JP5769006B2 - 車両用操舵装置及び荷役車両 - Google Patents
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Description
フォークリフトにおいては、その用途上、操舵角の範囲が広く、かつ、操舵の頻度も高い。そのため、操舵装置の電力消費量が比較的大きい。
フォークリフトにおいて、その用途上、据え切り操作を必要する場合があるが、例えば運転者が未熟であるために、不必要な据え切り操作が頻繁に行われることもある。そうすると、電力消費量が大きくなり、バッテリの消耗も早くなってしまう。
図1は、本発明の荷役車両としてのフォークリフト1の概略構成を示す模式的側面図である。フォークリフト1は、車体2と、その車体2の前部に設けられた荷役装置3と、車体2を支持する駆動輪としての前輪5及び転舵輪としての後輪6と、後輪6を転舵させるための車両用操舵装置7とを備えている。
また車両用操舵装置7は、車体に保持され、車両の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸17と、ラック軸17を移動可能に支持するラック支持体18と、ラック軸17を移動させる転舵アクチュエータとしての転舵モータ19と、転舵モータ19を駆動制御する転舵側ECU22と、後輪6の転舵位置(本明細書では「転舵角」という)を検出する転舵角センサ20とを備えている。転舵モータ19は、例えば、ラック支持体18の中に内蔵されているラック同軸型の直流モータである。転舵モータ19の回転運動は、ラック支持体18に内蔵されている転舵ギヤを介してラック軸17の平行運動に変換され、ラック軸17の一対の端部にそれぞれ連結されたタイロッド21L,21Rを介して後輪6に伝達され、これにより後輪6が転舵される。転舵角センサ20は、ラック軸17の変位位置と後輪6の転舵角とが対応するため、ラック軸17の変位位置をストロークセンサで検出することで、後輪6の転舵角を検出するセンサである。
図3は操舵側ECU16によって制御される操舵側の制御ブロック図を示す。操舵側ECU16の目標反力電流転舵角算出部B1には、操舵角センサ13から検出操舵角を表す操舵角信号が入力され、据え切りスイッチSWのオンオフ状態を表す信号が入力される。また、フォークリフト1の車速を表す信号が車内LANを経由して入力される。この車速を表す信号は、例えば前輪5又は後輪6のホイールの円周上に等間隔に磁性体を取り付けて、磁気センサでこれを検出し、磁気センサから出力されるパルス状の信号を周波数−電圧変換することによって得られる。
以下、目標反力電流転舵角算出部B1の行う制御処理を、フローチャート(図4)を用いて詳しく説明する。
検出された車速が規定値よりも大きな場合(ステップS3→Yes)、目標反力電流転舵角算出部B1は、車両走行時の操舵角−反力電流のマップを適用して、操舵用反力電流を算出する(ステップS4)。このマップの一例を図5に示す。操舵角が0のとき反力電流は“0”であり、操舵角(絶対値)がそれから増えるに従って増加していくように設定されている。なお、図5から分かるように、操舵角が増大すればするほど、反力電流の増加率は減少し、曲線は一定の値に収束していくようにされている。このようにして得られた反力電流は、目標反力電流として目標反力電流転舵角算出部B1から出力され、前述した反力モータ15のPWM駆動制御に用いられる(ステップS6)。
ここで、据え切りスイッチSWの目的を説明すると、荷役車両はその用途上、据え切り操作の必要な場合がある。据え切りスイッチSWは、このような意図的な据え切り操作をするときに運転者が操作するために設置されたスイッチである。このスイッチをオンにすれば、車両停止時(規定値以下の車速の極低速走行時を含む。以下、同じ。)でも、運転者がハンドルの据え切り操作ができる。しかし、スイッチをオフにすれば、車両停止時に、運転者がハンドルの据え切り操作ができないようになる。このために不必要な据え切り操作を防止できる。
ステップS7で、据え切りスイッチSWの信号がオン状態であると判定された場合、車両停止時でも運転者がハンドルの据え切りをしたいという意思が確認できるので、ステップS4に進み、車両走行時と同じ処理を行う。
壁用反力電流算出処理では、車両停止時の操舵角−壁用反力電流のマップを適用して、壁用反力電流を算出する。このようにして得られた壁用反力電流は、目標反力電流として目標反力電流転舵角算出部B1から出力され、この目標反力電流に基づいて反力モータ15がPWM駆動制御される。
車速信号と据え切りスイッチSWのオンオフ信号とは、転舵側ECU22の電流制限値算出部B2に入力され、目標転舵角は転舵角制御部B3に入力される。転舵角制御部B3は、後輪6を転舵させるための目標電流を算出する処理を行う。この目標電流算出処理では、転舵角制御部B3に入力された目標転舵角と転舵角センサ20で検出した検出転舵角との差がとられて、この差に基づいて転舵モータ19に流すべき目標電流が算出される。一方、転舵モータ19に流れる電流が検出され、前述の目標電流と転舵モータ19に流れる電流との差がとられて、この差に基づいて転舵モータ19をPWM駆動制御する。転舵モータ19の回転は、前述したように、転舵ギヤを介してラック軸17の平行運動に変換され、ラック軸17の一対の端部にそれぞれ連結されているタイロッド17L,17Rを介して後輪6に伝達され、これにより後輪6が転舵される。
転舵角制御部B3は、前述したように、転舵角センサ20により検出された転舵角を入力し、目標転舵角と検出転舵角との差をとりこの差に基づいて目標電流を算出するが、この目標電流の算出において、目標電流を、電流制限値算出部B2から入力された電流制限値を超えないように制限する。これは転舵モータに流れる電流が過度に増加することを抑えて、転舵モータ19を保護するためである。
ステップT4で、据え切りスイッチSWの信号がオン状態であると判定された場合、車両停止時でも運転者がハンドルの据え切りをしたいという意思が確認できるので、ステップT3に進み、車両走行時と同じ処理を行う。
転舵角制御部B3は、目標転舵角と検出転舵角との差がとり、この差に基づいて目標電流を算出するが、目標電流が電流制限値算出部B2から入力された電流制限値に制限されているので、転舵モータ19に流れる電流は制限されたものになり、転舵はきわめて低速に行われる。もし電流制限値が“0”である場合、転舵モータ19には電流が流れない。すなわち転舵ができない状態になる。
したがって、フォークリフト1などの荷役車両において無駄な電力消費を抑制し、バッテリの消耗を遅らせることができる。
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、転舵輪として、車体2の左右にそれぞれ後輪6を設ける構成に代えて、単一の後輪6を車体2の左右方向の中央に設けてもよい。また、上述の実施形態では、転舵駆動機構として、転舵モータ19によって駆動するラック軸17を採用したが、電動式油圧ポンプによって駆動する油圧シリンダを採用しても良い。その他、本発明の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
Claims (8)
- 操舵部材と、車速を検出する車速検出部と、検出された車速が規定値よりも小さいかどうかを判定する車速判定部と、
前記操舵部材に操舵反力を付与する反力アクチュエータと、転舵輪を転舵させる転舵駆動機構と、前記転舵駆動機構を駆動する転舵アクチュエータと、
前記車速と前記操舵角とに基づいて、前記反力アクチュエータを制御する反力アクチュエータ制御部と、
前記車速と前記操舵角とに基づいて、前記転舵アクチュエータを制御する転舵アクチュエータ制御部とを備え、
前記転舵アクチュエータ制御部は、前記車速が前記規定値よりも小さいと判定された場合に、前記転舵アクチュエータへの通電を制限するものであり、
前記反力アクチュエータ制御部は、前記車速が前記規定値よりも小さいと判定された場合に、前記操舵部材の前記操舵角の増加に伴って前記操舵反力が、前記車速が前記規定値以上と判定された場合の前記操舵反力よりも増大するように前記反力アクチュエータを制御するものである、車両用操舵装置。 - 前記反力アクチュエータ制御部は、前記操舵角に対する前記反力アクチュエータの反力電流の関係に基づいて前記反力アクチュエータを制御し、前記車速が前記規定値以上と判定された場合の前記関係は、前記操舵角が0のとき前記反力電流は0であり、前記操舵角が増えるに従い、前記反力電流はその増加率が減少しつつ、増加していき一定値に収束する、請求項1記載の車両用操舵装置。
- 前記車速が前記規定値よりも小さい場合の前記操舵角に対する前記反力電流の関係は、前記操舵角が0のとき前記反力電流は0であり、前記操舵角が増えるに従い、前記増加率よりも大きい増加率で増加する、請求項2記載の車両用操舵装置。
- 前記車速が前記規定値よりも小さい場合の前記操舵角に対する前記反力電流の関係は、前記操舵角が0のとき前記反力電流は0であり、前記操舵角が増えるに従い、前記増加率よりも大きい増加率で飽和値まで増加し、前記飽和値に達してからは前記操舵角によらず、前記飽和値を保持する、請求項2記載の車両用操舵装置。
- 運転者が操作できる位置に設置された据え切りスイッチをさらに備え、
前記反力アクチュエータ制御部は、検出された車速が規定値よりも小さいと判定され、かつ前記据え切りスイッチがON操作されている場合に、前記反力アクチュエータ制御部への操舵反力を急激に増大させる制御を解除し、
前記転舵アクチュエータ制御部は、検出された車速が規定値よりも小さいと判定され、かつ前記据え切りスイッチがON操作されている場合に、前記転舵アクチュエータ制御部への通電の制限を解除する請求項1記載の車両用操舵装置。 - 前記操舵部材と前記転舵駆動機構との機械的な連結が断たれたステアバイワイヤ式である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の車両用操舵装置。
- 荷役車両に適用される、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の車両用操舵装置。
- 請求項7記載の車両用操舵装置を装備した荷役車両。
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