JP6013171B2 - 操舵装置、操舵装置用の切替え装置およびプログラム - Google Patents
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また特許文献2には、シフトバイワイヤ機構により非パーキングレンジからパーキングレンジへの切替操作が実行される際には、車両に前後方向の制動力を付与するようにステアバイワイヤ機構により車輪の方向を変化させる据え切り制御を実行するものであることから、Pスイッチ等のシフト操作装置による操作から実際に切替が行われるまでのタイムラグにおける車両の前後方向の挙動を好適に抑制することができる車両の制御装置が開示されている。
本発明は、車輪を転舵させる電動モータを制御するモータ制御手段が停止状態のときに車両が移動しても、車輪を転舵させるようにすることができ、車両を操舵することができる。
また、切替え手段は、車両が移動し得る状態になったことを示す検知信号として、運転者が車両に対し行なう動作に関し検知したものを取得することが好ましい。
<操舵装置全体の説明>
図1は、本実施の形態に係る操舵装置100の概略構成を示す図である。
図示する操舵装置100は、車両の進行方向を任意に変えるためのかじ取り装置である。
操舵装置100は、ドライバ(運転者)が操作する車輪(ホイール)状のステアリングホイール(ハンドル)101と、ステアリングホイール101の操舵角を検出する操舵角センサ102と、ドライバに対し操舵反力を与える反力装置103とを備える。
さらに操舵装置100は、操舵装置用の切替え装置の一例であり、制御装置10を動作状態と停止状態との間で切替える切替え手段180を備えている。
詳しくは後述するが、切替え手段180には、制御装置10が停止状態にあるときに、車両が移動したことまたは車両が移動し得る状態になったことを検知する検知手段190からの検知信号が入力される。そして切替え手段180は、この検知信号を取得したときに、制御装置10を停止状態から動作状態に切替える。
このようなステアバイワイヤシステムでは、車輪150からの外乱によりステアリングホイール101が影響を受けることにより生ずるいわゆるハンドル取られが生じることがなく、ドライバの操舵負担を軽減することができる。
次に、制御装置10について説明する。
図2は、操舵装置100の制御装置10の概略構成図である。
制御装置10は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等からなる算術論理演算回路である。
制御装置10には、上述した操舵角センサ102にて検出された操舵角Sが出力信号に変換された操舵角信号Sdと、車速センサ170にて検出された車速Vcが出力信号に変換された車速信号vなどが入力される。
そして、制御装置10は、操舵角信号Sdに基づいて目標トルクを算出し、この目標トルクを電動モータ110が供給するのに必要となる目標電流を算出する目標電流算出部20と、目標電流算出部20が算出した目標電流に基づいてフィードバック制御などを行う制御部30とを有している。
次に、目標電流算出部20について詳述する。
図3は、目標電流算出部20の概略構成図である。
目標電流算出部20は、目標電流を設定する上で基準となるベース電流を算出するベース電流算出部21と、電動モータ110の慣性モーメントを打ち消すための電流を算出するイナーシャ補償電流算出部22と、モータの回転を制限する電流を算出するダンパー補償電流算出部23とを備えている。また、目標電流算出部20は、ベース電流算出部21、イナーシャ補償電流算出部22、ダンパー補償電流算出部23にて算出された値に基づいて目標電流を決定する目標電流決定部25とを備えている。
以下、操舵角センサ102と共にトルクセンサを設け、操舵角Sと共に操舵トルクを基にして目標電流を決定する場合について説明を行う。
図示するように目標電流算出部20には、図3で説明した操舵角信号Sd等の各信号の他に、トルクセンサで検出されたステアリングホイール101のトルクTが出力信号に変換されたトルク信号Tdが入力される。そしてこのトルク信号Tdをさらに加味することで目標電流を決定する。
またイナーシャ補償電流算出部22は、操舵角信号Sdと、トルク信号Tdと、車速信号vとに基づいて電動モータ110およびシステムの慣性モーメントを打ち消すためのイナーシャ補償電流を算出し、この電流の情報を含むイナーシャ補償電流信号Isを出力する。
さらにダンパー補償電流算出部23は、操舵角信号Sdと、トルク信号Tdと、車速信号vと、電動モータ110の回転速度信号Nmsとに基づいて、電動モータ110の回転を制限するダンパー補償電流を算出し、この電流の情報を含むダンパー補償電流信号Idを出力する。
なお目標電流決定部25の動作は、図3の場合と同様である。
次に、制御部30について詳述する。
図5は、制御部30の概略構成図である。
制御部30は、電動モータ110の作動を制御するモータ駆動制御部31と、電動モータ110を駆動させるモータ駆動部32と、電動モータ110に実際に流れる実電流を検出し、実電流検出信号Imをモータ駆動制御部31に出力するモータ電流検出部33とを有している。
モータ駆動制御部31は、目標電流算出部20にて最終的に決定された目標電流(目標電流信号ITFが示す値)と、モータ電流検出部33にて検出された電動モータ110へ供給される実電流(実電流検出信号Imが示す値)との偏差に基づいてフィードバック制御を行うフィードバック(F/B)制御部40と、電動モータ110をPWM駆動するためのPWM(パルス幅変調)信号を生成するPWM信号生成部60とを有している。
PWM信号生成部60は、フィードバック制御部40からの出力値に基づいて電動モータ110をPWM(パルス幅変調)駆動するためのPWM信号を生成し、生成したPWM信号60aを出力する。
モータ電流検出部33は、モータ駆動部32に接続されたシャント抵抗の両端に生じる電圧から電動モータ110に流れる実電流の値を検出する。
本実施の形態の操舵装置100は、ステアリングホイール101と機械的に分離した車輪150を転舵させるために、電動モータ110を用いる。そのため操舵装置100が動作しているときは、電力を消費する。よって例えば、車両の駐車時などのようにエンジンが停止し、車両からの電力供給がなくなると、バッテリの消費を抑制するため、操舵装置100を停止する必要がある。
図6は、切替え手段180について説明した図である。
図示するように切替え手段180は、検知信号取得部181と、判断部182と、切替え部183とを備える。
判断部182は、制御装置10が停止状態にあるときに、検知信号が車両が移動したことまたは車両が移動し得る状態になったことを示すものであるか否かを判断する。
切替え部183は、制御信号Cを制御装置10に出力することで、制御装置10を、動作状態と停止状態との間で切替える機能を有する。そして判断部182が検知信号が車両が移動したことまたは車両が移動し得る状態になったと判断したときに、制御装置10を、停止状態から動作状態に切替える制御信号Cを制御装置10に対し出力する。
図7(a)は、制御装置10が停止しているときに、車両が移動する場合について例示した表である。
図7(a)では、車両が移動する状態として車外から力を受けて動く場合と、路面の状態によって動く場合の2通りに分け、それぞれについて具体例を示している。即ち、車外から力を受けて動く場合は、例えば、車両が他の車両等によりけん引される場合であり、路面の状態によって動く場合は、例えば、車両を坂道で停車させた場合である。
そしてこれらの事例に対応するための検知手段190としては、図7(a)に挙げた以下のものが考えられる。
車両の全車輪に車輪速センサを取り付け、これを検知手段190とする。そして車輪速センサは、車輪の速度を検出し、これを検知信号Kとして切替え手段180に対し出力する。そして切替え手段180は、制御装置10が停止状態にあるときに、車輪の速度から何れかの車輪が動いたと判断した場合は、制御装置10を停止状態から動作状態に切替える。なお車輪速センサは、車速センサ170と兼用することもできる。
ジャイロセンサを検知手段190とし、車両の動きをこのジャイロセンサにより監視する。そしてジャイロセンサは、角速度の変化を検出し、これを検知信号Kとして切替え手段180に対し出力する。そして切替え手段180は、制御装置10が停止状態にあるときに、角速度が変化したと判断した場合は、制御装置10を停止状態から動作状態に切替える。なおジャイロセンサは、例えば、カーナビゲーションシステムの電子コンパス機能として使用するものと兼用してもよい。
GPSを検知手段190とし、車両の動きをこのGPSにより監視する。そしてGPSは、車両の位置情報を検出し、これを検知信号Kとして切替え手段180に対し出力する。そして切替え手段180は、制御装置10が停止状態にあるときに、位置情報が変化したと判断した場合は、制御装置10を停止状態から動作状態に切替える。なおGPSは、例えば、カーナビゲーションシステムの車両の位置情報取得に使用するものと兼用してもよい。
図7(b)は、制御装置10が停止しているときに、車両が移動し得る状態になった場合について例示した表である。
図7(b)では、車両が移動し得る状態になった場合について、具体例およびこれらの具体例に対応する検知手段190について図示している。
以下、これらの検知手段190について説明を行なう。
車両のドアをロックするドアロックが解除された場合は、ドライバが車両に乗車し、これから車両が動き出す可能性がある。そのためドアロックセンサを検知手段190とし、ドアロック信号を検知信号Kとして切替え手段180に対し出力する。そして切替え手段180は、制御装置10が停止状態にあるときに、ドアロック信号によりドアロックが解除されたと判断した場合は、制御装置10を停止状態から動作状態に切替える。
車両のドアの開閉が行なわれた場合は、ドライバが車両に乗車し、これから車両が動き出す可能性がある。そのためドア開閉センサを検知手段190とし、ドア開閉信号を検知信号Kとして切替え手段180に対し出力する。そして切替え手段180は、制御装置10が停止状態にあるときに、ドア開閉信号が、「開」を示す信号から、「閉」を示す信号に変化、または「閉」を示す信号から、「開」を示す信号に変化したときは、ドアの開閉が行なわれたと判断し、制御装置10を停止状態から動作状態に切替える。
ドライバが車両の座席に着座したときは、ドライバがエンジンを起動しこれから車両が動き出す可能性がある。そのため着座検知センサを検知手段190とし、着座検知信号を検知信号Kとして切替え手段180に対し出力する。そして切替え手段180は、制御装置10が停止状態にあるときに、着座検知信号を受信した場合は、制御装置10を停止状態から動作状態に切替える。なお着座検知センサは、座席内に配され座席に加えられた圧力を検知する圧力センサ等により実現することができる。
ドライバがシートベルトを着用したときは、これから車両が動き出す可能性がある。そのためシートベルト着用センサを検知手段190とし、シートベルト着用信号を検知信号Kとして切替え手段180に対し出力する。そして切替え手段180は、制御装置10が停止状態にあるときに、シートベルト着用信号を受信した場合は、制御装置10を停止状態から動作状態に切替える。なおシートベルト着用センサは、シートベルトのバックルにセンサを配設することで実現することができる。
ドライバがパーキングブレーキを解除したときは、これから車両が動き出す可能性がある。そのためパーキングブレーキのON/OFFセンサを検知手段190とし、このON/OFF信号を検知信号Kとして切替え手段180に対し出力する。そして切替え手段180は、制御装置10が停止状態にあるときに、ON/OFF信号が、パーキングブレーキが作動していることを意味するON信号から、パーキングブレーキが解除していることを意味するOFF信号に変化したときは、パーキングブレーキが解除されたと判断し、制御装置10を停止状態から動作状態に切替える。
ドライバがステアリングホイール101を握ったときは、これから車両が動き出す可能性がある。そのためステアリングホイール101に圧力センサを配し、この圧力センサにより検出された圧力情報を検知信号Kとして切替え手段180に対し出力する。そして切替え手段180は、制御装置10が停止状態にあるときに、圧力が予め定められた閾値を超えた場合は、ドライバがステアリングホイール101を握ったと判断し、制御装置10を停止状態から動作状態に切替える。
また本実施の形態における切替え手段180が行なう処理は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現することができる。この場合、切替え手段180に設けられた制御用コンピュータ内部の図示しないCPUが、切替え手段180の各機能を実現するプログラムを実行し、これらの各機能を実現させる。
Claims (4)
- ステアリングホイールと機械的に分離した車輪を転舵させる電動モータと、
前記ステアリングホイールの操作に基づき前記電動モータの駆動を制御するモータ制御手段と、
前記モータ制御手段を動作状態と停止状態との間で切替える切替え手段と、
を備え、
前記切替え手段は、前記モータ制御手段が停止状態にあるときに、車両が移動したこと、当該車両の座席に運転者が着座したこと、運転者がシートベルトを着用したこと、パーキングブレーキが解除されたこと、または、運転者がステアリングホイールを握ったことを示す検知信号を取得したときに、前記モータ制御手段を動作状態に切替えることを特徴とする操舵装置。 - 前記切替え手段は、前記検知信号を生成する検知手段から当該検知信号を取得し、当該検知信号が、車両が移動したこと、当該車両の座席に運転者が着座したこと、運転者がシートベルトを着用したこと、パーキングブレーキが解除されたこと、または、運転者がステアリングホイールを握ったことを示すものであるか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の操舵装置。
- 車両が移動したこと、当該車両の座席に運転者が着座したこと、運転者がシートベルトを着用したこと、パーキングブレーキが解除されたこと、または、運転者がステアリングホイールを握ったことを検知する検知手段から検知信号を取得する検知信号取得部と、
ステアリングホイールと機械的に分離した車輪を転舵させる電動モータを当該ステアリングホイールの操作に基づき制御するモータ制御手段が停止状態にあるときに、前記検知信号が車両が移動したこと、当該車両の座席に運転者が着座したこと、運転者がシートベルトを着用したこと、パーキングブレーキが解除されたこと、または、運転者がステアリングホイールを握ったことを示すものであるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が、前記検知信号が車両が移動したこと、当該車両の座席に運転者が着座したこと、運転者がシートベルトを着用したこと、パーキングブレーキが解除されたこと、または、運転者がステアリングホイールを握ったことを示すものであると判断したときに、前記モータ制御手段を動作状態に切替える切替え部と、
を備えることを特徴とする操舵装置用の切替え装置。 - コンピュータに、
車両が移動したこと、当該車両の座席に運転者が着座したこと、運転者がシートベルトを着用したこと、パーキングブレーキが解除されたこと、または、運転者がステアリングホイールを握ったことを検知する検知手段から検知信号を取得する機能と、
ステアリングホイールと機械的に分離した車輪を転舵させる電動モータを当該ステアリングホイールの操作に基づき制御するモータ制御手段が停止状態にあるときに、前記検知信号が車両が移動したこと、当該車両の座席に運転者が着座したこと、運転者がシートベルトを着用したこと、パーキングブレーキが解除されたこと、または、運転者がステアリングホイールを握ったことを示すものであるか否かを判断する機能と、
前記検知信号が車両が移動したこと、当該車両の座席に運転者が着座したこと、運転者がシートベルトを着用したこと、パーキングブレーキが解除されたこと、または、運転者がステアリングホイールを握ったこと示すものであると判断されたときに、前記モータ制御手段を動作状態に切替える機能と、
を実現させるプログラム。
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