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JP2017171726A - 硬化性組成物及びその硬化物並びに積層体 - Google Patents

硬化性組成物及びその硬化物並びに積層体 Download PDF

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JP2017171726A
JP2017171726A JP2016056814A JP2016056814A JP2017171726A JP 2017171726 A JP2017171726 A JP 2017171726A JP 2016056814 A JP2016056814 A JP 2016056814A JP 2016056814 A JP2016056814 A JP 2016056814A JP 2017171726 A JP2017171726 A JP 2017171726A
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Yotaro Hattori
陽太郎 服部
功 大竹
Isao Otake
功 大竹
松海 邵
Songhai Shao
松海 邵
浩文 井上
Hirofumi Inoue
浩文 井上
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Abstract

【課題】鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、光学特性に優れ且つ基材に対する密着性に優れる硬化物を形成することができる硬化性組成物を提供する。【解決手段】硬化性組成物は、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤が無機酸化物微粒子の表面に共有結合で結合した有機無機複合体(A)及び少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の少なくとも一方と、重合開始剤(C)と、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)と、を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化可能な硬化性組成物、及び、前記硬化性組成物を硬化させた硬化物に関する。また、本発明は、前記硬化性組成物を用いて形成される積層体に関する。
プラスチックシートやプラスチックフィルムなどの表面は比較的柔軟であり、耐擦傷性が乏しく鉛筆硬度が低いことから、これらの物品の表面にハードコート膜を設けて表面硬度を高めることで、前記性能の改善が図られている。また、ポリカーボネートやABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)等からなる樹脂基材に関しても、表面の傷つき防止を目的として同様の処置が広く行われるようになってきた。
一方で、ガラスのような比較的高硬度の基材であっても、その使用目的や構造上の理由から、機能性、特に鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、耐指紋性を付与するためにコーティング処理が行われるようになってきている。そして、ガラス基材に適用されるコーティング処理においても、紫外線、電子線、可視光線などの活性エネルギー線によるコーティング材の硬化は、省エネルギーや製造効率の観点から有効な方法として検討が進められている。
しかしながら、ガラスのような高硬度の基材に対しては、基材とコーティング膜との密着性を高める手法として、例えば、コーティング材の成分により基材の表面を浸食させる手法や、基材の表面の凹凸によって密着性を付与するアンカー効果等を利用する手法を適用することが難しい。そのため、ガラスのような高硬度の基材のコーティング材として使用できるものに関しては、一定の制約があった。
特許文献1には、プラスチック基材を対象としたが開示されている。特許文献1のハードコート用組成物は、分子内に1つの(メタ)アクリレート基を有するシランカップリング剤で表面処理されたコロイダルシリカが配合されている。また、特許文献2には、プラスチック基材やガラス基材等を対象としたハードコート用硬化性樹脂組成物が開示されている。特許文献2のハードコート用硬化性樹脂組成物は、アルコキシシリル基を有する化合物、例えばアルコキシシリル基と1つの(メタ)アクリロイル基を有するを有する化合物が配合されている。
特開2008−150484号公報 特開2015−187205号公報
しかしながら、特許文献1のハードコート用組成物は、ガラス基材への密着性が不十分となる場合があり、特許文献2のハードコート用硬化性樹脂組成物は、硬度及び密着性が不十分となる場合があった。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、光学特性に優れ且つ基材に対する密着性に優れる硬化物、及び、該硬化物を形成することができる硬化性組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、光学特性に優れる硬化物とガラス基材とが優れた密着性で密着された積層体を提供することを併せて課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の態様は以下の[1]〜[9]の通りである。
[1] 少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤が無機酸化物微粒子の表面に共有結合で結合した有機無機複合体(A)及び少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の少なくとも一方と、
重合開始剤(C)と、
少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)と、
を含有し、
前記有機無機複合体(A)を含有する場合の前記有機無機複合体(A)の含有量は、前記少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)の含有量を100質量部として0質量部超過800質量部以下であり、
前記多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)を含有する場合の前記多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有量は、前記少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)の含有量を100質量部として0質量部超過500質量部以下である硬化性組成物。
[2] 前記少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)が下記化学式(I)で表される化合物である[1]に記載の硬化性組成物。
ただし、下記化学式(I)中のMは、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基及び少なくとも1つのヒドロキシ基を有する化合物のヒドロキシ基残基を示す。また、Xは酸素原子又は硫黄原子を示す。さらに、R及びRは、炭素数1以上10以下の直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキル基、又は、炭素数が1以上3以下のアルキル基を有していてもよいフェニル基を示し、RとRは同一であってもよいし異なっていてもよい。さらに、Rは、炭素数1以上10以下の直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキレン基、又は、炭素数が1以上3以下のアルキル基を有していてもよいフェニレン基を示し、このアルキレン基は鎖中に酸素原子を含んでいてもよい。さらに、lは0以上2以下の整数を示し、mは1以上3以下の整数を示し、lとmの和は3であり、nは1以上3以下の整数を示す。
Figure 2017171726
[3] 前記化学式(I)中のXは酸素原子であり、lは0であり、mは3であり、Rはメチル基又はエチル基であり、Rは直鎖状のプロピレン基である[2]に記載の硬化性組成物。
[4] 前記少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)は、アルコキシシリル基及びイソシアナト基を有する化合物のイソシアナト基と、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基及び少なくとも1つのヒドロキシ基を有する化合物のヒドロキシ基との縮合反応物であるウレタン化合物である[2]又は[3]に記載の硬化性組成物。
[5] 前記少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基及び少なくとも1つのヒドロキシ基を有する化合物の水酸基価が75mgKOH/g以上である[4]に記載の硬化性組成物。
[6] フルオロポリエーテル構造及びエチレン性炭素−炭素二重結合を有する含フッ素化合物からなる防汚性付与剤(E)をさらに含有する[1]〜[5]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[7] 前記無機酸化物微粒子が、シリカ、チタニア、ジルコニア、及びアルミナからなる群から選ばれる少なくとも1つの微粒子である[1]〜[6]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物。
[9] [8]に記載の硬化物がガラス基材の表面に膜状に配された積層体。
本発明の硬化性組成物は、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、光学特性に優れ且つ特にガラス基材に対する密着性に優れる硬化物を形成することができる。
また、本発明の硬化物は、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、光学特性に優れ且つ特にガラス基材に対する密着性に優れる。
さらに、本発明の積層体は、硬化物とガラス基材とが優れた密着性で密着されている。
シランカップリング剤の一例を示す図である。 有機無機複合体(A)を製造する反応を説明する図である。 シランカップリング剤を合成する縮合反応を示す図である。 シランカップリング剤を合成するMichel付加反応を示す図である。 シランカップリング剤を合成する求核付加反応を示す図である。 シランカップリング剤を合成する縮合反応を示す図である。 含フッ素化合物のパーフルオロポリエーテル構造の例を説明する図である。 含フッ素化合物の直鎖状ポリシロキサン構造の例を説明する図である。 含フッ素化合物の環状ポリシロキサン構造の例を説明する図である。
本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明においては、「(メタ)アクリレート」はメタクリレート及び/又はアクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル」はメタクリロイル及び/又はアクリロイルを意味し、「(メタ)アクリル」はメタクリル及び/又はアクリルを意味する。
本発明者らは、前述の従来技術が有する種々の問題点を解決するために鋭意検討した結果、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤を密着性付与成分として用いることによって前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の硬化性組成物は、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤が無機酸化物微粒子の表面に共有結合で結合した有機無機複合体(A)及び少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の少なくとも一方と、重合開始剤(C)と、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)と、を含有する。
そして、本発明の硬化性組成物が有機無機複合体(A)を含有する場合の硬化性組成物全体における有機無機複合体(A)の含有量は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)の含有量を100質量部として0質量部超過800質量部以下である。また、本発明の硬化性組成物が多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)を含有する場合の硬化性組成物全体における多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有量は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)の含有量を100質量部として0質量部超過500質量部以下である。
本発明の硬化性組成物が硬化(例えば紫外線硬化)された硬化物は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)のアルコキシシリル基が基材の表面に化学的に結合することによって、樹脂基材等に対しては勿論のこと、従来は密着性が得られにくかったガラス基材に対しても良好な密着性を有する。また、本発明の硬化性組成物は、従来の単官能(メタ)アクリル型のシランカップリング剤と比較して、硬化の際に高度な架橋密度での架橋を実現し、且つ、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)と他の組成物成分とが複数の(メタ)アクリロイル基によって高度に架橋されるため、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)と他の組成物成分とが一体化し破壊が起こりにくい。これにより、基材に対する密着性がより良好となる。
以下に、本実施形態の硬化性組成物の各成分及び該成分を製造するための材料について説明する。
<(1)有機無機複合体(A)>
本実施形態の硬化性組成物は、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤が無機酸化物微粒子の表面に共有結合で結合した有機無機複合体(A)を含有してもよい。少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤で無機酸化物微粒子を表面処理して無機酸化物微粒子にシランカップリング剤を共有結合で結合させれば、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤で無機酸化物微粒子の表面が均一に複合化された有機無機複合体(A)を得ることができる。
ここで、前記の少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤は、少なくとも1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシランカップリング剤を含む。
このような有機無機複合体(A)と例えば多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)とを共重合して硬化(例えば紫外線硬化)させた硬化物は、有機無機複合体(A)の表面の架橋度が高いことに加えて、均一な架橋系の構築により弾性率が高いので、硬化型有機材料の特徴である耐屈曲性と、硬化型無機材料複合化物の特徴である高硬度、低収縮性との両方を備えている。また、表面摩耗により起こる無機酸化物微粒子の脱落が防止されるため、硬化性組成物の硬化物は高耐擦傷性も備えている。
シランカップリング剤の一例を図1に示す。なお、無機酸化物微粒子の表面に共有結合で結合させるシランカップリング剤としては、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤を用いることができるが、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましく、少なくとも3つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤を用いることがより好ましい。
この有機無機複合体(A)は、(メタ)アクリロイル基とアルコキシシリル基とを有する(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)と無機酸化物微粒子(A−2)との脱水縮合反応又は脱アルコール縮合反応によって得ることができる(図2を参照)。
無機酸化物微粒子(A−2)は、その表面に多数のOH基を有しているので、このOH基と(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)のアルコキシシリル基とが縮合反応することにより、(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)と無機酸化物微粒子(A−2)とが共有結合で結合することができる。
<(1−1)(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)>
(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)の種類は、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基(より好ましくは少なくとも3つの(メタ)アクリロイル基)とアルコキシシリル基とを有していれば特に限定されるものではないが、例えば、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、及び下記化学式(I)で表される化合物があげられる。
Figure 2017171726
ただし、前記化学式(I)中のMは、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基と少なくとも1つのヒドロキシ基を有する化合物のヒドロキシ基残基を示す。また、Xは酸素原子又は硫黄原子を示す。さらに、R及びRは、炭素数1以上10以下の直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキル基又はフェニル基(炭素数が1以上3以下のアルキル基を有していてもよい)を示し、RとRは同一であってもよいし異なっていてもよい。さらに、Rは、炭素数1以上10以下の直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキレン基又はフェニレン基(炭素数が1以上3以下のアルキル基を有していてもよい)を示し、このアルキレン基は鎖中に酸素原子を含んでいてもよい。さらに、lは0以上2以下の整数を示し、mは1以上3以下の整数を示し、lとmの和は3であり、nは1以上3以下の整数を示す。
化学式(I)で表される化合物の中では、Xが酸素原子であり、lが0であり、mが3であり、Rがメチル基又はエチル基であり、Rが直鎖状のプロピレン基である化合物がより好ましい。
そして、前記化学式(I)で表される化合物は、アルコキシシリル基及びイソシアナト基を有する化合物と、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基及び少なくとも1つのヒドロキシ基を有する化合物との縮合反応によって得ることができる。この縮合反応は、イソシアナト基とヒドロキシ基とが反応してウレタン結合が生じる縮合反応である。
以下に、(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)について、さらに詳細に説明する。
(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)は、例えば下記の3例(a)〜(c)の手法によって合成することができる。
(a)アルコキシシリル基及びイソシアナト基を有する化合物(a−1)と、イソシアナト基と縮合可能な有機基(ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシ基等)及び少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a−2)との縮合反応(図3を参照)。
(b)メルカプト基を有する化合物(b−1)を出発物質として使用する方法であって、例えば、アルコキシシリル基とメルカプト基を有する化合物(b−1)と、多官能(メタ)アクリル化合物(b−2)とのMichel付加反応(図4を参照)、又は、化合物(b−1)と少なくとも1つのイソシアナト基と2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(b−3)との縮合反応。
(c)アルコキシシリル基及びエポキシ基を有する化合物(c−1)と、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基及び少なくとも1つのフェノール性ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、又はカルボキシ基を有する化合物(c−2)との求核付加反応(図5を参照)。
まず、前記(a)の方法について説明する。化合物(a−1)の例としては、例えば、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができるが、これらに限られるものではない。また、これらは1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
また、化合物(a−2)の例としては、例えば、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
さらに、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、及びカルボキシ基のごとく活性水素基と(メタ)アクリロイル基とを側鎖に有する(メタ)アクリル共重合体や、ヒドロキシ基を有する多官能アクリレートによって環状酸無水物を開環させてなる化合物等を挙げることができる。
ただし、化合物(a−2)はこれらに限られるものではなく、これらは1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
さらに、化合物(a−2)としては、不飽和基との反応性が無く反応制御が容易で有る点と、イソシアナト基との反応性が適度である点とから、ヒドロキシ基を有する化合物が好ましい。特に、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが好ましい。
前記(a)の縮合反応において、反応の触媒には以下のものを使用することができる。例えば、スズ系、ジルコニア系、チタニア系、亜鉛系、鉄系、ニッケル系、ビスマス系、クロム系、コバルト系、アミン系、リン系等の触媒が挙げられる。反応温度は20℃以上60℃以下が好ましく、30℃以上55℃以下がより好ましい。
反応溶媒は特に限定されるものではないが、縮合反応を促進させるためには、溶媒和の少ない溶剤を用いることが好ましい。例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン等の非極性溶剤が挙げられ、中でも有機物との相溶性、低吸水性、留去が比較的容易等の観点から、トルエンが最も好ましい。
次に、前記(b)の方法について説明する。化合物(b−1)の例としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの化合物は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
化合物(b−2)の例としては、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、側鎖に3以上の不飽和基を有する(メタ)アクリル共重合体、さらには前記化合物(a−2)と分子内に2つ以上のイソシアナト基を有する化合物とを縮合反応させてなるウレタンアクリレート化合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの化合物は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
化合物(b−3)の例としては、以下の化合物等を挙げることができる。例えば、1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル−2−メチル−2−イソシアネート(商品名:カレンズBEI、昭和電工株式会社製)や、化合物(a−2)と少なくとも2つのイソシアナト基を有する化合物とを縮合させ尚分子内にイソシアナト基を残存させている化合物(図6を参照)や、側鎖にイソシアナト基と少なくとも2つの不飽和基とを有する(メタ)アクリレート共重合体等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの化合物は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
次に、前記(c)の方法について説明する。化合物(c−1)の例としては、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの化合物は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
化合物(c−2)の例としては、例えば、ヒドロキシ基を有する多官能アクリレートによって環状酸無水物を開環させてなる化合物等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
前述した(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)の取得方法の中でも、その取扱いの容易さ、反応選択性、反応制御性の観点から、(a)乃至は(c)の方法が好ましく、特に化合物選択の幅が広く、ハンドリング性も高いことから(a)の方法がより好ましい。
<(1−2)無機酸化物微粒子(A−2)>
次に、無機酸化物微粒子(A−2)に関しては、以下の物質を用いることができる。例えば、シリカ、中空シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、アンチモンスズ酸化物(ATO)、酸化セリウム、酸化カリウム、これらのうち2種以上を複合化した合金等を挙げることができる。特に高硬度の硬化物を得たい場合には、比重、硬度の観点からシリカが好ましく、高屈折率の硬化物を得たい場合には、粒子屈折率、ハンドリング、透明性の観点からジルコニア、チタニア、アンチモンスズ酸化物が好ましく、低屈折率の硬化物を得たい場合には、同様の観点から中空状シリカが好ましい。
また、無機酸化物微粒子(A−2)は、無機酸化物微粒子(A−2)を有機溶剤に分散させた有機溶剤分散ゾルとして用いることが好ましい。分散媒として用いる有機溶剤は特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類や、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類や、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。そして、これらの中でも、メタノール、イソプロパノールが好ましい。
さらに、無機酸化物微粒子(A−2)の平均1次粒子径としては、ハンドリング、透明性の観点から、1nm以上200nm以下が好ましく、5nm以上100nm以下が特に好ましい。平均1次粒子径が1nmより小さくなると、粒子表面の活性のため分散状態を保持することが困難となり、凝集、ゲル化を引き起こすおそれがある。一方、平均1次粒子径が200nm超過となると、レイリー散乱によるヘイズが観測されるようになる。レイリー散乱は粒子体積の2乗、すなわち粒子径の6乗に比例し、可視光の波長の1/4以上の平均1次粒子径を有する粒子においては、急激に散乱が大きくなるため、透明材料に用いるには障壁が高い。
平均1次粒子径は、例えば高分解能透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製 H−9000型)で無機酸化物微粒子を観察し、観察される微粒子像より任意に100個の無機酸化物粒子像を選び、公知の画像データ統計処理手法により数平均粒子径として求めることができる。
シリカ微粒子の有機溶剤分散ゾルとして市販されている商品としては、例えばコロイダルシリカとしては、日揮触媒化成株式会社製OSCAL−1132、OSCAL−1432M、OSCAL−1432、OSCAL−1632や、日産化学工業株式会社製メタノールシリカゾル、MA−ST−L、IPA−ST、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL、IPA−ST−UP、PGM−ST、MEK−ST、MEK−ST−L、MEK−ST−ZL、MIBK−ST、PMA−ST、EAC−STや、扶桑化学株式会社製PL−1−IPA、PL−2L−PGME、PL−2L−MEK等を挙げることができる。
また、ジルコニア微粒子の有機溶剤分散ゾルとして市販されている商品としては、例えば日産化学工業株式会社製ナノユースOZ−30M、ナノユースOZ−S30Kを挙げることができる。さらに、チタニア微粒子の有機溶剤分散ゾルとして市販されている商品としては、例えば日揮触媒化成工業株式会社製OPTOLAKE1130Z、OPTPLAKE6320Z等を挙げることができる。
無機酸化物微粒子(A−2)の形状は球状、中空球状、数珠状、平板状、繊維状等が挙げられるが、ハンドリング性、分散性が良好である点で、球状、中空状、数珠状が好ましく、球状が特に好ましい。数珠状シリカの例としては、日産化学工業株式会社製のIPA−ST−UP(商品名)などが挙げられ、中空状シリカの例としては日揮触媒化成株式会社製のスルーリア(商品名)などが挙げられる。
<(1−3)有機無機複合体(A)の合成>
<表面修飾(表面処理)>
有機無機複合体(A)の合成には、無機酸化物微粒子(A−2)を分散させた溶媒中に、(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)と少量の水分を加え混合撹拌することで、脱水縮合反応又は脱アルコール縮合反応を進行させる方法を用いることができる。
さらに、必要に応じて酸又は塩基性化合物を触媒として添加してもよく、例えば、酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、アンモニア水などが挙げられる。触媒の添加量は、特に限定されないが、表面処理がなされるシリカ等の無機酸化物微粒子(A−2)100質量部に対して通常0.01質量部以上1質量部以下、好ましくは0.01質量部以上0.5質量部以下である。
前記縮合反応の温度としては10℃以上80℃以下が好ましく、20℃以上60℃以下がより好ましく、35℃以上55℃以下がさらに好ましい。反応温度が低すぎると、無機酸化物微粒子(A−2)と(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)の縮合反応が進行しにくく、目的の化合物が十分に得られないおそれがある。一方、80℃超過では、熱によって発生したラジカルによって系内の不飽和基が重合し、ゲル化を引き起こすおそれがある。
縮合反応溶媒(A−3)としては、前述の無機酸化物微粒子(A−2)の分散媒を利用できるが、無機酸化物微粒子(A−2)の表面との相溶性の観点から、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のプロトン性溶剤が好ましく、さらに溶媒和の強さと無機酸化物微粒子(A−2)の表面の反応性との双方を鑑みると、メタノール、イソプロパノールが最も好ましい。
無機酸化物微粒子(A−2)を表面処理する際の(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)の使用量は、表面処理に供する無機酸化物微粒子(A−2)100質量部に対して、20質量部以上100質量部以下が好ましく、30質量部以上95質量部以下がより好ましく、40質量部以上90質量部以下がさらに好ましい。(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)の使用量が20質量部未満だと、無機酸化物微粒子(A−2)の表面で十分な縮合反応が為されず、無機酸化物微粒子(A−2)の分散性を低下させるおそれある。一方、100質量部を超えて用いると、架橋密度が高くなり過ぎ、ハードコート膜の反りやクラックの原因となるおそれがある。
また、無機酸化物微粒子(A−2)の表面処理には、(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)とともに、これ以外のシランカップリング剤(A−4)を併用することもできる。併用できるシランカップリング剤の例は特に限定されるものではないが、3−(メタ)アクロイルオキシエチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクロイルオキシエチルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクロイルオキシエチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクロイルオキシエチルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシランなどの不飽和基含有品や、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、トリフルオロトリメトキシシラン、分子内に繰り返し単位を有するパーフルポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物などが挙げられる。
<(2)少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)>
少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類(B−1)、エポキシ(メタ)アクリレート類(B−2)、ウレタン(メタ)アクリレート類(B−3)が挙げられる。ここで、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを含む。
<(2−1)(メタ)アクリル酸エステル類(B−1)>
(メタ)アクリル酸エステル類(B−1)としては、例えば(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物であり、具体的には、1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル−2−メチル−2−イソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなどのジアクリレートや、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートなどの多官能(メタ)アクリレート類、並びにそれらのエチレンオキサイド変性体、プロピレンオキサイド変性体、及びカプロラクトン変性体などが挙げられるが、これらに限られるものではない。これらの中でも、硬化物の硬度、耐擦傷性が良好となる観点から、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。また、これらの化合物は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
<(2−2)エポキシ(メタ)アクリレート類(B−2)>
エポキシ(メタ)アクリレート類(B−2)は、エポキシ化合物に対して(メタ)アクリロイルオキシ基を有するカルボン酸を反応させて得ることができる。エポキシ化合物としては、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、炭素数1〜12の直鎖アルコールの両末端グリシジルエーテル体、ジエチレングリオールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテルなどが挙げられる。(メタ)アクリロイルオキシ基を有するカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸などが挙げられる。
<(2−3)ウレタン(メタ)アクリレート類(B−3)>
本発明において、ウレタン(メタ)アクリレート類(B−3)は、ウレタン結合、チオウレタン結合、又はウレア結合を有し、且つ(メタ)アクリレート構造を有する化合物を含む。
ウレタン(メタ)アクリレート類(B−3)は、アルコール化合物(B−3−1)、多官能チオール化合物(B−3−2)、又は多官能アミン化合物(B−3−3)に対して、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(B−3−4)を反応させることによって得られる。あるいは、アルコール化合物(B−3−1)とイソシアネート化合物(B−3−5)をイソシアナト基過剰の条件化で縮合反応を行い、末端にイソシアナト基を有するポリウレタン化合物を合成した後、末端イソシアナト基に対して(メタ)アクリロイル基を有するアルコール化合物(B−3−6)を縮合反応させることによって得られる。
アルコール化合物(B−3−1)としては、具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどの(メタ)アクリロイルオキシ基含有アルコール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、ポリグリセリン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリヒドロキシペンタン、1,4−ジチアン−2,5−ジメタノールトリシクロデカンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ノルボルナンジメタノール、ポリカーボネートジオール類、ポリシロキサンジオール類、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、パーフルオロアルコール類、パーフルオロポリエーテルアルコール類、及びこれらのEO(エチレンオキシド)変性体、PO(プロピレンオキシド)変性体、カプロラクトン変性体が挙げられる。
また、多官能チオール化合物(B−3−2)としては、炭素数2〜20の直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキルチオール類(分子内にチオエーテル構造を有していてもよい)や、該アルキルチオール類のチイラン付加物があげられる。あるいは、前記アルコール化合物(B−3−1)のうち、少なくとも2つのヒドロキシ基を有する化合物と、下記化学式(II)の化合物とを反応させたエステル化合物が挙げられる。
Figure 2017171726
なお、上記化学式(II)中のR及びRは各々独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基若しくは芳香環であり、中でもメチル基又はエチル基が好ましい。また、R及びRの一方が水素原子で、他方が炭素数1〜10のアルキル基(特にメチル基又はエチル基)であることがさらに好ましい。pは0以上2以下の整数であり、好ましくは0又は1である。qは0又は1であり、好ましくは0である。
化学式(II)の化合物の具体例としては、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトブタン酸、3−メルカプトブタン酸、4−メルカプトブタン酸、2−メルカプトイソブタン酸、2−メルカプトイソペンタン酸、3−メルカプトイソペンタン酸、3−メルカプトイソヘキサン酸が挙げられ、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトブタン酸が好ましい。
多官能アミン化合物(B−3−3)としては、イソホロンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ヘキサメチレンジアミン、メラミン、メラミン誘導体等が挙げられる。硬化物の耐候性、硬度の観点から、イソホロンジアミン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、メラミンが好ましい。
(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(B−3−4)としては、例えば(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものとして、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルイソシアネート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルイソシアネート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)オキシエチルイソシアネート、3−(メタ)アクリロイルオキシフェニルイソシアネート、4−(メタ)アクリロイルオキシフェニルイソシアネート、1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル−2−メチル−2−イソシアネート、1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル−2−イソシアネート等が挙げられる。
イソシアネート化合物(B−3−5)としては、前述の(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(B−3−4)のほか、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びその水添物、キシリレンジイソシアネート及びその水添物、ノルボルナンジイソシアネート、更にそれらのアロファネート体、2量体(ウレトジオン)、3量体(イソシアヌレート)が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有するアルコール化合物(B−3−6)としては、例えば(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものとして、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、前述のエポキシ(メタ)アクリレート類(B−2)等が挙げられる。
<(3)重合開始剤(C)>
本実施形態で用いられる重合開始剤(C)は、有機無機複合体(A)の(メタ)アクリロイル基又は多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の(メタ)アクリロイル基を反応させ、有機無機複合体(A)又は多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の単独重合体を得ることができるものである。また、本実施形態で用いられる重合開始剤(C)は、有機無機複合体(A)の(メタ)アクリロイル基と多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の(メタ)アクリロイル基とを反応させ、有機無機複合体(A)と多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)との共重合体を得ることができるものである。重合開始剤としては、以下のものを例示することができる。
例えば、光(紫外線、可視光等)によりラジカルを発生する光重合開始剤や、熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤が挙げられる。また、イオン重合により硬化反応を行う場合には、イオン重合開始剤(例えば、光酸発生剤や光塩基発生剤)を用いることができる。これらの重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−フェニルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド及びジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキシドが挙げられる。これらの光重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
本実施形態の硬化性組成物中における光重合開始剤(C)の含有量は、硬化性組成物を適度に硬化させる量であれば特に限定されるものではないが、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下を配合することが好ましく、3質量部以上45質量部以下を配合することがより好ましく、5質量部以上40質量部以下を配合することが最も好ましい。
光重合開始剤の配合量が1質量部以上であれば、十分な硬化が行われる。一方、50質量部以下であれば、硬化性組成物の保存安定性が優れており、着色が生じにくい。また、架橋して硬化物を得る際の架橋反応が適度な速度で進行するため、硬化時の割れ等の問題が発生しにくい上、高温処理時のアウトガス成分が抑えられるため、装置を汚染する危険性が低い。
また、熱重合開始剤としては、過酸化物系、アゾ系等の熱重合開始剤が挙げられる。例えば、ベンゾイルオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシピバレート、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2−ビスアゾイソブチロニトリル、ジメチル−2−2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられるが、これらに限られるものではない。また、これらの熱重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
本実施形態の硬化性組成物中における熱重合開始剤の含有量は、前述の光重合開始剤の場合と同様である。また、光重合開始剤と熱重合開始剤は併用してもよい。
<(4)少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)>
本実施形態の硬化性組成物は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)を含有する。そのため、本実施形態の硬化性組成物の硬化物は、従来は密着性が得られにくかったガラス基材に対して良好な密着性を有する。ここで、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシランカップリング剤を含む。
少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)の種類は、2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤であれば特に限定されるものではないが、「(1)有機無機複合体(A)」の項において説明したシランカップリング剤のうち2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤を用いることができる。そして、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
シランカップリング剤の詳細については「(1)有機無機複合体(A)」の項における説明と同様であるので、詳細な説明は省略する。ただし、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)は、アルコキシシリル基及びイソシアナト基を有する化合物(以下「含イソシアナト基化合物」と記すこともある)のイソシアナト基と、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基及び少なくとも1つのヒドロキシ基を有する化合物(以下「含ヒドロキシ基化合物」と記すこともある)のヒドロキシ基との縮合反応物であるウレタン化合物であってもよい。このとき、水酸基価が75mgKOH/g以上の含ヒドロキシ基化合物を用いてもよい。なお、水酸基価は、JIS K1557−1に準拠する方法によって測定されるものである。
含イソシアナト基化合物と含ヒドロキシ基化合物とを縮合反応させて、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)を合成する際には、水酸基価が75mgKOH/g以上の含ヒドロキシ基化合物を用いて、以下のようにして合成してもよい。すなわち、縮合反応に供する含ヒドロキシ基化合物の水酸基価をX(単位はmgKOH/g)、縮合反応に供する含ヒドロキシ基化合物の質量をY(単位はg)、縮合反応に供する含イソシアナト基化合物に由来するイソシアナト基のモル数をZ(単位はmmol)としたときに、Z/(XY/56.1)の値が0.6以上1.2以下となるように、合成してもよい。
このようにして少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)を合成することにより、有機無機複合体(A)や多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)との反応性が高まり、硬化性組成物の硬化物の耐擦傷性や硬度が優れたものになる。また、このようなシランカップリング剤(D)の存在により、特にガラスと硬化物との密着性が高まる。
<(5)フルオロポリエーテル構造及びエチレン性炭素−炭素二重結合を有する含フッ素化合物からなる防汚性付与剤(E)>
本実施形態の硬化性組成物には、フルオロポリエーテル構造及びエチレン性炭素−炭素二重結合を有する含フッ素化合物からなる防汚性付与剤(E)を配合してもよい。硬化性組成物に防汚性付与剤(E)が含有されていれば、硬化性組成物の硬化物は優れた撥水性及び耐擦傷性を備える。
本実施形態の硬化性組成物において用いられる防汚性付与剤(E)は、含フッ素化合物からなり、この含フッ素化合物はフルオロポリエーテル構造及びエチレン性炭素−炭素二重結合を有する化合物である。また、この含フッ素化合物は直鎖状又は環状のポリシロキサン構造をさらに有していてもよい。その分子量は特に限定されるものではないが、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量は1000以上100000以下が好ましい。
フルオロポリエーテル構造の種類は特に限定されるものではないが、好ましい例として、図7に示す3種のパーフルオロポリエーテル構造があげられる。また、ポリシロキサン構造の種類は特に限定されるものではないが、好ましい例として、図8に示すポリシロキサン構造があげられ、より好ましい例として、図9に示す環状ポリシロキサン構造があげられる。
また、含フッ素化合物は、エチレン性炭素−炭素二重結合を有する。そうすれば、これにより、硬化性組成物を硬化する際に、含フッ素化合物のエチレン性炭素−炭素二重結合が有機無機複合体(A)の(メタ)アクリロイル基や多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の(メタ)アクリロイル基と共に共重合するため、硬化性組成物の硬化物に防汚性付与剤(E)が共有結合で結合することとなる。その結果、硬化物の防汚性は特に優れることとなる。
エチレン性炭素−炭素二重結合を有する含フッ素化合物としては、例えば、特開2010−95695号公報や特開2010−53114号公報に記載された化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
以上のように、本実施形態の硬化性組成物は、有機無機複合体(A)及び多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の少なくとも一方と、重合開始剤(C)と、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)と、を含有するが、これらの成分の質量比は以下のようにする必要がある。
すなわち、前述したように、本実施形態の硬化性組成物が有機無機複合体(A)を含有する場合には、有機無機複合体(A)の含有量は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)の含有量を100質量部として0質量部超過800質量部以下とする必要がある。また、本実施形態の硬化性組成物が多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)を含有する場合には、多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有量は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)の含有量を100質量部として0質量部超過500質量部以下とする必要がある。
有機無機複合体(A)の含有量が800質量部以下であれば、無機酸化物微粒子の性質の影響が好適に反映されるため、膜状の硬化物の靱性が低下したり自立膜の形成が困難となったりするおそれがない。また、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)の相対的な量比が十分となるため、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)とガラスとの結合形成が十分に行われて、硬化物とガラス基材との密着性が優れたものとなる。
また、多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有量が500質量部以下であれば、膜状の硬化物の場合に、硬化収縮によって膜が大きく反ったりクラックが発生したりするおそれがない。
さらに、本実施形態の硬化性組成物における上記成分の質量比は、以下のようにしてもよい。
すなわち、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)の含有量を100質量部とした場合の有機無機複合体(A)と多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の合計の含有量は、100質量部以上1000質量部以下とすることが好ましく、150質量部以上850質量部以下とすることがより好ましく、200質量部以上700質量部以下とすることがさらに好ましい。
また、重合開始剤(C)の含有量は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下とすることが好ましく、3質量部以上45質量部以下とすることがより好ましく、5質量部以上40質量部以下とすることがさらに好ましい。
さらに、防汚性付与剤(E)の含有量は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)100質量部に対して、0質量部超過5質量部以下とすることが好ましく、0質量部超過4質量部以下とすることがより好ましく、0質量部超過3質量部以下とすることがさらに好ましい。
重合開始剤(C)の含有量が1質量部以上であれば、架橋密度が高く鉛筆硬度、耐擦傷性などの性能が優れる硬化物が得られやすい。また、重合開始剤(C)の含有量が50質量部以下であれば、必要以上の架橋の進行によって硬化膜の反りが誘発されるという問題や、未反応の重合開始剤(C)が残存成分となり加熱時にアウトガスが生じる、乃至は、ブリードアウトするという問題が生じにくい。
さらに、防汚性付与剤(E)の含有量が5質量部以下であれば、防汚性付与剤(E)による効果が十分に得られ、防汚性、動摩擦係数、接触角等の性能が十分な硬化物が得られるとともに、硬化物の表面の架橋密度が高く、鉛筆硬度、耐擦傷性等の性能が優れる硬化物が得られやすい。
本実施形態の硬化性組成物には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、硬化性組成物や硬化物に所望の特性を付与する添加剤(F)を配合してもよい。添加剤(F)としては、例えば、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、消泡剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、染料、スリップ剤、連鎖移動剤があげられる。
また同様に、本実施形態の硬化性組成物には、柔軟性の付与や密着性のコントロールを行う目的で、1つの二重結合を有する化合物である単官能モノマー(G)を配合してもよい。単官能モノマー(G)としては、1つの(メタ)アクリロイルオキシ基、1つの(メタ)アクリロイル基、又は1つのビニル基を有する化合物が好ましい。例えば、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖のエーテル結合を含んでいてもよいアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)クリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物(塩素イオン)、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物(塩素イオン)、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エトキシ化−o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、m−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド塩化メチル4級塩、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(アクリル)アミド、ビニルオキサゾリン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、ノニルフェノールエチレンオキシド(EO)変性(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルエチルオキサゾリドンが挙げられる。
本実施形態の硬化性組成物には有機溶剤(H)を配合することができる。
有機溶剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類や、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類や、トルエン、キシレン等の芳香族化合物があげられる。また、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素や、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類や、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類が挙げられる。これらの有機溶剤の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンが好ましい。
有機溶剤(H)の割合は特に限定されるものではなく、有機溶剤の種類、硬化性組成物の性状、硬化性組成物を使用する対象の基材の種類、形状などに応じて、適宜設定すればよい。
本発明においては、樹脂やガラス等の種々の材質からなる物品の表面にコーティングして、耐擦傷性や防汚性等の表面性能を向上させる材料をハードコート材という。有機溶剤を配合した本実施形態の硬化性組成物はハードコート材として用いることができる。
本発明の液状のハードコート材を塗布、噴霧、浸漬等の慣用の方法によって種々の材質(樹脂、ガラス等)の基材の表面に膜状に配した上、該ハードコート材を熱又は活性エネルギー線によって硬化させるとともに有機溶剤を乾燥等により除去すれば、基材の表面にハードコート膜を被覆することができる。
慣用の方法によって、本実施形態の硬化性組成物をフィルム状に加工するとともに硬化性組成物の硬化及び有機溶剤(H)の除去を行えば、硬化性組成物のフィルム状の硬化物を得ることができる。該硬化性組成物がハードコート材である場合は、該フィルム状の硬化物はハードコート膜となる。
例えば、ガラス基材の表面にハードコート膜を形成する場合であれば、ガラス基材の表面にハードコート材を塗布し、10℃以上180℃以下で有機溶剤(H)等の揮発成分を乾燥させた後、活性エネルギー線、熱等によりハードコート材を硬化させれば、ハードコート膜がガラス基材の表面に被覆された積層体を得ることができる。
熱による硬化を行う場合には、その熱源としては、例えば、電気ヒーター、赤外線ランプ、熱風等を用いることができる。熱により重合を行う場合の好ましい硬化条件は、温度が10℃以上180℃以下、時間が10秒以上24時間以下である。
活性エネルギー線による硬化を行う場合には、ハードコート材をコーティングした後に短時間でハードコート材を硬化させることができるものであるならば、その活性エネルギー線の種類は特に限定されるものではないが、例えば、可視光線、紫外線、電子線、赤外線、γ線、X線等をあげることができる。
可視光線の線源としては、日光、可視光ランプ、蛍光灯、レーザー等をあげることができる。さらに、紫外線の線源としては、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、レーザー等をあげることができる。さらに、電子線の線源としては、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式、及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式を挙げることができる。
次に、本実施形態の硬化性組成物、ハードコート材、及びハードコート膜の用途について説明する。
本実施形態の硬化性組成物は、ハードコート材として、表面保護のための被覆材(ハードコート、クリアハードコート)や反射防止膜などのハードコート膜の用途に好適であり、反射防止や被覆の対象となる基材としては、例えば、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン樹脂)、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP樹脂)等)、金属、木材、紙、ガラス、サファイアガラス、スレート等を挙げることができる。そして、本実施形態の硬化性組成物は、特にガラスに対して優れた密着性を有している。
これら基材の形状は特に限定されるものではなく、例えば板状、フィルム状、3次元成形体があげられる。ハードコート材のコーティング方法としては、通常のコーティング方法、例えばグラビア印刷、マイクログラビア印刷、インクジェットコート、ディッピングコート、スプレーコート、フローコート、シャワーコート、ロールコート、スピンコート、刷毛塗り等を挙げることができる。これらコーティングにおける塗膜の厚さは、乾燥及び硬化の後の厚さで、通常は0.1μm以上400μm以下であり、好ましくは1μm以上200μm以下である。
本実施形態のハードコート膜を基材表面に形成して得られたハードコート基材は、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、光学特性に優れているので、例えば、光ディスク、自動車ヘッドランプ、自動車等の車体、携帯電話端末本体、太陽電池、タッチパネル、テレビ受像機、ディスプレイ装置(例えばフレキシブルディスプレイ装置)、パーソナルコンピュータ等の表面被覆に適用することができる。特に、本実施形態のハードコート膜は、ガラス基材に対する密着性が優れているので、例えば、液晶用カバーガラス、タッチパネル用前面板ガラス、保護ガラス、屋外用ガラス、建材用ガラス、キッチン用ガラス等の表面被覆に適用することができる。
本実施形態のハードコート膜は、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、光学特性に優れているので、プラスチック光学部品、タッチパネル、フィルム型液晶素子、プラスチック容器の他、建築内装材としての床材、壁材、人工大理石等の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コーティング材として特に好適である。
また、本実施形態のハードコート膜は、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル多用途ディスク)、MO(光磁気ディスク)、BD(ブルーレイディスク)等の記録用ディスクや、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の保護膜等として特に好適である。
以下に実施例及び比較例を示して、表を参照しながら本発明をより詳細に説明する。
(1)少なくとも2つのアクリロイル基を有するシランカップリング剤(無機酸化物微粒子修飾剤)の合成
[合成例1]:シランカップリング剤(K−1)の合成
セパラブルフラスコに、反応溶媒であるトルエン285.6gと、ヒドロキシ基を有する多官能アクリレートであるジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート46.7質量%、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート23.1質量%、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート27.9質量%、その他不明物2.3質量%の混合物;DPPA混合物、水酸基価は101mgKOH/g)200gとを投入し、撹拌しながらセパラブルフラスコの内温が50℃となるように加熱し、均一溶液とした。
次に、アルコキシシリル基を有するイソシアネート化合物として3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン(商品名KBE−9007;信越化学工業株式会社製)83.8gと、反応触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネート(商品名ZC−700:マツモトファインケミカル株式会社製、不揮発分20質量%トルエン溶液)0.3gとを投入し、6時間の加熱撹拌を行った後、さらに室温で10時間撹拌を行った。
得られた反応液について、FT−IR(Thermo−Nicolet社製Avatar 360)にて2250cm−1のイソシアナト基由来のピークを分析した結果、該ピークは消失しており、反応の進行が確認され、シランカップリング剤(K−1)の不揮発分50.0質量%トルエン溶液571gが得られた。
(2)有機無機複合体分散液の合成
[製造例1]:有機無機複合体分散液(L−1)の合成
イソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカ(シリカ含量30質量%、シリカの平均粒子径10〜20nm、商品名スノーテックIPA−ST;日産化学株式会社製)200gをセパラブルフラスコに入れ、さらに、前記合成例1にて合成したシランカップリング剤(K−1)のトルエン溶液106.3g(不揮発分50.0質量%)を加え、攪拌混合して均一溶液とした。
さらに、この混合液に、反応触媒として0.18質量%のHCl水溶液5.0gを加え、内温40℃の条件で6時間加熱撹拌することにより、シリカ微粒子の表面処理を行い、中間反応液(L’−1)310.0gを得た。
次に、得られた中間反応液(L’−1)200.0gを、ガス吹き込み口が具備されたフラスコに入れ、さらに、メチルイソブチルケトン514.1g、重合禁止剤として2,6−ジターシャリーブチル−パラ−クレゾール0.036gを投入して均一な溶液とした。
次に、フラスコ内温を40℃に加熱し、酸素が5%含まれた窒素ガスを100mL/minの速度で溶液内にバブリングしながら系内を減圧し、溶媒の留去操作を行った。不揮発分が45質量%となるように溶媒を留去することで、有機無機複合体分散液(L−1)159gを得た。
[製造例2]:有機無機複合体分散液(L−2)の合成
イソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカ(シリカ含量30質量%、シリカの平均粒子径10〜20nm、商品名スノーテックIPA−ST;日産化学株式会社製)500gをセパラブルフラスコに入れ、さらに、シランカップリング剤として3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名KBM−5103;信越化学工業株式会社製)45gを加え、攪拌混合して均一溶液とした。
さらに、この混合液に、反応触媒として0.18質量%のHCl水溶液8.3gを加え、内温40℃の条件で6時間加熱撹拌することにより、シリカ微粒子の表面処理を行い、中間反応液(L’−2)553.0gを得た。
次に、得られた中間反応液(L’−2)200.0gを、ガス吹き込み口が具備されたフラスコに入れ、さらに、メチルイソブチルケトン394.0g、重合禁止剤として2,6−ジターシャリーブチル−パラ−クレゾール0.034gを投入して均一な溶液とした。
次に、フラスコ内温を40℃に加熱し、酸素が5%含まれた窒素ガスを100mL/minの速度で溶液内にバブリングしながら系内を減圧し、溶媒の留去操作を行った。不揮発分が45質量%となるように溶媒を留去することで、有機無機複合体分散液(L−2)168gを得た。
Figure 2017171726
(3)硬化性組成物の調製
[調製例1]:硬化性組成物(M−1)の調製
少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートDPHA(商品名SARTOMER DPHA;SARTOMER社製)42質量部及びトリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート(商品名アロニックスM−315;東亞合成株式会社製)33.6質量部と、重合開始剤(C)として2−ヒドロキシシクロヘキシルアセトフェノン(商品名IRG184;BASF社製)4質量部と、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)として合成例1にて合成したシランカップリング剤(K−1)のトルエン溶液(不揮発分50.0質量%)48.8質量部とを混合し、不揮発分すなわち溶剤以外の成分が38質量%となるようにメチルイソブチルケトン145.3質量部を加えることで、硬化性組成物(M−1)を得た。
[調製例2]:硬化性組成物(M−2)の調製
防汚性付与剤(E)として、アクリロイル基及びシロキサン単位を有するフルオロポリエーテル系防汚性付与剤(商品名KY−1203;信越化学工業株式会社製)1質量部をさらに添加する点以外は、調製例1と同様の操作を行って(各化合物等の使用量については表2を参照)、硬化性組成物(M−2)を得た。
Figure 2017171726
[調製例3]:硬化性組成物(M−3)の調製
各化合物等の使用量が異なる点以外は、調製例2と同様の操作を行って(各化合物等の使用量については表2を参照)、硬化性組成物(M−3)を得た。
[調製例4]:硬化性組成物(M−4)の調製
有機無機複合体(A)として、製造例1で得られた有機無機複合体分散液(L−1)41.9質量部をさらに添加する点以外は、調製例2と同様の操作を行って(各化合物等の使用量については表2を参照)、硬化性組成物(M−4)を得た。
[調製例5]:硬化性組成物(M−5)の調製
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートDPHAを使用しない点以外は、調製例4と同様の操作を行って(各化合物等の使用量については表2を参照)、硬化性組成物(M−5)を得た。
[調製例6]:硬化性組成物(M−6)の調製
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートDPHA及びトリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレートを使用しない点、及び、有機無機複合体(A)の配合量を表2の通りとした以外は、調製例4と同様の操作を行って(各化合物等の使用量については表2を参照)、硬化性組成物(M−6)を得た。
[調製例7]:硬化性組成物(M−7)の調製
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートDPHA及びトリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレートを使用しない点以外は、調製例4と同様の操作を行って(各化合物等の使用量については表2を参照)、硬化性組成物(M−7)を得た。
[調製例8]:硬化性組成物(M−8)の調製
有機無機複合体(A)として、製造例1で得られた有機無機複合体分散液(L−1)に換えて製造例2で得られた有機無機複合体分散液(L−2)を使用する点以外は、調製例5と同様の操作を行って(各化合物等の使用量については表2を参照)、硬化性組成物(M−8)を得た。
[調製例9]:硬化性組成物(M−9)の調製
少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)を使用しない点以外は、調製例2と同様の操作を行って(各化合物等の使用量については表2を参照)、硬化性組成物(M−9)を得た。
[調製例10]:硬化性組成物(M−10)の調製
各化合物等の使用量が異なる点以外は、調製例2と同様の操作を行って(各化合物等の使用量については表2を参照)、硬化性組成物(M−10)を得た。この調製例10は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)の使用量が少なすぎる場合の例である。
[調製例11]:硬化性組成物(M−11)の調製
各化合物等の使用量が異なる点以外は、調製例4と同様の操作を行って(各化合物等の使用量については表2を参照)、硬化性組成物(M−11)を得た。この調製例11は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)の使用量が少なすぎる場合の例である。
[調製例12]:硬化性組成物(M−12)の調製
少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)に換えて、1つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名KBM−5103;信越化学工業株式会社製))を使用する点以外は、調製例2と同様の操作を行って(各化合物等の使用量については表2を参照)、硬化性組成物(M−12)を得た。
[調製例13]:硬化性組成物(M−13)の調製
少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)に換えて、1つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名KBM−5103;信越化学工業株式会社製))を使用する点以外は、調製例5と同様の操作を行って(各化合物等の使用量については表2を参照)、硬化性組成物(M−13)を得た。
[調製例14]:硬化性組成物(M−14)の調製
少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)を使用しない点以外は、調製例5と同様の操作を行って(各化合物等の使用量については表2を参照)、硬化性組成物(M−14)を得た。
(4)コーティングフィルムの作製と評価
[実施例1]
硬化性組成物(M−1)を、乾燥塗膜の厚さが5μmとなるように、厚さ700μmの板状のガラス基材(商品名ゴリラガラス2;コーニング社製)上に塗布し、150℃で30分間乾燥させた。次に、コンベア露光機を用いて、窒素ガス雰囲気下、UVランプ(高圧水銀)により積算露光量で200mJ/cmの紫外線を照射し、硬化性組成物(M−1)を硬化させ、硬化性組成物(M−1)の硬化物(ハードコート膜)がコーティング処理されたガラス基材(以下「コーティングガラス」と記す)を得た。得られたコーティングガラスは、後述の評価方法に則った各種試験へ供し、コーティングガラスのハードコート膜の評価を行った。
[実施例2〜8、比較例1〜6]
実施例1の硬化性組成物(M−1)をそれぞれ硬化性組成物(M−2)〜(M−14)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にてコーティングガラスを取得し、実施例1と同様に各種試験へ供した。
(5)コーティングガラスの評価方法
[鉛筆硬度の評価]
表面性測定器(新東科学株式会社製のトライボギア14FW)及び鉛筆硬度測定用鉛筆(三菱鉛筆株式会社製の三菱UNI)を用いて、JIS K5600−5−4に規定の方法に基づき、コーティングガラスのハードコート膜の鉛筆硬度を測定した。測定荷重は750g、測定の速度は30mm/min、測定距離は5mmとした。測定は5回行い、合格数が4/5を超えた鉛筆の硬度を評価結果とした。結果を表3に示す。
[光学特性の評価]
光学特性については、全光線透過率、Haze、b*の3項目について評価を行った。全光線透過率とHazeは、ヘーズメーター・曇り度計(日本電色工業株式会社製のNDH−5000)を用いて測定した。全光線透過率はJIS K7361、HazeはJIS K7136に規定の方法に基づき、それぞれ評価した。b*は、色差計(日本電色工業株式会社製のSD−6000)を用いて、JIS K8729に規定の方法に基づき評価した。結果を表3に示す。
[耐擦傷性の評価]
表面性測定器(新東科学株式会社製のトライボギア14FW)及びスチールウール(ボンスター販売株式会社製のスチールウール等級(番手)#0000)を用いて、コーティングガラスのハードコート膜の耐擦傷性を測定した。傷の有無については、目視により観察し、下記の基準で評価を行った。
A:傷無し
B:部分的に傷有り
C:全面に傷有り
詳述すると、コーティングガラスのハードコート膜の上にスチールウールを載置し、荷重175g/cmを付与しつつ直線移動させ、これを1000回往復させることにより、ハードコート膜の表面をスチールウールで擦った。そして、傷の有無(目視観察による)について評価した。結果を表3に示す。
[撥水性(水接触角)]
測定液3μLをコーティングガラスのハードコート膜の上に滴下し、滴下5秒後の水接触角を、自動接触角計(協和界面科学株式会社製のDM−501)を用いて測定した。角度の算出にはθ/2法を適用した。結果を表3に示す。
[密着性]
コーティングガラス上にクロスカットガイド(コーテック株式会社製)を載置し、カッターナイフを用いてコーティングガラスのハードコート膜をマス目状に切断した。1つのマスは縦横2mm四方をなし、縦10マス、横10マスで合計100マスが形成されるように切断した。
切断したハードコート膜に粘着テープ(ニチバン株式会社製のセロテープ(登録商標))を貼り付け、十分に密着させた後に粘着テープをハードコート膜から引き剥がした。そして、ハードコート膜のガラス基材からの剥離状況を目視により観察し、合計100マスのうちガラス基材から剥離せず残ったマスの割合から、以下の評価基準にて密着性を判定した。
5B:剥離無し
4B:剥離が5マス未満
3B:剥離が5マス以上15マス未満
2B:剥離が15マス以上35マス未満
1B:剥離が35マス以上
Figure 2017171726
実施例1〜8は、硬化性組成物が少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)を含有しているので、ガラスに対する密着性が優れていた。これに対して、比較例1、6は、硬化性組成物が少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)を含有していないので、ガラスに対する密着性が不十分であった。
また、比較例4、5は、硬化性組成物がシランカップリング剤を含有しているものの、分子内に(メタ)アクリロイル基を1つしか有さないシランカップリング剤であるので、ガラスに対する密着性が不十分であった。
さらに、比較例2、3は、硬化性組成物が少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)を含有しているものの、その含有量が少なすぎるため、ガラスに対する密着性が不十分であった。

Claims (9)

  1. 少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤が無機酸化物微粒子の表面に共有結合で結合した有機無機複合体(A)及び少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の少なくとも一方と、
    重合開始剤(C)と、
    少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)と、
    を含有し、
    前記有機無機複合体(A)を含有する場合の前記有機無機複合体(A)の含有量は、前記少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)の含有量を100質量部として0質量部超過800質量部以下であり、
    前記多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)を含有する場合の前記多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有量は、前記少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)の含有量を100質量部として0質量部超過500質量部以下である硬化性組成物。
  2. 前記少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)が下記化学式(I)で表される化合物である請求項1に記載の硬化性組成物。
    ただし、下記化学式(I)中のMは、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基及び少なくとも1つのヒドロキシ基を有する化合物のヒドロキシ基残基を示す。また、Xは酸素原子又は硫黄原子を示す。さらに、R及びRは、炭素数1以上10以下の直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキル基、又は、炭素数が1以上3以下のアルキル基を有していてもよいフェニル基を示し、RとRは同一であってもよいし異なっていてもよい。さらに、Rは、炭素数1以上10以下の直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキレン基、又は、炭素数が1以上3以下のアルキル基を有していてもよいフェニレン基を示し、このアルキレン基は鎖中に酸素原子を含んでいてもよい。さらに、lは0以上2以下の整数を示し、mは1以上3以下の整数を示し、lとmの和は3であり、nは1以上3以下の整数を示す。
    Figure 2017171726
  3. 前記化学式(I)中のXは酸素原子であり、lは0であり、mは3であり、Rはメチル基又はエチル基であり、Rは直鎖状のプロピレン基である請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(D)は、アルコキシシリル基及びイソシアナト基を有する化合物のイソシアナト基と、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基及び少なくとも1つのヒドロキシ基を有する化合物のヒドロキシ基との縮合反応物であるウレタン化合物である請求項2又は請求項3に記載の硬化性組成物。
  5. 前記少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基及び少なくとも1つのヒドロキシ基を有する化合物の水酸基価が75mgKOH/g以上である請求項4に記載の硬化性組成物。
  6. フルオロポリエーテル構造及びエチレン性炭素−炭素二重結合を有する含フッ素化合物からなる防汚性付与剤(E)をさらに含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  7. 前記無機酸化物微粒子が、シリカ、チタニア、ジルコニア、及びアルミナからなる群から選ばれる少なくとも1つの微粒子である請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物。
  9. 請求項8に記載の硬化物がガラス基材の表面に膜状に配された積層体。
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