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JP6277839B2 - 太陽電池封止材およびこれを用いた太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池封止材およびこれを用いた太陽電池モジュール Download PDF

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Description

本発明は、接着性、耐熱性および透明性に優れた太陽電池封止材、およびそれを用いた太陽電池モジュールに関する。
近年、地球温暖化等の環境問題に対する意識が高まる中、特に太陽光発電については、そのクリーン性や無公害性という点から期待が高まっている。
太陽光発電は、太陽光エネルギーを、シリコンやGaAs等の半導体(太陽電池素子)を用いて直接電気エネルギーに変換する。太陽電池素子は、物理的衝撃や酸素、水等に弱いため、封止材や保護部材などで保護する必要がある。そこで、一般的に、太陽光発電用のモジュール(太陽電池モジュール)は、表側透明保護部材(ガラス等)、封止材、太陽電池素子、封止材、裏側保護部材(バックシート)等を順次積層し、一体化した構成となっている。ここで、太陽電池素子に接する封止材には、太陽電池素子やその他保護部材(ガラス、バックシート等)との接着性、耐熱性、透明性などが求められる。
太陽電池封止材の原料としては、柔軟性、透明性等の観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと省略することがある)が広く用いられている。しかしEVAは、自然環境下で長期使用する際、耐熱性や耐久性が劣り、また太陽電池モジュールを構成する各種部材との接着性も不十分である。そこで、EVAを有機過酸化物等の架橋剤により架橋して、耐熱性や耐久性を向上させる技術(たとえば特許文献1)がある。しかし、架橋工程が必要となるため太陽電池モジュールの生産性に劣り、また接着性も十分とはいえない。
一方、特許文献2では、EVA、有機過酸化物およびエチレン・酢酸ビニル・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体を含有し、各種部材との接着性に優れた太陽電池封止材が開示されている。しかし、本技術においても、封止材の架橋工程が必要となるため、太陽電池モジュールの生産性には劣る。
また、特許文献3では、融点が90℃以上のエチレン系重合体と、エチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体を含有した、架橋せずとも実用に適した耐熱性および接着性を有する太陽電池封止材が開示されている。特許文献3に開示されている封止材は、融点90℃以上のエチレン系重合体を主成分とすることで耐熱性を担保しており、実施例では、94℃以上のエチレン系樹脂からなる封止材が開示されている。しかし、融点の高いエチレン系樹脂は一般的に密度や結晶性が高く、透明性が低いため、この配合設計では、高いレベルで耐熱性と透明性を両立することが困難であった。
特開昭62−14111号公報 特開平4−325531号公報 特開2011−108790号公報
そこで、本発明の目的は、架橋せずとも接着性、耐熱性、および透明性に優れた封止材および、それを用いた太陽電池モジュールを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定のポリオレフィン系樹脂、シラン変性ポリオレフィン系樹脂およびエポキシ変性ポリオレフィン系樹脂を含有する接着層を1層以上有し、かつ特定の結晶融解熱量を有する太陽電池封止材が、ガラスや太陽電池セルへの接着性に優れ、耐熱性、透明性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[6]に関する。
[1]下記(A)、(B−1)および(B−2)を含有する接着層を最外層に1層以上有し、かつ下記条件(i)を満たすことを特徴とする、太陽電池封止材、
(A)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃未満のポリオレフィン系樹脂
(B−1)シラン変性ポリオレフィン系樹脂
(B−2)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂
(i)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)が1.5〜30J/g
[2]上記(B−1)が、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃以上のシラン変性ポリエチレン系樹脂を含有することを特徴とする、[1]に記載の太陽電池封止材、
[3]上記(B−2)が、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃以上のエポキシ変性ポリエチレン系樹脂を含有することを特徴とする、[1]または[2]に記載の太陽電池封止材、
[4]上記接着層が更に下記(C)を含有することを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の太陽電池封止材、
(C)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃以上のポリオレフィン系樹脂
[5]更に上記接着層以外の層を有し、該接着層以外の層が、下記(D)および(E)を含有し、下記条件(ii)を満たすことを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の太陽電池封止材、
(D)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃未満のポリオレフィン系樹脂
(E)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃以上のポリオレフィン系樹脂
(ii)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)が1.5〜30J/g
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の太陽電池封止材を用いた太陽電池モジュール。
本発明によれば、ガラスや太陽電池セルへの接着性に優れ、耐熱性、透明性に優れた太陽電池封止材、およびそれを用いた太陽電池モジュールが得られる。
X°以上の結晶融解熱量ΔHm(≧X℃)の計算方法を示す図である。 耐熱性を評価する際のクリープ試験用サンプルを示す図である。
以下に本発明について詳細に説明する。
本明細書において、「主成分」とは、本発明の封止材の作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。更に、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、構成成分全体の50質量%以上、好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であって100質量%以下の範囲を占める成分である。
本発明の太陽電池封止材は、下記(A)、(B−1)および(B−2)を含有する接着層を1層以上有し、条件(i)を満たす。
(A)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点90℃未満のポリオレフィン系樹脂
(B−1)シラン変性ポリオレフィン系樹脂
(B−2)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂
条件(i)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)が1.5〜30J/g
<接着層を構成する樹脂>
(A)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点90℃未満のポリオレフィン系樹脂
本発明に用いられる(A)の種類は、融点が90℃未満であれば特に限定されるものではないが、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アイオノマー等の1種または2種以上を主成分とすることが好ましい。中でも、柔軟性、耐候性、透明性に優れる点から、ポリエチレン系樹脂が好ましい。ポリエチレン系樹脂としては、例えば、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(エチレン/α−オレフィン共重合体)などが挙げられる。これらの中でも、結晶性が低く、光透過率および柔軟性に優れる観点からエチレン/α−オレフィン共重合体が好ましく、該共重合体の中でも、エチレン/α−オレフィンランダム共重合体がより好ましい。本発明に用いられる(A)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
エチレン/α−オレフィン共重合体は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である。ここで、エチレンと共重合するα−オレフィンの種類としては、エチレン/α−オレフィン共重合体の融点が90℃未満であることが確保できれば、特に限定されるものではないが、通常、炭素数が3〜20のα−オレフィンが好適に用いられ、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が例示される。これらの中でも、工業的な入手のしやすさ、経済性等の観点から、1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンが好ましい。エチレンと共重合するα−オレフィンは、1種のみを単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、エチレンと共重合するα−オレフィン由来の単量体単位の含有量は、エチレン/α−オレフィン共重合体の融点が90℃未満であることを確保できれば、特に限定されるものではないが、エチレン/α−オレフィン共重合体を構成する全単量体単位を100質量%とした場合、5〜50質量%であることが好ましく、10〜45質量%であることがより好ましく、15〜40質量%であることがさらに好ましい。α−オレフィン由来の単量体単位の含有量が5質量%以上であれば、共重合成分により結晶性が低減されることにより、透明性(例えば、全光線透過率など)が向上するとともに、融点を下げることができる。また、α−オレフィン由来の単量体単位の含有量が50質量%以下であれば、全ての材料を混合してペレットを作製する場合には、原料ペレットのブロッキングの発生等が抑制されるため好ましい。なお、エチレンと共重合するα−オレフィンの種類および含有量は、周知の方法、例えば、核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)測定装置、その他の機器分析装置で分析することができる。
また、エチレン/α−オレフィン共重合体は、融点が90℃未満であることを確保できれば、エチレンおよびα−オレフィン由来の単量体単位以外のその他の単量体単位を含有していてもよい。その他の単量体としては、例えば、アクリル酸エステル、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物(スチレンなど)、ポリエン化合物等が挙げられる。その他の単量体単位の含有量は、エチレン/α−オレフィン共重合体中の全単量体単位を100質量%とした場合、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
本発明に用いられる(A)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点は、90℃未満であれば特に限定されるものではないが、透明性や柔軟性を良好にする観点から、85℃以下であることがより好ましく、80℃以下であることがさらに好ましい。また、封止材のブロッキング防止等の観点から、40℃以上であることが好ましく、45℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(A)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点の範囲は、45〜85℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。
ここで、融点の参考値としては、汎用の高密度ポリエチレン(HDPE)が130〜145℃程度、低密度ポリエチレン(LDPE)が100〜125℃程度、汎用のホモポリプロピレンが165℃程度、汎用のプロピレン−エチレンランダム共重合体が130〜150℃程度である。融点は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7121に準じて加熱速度10℃/分で測定することができる。
本発明に用いられる(A)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量は、封止材のブロッキング防止等の観点から、5J/g以上であることが好ましく、10J/g以上であることがより好ましく、20J/g以上であることがさらに好ましい。また、透明性や柔軟性を良好にする観点から、90J/g以下であることが好ましく、80J/g以下であることがより好ましく、70J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(A)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量の範囲は、5〜90J/gであることが好ましく、10〜80J/gであることがより好ましく、20〜70J/gであることがさらに好ましい。結晶融解熱量は実施例に記載の方法で測定できる。
また、本発明に用いられる(A)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)は、透明性や柔軟性を良好にする観点から、1.0J/g以下であることが好ましく、0.1J/g以下であることがより好ましく、0.01J/g以下であることがさらに好ましい。なお、90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)は、実施例に記載する方法で測定することができる。
本発明に用いられる(A)の、JIS K7210に準拠するメルトフローレート(荷重:21.18N、温度:190℃(ポリエチレン系樹脂)、230℃(ポリプロピレン系樹脂))は、製膜性および封止材の耐熱性の観点から、0.5〜10g/10minであることが好ましく、1.0〜5.0g/10minであることがより好ましい。
本発明に用いられる(A)の密度は、封止材のブロッキング防止等の観点から、0.865g/cm以上が好ましく、0.868g/cm以上がより好ましく、0.870g/cm以上がさらに好ましい。また、透明性や柔軟性を良好にする観点から、0.900g/cm未満が好ましく、0.895g/cm未満がより好ましく、0.891g/cm未満がさらに好ましい。密度は実施例に記載の方法で測定できる。なお、本発明に用いられる(A)の密度の範囲は、0.865g/cm以上0.900g/cm未満であることが好ましく、0.868g/cm以上0.895g/cm未満であることがより好ましく、0.870g/cm以上0.891g/cm未満であることがさらに好ましい。
本発明の太陽電池封止材の接着層における(A)の含有量は、柔軟性および透明性の観点から、接着層中40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。また、耐熱性の観点から、98質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下がさらに好ましい。なお、本発明の太陽電池封止材の接着層における(A)の含有量の範囲は、接着層中40〜98質量%であることが好ましく、50〜95質量%であることがより好ましく、60〜90質量%であることがさらに好ましい。
本発明に用いられる(A)の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のエチレン重合用触媒を用いた公知の重合方法が採用できる。
公知の重合方法としては、例えば、チーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒、並びにメタロセン系触媒およびポストメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、気相重合法等が挙げられ、さらには、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。
本発明に用いられる(A)は、比較的軟質の樹脂であることが好ましいが、その一方で、原料ペレットのブロッキングを抑制できることが好ましい。このため、(A)は、低分子量の成分が少なく分子量分布の狭い樹脂が得られるシングルサイト触媒を用いて製造することが好ましい。
なお、(A)には、シラン変性ポリオレフィン系樹脂や、エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂は含まれないものとする。
本発明に用いられる(A)の具体例としては、日本ポリエチレン社製の商品名「カーネル(Karnel)」、ダウ・ケミカル社製の商品名「エンゲージ(Engage)」、「アフィニティー(Affinity)」、三井化学社製の商品名「タフマーA(TAFMER A)」、「タフマーP(TAFMER P)」、「タフマーH(TAFMER H)」、LGケミカル社製の商品名「LUCENE」等が挙げられる。
(B−1)シラン変性ポリオレフィン系樹脂
本発明に用いられる(B−1)は、分子内に複数のシラン化合物由来の単量体単位を含有するポリオレフィン系樹脂である。このようなものとしては、ポリオレフィン系樹脂にシラン化合物がグラフト重合したグラフト重合体が挙げられる。本発明における(B−1)の含有量は、接着性の観点から、接着層中、1質量%以上が好ましく、2.5質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。また、透明性やコストの観点から、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。なお、本発明における(B−1)の含有量の範囲は、接着層中、1〜50質量%であることが好ましく、2.5〜40質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることがさらに好ましい。
(B−1)の種類は、特に限定されないが、柔軟性や相溶性の観点から、少なくともエチレン由来の単量体単位と、1種以上のエチレン性不飽和シラン化合物由来の単量体単位を含有する共重合体である、シラン変性ポリエチレン系樹脂を主成分として含有するのが好ましい。なお、エチレン性不飽和シラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシランなどが挙げられる。
シラン変性ポリエチレン系樹脂の製造方法は特に限定されるものではないが、ポリエチレン系樹脂、エチレン性不飽和シラン化合物およびラジカル発生剤を高温で溶融混合し、グラフト重合することにより得ることができる。また、本発明に用いられるシラン変性ポリエチレン系樹脂中のエチレン性不飽和シラン化合物由来の単量体単位の含有量は、特に限定されるものではないが、接着性を良好にするために、シラン変性ポリエチレン系樹脂を構成する全単量体単位を100質量%とした場合、0.05質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることが更に好ましい。また、原料ペレットのブロッキング防止等の観点から、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(B−1)中のエチレン性不飽和シラン化合物量は、0.05〜40質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましく、1.0〜20質量%であることがさらに好ましい。シラン変性ポリエチレン系樹脂を構成する各種単量体単位の種類と含有量は、周知の方法、例えば、NMR測定装置、その他の機器分析装置で分析することができる。本発明に用いられる(B−1)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
なお、本発明に用いられるシラン変性ポリエチレン系樹脂は、エチレンおよびエチレン性不飽和シラン化合物由来の単量体単位以外のその他の単量体単位を含有していてもよい。その他の単量体としては、例えば、炭素数3〜30のα−オレフィン、アクリル酸エステル、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物(スチレンなど)、ポリエン化合物等が挙げられる。その他の単量体単位の含有量は、シラン変性ポリエチレン系樹脂を構成する全単量体単位を100質量%とした場合、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。また、本発明に用いられるシラン変性ポリエチレン系樹脂は、エチレン性不飽和シラン化合物由来の単量体単位の含有量(質量%)未満であれば、その他の単量体単位として、後述する(B−2)で用いられるようなエポキシ基含有オレフィン由来の単量体単位を含有していてもよい。
本発明に用いられるシラン変性ポリエチレン系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは8千以上、より好ましくは1万以上、さらに好ましくは10万以上である。該範囲であれば、封止材からシラン変性ポリエチレン系樹脂がブリードアウトすることを抑制でき、好ましい。なお、重量平均分子量の上限は特に制限されないが、通常30万程度である。
本発明に用いられるシラン変性ポリエチレン系樹脂の具体例としては、三菱化学社製の商品名「リンクロン(LINKLON)」等が挙げられる。
本発明に用いられるシラン変性ポリエチレン系樹脂は、(B−1−1)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点90℃未満のシラン変性ポリエチレン系樹脂および、(B−1−2)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点90℃以上のシラン変性ポリエチレン系樹脂のいずれであってもよく、(B−1−1)と(B−1−2)の混合物であってもよいが、封止材の耐熱性を良好にする観点から、(B−1−2)を含有することが好ましい。とくに、本発明の封止材の接着層が、後述する(B−2−2)や(C)を含有しない場合は、(B−1−2)を含有することが好ましい。
本発明におけるシラン変性ポリエチレン系樹脂の含有量((B−1−1)と(B−1−2)の両方を使用する場合は、その合計量)は、接着性の観点から、接着層中、1質量%以上が好ましく、2.5質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。また、透明性やコストの観点から、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。なお、本発明におけるシラン変性ポリエチレン系樹脂の含有量((B−1−1)と(B−1−2)の両方を使用する場合は、その合計量)の範囲は、接着層中、1〜50質量%であることが好ましく、2.5〜40質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることがさらに好ましい。
(B−1−1)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点90℃未満のシラン変性ポリエチレン系樹脂
本発明に用いられる(B−1−1)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点は、90℃未満であれば特に限定されないが、透明性や柔軟性を良好にする観点から、85℃以下であることがより好ましく、80℃以下であることがさらに好ましい。また、封止材のブロッキング防止等の観点から、40℃以上であることが好ましく、45℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(B−1−1)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点の範囲は、45℃〜85℃が好ましく、50℃〜80℃がより好ましい。
また、本発明に用いられる(B−1−1)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量は、封止材のブロッキング防止等の観点から、5J/g以上であることが好ましく、10J/g以上であることがより好ましく、20J/g以上であることがさらに好ましい。また、透明性や柔軟性を良好にする観点から、90J/g以下であることが好ましく、80J/g以下であることがより好ましく、70J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(B−1−1)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量の範囲は、5〜90J/gであることが好ましく、10〜80J/gであることがより好ましく、20〜70J/gであることがさらに好ましい。
(B−1−2)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点90℃以上のシラン変性ポリエチレン系樹脂
本発明に用いられる(B−1−2)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点は、90℃以上であれば特に限定されないが、耐熱性の観点から、100℃以上であることがより好ましく、110℃以上であることがさらに好ましい。また、柔軟性や透明性の観点から、160℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、140℃以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(B−1−2)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点の範囲は、100℃〜150℃がより好ましく、110℃〜140℃がさらに好ましい。
また、本発明に用いられる(B−1−2)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量は、耐熱性の観点から、90J/g以上であることが好ましく、100J/g以上であることがより好ましく、105J/g以上であることがさらに好ましい。また、透明性や柔軟性を良好にする観点から、160J/g以下であることが好ましく、150J/g以下であることがより好ましく、140J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(B−1−2)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量の範囲は、90〜160J/gであることが好ましく、100〜150J/gであることがより好ましく、105〜140J/gであることがさらに好ましい。
また、より高い耐熱性を確保する観点から、90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)は、10J/g以上が好ましく、20J/g以上がより好ましく、30J/g以上がさらに好ましい。また透明性の観点から、ΔH≧90℃は、130J/g以下であることが好ましく、110J/g以下であることがより好ましく、100J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(B−1−2)の示差走査熱量測定における90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)の範囲は、10〜130J/gであることが好ましく、20〜110J/gであることがより好ましく、30〜100J/gであることがさらに好ましい。
また、120℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧120℃)は、5J/g以上が好ましく、10J/g以上がより好ましく、15J/g以上がさらに好ましい。また透明性の観点から、ΔH≧120℃は、100J/g以下であることが好ましく、50J/g以下であることがより好ましく、45J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(B−1−2)の示差走査熱量測定における120℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧120℃)の範囲は、5〜100J/gであることが好ましく、10〜50J/gであることがより好ましく、15〜45J/gであることがさらに好ましい。
なお、ある温度(90℃や120℃)以上の結晶融解熱量は、実施例に記載する方法で測定することができる。
(B−2)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂
本発明に用いられる(B−2)は、分子内に複数のエポキシ基を含有するポリオレフィン系樹脂である。本発明における(B−2)の含有量は、接着性の観点から、接着層中、1質量%以上が好ましく、2.5質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。また、透明性やコストの観点から、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。また、本発明における(B−2)の含有量の範囲は、接着層中、1〜50質量%であることが好ましく、2.5〜40質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることがさらに好ましい。
本発明に用いられる(B−2)の種類は、特に限定されないが、柔軟性や相溶性の観点から、少なくともエチレン由来の単量体単位と、1種以上のエポキシ基含有オレフィン由来の単量体単位を含有する共重合体である、エポキシ変性ポリエチレン系樹脂を主成分として含有するのが好ましい。なお、エポキシ基含有オレフィンとしては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジルなどが挙げられる。エポキシ変性ポリエチレン系樹脂の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、エチレンにエポキシ基含有オレフィンを共重合することで、製造することができる。また、本発明に用いられるエポキシ変性ポリエチレン系樹脂中のエポキシ基含有オレフィン由来の単量体単位の含有量は、特に限定されるものではないが、接着性を良好にするために、エポキシ変性ポリエチレン系樹脂を構成する全単量体単位を100質量%とした場合0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、1.2質量%以上であることが更に好ましい。また、原料ペレットのブロッキング防止等の観点から、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(B−2)中のポキシ基含有オレフィン由来の単量体単位の含有量は、0.5〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、1.2〜20質量%であることがさらに好ましい。エポキシ変性ポリエチレン系樹脂の各種単量体単位の種類と含有量は、周知の方法、例えば、NMR測定装置、その他の機器分析装置で分析することができる。本発明に用いられる(B−2)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明に用いられるエポキシ変性ポリエチレン系樹脂を構成する単量体単位としては、エチレンおよびエポキシ基含有オレフィン由来の単量体単位以外のその他の単量体単位を含有していてもよい。その他の単量体としては、例えば、炭素数3〜30のα−オレフィン、アクリル酸エステル、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物(スチレンなど)、ポリエン化合物等が挙げられる。その他の単量体単位の含有量は、エポキシ変性ポリエチレン系樹脂の全単量体単位を100質量%とした場合、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。また、本発明に用いられるエポキシ変性ポリエチレン系樹脂は、エポキシ基含有オレフィン由来の単量体単位の含有量(質量%)未満であれば、その他の単量体単位として、前述した(B−1)で用いられるようなエチレン性不飽和シラン化合物由来の単量体単位を含有していてもよい。
本発明に用いられるエポキシ変性ポリエチレン系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは8千以上、より好ましくは1万以上、さらに好ましくは10万以上である。該範囲であれば、封止材からエポキシ変性ポリエチレン系樹脂がブリードアウトすることを抑制でき、好ましい。なお、重量平均分子量の上限は特に制限されないが、通常30万程度である。
本発明に用いられるエポキシ変性ポリエチレン系樹脂の具体例としては、住友化学社製の商品名「ボンドファースト(BONDFAST)7B」、商品名「ボンドファースト(BONDFAST)E」、アルケマ社製の商品名「ロタダー(LOTADER)GMA」等が挙げられる。
本発明に用いられるエポキシ変性ポリエチレン系樹脂は、(B−2−1)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点90℃未満のエポキシ変性ポリエチレン系樹脂および、(B−2−2)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点90℃以上のエポキシ変性ポリエチレン系樹脂のいずれであってもよく、(B−2−1)と(B−2−2)の混合物であってもよいが、封止材の耐熱性を良好にする観点から、(B−2−2)を含有することが好ましい。とくに、本発明の封止材の接着層が、前述した(B−1−2)や、後述する(C)を含有しない場合は、(B−2−2)を含有することが好ましい。
本発明におけるエポキシ変性ポリエチレン系樹脂の含有量((B−2−1)と(B−2−2)の両方を使用する場合は、その合計量)は、接着性の観点から、接着層中、1質量%以上が好ましく、2.5質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。また、透明性やコストの観点から、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。なお、本発明におけるエポキシ変性ポリエチレン系樹脂の含有量((B−2−1)と(B−2−2)の両方を使用する場合は、その合計量)の範囲は、接着層中、1〜50質量%であることが好ましく、2.5〜40質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることがさらに好ましい。
(B−2−1)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点90℃未満のエポキシ変性ポリエチレン系樹脂
本発明に用いられる(B−2−1)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点は、90℃未満であれば特に限定されないが、透明性や柔軟性を良好にする観点から、85℃以下であることがより好ましく、80℃以下であることがさらに好ましい。また、封止材のブロッキング防止等の観点から、40℃以上であることが好ましく、45℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(B−2−1)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点の範囲は、45〜85℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。
また、本発明に用いられる(B−2−1)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量は、封止材のブロッキング防止等の観点から、5J/g以上であることが好ましく、10J/g以上であることがより好ましく、20J/g以上であることがさらに好ましい。また、透明性や柔軟性を良好にする観点から、90J/g以下であることが好ましく、80J/g以下であることがより好ましく、70J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(B−2−1)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量の範囲は、5〜90J/gであることが好ましく、10〜80J/gであることがより好ましく、20〜70J/gであることがさらに好ましい。
(B−2−2)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点90℃以上のエポキシ変性ポリエチレン系樹脂
本発明に用いられる(B−2−2)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点は、90℃以上であれば特に限定されないが、耐熱性の観点から100℃以上がより好ましく、105℃以上であることがさらに好ましい。また、柔軟性や透明性の観点から、160℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、140℃以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(B−2−2)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点の範囲は、100℃〜150℃がより好ましく、105℃〜140℃がさらに好ましい。
また、本発明に用いられる(B−2−2)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量は耐熱性の観点から、90J/g以上であることが好ましく、100J/g以上であることがより好ましく、105J/g以上であることがさらに好ましい。また、透明性や柔軟性を良好にする観点から、160J/g以下であることが好ましく、150J/g以下であることがより好ましく、140J/g以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明に用いられる(B−2−2)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量の範囲は、90〜160J/gであることが好ましく、100〜150J/gであることがより好ましく、105〜140J/gであることがさらに好ましい。
また、より高い耐熱性を確保する観点から、90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)は、10J/g以上が好ましく、20J/g以上がより好ましく、30J/g以上がさらに好ましい。また透明性の観点から、ΔH≧90℃は、130J/g以下であることが好ましく、110J/g以下であることがより好ましく、100J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(B−2−2)の示差走査熱量測定における90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)の範囲は、10〜130J/gであることが好ましく、20〜110J/gであることがより好ましく、30〜100J/gであることがさらに好ましい。
また、120℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧120℃)は、5J/g以上が好ましく、10J/g以上がより好ましく、15J/g以上がさらに好ましい。また透明性の観点から、ΔH≧120℃は、100J/g以下であることが好ましく、50J/g以下であることがより好ましく、45J/g以下であることがさらに好ましい。ある温度(90℃や120℃)以上の結晶融解熱量は、実施例に記載する方法で測定することができる。なお、本発明に用いられる(B−2−2)の示差走査熱量測定における120℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧120℃)の範囲は、5〜100J/gであることが好ましく、10〜50J/gであることがより好ましく、15〜45J/gであることがさらに好ましい。
本発明の太陽電池封止材の接着層における(A)、(B−1)及び(B−2)の含有量は、接着性およびコストの観点から、接着層中、(A)40〜98質量%、(B−1)1〜50質量%及び(B−2)1〜50質量%であるのが好ましく、(A)50〜95質量%、(B−1)2.5〜40質量%及び(B−2)2.5〜40質量%であるのがより好ましく、(A)60〜90質量%、(B−1)5〜30質量%及び(B−2)5〜30質量%であるのがさらに好ましい。
また、本発明の太陽電池封止材の接着層は、条件(i)を満たしやすくするために、さらに示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点90℃以上のポリオレフィン系樹脂(C)を含有してもよい。なお、(C)には、シラン変性ポリオレフィン系樹脂や、エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂は含まれないものとする。
(C)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点90℃以上のポリオレフィン系樹脂
本発明に用いられる(C)は、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃以上のもので、シラン変性やエポキシ変性がされていないものであれば、特に限定されるものではない。たとえば、低密度ポリエチレン、エチレン/α−オレフィン共重合体、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどが挙げられる。なかでも、柔軟性および耐熱性を両立しやすい観点から、(C−1)エチレン/α−オレフィンブロック共重合体、および(C−2)エチレン/α−オレフィンランダム共重合体が好適に用いられる。なお、(C−1)エチレン/α−オレフィンブロック共重合体および(C−2)エチレン/α−オレフィンランダム共重合体の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点は、耐熱性の観点から100℃以上であることがより好ましく、110℃以上であることがさらに好ましい。また、柔軟性や透明性の観点から、160℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、140℃以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(C−1)および(C−2)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点の範囲は、100℃〜150℃がより好ましく、110℃〜140℃がさらに好ましい。
ここで、太陽電池封止材の透明性を最も重視する際には(C−1)エチレン/α−オレフィンブロック共重合体を使用するのが好ましく、コストを最も重視する際には(C−2)エチレン/α−オレフィンランダム共重合体を使用することが好ましい。なお、本発明に用いられる(C)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明における(C)の含有量は、耐熱性と透明性との両立の観点から、接着層中、0〜30質量%が好ましく、0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%がさらに好ましい。
(C−1)エチレン/α−オレフィンブロック共重合体
本発明に用いられる(C−1)において、エチレンと共重合するα−オレフィンとしては、通常、炭素数が3〜20のものが好適に用いられ、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が挙げられる。これらの中でも、工業的な入手のしやすさ、諸特性(柔軟性、耐熱性、透明性、耐衝撃性)、経済性等の観点から、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテンが好適である。α−オレフィンは1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このようなエチレン/α−オレフィンブロック共重合体は、非晶性のソフトセグメントと、高結晶性のハードセグメントとが混在することにより、融点を高くして耐熱性を良好にしつつ、柔軟性を付与できる点で好適である。
本発明に用いられる(C−1)中におけるα−オレフィン由来の単量体単位の含有量は、(C−1)の融点が90℃以上であることを確保できれば特に限定されるものではないが、エチレン/α−オレフィン共重合体を構成する全単量体単位を100質量%とした場合、通常1〜50質量%、好ましくは5〜45質量%、より好ましくは10〜40質量%である。α−オレフィン由来の単量体単位の含有量が1質量%以上であれば、柔軟性を付与できる。また、α−オレフィン由来の単量体単位の含有量が50質量%以下であれば、耐熱性を確保できる。
また、本発明に用いられる(C−1)は、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃以上であることを確保できれば、エチレンおよびα−オレフィン由来の単量体単位以外のその他の単量体単位を含有していてもよい。その他の単量体としては、例えば、アクリル酸エステル、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物(スチレンなど)、ポリエン化合物等が挙げられる。その他の単量体単位の含有量は、(C−1)を構成する全単量体単位を100質量%とした場合、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
本発明に用いられる(C−1)のブロック構造は、柔軟性、耐熱性および透明性等のバランスの観点から、諸物性(コモノマー含有率、結晶性、密度、融点およびガラス転移温度等)のうちの少なくとも一つの物性が異なる2つ以上、好ましくは3つ以上のセグメントまたはブロックを有するマルチブロック構造であることが好ましい。具体的には、完全対称ブロック、非対称ブロック、テーパードブロック構造(ブロック構造の比率が主鎖内で漸増する構造)などが挙げられる。該マルチブロック構造を有する共重合体の構造や製造方法については、国際公開第2005/090425号パンフレット、国際公開第2005/090426号パンフレット、および国際公開第2005/090427号パンフレット等で詳細に開示されているものを採用することができる。
マルチブロック構造を有するエチレン/α−オレフィンブロック共重合体(C−1)としては、エチレンに対してα−オレフィンが多く共重合されたほぼ非晶性のソフトセグメントと、エチレンに対してα−オレフィンが少なく共重合された融点が高めの高結晶性のハードセグメントとが、各々2つ以上存在するマルチブロック共重合体が好ましい。これらのソフトセグメントとハードセグメントの連鎖長や比率を制御することにより、柔軟性と耐熱性の両立を達成することができる。マルチブロック構造を有するエチレン/α−オレフィンブロック共重合体(C−1)は、α−オレフィンとして1−オクテンを用いた場合、柔軟性と耐熱性の両立をより達成しやすくすることができる。
本発明に用いられる(C−1)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量は、耐熱性の観点から、5J/g以上であることが好ましく、10J/g以上であることがより好ましく、30J/g以上であることがさらに好ましい。また、透明性や柔軟性を良好にする観点から、100J/g以下であることが好ましく、90J/g以下であることがより好ましく、70J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(C−1)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量の範囲は、5〜100J/gであることが好ましく、10〜90J/gであることがより好ましく、30〜70J/gであることがさらに好ましい。
また、より高い耐熱性を確保する観点から、90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)は、10J/g以上が好ましく、20J/g以上がより好ましく、30J/g以上がさらに好ましい。また透明性の観点から、ΔH≧90℃は、90J/g以下であることが好ましく、80J/g以下であることがより好ましく、60J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(C−1)の90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)の範囲は、10〜90J/gであることが好ましく、20〜80J/gであることがより好ましく、30〜60J/gであることがさらに好ましい。
また、120℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧120℃)は、5J/g以上が好ましく、10J/g以上がより好ましく、15J/g以上がさらに好ましい。また透明性の観点から、ΔH≧120℃は、80J/g以下であることが好ましく、50J/g以下であることがより好ましく、45J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(C−1)の120℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧120℃)の範囲は、5〜80J/gであることが好ましく、10〜50J/gであることがより好ましく、15〜45J/gであることがさらに好ましい。
本発明に用いられる(C−1)のJIS K7210に準拠するメルトフローレート(温度190℃、荷重21.18N)は、製膜性および封止材の耐熱性の観点から、0.1〜10g/10minであることが好ましく、0.5〜5.0g/10minであることがより好ましい。
本発明に用いられる(C−1)の密度は、耐熱性の観点から、0.865g/cm以上であることが好ましく、0.870g/cm以上であることがより好ましく、0.874g/cm以上であることがさらに好ましい。また、透明性の観点から、0.900g/cm未満が好ましく、0.895g/cm未満がより好ましく、0.891g/cm未満がさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(C−1)の密度の範囲は、0.865g/cm以上0.900g/cm未満であることが好ましく、0.870g/cm以上0.895g/cm未満であることが好ましく、0.874g/cm以上0.891g/cm未満であることがさらに好ましい。
本発明に用いられる(C−1)の具体例としては、ダウ・ケミカル社製の商品名「インフューズ(Infuse)」が挙げられる。
(C−2)エチレン/α−オレフィンランダム共重合体
本発明に用いられる(C−2)において、エチレンと共重合するα−オレフィンとしては、通常、炭素数が3〜20のものが好適に用いられ、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が挙げられる。これらの中でも、工業的な入手のしやすさ、経済性等の観点から、1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンが好ましい。エチレンと共重合するα−オレフィンは、1種のみを単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる(C−2)において、エチレンと共重合するα−オレフィン由来の単量体単位の含有量としては、エチレン/α−オレフィンランダム共重合体の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃以上であることを確保できれば特に限定されるものではなく、エチレン/α−オレフィンランダム共重合体を構成する全単量体単位を100質量%とした場合、1〜20質量%であることが好ましく、2〜15質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることがさらに好ましい。該範囲内であれば、融点が高くなり、耐熱性を確保しやすいため好ましい。
本発明に用いられる(C−2)は、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃以上であることを確保できれば、エチレンおよびα−オレフィン由来の単量体単位以外のその他の単量体単位を含有していてもよい。その他の単量体としては、例えば、アクリル酸エステル、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物(スチレンなど)、ポリエン化合物等が挙げられる。その他の単量体の含有量は、(C−2)構成する全単量体単位を100質量%とした場合、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
本発明に用いられる(C−2)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量は、耐熱性の観点から、90J/g以上であることが好ましく、100J/g以上であることがより好ましく、105J/g以上であることがさらに好ましい。また、透明性や柔軟性を良好にする観点から、160J/g以下であることが好ましく、150J/g以下であることがより好ましく、140J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(C−2)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量の範囲は、90〜160J/gであることが好ましく、100〜150J/gであることがより好ましく、105〜140J/gであることがさらに好ましい。
また、より高い耐熱性を確保する観点から、90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)は、10J/g以上が好ましく、20J/g以上がより好ましく、30J/g以上がさらに好ましい。また透明性の観点から、ΔH≧90℃は、130J/g以下であることが好ましく、110J/g以下であることがより好ましく、100J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(C−2)の90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)の範囲は、10〜130J/gであることが好ましく、20〜110J/gであることがより好ましく、30〜100J/gであることがさらに好ましい。
また、120℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧120℃)は、5J/g以上が好ましく、10J/g以上がより好ましく、15J/g以上がさらに好ましい。また透明性の観点から、ΔH≧120℃は、100J/g以下であることが好ましく、50J/g以下であることがより好ましく、45J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(C−2)の120℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧120℃)の範囲は、5〜100J/gであることが好ましく、10〜50J/gであることがより好ましく、15〜45J/gであることがさらに好ましい。
本発明に用いられる(C−2)のJIS K7210に準拠するメルトフローレート(温度190℃、荷重21.18N)は、製膜性および耐熱性の観点から、0.1〜10g/10minであることが好ましく、0.5〜5.0g/10minであることがより好ましい。
本発明に用いられる(C−2)の密度は、特に制限されるものではないが、耐熱性の観点から、0.910g/cm以上であることが好ましく、0.911g/cm以上であることがより好ましく、0.912g/cm以上であることがさらに好ましい。また、柔軟性の観点から、0.965g/cm以下であることが好ましく、0.940g/cm以下であることがより好ましく、0.925g/cm以下であることがさらに好ましい。なお、本発明に用いられる(C−2)の密度の範囲は、0.910〜0.965g/cmであることが好ましく、0.911〜0.940g/cmであることがより好ましく、0.912〜0.925g/cmであることがさらに好ましい。
本発明に用いられる(C−2)の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のエチレン重合用触媒を用いた公知の重合方法が採用できる。公知の重合方法としては、例えば、チーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒、並びにメタロセン系触媒およびポストメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、気相重合法等が挙げられ、さらには、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。
(C−2)エチレン/α−オレフィンランダム共重合体の具体例としては、プライムポリマー社製の商品名「NEOZEX」、住友化学社製の商品名「エクセレンVL」、ダウ・ケミカル社製の商品名「アテイン」、日本ポリエチレン社製の商品名「ハーモレックス」等が挙げられる。
<接着層>
本発明の太陽電池封止材における接着層の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量は、本発明の太陽電池封止材が条件(i)を満たせば特に制限されないが、透明性や柔軟性を良好にする観点から、100J/g以下であることが好ましく、90J/g以下であることがより好ましく、80J/g以下であることがさらに好ましい。結晶融解熱量を該範囲内にするため、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃未満の成分(前述した(A)、(B−1−1)、および(B−2−1))の含有量の合計が、接着層中60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることがさらに好ましい。また、ハンドリング性やブロッキング抑制の観点から、接着層の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量は、10J/g以上であることが好ましく、20J/g以上であることがより好ましく、30J/g以上であることがさらに好ましい。なお、本発明の太陽電池封止材における接着層の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量の範囲は、10〜100J/gであることが好ましく、20〜90J/gであることがより好ましく、30〜80J/gであることがさらに好ましい。
これは、接着層を構成する成分の種類や含有量等により調整できる。
また、より高い耐熱性を確保する観点から、本発明の太陽電池封止材における接着層の、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)は、1.0J/g以上が好ましく、1.5J/g以上がより好ましく、2.0J/g以上がさらに好ましい。また透明性や柔軟性の観点から、ΔH≧90℃は、30.0J/g以下であることが好ましく、20.0J/g以下であることがより好ましく、10.0J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本発明の太陽電池封止材における接着層のΔH≧90℃の範囲は、1.0〜30.0J/gであることが好ましく、1.5〜20.0J/gであることがより好ましく、2.0〜10.0J/gであることがさらに好ましい。
また、より高い耐熱性の観点から、接着層の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される120℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧120℃)は、0.01J/g以上が好ましく、0.1J/g以上がより好ましく、0.4J/g以上がさらに好ましい。また透明性の観点から、ΔH≧120℃は、20.0J/g以下であることが好ましく、10.0J/g以下であることがより好ましく、5.0J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本発明の太陽電池封止材における接着層のΔH≧120℃の範囲は、0.01〜20.0J/gであることが好ましく、0.1〜10.0J/gであることがより好ましく、0.4〜5.0J/gであることがさらに好ましい。
なお、ΔH≧90℃およびΔH≧120℃は、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃以上の成分(前述した(B−1−2)、(B−2−2)、および(C))の種類や含有量により調整できる。融点が90℃以上の成分の含有量の合計は、結晶融解熱量を上記範囲内にするため、接着層中、1質量%以上であることが好ましく、1.5質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましい。また、透明性やコストの観点から、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましい。なお、融点が90℃以上の成分の含有量の合計の範囲は、1〜40質量%であることが好ましく、1.5〜30質量%であることがより好ましく、2〜25質量%であることがさらに好ましい。
本発明の太陽電池封止材における接着層のJIS K7210に準拠するメルトフローレート(温度190℃、荷重21.18N)は、特に制限されるものではないが、成膜性や生産性および、ガラスや太陽電池セル等への濡れ性を良好にする観点から、0.5g/10min以上であることが好ましく、1g/10min以上であることがより好ましく、2g/10min以上であることがさらに好ましい。また耐熱性の観点から、30g/10min以下であることが好ましく、15g/10min以下であることがより好ましく、10g/10min以下であることが更に好ましい。なお、本発明の太陽電池封止材における接着層のMFRの範囲は、0.5〜30g/10minであることが好ましく、1〜15g/10minであることが好ましく、2〜10g/10minであることがさらに好ましい。なお、MFRは、接着層を構成する成分のMFRおよび含有量により調整できる。
本発明の太陽電池封止材における接着層は、ガラスへの接着性に優れるシラン変性ポリオレフィン系樹脂と、太陽電池セルへの接着性に優れるエポキシ変性ポリオレフィン系樹脂を含有しているため、ガラスおよび太陽電池セル双方へ良好に接着することができる。本発明の太陽電池封止材における接着層は、シラン変性ポリオレフィン系樹脂とエポキシ変性ポリオレフィン系樹脂の反応性が低いため、押出機等で溶融混練して接着層を成形する間にゲル化せず、生産性に優れる。ここで、ゲル化しないとは、溶融混練し成形した後の接着層の、トルエン可溶物の割合が、1質量%未満であることで確認できる。
<太陽電池封止材>
本発明の太陽電池封止材は、(i)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)が1.5〜30J/gを満たすものである。該結晶融解熱量(ΔH≧90℃)は、耐熱性の観点から、2.0J/g以上がより好ましく、3.0J/g以上がさらに好ましい。また、透明性の観点から、20.0J/g以下であることがより好ましく、10.0J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本発明の太陽電池封止材のΔH≧90℃は、2.0〜20.0J/gであることが好ましく、3.0〜10.0J/gであることがより好ましい。
本発明の太陽電池封止材は、上述した接着層1層以上からなる、接着層のみの構成であってもよいし、上述した接着層を最外層に1層以上積層した、接着層と接着層以外の層との積層構成であってもよい。なお、コストや生産性の観点から、接着層を両最外層(表裏層)とした3層以上の積層構成とすることが好ましい。
本発明の太陽電池封止材を、接着層を最外層に1層以上積層した構成にする場合、接着層以外の層は、(D)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点90℃未満のポリオレフィン系樹脂および(E)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点90℃以上のポリオレフィン系樹脂からなる樹脂組成物を主成分とすることが好ましい。なお、(D)、(E)は、それぞれ(A)、(C)で挙げたものと同様のものが使用できる。ここで、(D)、(E)は、(A)、(C)と同じものを使用しても、違うものを使用してもよい。
本発明の太陽電池封止材における接着層以外の層の結晶融解熱量は、本発明の太陽電池封止材が条件(i)を満たせば特に制限されないが、ハンドリング性の観点から、本層の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量は、10J/g以上であることが好ましく、20J/g以上であることがより好ましく、30J/g以上であることがさらに好ましい。また透明性や柔軟性を良好にする観点から、100J/g以下であることが好ましく、90J/g以下であることがより好ましく、80J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本発明の太陽電池封止材の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量の範囲は、10〜100J/gであることが好ましく、20〜90J/gであることがより好ましく、30〜80J/gであることがさらに好ましい。
結晶融解熱量を該範囲内にするため、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃未満の成分(前述した(D))の含有量が、本層中、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることがさらに好ましい。
これは、本層を構成する成分の種類や含有量等により調整できる。
また、耐熱性の観点から、本発明の太陽電池封止材の接着層以外の層の90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)が、1.5J/g以上であることが好ましく、2.0J/g以上がより好ましく、3.0J/g以上がさらに好ましい。また透明性や柔軟性の観点から、ΔH≧90℃は、30.0J/g以下であることが好ましく、20.0J/g以下であることがより好ましく、10.0J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本層のΔH≧90℃の範囲は、1.5〜30.0J/gであることが好ましく、2〜20.0J/gであることがより好ましく、3〜10.0J/gであることがさらに好ましい。
また、より高い耐熱性の観点から、本層の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される120℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧120℃)は、0.01J/g以上が好ましく、0.1J/g以上がより好ましく、0.4J/g以上がさらに好ましい。また透明性の観点から、ΔH≧120℃は、20.0J/g以下であることが好ましく、10.0J/g以下であることがより好ましく、5.0J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本層のΔH≧120℃の範囲は、0.01〜20.0J/gであることが好ましく、0.1〜10.0J/gであることがより好ましく、0.4〜5.0J/gであることがさらに好ましい。
なお、ΔH≧90℃およびΔH≧120℃は、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃以上の成分(前述した(E))の種類や含有量により調整できる。なお、融点が90℃以上の成分の含有量の合計は、結晶融解熱量を上記範囲内にするため、本層中、1質量%以上であることが好ましく、1.5質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましい。また、透明性やコストの観点から、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましい。なお、融点が90℃以上の成分の含有量の合計の範囲は、本層中、1〜40質量%であることが好ましく、1.5〜30質量%であることがより好ましく、2〜25質量%であることがさらに好ましい。
本発明の太陽電池封止材は、条件(i)を満足すれば、諸物性(柔軟性、耐熱性、透明性、接着性等)や成形加工性または経済性等をさらに向上させる目的で、上述以外の樹脂を含むことができる。上述以外の樹脂として、例えば、粘着付与樹脂、各種エラストマー(スチレン系等)等が挙げられる。
粘着付与樹脂としては、石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂およびロジン系樹脂、並びにこれらの水素添加誘導体等が挙げられる。具体的には、石油樹脂としては、シクロペンタジエンまたはその二量体からの脂環式石油樹脂、C9成分からの芳香族石油樹脂が挙げられる。テルペン樹脂としては、β−ピネンからのテルペン樹脂、テルペン−フェノール樹脂が挙げられる。クマロン−インデン樹脂としては、クマロン−インデン共重合体、クマロン−インデン−スチレン共重合体が挙げられる。ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂等が挙げられる。
また、粘着付与樹脂は、主に分子量により種々の軟化温度を有するものが得られるが、上述のポリオレフィン系樹脂と混合した場合の相溶性、経時的なブリード性、色調または熱安定性等の観点から、軟化温度が100〜150℃の脂環式石油樹脂の水素添加誘導体を用いることが好ましい。前記軟化温度は、120〜140℃であることがより好ましい。粘着付与樹脂の含有量は、封止材の各層を構成する全樹脂の合計量の20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等が挙げられる。中でも、透明性や耐加水分解性の観点から、スチレン系エラストマーが好ましい。スチレン系エラストマーとしては、SEBS(Styrene−Ethylene−Butylene−Styrene)、SEBC(Styrene−Ethylene−Butylene−Crystalline Block Copolymer)、HSBR(水添スチレンブタジエンラバー)等が上げられる。エラストマーの含有量については特に制限されるものではないが、エラストマーの含有量は、封止材の各層を構成する全樹脂の合計量の20質量%以下であることが、耐候性の観点から好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
本発明の太陽電池封止材の各層は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、光拡散剤、造核剤、顔料(例えば白色顔料)、難燃剤、変色防止剤、波長変換剤等が挙げられる。本発明においては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤を含有することが後述する理由等から好ましい。また、本発明の太陽電池封止材の各層は、生産性の観点から、有機過酸化物等の架橋剤を実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、封止材の各層中の0.1質量%以下であることを意味し、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0質量%を意味する。本発明の太陽電池封止材は、架橋剤を含有せずとも、接着性、耐熱性、および透明性に優れている。
酸化防止剤としては、特に限定されるものではなく、種々の市販品が使用できる。酸化防止剤としては、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系等のフェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の各種タイプのものを用いることができる。
モノフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。
ビスフェノール系酸化防止剤としては、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,9,10−テトラオキサスピロ]5,5−ウンデカン等が挙げられる。
高分子型フェノール系酸化防止剤としては、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ビドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキスフェニル)プロピオネート}メタン、ビス{(3,3’−ビス−4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェロール(ビタミンE)等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネート等が挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノおよび/またはジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナスレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
上述した酸化防止剤の中では、酸化防止性能、熱安定性および経済性等の観点から、フェノール系およびホスファイト系の酸化防止剤が好適であり、両者を組み合わせて用いることで、少量で酸化防止性を良好にできる点で好ましい。
酸化防止剤の含有量は、封止材の各層中、0.1〜1.0質量%であることが好ましく、0.2〜0.5質量%であることがより好ましい。
紫外線吸収剤としては、種々の市販品が使用でき、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系等各種タイプのものを用いることができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノール等が挙げられる。
サリチル酸エステル系紫外線吸収剤としては、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、限定されるものではないが、封止材の各層中、0.01〜2.00質量%であることが好ましく、0.05〜0.50質量%であることがより好ましい。
耐候安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定化剤が好適に用いられる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによって著しい相乗効果を有する。
ヒンダードアミン系光安定化剤としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパレート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定化剤の含有量は、封止材の各層中、0.01〜0.50質量%であることが好ましく、0.05〜0.30質量%であることがより好ましい。
上記の酸化防止剤、紫外線吸収剤および耐候安定剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の太陽電池封止材は、条件(i)を満たすため、透明性に優れ、かつ太陽電池モジュールが発電時の発熱や太陽光の輻射熱などにより85〜90℃程度まで昇温しても流動しにくく、耐熱性にも優れる。
また示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される120℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧120℃)は、0.01J/g以上が好ましく、0.1J/g以上がより好ましく、0.4J/g以上がさらに好ましい。また透明性の観点から、ΔH≧120℃は、20.0J/g以下であることが好ましく、10.0J/g以下であることがより好ましく、5.0J/g以下であることがさらに好ましい。なお、本発明の太陽電池封止材のΔH≧120℃の範囲は、0.01〜20.0J/gであることが好ましく、0.1〜10.0J/gであることがより好ましく、0.4〜5.0J/gであることがさらに好ましい。
なお、ΔH≧90℃およびΔH≧120℃は、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃以上の成分(前述した(B−1−2)、(B−2−2)、(C)、(E))の種類や含有量により調整できる。融点が90℃以上の成分の含有量の合計は、結晶融解熱量を上記範囲内にするため、封止材中、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましい。また、透明性やコストの観点から、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましい。なお、融点が90℃以上の成分の含有量の合計の範囲は、封止材中、1〜40質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましく、3〜25質量%であることがさらに好ましい。
本発明の太陽電池封止材の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量は、本発明の太陽電池封止材が前述した条件(i)を満たせば特に制限されないが、透明性や柔軟性を良好にする観点から、100J/g以下であることが好ましく、90J/g以下であることがより好ましく、80J/g以下であることがさらに好ましい。結晶融解熱量を該範囲内にするため、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃未満の成分(前述した(A)と、(B−1−1)、(B−2−1)、(D))の含有量の合計が、封止材中、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることがさらに好ましい。また、耐熱性やブロッキング防止の観点から、太陽電池封止材の結晶融解熱量は、10J/g以上であることが好ましく、20J/g以上であることがより好ましく、30J/g以上であることがさらに好ましい。なお、本発明の太陽電池封止材の、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量の範囲は、10〜100J/gであることが好ましく、20〜90J/gであることがより好ましく、30〜80J/gであることがさらに好ましい。
これは、太陽電池封止材を構成する成分の種類や含有量等により調整できる。
本発明の太陽電池封止材のJIS K7210に準拠するメルトフローレート(温度190℃、荷重21.18N)は、特に制限されるものではないが、成膜性や生産性および、ガラスや太陽電池セル等への濡れ性を良好にする観点から、0.5g/10min以上であることが好ましく、1g/10min以上であることがより好ましく、2g/10min以上であることがさらに好ましい。また耐熱性の観点から、30g/10min以下であることが好ましく、15g/10min以下であることがより好ましく、10g/10min以下であることが更に好ましい。なお、本発明の太陽電池封止材のメルトフローレートの範囲は、0.5〜30g/10minであることが好ましく、1〜15g/10minであることがより好ましく、2〜10g/10minであることがさらに好ましい。
メルトフローレートは、太陽電池封止材を構成する成分の種類や含有量により調整できる。
本発明の太陽電池封止材の全光線透過率は、太陽電池の光電変換効率を著しく低下させないために、太陽電池封止材の膜厚450μmにおいて、86%以上であることが好ましく、89%以上であることがより好ましい。なお、全光線透過率は、実施例に記載の方法で測定できる。
本発明の太陽電池封止材は、架橋しなくても耐熱性が良好であるため、有機過酸化物等の架橋剤を含有する必要がなく、またシラン変性ポリオレフィン系樹脂とエポキシ変性ポリオレフィン系樹脂の反応性も低いため、押出機等で溶融混練して太陽電池封止材を成形する間にゲル化せず、生産性に優れる。ここで、ゲル化しないとは、溶融混練し成形した後の太陽電池封止材の、トルエン可溶物の割合が、1質量%未満であることで確認できる。
<封止材の製造方法>
本発明の太陽電池封止材は、単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等の溶融混合設備を有し、Tダイを用いる押出キャスト法、カレンダー法およびインフレーション法等の方法で製造することができる。本発明においては、ハンドリング性や生産性等の面からTダイを用いる押出キャスト法が好適に用いられる。
また、封止材が多層構造である場合は、押出機を用いて多層Tダイにより共押出キャストすることにより製造できる。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、用いる樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね130〜300℃、好ましくは、150〜250℃である。
本発明の太陽電池封止材の厚みは特に限定されるものではないが、0.03〜1mmであることが好ましく、0.05〜0.7mmであることがより好ましく、0.10〜0.5mmであることがさらに好ましい。
本発明の太陽電池封止材の片面または両面には、ブロッキング防止等のためにエンボス加工が施されていることが好ましい。
<太陽電池モジュール>
本発明の太陽電池封止材を用いた太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができ、具体的には、上部保護材(フロントシート)/本発明の封止材/太陽電池素子/本発明の封止材/下部保護材(バックシート)の構成のもの、下部保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子上に本発明の封止材と上部保護材とを形成した構成のもの、上部保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子、例えばフッ素樹脂系透明保護材上にアモルファス太陽電池素子をスパッタリング等で作製したものの上に、本発明の封止材と下部保護材とを形成した構成のもの等を挙げることができる。また、太陽電池モジュールは、通常は、下部保護材の外面に、ジャンクションボックス(太陽電池セルから発電した電気を外部へ取り出すための配線を接続する端子ボックス)が接続されている。より詳しくは、下部保護材に設けられた貫通孔に配線が通され、該配線により太陽電池セルとジャンクションボックスとが連結され、太陽電池セルの発電電流が外部に電導される。
太陽電池素子としては、例えば、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、アモルファスシリコン型、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル等のIII−V族やII−VI族化合物半導体型、色素増感型、有機薄膜型等が挙げられる。本発明の封止材は、これら太陽電池素子に用いられる酸化インジウムスズ(ITO)膜、酸化亜鉛(ZnO)膜等の透明電極に良好に接着することができるため、これら太陽電池素子を用いた太陽電池モジュールに、好適に使用することができる。
太陽電池モジュールを構成する各部材については、特に限定されるものではないが、上部保護材としては、無機材料や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単層または多層のシートが好ましく用いられる。なかでも、一般的にガラスを用いることが多く、本発明の封止材はガラスに良好に接着することができるため、このような太陽電池モジュールに好適に使用できる。下部保護材としては、無機材料や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単層または多層のシートであり、例えば、錫、アルミニウム、ステンレス等の金属やガラス等の無機材料からなるシート、無機物蒸着ポリエステルフィルム、フッ素含有樹脂またはポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂からなる単層または多層のシート状保護材を挙げることができる。上部および/または下部の保護材の表面には、封止材や他の部材との接着性を向上させるためにプライマー処理やコロナ処理等公知の表面処理を施すことができる。
<太陽電池モジュールの製造方法>
上述した本発明の太陽電池モジュールは、例えば、上部保護材、封止材、太陽電池セル、封止材および下部保護材の順に積層する工程(工程1)と、該工程後に真空吸引して加熱圧着する工程(工程2)により製造することができる。また、本発明の太陽電池モジュールを製造するにあたり、バッチ式の製造設備やロール・トゥ・ロール式の製造設備等も適用することができる。
工程2では、真空ラミネーターを用い、以下の条件で行うことが好ましい。
温度:120〜180℃(より好ましくは125〜160℃、さらに好ましくは130℃〜150℃)
脱気時間:1〜15分(より好ましくは2〜10分、さらに好ましくは3〜8分)
プレス圧力:0.5〜1atm
プレス時間:1〜45分(より好ましくは2〜40分、さらに好ましくは3〜30分)
本発明の太陽電池モジュールは、適用される太陽電池のタイプとモジュール形状により、屋内、屋外に関わらず、さらには小型用、大型用に関わらず各種用途に適用できる。例えば、モバイル機器に代表される小型太陽電池、屋根や屋上に設置される大型太陽電池等に適用することができる。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、これらの実施例および比較例により本発明は制限を受けるものではない。本実施例における樹脂(A)、(B−1)、(B−2)、(C−1)、(C−2)および封止材についての種々の測定および評価は次のようにして行った。
(融点)
示差走査熱量計((株)パーキンエルマー社製、商品名:Pyris1 DSC)を用いて、JIS K7121に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから融点(℃)を求めた。

(結晶融解熱量(ΔH))
示差走査熱量計((株)パーキンエルマー社製、商品名:Pyris1 DSC)を用いて、JIS K7122に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解熱量(J/g)、90℃以上の結晶融解熱量(J/g)、および120℃以上の結晶融解熱量(J/g)を求めた。
なお、あるX℃以上の結晶融解熱量は、X℃以上の融解ピーク面積から算出される。X℃以上の結晶融解熱量の計算方法について、図1を参照して説明する。
図1には3種類の計算方法(図1(1)融解ピーク温度>X℃の場合;図1(2)融解ピーク温度≒X℃の場合;図1(3)融解ピーク温度<X℃の場合)を示している。X℃以上の結晶融解熱量は、図1に示すサーモグラムにおける斜線の部分から計算される。

(メルトフローレート(MFR))
JISK7210に準じて、190℃、荷重21.18NにてMFR(g/10min)を測定した。

(密度)
JISK7112に準じて、密度勾配管法により密度を測定した。

(透明電極(ZnO)との接着性評価)
透明電極つきガラス(ジオマテック社製、10cm×10cm×1.1mm厚み)を15cm×15cm×3mm厚みのガラス板で裏打ちし、これの透明電極側に、実施例および比較例で作製した太陽電池封止材を乗せ、その上にバックシート(Covime社製、商品名:dyMat PYE、総厚295μm、積層構成EVA/EVA(白;酸化チタン含有)/EVA/PET/PET(白;硫酸バリウム含有))を乗せて、150℃10分(内訳、真空引き:5分、プレス:5分)の条件で真空プレスして試料を作製した。なお、このとき、剥離試験時の持ち手部分を作るためにZnOと封止材との間の一部に離型PETフィルムを挟んだ。次に、引張試験機(INTESCO社製、製品名:200X型試験機)を用いて、剥離角度180°、剥離速度50mm/分の条件で剥離試験を行った。剥離試験での最大検出荷重より、接着性を以下の基準で評価した。
(○)最大検出荷重が50N/cm以上
(×)最大検出荷重が50N/cm未満
また、上記評価で(○)になった試料に関しては、85℃85%Rhの恒温恒湿槽内に200時間静置後(ダンプヒート試験200時間後)、再度剥離試験を行い、接着性を評価した。

(ガラスとの接着性評価)
15cm×15cm×3mm厚みのエンボスガラス(旭硝子株式会社製、商品名:ソライト(Solite))のエンボス面に、実施例および比較例で作製した太陽電池封止材を乗せ、その上にバックシート(Covime社製、商品名:dyMat PYE、総厚295μm、積層構成EVA/EVA(白;酸化チタン含有)/EVA/PET/PET(白;硫酸バリウム含有))を乗せて、150℃10分(内訳、真空引き:5分、プレス:5分)の条件で真空プレスして試料を作製した。なお、このとき、エンボスガラスと封止材との間の一部に離型PETフィルムを挟んで、剥離試験時の持ち手部分を作った。次に、引張試験機(INTESCO社製、製品名:200X型試験機)を用いて、剥離角度180°、剥離速度50mm/分の条件で剥離試験を行った。剥離試験での最大検出荷重より、接着性を以下の基準で評価した。
(○)最大検出荷重が50N/cm以上
(×)最大検出荷重が50N/cm未満
また、上記評価で(○)になった試料に関しては、85℃85%Rhの恒温恒湿槽内に200時間静置後(ダンプヒート試験200時間後)、再度剥離試験を行い、接着性を評価した。

(透明性の評価)
厚み3mmの白板ガラス(SCHOTT社製、商品名:B270、サイズ:縦75mm、横25mm)2枚の間に、実施例および比較例で作製した太陽電池封止材を重ね、真空プレス機を用いて、設定温度150℃、真空時間5分、プレス時間30秒の条件で積層プレスした試料を作製し、JISK7105に準じてヘーズメーター(日本電色工業(株)社製、商品名:NDH−5000)を用いて、全光線透過率を測定し、下記の基準で評価した。
(◎)全光線透過率が89%以上
(○)全光線透過率が86%以上89%未満
(×)全光線透過率が86%未満

(耐熱性)
真空プレス機を用いて、150℃10分(内訳、真空引き:5分、プレス:5分)の条件で、熱板側から順に厚み3mmの白板ガラス101(サイズ;縦150mm、横50mm)、カットした厚み0.45mmのシート状の封止材102(サイズ;縦75mm、横26mm)、厚み1.1mmのスライドガラス103(サイズ:縦75mm、横26mm、質量5.4g)を重ね、積層プレスした。その後スライドガラス上にステンレス板104(サイズ:縦75mm、横26mm、質量28g)を貼り合わせ、クリープ試験用サンプル(封止材にかかる荷重:1.5g/cm)を作製した(図2(a)および図2(b)参照)。このサンプルを90℃のオーブン中で、角度90°で20時間放置し、スライドガラス103のずれた距離から、耐熱性を以下のように判断した(図2(c)参照)。
(◎)ずれた距離が1mm未満
(○)ずれた距離が1mm以上2mm未満
(×)ずれた距離が2mm以上

(ゲル分率)
実施例および比較例で得られた封止材約0.4gを、沸騰トルエン中で12時間抽出し、不溶成分の量からゲル分率を計算した。
・封止材を構成する原料を下記する。
融点90℃未満のポリオレフィン系樹脂(A):
(A)エチレン−オクテンランダム共重合体(三井化学製、商品名:タフマーH5030S、MFR:5、密度:0.870g/cm、融点:59℃、結晶融解熱量:48J/g、90℃以上の結晶融解熱量:0J/g、オクテン含有量:32.4質量%)

シラン変性ポリオレフィン系樹脂(B−1):
(B−1−1)シラン変性エチレン−プロピレン−ヘキセン共重合体(三菱化学製、商品名:リンクロンSS732N、MFR:13、密度:0.885g/cm、融点:60℃、結晶融解熱量:40J/g、プロピレン含有量:12質量%、ヘキセン含有量:8質量%、)
(B−1−2)シラン変性エチレン−ブテンランダム共重合体(三菱化学製、商品名:リンクロンXLE815N、MFR:0.5、密度:0.915g/cm、融点:120℃、結晶融解熱量:110J/g、90℃以上の結晶融解熱量:78J/g、120℃以上の結晶融解熱量:16J/g、ブテン含有量:8質量%)

エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂(B−2):
(B−2−1)エチレン−メタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体(アルケマ社製、商品名:ロタダーGMA AX8900、MFR:6、密度:0.950g/cm、融点:60℃、結晶融解熱量:48J/g、グリシジルメタクリレート含有量:8質量%、メタクリレート含有量:24質量%、90℃以上の結晶融解熱量:0J/g)
(B−2−2)エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(アルケマ社製、商品名:ロタダーGMA AX8840、MFR:5、密度:0.940g/cm、融点:109℃、結晶融解熱量:105J/g、90℃以上の結晶融解熱量:50J/g、120℃以上の結晶融解熱量:0J/g、グリシジルメタクリレート含有量:8質量%)

融点90℃以上のポリオレフィン系樹脂(C):
(C−1)エチレン−オクテンマルチブロック共重合体(ダウ・ケミカル社製、商品名:Infuse9000、MFR:0.5、密度:0.875g/cm、融点:120℃、結晶融解熱量:46J/g、90℃以上の結晶融解熱量:40J/g、120℃以上の結晶融解熱量:13J/g、オクテン含有量:30質量%)
(C−2)エチレン−ブテンランダム共重合体(プライムポリマー社製、商品名:NEOZEX0234N、MFR:2、密度:0.919g/cm、融点:120℃、結晶融解熱量:106J/g、90℃以上の結晶融解熱量:85J/g、120℃以上の結晶融解熱量:15J/g、ブテン含有量:7質量%)
実施例1
(A)80質量%、(B−1−1)5質量%、(B−1−2)5質量%、(B−2−1)10質量%の割合で混合した樹脂組成物を用いて、同方向二軸押出機を用いたTダイ法にて樹脂温180℃〜200℃で押出成形した後、25℃のキャストエンボスロールで急冷製膜し、総厚み450μmの単層の太陽電池封止材を得た。得られた封止材を用いて前述のとおり評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2〜3
使用する樹脂組成物を表1に記載の配合に変更した以外は、実施例1と同様にして封止材を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
(I)層として、(A)80質量%、(B−1−1)5質量%、(B−1−2)5質量%、(B−2−1)10質量%の割合で混合した樹脂組成物、また、(II)層として、(A)95質量%、(C−2)5質量%の割合で混合した樹脂組成物をそれぞれ用いて、(I)層/(II)層/(I)層の順に積層されてなるように、同方向二軸押出機を用いたTダイ法にて樹脂温度180〜200℃で共押出成形した後、25℃のキャストエンボスロールで急冷製膜し、総厚み450μmの太陽電池封止材((I)層/(II)層/(I)層=45μm/360μm/45μm)を得た。得られた封止材を用いて前述のとおり評価を行った。結果を表1に示す。
実施例5
使用する樹脂組成物を表1に記載の配合に変更した以外は、実施例4と同様にして封止材を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1〜5
使用する樹脂組成物を表1に記載の配合に変更した以外は、実施例1と同様にして封止材を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006277839
表1の実施例1〜5より、(A)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点90℃未満のポリオレフィン系樹脂、(B−1)シラン変性ポリオレフィン系樹脂、(B−2)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂を含有し、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)が1.5〜30J/gである封止材は、接着性、耐熱性、透明性の優れた太陽電池封止材となっている。一方、比較例1では、(B−1)シラン変性ポリオレフィン系樹脂を含有していないため、ガラスへの接着性に劣る。また、比較例2では、(B−2)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂を含有していないため、透明電極への接着性に劣る。また、比較例3では、(A)融点100℃未満のポリオレフィン系樹脂を含有しておらず、ΔH≧90℃が大きいため、透明性に劣る。また、比較例4、5では、(A)、(B−1)、(B−2)を含有しているが、ΔH≧90℃の範囲が本願発明の範囲外であり、透明性と耐熱性の両立ができていない。
本発明によれば、ガラスや太陽電池セルへの接着性に優れ、耐熱性、透明性に優れた太陽電池封止材、およびそれを用いた太陽電池モジュールが得られる。
101:白板ガラス
102:封止材
103:スライドガラス
104:ステンレス板

Claims (6)

  1. 下記(A)、(B−1)および(B−2)を含有する接着層を最外層に1層以上有し、かつ下記条件(i)を満たすことを特徴とする、太陽電池封止材。
    (A)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃未満のポリオレフィン系樹脂
    (B−1)シラン変性ポリオレフィン系樹脂
    (B−2)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂
    (i)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)が1.5〜30J/g
  2. 前記(B−1)が、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃以上のシラン変性ポリエチレン系樹脂を含有することを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池封止材。
  3. 前記(B−2)が、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃以上のエポキシ変性ポリエチレン系樹脂を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の太陽電池封止材。
  4. 前記接着層が更に下記(C)を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池封止材。
    (C)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃以上のポリオレフィン系樹脂
  5. 更に前記接着層以外の層を有し、該接着層以外の層が、下記(D)および(E)を含有し、下記条件(ii)を満たすことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池封止材。
    (D)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃未満のポリオレフィン系樹脂
    (E)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融点が90℃以上のポリオレフィン系樹脂
    (ii)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される90℃以上の結晶融解熱量(ΔH≧90℃)が1.5〜30J/g
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池封止材を用いた太陽電池モジュール。
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