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JP6085424B2 - 基板処理方法、基板処理装置および記憶媒体 - Google Patents

基板処理方法、基板処理装置および記憶媒体 Download PDF

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JP6085424B2 JP2012113563A JP2012113563A JP6085424B2 JP 6085424 B2 JP6085424 B2 JP 6085424B2 JP 2012113563 A JP2012113563 A JP 2012113563A JP 2012113563 A JP2012113563 A JP 2012113563A JP 6085424 B2 JP6085424 B2 JP 6085424B2
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Description

本発明は、超臨界状態または亜臨界状態の流体を用いて基板の表面に付着した液体を除去する技術に関する。
基板である半導体ウエハ(以下、ウエハという)などの表面に集積回路の積層構造を形成する半導体装置の製造工程などにおいては、薬液などの洗浄液によりウエハ表面の微小なごみや自然酸化膜を除去するなど、液体を利用してウエハ表面を処理する液処理工程が設けられている。
ところが半導体装置の高集積化に伴い、こうした液処理工程にてウエハの表面に付着した液体などを除去する際に、いわゆるパターン倒れと呼ばれる現象が問題となっている。パターン倒れは、例えばウエハ表面に残った液体を乾燥させる際に、パターンを形成する凹凸の例えば凸部の左右(言い替えると凹部内)に残っている液体が不均一に乾燥することにより、この凸部を左右に引っ張る表面張力のバランスが崩れて液体の多く残っている方向に凸部が倒れる現象である。
こうしたパターン倒れの発生を抑えつつウエハ表面に付着した液体を除去する手法として超臨界状態や亜臨界状態(以下、これらをまとめて高圧状態という)の流体を用いる方法が知られている。高圧状態の流体(高圧流体)は、液体と比べて粘度が小さく、また液体を抽出する能力も高いことに加え、高圧流体と平衡状態にある液体や気体との間で界面が存在しない。そこで、ウエハ表面に付着した液体を高圧流体と置換し、しかる後、高圧流体を気体に状態変化させると、表面張力の影響を受けることなく液体を乾燥させることができる。
発明者は、このような高圧流体を利用してウエハ表面の液体を除去する技術の実用化開発を行っているが、パターンのアスペクト比が大きくなるにつれてパターンの凹部内に入り込んだ液体の除去が困難になる場合があることを把握している。このため、パターンの凹部内の液体を高圧流体で抽出し、当該凹部内を高圧流体で置換することが十分にできず、高圧流体を用いた液体除去技術を実用化する上での大きな課題となっている。
ここで特許文献1には、リンス液が付着した基板を所定の条件で超臨界状態となる超臨界物質に浸漬し、これらリンス液と超臨界物質との混合物が共に超臨界状態となる共臨界状態とすることによりリンス液を除去する技術が記載されている。しかしながら本技術は、リンス液と超臨界物質とを混合してから共臨界状態にすることが前提となっているが、我々の実験から、リンス液の臨界温度以下となる共臨界温度付近ではパターン倒れが発生することがわかった。つまり、ウエハ表面にあるリンス液を超臨界状態としてリンス液を除去させるためには、リンス液の臨界温度以上で処理することが必要であることが我々の実験からわかった。また、図18はウエハ上のリンス液に液体CO、超臨界CO、気体COをそれぞれ混合した場合のウエハ上のパーティクル数を示しているが、またリンス液と超臨界物質を混合した場合、例えばCOの超臨界流体を使用した場合、気体状態のCOと比して、ウエハ上に付着するパーティクルが多いことが我々の実験からわかった。これは高密度である超臨界物質によってパーティクルが輸送されるためであり、この点からリンス液と混合する物質は気体状態であることが好ましく、リンス液が超臨界状態となる圧力以上であればパターン倒壊を抑制し、かつパーティクル低減が可能である。また本技術では、アスペクト比の高いパターンの凹部に入り込んでいるリンス液を短時間で超臨界状態として除去することは困難であり、生産性を確保するためには、より短時間でパターンの凹部内に入り込んだリンス液を除去する必要がある。
特開2005−101074号公報:請求項1、3、段落0024〜0027、0038、図1、3
本発明はこのような背景の下になされたものであり、基板のパターン内に入り込んだ乾燥防止用の液体を除去することが可能な基板処理方法、基板処理装置及び、前記方法を記憶した記憶媒体を提供することを目的とする。
本発明に係る基板処理方法は、表面に凹凸パターンが形成され、その凹部内に入り込むように前記パターンを覆う乾燥防止用の液体が付着した基板を処理容器内に搬入する工程と、
次いで、前記基板上の乾燥防止用の液体の温度−圧力状態が、前記乾燥防止用の液体の蒸気圧曲線よりも液相側の領域を通って変化し、超臨界状態または亜臨界状態である高圧状態に達するように、当該処理容器内を外部から加圧しながら基板を加熱し、且つ、前記処理容器内を外部から加圧する圧力と、基板を加熱するために供給する熱との少なくとも一方を変化させ、前記パターンの凹部内に入り込んだ状態のまま前記乾燥防止用の液体を高圧状態とする工程と、
その後、前記処理容器内の流体を高圧状態または気体の状態で排出する工程と、を含むことを特徴とする。
前記基板処理方法は以下の特徴を備えていてもよい。
(a)前記処理容器内の加圧は、当該処理容器に加圧用の気体または高圧状態の流体を供給することにより行われること。
(b)(a)において前記処理容器内の加圧は、加圧用の気体を供給することにより行われ、前記乾燥防止用の液体が臨界圧力以上に加圧され、前記乾燥防止用の液体が超臨界状態になったときに、前記加圧用の体が気体状態であること。
(c)(a)において前記乾燥防止用の液体が臨界圧力以上に加圧され、前記乾燥防止用の液体が超臨界状態になったときに、前記加圧用の気体または高圧状態の流体が高圧状態(超臨界状態または亜臨界状態)であること。
(d)前記処理容器内にて、基板は乾燥防止用の液体に浸漬された状態で加熱されること。
(e)基板は、乾燥防止用の液体が液盛りされた状態で前記処理容器に搬入されること。
(f)前記乾燥防止用の液体が可燃性もしくは不燃性であり、当該液体が付着した基板を搬入する前に、前記処理容器内に不活性ガスを供給する工程を含むこと。
本発明は、処理容器内の温度−圧力状態が、基板に付着した乾燥防止用の液体の蒸気圧曲線よりも液相側の領域を通って変化し、超臨界状態または亜臨界状態である高圧状態に達するように、処理容器内を加圧しながら基板を加熱する。これにより、当該液体の沸騰を避けつつ、前記パターンの凹部内に入り込んだ状態のまま、この液体を高圧状態の流体に変化させることができるので、パターン倒れの発生を抑えつつ基板に付着した液体を除去することができる。
洗浄処理システムの横断平面図である。 前記洗浄処理システムの外観斜視図である。 前記洗浄処理システムに設けられている洗浄装置の縦断側面図である。 実施の形態に係わる超臨界処理装置の構成図である。 前記超臨界処理装置の処理容器の外観斜視図である。 前記超臨界処理装置の作用を示す第1の説明図である。 前記超臨界処理装置の作用を示す第2の説明図である。 前記超臨界処理装置の作用を示す第3の説明図である。 前記超臨界処理装置の作用を示す第4の説明図である。 前記超臨界処理装置の処理容器内の温度−圧力状態を示す説明図である。 他の実施の形態に係わる超臨界処理装置の構成図である。 前記他の超臨界処理装置の処理容器内におけるウエハの温度変化を示す説明図である。 前記他の超臨界処理装置の処理容器内の温度−圧力状態を示す説明図である。 前記他の超臨界処理装置におけるウエハの処理状態を示す第1の説明図である。 前記ウエハの処理状態を示す第2の説明図である。 前記ウエハの処理状態を示す第3の説明図である。 前記ウエハの処理状態を示す第4の説明図である。 ウエハ上のリンス液を液体状態CO、超臨界状態のCO、気体状態のCOを混合した場合のウエハ上に残留するパーティクル数を示すグラフである。
本発明の基板処理装置を備えた基板処理システムの一例として、被処理基板であるウエハWに洗浄液を供給して洗浄処理を行う洗浄装置2と、洗浄処理後のウエハWに付着している乾燥防止用の液体を超臨界状態(高圧状態)にして除去する超臨界処理装置3とを備えた洗浄処理システム1について説明する。
図1は洗浄処理システム1の全体構成を示す横断平面図、図2はその外観斜視図であり、これらの図に向かって左側を前方とする。洗浄処理システム1では、載置部11にFOUP100が載置され、このFOUP100に格納された例えば直径300mmの複数枚のウエハWが、搬入出部12及び受け渡し部13を介して後段の洗浄処理部14、超臨界処理部15との間で受け渡され、洗浄装置2、超臨界処理装置3内に順番に搬入されて洗浄処理や乾燥防止用の液体を除去する処理が行われる。図中、121はFOUP100と受け渡し部13との間でウエハWを搬送する第1の搬送機構、131は搬入出部12と洗浄処理部14、超臨界処理部15との間を搬送されるウエハWが一時的に載置されるバッファとしての役割を果たす受け渡し棚である。
洗浄処理部14及び超臨界処理部15は、受け渡し部13との間の開口部から前後方向に向かって伸びるウエハ搬送路162に沿って前方からこの順番に設けられている。洗浄処理部14には、当該ウエハ搬送路162を挟んで洗浄装置2が1台ずつ配置されている。一方、超臨界処理部15には、本実施の形態の基板処理装置である超臨界処理装置3が、ウエハ搬送路162を挟んで3台ずつ、合計6台配置されている。
ウエハWは、ウエハ搬送路162に配置された第2の搬送機構161によってこれら各洗浄装置2、超臨界処理装置3及び受け渡し部13の間を搬送される。ここで洗浄処理部14や超臨界処理部15に配置される洗浄装置2や超臨界処理装置3の個数は、単位時間当たりのウエハWの処理枚数や、洗浄装置2、超臨界処理装置3での処理時間の違いなどにより適宜選択され、これら洗浄装置2や超臨界処理装置3の配置数などに応じて最適なレイアウトが選択される。
洗浄装置2は例えばスピン洗浄によりウエハWを1枚ずつ洗浄する枚葉式の洗浄装置2として構成され、例えば図3の縦断側面図に示すように、処理空間を形成するアウターチャンバー21内に配置されたウエハ保持機構23にてウエハWをほぼ水平に保持し、このウエハ保持機構23を鉛直軸周りに回転させることによりウエハWを回転させる。そして回転するウエハWの上方にノズルアーム24を進入させ、その先端部に設けられた薬液ノズル241から薬液及びリンス液を予め定められた順に供給することによりウエハの面の洗浄処理が行われる。また、ウエハ保持機構23の内部にも薬液供給路231が形成されており、ここから供給された薬液及びリンス液によってウエハWの裏面洗浄が行われる。
洗浄処理は、例えばアルカリ性の薬液であるSC1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)によるパーティクルや有機性の汚染物質の除去→リンス液である脱イオン水(DeIonized Water:DIW)によるリンス洗浄→酸性薬液である希フッ酸水溶液(以下、DHF(Diluted HydroFluoric acid))による自然酸化膜の除去→DIWによるリンス洗浄が行われる。これらの薬液はアウターチャンバー21内に配置されたインナーカップ22やアウターチャンバー21に受け止められて排液口221、211より排出される。またアウターチャンバー21内の雰囲気は排気口212より排気されている。
薬液による洗浄処理を終えたら、ウエハ保持機構23の回転を停止してから当該表面にIPA(IsoPropyl Alcohol)を供給し、ウエハWの表面及び裏面に残存しているDIWと置換する。こうして洗浄処理を終えたそしてウエハWは、その表面にIPAが液盛りされた状態(ウエハW表面にIPAの液膜が形成された状態)のまま例えばウエハ保持機構23に設けられた不図示の受け渡し機構により第2の搬送機構161に受け渡され、洗浄装置2より搬出される。
洗浄装置2にてウエハW表面に液盛りされたIPAは、洗浄装置2から超臨界処理装置3へのウエハWの搬送中や、超臨界処理装置3への搬入動作中に当該IPAが蒸発(気化)することによってパターン倒れが発生することを防ぐ乾燥防止用の液体としての役割を果たしている。
洗浄装置2での洗浄処理を終え、表面に乾燥防止用のIPAの液盛りがされたウエハWは、超臨界処理装置3に搬送され、当該IPAを高圧状態にして除去し、ウエハWを乾燥する処理が行われる。以下、本実施の形態に係る超臨界処理装置3の構成について図4、図5を参照しながら説明する。超臨界処理装置3は、ウエハW表面に付着した乾燥防止用の液体であるIPAを除去する処理が行われる処理容器31と、この処理容器31内を加圧するためのガスを供給する加圧流体供給部36とを備えている。
図5に示すように処理容器31は、ウエハWの搬入出用の開口部312が形成された筐体状の容器本体311と、処理対象のウエハWを液体IPAに浸漬した状態で横向きに保持することが可能なウエハトレイ331と、このウエハトレイ331を支持すると共に、ウエハWを容器本体311内に搬入したとき前記開口部312を密閉する蓋部材332とを備えている。
容器本体11は、例えば直径300mmのウエハWを収容可能な、200〜10000cm程度の処理空間が形成された容器であり、その上面には、処理容器31内に加圧流体を供給するための加圧流体供給ライン351と、処理容器31内の流体を排出するための排出ライン341とが接続されている。また、処理容器1には処理空間内に供給された高圧状態の処理流体から受ける内圧に抗して、容器本体311に向けて蓋部材332を押し付け、処理空間を密閉するための不図示の押圧機構が設けられている。
容器本体311には、例えば抵抗発熱体などからなる加熱部であるヒーター322と、処理容器31内の温度を検出するための熱電対などを備えた温度検出部323とが設けられており、容器本体311を加熱することにより、処理容器31内の温度を予め設定された温度に加熱し、これにより内部のウエハWを加熱することができる。ヒーター322は、給電部321から供給される電力により、発熱量を変化させることが可能であり、温度検出部323から取得した温度検出結果に基づき、処理容器31内の温度を予め定められた昇温スケジュールに基づいて昇温していく。
加圧流体供給部36には、処理容器31内の圧力を大気圧よりも高い0.1〜6MPa程度に加圧するための高圧ガス(本例では窒素ガス)が保持されている。図4中、351は加圧流体供給部36から処理容器31に加圧流体を供給するための加圧流体供給ライン、352は処理容器31に設けられた圧力検出部313の検出結果に基づき、処理容器31内が前記圧力に調整されるように加圧流体の供給量を調節する減圧弁である。
以上に説明した構成を備えた洗浄処理システム1や洗浄装置2、超臨界処理装置3は図1、図4に示すように制御部4に接続されている。制御部4は図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部にはこれら洗浄処理システム1や洗浄装置2、超臨界処理装置3の作用、即ちFOUP100からウエハWを取り出して洗浄装置2にて洗浄処理を行い、次いで超臨界処理装置3にてウエハWを乾燥する処理を行ってからFOUP100内にウエハWを搬入するまでの動作に係わる制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
特に超臨界処理装置3について制御部4は、ウエハWを浸漬した状態となっている処理容器31(ウエハトレイ331)内の液体IPAを加圧された雰囲気下で加熱し、当該IPAを沸騰させないようにしながら超臨界状態(高圧状態)に変化させることにより、パターン倒れを発生させずに当該液体を除去するように制御信号を出力する。
以上に説明した構成を備えた超臨界処理装置3の作用について図6〜図9の作用図、及びウエハWを処理している期間中の処理容器31内の温度-圧力状態を示した図10を参照しながら説明する。ここで処理容器31内のIPAの気液平衡が保たれる速度でIPAの加熱を行う場合や、ウエハW表面のIPAの液膜が十分に薄く、当該IPAを昇温する際の応答速度が十分に速い場合などでは、IPAの温度−圧力状態は処理容器31内の温度−圧力にほぼ等しいとみなしてよい。従って以下の説明では、特に言及がない限り、処理容器31内の温度−圧力の説明をもってウエハW表面のIPAの温度−圧力状態を示している。図6〜図9において各バルブに付された「S」の符号は、その開閉バルブが閉状態となっていることを示し、「O」の符号は開状態となっていることを示している。
既述のように洗浄装置2における洗浄処理を終え、乾燥防止用のIPAを液盛りしたウエハWが第2の搬送機構161に受け渡されると、第2の搬送機構161は、ウエハWを受け入れ可能な超臨界処理装置3の配置されている筐体内に進入する。このときウエハWの搬入が行われる前の超臨界処理装置3は、ヒーター322の給電部321をオフにしてIPAの臨界温度(235℃)以下の温度、大気圧の状態で待機している。このとき、Nガスなどの不活性ガスでパージして処理容器31内を低酸素雰囲気としておき、ヒーター322で処理容器31内の加熱を開始した後、可燃性のIPAが高温雰囲気下で比較的高い濃度の酸素と接触しないようにするとよい。
処理を実行可能な超臨界処理装置3にウエハWが搬入されてきたら、図5に示すように容器本体311の外にウエハトレイ331を移動させ、不図示の支持ピンを介して第2の搬送機構161の搬送アームからウエハトレイ331にウエハWを受け渡す。そして、図示しないIPA供給ノズルからウエハトレイ331内に液体IPAを供給して、ウエハWが液体IPAに浸漬された状態とする。次いで、ウエハトレイ331を移動させて開口部312を介してウエハWを容器本体311の内部に搬入し、蓋部材332にて開口部312を閉じ処理容器31内を密閉する(図6)。
ウエハWの搬入を終えると、IPAは狭い処理容器31内で揮発するので、処理容器31内の温度-圧力は図10に一点鎖線で示したIPAの蒸気圧曲線の左端に白丸で記したA点付近の状態となる。この状態で処理容器31内のウエハWを急激に加熱すると、ウエハW表面のIPAが沸騰してパターン内で気泡を発生し、パターン倒れを引き起こす要因となる。一方、IPAが沸騰しないように処理容器31内の温度-圧力状態がIPAの蒸気圧曲線を移動するようにゆっくりと加熱を行い、液体IPAを超臨界状態に変化させれば、パターン倒れを引き起こすことなく、ウエハW表面から液体IPAを除去することができるが、ウエハWの処理に長時間を要する。


そこで本例の超臨界処理装置3は、処理容器31内に加圧流体を供給して加圧し、図10に黒丸のB点で示すように、処理容器31内の温度-圧力をIPAの蒸気圧曲線から離れた状態とすることにより、急速な加熱を行ってもIPAが沸騰しにくい状態を作り出す。具体的には、図7に示すように加圧流体供給ライン351の減圧弁352を開き、その開度を調節して処理容器31内の圧力が0.1〜6MPaの範囲内の例えば0.5MPaとなるように調整する。
しかる後、給電部321からヒーター322への電力供給を開始し、処理容器31内のIPAを加熱する。このとき、処理容器31内は加圧されているのでIPAは図10中に矢印付きの実線で示すように液体の状態維持したまま、蒸気圧曲線よりも液相側の温度-圧力領域を通って加熱される。また、IPAの一部は蒸発して処理容器31内の圧力が上昇する。こうして、処理容器31内の温度-圧力状態がIPAの蒸気圧曲線に近づいたら(図10のC点)、加熱スピードを下げ、IPAを沸騰させないように加熱を継続する。
そして、処理容器31の温度-圧力状態がIPAの臨界点(超臨界温度235℃、臨界圧力4.8MPa(絶対圧))を超えると、図8に示すように処理容器31内全体が超臨界流体となる。この結果、ウエハWのパターンの凹部内に入り込んでいる液体IPAも周囲のIPAと共に、当該凹部内で超臨界流体となり、パターン倒れを発生させずにウエハWの表面から液体IPAを除去することができる。なお、実際には処理容器31内の雰囲気は、IPAや加圧流体である窒素、ウエハWの搬入出時に外部から進入した酸素などの流体が混合された状態であるが、IPAが超臨界状態のときには、窒素や酸素は気体または超臨界流体の状態となっており、他に液体は存在しない。従ってIPAを超臨界状態とすれば、パターン倒れを発生させずにウエハW表面の液体を除去できる。
こうして処理容器31内の液体IPAが全て超臨界状態となるのに十分な時間が経過したら、図9に示すように加圧流体供給ライン351の減圧弁352を閉じる一方、排出ライン341の減圧弁342を開いて処理容器31内の流体を排出する。このとき、処理容器31はIPAの沸点(82.4℃)よりも高温(例えば250℃)に調整されており、処理容器31からはCO及びIPAが超臨界状態、または気体の状態で排出されることになる。この結果、大気圧まで降圧された処理容器31の内部では、パターン51内から液体IPA61が除去され、乾燥した状態となったウエハWを得ることができる。このように、パターン内に進入した液体IPAを、直接、超臨界IPAに変化させて除去する手法は、パターンのアスペクト比が10以上程度と、高アスペクト比になったとき、及びデザインルールが20nm以下と、IPAとCOが接する開口面積が小さくなったときに特に有効である。
液体IPA61が除去され、ウエハWが乾燥した状態となったら、ウエハトレイ331を移動させて処理容器31からウエハWを搬出し、第2の搬送機構161の搬送アームにウエハWを受け渡す。しかる後、ウエハWは搬出棚43を介して第1の搬送機構121に受け渡され、搬入時とは逆の経路を通ってFOUP100内に格納され、ウエハWに対する一連の動作が完了する。
このとき洗浄システム1内に、清浄空気の気流と接触する雰囲気下などでウエハWを保持して、処理容器31内で加熱されたウエハWを冷却する冷却装置を設け、超臨界処理装置3から取り出したウエハWを一旦、この冷却装置で冷却してからFOUP100に格納するようにしてもよい。
本実施の形態に係わる超臨界処理装置3によれば以下の効果がある。処理容器31内の温度−圧力状態が、ウエハWに付着した乾燥防止用の液体IPAの蒸気圧曲線よりも液相側の領域を通るか、または当該蒸気圧曲線上を通って変化し、超臨界状態に達するように、処理容器31内を加圧しながらウエハWを加熱する。これにより、液体IPAの沸騰を避けつつ、前記パターン51の凹部内に入り込んだ状態のまま、この液体IPAを超臨界状態に変化させることができるので、パターン倒れの発生を抑えつつウエハWに付着した液体IPAを除去することができる。
ここで液体IPAを沸騰させないようにウエハW上の液体IPAの温度-圧力状態(処理容器31内の温度-圧力状態)を調整しながら液体IPAを超臨界状態に変化させるという手法は、液体IPAに浸漬された状態のウエハWから当該IPAを除去する例に適用する場合に限定されるものではない。例えば、パターンの形成されたウエハW表面に液盛りされた液体IPAを除去する場合にも本法は適用することができる。
図11は、ウエハW表面に液盛りされた液体IPAを除去する超臨界処理装置3の構成例を示している。ウエハW表面に液盛りされた液体IPAの量は、ウエハW全体を浸漬可能な量だけウエハトレイ331に供給された液体IPAの量よりも少ない場合が多い。このため、加圧流体で処理容器31内を加圧した後、液体IPAの全量を蒸発させても、IPAが超臨界状態となる圧力となるまで処理容器31内を昇圧できないおそれがある。
そこで、図11に示す超臨界処理装置3は、液体IPAを加熱して蒸発させた蒸気により処理容器31内を昇圧する手法に変え、外部から処理容器31内にガスや高圧流体を供給して、処理容器31内にIPAの臨界圧力よりも高圧の雰囲気を形成することにより、IPAを沸騰させないようにしながら超臨界状態に変化させる点が第1の実施の形態と異なる。図11中、図4に示した第1の実施の形態に係わる超臨界処理装置3と同様の構成要素には、図4に示したものと同様の符号を付してある。
図11に示した超臨界処理装置3は、加圧流体供給部36に例えば、COが液体の状態で溜められており、加圧流体供給ライン351と加圧流体供給部36との間に、当該COの供給圧力を調整するための、例えばシリンジポンプやダイヤフラムポンプなどからなる昇圧ポンプ362と、圧力調整された気体COを保持する加圧流体タンク363とが設けられている点が第1の実施の形に係わる超臨界処理装置3とは異なる。加圧流体タンク363には、処理容器31内の圧力をIPAの臨界圧より高い圧力まで昇圧することが可能な十分量の気体COが保持されている。図中、361は加圧流体タンク363にCOを供給するCO供給ラインである。
また、制御部4には、温度検出部323の温度検出値と圧力検出部313の圧力検出値の双方が入力され、処理容器31内の温度、圧力を監視しながら、ヒーター322への給電量や、加圧流体供給ライン351の減圧弁352の開度を調節することができる。
そして例えば、予備実験などにより処理容器31を加熱したときの処理容器31の温度と、液体IPAが液盛りされたウエハWの温度との対応関係を把握しておけば、図12に示すように、予め設定されたスケジュールに基づいて処理容器31の温度を上昇させたときのウエハW温度の経時変化を把握することができる。そして、ウエハW表面に液盛りされた液体IPAの温度がウエハWの温度と同様の経時変化を示すとすると、ある時刻におけるIPAの温度の蒸気圧よりも処理容器31内の圧力を高圧に保つことにより、液体IPAの沸騰を防ぎつつ、当該液体IPAを超臨界状態に変化させることができる。
そこで、本例の超臨界処理装置3は、図13に示すように、ウエハW表面に液盛りされたIPAが液体の状態を保ちながら昇温されるように、減圧弁352の開度やヒーター322の出力を調整し、液体IPAを超臨界状態に変化させる。
具体例を挙げて説明すると、IPAが液盛りされたウエハWを処理容器31内に搬入すると、液体IPAが気化し、処理容器31内の温度圧力状態は図13のA’点付近の状態となる。このとき、図14に模式的に示すように、ウエハW表面に液盛りされていた液体IPA61が気化し、更にパターン51の凹部に入り込んでいる液体IPA61が気化し始めるとパターン倒れが発生するおそれが高くなる。
そこでこのような状態となる前に、図11に示す加圧流体供給ライン351の減圧弁352を徐々に開いて、加圧流体タンク363から気体COを供給し処理容器31内の圧力を上昇させる(図13中のB’点)。しかる後、所定の昇温スケジュールに基づき処理容器31の昇温を開始し、ウエハWを加熱すると共に減圧弁352を更に開いて、ウエハW上のIPAが液体で存在できるように、処理容器31内の温度-圧力状態を調整する。
このとき処理容器31内では、COの導入当初の温度-圧力状態においては、図15に示すようにウエハWの周囲は気体CO64の高圧雰囲気となっている一方、液体IPA61はウエハWのパターン51の凹部内に入り込んだ状態で存在している。この状態で、図13に示した矢印付きの実線に沿って処理容器31の温度、圧力を上げていき、IPAの臨界圧力以上でCOの臨界圧力以下である6MPaまで昇圧する。なお、本実施形体においては、COを超臨界状態や亜臨界状態(高圧状態)まで加圧してもよい。
このように、COの臨界圧力よりも低く、IPAの臨界圧力よりも高い雰囲気を形成することにより、加熱されている液体IPA61の周囲には、当該温度における液体IPA61の蒸気圧よりも高圧の雰囲気が形成される。この結果、ウエハW表面の液体IPA61は液相の状態を保ったまま(沸騰することなく)高圧雰囲気下で加熱される。やがて処理容器31内の温度がIPAの臨界温度以上になると、液体IPA61が、パターン51の凹部内に入り込んだ状態のまま超臨界IPA63となる(図16)。
このように液体IPA61を高圧の気体CO64と接触させた状態のまま処理容器30内を昇温することにより、前記凹部内の液体IPA61を直接、超臨界IPA63にすることができる。また加圧用の流体が気体状態のCOであるため、超臨界状態のCOに比べパーティクル低減が可能である。
こうして処理容器31内に気体CO64を供給すると共に、ウエハWを加熱し、ウエハWのパターン51内の液体IPA61が超臨界IPA63となるのに十分な時間が経過したら、加圧流体供給ライン351の開閉弁352を閉じる一方、排出ライン341の減圧弁342を開いて処理容器31内の流体を排出して、処理容器31からCOガス及びIPAを超臨界状態、または気体の状態で排出することにより、液体IPAが除去され乾燥したウエハWを得ることができる(図17)。
以上に説明したように、外部から高圧流体を供給することにより処理容器31内の圧力を調整し、液体IPAの沸騰を避けつつ当該IPAを超臨界状態に変化させてウエハWから除去する技術は、ウエハW表面に液盛りされたIPAを除去する例以外にも適用できる。図5に示すように、ウエハトレイ331内に載置されたウエハWを浸漬したIPAを除去する場合にも、本技術を適用してもよい。
また、処理容器31内を加圧する手法は、高圧ガスや超臨界流体を供給する場合に限定されるものではない。NやCOの亜臨界流体を供給して加圧してもよい。この他、流体を供給して処理容器31内を加圧する手法に替えて、例えば処理容器31をピストン構造とし、ウエハWを収容した処理容器31内の空間を圧縮することにより加圧を行ってもよい。
更に、乾燥防止用の流体もIPAに限定されるものではなく、メタノールやエタノールなどのアルコール、各種のフッ素系溶媒(フッ化アルコール、ハイドロフルオロエーテルなど)、アセトンなどを用いてもよく、これら乾燥防止用の液体を亜臨界状態としてウエハW表面から除去する場合も本発明に含まれる。この他、例えば乾燥防止用の液体が不燃性である場合であっても、乾燥防止用の液体が高圧状態となった後の変質防止などを目的として、不活性ガスによる処理容器31内のパージを行ってから不燃性の液体で覆われたウエハWを進入させてもよい。
更にまた、処理容器31の構造は、図5に示したように耐圧性を備えた容器全体を加熱する場合に限定されない。例えばステンレススチールや炭素鋼、チタン、ハステロイ(登録商標)、インコネル(登録商標)など、耐圧性が高い一方で比較的熱伝導率の低い材料からなる耐圧容器の内側に、アルミニウム、銅、窒化アルミニウム、炭化ケイ素などからなる、耐圧容器よりも熱伝導率の高い材料からなる内部容器を入れ子構造にして設け、この内部容器をヒーター322などで加熱してもよい。このとき、これら耐圧容器と内部容器との間に石英やアルミナなどからなる断熱層を設け、内部容器のみを加熱することにより、処理容器31の熱応答性が向上すると共に、エネルギー消費量も低減できる。
W ウエハ
1 洗浄システム
2 洗浄装置
3 超臨界処理装置
31 処理容器
322 ヒーター
341 排出ライン
351 加圧流体供給ライン
4 制御部

Claims (15)

  1. 表面に凹凸パターンが形成され、その凹部内に入り込むように前記パターンを覆う乾燥防止用の液体が付着した基板を処理容器内に搬入する工程と、
    次いで、前記基板上の乾燥防止用の液体の温度−圧力状態が、前記乾燥防止用の液体の蒸気圧曲線よりも液相側の領域を通って変化し、超臨界状態または亜臨界状態である高圧状態に達するように、当該処理容器内を外部から加圧しながら基板を加熱し、且つ、前記処理容器内を外部から加圧する圧力と、基板を加熱するために供給する熱との少なくとも一方を変化させ、前記パターンの凹部内に入り込んだ状態のまま前記乾燥防止用の液体を高圧状態とする工程と、
    その後、前記処理容器内の流体を高圧状態または気体の状態で排出する工程と、を含むことを特徴とする基板処理方法。
  2. 前記処理容器内の加圧は、当該処理容器に加圧用の気体または高圧状態の流体を供給することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の基板処理方法。
  3. 前記処理容器内の加圧は、加圧用の気体を供給することにより行われ、前記乾燥防止用の液体が臨界圧力以上に加圧され、前記乾燥防止用の液体が超臨界状態になったときに、前記加圧用の気体が気体状態であることを特徴とする請求項2に記載の基板処理方法。
  4. 前記乾燥防止用の液体が臨界圧力以上に加圧され、前記乾燥防止用の液体が超臨界状態になったときに、前記加圧用の気体または高圧状態の流体が高圧状態(超臨界状態または亜臨界状態)であることを特徴とする請求項2に記載の基板処理方法。
  5. 前記処理容器内にて、基板は乾燥防止用の液体に浸漬された状態で加熱されることを特徴とする請求項1ないし4の何れか一つに記載の基板処理方法。
  6. 基板は、乾燥防止用の液体が液盛りされた状態で前記処理容器に搬入されることを特徴とする請求項1ないし4の何れか一つに記載の基板処理方法。
  7. 前記乾燥防止用の液体が可燃性もしくは不燃性であり、当該液体が付着した基板を搬入する前に、前記処理容器内に不活性ガスを供給する工程を含むことを特徴とする請求項1ないし6の何れか一つに記載の基板処理方法。
  8. 表面に凹凸パターンが形成された基板から、その凹部内に入り込み、前記パターンを覆うように付着した乾燥防止用の液体の除去が行われる処理容器と、
    この処理容器と外部との間で基板の搬入出を行うための搬入出部と、
    前記処理容器の内部を外部から加圧するための加圧部と、
    前記処理容器内の基板を加熱するための加熱部と、
    前記処理容器内の流体を排出するための排出ラインと、
    乾燥防止用の液体が付着した基板を前記処理容器に搬入し、次いで、前記基板上の乾燥防止用の液体の温度−圧力状態が、前記乾燥防止用の液体の蒸気圧曲線よりも液相側の領域を通って変化し、超臨界状態または亜臨界状態である高圧状態に達するように、前記処理容器内を加圧しながら基板を加熱し、且つ、前記処理容器内を外部から加圧する圧力と、基板を加熱するために供給する熱との少なくとも一方を変化させ、前記パターンの凹部内に入り込んだ状態のまま前記乾燥防止用の液体を高圧状態とし、その後、前記処理容器内の流体を高圧状態または気体の状態で排出するように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする基板処理装置。
  9. 前記加圧部は、加圧用の気体または高圧状態の流体を供給することにより前記処理容器内を加圧することを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置。
  10. 前記加圧部は、加圧用の気体を供給することにより前記処理容器内を加圧し、前記乾燥防止用の液体が臨界圧力以上に加圧され、前記乾燥防止用の液体が超臨界状態になったときに、前記加圧用の気体が気体状態であることを特徴とする請求項9に記載の基板処理装置。
  11. 前記乾燥防止用の液体が臨界圧力以上に加圧され、前記乾燥防止用の液体が超臨界状態になったときに、前記加圧用の気体または高圧状態の流体が高圧状態(超臨界状態または亜臨界状態)であることを特徴とする請求項9に記載の基板処理装置。
  12. 前記処理容器内にて、基板は乾燥防止用の液体に浸漬された状態で加熱されることを特徴とする請求項8ないし11の何れか一つに記載の基板処理装置。
  13. 基板は、乾燥防止用の液体が液盛りされた状態で前記処理容器に搬入されることを特徴とする請求項8ないし11の何れか一つに記載の基板処理装置。
  14. 前記乾燥防止用の液体が可燃性もしくは不燃性であり、当該液体が付着した基板を搬入する前に、前記処理容器内に不活性ガスが供給されることを特徴とする請求項8ないし13の何れか一つに記載の基板処理装置。
  15. 表面に凹凸パターンが形成された基板から、その凹部内に入り込み、前記パターンを覆うように付着した乾燥防止用の液体の除去を行う基板処理装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、
    前記プログラムは請求項1ないし7の何れか一つに記載された基板処理方法を実行するためにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。
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