以下に、添付図面を参照して、本発明に係る現金処理装置及び現金処理システムの好適な実施形態を詳細に説明する。本発明に係る現金処理システムは、本発明に係る現金処理装置と、該現金処理装置に接続された一又は複数の貨幣処理装置とによって構成されるが、本実施形態では、説明を簡単にするため、1台の現金バスが現金処理装置に接続される場合を例に説明する。また、本発明に係る現金処理システムは、銀行等の金融機関の他、大型店舗等の商業施設においても利用可能な技術であるが、本実施形態では、銀行の営業店から現金処理センターへ輸送する現金を準備する場合について説明する。
図1は、現金処理装置1及び現金バス700を含む現金処理システムの概要を説明する模式図である。図1では、貨幣処理装置及び該装置の構成部を実線矩形で示し、貨幣処理装置外で貨幣を管理する管理単位(保管場所)を破線矩形で示している。また、図1では、現金処理装置1へのデータの入出力を実線及び破線の直線で示し、現金処理装置1への貨幣現物の入金を実線矢印で示し、輸送準備される貨幣を白矢印で示している。
また、図1の角丸矩形は貨幣の種類を示しており、現金処理システムでは、正券及び損券のバラ紙幣、正貨及び損貨のバラ硬貨、正券束、損券束、正貨包装硬貨を取り扱うことができる。なお、損貨処理装置500は損貨を収納して管理する装置であるが、市場で使用されることがない記念硬貨は正貨であっても機械受付できない貨幣として損貨処理装置500で管理される。このため、損貨処理装置500では、損貨である流通硬貨を「流通硬貨」として、正貨及び損貨を含む記念硬貨を「記念硬貨」として示している。
図1では、貨幣処理装置(1、700)、手持ち貨幣800、在庫貨幣900のそれぞれの管理単位毎に、出金可能な貨幣の種類及び形態の全てを示しているが、銀行では、管理単位毎に取り扱う貨幣が定められる。例えば、現金バス700には損券や損券束は収納しないとか、銀行の窓口係が管理する手持ち貨幣800に束紙幣(正券束、損券束)は含めないといった運用とする場合がある。
現金処理装置1は、バラ紙幣及び束紙幣を処理する紙幣処理装置10と、バラ硬貨及び包装硬貨を処理する硬貨処理装置20と、紙幣処理装置10等による機械受付ができない損券を処理する損券処理装置600と、硬貨処理装置20等による機械受付ができない損貨及び記念硬貨を処理する損貨処理装置500と、これらの装置に接続されて各装置の機能及び動作を制御する管理制御部30と、該管理制御部30を操作するための操作表示部40と、輸送準備された貨幣の明細情報等を印刷するためのプリンター50とを有する。
管理制御部30は、貨幣が種類別かつ形態別に収納される現金バス700から、出金可能な貨幣の種類及び数量に関する情報を受信して管理している(図1(1))。また、管理制御部30は、銀行窓口の窓口係等が手持ち貨幣800として手元で管理している貨幣の種類及び数量に関する情報、銀行内の金庫等で在庫貨幣900として管理されている貨幣の種類及び数量に関する情報等、現金バス700又は他の貨幣処理装置で機械管理されていない貨幣に関する情報も管理している(図1(2))。
現金バス700は、装置前面側に引き出し可能な複数のドロアを有し、大量の包装硬貨や束紙幣を各ドロアに金種別に分類収納して管理する貨幣処理装置である。現金バス700は、各ドロア内に収納された貨幣の金種や数量を自動計数して管理する機能を有する。また、現金バス700では、ドロア内にバラ紙幣やバラ硬貨等を入金(収納)したり出金(回収)したりする場合に、入出金に係る情報を操作部から入力して管理することもできる。また、現金バス700の各ドロアは通常はロックされて開くことができないようになっており、貨幣を入金するための操作又は貨幣を出金するための操作を行うと、入出金の対象となる貨幣が収納されたドロアのロックが解除されて、このドロアのみを開くことができる。そして、貨幣を入出してドロアを閉じると、このドロアは再びロックされるようになっている。
現金管理装置として利用される現金バス700の基本的な機能及び動作については従来技術を利用することができるので詳細な説明は省略する。また、紙幣処理装置10、硬貨処理装置20、損券処理装置600、損貨処理装置500の装置構成等については詳細を後述する。
手持ち貨幣800及び在庫貨幣900については、操作表示部40を操作して、入出金する貨幣の種類及び数量を現金処理装置1に手入力することによって、管理制御部30による管理が開始される。また、この他、例えば、窓口係が操作表示部40を操作して、窓口での業務に必要な手持ち貨幣800を現金処理装置1から出金する処理を行うと、管理制御部30は出金貨幣を手持ち貨幣800への入金(増額分)として管理する。同様に、例えば、操作表示部40を操作して、金庫に保管する貨幣を現金処理装置1から出金する処理が行われると、管理制御部30は出金貨幣を在庫貨幣900への入金(増額分)として管理する。手持ち貨幣800の一部が銀行の顧客への出金等に利用された場合には、出金貨幣に関する情報が操作表示部40又は現金処理装置1と通信可能に接続された図示しない窓口端末から入力されて、この入力情報を受けた管理制御部30が管理情報を更新して、出金貨幣を手持ち貨幣800からの出金(減額分)として管理する。在庫貨幣900から出金される場合も同様に、操作表示部40や他の操作端末から出金貨幣に関する情報が入力されると、これを在庫貨幣900からの出金(減額分)として管理する。
現金処理システムでは、図1(4)に示したように、輸送する現金を様々な形態で準備することができる。例えば、紙幣処理装置10により、正券及び損券を、それぞれバラ紙幣912又は束紙幣915の形態で準備することができる。また、硬貨処理装置20により、正貨は包装硬貨914又は麻袋等の硬貨袋内に硬貨を収納した袋取硬貨913の形態で準備して、損貨はバラ硬貨911の形態で準備することができる。損貨処理装置500からは、硬貨処理装置20等により機械受付できない記念硬貨及び機械受け付けできないほどに損傷した流通硬貨をバラ硬貨911の形態で準備することができる。損券処理装置600からは、紙幣処理装置10等により機械受付できないほど損傷した紙幣である損券をバラ紙幣912の形態で準備することができる。さらに、図1(5)に示したように、現金バス700に収納された貨幣、手持ち貨幣800、在庫貨幣900の中から、同図(4)に示す形態で貨幣を準備することも可能である。
現金の輸送準備を行う操作員が、現金処理装置1の操作表示部40を操作して現金処理センターへ輸送する貨幣の種類を選択すると、操作表示部40には、選択された貨幣の種類について、現金処理装置1、現金バス700、手持ち貨幣800及び在庫貨幣900から回収可能な数量、形態等の情報が表示される。操作員は、操作表示部40の画面表示を確認しながら、現金処理装置1、現金バス700、手持ち貨幣800、在庫貨幣900のそれぞれから回収する貨幣の数量を、種類毎に、順次決定することができる。
そして、輸送現金として準備する貨幣全てを種類毎に決定した操作員が、操作表示部40を操作して回収作業を開始する指示操作を行うと、操作表示部40には、操作員が行うべき回収作業の内容と順序が表示される。回収作業は、現金処理装置1、現金バス700、手持ち貨幣800、在庫貨幣900のそれぞれに分類してまとめて表示される。
具体的には、例えば、操作員が操作表示部40を操作して、一万円札、五千円札、千円札の金種毎に、順に、現金処理装置1、現金バス700、手持ち貨幣800及び在庫貨幣900から回収する紙幣枚数の内訳を決定すると、この決定を受けた管理制御部30が、現金バス700、手持ち貨幣800及び在庫貨幣900のそれぞれから、どの金種の紙幣を何枚回収するかを整理して、操作員が行うべき作業内容を操作表示部40に表示する。これにより、操作員は操作表示部40に表示される指示通りに、例えば、現金バス700から回収対象となる複数金種の貨幣全てを回収して、次に手持ち貨幣800から回収対象となる複数金種の貨幣全てを回収して、最後に在庫貨幣900から回収対象となる複数金種の貨幣全てを回収することで、全ての貨幣を準備することができる。すなわち、操作員は、複数の装置や場所の間を繰り返し行ったり来たりする必要がなく、効率よく貨幣を回収することができる。
また、現金処理装置1では、回収した貨幣から束紙幣915及び包装硬貨914を容易に準備することができる。紙幣を例に説明すると、例えば、輸送現金として100枚の一万円札を準備する際に、現金処理装置1のバラ紙幣処理部100から90枚の一万円札を回収可能であり、現金バス700から10枚の一万円札を回収可能である場合には、操作員は、操作表示部40を操作して、バラ紙幣処理部100内の90枚の一万円札と現金バス700内の10枚の一万円札とにより、100枚の一万円札を束紙幣915の形態で準備するよう回収する貨幣の内訳を決定することができる。
回収貨幣の内訳を決定して回収作業を開始すると、管理制御部30の機能により、まず、現金バス700から10枚の一万円札を回収して紙幣処理装置10へ入金するよう指示する情報が操作表示部40に表示される。この表示に従って、操作員が現金バス700から10枚の一万円札を回収して紙幣処理装置10へ入金すると(図1(3))、紙幣処理装置10では、収納されている90枚の一万円札に、入金された10枚の一万円札を加えた100枚の紙幣が結束され、束紙幣915の形態で装置外へ投出される(図1(4))。
このとき、現金処理装置1の管理制御部30から現金バス700に向けて、10枚の一万円札を出金する出金処理内容に係る情報が送信されるので、操作員は、現金バス700で、出金する貨幣の種類や枚数を指定する操作を行うことなく、先に決定した通りの貨幣を出金させることができる。また、管理制御部30による紙幣処理装置10の制御により、紙幣処理装置10側でも入金操作等を行うことなく、現金バス700から回収した貨幣を入金することができる。さらに、管理制御部30による制御により、紙幣処理装置10では、入金された紙幣と収納済み紙幣を合わせて結束し、この束紙幣915を投出する処理が、自動的に行われるようになっている。このため、操作員が、現金処理装置1の操作表示部40に表示される指示に基づいて、出金された貨幣を現金処理装置1へ集めて入金する作業を行うだけで、束紙幣915や包装硬貨914等、所定形態の貨幣を容易に準備することができる。
なお、現金処理システムでは、紙幣については正券及び損券を区別し、硬貨についても正貨及び損貨を区別して輸送現金の内訳を決定することができる。また、予め銀行内で定められている規定に応じて、正損毎に準備する輸送現金の形態を、バラ硬貨911、袋取硬貨913、包装硬貨914、バラ紙幣912、束紙幣915の中から指定できるようになっている。これらの処理の詳細については後述する。
このように、本実施形態に係る現金処理システムでは、他の貨幣処理装置内に収納されている貨幣に関する情報を取得すると共に(図1中(1))、手持ちの貨幣や金庫にある貨幣等、装置外で管理されている貨幣に関する情報を取得して(図1中(2))、これらの情報を現金処理装置1の操作表示部40に表示することにより、操作表示部40による操作のみで、予め定められた規定通りに、どこからどの種類の貨幣をどれだけ回収するのかを決定する作業を容易に行うことができる。また、輸送する貨幣の種類毎に貨幣の内訳を決定して、回収作業を開始すると、操作員が行うべき回収作業の内容が操作表示部40に表示されるので、操作員は、なすべき作業を記憶する必要がなく、容易に作業を進めることができる。また、回収作業は、装置毎、場所毎に分類してまとめて表示されるので、操作員は、複数の装置や場所等、貨幣の保管場所を何回も往復することなく、効率よく回収作業を行うことができる。また、他の貨幣処理装置から貨幣を回収する際には、現金処理装置1から、回収する貨幣の種類や数量を示す情報が回収作業の対象となる装置へ送信されるので、操作員は、回収貨幣に関する情報を再度入力することなく容易かつ正確に貨幣を回収することができる。さらに、回収した貨幣を現金処理装置1に入金するだけで(図1中(3))、束紙幣915や包装硬貨914等、指定した形態で貨幣を準備することができるので(図1中(4))、全ての輸送現金を容易かつ正確に準備することができる。
次に、現金処理システムを構成する各装置について説明する。図2は、現金処理システムを構成する各装置の外観図である。現金処理装置1では、バラ紙幣処理部100及び束紙幣処理部200から成る紙幣処理装置10と、バラ硬貨処理部300及び包装硬貨処理部400から成る硬貨処理装置20との間に、損券処理装置600が配置され、損券処理装置600の上面に損貨処理装置500が配置されている。紙幣処理装置10及び硬貨処理装置20の上面には、それぞれ操作表示部40及びプリンター50が配置され、それぞれの装置で作業する操作員は、各装置の前から移動することなく操作表示部40の操作や表示情報の確認を行えるようになっている。また、現金処理装置1の隣に現金バス700が配置されている。
バラ紙幣処理部100は、筐体前面に、入金されるバラ紙幣を受け入れるためのバラ紙幣入金口110とリジェクトされたバラ紙幣を投出するための入金リジェクト部120を有し、筐体上面に、出金されるバラ紙幣を排出するためのバラ紙幣出金口152を有している。束紙幣処理部200は、筐体前面上部に、束紙幣を排出するための帯封紙幣出金口218を有し、筐体前面下部に、束紙幣を機外へ投出するための帯封紙幣投出口221を有している。
バラ硬貨処理部300は、筐体上面に、入金されるバラ硬貨を受け入れるためのバラ硬貨入金口310を有し、筐体前面に、出金されるバラ硬貨を排出するためのバラ硬貨出金口370、リジェクトされたバラ硬貨を投出するための入金リジェクト口322、硬貨袋を取り付けて該硬貨袋内にバラ硬貨を回収できるように形成された袋取シュート部324、入金処理途中に処理がキャンセルされたバラ硬貨を排出するための返却回収箱326を有している。包装硬貨処理部400は、筐体前面上部に、包装硬貨を排出するための包装硬貨出金口480を有し、その下に、大量の包装硬貨を一括回収するための包装硬貨一括箱460と包装硬貨を機外へ投出するための包装硬貨投出口470とを有している。
損貨処理装置500は、硬貨処理装置20では受け付けられない硬貨を受け入れるための損貨入金口510と、受け付けた硬貨を分類して収納するための流通硬貨収納部540及び記念硬貨収納部544と、返却する硬貨を収納するための返却硬貨収納部542とを有している。受け付けた硬貨のうち、流通硬貨の損貨が流通硬貨収納部540に収納され、記念硬貨の正貨及び損貨が記念硬貨収納部544に収納される。
損券処理装置600は、筐体上面前部に、紙幣処理装置10では受け付けられない損券や、小切手、手形等の紙葉類を受け入れるための紙葉類入金口610を有し、筐体前面に、損券等の紙葉類を排出するための紙葉類出金口680と損券等を投入して保管するポスト670とを有している。
次に、紙幣処理装置10を構成するバラ紙幣処理部100及び束紙幣処理部200について説明する。図3はバラ紙幣処理部100の構成を示すブロック図であり、図4は束紙幣処理部200の構成を示すブロック図である。図2に示すように、バラ紙幣処理部100及び束紙幣処理部200を左右に配置して紙幣処理装置10が構成されている。
図3に示すように、バラ紙幣処理部100には、外部から筐体102内に紙幣を投入するためのバラ紙幣入金口110及び筐体102内から外部にバラ紙幣を投出するためのバラ紙幣出金口152が設けられている。バラ紙幣入金口110の紙幣は紙幣繰出部112により1枚ずつ筐体102内に繰り出され、入金搬送部114により搬送される。入金搬送部114に設けられた入金識別部116により、搬送される紙幣の金種、真偽、正損、新旧等が識別される。また、入金識別部116の紙幣搬送方向下流側には表裏反転部118が設けられ、入金識別部116により識別された紙幣の表裏が揃えられるようになっている。また、入金識別部116により、正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は入金リジェクト部120からリジェクトされる。
入金搬送部114には1つの一括一時保留部130と、複数の金種別一時保留部132とが接続されている。一括一時保留部130には複数金種の紙幣が混合状態で一時的に保留され、各金種別一時保留部132にはそれぞれ特定の金種の紙幣が一時的に保留される。また、一括一時保留部130に対応して1つの一括紙幣収納庫140が設けられ、各金種別一時保留部132に対応して金種別紙幣収納庫142が設けられている。一括紙幣収納庫140には一括一時保留部130から送られた紙幣が積層状態で収納され、金種別紙幣収納庫142には対応する金種別一時保留部132から送られた紙幣が積層状態で収納される。また、一括紙幣収納庫140及び各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ紙幣繰出部144が設けられており、一括紙幣収納庫140及び各金種別紙幣収納庫142の紙幣を1枚ずつ繰り出せるようになっている。なお、一括紙幣収納庫140には、例えば、市場での再利用に適さないと判定された損券や各金種別紙幣収納庫142が満杯となって収納できなかった紙幣等が、金種混合状態で収納される。
各紙幣繰出部144には下部搬送部146が接続されており、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から繰り出された紙幣が下部搬送部146により1枚ずつ搬送される。下部搬送部146には出金識別部148が接続されており、下部搬送部146により搬送される紙幣の金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。また、出金識別部148には出金搬送部150が接続されている。出金搬送部150には、バラ紙幣出金口152、出金リジェクト部154、2つの整理一時保留部160がそれぞれ接続されており、出金識別部148により識別された紙幣のうち、筐体102の外部に投出される紙幣はバラ紙幣出金口152に送られて、バラ紙幣出金口152内部に集積される。また、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は、出金搬送部150により出金リジェクト部154に送られる。出金リジェクト部154に集積されたリジェクト紙幣は、バラ紙幣処理部100の筐体102に設けられた扉を開いて取り出せるようになっている。また、出金識別部148により識別された紙幣のうち、束紙幣処理部200により結束される紙幣は出金搬送部150により各整理一時保留部160に送られるようになっている。各整理一時保留部160では、出金搬送部150から送られた紙幣が積層状態で集積される。
入金搬送部114や出金搬送部150における分岐箇所にはそれぞれ分岐部材170が設けられており、これらの分岐部材170により、分岐箇所における紙幣の搬送先が制御されるようになっている。また、入金搬送部114、下部搬送部146、出金搬送部150には紙幣を検出する紙幣検出センサ180が複数設けられており分岐部材170による紙幣の搬送先制御のタイミングを決定するために利用されている。
図4に示すように、束紙幣処理部200には、バラ紙幣処理部100内の整理一時保留部160に集積された紙幣の束を取り出すためのアーム部210と、アーム部210によって取り出された紙幣の束を帯封(結束)するための帯封部212とが設けられている。アーム部210は、例えば、上下一対のアーム(上アーム及び下アーム)から構成されており、整理一時保留部160に集積された紙幣の束を、上下一対のアームで上下方向から挟んで整理一時保留部160から取り出すようになっている。帯封部212の近傍にはテープセット部214が設けられており、このテープセット部214から帯封部212に送られた帯封紙によって、帯封部212において、例えば100枚の紙幣の束が帯封される。帯封部212には帯封紙幣搬送部216が接続されており、帯封部212により帯封された束紙幣は帯封紙幣搬送部216により帯封紙幣出金口218に搬送される。帯封紙幣出金口218は束紙幣処理部200の筐体202外部からアクセス可能となっており、操作員はこの帯封紙幣出金口218に送られた束紙幣を筐体202外から取り出せるようになっている。
また、帯封紙幣出金口218には帯封紙幣収納出金部220やリフト部224が接続されている。帯封紙幣収納出金部220には帯封紙幣判別部222が設けられており、帯封紙幣出金口218から帯封紙幣収納出金部220に送られた束紙幣の金種等の判別を行うようになっている。また、帯封紙幣収納出金部220には複数の帯封紙幣収納カセット230が接続されており、帯封紙幣出金口218により筐体202の外部に投出されない束紙幣が各帯封紙幣収納カセット230に金種別に収納される。各帯封紙幣収納カセット230にはカセット駆動部232が設けられており、各帯封紙幣収納カセット230に収納された束紙幣が帯封紙幣収納出金部220に戻されるようになっている。各帯封紙幣収納カセット230から帯封紙幣収納出金部220に戻された束紙幣は帯封紙幣出金口218に送られて、筐体202の外部に投出される。また、帯封紙幣出金口218に送られた束紙幣はリフト部224により上下方向に搬送可能となっている。リフト部224の下部には束紙幣回収用の帯封紙幣投出口221が設けられており、ここから束紙幣を筐体202の外部に投出することも可能である。
次に、硬貨処理装置20を構成するバラ硬貨処理部300及び包装硬貨処理部400について説明する。図5はバラ硬貨処理部300の構成を示すブロック図であり、図6は包装硬貨処理部400の構成を示すブロック図である。図2に示すように、バラ硬貨処理部300及び包装硬貨処理部400を左右に配置して硬貨処理装置20が構成されている。
図5に示すように、バラ硬貨処理部300の筐体302上部には、バラ硬貨を外部から受け入れるバラ硬貨入金口310と、このバラ硬貨入金口310から、装置内で硬貨を搬送する搬送路上に1枚ずつ硬貨を繰り出す硬貨繰出部312と、搬送路を搬送される硬貨の金種、真偽、正損、新旧等を識別する入金識別部314が配置されている。入金識別部314により識別された硬貨は、硬貨選別部320に搬送されて、ここで識別結果に基づいて選別される。正常な硬貨ではないと識別された硬貨、すなわちリジェクト硬貨は、入金リジェクト口322からリジェクトされる。
硬貨選別部320には1つの一括一時保留部330と、複数の金種別一時保留部332とがそれぞれ接続されている。一括一時保留部330には複数金種の硬貨が混合状態で一時的に保留され、各金種別一時保留部332にはそれぞれ特定の金種の硬貨が一時的に保留される。また、一括一時保留部330に対応して1つの一括硬貨収納庫340が設けられ、各金種別一時保留部332に対応して金種別硬貨収納庫342が設けられている。
入金処理時に、入金硬貨を識別して一時保留した状態で入金が確定されると、一括一時保留部330内の硬貨は一括硬貨収納庫340へ収納され、金種別一時保留部332内の硬貨は金種別硬貨収納庫342へ収納される。入金処理がキャンセルされた場合には、一括一時保留部330及び金種別一時保留部332内の硬貨は、返却回収箱326から返却される。なお、一括硬貨収納庫340は、例えば、市場での再利用に適さないと判定された損貨や各金種別硬貨収納庫342が満杯となって収納できなかった硬貨等が、金種混合状態で収納される。
一括硬貨収納庫340及び各金種別硬貨収納庫342にはそれぞれ硬貨繰出部344が設けられており、一括硬貨収納庫340及び各金種別硬貨収納庫342の硬貨を1枚ずつ繰り出せるようになっている。各硬貨繰出部344にはバラ硬貨搬送部350が接続されており、一括硬貨収納庫340及び各金種別硬貨収納庫342から繰り出された硬貨がバラ硬貨搬送部350により搬送される。
バラ硬貨搬送部350に繰り出された硬貨を袋取シュート部324から回収する場合には、バラ硬貨搬送部350から入金識別部314へ向けて硬貨が搬送される。袋取シュート部324には硬貨袋を取り付けられるようになっており、入金識別部314により枚数計数された硬貨が、硬貨選別部320から袋取シュート部324へ送られて、硬貨袋内へ回収される。
一方、バラ硬貨搬送部350に繰り出された硬貨をバラ硬貨出金口370から出金する場合には、バラ硬貨搬送部350から出金識別部352へ向けて硬貨が搬送される。出金識別部352では、バラ硬貨搬送部350から搬送される硬貨の金種、真偽、正損、新旧等が識別される。出金識別部352には出金一時保留部354が接続されており、出金識別部352により識別された硬貨は出金一時保留部354に搬送される。出金一時保留部354には出金リジェクト箱356及び出金箱360が接続されており、出金識別部352による識別結果に基づいて、出金対象となる硬貨は出金箱360へ収納され、リジェクト硬貨は出金リジェクト箱356へ収納される。出金箱360は上下に移動可能に設けられており、出金対象となる全ての硬貨が収納された後、上方へ移動してバラ硬貨出金口370から硬貨を出金する。出金リジェクト箱356内のリジェクト硬貨は、筐体302に設けられた扉を開いて取り出せるようになっている。
金種別硬貨収納庫342に収納された硬貨により包装硬貨を作成する場合には、硬貨繰出部344によって金種別硬貨収納庫342から繰り出された硬貨が、受渡バラ硬貨収納部380に収納される。
図6に示すように、包装硬貨処理部400では、受渡バラ硬貨収納部380に収納された硬貨が硬貨繰出部410によって繰り出されて硬貨包装部420へ搬送され、ここで所定枚数(例えば50枚)の硬貨を包装した包装硬貨が作成される。硬貨包装部420では、硬貨繰出部410によって繰り出された硬貨が所定枚数に達しなかった場合、作成した包装硬貨の長さが所定値を超えるために異常であると判断された場合に、これらが端数箱430へ収納される。端数箱430に収納された硬貨は、筐体402に設けられた扉を開いて取り出せるようになっている。
所定枚数の硬貨を包装して正常に包装硬貨が作成された場合には、この包装硬貨が硬貨包装部420から包装硬貨搬送部440へと送られる。そして、包装硬貨は、包装硬貨搬送部440により、包装硬貨の金種に対応する金種別包装硬貨収納庫450へ収納される。また、硬貨包装部420によって作成した包装硬貨を、包装硬貨搬送部440によって搬送し、包装硬貨一括箱460、包装硬貨出金口480又は包装硬貨投出口470を利用して外部に排出することもできる。
また、金種別包装硬貨収納庫450に収納された包装硬貨は包装硬貨搬送部440へ繰り出せるようになっており、金種別包装硬貨収納庫450から繰り出された包装硬貨を、包装硬貨搬送部440によって搬送し、包装硬貨一括箱460、包装硬貨出金口480又は包装硬貨投出口470から外部に排出することもできる。
次に、損貨処理装置500及び損券処理装置600について説明する。図7は損貨処理装置500の構成を示すブロック図であり、図8は損券処理装置600の構成を示すブロック図である。
図7に示す損貨処理装置500では、損貨入金口510から硬貨(損貨又は記念硬貨)が入金されると、画像取得部520により硬貨の画像が取得され、この画像が現金処理装置1の操作表示部40に表示される。画像取得部520によって画像が取得された硬貨は、損貨搬送部530により一時保留部535へ搬送されて一時的に収納される。
硬貨が一時保留部535内に収納された状態で、操作員が、操作表示部40に表示された画像を確認しながら操作表示部40を操作して、硬貨の種類等の情報を入力する。具体的には、この硬貨が、流通硬貨の損貨、記念硬貨の正貨又は損貨のいずれであるかを示す情報と、金種等の硬貨の価値を示す情報とを入力する。こうして硬貨の種類が決定されると、一時保留部535内の硬貨が繰り出され、損貨搬送部530によって搬送されて、硬貨の種類に応じて、流通硬貨収納部540又は記念硬貨収納部544へ収納される。流通硬貨収納部540には流通硬貨の損貨が収納され、記念硬貨収納部544には記念硬貨の正貨及び損貨が収納される。
硬貨(損貨又は記念硬貨)の出金時には、流通硬貨収納部540又は記念硬貨収納部544から出金対象となる硬貨が繰り出されて、損貨搬送部530によって搬送されて、返却硬貨収納部542へ収納される。図2に示す流通硬貨収納部540、返却硬貨収納部542及び記念硬貨収納部544はそれぞれが独立した箱形形状を有しており、筐体502前部から手前へ引き出せるように構成されている。これにより、返却硬貨収納部542に出金された硬貨を、手前に引き出した返却硬貨収納部542から取り出すことができる。ただし、流通硬貨収納部540及び記念硬貨収納部544から硬貨を出金する方法が、これに限定されるものではない。流通硬貨収納部540及び記念硬貨収納部544は、筐体から手前に引き出して内部に収納された硬貨を取り出し可能な構造を有しているので、これらの収納部を引き出して硬貨の出金や回収を行う態様であっても構わない。
図8に示す損券処理装置600では、紙葉類入金口610から損券が入金されると、この損券は紙葉類繰出部612によって装置内に繰り出される。そして、画像取得部620により損券の画像が取得され、この画像が現金処理装置1の操作表示部40に表示される。画像取得部620によって画像が取得された損券は、紙葉類搬送部630により一時保留部640へ搬送され、一時保留部640内に一時的に収納される。
なお、損券処理装置600に、損券を入金する際には、損券の損傷度合いによって、専用のキャリアシートを利用する。キャリアシートは、一部が接合された一対の透明シートから構成されており、この一対の透明シートの間に損券を挟み込めるようになっている。損券を挟み込んだキャリアシートを紙葉類入金口610から装置内に繰り出すことにより、そのままでは正常に搬送できないほど損傷した損券であっても、キャリアシートに挟んだ状態で装置内を搬送して、画像を取得したり収納したりすることが可能となる。
損券が一時保留部640内に収納された状態で、操作員が、操作表示部40に表示された画像を確認しながら操作表示部40を操作して、損券の種類等の情報を入力する。具体的には、損券の券種を示す情報と、損券の価値を示す情報とを入力する。券種とは、紙幣の金種及び新旧に関する種類を特定するもので、例えば、金種が同じ一万円の紙幣が、券種では、紙幣の新旧によってD一万円券やE一万円券というように区別される。また、価値とは、損券の貨幣価値を示すもので、例えば、日本銀行では、損券が、一部が破れて欠損した紙幣である場合には、紙幣全体の面積に対する損券の残存面積の割合が2/3以上の場合は金種の全額の価値、2/5以上かつ2/3未満の場合は当該紙幣の金種の半額の価値、2/5未満の場合は価値がないと規定されている。操作表示部40には、損券の券種や価値を判断するための参考となる券種のサンプル画像等の補助情報が表示され、操作員は、損券画像と補助情報とを確認しながら損券の券種及び価値を判断して入力できるようになっている。
こうして損券の種類が決定されると、一時保留部640内の損券が繰り出され、紙葉類搬送部630によって搬送されて、損券収納部(第1収納部)652又は損券収納繰出部(第2収納部)654に収納される。損券収納部652は損券を集積して収納する集積方式の収納部であり、キャリアシートを利用して装置内に繰り出された損券は損券収納部652へ収納される。一方、キャリアシートを利用することなく装置内に繰り出された損券はテープ式の損券収納繰出部654へ収納される。損券収納繰出部654は、ドラムによって巻き取られる2枚のテープの間に損券を挟み込んで収納するテープ式の収納部である。損券収納繰出部654では、損券をドラムに巻き取って収納することに加えて、ドラムを逆回転させてテープの間に挟み込んだ損券を紙葉類搬送部630に繰り出せるようになっている。
損券収納部652に集積された損券を出金して回収する際には、筐体602の扉を開いて損券収納部652内の損券をキャリアシートごと取り出して回収する。損券収納繰出部654に収納された損券を回収する際には、損券収納繰出部654から紙葉類搬送部630に繰り出して、紙葉類出金口680へ排出してから回収する。
なお、ここでは輸送現金の準備について説明するため、損券の入出金についてのみ説明するが、損券処理装置600は、損券以外に小切手等の紙葉類の入金処理と新券(市場流通していない完封券)の出金処理とを行えるようになっている。具体的には、小切手入金時には、損券の場合と同様に、紙葉類入金口610から入金された小切手は、画像取得部620によって画像が取得された後、紙葉類搬送部630によって搬送されて小切手収納部650に収納される。また、新券出金時には、新券収納部660に収納されている新券が繰り出されて新券判別部662により金種のみを識別する簡易識別が行われた後、紙葉類搬送部630によって搬送されて紙葉類出金口680から出金される。
現金処理装置1では、管理制御部30が、上述した紙幣処理装置10、硬貨処理装置20、損貨処理装置500及び損券処理装置600で行われる各処理を監視して、各装置内部に収納されている貨幣の金種、枚数、正損の状態、形態等を管理している。
次に、現金処理装置1を操作して貨幣の輸送準備を行う際の操作手順について説明する。図9〜図11は、正券及び正貨の輸送準備を行う際の操作手順を説明する図であり、図12〜図17は損券及び損貨の輸送準備を行う際の操作手順を説明する図である。
まず、正券及び正貨の輸送準備作業について説明する。図9は、現金処理装置1を利用して正券及び正貨の輸送準備を行う際の手順を説明するフローチャートである。まず、現金処理装置1の操作表示部40を操作して現金輸送準備明細画面を表示して、輸送する正券及び正貨の種類及び枚数を決定する操作を行う(ステップS11)。
図10は、操作表示部40に表示される正券及び正貨に係る現金輸送準備明細画面の画面例である。図10(a)が正券の種類及び枚数を決定する際の画面例であり、同図(b)が正貨の種類及び枚数を決定する際の画面例である。
図10(a)に示すように、画面上には回収対象金種61が一覧表示される。回収対象金種61の中から回収枚数を決定する金種を選択すると、画面上では、この選択金種が反転表示されると共に、金種別回収内訳62として、関連する情報が一覧表示される。金種別回収内訳62には、選択金種の正券を回収可能な装置や場所を示す管理単位と、各管理単位から回収可能な選択金種の正券の枚数(図中「在高」)と、回収することを決定した正券の枚数(図中「回収」)とが表示される。金種別回収内訳62の下に、金種別回収内訳62で回収対象として入力された回収枚数の合計枚数63が表示される。
また、画面上には補助情報60が表示される。補助情報60として、例えば、予め定められた銀行内の規定に従って、現金輸送のために、どの金種の貨幣を何枚どのような形態で準備すべきであるかを示す情報や、規定に従う枚数とするために金種別回収内訳62で残り何枚を回収するよう入力しなければならないかを示す情報等が表示される。また、金種別回収内訳62に表示される在高表示については、表示する枚数情報をカスタマイズできるようになっている。例えば、図10(a)の現金バス700を例に挙げると、枚数情報として、現金バス700に収納されている一万円札正券の総数を表示する設定の他、現金バス700に残置する一万円札正券の枚数を予め指定しておいて、これを超過する枚数分、すなわち回収可能な枚数のみを表示する設定とすることもできる。また、束紙幣の数、束紙幣に含まれる紙幣枚数、バラ紙幣の枚数をそれぞれ区別可能に表示する設定とすることもできる。
図10(a)に示す画面上で、例えば、操作員が、回収対象金種61の中から一万円札を示す「万」の表示を選択すると、操作表示部40には、一万円札正券を回収可能な装置及び場所と、これらの装置及び場所から回収可能な一万円札正券の枚数を示す在高とを含む金種別回収内訳62が表示される。操作員が、金種別回収内訳62の表示上で回収対象とする装置や場所を選択してから、画面下にあるテンキー表示を操作して回収枚数を入力すると、入力した回収枚数が金種別回収内訳62に反映されると共に、合計枚数63が更新される。操作員は、合計枚数63が予め規定された回収枚数と一致するように、どの装置及び場所から何枚の紙幣を回収するかを検討して決定する。
図10(a)の例は、一万円札正券の金種別回収内訳62として、図1に示す手持ち貨幣800から200枚、在庫貨幣900から100枚、現金バス700から216枚、紙幣処理装置10のバラ紙幣処理部100から384枚の合計900枚を回収することが決定済みで、紙幣処理装置10の束紙幣処理部200から回収する枚数を入力中の画面となっている。例えば、一万円札正券について、100枚を結束した束紙幣単位で回収する規定がある場合に、現金バス700から回収する枚数を216枚と決定した操作員は、現金処理装置1のバラ紙幣処理部100から回収する枚数を384枚と入力した際に、合計枚数63の表示から、回収枚数を100枚単位で決定できたことを容易に確認することができる。
なお、補助情報60には、回収する貨幣の回収形態を選択するためのボタンが表示され、このボタンを操作することにより回収形態を変更できるようになっている。具体的には、例えば、一万円札正券を束紙幣として回収するよう規定されている場合には、自動的に、束紙幣として回収するよう処理が進められるが、補助情報60として表示されたボタンを操作して手動で切り換えることにより、一部又は全部の回収形態をバラ紙幣に変更できるようになっている。なお、金種別回収内訳62では、回収形態の異なる回収貨幣の枚数が区別可能に表示される。例えば、「バラ紙幣」又は「束紙幣」と回収形態を文字で表示したり、バラ紙幣と束紙幣の枚数を色を変えて表示すると共に回収形態と表示色の対応を補助情報60として表示したりすることができる。
正貨を対象として輸送現金の回収枚数を決定する場合にも、正券の場合と同様の操作を行って、図10(b)に示すように硬貨の金種を選択すると共に、金種別回収内訳62に回収枚数を入力して、どの装置及び場所から何枚の正貨を回収するかを決定する。操作方法や表示される情報は、図10(a)に示す正券の場合と略同じであるため詳細な説明は省略するが、例えば、補助情報60として、どの金種の正貨をどれだけどのような形態で回収しなければならないかを示す情報が表示される。
低額硬貨の場合には回収枚数が多くなるため、正貨を対象とする画面上では、合計枚数63の欄に、選択金種の枚数に加えて金額が表示されるようになっている。また、テンキー表示を利用して硬貨枚数を入力する際にも、枚数又は金額による入力が可能となっている。例えば、50円硬貨の回収枚数決定時にテンキーから「135枚」と入力した場合も「6750円」と入力した場合も金種別回収内訳62には135枚と自動的に枚数が入力される。なお、回収対象金種61の上側には、こうして順に選択された各金種の正券及び正貨の合計金額、すなわち輸送現金の総額が表示される。
このように、輸送現金の詳細を決定する際には、管理制御部30による制御によって操作表示部40上に各種の情報が表示される。また、操作表示部40を操作して入力された情報は、管理制御部30に入力される。
操作表示部40を操作して、図10に示すように、金種別に、どの装置及び場所からどれだけの貨幣を回収するかを決定する操作を完了すると、次に、操作員は、それぞれの装置及び場所から、各金種の貨幣現物を、決定した枚数だけ回収する回収作業を開始する(図9ステップS12)。 図10に示す現金輸送準備明細画面で回収開始のボタンを押すと、現金回収画面が表示される。
図11は、正券及び正貨の現金回収画面の画面例である。図11(a)が在庫貨幣900の回収作業前の状態を示し、同図(b)が在庫貨幣900の回収作業後の状態を示している。なお、画面上には回収作業の内容が表示される。具体的には、回収作業の対象となる装置や場所と、回収対象とする貨幣形態と、回収する貨幣量とを含む情報が表示される。また、図11でも、図10の場合と同様に、回収作業を行うのに有用な補助情報66を表示できるようになっている。
図11(a)に示すように、画面右側には、図10に示す現金輸送準備明細画面で決定された内容に基づいて、管理制御部30によって自動作成された回収作業リスト64が表示される。回収作業リスト64は、操作員が行うべき作業内容を装置別かつ場所別にまとめてリスト表示したもので、操作員が、回収作業リスト64に表示された作業内容を上から順に行うだけで正券及び正貨の輸送準備を完了できるようになっている。なお、リスト表示する際に装置や場所をどのような優先順位で表示するかについては、回収作業の効率を考慮して、事前に設定できるようになっている。
画面左側には、装置等から回収済みの輸送現金の合計金額と内訳とを含む回収済現金情報65が表示される。図11(a)の回収済現金情報65は、手持ち貨幣800から一万円札正券200枚と五千円札正券100枚を既に回収済みであり、回収済み輸送現金の合計金額が250万円となっていることを示している。操作員が、この画面上で、回収作業リスト64のNo.1を選択して処理開始ボタンを押すと、この作業が完了したものとして、図11(b)に示すように、リスト上の表示が反転表示となり回収済現金情報65がこの作業を反映した内容に更新される。
現金処理システムでは、銀行の営業店舗内の様々な場所や装置内に保管されている貨幣を対象として、輸送現金の準備を容易かつ効率的に行うことができる点を1つの特徴としている。例えば、一万円札正券について、100枚を結束した束紙幣単位で回収する規定がある場合に、図10(a)に示すように、現金輸送準備明細画面で、現金バス700から216枚の一万円札を回収し、紙幣処理装置10のバラ紙幣処理部100から384枚の一万円札正券を回収するよう決定すると、管理制御部30は、この決定内容に基づいて、これら合計600枚の一万円札正券から100枚の束紙幣を作成するように作業内容を決定する。この結果、管理制御部30によって、図11(a)にある作業リスト64のNo.2〜No.4が自動作成される。
具体的には、管理制御部30は、現金バス700での回収作業が一回で済むように、No.2の作業内容を自動作成する。そして、管理制御部30は、現金バス700に収納されている貨幣の情報に基づいて、216枚の一万円札正券のうち200枚は正券束の形態で回収できることを認識すると、No.2の作業で現金バス700から回収した貨幣のうち16枚のバラ紙幣のみを紙幣処理装置10に入金させるNo.3の作業内容を自動作成する。さらに、管理制御部30は、No.3の作業で入金された16枚のバラ紙幣とバラ紙幣処理部100から回収する384枚のバラ紙幣とを合わせた400枚のバラ紙幣から束紙幣を作成し、作成した4つの束紙幣を回収させるNo.4の作業を自動作成する。
こうして自動作成された作業リスト64に従って、操作員が、図11(a)に示す画面上で、No.2を選択して処理開始ボタンを押すと、現金処理装置1の管理制御部30から現金バス700に、一万円札の正券束2つ(200枚)とバラ紙幣16枚を出金することを示す出金処理情報が送信される。図2に示す現金バス700の各ドロア711〜715は通常はロックされており、操作部716及び表示部717により行う認証処理を経て出金処理内容を入力した場合に対応するドロアのロックが解除されて、出金貨幣が収納されたドロアのみを引き出せるようになっている。しかし、現金処理装置1の管理制御部30から出金処理情報を受信すると、現金バス700は、認証処理や出金処理内容の入力を要求することなく、一万円札の正券束及びバラ紙幣が収納されたドロアのロックを解除する。これにより、操作員は、現金バス700で認証処理や出金貨幣の指定操作を行うことなく、現金バス700から、必要な貨幣を出金させることができる。また、操作員は、1回の回収作業で、現金バス700から束紙幣及びバラ紙幣の両方を回収することができる。
次に、操作員が、操作表示部40上で、図11(a)に示す作業リスト64のNo.3を選択して実行すると、現金バス700から回収した16枚の一万円札正券バラ紙幣を、紙幣処理装置10へ投入することを指示する情報が表示される。具体的には、操作表示部40では、補助情報66として、操作員が行うべき作業が表示されるようになっており、No.3の作業実行時には、現金バス700から回収した紙幣のうち、2つの束紙幣はそのまま回収し、残りの16枚の一万円札正券バラ紙幣をバラ紙幣処理部100のバラ紙幣入金口110へ入金するよう指示する情報が表示される。この際も、管理制御部30による紙幣処理装置10の制御により、バラ紙幣入金口110が自動的に開放される。これにより、操作員は、紙幣処理装置10での認証処理や入金貨幣の指定操作を行うことなく、現金バス700から回収した貨幣をバラ紙幣処理部100に容易に入金することができる。
次に、No.3の作業を終えた操作員が、操作表示部40上で、図11(a)に示す作業リスト64のNo.4を選択して実行すると、画面上の補助情報66には、入金された貨幣により束紙幣を作成中であることを示す情報と、作成した束紙幣が束紙幣処理部200の帯封紙幣出金口218から出金されるのでこれを回収するよう指示する情報とが表示される。なお、補助情報66には、束紙幣の出金先を変更可能であることを示す情報が表示されるようになっており、ここで束紙幣の出金先を図2に示す帯封紙幣出金口218から帯封紙幣投出口221へ変更できるようになっている。
現金処理装置1では、操作員が現金バス700から回収した16枚の一万円札正券バラ紙幣がバラ紙幣入金口110へ入金されると、管理制御部30により、図3及び図4に示した各部が制御され、入金された16枚の一万円札正券バラ紙幣とバラ紙幣処理部100から回収するよう決定されていた384枚の一万円札正券バラ紙幣とを合わせた400枚の紙幣が、100枚単位で2つの整理一時保留部160に交互に集積される。そして、整理一時保留部160に集積された100枚の紙幣は、バラ紙幣処理部100から束紙幣処理部200へ送られて、帯封部212により束紙幣とされた後、帯封紙幣出金口218から出金される。
操作員が、操作表示部40上で、図11(a)に示す作業リスト64のNo.5を選択して実行すると、図10(a)に示す画面上で紙幣処理装置10の束紙幣処理部200から回収するよう決定した通りに、束紙幣処理部200で作成済みの束紙幣が帯封紙幣収納カセット230から繰り出されて帯封紙幣出金口218へ投出される。この場合も、No.5の作業を選択すると、束紙幣が帯封紙幣出金口218から出金されることを示す情報と、束紙幣の出金先を変更可能であることを示す情報とが操作表示部40に表示される。例えば、図2に示す束紙幣処理部200の帯封紙幣投出口221の前に運搬箱を配置して、束紙幣の出金先を帯封紙幣出金口218から帯封紙幣投出口221へ変更してから処理開始ボタンを操作すれば、運搬箱内に束紙幣を投出させることも可能である。
硬貨処理装置20によって行う正貨の準備作業でも、正券の場合と同様に、バラ硬貨処理部300からバラ硬貨を回収したり、バラ硬貨処理部300に収納されているバラ硬貨や他の装置から回収して入金されたバラ硬貨から包装硬貨処理部400で包装硬貨を作成してから回収したり、包装硬貨処理部400で作成済みの包装硬貨を回収したりすることができる。また、このとき、バラ硬貨を、バラ硬貨処理部300のバラ硬貨出金口370及び袋取シュート部324のいずれを利用して回収するか、包装硬貨を、包装硬貨処理部400の包装硬貨出金口480、包装硬貨投出口470、包装硬貨一括箱460及び袋取シュート部324のいずれを利用して回収するかを選択できるようになっている。
こうして、図11に示す作業リスト64にある全ての現金回収作業を完了すると、プリンター50から、準備された輸送現金の明細を含む現金輸送伝票が印刷されて出力される(図9ステップS13)。準備された輸送現金は現金輸送伝票と共に現金処理センターへ向けて輸送される。
次に、損券及び損貨の輸送準備作業について説明する。図12は、現金処理装置1を利用して損券及び損貨の輸送準備を行う際の手順を説明するフローチャートである。損券及び損貨の輸送準備を行う際には、操作員が、事前に銀行内にある損券や損貨を集めてから、損券及び損貨の種類や数量を決定する点と、この決定を損券と損貨とで別々に行う点が、正券及び正貨の場合と異なっている。
まず、現金処理装置1の操作表示部40に表示される現金輸送準備画面を確認しながら、銀行内にある損券及び損貨を事前回収する(ステップS21)。図13は、事前回収作業時に表示される現金輸送準備画面の画面例である。この画面に表示されたNo.1〜No.5の作業を順に実行することにより、損券及び損貨の事前回収作業を完了できるようになっている。なお、この画面例は、銀行内では損券の束紙幣及び損貨の包装硬貨を作成しない運用となっており、図1に示すバラ紙幣処理部100、バラ硬貨処理部300、損貨処理装置500、損券処理装置600、現金バス700、手持ち貨幣800及び在庫貨幣900の中に、損券及び損貨が含まれる場合の例である。
操作員が、図13の画面上でNo.1の作業を選択すると、画面上にはバラ紙幣処理部100から損券を回収するよう指示する補助情報が表示される。画面上で処理開始ボタンを押すと、管理制御部30からバラ紙幣処理部100へ、内部に収納されている全ての損券を出金するよう指示する信号が送信される。この信号を受信したバラ紙幣処理部100は、一括紙幣収納庫140に収納されている損券全てを繰り出してバラ紙幣出金口152に出金する。バラ紙幣処理部100から出金された損券は操作員の手元管理となるので、管理制御部30はバラ紙幣処理部100内の損券を手持ち貨幣800への入金(増額分)として処理する。同様に、画面上でNo.2の作業を選択して実行すると、管理制御部30は、バラ硬貨処理部300の一括硬貨収納庫340に収納されている損貨全てを出金させると共に、出金した損貨を操作員の手持ち貨幣800への入金(増額分)として処理する。
なお、損券及び損貨については、装置内を搬送して出金させる他、一括紙幣収納庫140及び一括硬貨収納庫340に収納された貨幣を、直接手作業で回収する態様であっても構わない。例えば、先に一括紙幣収納庫140から手作業により損券を回収してから、図13の画面上でNo.1の作業を選択すると、管理制御部30は、一括紙幣収納庫140から損券を出金するよう指示する信号をバラ紙幣処理部100へ送信する。バラ紙幣処理部100では、一括紙幣収納庫140から紙幣が繰り出せないことを認識すると、これを示す信号を管理制御部30へ送信する。これを受けた管理制御部30は、補助情報として、手作業による回収を先に行ったか否かを尋ねる情報を表示する。操作員が損券を回収済みであることを示す情報を入力すると、管理制御部30はバラ紙幣処理部100内の損券を手持ち貨幣800への入金(増額分)として処理する。すなわち、バラ紙幣処理部100による出金処理が中止され、管理制御部30による管理情報の更新処理のみが行われることになる。一括硬貨収納庫340からの損貨の手作業による回収及びNo.2の作業実行についても同様に処理される。
次に、操作員が、画面上でNo.3の作業を選択すると、損券処理装置600の第1収納部(損券収納部652)から損券を手回収するよう指示する補助情報が表示される。操作員は、損券処理装置600の筐体602の扉を開いて損券収納部652内の全ての損券を回収する。損券処理装置600から回収された損券は操作員の手元管理となるので、管理制御部30は、損券処理装置600の損券収納部652内の損券が損券処理装置600から出金されて手持ち貨幣800へ入金(増額分)されたものとして処理する。
また、操作員が、画面上でNo.4の作業を選択すると、損貨処理装置500から全ての損貨及び記念硬貨を手回収するよう指示する補助情報が表示される。操作員は、損貨処理装置500の流通硬貨収納部540及び記念硬貨収納部544を筐体502前方へ引き出して内部の損貨及び記念硬貨を全て回収する。損貨処理装置500から回収された損貨及び記念硬貨は操作員の手元管理となるので、管理制御部30は、損貨処理装置500の流通硬貨収納部540内の損貨及び記念硬貨収納部544内の記念硬貨が損貨処理装置500から出金されて手持ち貨幣800へ入金(増額分)されたものとして処理する。
最後に、画面上でNo.5の作業を選択すると、画面上には、これらの他に損券及び損貨があれば、これを回収してデータ登録するよう指示する補助情報が表示される。例えば、管理制御部30に在高が登録されていない手持ち貨幣や現金処理装置1と接続されていない貨幣処理装置内に損券や損貨があれば、これらが回収及びデータ登録の作業対象となる。操作員は、回収すべき損券及び損貨があればこれらを回収してデータを登録する。登録されたデータは、手持ち貨幣800への入金(増額分)として処理される。
なお、回収した損券及び損貨に係るデータの登録作業は、損券及び損貨の数が少ない場合には、操作表示部40を操作して手作業によって行う。また、損券及び損貨の数が多い場合には、損券処理装置600及び損貨処理装置500への入金処理を行って、損券処理装置600及び損貨処理装置500の在高に追加する作業を行ってもよい。画面上に、手入力、又は損券処理装置600及び損貨処理装置500のいずれによってデータの登録作業を行うかを尋ねる補助情報が表示されるので、ここでいずれかを選択すると、選択した方法によりデータ登録作業を行う実行画面に遷移する。そして、回収した損券及び損貨のデータ登録作業が完了すると、再び、図13に示す画面に戻るようになっている。
こうして、No.1〜No.5にある損券及び損貨の事前回収作業(図12のステップS21)の全てを完了すると、現金輸送の対象となる損券及び損貨が、損券処理装置600、現金バス700、手持ち貨幣800及び在庫貨幣900のみに含まれる状態となる。この状態で、操作員は、現金輸送準備明細画面上でそれぞれの装置及び場所にある損券の在高を確認しながら輸送現金に含める損券の内訳を決定して(ステップS22)、決定内容に基づいて自動作成される現金回収画面を確認しながら損券現物を回収して輸送準備を行う(ステップS23)。続いて、操作員は、同様に、現金輸送準備明細画面上でそれぞれの装置及び場所にある損貨の在高を確認しながら輸送現金に含める損貨の内訳を決定して(ステップS24)、決定内容に基づいて自動作成される現金回収画面を確認しながら損貨現物を回収して輸送準備を行う(ステップS25)。そして、損券及び損貨の輸送準備を完了すると、プリンター50から、準備された輸送現金の明細を含む現金輸送伝票が印刷出力される(ステップS26)。
図14は、輸送現金として準備する損券の内訳を決定する作業時に(図12ステップS22)、操作表示部40に表示される現金輸送準備明細画面の画面例である。画面上には回収対象券種71が一覧表示される。回収対象券種71の中から回収枚数を決定する券種を選択すると、画面上では、この選択券種が反転表示されると共に、券種別回収内訳72として関連する情報が一覧表示される。券種別回収内訳72には、選択券種の損券を回収可能な装置及び場所を示す管理単位と、各管理単位から回収可能な選択券種の損券の枚数(図中「在高」)と、回収することを決定した損券の枚数(図中「回収」)とが表示される。券種別回収内訳72の下に、券種別回収内訳72で回収対象として入力された選択券種の合計枚数73が表示される。
例えば、操作員が、図14に示す画面上で、回収対象券種71の中から一万円E券損券を示す表示を選択すると、一万円E券損券を回収可能な装置及び場所と、これらの装置及び場所から回収可能な一万円E券損券の枚数を示す在高とを含む券種別回収内訳72が表示される。操作員が、券種別回収内訳72の表示上で回収対象とする装置や場所を選択してから、画面下にあるテンキー表示を操作して回収枚数を入力すると、合計枚数73の表示が更新される。
図14の例は、一万円E券損券の券種別回収内訳72として、図1に示す手持ち貨幣800から100枚、在庫貨幣900から100枚、現金バス700から100枚の合計300枚を回収することが決定済みで、損券処理装置600の第2収納部(損券収納繰出部654)から回収する枚数を入力中の画面となっている。紙幣処理装置10、現金バス700、損券処理装置600の第1収納部(損券収納部652)の損券は、図13に示す事前回収作業により、既に回収されて手持ち貨幣800に含まれているので、券種別回収内訳72の管理単位には表示されない。
また、画面上には補助情報70を表示することも可能となっている。補助情報70として、例えば、予め定められた銀行内の規定に従って、どの券種の損券をどのように準備すべきであるかを示す情報等が表示される。また、券種別回収内訳72に表示される在高表示については、正券の場合と同様に、表示する情報をカスタマイズできるようになっている。
図14に示す現金輸送準備明細画面で回収開始のボタンを押して回収作業を開始すると(図12ステップS23)、図15に示す現金回収画面が表示される。画面右側には、図14に示す現金輸送準備明細画面で決定された内容に基づいて、管理制御部30によって自動作成された回収作業リスト74が表示される。回収作業リスト74は、操作員が行うべき作業内容を装置別かつ場所別にまとめてリスト表示したもので、操作員が回収作業リスト74に表示された作業内容を上から順に行うだけで損券の輸送準備を完了できるようになっている。
画面左側には、装置等から回収済みの損券の合計金額と内訳とを含む回収済現金情報75が表示される。図15の回収済現金情報75は、手持ち貨幣800として一万円E券損券が100枚と五千円D券損券100枚が回収済みであり、回収済み損券の合計金額が150万円となっていることを示している。
この他、画面上の回収作業リスト74を順に選択して処理開始ボタンを押しながら、損券を回収する作業が行われる点、作業完了により回収作業リスト74上の表示が反転表示となり回収済現金情報75がこの作業を反映した内容に更新される点等は、図11に示す正券及び正貨の回収作業時と同様である。なお、損券は枚数が少ないため、現金輸送時にもバラ紙幣のままで輸送する場合が多くなるが、例えば、100枚に到達せずとも予め定められた所定枚数に達した所で束紙幣とする規定となっている場合は、回収した枚数がこの所定枚数に達した時点で、回収した損券を結束して束紙幣を作成する。
例えば、回収した損券が所定枚数に達した場合には、図15に示す画面上に束紙幣を作成するよう指示する情報と、束紙幣作成を指示するボタンとが補助情報76として表示される。操作員が、この束紙幣作成ボタンを押すと、紙幣処理装置10が束紙幣作成待ち状態となる。この状態で、バラ紙幣処理部100のバラ紙幣入金口110に、結束対象とする複数枚の損券を入金すると、これらの損券は識別等の処理を行わずに強制的に束紙幣処理部200へ搬送されて、帯封部212により結束された後、帯封紙幣出金口218から投出される。ただし、損券は、紙幣処理装置10内を正常に搬送できない可能性があるので、紙幣処理装置10を利用して束紙幣を作成する処理を行うか否かは設定により変更できるようになっている。例えば、複数枚の紙幣をセットして結束する機能のみを有する単機能帯封機が別途用意されているような場合には、紙幣処理装置10による損券の束紙幣作成機能をオフにして、この帯封機を利用して損券の束紙幣を作成する。
図16は、輸送現金として準備する損貨の内訳を決定する作業時に(図12ステップS24)、操作表示部40に表示される現金輸送準備明細画面の画面例である。また、図17は、図16に示す現金輸送準備明細画面で回収する損貨の内訳を決定した後、回収開始のボタンを押して回収作業を開始した際に(図12ステップS25)、操作表示部40に表示される現金回収画面の画面例である。輸送現金とされる損貨には、損貨ではない記念硬貨が含まれる点が、損券の場合と異なっているが、各画面で表示される情報の内容、各画面を確認しながら行う作業内容及び処理内容は損券の場合と略同様であるため詳細な説明は省略する。
なお、本実施形態では回収する貨幣に関する情報表示や貨幣量の指定を枚数単位で行う例を示したが、情報表示として金額を表示したり、貨幣量の指定操作で金額を指定したりする態様であっても構わない。
上述してきたように、本実施形態に係る現金処理装置1によれば、現金処理装置1を構成する紙幣処理装置10、硬貨処理装置20、損貨処理装置500及び損券処理装置600に加えて、現金処理システムを構成する現金バス700等、他の貨幣処理装置に収納保管されている貨幣の種類や枚数等の情報と、銀行の窓口係等が手元管理している手持ち貨幣800、金庫内等で管理される在庫貨幣900等、装置外で管理保管される貨幣の種類や枚数等の情報とを管理することができる。これにより、現金処理装置1で管理される様々な装置及び場所の貨幣の在高を一覧表示して、予め定められた規定に従うように、それぞれの場所や装置から回収する輸送現金の内訳を、金種別に、容易に決定することができる。例えば、ある装置内に収納された回収対象金種の紙幣が、束紙幣として回収すべきであるにも拘わらず、100枚に満たないために束紙幣とできないような場合でも、他の場所や装置で管理されている紙幣の種類や枚数を確認しながら、不足分の紙幣を回収して100枚となるように回収内訳を決定する作業を容易に行うことができる。また、例えば、損券を回収して輸送する際には、金種に加えて新旧を考慮した券種毎に回収するよう規定されている場合があるが、このような場合でも、銀行内にある損券の券種及び枚数を確認しながら、容易かつ確実に輸送準備を行うことができる。
また、貨幣処理装置から貨幣を出金させて回収する場合でも、現金処理装置1の操作表示部40上で回収作業を選択するだけで、貨幣の回収対象となる装置で認証処理や出金操作を行わずとも、回収対象とする貨幣を自動的に出金させたりドロアのロックを解除させたりすることができるので、貨幣の回収作業を容易に進めることができる。
また、様々な装置及び場所から、金種、正損等が異なる複数種類の紙幣及び硬貨を回収するように輸送現金の内訳を決定した場合に、決定内容に基づいて、どこからどのような貨幣を何枚回収するかを示す回収作業の内容が、装置別かつ場所別に整理されてリスト表示される。操作員は、このリスト表示に従って順に回収作業を行うだけで輸送現金を準備することができる。このため、複数の装置及び場所から回収した紙幣で100枚の束紙幣を作成するよう決定したような場合でも、操作員はその決定内容を記憶することなく、装置に表示される回収作業に関する情報を確認しながら、容易かつ確実に回収作業を行って束紙幣を作成することができる。