JP6117061B2 - 基板処理方法及びその装置 - Google Patents
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Description
すなわち、従来の装置は、チャンバ内だけを減圧していることに起因して、次のような不都合が生じる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板を溶剤蒸気により乾燥させる基板処理方法において、溶剤蒸気を発生させる蒸気発生タンク内に所定温度の溶剤を用意する過程と、チャンバ内の処理槽に貯留した処理液に基板を浸漬する過程と、前記チャンバから排気を行い、前記チャンバ内を、前記蒸気発生タンク内の溶剤の前記所定温度に応じた蒸気圧曲線以下の圧力にまで減圧する過程と、前記蒸気発生タンクと前記チャンバとを供給管で連通接続した状態で前記チャンバ内からの排気を行い、前記蒸気発生タンク内の雰囲気を排気して前記チャンバ内へ溶剤蒸気を導入させる第1導入過程と、前記蒸気発生タンク内の圧力が所定圧力まで低下した時点で前記チャンバ内からの排気動作を停止させる過程と、前記チャンバ内からの排気動作を停止させた状態で、前記蒸気発生タンクと前記チャンバとの圧力差によって前記チャンバ内に溶剤蒸気を導入させる第2導入過程と、前記処理槽の処理液に浸漬されている基板を処理液面上に引き上げて、基板に付着している処理液を溶剤で置換させる過程と、前記基板に付着した溶剤を除去する過程と、を備えていることを特徴とするものである。
図1は、実施例に係る基板処理装置の要部の概略構成を示すブロック図である。
すなわち、例えば、イソプロピルアルコールが70℃に加熱された状態で蒸気発生タンク37内に存在するとし、チャンバ27と蒸気発生タンク37が連通された状態で、かつ減圧されていない大気圧の状態である場合、蒸気発生タンク37内のイソプロピルアルコールはほぼ液体の状態である。その状態で、温度を維持したまま、排気ポンプ52を作動させてチャンバ27と蒸気発生タンク37内を減圧してゆき、圧力検出器37Pによって検出される蒸気発生タンク37内の圧力が60kPa以下になると、イソプロピルアルコールが沸騰して活発に蒸気化される。換言すると、蒸気発生タンク37内の圧力が、加熱されたイソプロピルアルコールの温度における蒸気圧曲線以下になると、蒸気発生タンク37内のイソプロピルアルコールの状態が液体から気体へと変わる。
まず制御部67は、蒸気発生タンク37における蒸気発生の準備を行わせる。具体的には、蒸気発生タンク37の内部に所定温度(例えば70℃)の溶剤を用意する。そのために、ヒータ41への給電を制御して、蒸気発生タンク37の内部の溶剤を所定温度に加熱する。溶剤の実温度は、温度検出器37Tからの出力によって制御部67が判断する。このとき蒸気弁38は閉止されたままである。なお、このステップS0は、乾燥処理の動作の前の適当な時期に行っておいてもよい。
次に制御部67は、上部カバー29を開放し、水平搬送装置によって搬送されてきた複数枚の基板Wをリフタ31で受け取り、リフタ31を「待機位置」から「槽内位置」に移動させる。これにより、リフタ31に保持された基板Wはチャンバ27内に搬入され、処理槽1内に貯留された純水に浸漬され、リンス処理を行いつつ基板Wの不所望な乾燥を防止する処理を行う。
基板Wがチャンバ27内に搬入されると、制御部67は、チャンバ27内の酸素濃度低減処理を開始する。具体的には、蒸気弁38は閉止のままで上部カバー29を閉止、排液弁65を閉止するとともに、ノズル33aに供給管35で接続された開閉弁34aと、不活性ガス弁49とを開放し、不活性ガス供給源47からノズル33aを介してチャンバ27内に所定流量で不活性ガスを供給させる。また、それと同時に開閉弁52aを開放し、排気ポンプ52を作動させて、上述した不活性ガスの所定流量を超える流量で排気を行う。これにより、チャンバ27の内部にある空気が不活性ガスによってパージされつつ、チャンバ27内が減圧されて酸素濃度が低減される。その結果、処理槽1から基板Wを引き上げた後における基板Wと酸素との接触を抑制または防止できるので、酸素を原因とする基板W表面のウオーターマーク発生など基板Wの処理に悪影響が生じることを防止できる。このときのチャンバ27内の圧力は、圧力検出器27Pによって逐次測定され、その圧力信号が制御部67に与えられる。
制御部67は、記憶部69の蒸気圧曲線を参照し、圧力検出器27Pからの圧力信号が、加熱温度における蒸気圧曲線以下の所定圧力以下になるまで、排気ポンプ52による減圧を継続する。具体的には、記憶部69に記憶されている第1圧力TP1を目標値として減圧を行う。ここでは、溶剤がイソプロピルアルコールであるので、図2に示す蒸気圧曲線におけるイソプロピルアルコールの加熱温度である70℃に対応する60kPa以下であるが、第1圧力TP1はそれよりもより十分に低い15kPaに設定する。この圧力は、この実施形態においては、チャンバ27内の酸素濃度が所定の濃度以下(具体的には、例えば0.001%以下)にまで下がる圧力であって、乾燥後の基板Wに対してチャンバ27内の酸素が悪影響を与えない濃度となる圧力(実験的に決定される)である。
上記の条件が満たされると(すなわち、圧力検出器27Pからの圧力信号が加熱温度における蒸気圧曲線以下の所定圧力になると)、制御部69は、排気ポンプ52を動作させたまま不活性ガス弁49を閉じるとともに蒸気弁38を開放させ、供給管35をチャンバ27と蒸気発生タンク37に連通させる。これにより、蒸気発生タンク37内の圧力が急激に低下していき、イソプロピルアルコールの気化が徐々に活発化し、このときノズル33aに供給管35で接続された開閉弁34aは開放されたままであるので、ノズル33aを介してイソプロピルアルコールの蒸気がチャンバ27に導入されはじめる。これまでは蒸気発生タンク37は減圧されておらず、溶剤がヒータ41で加熱されている関係上、圧力が高くなっていた。その状態の蒸気発生タンク37が、このステップS4において減圧されているチャンバ27に連通される。したがって、チャンバ27は一時的に圧力が上昇しようとするが、排気ポンプ52による減圧により、減圧状態が維持される。一方、蒸気発生タンク37は、チャンバ27と供給管35を介して排気ポンプ52により減圧されるので、次第に内部圧力が低下してゆく。その圧力は、圧力検出器37Pによって逐次測定され、その圧力信号が制御部67に与えられる。
上記の条件が満たされると、すなわち圧力検出器37Pからの圧力信号が、加熱温度における蒸気圧曲線付近(具体的には、蒸気圧曲線よりも高い所定値TP2以下になると)、制御部69は、排気ポンプ52を停止させるとともに、開閉弁52aを閉止させる。これによりチャンバ27の排気減圧動作は停止されるが、チャンバ27と蒸気発生タンク37の内部が減圧状態に維持され、かつ、蒸気発生タンク37よりもチャンバ27の圧力が低いため、蒸気発生タンク37からチャンバ27への溶剤蒸気の導入は継続され、蒸気発生タンク37内の圧力はさらに下がり続ける。そして、蒸気発生タンク37の圧力が、蒸気圧曲線におけるイソプロピルアルコールの加熱温度である70℃に対応する60kPaを超えて低下すると、このとき蒸気発生タンク37ではイソプロピルアルコールが沸騰して大量の蒸気が発生し、その蒸気がチャンバ27と蒸気発生タンク37の圧力差に応じてチャンバ27に導入される。ただし、このとき廃棄ポンプ52は停止しており、この沸騰は、排気ポンプを動作させての減圧によるほどの急激なものではないので、溶剤ミストの発生などの不都合は実質的に避けられる。
チャンバ27内の溶剤濃度が所定の値になると、制御部67は、リフタ31を「槽内位置」から「乾燥位置」へと上昇させて基板Wを乾燥位置へ移動させる。このとき、処理槽1内の常温の純水から引き上げられた基板Wの温度もほぼ常温であるので、その基板Wの全面にはチャンバ27内に導入された溶剤蒸気が凝結し、すでに純水の水面に凝結している溶剤とあいまって、基板Wの表面に付着している純水の液滴が溶剤によって置換される。そして、基板Wが乾燥位置にあるこの状態を所定時間だけ維持しながらノズル33aからの溶剤蒸気の供給を継続する。ノズル33aは、乾燥位置にある基板Wに対して基板Wの周方向から溶剤蒸気を吹き付ける向きに設置されており、基板Wの表面に十分な溶剤を供給でき、効率よく置換できる。
制御部67は、所定時間が経過した時点で、蒸気弁38を閉止させ、溶剤蒸気の供給を停止するとともに、不活性ガス弁49を開放して、インラインヒータ50で加熱した不活性ガスをノズル33aからチャンバ27内に導入し、それと同時に排気ポンプ52を作動させて開閉弁52aを開放し、チャンバ27内の溶剤を含む雰囲気を排気する。ノズル33aは乾燥位置にある基板Wに対して基板Wの周方向から不活性ガスを吹き付ける向きに設置されており、導入された不活性ガスは、所定時間の間、ノズル33aから基板Wに吹き付けられ、基板Wに付着した溶剤を効率よく蒸発させて除去し、基板Wを乾燥させるとともに、チャンバ27内の雰囲気を置換する。
上述した処理が所定時間経過し、基板Wが乾燥した後、制御部67は、開閉弁52aを閉止し、排気ポンプ52を停止し、このとき不活性ガス弁49は開放された状態であり、加熱した不活性ガスのチャンバ27内への導入は継続する。不活性ガスの導入によりチャンバ27が大気圧に戻ると、いったん不活性ガス弁49を閉止して上部カバー29を開放するとともに、リフタ31を「乾燥位置」から「待機位置」へと上昇させ、前記水平搬送装置に渡して基板Wを搬出する。それと同時に制御部67は、不活性ガス弁44を開放して不活性ガス供給源47から供給管42を通じて蒸気発生タンク37に不活性ガスを供給し、蒸気発生タンク37の内部を常圧に戻すとともに、必要に応じて溶剤供給源43から蒸気発生タンク37に溶剤を補給する。
(4)上述した実施例では、薬液槽やリンス槽で薬液処理などを行った基板を乾燥槽に搬送して乾燥処理していたが、一つの処理槽において、薬液や純水など複数種類の処理液を選択的に供給できるようにして、薬液処理から乾燥までを行うようにすることもできる。
1 … 処理槽
7 … 噴出管
9 … 供給管
27 … チャンバ
27P … 圧力検出器
31 … リフタ
35 … 供給管
37 … 蒸気発生タンク
37P … 圧力検出器
38 … 蒸気弁
41 … ヒータ
52 … 排気ポンプ
52a … 開閉弁
67 … 制御部
69 … 記憶部
TP1 … 第1圧力
TP2 … 第2圧力
Claims (7)
- 基板を溶剤蒸気により乾燥させる基板処理方法において、
溶剤蒸気を発生させる蒸気発生タンク内に所定温度の溶剤を用意する過程と、
チャンバ内の処理槽に貯留した処理液に基板を浸漬する過程と、
前記チャンバから排気を行い、前記チャンバ内を、前記蒸気発生タンク内の溶剤の前記所定温度に応じた蒸気圧曲線以下の圧力にまで減圧する過程と、
前記蒸気発生タンクと前記チャンバとを供給管で連通接続して前記チャンバ内からの排気を行い、前記蒸気発生タンク内の雰囲気を排気して前記チャンバ内へ溶剤蒸気を導入させる第1導入過程と、
前記蒸気発生タンク内の圧力が所定圧力まで低下した時点で前記チャンバ内からの排気動作を停止させる過程と、
前記チャンバ内からの排気動作を停止させた状態で、前記蒸気発生タンクと前記チャンバとの圧力差によって前記チャンバ内に溶剤蒸気を導入させる第2導入過程と、
前記処理槽の処理液に浸漬されている基板を処理液面上に引き上げて、基板に付着している処理液を溶剤で置換させる過程と、
前記基板に付着した溶剤を除去する過程と、
を備えていることを特徴とする基板処理方法。 - 請求項1に記載の基板処理方法において、
前記排気動作を停止させる過程は、前記蒸気発生タンク内の圧力が、前記蒸気発生タンク内の溶剤の前記所定温度に応じた蒸気圧曲線付近であってかつ蒸気圧曲線よりも高い圧力である時点で前記チャンバ内からの排気動作を停止させ、
前記第2導入過程において、前記蒸気発生タンク内の圧力が、前記蒸気発生タンク内の溶剤の前記所定温度に応じた蒸気圧曲線を超えて低下することを特徴とする基板処理方法。 - 請求項1または2に記載の基板処理方法において、
前記減圧する過程は、前記蒸気発生タンクと前記チャンバとを連通接続する供給管から前記チャンバ内に所定流量の不活性ガスを供給しつつ、前記チャンバから前記所定流量を超える流量で排気を行い、前記チャンバ内を、前記蒸気発生タンク内の溶剤の前記所定温度に応じた蒸気圧曲線以下の圧力でかつ所定の低酸素状態にまで減圧するものであり、
前記第1導入過程は、前記供給管から前記チャンバへの前記不活性ガスの供給を停止して行うものである
ことを特徴とする基板処理方法。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記基板に付着している処理液を溶剤で置換させる過程は、前記第2導入過程の途中で、前記蒸気発生タンクから前記チャンバ内へ供給した溶剤蒸気を基板に吹き付けて行われることを特徴とする基板処理方法。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記基板に付着した溶剤を除去する過程は、前記チャンバへ不活性ガスを供給し、その不活性ガスを前記基板に吹き付けて行うことを特徴とする基板処理方法。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記蒸気発生タンクは、溶剤としてイソプロピルアルコール(IPA)を貯留して70℃に加熱し、
前記排気動作を停止させる過程では前記蒸気発生タンク内の圧力が75kPaに達した時点で排気動作を停止させることを特徴とする基板処理方法。 - 処理液により処理された基板を溶剤蒸気により乾燥させる基板処理装置において、
処理液を貯留する処理槽と、
前記処理槽を囲うチャンバと、
基板を支持し、前記処理槽内の槽内位置と、前記処理槽の上方にあたる乾燥位置とにわたって昇降可能な基板支持機構と、
溶剤を貯留してその溶剤の蒸気を発生させる蒸気発生タンクと、
前記蒸気発生タンク内の溶剤を加熱するための加熱手段と、
前記蒸気発生タンク内の溶剤の温度を検出する温度検出手段と、
前記蒸気発生タンクと前記チャンバとを連通接続し、前記チャンバ内に溶剤蒸気を供給する供給管と、
前記供給管を開閉する開閉弁と、
前記チャンバ内を排気して減圧する減圧手段と、
前記チャンバ内の圧力を検出する第1の圧力検出手段と、
前記蒸気発生タンク内の圧力を検出する第2の圧力検出手段と、
前記開閉弁を閉止し、前記加熱手段で溶剤を加熱した状態で、前記減圧手段で前記チャンバ内を減圧し、前記第1の圧力検出手段によって検出された圧力が、前記温度検出手段によって検出された温度における溶剤の蒸気圧曲線以下の所定圧力となった場合には、前記開閉弁を開放して、前記蒸気発生タンクと前記チャンバとを連通させ、前記第2の圧力検出手段によって検出された圧力が、前記温度検出手段によって検出された温度における溶剤の蒸気圧曲線付近となった場合には、前記減圧手段を停止させる制御手段と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
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