタ)アクリル重合体
成分(E):光重合開始剤
(D−1):ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基、エポキシ基及びオキセタン基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有する (メタ)アクリル重合体
(D−2):ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有するモノマー(D−2a)とエポキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー(D−2b)とを少なくとも含むモノマー混合物を重合させ、得られた重合体に1分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸(D−2c)を反応させて得られる(メタ)アクリル共重合体
成分(B):酸構造基を有する(メタ)アクリレート
成分(C):1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート
成分(D):ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有する(メタ)アクリル重合体
耐久性の向上に寄与する。ここに硬化性基を有し、かつ表面に偏析する成分(D)を配合し、硬化することで、硬化物の表面に成分(D)を集中させることが可能となり、その結果として、他の性能を維持しつつ、防汚性や滑り性を優れたものとすることができるものと推察される。更に、必要に応じて後述する成分(E)を配合することにより硬化性樹脂組成物の硬化性が向上し、また、成分(F)を配合することにより、寸法安定性、柔軟性、基材への密着耐久性等を向上させることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、成分(A)のアルコキシシリル基を有する化合物を含有する。成分(A)はアルコキシシリル基を有するものであれば、特に制限されない。
名「KBM803」、信越化学(株)製])等が挙げられる。これらの中でも、成分(B)との反応性が良好である点から、(メタ)アクリロイル基とトリメトキシシリル基とを有する化合物、トリアリルイソシアヌレートに2−3モルのトリメトキシシランを反応させた化合物が好ましく、(メタ)アクリロイル基とトリメトキシシリル基とを有する化合物が特に好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、成分(B)の酸構造基を有する(メタ)アクリレートを含有する。基材との密着性を良好なものとするため、成分(B)は酸構造基を1個以上有するものであるが、それ以外の基を有していてもよい。また、他成分との相溶性を良好とする観点から、成分(B)の1分子内の酸構造基数は好ましくは3個以下、より好ましくは2個以下である。
も、カルボキシル基、スルホ基がより好ましく、カルボキシル基が特に好ましい。
アクリレート」とは(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物を意味する。)と、カルボキシアルキル(メタ)アクリレートを併用することにより、より高い硬度と密着性を両立することが可能であり、特に高硬度を要求される場合(特に、鉛筆高度が3H以上必要である場合)に好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、成分(C)の1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートを含有する。成分(C)を含有することにより、硬度と密着性のバランスをより良好なものとすることができる。これは、成分(C)が硬化時に収縮の小さい構造を有し、かつ、比較的大きな伸びを有するため、結果として硬化性樹脂組成物の伸びが向上することに起因するものと考えられる。
ル及び(ポリ)カーボネートジオールからなる群のうちの少なくとも1種の多価アルコールとを反応させて得られるウレタンプレポリマーを、更に、ヒドロキシエチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートからなる群のうちの少なくとも1つのヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートに反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。成分(C)は市販品としても入手可能であり、市販品の好ましいものとしては、ポリエステル系非芳香族ウレタンアクリレート[商品名「NKオリゴUA122P」、新中村化学工業社製]、ポリテトラメチレングリコール系ウレタンアクリレート[商品名「PR−202」、三菱化学(株)製]等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物に用いる成分(D)は、ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基(ここでいう「飽和炭化水素基」は鎖状構造であっても環状構造であってもよい。)から選ばれる1種以上の基を有する(メタ)アクリル重合体である。成分(D)の(メタ)アクリル重合体において、ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基から選ばれる1種以上の基は、硬化性樹脂組成物中で表面に偏析することにより、耐汚染性、滑り性等の発現に寄与する。特に、耐汚染性、滑り性等を良好にするためには、数平均分子量500〜10,000のポリジメチルシロキサン基、炭素数4以上のパーフルオロアルキル基、炭素数2〜12のパーフルオロアルキレン基、炭素数6〜30の飽和炭化水素基のうちの少なくとも1つの基を有していることが好ましい。
ート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。
(D−1):ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基、エポキシ基及びオキセタン基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有する(メタ)アクリル重合体
、イソホロンジイソシアネート1モルとヒドロキシエチル(メタ)アクリレート1モルの付加物、イソホロンジイソシアネート1モルとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート1モルの付加物等のイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートを反応させる方法、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマーを重合させ、得られる重合体のエポキシ基に(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと無水コハク酸の付加物等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを反応させる方法等が挙げられる。
(D−2):ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有するモノマー(D−2a)とエポキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー(D−2b)とを少なくとも含むモノマー混合物を重合させ、得られた重合体に1分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸(D−2c)を反応させて得られる(メタ)アクリル共重合体
2−位にOH基、3−位にエステル基を有するプロピレンエーテル構造を有し、この2−位のC−H結合が切れやすく、ラジカルが容易に生成し、しかもそのラジカルが比較的(メタ)アクリロイル基に容易に移動し、重合反応・硬化反応の反応性が向上しやすくなり、硬化性樹脂組成物の硬化性が良好になるため好ましい。
量は、成分(D−2a)、(D−2b)及び(D−2d)の合計量に対し、好ましくは(D−2a)が5〜70重量%、(D−2b)が20〜70重量%、(D−2d)が5〜50重量%である。また、より好ましくは(D−2a)が7〜65重量%、(D−2b)が22〜65重量%、(D−2d)が13〜45重量%である。
本発明の硬化性樹脂組成物には上記成分(A)〜(D)に加えて下記成分(E)を含有することが硬化物を得る際に反応を十分に進行させる観点から好ましい。
成分(E):光重合開始剤
本発明の硬化性樹脂組成物は更に、下記成分(F)を含有することで密着耐久性を向上させることができるために好ましい。ただし、成分(F)に該当するものと解されうるもののうち、前記成分(A)〜(D)に該当するものは成分(F)とはみなさず、成分(A)〜(D)のいずれかとみなすこととする。
成分(F):水酸基を有する(メタ)アクリレート及び/又はラジカル硬化性基を1分子内に2個以上有する(メタ)アクリレート
(F−1):粘度が100mPa・s以上の2官能(メタ)アクリレート
(F−2):(メタ)アクリロイル基の数が3〜10個の多官能(メタ)アクリレート
(F−3):(メタ)アクリロイル基の数が2個以上のエポキシ(メタ)アクリレート
本発明の硬化性樹脂組成物は、成分(A)の含有量がアルコキシシリル基により基材に対する密着性を発現させる観点から、成分(A)〜(C)の合計量に対し、10重量%以上である。また、この効果を高める観点から、好ましくは12重量%以上であり、より好ましくは15重量%以上である。また、液の安定性の観点から、好ましくは60重量%以
下であり、より好ましくは50重量%以下であり、更に好ましくは40重量%以下である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、有機溶媒を用いることが好ましい。有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、成分(A)〜(F)や積層体とする際に用いる基材の種類、基材への塗布及び/又は塗工の方法等を考慮して適宜選択することができる。用いることができる有機溶媒の具体例としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトール等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒;等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で成分(A)〜(F)及び有機溶媒以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、充填剤、シランカップリング剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、有機顔料、スリップ剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤が挙げられる。これらの中でも耐光性(特に耐黄変性)、低揮発性、他成分との相溶性とのバランスの観点から、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ヘキサノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアオイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)、セバシン酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)、セバシン酸−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン)、セバシン酸−ビス(1−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン、N−メチル−3−ドデシル−1−(−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)、トリメシン酸−トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)等が挙げられる。これらの中でもこれらの中でも耐光性(特に耐黄変性)と低揮発性、他成分との相溶性とのバランスが特に良好であるため、セバシン酸−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン)、セバシン酸−ビス(1−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)等の窒素原子がアルキル化又はアルコキシ化された化合物が好ましい。
して、さらに0.001〜5重量部の含有量でヒンダードアミン系光安定剤を含有することが好ましく、より好ましくは0.01〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部である。なお、ヒンダードアミン系光安定剤は、1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
充填剤には無機充填剤及び有機充填剤が含まれる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、後述する基材への塗布に当たり反応性希釈剤で希釈して使用することもできる。該反応性希釈剤としては、25℃の粘度が100mPa・s以下の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば、特に制約されない(ただし、成分(A)〜(D)及び(F)に該当するものを除く。)。本発明の硬化性樹脂組成物の全重量に基づいて、通常60重量%以下、添加硬化、硬化性や硬度の観点から好ましくは50%
以下である。
本発明の硬化性樹脂組成物の製造方法は特に制限されないが、例えば、成分(A)〜(D)、及び必要により適宜、成分(E)、成分(F)、溶媒、その他の成分等を混合することにより得ることができる。各成分の混合に際しては、ディスパーザー、撹拌機等で均一混合して製造することが好ましい。
本発明の硬化物は前記の硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射してなるものである。また、本発明の積層体は、基材とハードコート層とを有する積層体であり、ハードコート層が前記の硬化性樹脂組成物を該基材上に塗布し、これに活性エネルギー線を照射して形成される。なお、本発明において、「塗布」とは一般的に「塗工」と呼ばれるものも含む概念として用いることとする。
装置を用いることができ、その光源としてはキセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LED−UVランプ等を使用することができる。紫外線の照射量(単位はmJ/cm2)は、通常10〜10,000mJ/cm2であり、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化性、硬化物(硬化膜)の可撓性等の観点から好ましくは100〜5,000mJ/cm2であり、より好ましくは200〜3,000mJ/cm2である。
本発明の硬化性樹脂組成物はガラス等の基材に密着し、かつ高い防汚性、滑り性、耐擦傷性、耐傷付性、寸法安定性、柔軟性、基材への密着耐久性等に優れた硬化物を与えることができる。このため、ガラス、プラスチック、金属、紙等のハードコート剤として有用である。特に、タッチパネルの表面コート、太陽電池の保護表面コート、自動車ガラスの表面コート等に好適に用いることができる。
(製造例1)
(d−1)の製造
1000mLのセパラブル丸底フラスコにパーフルオロへキシルエチルメタクリレート(M−1620、ダイキン社製)50g、ラウリルメタクリレート(三菱レイヨン社製)10g、α、ω−ジメルカプトプロピルポリジメチルシロキサン(数平均分子量1,600、信越化学社製)10g、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン社製)30g、ドデシルメルカプタン(東京化成社製)2g、1−メトキシ−1−プロパノール(PGM)
200gを加え、内温を窒素気流下約60℃まで昇温した。その後2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V65、和光純薬社製)を2回にわけ、計2g添加し、65℃で6時間攪拌を続けた。その後、内温を80℃まで上げ、V65を完全に失活させた後、室温に戻した。得られた(メタ)アクリル共重合体の数平均分子量は9,000、固形分濃度は約34重量%であった。
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel Super H1000+H2000+H3000」
検出器:示差屈折率検出器(RI検出器/内蔵)
溶媒 :テトラヒドロフラン
温度 :40℃
流速 :0.5mL/分
注入量:10μL
濃度 :0.02重量%
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法:ポリスチレン換算
(d−2)の製造
1000mLのセパラブル丸底フラスコにメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製)10g、ステアリルメタクリレート(三菱レイヨン社製)10g、FM0721(平均分子量5000の片末端メタクリレートのポリジメチルシロキサン、JNC社製)10g、グリシジルメタクリレート60g、ドデシルメルカプタン2g、メチルイソブチルケトン(MIBK)200gを加え、内温を窒素気流下約60℃まで昇温した。その後2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V65)を2回にわけ、計2g添加し、65℃で6時間攪拌を続けた。その後、内温を80℃まで上げ、V65を完全に失活させた後、室温に戻した。数平均分子量は10,000、固形分濃度は約34重量%であった。
(d−3)の製造
1000mLのセパラブル丸底フラスコにメチルメタクリレート20g、ステアリルメタクリレート30g、AE400(片末端アクリル基のPEG400、日油社製)20g、グリシジルメタクリレート30g、ドデシルメルカプタン2g、メチルイソブチルケトン(MIBK)200gを加え、内温を窒素気流下約60℃まで昇温した。その後2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V65)を2回にわけ、計2g添加し、65℃で6時間攪拌を続けた。その後、内温を80℃まで上げ、V65を完全に失活させた後、室温に戻した。数平均分子量は7000、固形分濃度は約34重量%であった。
表−1に従って原料を配合し、硬化性樹脂組成物(実施例1〜12、比較例1〜4)を得た。 配合成分は下記の通りである。下記の各基材に、硬化性樹脂組成物を、バーコー
ターを用いて塗布(塗布直後の厚みは15μm)した後、紫外線照射装置[型番 US5−XO40:アイグラフィックス(株)製]を用いて500〜2000mJ/cm2の紫
外線を照射して塗膜を硬化させ、硬化後膜厚が12μmの被覆物試験片を得た(膜厚は、厚みゲージ(ミツトヨ社製ABSデジマチックインジケータ、又は薄膜測定装置(フィルメトリックス社製F20−EXR)で測定した)。この試験片を用いて以下の各種評価を行った。
(基材)
(基材1)ガラス:ケイ酸ガラス板[松浪硝子(株)製、サイズ1mm(厚み)×2.6cm×7.6cm、ヘーズ0.1%]
(基材2)PET:ポリエチレンテレフタレート二軸延伸フィルム[商品名「ダイアホイル(登録商標)T600E」、三菱樹脂(株)製、サイズ100μm(厚み)×10cm×10cm、ヘーズ1.2%]
(a−1):アクリロイル基を有するトリメトキシシリル化合物(シランカップリング剤)[商品名「KBM5103」、信越化学(株)製]
(a−2):イソシアヌレート基を有するトリメトキシシリル化合物(トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート )[商品名「KBM9659」、信越化
学(株)製]
(a−3):エポキシ基を有するトリメトキシシリル化合物(シランカップリング剤)[商品名「KBM403」、信越化学(株)製]
(a−4):酸無水物基を有するトリメトキシシリル化合物(シランカップリング剤)[商品名「X−12−967C」、信越化学(株)製]
(a−5):メタクリロイルル基を有するアルコキシシリル化合物(シランカップリング剤)[商品名「KBM503」、信越化学(株)製]
(b−1):ペンタエリスリトールトリアクリレートの無水コハク酸変性物とペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[商品名「アロニックスTO−756」、東亞合成(株)製]
(b−2):カルボキシエチルアクリレート[商品名「β−CEA」、ダイセルサイテック製]
(c−1):ポリエステル系非芳香族ウレタンアクリレート[商品名「NKオリゴUA122P」、新中村化学工業(株)製]
(c−2):ポリテトラメチレングリコール系ウレタンアクリレート[商品名「PR−202」、三菱化学(株)製]
(d−1):製造例1に記載した重合体
(d−2):製造例2に記載した重合体
(d−3):製造例3に記載した重合体
(e−1):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[商品名「イルガキュア184」、BASF製]
(e−2):ジアルキルフェニルヨードニウムのPF6塩[商品名「イルガキュア250」、BASF製]
(f−1):ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアク
リレートの混合物[商品名「ライトアクリレートPE3A」、共栄社化学(株)製]
MEK:メチルエチルケトン[商品名「2−ブタノン」、三協化学製]
(1)密着性
以下に示す方法により、初期密着性、経時密着性及び耐熱密着性の評価を行った。
JIS K5600に準じ、碁盤目試験により初期密着性を下記の基準で評価した(隙
間間隔1mm)。
○:残ったマス目数が100
△:残ったマス目数が90〜99
×:残ったマス目数が0〜89
初期密着性の評価後、さらに23℃、湿度60%RHの条件で2週間静置した。その後、JIS K5600に準じ、碁盤目試験により経時密着性を以下の基準で評価した(隙
間間隔1mm)。
○:残ったマス目数が100
△:残ったマス目数が90〜99
×:残ったマス目数が0〜89
K5600に準じ、碁盤目試験により下記の基準で評価した(隙間間隔1mm)。
○:残ったマス目数が100
△:残ったマス目数が90〜99
×:残ったマス目数が0〜89
JIS K5600に準拠して、引っかき硬度(鉛筆法)により測定した。
JIS K7105に従って、各積層体のヘーズ値(H%)を求めた。ヘーズ値が小さいほど、透明性に優れるものと評価される。
(水の接触角):硬化膜に0.002mLの純水を滴下し、10秒後の接触角を測定した。なお、接触角の測定には、接触角計(協和界面科学社製 DropMaster500)を用いた(単位:度)。水の接触角が大きいほど撥水性に優れることを示す。
(ヘキサデカンの接触角):硬化膜に0.002mLのヘキサデカンを滴下し、10秒後の接触角を測定した。なお、接触角の測定には、接触角計(協和界面科学社製 DropMaster500)を用いた(単位:度)。ヘキサデカンの接触角が大きいほど撥油性に優れることを示す。
鼻脂を親指につけ、3秒以上押し付けて指紋を付着させた。その後、日本製紙クレシア社製 キムワイプ(登録商標) S−200により指紋をふき取ることにより耐指紋性を
評価した。
◎:上記操作により2往復以内でふきとれる。
○:上記操作により2.5−3往復でふき取れる。
△:上記操作により3.5−4往復でふき取れる。
×:上記操作により4往復ではふき取れない。
(マジックインキはじき性):試験片塗布面の表面に油性マジックマーカー(ゼブラ社製
マッキーケア極細(黒)の細)で線を描いた。30秒置いた後、試験片塗布面の表面から油性マジックマーカーの線がはじかれるかどうかにより、以下の通り評価した。
○:線をはじく。
△:線を一部はじく。
×:線をはじかない。
(マジックインキふき取り性):試験片塗布面の表面に油性マジックマーカー(ゼブラ社製 マッキーケア極細(黒)の細)で線を描き、30秒後、試験片塗布面の表面をテイッシュペーパー(クレシア社製)でふき、以下の基準で評価した。
◎:3往復以内でふき取ることができ、また、繰り返して3往復以内でふき取ることができる。
○:3往復以内でふき取ることができるが、繰り返してふき取ることはできない。
×:3往復以内でふき取ることができない。
協和界面化学社製のTriboster(TS501)を用い、点接触子(径3mm)を用いて、荷重100gで測定し、5回繰り返して測定した値の平均値を求めた。動摩擦係数の値が小さいほど滑り性に優れるものと評価され、以下の基準により評価した。
○:動摩擦係数が0.1以下である。
△:動摩擦係数が0.1超過0.2以下である。
×:動摩擦係数が0.2超過である。
Claims (12)
- 下記成分(A)〜(D)を含有し、前記成分(A)の含有量が前記成分(A)〜(C)の合計量に対し、15〜85重量%である硬化性樹脂組成物。
成分(A):イソシアヌル酸エステル基、(メタ)アクリロイル基、カルボン酸無水物基、エポキシ基及びメルカプト基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有し、アルコキシシリル基を有する化合物
成分(B):酸構造基を有する(メタ)アクリレート
成分(C):1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート
成分(D):ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有する(メタ)アクリル重合体 - 更に下記成分(E)を含み、前記成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し、該成分(E)の含有量が0.01〜10重量部である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
成分(E):光重合開始剤 - 前記成分(B)の含有量が前記成分(A)〜(C)の合計量に対し、10〜85重量%である、請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記成分(C)の含有量が、前記成分(A)〜(C)の合計量に対し、3〜80重量%である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記成分(D)が下記(D−1)である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
(D−1):ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基、エポキシ基及びオキセタン基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有する (メタ)アクリル重合体 - 前記成分(D)が下記(D−2)である、請求項5に記載の硬化性樹脂組成物。
(D−2):ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有するモノマー(D−2a)とエポキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー(D−2b)とを少なくとも含むモノマー混合物を重合させ、得られた重合体に1分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸(D−2c)を反応させて得られる(メタ)アクリル共重合体 - 前記(D−2a)と前記(D−2b)との合計量に対し、(D−2a)の含有量が7〜78重量%である、請求項6に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記成分(B)が、水酸基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を2〜5個有するポリ(メタ)アクリレートの酸無水物付加物、カルボキシアルキル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシエタンスルホン酸からなる群のうちの少なくとも1つである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記成分(B)の酸構造基が、カルボキシル基、スルホ基、スルフィノ基、亜リン酸エステル基及びリン酸エステル基からなる群のうちの少なくとも1つの基である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射してなる硬化物。
- 基材とハードコート層とを有する積層体であり、ハードコート層が請求項1乃至9のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を該基材上に塗布し、これに活性エネルギー線を照射して形成される積層体。
- 前記基材が、プラスチック基材及び/又はガラス基材である、請求項11に記載の積層体。
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