JP6008752B2 - 塗装マスキング用粘着テープ、マスキング方法及び塗装方法 - Google Patents
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Description
該基材がフッ素樹脂フィルムからなり、剥離ライナーが非シリコーン系剥離ライナーであることを特徴とする塗装マスキング用粘着テープに関する。
塗装マスキング用粘着テープが貼付された被塗物に塗料を塗布して塗膜を形成する工程、
形成した塗膜を加熱して塗膜を硬化させる工程、及び
被塗物から塗装マスキング用粘着テープを剥離する工程を含む塗装方法に関する。
フッ素樹脂フィルムとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレンとへキサフルオロプロピレンの共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)等からなるフィルムが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、柔軟性、伸縮性から、PTFEフィルムが好ましい。
粘着剤層としては、特に限定されず、シロキサン成分を含まない粘着剤層であることが好ましく、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤などの公知の粘着剤からなる粘着剤層を挙げることができる。これらの中でも、比較的耐熱性の良いアクリル系粘着剤層がより好ましい。また、塗装後の塗膜乾燥温度が150〜200℃の温度になる場合は、架橋度を高めた耐熱性アクリル粘着剤層が好ましい。
本発明で用いる非シリコーン系剥離ライナー3は、図1に示すように、支持基材4及び非シリコーン系剥離剤層5から構成されることが好ましい。シリコーン系剥離剤を用いた粘着テープでは、剥離ライナーを剥がしても、シリコーン系剥離剤に由来するシリコーン成分が粘着テープ本体に残ってしまい、シロキサンガス発生の原因となるものである。本発明においては、剥離剤層が非シリコーン系剥離剤からなるため、アウトガス発生量、特にシロキサンガス発生量を大幅に低減することができるものである。
支持基材は、特に限定されるものではなく、剥離ライナー全体の補強層としての役割を担うことができるものであればよいが、例えば、熱可塑性樹脂により構成されたフィルム又はシートを挙げることができ、より具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂や、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1等のポリオレフィン系樹脂;各種ポリアミド系樹脂(いわゆる「ナイロン」など);ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニルなどの公知の熱可塑性樹脂により構成されたフィルム又はシートを等を挙げることができ、これらを1種単独で、または2種以上を用いることもできる。これらのなかでも、基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルにより構成されたフィルム又はシートを好適に用いることができる。また、基材の表面は、コロナ放電処理などの表面処理が行われていてもよい。
剥離剤層は、非シリコーン系剥離剤からなるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂からなる層を挙げることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒法ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)等のポリブテン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体等のα−オレフィン共重合体、プロピレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。また、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)などのエチレン−不飽和カルボン酸共重合体;アイオノマー;エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)などのエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン−ビニルアルコール共重合体等のエチレンとα−オレフィン以外の成分との共重合体も用いることができる。これらのポリオレフィン系樹脂は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明の塗装マスキング用粘着テープは、基材1上に形成された粘着剤層2と、剥離ライナー3の非シリコーン系剥離層5とを貼り合せることにより、形成することができる。本発明の塗装マスキング用粘着テープ6は、図1に示すように、基材1、粘着剤層2、非シリコーン系剥離剤層5、支持基材4がこの順に積層されていることが好ましい。
また、本発明は、前記塗装マスキング用粘着テープから剥離ライナーを剥離し、前記塗装マスキング用粘着テープの粘着剤層を被塗物に貼付することを特徴とする、マスキング方法に関する。
さらに、本発明は、塗装マスキング用粘着テープから剥離ライナーを剥離し、前記塗装マスキング用粘着テープの粘着剤層を被塗物に貼付する工程、
塗装マスキング用粘着テープが貼付された被塗物に塗料を塗布して塗膜を形成する工程、
形成した塗膜を加熱して塗膜を硬化させる工程、及び
被塗物から塗装マスキング用粘着テープを剥離する工程を含む塗装方法に関する。
1.剥離ライナーの作製
エステルウレタン系アンカーコート剤(東洋モートン(株)製、商品名『AD−527』)100重量部に、硬化促進剤(東洋モートン(株)製、商品名『CAT 11Y−91』)7重量部を配合し、その後、固形分濃度が5重量%となるように酢酸エチルを加えて、アンカーコート剤溶液を調製した。このアンカーコート剤溶液を、ロールコーターにより、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、ルミラー(登録商標)S105、厚み38μm)上に、乾燥後の厚さが0.1μm程度となるように塗布し、80℃で乾燥した。このアンカーコート層上に、タンデム方式にて低密度ポリエチレン(旭化成(株)製、商品名『L−1850A』)をダイ下温度:325℃にて、厚さが10μmとなるように押出積層して、下引き層を形成した。続いて、この下引き層上に、直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする混合樹脂(出光石油化学(株)製、商品名『モアテック0628D』)100重量部に対して、エチレン−プロピレン共重合体(三井化学(株)製、商品名『タフマーP0180』)150重量部を混合した樹脂組成物(剥離層の構成成分)を、ダイ下温度:273℃にて、厚さが10μmになるように押出積層して、剥離層を形成し、さらに、冷却ロールとしてエンボス加工を施した冷却マットロールにより剥離層の表面に微細凹凸加工を施すことにより、表面が凹凸形状の剥離層(表面凹凸剥離層)を形成して、剥離ライナーを作製した。なお、前記表面凹凸剥離層の凹凸形状は、不規則に異なっている形状の各凹凸部が不規則な位置関係で配置された形状になっている。この表面凹凸剥離層において、その表面の算術平均粗さ(Ra)は、1.5μmであり、また、最大粗さは4μmであった。なお、前記表面の表面粗さと最大粗さは、TENCOR社製の接触式表面粗さ測定装置(P−11)を用いて測定した値である。
アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル/アクリル酸ヒドロキシエチル(70重量部/30重量部/5重量部/3重量部)共重合体系感圧接着剤100重量部(ポリウレタン系架橋剤2重量部配合)を配合してなるトルエン溶液を調製し、厚さ50μmのPTFEフィルム(日東電工(株)製、No.901UL)に乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布・乾燥し、粘着剤層を形成した。前記剥離ライナーを粘着剤層上に貼り付け、塗装マスキング用粘着テープを得た。
1.粘着剤層の作製
アクリル酸ブチル93重量部、アクリル酸7重量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル0.05重量部を、酢酸エチルを溶媒として、アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を開始剤として、常法により溶液重合させて、重量平均分子量が150万のアクリル系ポリマーの溶液(固形分濃度:25重量%)を得た。この溶液に、アクリル系ポリマー100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」;トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物、固形分濃度75重量%)0.4重量部(固形分換算)を配合して、粘着剤溶液(アクリル系粘着剤溶液)を得た。
1.粘着剤層の作製
実施例2で得られたアクリル系粘着剤溶液を、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、「カプトン100H」、厚み25μm)の両側の表面上に塗布し、120℃で3分間乾燥して、粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層の厚みはそれぞれ24μmであり、ポリイミドフィルムを含む粘着剤層全体の厚みは74μmであった。
市販の厚さ80μmのPTFE基材、シリコーン粘着剤の粘着テープにシリコーン処理されたPET剥離ライナーを積層された粘着テープ(日東電工(株)製、No.903−T)を比較例1として用いた。
市販の厚さ80μmのPTFE基材、アクリル粘着剤の粘着テープにシリコーン処理されたPET剥離ライナーを積層された粘着テープ(日東電工(株)製、No.903SCA−P)を比較例2として用いた。
得られたテープから剥離ライナーを剥がして、常温下で2kgローラー1往復により、SUS板に圧着し、25℃で1時間放置後に、JIS C2107に準じて、25℃の雰囲気下、引張速度300mm/min、剥離角度180度で引きはがし、粘着力を測定した。
(1)加熱時寸法安定性
得られたテープから剥離ライナーを剥がして、常温下で2kgローラー1往復により、SUS板に圧着し、25℃で1時間放置後に、180℃の炉に5分間投入した。加熱前後に寸法を測定し、以下の式より収縮率を算出した。
収縮率(%)=(加熱前寸法-加熱後寸法)/(加熱前寸法)×100
上記同様の加熱を行った後で、被着体(SUS板)から塗装マスキング用粘着テープを剥がす際の糊残りの有無を目視で確認した。
得られた塗装マスキング用粘着テープから、剥離ライナーを剥がした状態で、120℃で10分間加熱し、その際に発生した全体のアウトガス量及びシロキサンガス量をGC−MSで測定した。
2 粘着剤層
3 剥離ライナー
4 支持基材
5 非シリコーン系剥離剤層
6 塗装マスキング用粘着テープ
Claims (7)
- 基材の片側に粘着剤層および剥離ライナーを有する塗装マスキング用粘着テープであって、
該基材がフッ素樹脂フィルムからなり、剥離ライナーが非シリコーン系剥離ライナーであることを特徴とする塗装マスキング用粘着テープ。 - 塗装マスキング用粘着テープを120℃で10分間加熱した際のシロキサン由来のアウトガス量が0.005μg/cm2以下である請求項1に記載の塗装マスキング用粘着テープ。
- フッ素樹脂フィルムが、ポリテトラフルオロエチレンフィルムである請求項1又は2に記載の塗装マスキング用粘着テープ。
- 粘着剤層の層間に、補強用プラスチックフィルムを設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗装マスキング用粘着テープ。
- 補強用プラスチックフィルムが、ポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項4に記載の塗装マスキング用粘着テープ。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の塗装マスキング用粘着テープから剥離ライナーを剥離し、前記塗装マスキング用粘着テープの粘着剤層を被塗物に貼付することを特徴とする、マスキング方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の塗装マスキング用粘着テープから剥離ライナーを剥離し、前記塗装マスキング用粘着テープの粘着剤層を被塗物に貼付する工程、
塗装マスキング用粘着テープが貼付された被塗物に塗料を塗布して塗膜を形成する工程、
形成した塗膜を加熱して塗膜を硬化させる工程、及び
被塗物から塗装マスキング用粘着テープを剥離する工程を含む塗装方法。
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