JP6136675B2 - 偏光子 - Google Patents
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Description
配向膜としては、例えば、ポリイミドに代表される高分子材料が用いたものが知られており、この高分子材料を布等により摩擦するラビング処理がされることによって配向規制力を有するものとなる。
しかしながら、このようなラビング処理により配向規制力が付与された配向膜では、布等が異物として残存するといった問題があった。
このような光配向膜への配向規制力付与のための直線偏光の照射方法としては、偏光子を介して露光する方法が一般的に用いられる。偏光子としては、平行に配置された複数の細線を有するものが用いられ、細線を構成する材料としては、アルミや酸化チタンが用いられている(特許文献1等)。
本発明の短波長の光の消光比にも優れるとの効果をより効果的に発揮できるからである。
なお、この例では、上記細線2が、上記モリブデンシリサイド系材料層3上に形成され、酸化ケイ素を含有する酸化ケイ素層4を有するものであり、合成石英ガラスからなる透明基板1上に形成されるものである。
また、その結果、膜厚の薄いものとした場合でも十分に高い消光比が得られることから、細線の幅に対して膜厚が薄いものとすることができ、偏光子の洗浄時や製造時に細線の破損の少ない耐久性に優れたものとすることができる。
さらに、上記細線に含まれるモリブデンシリサイド系材料層は、酸性溶剤等の薬液に対する耐性が高いこと、さらには、上述のように洗浄時の破損が少ないことから、洗浄性に優れたものとすることができる。
以下、本発明の偏光子の各構成について詳細に説明する。
本発明における細線は、直線状に形成され、かつ、平行に配置されるものであり、モリブデンシリサイド系材料層を有するものである。
上記モリブデンシリサイド系材料層は、モリブデンシリサイド系材料を含有する層である。
ここで、主原料として含むとは、具体的には、上記モリブデンシリサイド系材料層中のモリブデンシリサイド系材料の含有量が、70質量%以上であることをいうものであり、なかでも本発明においては、90質量%以上であることが好ましく、特に100質量%、すなわち、モリブデンシリサイド系材料層がモリブデンシリサイド系材料からなるものであることが好ましい。上記含有量であることにより、消光比に優れたものとすることができるからである。
また、上記含有量の測定方法としては、含有量を精度良く測定できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記細線の断面について、XPS表面分析を行う方法を挙げることができる。
本発明における細線は、上記モリブデンシリサイド系材料層を少なくとも有するものであり、上記モリブデンシリサイド系材料層のみを有するものであっても良いが、必要に応じてモリブデンシリサイド系材料以外の他の材料を主原料として含む非モリブデンシリサイド系材料層を有するものであっても良い。
具体的には、上記モリブデンシリサイド系材料層の上記細線中の含有量が70質量%以上であることが好ましく、なかでも80質量%以上であることが好ましく、特に、90質量%以上であることが好ましい。上記含有量であることにより、消光比に優れたものとすることができるからである。また、上限については、含有量が大きい程好ましいため特に限定されるものではないが、上記モリブデンシリサイド系材料層の形成容易のため、95質量%以下であることが好ましい。
また、上記含有量は、上記細線の幅方向の断面に占めるモリブデンシリサイド系材料層の質量割合をいうものであり、この測定方法としては、上記含有量を精度良く測定できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記モリブデンシリサイド系材料の含有量の測定方法と同様の方法を用いることができる。
また、本発明においては、上記酸化ケイ素層は、他の非モリブデンシリサイド系材料層を介して上記モリブデンシリサイド系材料層上に形成されるものであっても良いが、上記モリブデンシリサイド系材料層上に直接形成されていることが好ましい。上記モリブデンシリサイド系材料層を含む細線の形成が容易だからである。
なお、上記酸化ケイ素層の膜厚は、上記モリブデンシリサイド系材料層表面からの厚みの最大の厚みをいうものであり、具体的には図2中のdで示される厚みをいうものである。
また、膜厚の測定方法としては、偏光子の分野における一般的な測定方法を用いることができ、例えば、AFMにより膜表層の形状を測定し、透過型エリプソメータで偏光特性を測定することにより、膜を構成する組成とそれぞれの膜厚を得ることができる。また、以下、細線の膜厚等のサイズについても、上記測定方法により得ることができる。
なお、上記細線の膜厚は、細線の長手方向および幅方向に垂直な方向の厚みのうち最大の厚みをいうものであり、細線が非モリブデンシリサイド系材料層をも有する場合には、非モリブデンシリサイド系材料層をも含む膜厚をいうものである。具体的には図2中のaで示される厚みをいうものである。
また、上記細線の膜厚は一の偏光子内に異なる膜厚のものを含むものであっても良いが、通常、同一膜厚で形成される。
なお、上記細線の幅は、細線の長手方向に垂直方向の長さをいうものであり、細線が非モリブデンシリサイド系材料層をも含む場合には、非モリブデンシリサイド系材料層をも含む幅をいうものである。具体的には図2中のbで示される長さをいうものである。
また、上記細線の幅は一の偏光子内に異なる幅のものを含むものであっても良いが、通常、同一幅で形成される。
なお、上記細線のピッチは、幅方向に隣接する細線間のピッチの最大幅をいうものであり、細線が非モリブデンシリサイド系材料層を含む場合には、非モリブデンシリサイド系材料層をも含むものである。具体的には図2中のcで示される幅をいうものである。
また、上記細線のピッチは一の偏光子内に異なるピッチのものを含むものであっても良いが、通常、同一ピッチで形成される。
本発明の偏光子は上記細線を有するものであるが、通常、上記細線が形成される透明基板を有するものである。
上記透明基板の厚みとしては、本発明の偏光子の用途やサイズ等に応じて適宜選択することができる。
本発明の偏光子は、上記細線を有するものである。
上記偏光子の波長250nmの光についての消光比(P波透過率/S波透過率)が20以上であることが好ましく、なかでも、40以上であることが好ましく、特に、60以上であることが好ましい。上記範囲であることにより、光配向層への配向規制力を安定的に付与できるからである。
また、上記消光比については大きければ大きい程好ましいので、特に上限は限定されるものではない。
なお、上記消光比の測定方法は、偏光子の分野における一般的な測定方法を用いることができ、例えば、紫外光の偏光特性を測定することが可能な透過型エリプソメータ、例えばウーラム社製VUV-VASEなどの透過型エリプソメータを用いることで測定することができる。
なお、P波透過率の測定方法としては、偏光子の分野における一般的な測定方法を用いることができ、例えば、紫外光の偏光特性を測定することが可能な透過型エリプソメータ、例えばウーラム社製VUV-VASEなどの透過型エリプソメータを用いることで測定することができる。
また、本発明においては、液晶表示装置において液晶材料を挟持する液晶表示装置用光配向膜への配向規制力付与に用いられることが好ましい。光配向膜への配向規制力付与を効果的に行うことができるからである。
透明基板として膜厚10mmの合成石英ガラスを準備し、モリブデンとシリコンとの混合ターゲット(Mo:Si=1:2mol%)を用いアルゴンと酸素との混合ガス雰囲気で反応性スパッタリング法により、モリブデンシリサイド系材料膜として、膜厚60nmのモリブデンシリサイド酸化膜(MoSiO)を形成した。
次いで、モリブデンシリサイド系材料膜上に、ラインアンドスぺースが60nmおよび60nm、すなわち、ピッチが120nmの開口を有するパターン状レジストを形成した。その後、エッチングガスとして、CF6を用いて、モリブデンシリサイド系材料膜をドライエッチングし、その後パターン状レジストを剥離することにより、偏光子1を得た。
得られた偏光子1の細線の幅、膜厚およびピッチをVistec社製SEM測定装置LWM9000により測定したところ、それぞれ、63.7nm、63nmおよび120nmであった。
実施例1で得られた偏光子について、細線の構造評価、P波透過率および消光比の測定を行った。また、シミュレーションとの比較評価、ならびにシミュレーションによるP波透過率および消光比のピッチおよび膜厚比との関係評価を行った。
実施例1で得られた偏光子1の細線について透過型エリプソメータ(ウーラム社製VUV-VASE)により構造を評価した。
その結果、上記細線が、幅および膜厚がそれぞれ51.5nmおよび56.9nmのモリブデンシリサイド系材料からなるモリブデンシリサイド系材料層と、上記モリブデンシリサイド系材料層の上面の膜厚および側面の膜厚がそれぞれ6.1nmおよび6.1nmの酸化ケイ素からなる酸化ケイ素層と、を有することが確認できた。
実施例1で得られた偏光子1について透過型エリプソメータ(ウーラム社製VUV-VASE)により波長200nm〜380nmの範囲内の光のP波透過率(出射光中のP波成分/入射光中のP波成分)および消光比(P波透過率/S波透過率)を測定した。結果を図4および図5に示す。
図4および図5に示すように、偏光子1の250nmでのP波透過率および消光比はそれぞれ0.44および19.6であった。
下記のモデル1およびモデル2について、「回折光学素子の数値解析とその応用」(丸善出版、小館香椎子慣習)に記載のRCWA(Regorous Coupled Wave Analysis)に基づくシミュレーションモデルを作成し、波長200nm〜380nmの範囲内の光についてのP波透過率および消光比のシミュレーションを行った。結果を図4および図5に示す。
膜厚および幅が60nmおよび60nm、ピッチが120nmのモリブデンシリサイド系材料層のみからなる細線モデル
膜厚および幅が56.9nmおよび56.9nmのモリブデンシリサイド系材料層と、モリブデンシリサイド系材料層上面の膜厚および幅(側面の膜厚)が6.2nmおよび6.2nmの酸化ケイ素層とを有し、ピッチが120nmの細線モデル
上記モデル2のシミュレーションモデルを用いて、下記モデル3およびモデル4の条件にて、モリブデンシリサイド系材料層の厚み方向の膜厚比(モリブデンシリサイド系材料層の膜厚/細線の膜厚)と、細線のピッチと、を変化させた場合の250nmの光についてのP波透過率および消光比のシミュレーションを行った。また、モリブデンシリサイド系材料層および酸化ケイ素層の幅の割合は上記モデル2と同様とした。
結果を、下記表1〜4に示す。表1〜4は、横軸および縦軸がそれぞれ膜厚比およびピッチであり、それぞれ、モデル3および4についてのP波透過率(出射光中のP波成分/入射光中のP波成分)および消光比(P波透過率/S波透過率)を示すものである。
細線の膜厚が60nm、幅がピッチの1/2である細線モデル
細線の膜厚が80nmである以外は、モデル3と同様の細線モデル
図4および図5より、モデル2のシミュレーション結果は偏光子1の実際のP波透過率および消光比とほぼ同様の値となることが確認できた。
表1〜4より、モリブデンシリサイド系材料層の膜厚比を小さくすること、すなわち、上記細線に占めるモリブデンシリサイド系材料層の割合を小さくするにより、P波透過率が大きくなることが確認できた。
また、上記細線のピッチを小さくした場合および上記モリブデンシリサイド系材料層の膜厚比を大きくすることにより、消光比が大きくなることが確認できた。
2 … 細線
3 … モリブデンシリサイド系材料層
4 … 酸化ケイ素層
10 … 偏光子
Claims (3)
- 直線状に複数本が並列に配置された細線を有する偏光子であって、
前記細線が、モリブデンシリサイド系材料を含有するモリブデンシリサイド系材料層を有し、
前記細線が、前記モリブデンシリサイド系材料層上に形成され、酸化ケイ素を含有する酸化ケイ素層を有し、
前記偏光子が液晶表示装置用光配向膜への配向規制力付与用であり、
紫外線領域の波長の光の直線偏光生成用であることを特徴とする偏光子。 - 前記細線の膜厚が100nm未満であることを特徴とする請求項1に記載の偏光子。
- 前記細線のピッチが100nm〜150nmの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の偏光子。
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