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JP6272260B2 - リチウム空気二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム空気二次電池に関する。特に本発明は、鉛蓄電池やリチウムイオン電池などの従来の二次電池よりも小型・軽量でかつ遙かに大きい放電容量を実現できるリチウム空気二次電池に関する。
正極活物質として空気中の酸素を用いるリチウム空気二次電池は、電池外部から常に酸素が供給され、電池内に大量の負極活物質である金属リチウムを充填することができるため、電池の単位体積当たり非常に大きな放電容量を示すことが報告されている。
これまでに非特許文献1や非特許文献2に報告されているように、正極であるガス拡散型空気極に種々の触媒を添加することにより、放電容量やサイクル特性になどの電池性能を改善する試みがなされている。
例えば、ガス拡散型空気極の電極触媒として、非特許文献1ではλ−MnO2などの遷移金属酸化物が、非特許文献2では主に酸化鉄(Fe23)、コバルト酸化物(Co34)などの遷移金属酸化物がそれぞれ検討されている。
しかしながら、非特許文献1に開示されている二次電池では、充電電圧が、約4.0Vであり、平均放電電圧の2.7Vと比較して非常に大きく、エネルギー効率が低いという課題がある。また、電流密度1.0mA/cm2の条件下では200mAh/g程度と容量が小さい。
一方、非特許文献2では、9種類の触媒を検討し、空気極に含まれるカーボンの重量当たりで1000〜3000mAh/gの非常に大きな放電容量が得られている。しかしながら、ほとんどの場合で平均放電電圧は2.5V程度であり、一方、充電電圧は4.0〜4.5Vを示し、最も低いものでも3.9V程度である。このため、非特許文献2のリチウム空気二次電池は充放電のエネルギー効率は低い。
なお、非特許文献1および2を含む多くの報告では、リチウム空気二次電池の有機電解液として、LiClO4、LiPF6、LiTFSI(リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド)などのリチウム塩を、炭酸プロピレンなどの炭酸エステル系溶媒に1.0mol/l程度の濃度で溶解した溶液が用いられている。
J.Read,Journal of The Electrochemical Society,Vol.149,pp.A1190−A1195(2002). Aurelie Debart,et al,Journal of Power Sources,Vol.174,pp.1177(2007).
本発明は、リチウム空気二次電池を、高容量二次電池として作動させ、低充電電圧かつ充放電の電圧差が小さく、高出力、大放電容量を実現することを目的とする。
本発明によるリチウム空気二次電池は、空気極、負極、並びに、前記空気極及び前記負極に接する電解液を含み、前記電解液は、Li塩と有機溶媒を含み、かつ、前記電解液は液相触媒(添加剤)としてヘモシアニンを含むことを特徴とする。ヘモシアニンは、従来の触媒のように空気極内にあってその触媒作用を発現するのではなく、有機電解液中に溶解された状態で、酸素還元(放電)・酸素発生(充電)反応に対して触媒活性を有する。有機電解液中でのヘモシアニン濃度が高いほど、優れた電池性能が得られるため、本発明では、ヘモシアニンは飽和濃度で電解液に溶解していることが好ましい。
本発明のリチウム空気二次電池の構成を採用することによって、低充電電圧かつ充放電の電圧差が小さく、サイクル特性に優れ、高エネルギー密度のリチウム空気二次電池を提供することが可能となる。
本発明によるリチウム空気二次電池の基本的な概略図である。 実施例において測定に用いたリチウム空気二次電池の構造を示すための概略断面図である。 実施例1のリチウム空気二次電池の充放電曲線を示す図である。
以下、本願に係るリチウム空気二次電池の一実施形態を、図面を参照しつつ、詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の単なる一例であって、当業者であれば、適宜設計変更可能である。
[リチウム空気二次電池の構成]
本発明に係るリチウム空気二次電池は、図1に示されるように、空気極、負極及び該空気極と該負極とに接する有機電解液を含み、前記空気極が正極として機能する。
以下に上記の各構成要素について説明する。なお、本明細書において、電解液とは、電解質が液体形態である場合をいう。
(I)空気極(正極)
本発明において、正極活性物質として酸素が使用される。そのため、本発明で用いる正極は、酸素還元機能を有し、酸素およびリチウムイオンが移動できる空隙を有する導電性材料を含む空気極であり、任意選択的に結着剤等の添加剤を含むことができる。また、酸素の酸化還元反応を促進する触媒を含有してもよい。空気極1は、これを構成する電極の片面は大気に曝され、もう一方の面は電解液と接する。
(I−1)導電性材料
本発明の空気極に用いられる導電性材料には、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック類、活性炭類、グラファイト類、カーボン繊維類などのカーボンを用いることができる。好ましくは、該カーボンは空気電極中の反応サイトを十分に確保するために表面積が大きなものが適しており、具体的にはBET比表面積で300m2/g以上の値を有しているものが望ましい。
(I−2)空気極触媒
本発明のリチウム空気二次電池では、空気極の触媒は、酸化マンガン(MnO2)、ルテニウム酸化物(RuO2)等の酸素還元(放電)及び酸素発生(充電)の両反応に対して高活性な、従来から公知の酸化物触媒であれば特に限定されない。具体的には、MnO2、Mn34、MnO、FeO2、Fe34、FeO、CoO、Co34、NiO、NiO2、V25、WO3などの単独酸化物や、La0.6Sr0.4MnO3、La0.6Sr0.4FeO3、La0.6Sr0.4CoO、La0.6Sr0.4CoO3、Pr0.6Ca0.4MnO3、LaNiO3、La0.6Sr0.4Mn0.4Fe0.63などのペロブスカイト型構造を有する複合酸化物を用いることができる。これらの触媒は、固相法や液相法などの公知のプロセスを用いて合成することができる。
また、空気電極に添加される触媒として、中心金属にMn、Fe、Co、Ni、V、W等の遷移金属を少なくとも一種含むポルフィリンやフタロシアニンなどの大環状金属錯体も用いることができる。これらの金属錯体は、カーボンと混合後、不活性ガス雰囲気中で熱処理を行い活性化させてもよい。
本発明の空気電極に添加される触媒としては上記の化合物系だけでなく、Pt、Au、Pdなどの貴金属、およびCo、Ni、Mnなどの遷移金属の単体金属を用いてもよい。例えば、これらの金属をカーボン上に高分散担持させることにより高い活性を発現することができる。
本発明のリチウム二次電池の空気極では、電解液/電極触媒/ガス(酸素)の三相部分で、電極反応が進行する。詳細には、空気極1中に有機電解液3が浸透し、同時に大気中の酸素ガスが供給され、電解液−電極触媒−ガス(酸素)が共存する三相部位が形成される(図1参照)。前記電極触媒が高活性であれば、酸素還元(放電)及び酸素発生(充電)がスムーズに進行し、電池性能は大きく向上することになる。
空気極1での放電反応は次のように表すことができる。
2Li++(1/2)O2+2e-→Li2O (1)
2Li++O2+2e-→Li22 (2)
上式中のリチウムイオン(Li+)は、電気化学的酸化により負極2から有機電解液3中に溶解し、この有機電解液3中を空気極1表面まで移動してきたものである。また、酸素(O2)は、大気(空気)中から空気極1内部に取り込まれたものである。なお、負極2から溶解する材料(Li+)、空気極1で析出する材料(Li2OまたはLi22)、及び空気(O2)を図1の構成要素と共に示した。
空気極1(正極)の電極触媒として用いることができる酸化物、特に酸化マンガン(MnO2)、酸化ルテニウム(RuO2)などでは、マンガン及びルテニウムが、+4、+3などの正の価数を有するイオンとして空気極中に存在する。また、これらの酸化物を合成する際の条件によっては、酸化マンガン、酸化ルテニウム等の酸化物内に酸素を取り込むことができる空孔(本明細書では酸素空孔とも称する)が存在し、活性サイトとして機能すると考えられる。そのため、このような酸化物触媒は、正極活物質である酸素との相互作用が強く、多くの酸素種を酸化物表面上に吸着でき、又は酸素空孔内に酸素種を吸蔵することができる。
このように、酸化物表面上に吸着された、又は酸素空孔内に吸蔵された酸素種は、上記式(1)及び式(2)の酸素源(活性な中間反応体)として酸素還元反応に使用され、上記反応が容易に進むようになる。また、式(1)及び式(2)の逆反応である充電反応に対しても、上記の酸化物は活性を有している。従って、電池の充電、つまり、空気極上での酸素発生反応も効率よく進行する。
本発明のリチウム空気二次電池では、電池反応の効率を上げるために、電極反応を引き起こす反応部位(上記の電解液/電極触媒/空気(酸素)の三相部分)がより多く存在することが望ましい。このような観点から、本発明では、上述の三相部位が電極触媒表面に多量に存在することが重要であり、使用する触媒は比表面積が高い方が好ましい。例えば、焼成後の比表面積が10m2/g以上であることが好適である。
(I−3)結着剤(バインダー)
本発明の空気極はさらに結着剤(バインダー)を含むことができる。この結着剤は、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブタジエンゴムなどを例として挙げることができる。これらの結着剤は、粉末として又は分散液として用いることができる。
(I−4)空気極の調製
空気極1は以下のように調製することができる。例えば、触媒である酸化物粉末、導電性材料であるカーボン粉末およびバインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)粉末を混合し、この混合物をチタンメッシュ等の支持体上に圧着することにより、空気極1を成形することができる。圧縮成形する方法は当分野でよく知られた方法を用いることができ、例えば、電極の強度を高め電解液の漏洩を防止するために、冷間プレスだけでなく、ホットプレスを適用することによっても、より安定性に優れた空気極を作製することができる。また、前述の混合物を有機溶剤等の溶媒中に分散してスラリー状にし、金属メッシュ又はカーボンクロスやカーボンシート上に塗布して乾燥することによって、空気極1を形成してもよい。
本発明のリチウム空気二次電池において、空気極1中での触媒含有量は、空気極1の重量を基準に、例えば0を越え、100重量%未満であることが望ましい。その他の成分の割合は、従来のリチウム空気二次電池と同様である。
(II)負極
本発明のリチウム空気二次電池は、負極にリチウムイオンの吸蔵および放出が可能な負極活物質を含む。この負極活性物質は、リチウム二次電池の負極材料として用いることができる材料であれば特に制限されない。例えば、金属リチウムを挙げることができる。あるいは、リチウム含有物質として、リチウムイオンを放出及び吸蔵することができる物質である、リチウムと、シリコンもしくはスズとの合金、またはLi2.6Co0.4Nなどのリチウム窒化物を例として挙げることができる。
本発明のリチウム空気二次電池の負極は、公知の方法で形成することができる。例えば、リチウム金属を負極とする場合には、複数枚の金属リチウム箔を重ねて所定の形状に成形することで、負極を作製すればよい。
なお、上記のリチウムとシリコン又はスズとの合金を負極として用いる場合、当初、該電極をリチウムを含まないシリコン又はスズなどを用いて形成してもよい。この場合には、空気電池の作製に先立って、化学的手法又は電気化学的手法(例えば、電気化学セルにより、リチウムとシリコン又はスズとの合金化を行う方法)によって、シリコン又はスズが、リチウムを含む状態となるように処理しておく必要がある。具体的には、作用極にシリコン又はスズを含み、対極にリチウムを用い、有機電解液中で還元電流を流すことによって合金化を行う等の処理をしておくことが好ましい。ここで、放電時の負極(金属リチウム)の反応は以下のように表すことができる。
(放電反応)
Li→Li++e- (3)
なお、充電時の負極においては、式(3)の逆反応であるリチウムの析出反応が起こる。
(III) 有機電解液
有機電解液3としては、正・負極間でリチウムイオンの移動が可能であればよく、例えば、リチウムイオンを含む金属塩を溶解した非水溶媒を使用できる。リチウムイオンを含む金属塩として、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)やリチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド[(CF3SO2)2NLi](LiTFSI)などを用いることができる。非水溶媒としては、例えば、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸メチルエチル(MEC)、炭酸メチルプロピル(MPC)、炭酸メチルイソプロピル(MIPC)、炭酸メチルブチル(MBC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルプロピル(EPC)、炭酸エチルイソプロピル(EIPC)、炭酸エチルブチル(EBC)、炭酸ジプロピル(DPC)、炭酸ジイソプロピル(DIPC)、炭酸ジブチル(DBC)、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸1,2−ブチレン(1,2−BC)などの炭酸エステル系や1,2−ジメトキシエタン(DME)、トリグライム、テトラグライムなどのエーテル系、γ−ブチロタクトン(GBL)などのラクトン系や、これらの中から二種類以上を混合した溶媒についても使用することができる。
本発明の有機電解液3は、さらにヘモシアニンを含む。理論に限定されるものではないが、ヘモシアニンは、下記化学式に示すように、正極活物質である酸素との相互作用が強く、酸素種を構造内に吸蔵することのできる液相触媒として利用することができる。詳細には、酸素種はヘモシアニンの構造内に吸蔵された状態で電解液/空気極界面に移動し、この界面において、上記式(1)及び式(2)の酸素源(活性な中間反応体)として酸素還元反応に使用され、上記反応が容易に進むようになる。また、式(1)及び式(2)の逆反応である充電反応に対しても、上記のヘモシアニンは活性を有している。従って、電池の充電、つまり、電解液/空気極界面上での酸素発生反応も効率よく進行する。このように、ヘモシアニンの酸素の吸蔵・放出は可逆的に起こるため、電極反応の速度が改善され、大電流放電・充電が可能となる。
有機電解液中のヘモシアニンは、有機電解液の重量を基準に、0.05重量%以上の濃度で添加され、好ましくは0.1重量%以上の濃度で存在する。有機電解液中でのヘモシアニン濃度が高いほど優れた電池性能が得られるため、本発明では、ヘモシアニンは添加する有機電解液の飽和濃度で添加されていることが望ましい。
(IV)他の要素
本発明のリチウム空気二次電池は、上記構成要素に加え、セパレータ、電池ケース、金属メッシュ(例えばチタンメッシュ)などの構造部材、その他のリチウム空気二次電池に要求される要素を含むことができる。これらは、従来公知のものを使用することができる。
[実施例]
以下に添付図面を参照して、本発明に係るリチウム空気二次電池についての実施例を詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施例に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
(実施例1)
有機電解液原液として、LiTFSIを有機溶媒テトラグライム(TEGDME)に1mol/Lの濃度で溶解したものを用意した。市販のヘモシアニン粉末(Sigma−Aldrich社製)を該有機電解液原液の重量に対して0.5重量%となるように該有機電解液原液に添加し、十分に撹拌した。撹拌後に、金属リチウムの塊を溶液に投入することで脱水処理を行った。投入したリチウム塊は、数日後に回収し、本願発明の有機電解液3を調整した。
空気極用の触媒としてマンガン酸化物(MnO2)を用いて、リチウム空気二次電池セルを以下の手順で作製した。マンガン酸化物(MnO2)は市販試薬(関東化学社製)を用いた。
マンガン酸化物(MnO2)粉末、ケッチェンブラック粉末及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)粉末を10:72:18の重量比で混合し、ミキサーを用いてN‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP)に十分分散して、スラリーを作製した。このスラリーを直径16mmのカーボンシートに塗布し、90℃の真空乾燥機に入れ、一晩乾燥させ、ガス拡散型の空気極1を得た。
ついで、図3に示す断面構造を有する円柱形のリチウム空気二次電池セルを、露点が−60℃以下の乾燥空気中で、以下の手順で作製した。乾燥後の厚さが10μmとなるようにスラリー塗布量を調整した。
上記の方法で調整した空気極(正極)1を、PTFEで被覆された空気極支持体10の凹部に配置し、空気極固定用のPTFEリング8で固定した。また、空気極1と空気とが接触する電極の有効面積は2cm2とした。
次に、空気極1と大気が接触する面とは逆の面に、リチウム二次電池用のセパレータ5を凹部の底面に配置した。続いて、負極固定用座金7に負極2として厚さ150μmの4枚の金属リチウム箔(有効面積:2cm2)を同心円上に重ねて圧着した。続いて、負極固定用のPTFEリング6を、空気極1を設置する凹部と対向する逆の凹部に配置し、中央部に金属リチウムが圧着された負極固定用座金7をさらに配置した。続いて、Oリング9を、図3に示すように空気極支持体10の底部に配置した。
次に、セルの内部(空気極(正極)1と負極2との間)に、有機電解液3を充填し、負極支持体11を被せて、セル固定用ねじ12で、セル全体を固定した。有機電解液3は、上述のヘモシアニン含有有機電解液[1mol/L LiTFSI(ヘモシアニン0.5重量%)/TEGDME溶液]を用いた。
続いて、空気極端子4を空気極支持体10に設置し、負極端子13を負極支持体11に設置して、リチウム空気二次電池セル200を得た。
(実施例2)
有機電解液3としてヘモシアニンを1mol/L LiTFSI/TEGDME溶液に飽和濃度(約1重量%)で添加した電解液を用いて、実施例1と同様にリチウム空気二次電池セル200を作製した。
(比較例1)
有機電解液3としてヘモシアニン未添加の1mol/LのLiTFSI/TEGDME溶液を用いて、リチウム空気二次電池セル200を実施例と同様にして作製した。
(性能試験)
電池のサイクル試験は、充放電測定システム(VMP−3,Bio Logic社製)を用いて、空気極1の有効面積当たりの電流密度で0.1mA/cm2または1.0mA/cm2を通電し、開回路電圧から電池電圧が、2.0Vに低下するまで放電電圧の測定を行った。電池の充電試験は、放電時と同じ電流密度で、電池電圧が、4.0Vに達するまで行った。電池の充放電試験は、通常の生活環境下で行った。充放電容量は空気極(導電性材料、空気極触媒およびバインダーの合計)重量当たりの値(mAh/g)で表した。
実施例1のリチウム空気二次電池に対し、電流密度0.1mA/cm2を通電した場合の初回の放電及び充電曲線を図3に示す。平均充放電電圧は、図中に示すように、全放電容量の中間値時の放電電圧及び充電電圧と定義する。
図3より、実施例1の平均放電電圧は2.77Vであり、初回放電容量は1200mAh/gと大きな値を示し、平均放電電圧と平均充電電圧の差(ΔV)は、1.02Vであった。
実施例1および2ならびに比較例1のリチウム空気二次電池に対し、充放電流密度:0.1mA/cm2または1.0mA/cm2で行った充放電サイクル試験の結果を表1に示す。
実施例1では、両電流密度値とも100サイクル後でも、0.1mA/cm2で950mAh/g、1.0mA/cm2で685mAh/gとそれぞれ高い放電容量を保持できた。
また、実施例2は、両電流密度値とも実施例1よりも初期容量の増加が観測され、充放電サイクルを繰り返した場合も、平均放電電圧の低下、ΔVの増加、および放電容量の減少が実施例1よりもさらに小さくなった。
一方、比較例1では、初期容量は電流密度値0.1mA/cm2で723mAh/g、1.0mA/cm2で428mAh/gと小さく、さらに、サイクルを繰り返すと、放電容量は著しく減少し、100サイクル後には容量維持率が、それぞれ29%および5.4%と非常に小さな値しか得られなかった。
このように、ヘモシアニンを液相触媒として添加することの有用性を検証することができた。また、高濃度でヘモシアニンを溶解した方が、さらに大電流密度特性やサイクル特性が改善されることが確認された。
有機電解液の添加剤としてヘモシアニンを用いることにより、充放電サイクル性能に優れたリチウム空気二次電池を作製することができ、様々な電子機器の駆動源として有効利用することができる。
1 空気極(正極)
2 負極
3 有機電解液
4 空気極端子
5 セパレータ
6 負極固定用PTFEリング
7 負極固定用座金
8 空気極固定用PTFEリング
9 Oリング
10 空気極支持体
11 負極支持体
12 セル固定用ねじ
13 負極端子
200 リチウム空気二次電池セル

Claims (4)

  1. 導電性材料を含む空気極と、
    金属リチウムまたはリチウム含有物質を含む負極と、
    前記空気極と前記負極に接する有機電解液とを有し、
    前記電解液にヘモシアニンを含むことを特徴とするリチウム空気二次電池。
  2. 前記電解液にヘモシアニンが前記電解液の重量全体を基準に0.05重量%以上の濃度で溶解していることを特徴とする請求項1に記載のリチウム空気二次電池。
  3. 前記電解液にヘモシアニンが前記電解液の飽和濃度で溶解していることを特徴とする請求項1に記載のリチウム空気二次電池。
  4. 前記導電性材料がカーボンであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のリチウム空気二次電池。
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