JP6105193B2 - 希薄プレノズル燃料噴射システムを備えた燃焼器 - Google Patents

Description

本出願は、総括的にはガスタービンエンジンに関し、より具体的には、燃料ノズルの上流で燃料及び空気を混合する希薄プレノズル燃料噴射システムを備えた燃焼器に関する。

ガスタービンエンジンでは、運転効率は一般的に、燃焼流の温度が上昇するにつれて増大する。しかしながら、より高い燃焼流温度は、より高いレベルの窒素酸化物（「ＮＯｘ」）及びその他の種類のエミッションを発生させる可能性があり、そのようなエミッションは、アメリカ合衆国の連邦及び州の両方の規制を受けまた海外でも同様の規制を受ける可能性がある。従って、ガスタービンエンジンを効率的な温度範囲で運転することと同時にＮＯｘ及びその他の種類の規制エミッションの発生量を法律規制レベル以下に維持するのを保証することとの間には、バランス作用が存在する。

乾式低ＮＯｘ（「ＤＬＮ」）燃焼器を使用する設計のような幾つかの公知のガスタービンエンジン設計では一般的に、幾つかの予混合ノズルにより反応又は燃焼ゾーンの上流で燃料流れ及び空気流れを予混合して、ＮＯｘエミッションを低減するようにする。そのような予混合は、燃焼温度全体を低下させ、従ってＮＯｘエミッション及び同様のものを低減する傾向になる。

しかしながら、予混合することは、保炎、逆火、自己着火及び同様のもののような幾つかの作動上の問題を生じさせる可能性がある。これらの問題は、高反応性燃料の使用の場合に特に懸案事項となる可能性がある。例えば、水素又はその他のタイプの燃料の大部分を有する燃料ノズルの上流において、ヘッド端部内に火炎が維持されることが発生する可能性がある。従って、あらゆるタイプの燃料濃厚（リッチ）ポケットが、火炎を保持しかつ燃焼器に損傷を引き起こすおそれがある。その他の予混合問題は、燃料流れ及び空気流れにおける不規則性に起因するものである可能性がある。

米国特許第７６３１４９９号明細書

従って、燃焼器設計の改良に対する要望が存在する。そのような燃焼器設計は、特に高反応性燃料の使用の場合に燃料−空気予混合の改善を促進すべきである。そのような燃焼器は、そのような良好な混合を促進すると同時に、法律規制レベル以下のエミッションを維持しかつ保炎、逆火、自己着火及び同様のもののような問題を回避しかつ制限すべきである。

従って、本出願は、燃料の流れと空気の流れを燃焼させるための燃焼器を提供する。本燃焼器は、幾つかの燃料ノズルと、燃料ノズルの上流に配置された希薄プレノズル燃料噴射システムと、燃料ノズル及び希薄プレノズル燃料噴射システム間に配置されて、燃料の流れと空気の流れを予混合する予混合環状空間とを含むことができる。

本出願はさらに、幾つかの燃料の流れと空気の流れを燃焼器に供給する方法に関する。本方法は、予混合用燃料の流れを予混合環状空間に噴射するステップと、空気の流れを予混合環状空間に供給するステップと、予混合用燃料の流れと空気の流れを予混合して予混合環状空間に沿った予混合流にするステップと、予混合流を幾つかの燃料ノズルに供給するステップと、追加の燃料の流れを幾つかの燃料ノズルに沿った予混合流に噴射するステップとを含むことができる。

本出願はさらに、燃料の流れと空気の流れを燃焼させるための燃焼器を提供する。本燃焼器は、その各々がベルマウスを備えた幾つかの燃料ノズルと、燃料ノズルの上流に配置された希薄プレノズル燃料噴射システムと、燃料ノズル及び希薄プレノズル燃料噴射システム間に配置されて、燃料の流れと空気の流れを予混合する予混合環状空間とを含むことができる。予混合環状空間は、燃料ノズルの方向に拡大させることができる。

本出願のこれらの及びその他の特徴及び改良は、幾つかの図面及び特許請求の範囲と関連させてなした以下の詳細な説明を精査することにより、当業者には明らかになるであろう。

公知のガスタービンエンジンの概略図。 公知の燃焼器の側面断面図。 本明細書に記載することができるような希薄プレノズル燃料噴射システムを備えた燃焼器の側面断面図。 図３の希薄プレノズル燃料噴射システムを備えた燃焼器で使用する燃料ノズルの側面断面図。

次に、幾つかの図全体を通して同じ参照符号が同様な要素を表している図面を参照すると、図１は、本明細書に記載することができるようなガスタービンエンジン１０の概略図を示している。ガスタービンエンジン１０は、圧縮機１５を含むことができる。圧縮機１５は、流入空気流２０を加圧する。圧縮機は、加圧空気の流れ２０を燃焼器２５に送給する。燃焼器２５は、加圧空気の流れ２０を加圧燃料の流れ３０と混合しかつその混合気を点火燃焼させて、燃焼ガスの流れ３５を形成する。単一の燃焼器２５のみを示しているが、ガスタービンエンジン１０は、あらゆる数の燃焼器２５を含むことができる。燃焼ガスの流れ３５は次に、タービン４０に送給される。燃焼ガスの流れ３５は、タービン４０を駆動して、機械的仕事を産生する。タービン４０内で産生された機械的仕事は、圧縮機１５並びに発電機及び同様のもののような外部負荷４５を駆動する。

ガスタービンエンジン１０は、天然ガス、様々なタイプの合成ガス、及び／又はその他のタイプの燃料を使用することができる。ガスタービンエンジン１０は、Ｇｅｎｅｒａｌ Ｅｌｅｃｔｒｉｃ社（米国ニューヨーク州スケネクタディ）から市販の幾つかの異なるガスタービンエンジンのいずれか１つとすることができる。ガスタービンエンジン１０は、異なる構成を有することができまたその他のタイプの構成要素を使用することができる。本明細書では、その他のタイプのガスタービンエンジンもまた使用することができる。本明細書では、複数のガスタービンエンジン、その他のタイプのタービン及びその他のタイプの発電装置もまた、共に使用することができる。

図２は、公知の燃焼器２５の簡略実施例を示している。一般的に説明すると、燃焼器２５は、その中に配置された幾つかの燃料ノズル５５を備えた燃焼チャンバ５０を含むことができる。燃料ノズル５５は、その上に１以上のスワーラ６０を備えた予混合ノズルとすることができる。スワーラ６０は、空気の流れ２０及び燃料の流れ３０の予混合を助ける。流入空気通路６５は、燃焼チャンバ５０のライナ７０及びケーシング７５間に形成することができる。トランジションピース８０は、燃焼チャンバ５０の下流に配置することができる。その他のタイプの燃焼器構成も公知である。

空気の流れ２０は、圧縮機１５から流入空気通路６５を介して燃焼器２５に流入することができる。空気の流れ２０は、方向を逆にしかつ燃料ノズル５５及びスワーラ６０の周りで燃料の流れ３０と予混合させることができる。混合した空気の流れ２０及び燃料の流れ３０は、燃焼チャンバ５０内で燃焼させることができる。燃焼ガスの流れ３５は次に、トランジションピース８０を通してタービン４０に向けて排出させることができる。燃焼器２５の特性に応じて、燃焼器２５は、スワーラ６０を通って流れる燃料ガスとすることができる一次燃料、予混合燃料ガスとすることができる二次燃料及び三次燃料、並びにスワーラ６０の直ぐ上流に少量の燃料を噴射することができる希薄プレノズル燃料噴射システムを使用することができる。その他のタイプの燃料回路及び構成もまた、公知である。

図３及び図４は、本明細書に記載することができるような燃焼器１００を示している。上述した燃焼器２５と同様に燃焼器１００は、その中に配置された幾つかの燃料ノズル１２０を備えた燃焼チャンバ１１０を含む。この実施例では、中心ノズル１３０は、幾つかの外側ノズル１４０によって囲むことができる。本明細書では、あらゆる数の燃料ノズル１２０を使用することができる。

一般的に説明すると、燃料ノズル１２０の各々は、一般的には液体燃料用である中心燃料通路１５０を含むことができる。燃料ノズル１２０はまた、幾つかの燃料噴射器１６０を含むことができる。燃料噴射器１６０は、１以上のスワーラ１７０の周りに配置することができる。燃料噴射器１６０は、予混合用燃料及び同様のもので使用することができる。本明細書では、その他のタイプの燃料回路もまた使用することができる。燃料ノズル１２０はまた、その上流端部に流入空気の流れ２０のためのベルマウス１８０を含むことができる。あらゆる数又は形状のベルマウス１８０を使用することができる。

燃焼器１００はまた、流入空気通路２００を含む。流入空気通路２００は、ライナ又はキャップバッフル２１０及びケーシング２２０間に形成することができる。キャップバッフル２１０は、端部キャップ２３０に取付けることができかつ端部カバー２４０に向かう方向にフレア形状２４５として拡大させることができる。同様に、ケーシング２２０は、該ケーシング２２０が端部カバー２４０に向かう流れの方向により大きい直径を有するようにフレアさせることができる。キャップバッフル２１０及びケーシング２２０は、予混合環状空間２５０を形成することができる。従って、予混合環状空間２５０全体は、同様に端部カバー２４０に向けて拡大している。予混合環状空間２５０は、端部カバー２４０の周りに燃料ノズル１２０に向かう滑らかな方向転換部分２６０を有することができる。予混合環状空間２５０は、拡散を構成するか又は構成しないものとすることができる。本明細書では、その他の構成も使用することができる。

希薄プレノズル燃料噴射システム２７０はまた、端部キャップ２３０の周りにおけるキャップバッフル２１０及びケーシング２２０間で流入空気通路２００の周りに配置することができる。希薄プレノズル燃料噴射システム２７０は、幾つかの燃料噴射器２８０を有することができる。燃料噴射器２８０は、耐保炎性を最適化する空気力学的翼状又は流線形形状２８５を有することができる。燃料噴射器２８０は各々、その中に幾つかの噴射孔２９０を有することができる。燃料噴射器２８０の数及び噴射孔２９０の数は、予混合に最適なものとすることができる。本明細書では、その他の構成も使用することができる。本明細書では、予混合用燃料３００を流すことができる。

使用中に、予混合用燃料３００は、希薄プレノズル燃料噴射システム２７０の燃料噴射器２８０により、流入空気通路２００を通って流れる流入空気の流れ２０に噴射される。燃料噴射器２８０の空気力学的翼状形状２８５は、噴射器２８０上に又は該噴射器２８０の背後に火炎が保持されるリスクを最小にする。従って、予混合用燃料３００及び空気の流れ２００は、予混合環状空間２５０の長さに沿って予混合されて予混合流３１０になる。キャップバッフル２１０及びケーシング２２０が端部カバー２４０に向かう方向に拡大しているので、予混合環状空間２５０は、空気を減速させかつその静圧の幾らかを回復させる。従って、このフレア形状は、一般的な円筒形ケーシングよりも一層拡散させるのを可能にする。予混合はまた、火炎を維持する可能性があった燃料のあらゆる濃厚ポケットを取除く。従って、噴射器２８０の数及び間隔と共に予混合環状空間２５０の長さは、該予混合環状空間２５０における予混合の改善をもたらす。予混合流３１０は、環状空間２５０から流出する前に完全に混合される。

予混合流３１０は次に、方向転換セクション２６０の周りで方向転換しかつ燃料ノズル１２０に流入する。空気の流れ２００は、予混合環状空間２５０内で減速するので、予混合流３１０は、方向転換セクション２６０の周りで再循環又は流れの損失がない状態で燃料ノズル１２０に容易に方向転換する。その結果、燃料ノズル１２０は、より低い圧力降下を生じる可能性がある伝統的な流れ調整装置とは対照的に、ベルマウス１８０を使用することができる。予混合流３１０はさらに、燃焼チャンバ１１０内で燃焼される前に燃料噴射器１６０からの又はその他の方法による従来型の燃料の流れ３０と混合される。

予混合環状空間２５０は、全体燃料流れの大部分を流して、エミッションに悪影響を与えない状態にすることができる。同様に、燃料ノズル１２０をアンロードにすることによって、つまり燃料を取除くことによって、燃料ノズルの全体保炎性能もまた、強化することができる。広範囲にわたって希薄プレノズル燃料噴射システム２７０に送給される全体燃料の割合を調整することができることにより、燃料組成の変動に対処する圧力比制御を行なうことができる。燃料ノズル１２０の全体圧力比は、ノズル当量比又は同様のものを変更せずに動的変化に対して最適にすることができる。さらに、燃料噴射器１６０の寸法はまた、減少させることができる。

従って、希薄プレノズル燃料噴射システム２７０の燃料噴射器２８０及び予混合環状空間２５０の使用は、ＮＯｘエミッションを低減させ、圧力降下を減少させ、かつＭＷＩ（修正ウォッベ指標）性能及び燃料反応性の両方に関して燃料自由度の増大をもたらす。従って、希薄プレノズル燃料噴射システム２７０は、水素、エタン、プロパンなどのような高反応性燃料の使用を含む燃料自由度を有することができる。

上記の説明は本出願の一部の実施形態のみに関するものであること並びに本明細書において当業者は特許請求の範囲及びその均等物によって定まる本発明の一般的技術思想及び技術的範囲から逸脱せずに多くの変更及び修正を加えることができることを理解されたい。

１０ ガスタービンエンジン
１５ 圧縮機
２０ 空気の流れ
２５ 燃焼器
３０ 燃料の流れ
３５ 燃焼ガスの流れ
４０ タービン
４５ 負荷
５０ 燃焼チャンバ
５５ 燃料ノズル
６０ スワーラ
６５ 空気通路
７０ ライナ
７５ ケーシング
８０ トランジションピース
１００ 燃焼器
１１０ 燃焼チャンバ
１２０ 燃料ノズル
１３０ 中心ノズル
１４０ 外側ノズル
１５０ 燃料通路
１６０ 燃料噴射器
１７０ スワーラ
１８０ ベルマウス
２００ 空気通路
２１０ キャップバッフル
２２０ ケーシング
２３０ 端部キャップ
２４０ 端部カバー
２４５ テーパ形状
２５０ 予混合環状空間
２６０ 方向転換部分
２７０ 希薄プレノズル燃料噴射システム
２８０ 燃料噴射器
２８５ 空気力学的翼状形状
２９０ 噴射孔
３００ 予混合用燃料
３１０ 予混合流

Claims (6)

1. 燃料の流れ（３０）と空気の流れ（２０）を燃焼させるための燃焼器（１００）であって、
   複数の燃料ノズル（１２０）と、
   前記複数の燃料ノズル（１２０）の上流に配置され、前記燃料の流れ（３０）と空気の流れ（２０）を予混合する希薄プレノズル燃料噴射システム（２７０）と、
   キャップバッフル（２１０）の周りに配置されたケーシング（２２０）と
   を含み、
   前記ケーシング（２２０）及び前記キャップバッフル（２１０）が、前記希薄プレノズル燃料噴射システム（２７０）と該キャップバッフル（２１０）の遠位端との間の長さを有する予混合環状空間（２５０）を形成し、
   前記希薄プレノズル燃料噴射システム（２７０）は、前記キャップバッフル（２１０）の上流端の周りに配置され、
   前記複数の燃料ノズル（１２０）は、前記予混合環状空間（２５０）の下流に配置され、
   前記希薄プレノズル燃料噴射システム（２７０）は、前記予混合環状空間（２５０）の上流に配置され、
   前記複数の燃料ノズルの上流側端部にはベルマウス（１８０）が設けられており、前記キャップバッフルの遠位端が該ベルマウスを超えて延びており、
   前記キャップバッフル（２１０）の前記遠位端及び該遠位端に対応する前記ケーシング（２２０）の部分が、前記複数の燃料ノズル（１２０）に向け内向きに湾曲する
   燃焼器（１００）。
2. 前記キャップバッフル（２１０）は、端部カバー（２４０）に向かう方向に拡大し、
   前記ケーシング（２２０）は、前記端部カバー（２４０）に向かう方向に拡大する
   請求項１に記載の燃焼器（１００）。
3. 前記複数の燃料ノズル（１２０）の各々が、燃料噴射器（１６０）及びスワーラ（１７０）を含む、請求項１又は２記載の燃焼器（１００）。
4. 前記複数の燃料ノズル（１２０）の各々が、複数の外側燃料ノズル（１４０）を含む、請求項１乃至３のいずれか１項に記載の燃焼器（１００）。
5. 前記複数の燃料ノズル（１２０）が、ベルマウス（１８０）を含む、請求項１乃至４のいずれか１項記載の燃焼器（１００）。
6. 前記予混合環状空間（２５０）が、前記複数の燃料ノズル（１２０）に隣接して滑らかな方向転換部分（２６０）を含む、請求項１乃至５のいずれか１項記載の燃焼器（１００）。