JP5654804B2 - 太陽電池封止材及びそれを用いて作製された太陽電池モジュール - Google Patents
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Description
前述したように、太陽電池モジュールは主に屋外で長期間使用されるため、その構成や材質構造等に種々の特性が必要とされる。前述した各保護部材の中でも封止材(封止樹脂層)に注目すると、水蒸気バリア性、太陽電池素子を保護する為の柔軟性、太陽電池モジュール製造におけるプロセス適性のための流動特性、耐衝撃性、太陽電池モジュールが発熱した際の耐熱性、太陽電池素子へ太陽光が効率的に届く為の透明性(全光線透過率など)、ガラスやバックシート及びセルとの接着性、耐久性、寸法安定性、絶縁性等が主に要求される。
しかしながら、EVAシートを用いて太陽電池モジュールを製造する場合、その加熱圧着などの諸条件により、EVAの熱分解による酢酸ガスが発生し、作業環境および製造装置に悪影響を及ぼしたり、太陽電池の回路腐食や、太陽電池素子、フロントシート、バックシートなど各部材との界面で剥離が発生したりする等の問題があった。
また、特許文献3には、少なくとも一種のポリオレフィン系共重合体と、少なくとも一種の結晶性ポリオレフィンからなるポリマーブレンドまたはポリマーアロイであることを特徴とする太陽電池封止材が開示されており、具体的には、エチレン−メタクリル酸共重合体と汎用の結晶性ポリエチレンとのポリマーブレンド(実施例2参照)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体と汎用の結晶性ポリプロピレンとのポリマーブレンド(実施例3参照)が用いられている。
また、特許文献4には、エチレン性不飽和シラン化合物と重合用ポリエチレンとを重合させてなるシラン変成樹脂(シラン架橋性樹脂)を有する太陽電池封止材が開示されている。
また、通常封止材に接着性を付与するため、シランカップリング剤を添加する方法が知られているが、時間の経過と共にシランカップリング剤がブリードアウトし、水分と反応することにより接着力が低下するなどの懸念があり、さらなる改善の余地が残されていた。
本発明の課題は、太陽電池モジュールの形成が容易で、接着性、接着力の長期安定性、透明性及び耐熱性のいずれにも優れた太陽電池封止材およびそれを用いて作製された太陽電池モジュールを提供することにある。
すなわち、本発明は、少なくとも、接着層((I)層)と、下記(a)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)と下記(b)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)を含有する樹脂組成物(C)からなる層((II)層)とを有する太陽電池封止材。
(a)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が0〜70J/g
(b)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上であり、かつ、結晶融解熱量が5〜70J/g
また、酢酸による配線腐食や、水蒸気浸透による太陽電池素子の劣化の懸念がなく、作業環境および製造装置への悪影響や、太陽電池モジュールの劣化や発電効率の低下も防ぐことが出来る。さらに、製造設備についてもバッチ式の製造設備に加えて、ロール・ツー・ロール式の製造設備にも適用可能である。
なお、本明細書において、「主成分」とは、本発明の太陽電池封止材の各層を構成する樹脂の作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、一般に樹脂組成物の構成成分全体を100質量部とした場合、50質量部以上であり、好ましくは65質量部以上、さらに好ましくは80質量部以上であって100質量部以下の範囲を占める成分である。
本発明の太陽電池封止材を構成する層のうち、(I)層は接着層である。(I)層に用いられる樹脂組成物は、特に限定されるものではないが、接着性、接着力の長期安定性、透明性及び耐熱性の他、太陽電池封止材の製膜時の生産性の観点から、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするものが好適に用いられる。
(I)層に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、接着性、透明性、生産性及び工業的に入手し易い点から、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(E−MMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(E−EAA)、エチレン−グリシジルメタアクリレート共重合体(E−GMA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、アイオノマー樹脂(イオン架橋性エチレン−メタクリル酸共重合体、イオン架橋性エチレン−アクリル酸共重合体)、シラン変性ポリオレフィン(シラン架橋性ポリオレフィン)、及び無水マレイン酸グラフト共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種の変性ポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。
無水マレイン酸グラフト共重合体は、ポリオレフィン系樹脂、無水マレイン酸、及び後述するラジカル発生剤を高温で溶融混合し、グラフト重合することにより得ることができる。
該未変性ポリオレフィン系樹脂は特に限定されないが、前記変性ポリオレフィン系樹脂を構成するオレフィン単量体を主成分として構成されているものであることが、透明性の観点から好ましい。また、未変性ポリオレフィン系樹脂が、後述する(II)層で用いるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)や、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)であれば、(I)層と(II)層との層間接着性や柔軟性、耐熱性などの観点から好ましい。
また、(I)層を構成する樹脂組成物に、変性ポリオレフィン系樹脂と未変性ポリオレフィン系樹脂を併用する場合、用いる変性ポリオレフィン系樹脂と未変性ポリオレフィン系樹脂は、同一系統の樹脂、例えば、変性ポリエチレン系樹脂と未変性ポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
(I)層にはさらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、諸物性(柔軟性、耐熱性、透明性、接着性など)や成形加工性あるいは経済性などをさらに向上させる目的で前記ポリオレフィン系樹脂以外のその他の樹脂を混合することができる。
該その他の樹脂としては、例えば、スチレン系などのエラストマー各種、カルボキシル基、アミノ基、イミド基、水酸基、エポキシ基、オキサゾリン基、チオール基などの極性基で変性された樹脂及び粘着付与樹脂などが挙げられる。
該紫外線吸収剤の添加量は、(I)層を構成する樹脂組成物100質量部に対し、通常0.01質量部以上、好ましくは0.05質量部以上であり、かつ、2.0質量部以下、好ましくは0.5質量部以下の範囲で添加することが好ましい。
本発明の太陽電池封止材を構成する層のうち、(II)層は下記(a)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)と下記(b)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)を含有する樹脂組成物(C)からなる層である。
(a)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が0〜70J/g
(b)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上であり、かつ、結晶融解熱量が5〜70J/g
本発明に用いられるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)は、上記の条件(a)を満足すれば特に限定されるものではないが、通常、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体が好適に用いられる。ここでエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が例示される。本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点からエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテンが好適に用いられる。エチレンと共重合するα−オレフィンは1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもかまわない。
当該結晶融解熱量は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7122に準じて加熱速度10℃/分で測定することができる。
当該結晶融解ピーク温度は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7121に準じて加熱速度10℃/分で測定することができる。
本発明に用いられるエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)は、既述の条件(b)を満足すれば特に限定されるものではないが、通常、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのブロック共重合体が好適に用いられる。ここでエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が例示される。本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点からエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテンが好適に用いられる。エチレンと共重合するα−オレフィンは1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもかまわない。
該マルチブロック構造を有するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体は、本発明において好適に使用でき、α−オレフィンとして1−オクテンを共重合成分とするエチレン−オクテンマルチブロック共重合体が好ましい。該ブロック共重合体としては、エチレンに対してオクテン成分が多く(約15〜20モル%)共重合されたほぼ非晶性のソフトセグメントと、エチレンに対してオクテン成分が少なく(約2モル%未満)共重合された結晶融解ピーク温度が110〜145℃である高結晶性のハードセグメントが、各々2つ以上存在するマルチブロック共重合体が好ましい。これらのソフトセグメントとハードセグメントの連鎖長や比率を制御することにより、柔軟性と耐熱性の両立を達成することができる。
該マルチブロック構造を有する共重合体の具体例としては、ダウ・ケミカル(株)製の商品名「インフューズ(Infuse)」が挙げられる。
本発明における(II)層は、上述したエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)とエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)を含有する樹脂組成物(C)からなる。ここで、これらの共重合体(A)及び共重合体(B)の各々に用いられるα−オレフィンの種類は、同一であってもよいし、異なっていてもよいが、本発明においては、同一である方が、混合した際の相溶性や太陽電池封止材の透明性が向上する、すなわち、太陽電池の光電変換効率が向上するため好ましい。
硫黄系としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネートなどを挙げることができる。
本発明の太陽電池封止材は、少なくとも前記(I)層と前記(II)層とを有することが必要である。層構成としては、(I)層と(II)層とを各々少なくとも1層有していれば特に限定されるものではなく、例えば(I)層/(II)層という2種2層構成や、(I)層/(II)層/(I)層という2種3層構成、(I)層/(II)層/(I)層/(II)層という2種4層構成などが挙げられる。
このうち、本発明においては、フロントシートやバックシート、太陽電池素子との接着性の向上を図る観点から、(I)層を、最外層の少なくとも一方に有する構成であることが好ましく、その両方に有することがより好ましい。
本発明においては、厚み3mmの白板ガラス(サイズ;縦75mm、横25mm)と厚み5mmのアルミ板(サイズ;縦120mm、横60mm)の間に厚みが0.45mmのシート状の封止材を重ね、真空プレス機を用いて150℃、7分の条件で積層プレスした試料を作製し、該試料を100℃の恒温槽内で60度に傾斜して設置し1000時間経過後の状態を観察し、ガラスが初期の基準位置からずれなかったものを○、ガラスが初期の基準位置からずれたり、シートが溶融したものを×として耐熱性を評価した。
本発明においては、これらのバランスを柔軟性の指標として動的粘弾性測定における振動周波数10Hz、温度20℃の貯蔵弾性率(E´)、耐熱性の指標としてエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)について示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度を、および透明性の指標として全光線透過率を用いた場合、3つの指標が、貯蔵弾性率(E´)が1〜2000MPa、結晶融解ピーク温度が100℃以上、全光線透過率85%以上であることが好ましく、貯蔵弾性率(E´)が5〜500MPa、結晶融解ピーク温度が105〜145℃、全光線透過率85%以上であることがさらに好ましく、貯蔵弾性率(E´)が10〜100MPa、結晶融解ピーク温度が110〜145℃、全光線透過率90%以上であることが特に好ましい。
本発明の太陽電池封止材を用い、太陽電池素子を上下の保護材であるガラス又はフロントシートおよびバックシートで固定することにより、太陽電池モジュールを製作することができる。このような太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができ、好ましくは、本発明の太陽電池封止材と、上部保護材と、太陽電池素子と、下部保護材とを用いて作製された太陽電池モジュールが挙げられ、具体的には、上部保護材/封止材(封止樹脂層)/太陽電池素子/封止材(封止樹脂層)/下部保護材のように太陽電池素子の両側から封止材ではさむ様な構成のもの(図1参照)、下部保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子の上に封止材と上部保護材を形成させるような構成のもの、上部保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子、例えばフッ素樹脂系透明保護材上にアモルファス系太陽電池素子をスパッタリング等で作製したものの上に封止材として下部保護材を形成させるような構成のものなどを挙げることができる。なお、本発明の太陽電池封止材を用いた太陽電池モジュールにおいて、封止材が2箇所以上の部位に使用される場合、すべての部位に本発明の太陽電池封止材を用いてもかまわないし、1箇所のみの部位に本発明の太陽電池封止材を用いてもかまわない。また、封止材が2箇所以上の部位に使用される場合、各々の部位に使用される本発明の太陽電池封止材を構成する樹脂組成は同一であっても良いし、異なっていてもよい。
これらの上部および下部の保護材の表面には、本発明の太陽電池封止材やその他の部材との接着性を向上させるためにプライマー処理やコロナ処理など公知の表面処理を施すことができる。
本実施例における封止材シートについての種々の測定および評価は次のようにして行った。
(結晶融解ピーク温度(Tm))
(株)パーキンエルマー製の示差走査熱量計、商品名「PyrIs1 DSC」を用いて、JIS K7121に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解ピーク温度(Tm)(℃)を求めた。
(株)パーキンエルマー製の示差走査熱量計、商品名「PyrIs1 DSC」を用いて、JIS K7122に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解熱量(ΔHm)(J/g)を求めた。
ガラスとの接着性については、厚み2mm、縦150mm、横25mmの白板ガラスと厚み0.16mmのフッ素系バックシート(KREMPEL社製、商品名:AKASOL)の間に厚みが0.45mmのシート状の封止材と厚み0.012mm、縦50mm、横30mmのPETフィルム(三菱樹脂(株)製、商品名:ダイアホイル)を重ね、ガラスと封止材の間にきっかけをつくり、真空プレス機を用い、温度150℃、10分の条件で積層プレスした試料を作製した後、引張試験機(INTESCO社製、商品名:200X型試験機)のチャックにガラスを挟み、もう一方のチャックにバックシートと封止材を取り付けることにより、角度180度、引張速度50mm/secの条件で剥離試験を実施し、以下の基準で評価した。
(○)剥離強度が10N/15mm巾以上であったもの
(×)剥離強度が10N/15mm巾未満であったもの
各種封止材を製膜後、温度25℃、湿度50%の条件下で4ヶ月曝露した後、前記接着性の評価と同様にサンプルを作製して、剥離試験を実施し、以下の基準で評価した。
(○)剥離強度が10N/15mm巾以上であったもの
(×)剥離強度が10N/15mm巾未満であったもの
厚み2mmの白板ガラス(SCHOTT社製、商品名:B270、サイズ;縦50mm、横50mm)2枚の間に厚みが0.45mmのシート状の封止材を重ね、熱プレス機を用いて、150℃、1分の条件でプレスした試料を作製し、JIS K7105に準じて全光線透過率を測定し、その値を記載するとともに、下記の基準で評価した結果も併記した。
(◎)全光線透過率が90%以上
(○)全光線透過率が85%以上、90%未満
(×)全光線透過率が85%未満、あるいは、明らかに白濁している場合(未測定)
厚み2mmの白板ガラス(サイズ;縦75mm、横25mm)と厚み5mmのアルミ板(サイズ;縦120mm、横60mm)の間に厚みが0.5mmのシート状の封止材を重ね、真空プレス機を用いて、150℃、15分の条件で積層プレスした試料を作製し、白板ガラス上にSUS製の重石(サイズ:縦75mm、横25mm、重量:約32g)を固定し、該試料を100℃の恒温槽内で60度に傾斜して設置し、500時間経過後の状態を観察し、下記の基準で評価した。
(○)ガラスが初期の基準位置からずれなかったもの
(×)ガラスが初期の基準位置からずれたり、シートが溶融したもの
以下に、実施例・比較例に用いた構成材料を示す。
(X−1)変性ポリオレフィン系樹脂として、シラン変性ポリエチレン(三菱化学(株)製、商品名:リンクロンXLE815N、MFR:0.5、Tm:121℃)を5質量部と、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体として、エチレン−オクテンランダム共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:エンゲージ8200、オクテン含有量:7.3モル%(24質量%)、MFR:5、Tm:65℃、ΔHm:53J/g)とを95質量部の割合でドライブレンドしたものを用いた。
(X−2)シラン変性ポリエチレンを10質量部と、エチレンーオクテンランダム共重合体を90質量部の割合で混合した以外は(X−1)と同様にしてドライブレンドしたものを用いた。
(Y−1)エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)として、エチレン−オクテンランダム共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:エンゲージ8200、オクテン含有量:7.3モル%(24質量%)、MFR:5、Tm:65℃、ΔHm:53J/g)を95質量部と、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)として、エチレン−オクテンブロック共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:インフューズD9100.05、オクテン含有量:12.8モル%(37質量%)、MFR:1、Tm:119℃、ΔHm:38J/g)とを5質量部の割合でドライブレンドしたものを用いた。
(Y−2)エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)としてY−1の製造に用いたエチレン−オクテンランダム共重合体を80質量部と、エチレン−オクテンブロック共重合体(B)(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:インフューズD9507.15、オクテン含有量:16.4モル%(44質量%)、MFR:5、Tm:123℃、ΔHm:21J/g)を20質量部の割合に変更した以外は、(Y−1)と同様にしてドライブレンドしたものを用いた。
(Y−3)エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)をエチレン−プロピレン−ヘキセン3元ランダム共重合体(日本ポリエチレン(株)製、商品名:カーネルKJ640T、プロピレン含有量:7.4モル%(10質量%)、ヘキセン含有量:4.4モル%(10質量%)、MFR:30、Tm:53℃、ΔHm:58J/g)に変更した以外は、(Y−1)と同様にしてドライブレンドしたものを用いた。
(Y−4)エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)として(Y−1)に用いたエチレン−オクテンランダム共重合体を100質量部用いた。
(I)層に(X−1)、(II)層に(Y−1)の樹脂組成物をそれぞれ用いて、(I)層/(II)層/(I)層の積層構成となるように、同方向二軸押出機を用いたTダイ法にて樹脂温180〜220℃にて共押出成形した後、20℃のキャストロールで急速製膜し、各層厚みが(I)/(II)/(I)=0.09mm/0.27mm/0.09mmであるシートを得た。得られたシートを用いて各特性を評価した結果を表1に示す。
実施例1において、積層構成を(I)層/(II)層にし、各層厚みが(I)/(II)=0.09mm/0.36mmになるように変更した以外は、実施例1と同様にしてシートを得た。得られたシートを用いて各特性を評価した結果を表1に示す。
実施例1において、(II)層に(Y−2)の樹脂組成物を用いて、各層厚みが(I)/(II)/(I)=0.045mm/0.36mm/0.045mmとなるように変更した以外は、実施例1と同様にしてシートを得た。得られたシートを用いて各特性を評価した結果を表1に示す。
実施例3において、(I)層を(X−2)、(II)層を(Y−3)の樹脂組成物にそれぞれ変更した以外は、実施例3と同様にしてシートを得た。得られたシートを用いて各特性を評価した結果を表1に示す。
(X−1)の樹脂組成物を用いて、Tダイ法にて樹脂温180〜220℃にて押出成形した後、20℃のキャストロールで急速製膜し、厚みが0.45mmである単層のシートを得た。得られたシートを用いて各特性を評価した結果を表1に示す。
実施例1において、(II)層を(Y−4)の樹脂組成物に変更した以外は、実施例1と同様にしてシートを得た。得られたシートを用いて各特性を評価した結果を表1に示す。
比較例1において、(X−1)を、(Y−4)にシランカップリング剤(モメンティブ社製、商品名:SILQUEST)を0.5質量部加えてドライブレンドした樹脂組成物に変更した以外は、比較例1と同様にして単層のシートを得た。得られたシートを用いて各特性を評価した結果を表1に示す。
真空ラミネーター((株)エヌ・ピー・シー製、商品名:LM30×30)を用いて、熱板温度:150℃、加工時間:10分(内訳、真空引き:3分、プレス:7分)、圧着速度:急速の条件で、熱板側から順に、上部保護材として厚みが3mmの白板ガラス(旭硝子(株)製、商品名:ソライト)、実施例1で採取した厚みが0.45mmのシート(封止材)、厚みが0.4mmの太陽電池セル(フォトワット社製、型式:101×101MM)、実施例1で採取した厚みが0.45mmのシート(封止材)、下部保護材として厚みが0.125mmの耐候性PETフィルム(東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S)の5層を真空プレスして太陽電池モジュール(サイズ:150mm×150mm)を作製した。得られた太陽電池モジュールは透明性や外観などに優れるものであった。
12A,12B・・・封止樹脂層
14A,14B・・・太陽電池素子
16・・・バックシート
18・・・ジャンクションボックス
20・・・配線
Claims (6)
- 少なくとも、接着層((I)層)と、下記(a)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)を50〜99質量%と下記(b)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)を1〜50質量%含有する樹脂組成物(C)からなる層((II)層)とを有する太陽電池封止材。
(a)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が0〜65J/g
(b)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上であり、かつ、結晶融解熱量が5〜70J/g - 前記(I)層が、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池封止材。
- 前記(I)層が、紫外線吸収剤及び/または耐候安定剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池封止材。
- 前記エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)がエチレン−オクテンマルチブロック共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池封止材。
- 前記エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)と前記エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)を構成するα−オレフィンの種類が同一であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池封止材。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池封止材を用いて作製された太陽電池モジュール。
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