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JP6003916B2 - 液体現像剤 - Google Patents

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JP6003916B2 JP2014018499A JP2014018499A JP6003916B2 JP 6003916 B2 JP6003916 B2 JP 6003916B2 JP 2014018499 A JP2014018499 A JP 2014018499A JP 2014018499 A JP2014018499 A JP 2014018499A JP 6003916 B2 JP6003916 B2 JP 6003916B2
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Description

本発明は、液体現像剤に関する。
液体現像剤は、樹脂と着色剤とを含むトナー粒子が絶縁性液体に分散されてなる。そのため、トナー粒子の粒径を小さくしても、そのトナー粒子が大気中に飛散することを防止できる。よって、液体現像剤では、乾式電子写真方式で用いられる現像剤(乾式現像剤)に比べてトナー粒子の粒径を小さくできるので、画質に優れた画像が得られる。たとえば、特許文献1等に記載のコア/シェル構造からなるトナー粒子は、小径で均一な粒度分布を有するので、液体現像剤に含まれるトナー粒子として好適である。
液体現像剤を用いて画像濃度に優れた画像を得るためには、着色剤の含有量を増やす必要がある。しかし、カーボンブラック等の導電性に優れる材料を着色剤として用いた場合、着色剤の含有量を増やすと、トナー粒子の抵抗が低下するので、トナー粒子が帯電し難くなり、よって、転写不良(たとえば転写率の低下)の発生を引き起こす。また、カーボンブラックの含有量を増やすと、フィラー効果のために画像の光沢度の低下を引き起こす。これらのことから、カーボンブラックの含有量を増やしても、所望の画像濃度を有する画像を得ることが難しい。
一方、ニグロシンは有機顔料よりも着色力に優れるので、ニグロシンの含有量を少なく抑えることができる。また、ニグロシンは、カーボンブラックよりも導電性に優れない。これらのことから、着色剤としてニグロシンを用いれば、トナー粒子の抵抗の低下を防止できるので、転写不良の発生を防止できる。さらに、ニグロシンの含有量を増やすと、画像の光沢度を上げることができ、光沢度制御に有効であることが分かっている(特許文献2(特開2001−11055号公報))。
特開2009−96994号公報 特開2001−11055号公報
ニグロシンを含む液体現像剤を長期間、保管した場合、ニグロシン成分の一部が絶縁性液体に溶出し、その結果、その絶縁性液体が着色されることが分かった。そのため、ニグロシンを含む液体現像剤を用いて画像形成を行うと、記録媒体のうち画像が形成されない部分(以下では「非画像部」と記す)が赤みを帯びて着色されることが分かった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであって、その目的は、長期間保管してもニグロシン成分が絶縁性液体に溶出し難い液体現像剤の提供である。
本発明の液体現像剤は、樹脂と着色剤とを含むトナー粒子が絶縁性液体に分散されてなる。着色剤は、ニグロシンと顔料誘導体とを含み、好ましくはカーボンブラックをさらに含む。
トナー粒子におけるニグロシンの含有割合をWn(質量%)とし、トナー粒子における顔料誘導体の含有割合をWs(質量%)としたとき、WnおよびWsは0.15≦Ws/Wn≦0.80を満たすことが好ましい。
本発明では、長期間保管してもニグロシン成分が絶縁性液体へ溶出し難い液体現像剤を提供できる。
電子写真方式の画像形成装置の概略概念図である。
以下、本発明の液体現像剤を説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さ等の寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
[液体現像剤の構成]
本実施形態の液体現像剤は、複写機、プリンタ、デジタル印刷機もしくは簡易印刷機等の電子写真方式の画像形成装置(後述)において用いられる電子写真用液体現像剤、塗料、静電記録用液体現像剤、インクジェットプリンタ用油性インク、または、電子ペーパー用インクとして有用である。本実施形態の液体現像剤は、トナー粒子が絶縁性液体に分散されて構成されており、好ましくは10〜50質量%のトナー粒子と50〜90質量%の絶縁性液体とを含む。本実施形態の液体現像剤は、トナー粒子および絶縁性液体以外に、増粘剤または分散剤等を含んでも良い。
<トナー粒子>
トナー粒子は、樹脂と、樹脂に分散された着色剤とを含む。紙等の記録媒体へのトナー粒子の付着量を所定の範囲内とした場合に所望の画像濃度が得られるように、トナー粒子における樹脂および着色剤のそれぞれの含有量を決定することが好ましい。たとえば、トナー粒子は、20質量%以上50質量%以下の着色剤を含むことが好ましく、30質量%以上40質量%以下の着色剤を含むことがより好ましい。トナー粒子は、樹脂および着色剤以外に、顔料分散剤、ワックスまたは荷電制御剤等を含んでも良い。
トナー粒子は、そのメジアン径D50が0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。かかるメジアン径D50は、従来の乾式現像剤のトナー粒子の粒径よりも小さく、本発明の特徴の一つである。トナー粒子のメジアン径D50が0.5μm以上であれば、電界でのトナー粒子の移動性が良好となるので、現像性が高く維持される。一方、トナー粒子のメジアン径D50が5.0μm以下であれば、トナー粒子の粒径が均一となるので、画質に優れた画像が得られる。より好ましくは、トナー粒子のメジアン径D50は0.5μm以上2.0μm以下である。「トナー粒子のメジアン径D50」は、トナー粒子の粒度分布を体積基準で測定したときのメジアン径D50を意味する。
トナー粒子は、その円形度の平均値(平均円形度)が0.85以上0.95以下であることが好ましく、その円形度の標準偏差が0.01以上0.1以下であることが好ましい。これにより、転写率が高くなり、クリーニング性が向上する。「トナー粒子の円形度」は、トナー粒子の投影面積と等しい面積を有する円の周囲長を、検知されたトナー粒子の周囲長さで除した値を意味する。「トナー粒子の平均円形度」は、トナー粒子の円形度の相加平均値を意味する。
トナー粒子のメジアン径D50、トナー粒子の平均円形度、および、トナー粒子の円形度の標準偏差は、いずれも、フロー式粒子像分析装置(たとえばシスメックス株式会社製の商品名「FPIA−3000S」)を用いて求めることができる。この装置では、絶縁性液体を分散媒体として使用できる。そのため、この分析装置を用いれば、水を分散媒体として使用して測定する場合に比べてトナー粒子が絶縁性液体に分散している状態での当該トナー粒子のメジアン径D50等を測定できる。
<着色剤>
着色剤は、ニグロシンと顔料誘導体とを含む。ニグロシンは、顔料誘導体との親和性に優れる。そのため、着色剤がニグロシンだけでなく顔料誘導体も含むことにより、顔料誘導体がニグロシンの表面へ吸着されると考えられ、その結果、ニグロシン成分が絶縁性液体へ溶出することを防止できると考えられる。これにより、液体現像剤を長期間保管しても、絶縁性液体へのニグロシン成分の溶出を防止できる。よって、非画像部が赤みを帯びて着色されることを防止できる。
着色剤は、カーボンブラックをさらに含むことが好ましい。これにより、画像濃度がさらに高い画像を得ることができ、また、所望の色相(たとえば黒色)を有する画像を得ることができる。かかる効果を有効に得るためには、トナー粒子は、好ましくは10質量%以上40質量%以下のカーボンブラックを含み、より好ましくは10質量%以上30質量%以下のカーボンブラックを含む。
<ニグロシン>
「ニグロシン」は、アニリン、アニリン塩酸塩およびニトロベンゼンを塩化鉄等の触媒の存在下で酸化還元縮合させることにより得ることができる多種のアジン系化合物の混合物である。その主成分は、フェナジン、フェナジンアジン、トリフェナジンオキサジン等を骨格とする紫黒色染料であるアジン系化合物である。
このようなニグロシンとしては、たとえば、C.I.ソルベントブラック7、C.I.ソルベントブラック5、または、各種のアジン系化合物等を挙げることができる。下記材料の1種または2種以上を本実施形態のニグロシンとして用いることができる。
上記C.I.ソルベントブラック5としては、たとえば、オリヱント化学工業株式会社製の「スピリットブラック(Spirit Black)SB」、「スピリットブラック(Spirit Black)SSBB」、「スピリットブラック(Spirit Black)AB」、「スピリットブラック(Spirit Black)ABL」、「ヌービアンブラック(NUBIAN BLACK)NH−805」、または、「ヌービアンブラック(NUBIAN BLACK)NH−815」等の商品名で市販されているもの等を挙げることができる。
上記C.I.ソルベントブラック7としては、たとえば、オリヱント化学工業株式会社製の「ニグロシンベース(Nigrosine Base)SA」、「ニグロシンベース(Nigrosine Base)SAP」、「ニグロシンベース(Nigrosine Base)SAPL」、「ニグロシンベース(Nigrosine Base)EE」、「ニグロシンベース(Nigrosine Base)EEL」、「ニグロシンベース(Nigrosine Base)EX」、「ニグロシンベース(Nigrosine Base)EXBP」、「スペシヤルブラック(Special Black)EB」、「ヌービアンブラック(NUBIAN BLACK)TN−870」、「ヌービアンブラック(NUBIAN BLACK)TN−877」、「ヌービアンブラック(NUBIAN BLACK)TH−807」、「ヌービアンブラック(NUBIAN BLACK)TH−827」、または、「ヌービアングレー(NUBIAN GREY)IR−B」等の商品名で市販されているもの等を挙げることができる。
上記アジン系化合物としては、たとえば、オリヱント化学工業株式会社製の「ボントロン(BONTRON)N−01」、「ボントロン(BONTRON)N−04」、「ボントロン(BONTRON)N−07」、「ボントロン(BONTRON)N−09」、「ボントロン(BONTRON)N−21」、「ボントロン(BONTRON)N−71」、「ボントロン(BONTRON)N−75」、または、「ボントロン(BONTRON)N−79」等の商品名で市販されているもの等を挙げることができる。
<顔料誘導体>
顔料誘導体は、下記構成1〜3のいずれかを有する。好ましくは、顔料誘導体は、下記構成1〜3のいずれかと下記構成4とを有する。
構成1:着色剤との間にファンデルワールス力を生じさせる化合物
構成2:着色剤と同じ構造の骨格を有し、その着色剤との間にπ−π相互作用を生じさせ、その着色剤の表面に強固に吸着される化合物
構成3:顔料と同じ構造の骨格を有し、その顔料を構成する分子に酸性基(たとえば硫酸基またはアミノ基など)が導入された化合物
構成4:高分子分散剤に対しても強い相互作用を示す化合物。高分子分散剤は、着色剤を分散させる際に用いる溶媒または樹脂に対して親和性を有する。また、高分子分散剤は、その分子が嵩高いために、着色剤の再凝集を防止する。
ここで、「着色剤と同じ構造の骨格を有する化合物」には、一部の官能基または一部の置換基を除いて化学構造が同一である化合物も含まれる。「顔料と同じ構造の骨格を有する化合物」についても同様である。
好ましくは、顔料誘導体は、中心原子が金属原子であるフタロシアニン構造を有する化合物である。従来、顔料誘導体と高分子分散剤とは酸塩基相互作用により結合されている。しかし、本実施形態の顔料誘導体が上記フタロシアニン構造を有していれば、高分子分散剤(電子供与化合物)が当該フタロシアニン構造の中心原子に対して電子を供与し、配位結合により強固に結合される。そのため、溶媒の極性または添加される樹脂の官能基などの影響を受けることなく、顔料誘導体と高分子分散剤とが強固に結合される。また、高分子分散剤は、分散媒に対して親和性を示し、その分子が嵩高いために着色剤の再凝集を防止する。よって、高分子分散剤は、樹脂が溶解されてなる溶剤において樹脂と着色剤とを含む着色剤の分散液の粘度を低減できる。
このような顔料誘導体としては、中心原子がCr、Fe、Co、Ni、Zn、Mn、MgおよびAlのいずれか1つである金属フタロシアニンまたは金属フタロシアニン誘導体等を挙げることができる。金属フタロシアニン誘導体とは、フタロシアニンのベンゼン環に含まれる水素原子が水素原子とは異なる原子(たとえばハロゲン原子)または原子団で置換された化合物を意味する。原子団としては、たとえばメチル基またはビニル基などの炭化水素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基等を挙げることができる。以下では、上記金属フタロシアニンと上記金属フタロシアニン誘導体とを総称して「金属フタロシアニン類」と記す。
金属フタロシアニン類の一例としては、たとえば、ルーブリゾール社製の商品名「ソルスパース5000」、「ソルスパース12000」、ビックケミー・ジャパン株式会社製の商品名「BYK−Synergist2100」、または、EFKA CHEMICALS B.V.社製の商品名「EFKA745」等を挙げることができる。
顔料誘導体としては、金属フタロシアニン類に限定されず、アゾ顔料誘導体等であっても良い。たとえば、ルーブリゾール社製の商品名「ソルスパース22000」、または、EFKA CHEMICALS B.V.社製の商品名「EFKA6750」等のアゾ顔料誘導体を挙げることもできる。
上記材料の1種または2種以上を本実施形態の顔料誘導体として用いることができる。
<ニグロシンと顔料誘導体との含有割合>
トナー粒子におけるニグロシンの含有割合をWn(質量%)とし、トナー粒子における顔料誘導体の含有割合をWs(質量%)としたとき、WnおよびWsは0.15≦Ws/Wn≦0.80を満たすことが好ましい。より好ましくは、WnおよびWsが0.20≦Ws/Wn≦0.80を満たすことである。
0.15≦Ws/Wnであれば、トナー粒子における顔料誘導体の含有割合が高くなるので、本実施形態の効果(液体現像剤を長期間保管してもニグロシン成分が絶縁性液体へ溶出することを効果的に防止できる)を有効に得ることができる。Ws/Wn≦0.80であれば、トナー粒子におけるニグロシンの含有割合を高く確保できるので、光沢性および色相に優れた画像を得ることができる。
トナー粒子におけるニグロシンの含有割合Wnは、好ましくは5質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上21質量%以下である。Wnが5質量%以上であれば、光沢性および色相に優れた画像を得ることができる。Wnが30質量%以下であれば、ニグロシンに因る赤みの色相が強くなることを防止できるので、所望の色相を有する画像が得られる。
トナー粒子における顔料誘導体の含有割合Wsは、好ましくは2質量%以上16質量%以下である。Wsが2質量%以上であれば、顔料誘導体を添加したことによる効果を有効に得ることができる。Wsが16質量%以下であれば、トナー粒子におけるニグロシンの含有割合Wnが低くなりすぎることを防止できるので、光沢性および色相に優れた画像を得ることができる。
プロトンNMR法、赤外分光法又は熱分解GC−MS分析法などにしたがってWnおよびWsを測定することができる。なお、2種以上の材料をニグロシンとして用いる場合には、トナー粒子におけるニグロシンの含有割合の合計がWnとなる。また、2種以上の材料を顔料誘導体として用いる場合には、トナー粒子における顔料誘導体の含有割合の合計がWsとなる。
<カーボンブラック>
「カーボンブラック」は、炭素を主成分とする黒色微粒子の総称であり、化学的には炭素の単体として分類されることもあるが、周知の通り各種の官能基を含み得るものである。このようなカーボンブラックとしては、たとえば、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、または、アニリンブラック等を挙げることができる。
このようなカーボンブラックには、必要に応じて表面の性状を改変するための表面処理が施されていることがある。当該処理方法としては、従来公知の種々の方法を採用することができるが、好ましくは、酢酸溶液やスルフォン酸溶液等の酸性溶液中にカーボンブラックを浸漬処理する湿式の表面処理方法や、液体を用いない乾式の表面処理方法を挙げることができる。乾式の表面処理方法としては、硝酸や窒素酸化物と空気との混合ガスまたはオゾン等の酸化剤に接触させる方法や空気酸化法を挙げることができる。市販のカーボンブラックには、すでにpH調整がなされて市場に提供されているものがある。
カーボンブラックの好ましい具体例としては、三菱化学株式会社製の「#2400」、「#2400B」、「#2650」、「OIL7B」、「MA77」、「MA100」、「MA100S」、「PCF#10」、キャボット株式会社製の「Black Pearls L」、「Mogul L」、「MONARCH1300」、「MONARCH1400」、「REGAL330R」、「REGAL400R」、「MONARCH1100」、デグサ社製の「Printex V」、「スペシャルブラック4」、「Printex 140V」等を挙げることができる(以上「」内は商品名を示す)。かかる材料の1種または2種以上をカーボンブラックとして用いることができる。上記材料の2種以上をカーボンブラックとして用いる場合には、その合計量が上記の範囲内に含まれることが好ましい。
<有機顔料>
着色剤は、ニグロシンおよび顔料誘導体とは別に有機顔料をさらに含むことが好ましい。これにより、調色された画像を得ることができる。また、画像濃度がさらに高い画像を得ることができる。
有機顔料は、従来公知の有機顔料を特に限定することなく使用することができるが、コスト、耐光性および着色性等の観点から以下に示す有機顔料を使用することが好ましい。なお、色彩構成上、有機顔料は、通常、以下に示すように、イエロー顔料、マゼンタ顔料およびシアン顔料に分類される。下記材料の1種または2種以上を有機顔料として用いることができる。
イエロー顔料としては、たとえば、C.I.(カラーインデックス)Pigment Orange31、C.I.Pigment Orange43、C.I.Pigment Yellow12、C.I.Pigment Yellow13、C.I.Pigment Yellow14、C.I.Pigment Yellow15、C.I.Pigment Yellow17、C.I.Pigment Yellow74、C.I.Pigment Yellow93、C.I.Pigment Yellow94、C.I.Pigment Yellow138、C.I.Pigment Yellow155、C.I.Pigment Yellow180、または、C.I.Pigment Yellow185等を挙げることができる。
マゼンタ顔料としては、たとえば、C.I.Pigment Red2、C.I.Pigment Red3、C.I.Pigment Red5、C.I.Pigment Red6、C.I.Pigment Red7、C.I.Pigment Red15、C.I.Pigment Red16、C.I.Pigment Red48:1、C.I.Pigment Red53:1、C.I.Pigment Red57:1、C.I.Pigment Red122、C.I.Pigment Red123、C.I.Pigment Red139、C.I.Pigment Red144、C.I.Pigment Red149、C.I.Pigment Red166、C.I.Pigment Red177、C.I.Pigment Red178、または、C.I.Pigment Red222等を挙げることができる。
シアン顔料としては、たとえば、C.I.Pigment Blue15、C.I.Pigment Blue15:2、C.I.Pigment Blue15:3、C.I.Pigment Blue15:4、C.I.Pigment Blue16、C.I.Pigment Blue60、C.I.Pigment Blue62、C.I.Pigment Blue66、または、C.I.Pigment Green7等を挙げることができる。
<樹脂>
樹脂としては、たとえば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレンアクリル樹脂または変性ポリエステル樹脂等を挙げることができる。変性ポリエステル樹脂の一例としては、ウレタン変性ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂に由来する成分がイソシアネート基を含む化合物により鎖長されてなる樹脂)を挙げることができる。かかる材料の1種または2種以上をトナー粒子に含まれる樹脂として用いることができる。
<コア/シェル構造>
トナー粒子はコア/シェル構造を有することが好ましい。「コア/シェル構造」は、第1樹脂をコアとし、第2樹脂をシェルとする構造である。コア/シェル構造には、第2樹脂が第1粒子(第1粒子は第1樹脂を含む)の表面の少なくとも一部を被覆してなる構造だけでなく、第2樹脂が第1粒子の表面の少なくとも一部に付着してなる構造も含まれる。トナー粒子がコア/シェル構造を有することにより、トナー粒子のメジアン径D50およびトナー粒子の円形度等を制御し易くなる。
コア/シェル構造では、シェル樹脂(第2樹脂)とコア樹脂(第1樹脂)との質量比は、1:99〜80:20であることが好ましい。シェル樹脂がトナー粒子の樹脂に1質量%以上含まれるのであれば、コア/シェル構造を形成し易い。シェル樹脂がトナー粒子の樹脂に20質量%以下含まれるのであれば、定着性に優れた液体現像剤が得られる。
シェル樹脂としては、たとえば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂等を挙げることができる。より具体的には、たとえば、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、または、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。かかる材料の1種または2種以上をシェル樹脂として用いることができる。
コア樹脂としては、たとえば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレンアクリル樹脂または変性ポリエステル樹脂等を挙げることができる。かかる材料の1種または2種以上をコア樹脂として用いることができる。
なお、コア/シェル構造では、着色剤は、コア樹脂またはシェル樹脂に含まれていても良いし、コア樹脂とシェル樹脂との両方に含まれていても良い。トナー粒子に対する添加剤(たとえば顔料分散剤)についても同様のことが言える。
<顔料分散剤>
顔料分散剤は、トナー粒子において顔料を安定に均一分散させるものであり、塩基性の顔料分散剤であることが好ましい。
塩基性の顔料分散剤とは、以下に定義されるものをいう。すなわち、顔料分散剤0.5gと蒸留水20mlとをガラス製スクリュー管に入れ、それをペイントシェーカーを用いて30分間振り混ぜた後、ろ過する。このろ過により得られたろ液のpHをpHメータ(商品名:「D−51」、株式会社堀場製作所製)を用いて測定し、そのpHが7より大きい場合を塩基性の顔料分散剤とする。なお、そのpHが7より小さい場合は、酸性の顔料分散剤と呼ぶものとする。
このような塩基性の顔料分散剤としては、たとえば、分散剤の分子内にアミン基、アミノ基、アミド基、ピロリドン基、イミン基、イミノ基、ウレタン基、四級アンモニウム基、アンモニウム基、ピリジノ基、ピリジウム基、イミダゾリノ基、および、イミダゾリウム基等の少なくとも1つの官能基を有する化合物(分散剤)を挙げることができる。なお、分散剤とは、通常、分子中に親水性の部分と疎水性の部分とを有するいわゆる界面活性剤が該当するが、顔料を分散させる作用を有する限り、種々の化合物を用いることができる。
このような塩基性の顔料分散剤の市販品としては、たとえば、味の素ファインテクノ株式会社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)、「アジスパーPB−881」(商品名)や、日本ルーブリゾール株式会社製の「ソルスパーズ28000」(商品名)、「ソルスパーズ32000」(商品名)、「ソルスパーズ32500」(商品名)、「ソルスパーズ35100」(商品名)、「ソルスパーズ37500」(商品名)等を挙げることができる。かかる材料の1種または2種以上を顔料分散剤として用いることができる。より好ましくは、絶縁性液体に溶解しない材料を顔料分散剤として用いることであり、味の素ファインテクノ株式会社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)、「アジスパーPB−881」(商品名)を用いることである。詳細なメカニズムは不明であるが、これらの顔料分散剤を用いるとトナー粒子の形状を所望の形状に設計し易いことが分かった。
顔料分散剤は、顔料に対して、1〜100質量%添加されていることが好ましく、より好ましくは1〜40質量%添加されている。顔料分散剤の添加量が1質量%未満であれば、着色剤の分散性が不十分となる場合がある。そのため、必要な画像濃度を達成できないことがあり、また、定着強度が低下する場合がある。顔料分散剤の添加量が100質量%を超えると、顔料を分散させるのに必要な量よりも多い量の顔料分散剤が絶縁性液体に添加されることになる。そのため、余剰の顔料分散剤が絶縁性液体へ溶解する場合があり、トナー粒子の荷電性の悪化や定着強度の低下等を引き起こすことがある。
<絶縁性液体>
絶縁性液体は、静電潜像を乱さない程度(1011〜1016Ω・cm程度)の抵抗値を有する溶媒であって臭気および毒性が低い溶媒であることが好ましい。絶縁性液体としては、一般に、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、または、ポリシロキサン等を挙げることができ、臭気、毒性およびコスト等の観点から、ノルマルパラフィン系溶媒またはイソパラフィン系溶媒等を用いることが好ましい。たとえば、絶縁性液体としては、モレスコホワイト(商品名、松村石油株式会社製)、アイソパー(商品名、エクソンモービル社製)、シェルゾール(商品名、シェル石油化学社製)、IPソルベント1620、IPソルベント2028、IPソルベント2835(いずれも商品名、出光興産株式会社製)等を用いることができる。かかる材料の1種または2種以上を絶縁性液体として用いることができる。
[液体現像剤の製造]
粉砕法または造粒法等の公知の手法に基づいてトナー粒子を製造し、得られたトナー粒子を絶縁性液体に分散させる。これにより、本実施形態の液体現像剤を製造できる。
粉砕法は、樹脂と顔料等の着色剤とを混練してから粉砕するというものである。かかる粉砕は、乾式状態またはオイル内での湿式状態等で行われることが好ましい。
造粒法には、たとえば、懸濁重合法、乳化重合法、微粒子凝集法、樹脂溶液に貧溶媒を添加して析出させる方法、スプレードライ法、または、互いに異なる2種類の樹脂でコア/シェル構造を有するトナー粒子を形成する方法等を挙げることができる。
小径でシャープな粒度分布を有するトナー粒子を得るためには、造粒法を用いてトナー粒子を製造することが好ましい。溶融性の高い樹脂や結晶性の高い樹脂は、常温でも柔らかい。そのため、このような樹脂と顔料等の着色剤とが混練されたものを粉砕し難い。一方、造粒法であれば、このような樹脂を含むトナー粒子の粒径を所望の大きさにすることができる。
造粒法の中でも、次に示す方法を用いてトナー粒子を製造することが好ましい。まず、良溶媒に樹脂を溶解させてコア樹脂形成用溶液を得る。次に、良溶媒とはSP値の異なる貧溶媒に上記コア樹脂形成用溶液を界面張力調整剤(シェル樹脂の材料)とともに混合し、せん断を与えて液滴を形成する。その後、良溶媒を揮発させる。このようにして、コア樹脂からなる粒子を得る。この方法では、せん断の与え方、界面張力差または界面張力調整剤等を変えることにより、トナー粒子の粒径またはトナー粒子の形状を容易に制御できる。
[画像形成]
本実施形態の液体現像剤からなる画像を形成するための装置(画像形成装置)の構成は特に限定されない。画像形成装置は、たとえば、単色の液体現像剤が感光体から中間転写体へ一次転写後に記録媒体に二次転写される単色画像形成装置(図1参照)、単色の液体現像剤が感光体から記録媒体に直接転写される画像形成装置または複数種の液体現像剤を重ね合わせてカラー画像を形成する多色画像形成装置等であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<製造例1>[シェル樹脂の分散液の製造]
ガラス製ビーカーに、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシル100質量部と、メタクリル酸30質量部と、メタクリル酸ヒドロキシエチルとフェニルイソシアネートとの等モル反応物70質量部と、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.5質量部とを入れ、20℃で撹拌して混合した。これにより、モノマー溶液を得た。
次に、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、脱溶剤装置および窒素導入管が取り付けられた反応容器を準備した。その反応容器にTHF195質量部を入れ、滴下ロートに上記モノマー溶液を入れた。反応容器の気相部を窒素で置換した後、密閉下70℃で1時間かけてモノマー溶液を反応溶液内のTHFに滴下した。モノマー溶液の滴下終了から3時間後、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.05質量部とTHF5質量部との混合物を反応容器に添加し、70℃で3時間反応させた後、室温まで冷却した。これにより、共重合体溶液を得た。
上記共重合体溶液400質量部を撹拌下のIPソルベント2028(出光興産株式会社製)600質量部に滴下してから、0.039MPaの減圧下で40℃でTHFを留去した。これにより、シェル樹脂の分散液を得た。レーザー式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、商品名「LA−920」)を用いてシェル樹脂の分散液に含まれる粒子の体積平均粒径を測定すると、0.12μmであった。
<製造例2>[コア樹脂形成用溶液の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計が取り付けられた反応容器に、セバシン酸とアジピン酸とエチレングリコール(モル比0.8:0.2:1)とから得られたポリエステル(Mn:6000)937質量部およびアセトン300質量部を入れて撹拌し、ポリエステルをアセトンに均一に溶解した。この溶液にイソホロンジイソシアネート(IPDI)63質量部を入れ、80℃で6時間反応させた。反応により得られた生成物のNCO価が0になったところで、テレフタル酸28質量部入れ、180℃で1時間反応させた。これにより、コア樹脂を得た。得られたコア樹脂800質量部とアセトン1200質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂形成用溶液を得た。得られたコア樹脂では、Mnが25000であり、Mwが45000であり、ウレタン基濃度が1.44%であった。
本実施例では、テトラヒドロフラン(THF)への可溶分に対して、GPC(Gel Permeation Chromatography)を用いて以下に示す条件でポリウレタン樹脂以外の樹脂のMnおよびMwを測定した。
測定装置:東ソー株式会社製の「HLC−8120」
カラム:東ソー株式会社製の「TSKgelGMHXL」(2本)と東ソー(株)製の「TSKgelMultiporeHXL−M」(1本)
試料溶液:0.25質量%のTHF溶液
カラムへの試料溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー株式会社製の標準ポリスチレン(TSK standard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
本実施例では、THFへの可溶分に対して、GPCを用いて以下に示す条件でポリウレタン樹脂のMnおよびMwを測定した。
測定装置:東ソー(株)製の「HLC−8220GPC」
カラム:「Guardcоlumn α」(1本)と「TSKgel α―M」(1本)
試料溶液:0.125質量%のジメチルホルムアミド溶液
カラムへのジメチルホルムアミド溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー(株)製の標準ポリスチレン(TSK standard PОLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
本実施例では、次に示す方法にしたがってコア樹脂のウレタン基濃度を測定した。下記(ウレタン変性ポリエステル樹脂の熱分解の条件)に示す条件で、ウレタン変性ポリエステル樹脂を熱分解させた。次に、GCMS(Gas Chromatograph Mass Spectrometer)を用いて、下記(ウレタン変性ポリエステル樹脂におけるウレタン基濃度の測定条件)に示す条件でコア樹脂のウレタン基濃度を測定した。そして、熱分解されたウレタン変性ポリエステル樹脂から検出されたイオン強度の比率を用いて、コア樹脂のウレタン基濃度を算出した。
(ウレタン変性ポリエステル樹脂の熱分解の条件)
装置:フロンティア・ラボ株式会社製のPY−2020iD
試料の質量:0.1mg
加熱温度:550℃
加熱時間:0.5分。
(ウレタン変性ポリエステル樹脂におけるウレタン基濃度の測定条件)
装置:株式会社島津製作所製のGCMS−QP2010
カラム:フロンティア・ラボ株式会社製のUltraALLOY−5(内径:0.25mm,長さ:30m,厚さ:0.25μm)
昇温条件:昇温範囲:100℃〜320℃(320℃で保持)、昇温速度:20℃/分。
<製造例3>[着色剤の分散液の製造]
ビーカーに、ニグロシン(オリヱント化学工業株式会社製、商品名「ヌービアンブラックTH−827」20質量部と、顔料誘導体(ルーブリゾール株式会社製、商品名「ソルスパース12000」)10質量部と、カーボンブラック(キャボット株式会社製、商品名「Mogul L」)70質量部と、顔料分散剤(味の素ファインテクノ株式会社製、商品名「アジスパーPB−821」)40質量部と、アセトン50質量部とを入れて撹拌し、これらをアセトンに均一に分散させた。その後、ビーズミルによってこれらを微分散させて着色剤の分散液を得た。レーザー式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、商品名「LA−920」)を用いて着色剤の分散液に含まれる混合着色剤の体積平均粒径を測定すると、0.2μmであった。なお、「混合着色剤の体積平均粒径」とは、ニグロシンの体積平均粒径と顔料誘導体の体積平均粒径とカーボンブラックの体積平均粒径との平均値を意味する。
<製造例4〜18>[着色剤の分散液の製造]
ニグロシン、顔料誘導体、カーボンブラック、および、有機顔料のそれぞれの含有量を表1に示す値に変更したことを除いては製造例3に示す方法にしたがって、製造例4〜18の着色剤の分散液を製造した。
Figure 0006003916
表1において、「NS1」はオリヱント化学工業株式会社製の商品名「ヌービアンブラックTH−827」を表し、「NS2」はオリヱント化学工業株式会社製の商品名「ボントロンN−09」を表す。「S1」はルブリゾール株式会社製の商品名「ソルスパース12000」を表し、「S2」はルブリゾール株式会社製の商品名「ソルスパース22000」を表す。「CB1」はキャボット株式会社製の商品名「Mogul L」を表し、「CB2」は三菱化学株式会社製の商品名「MA77」を表す。「Y」はBASF株式会社製の商品名「D1155」を表し、「M」はDIC社製の商品名「Carmine 6B 401」を表し、「C」はDIC社製の商品名「Fastogen Blue FB5301」を表す。
<液体現像剤の調製>
<実施例1>
ビーカーに、コア樹脂形成用溶液20質量部と製造例3の着色剤の分散液38質量部とを入れ、25℃でTKオートホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて8000rpmで撹拌させた。これにより、着色剤が均一に分散された樹脂溶液を得た。
別のビーカーに、IPソルベント2028(出光興産株式会社製)90質量部とシェル粒子の分散液12質量部とを入れて、シェル粒子を均一に分散させた。その後、25℃でTKオートホモミキサーを用いて10000rpmで撹拌させながら、上記樹脂溶液(着色剤が均一に分散された樹脂溶液)60質量部を入れて2分間撹拌させた。その後、この混合液を、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び脱溶剤装置が取り付けられた反応容器に投入し、35℃に昇温後、同温度で0.039MPaの減圧下、アセトン濃度が0.5質量%以下になるまでアセトンを留去し、液体現像剤を得た。
<実施例2〜14、比較例1、比較例2>
表2に示す着色剤の分散液を用いたことを除いては実施例1に記載の方法にしたがって、実施例2〜14、比較例1および比較例2の液体現像剤を製造した。
Figure 0006003916
表2において、「合計」は、トナー粒子におけるニグロシン、顔料誘導体、カーボンブラックおよび有機顔料の含有割合の合計(質量%)を表す。
<画像形成>
図1に示した画像形成装置を用いて画像形成を行なった。図1は、電子写真方式の画像形成装置1の概略概念図である。まず、液体現像剤2が規制ブレード4によりすりきられ、現像ローラ3上に液体現像剤2の薄層が形成される。その後、現像ローラ3と感光体5とのニップでトナー粒子が移動し、感光体5上にトナー画像が形成される。
次に、感光体5と中間転写体6とのニップでトナー粒子が移動し、中間転写体6上にトナー画像が形成される。続いて、中間転写体6上でトナーは重ね合わせられ、コート紙(記録媒体)10上へ画像が形成される。コート紙10上の画像がヒートローラ11で定着される。
なお、画像形成装置1は、上記以外にもクリーニングブレード7、荷電装置8、バックアップローラ9を備えている。
<プロセス条件>
システム速度:40cm/s
感光体5:負帯電OPC(Organic Photconductor)
帯電電圧:−700V
現像電圧(現像ローラへの印加電圧):−450V
1次転写電圧(転写体への印加電圧):+600V
2次転写電圧:+1200V
現像前コロナCHG:針印加電圧−3〜5kVで適宜調整。
反射濃度計(X−Rite社製の商品名「X−Rite model 404」)を用いて定着画像のブラックソリッド部の画像濃度を測定したときにその濃度が1.7となるように、トナー粒子の付着量を調整した。
<定着画像の評価>
図1に示した画像形成装置を用い、且つ、上述のプロセス条件にしたがって、実施例および比較例の各液体現像剤の単色ソリッド(ベタ)パターン(10cm×10cm)をコート紙10に形成してからヒートローラ11で定着させた(180℃×ニップ時間30msec.)。
コート紙10を通紙させた直後に白紙を通紙させて、その白紙がトナーで汚れているか否かを観察した。日本電色工業株式会社製のグロスメーター(商品名「VG2000」)を用いて、得られた画像の光沢度を測定した。その結果を表2の「定着画像」に示す。
表2において、白紙がトナーで汚れず且つ光沢度が60度以上であった場合に「A1」と記し、白紙がトナーで汚れず且つ光沢度が60度未満であった場合に「B1」と記す。「白紙がトナーで汚れなかった」は高温オフセットの発生が防止されていることを意味する。また、光沢度が高い方が、定着画像が光沢性に優れていることを示している。
<溶出の有無の評価>
実施例および比較例の各液体現像剤を50℃で24時間、保管してから、遠心分離機(株式会社コクサン製の商品名「H−9R」)を用いて各液体現像剤を固液分離した(3500rpm、5分間)。その後、上澄み液の着色の有無を確認した。また、上記<定着画像の評価>で評価されたコート紙の非画像部の着色の有無を確認した。その結果を表2の「溶出の有無」に示す。
表2において、上澄み液とコート紙の非画像部とのどちらにおいても着色が確認されなかった場合に「A2」と記し、上澄み液には着色が確認されたがコート紙の非画像部には着色が確認されなかった場合に「B2」と記し、上澄み液とコート紙の非画像部とのどちらにおいても着色が確認された場合に「C2」と記す。上澄み液およびコート紙の非画像部において着色が確認されなかった方が、ニグロシン成分が絶縁性液体に溶出していないことを示している。
<色相の評価>
図1に示した画像形成装置を用い、且つ、上述のプロセス条件にしたがって、実施例および比較例の各液体現像剤の単色ソリッド(ベタ)パターンをコート紙10に形成してからヒートローラ11で定着させた(180℃×ニップ時間30msec.)。
次に、色彩色差計(コニカミノルタ株式会社製の商品名「CM−3700d」)を用いて、得られた単色ソリッドパターンの色相を評価した。具体的には、この単色ソリッドパターンとオフセット枚葉印刷色標準 Japan Color色再現印刷 2001チャート(用紙種:コート紙、態様:ブラック網点面積率100%部位)との色差ΔEを求めた。色差ΔEは、JIS Z 8729で規定されているL***表色系の均等色空間における、L*軸、a*軸、b*軸の差をそれぞれ二乗したものの和の平方根とした(下記式(1)参照)。その結果を表2の「色相」に示す。
Figure 0006003916
表2において、色差ΔEが3未満であった場合に「A3」と記し、色差ΔEが3以上6未満であった場合に「B3」と記し、色差ΔEが6以上であった場合に「C3」と記す。色差ΔEが小さいほど色相に優れていることを示している。
<考察>
比較例1では、上澄み液とコート紙の非画像部とに着色が確認された。比較例1では、顔料誘導体が液体現像剤に含まれていないので、液体現像剤の長期保管によりニグロシン成分が絶縁性液体に溶出したと考えられる。よって、上澄み液とコート紙の非画像部とに着色が確認されたと考えられる。
比較例2では、色差ΔEが6以上であった。比較例2では、ニグロシンが液体現像剤に含まれていないので、色差ΔEが6以上となったと考えられる。
実施例11を除く実施例では、上澄み液とコート紙の非画像部との両方に着色が確認されなかった。一方、実施例11では、コート紙の非画像部には着色が確認されなかったが上澄み液には着色が確認された。かかる結果が得られた理由として次に示すことが考えられる。実施例11を除く実施例では、Ws/Wnが0.15以上であったが、実施例11では、Ws/Wnが0.14であった。つまり、実施例11を除く実施例の方が、実施例11よりも、トナー粒子における顔料誘導体の含有割合が高かった。そのため、実施例11を除く実施例では、顔料誘導体によるニグロシンの染み出し防止効果が実施例11よりも有効に得られた。
実施例1〜11では、白紙がトナーで汚れず且つ光沢度が60度以上であり、色差ΔEが3未満であった。一方、実施例12では、白紙がトナーで汚れなかったが光沢度が60度未満であり、また、色差ΔEが3以上6未満であった。かかる結果が得られた理由として次に示すことが考えられる。実施例1〜11では、Ws/Wnが0.80以下であったが、実施例12では、Ws/Wnが0.86であった。つまり、実施例1〜11の方が、実施例12よりも、トナー粒子におけるニグロシンの含有割合が低かった。そのため、実施例1〜11では、実施例12よりも光沢性および色相に優れた画像が得られた。
実施例13、14においても、実施例12と同様の結果が得られた。かかる結果が得られた理由として次に示すことが考えられる。実施例1〜11では、カーボンブラックが含まれていたのに対し、実施例13、14では、カーボンブラックが含まれていなかった。そのため、実施例1〜11では、実施例13、14よりも光沢性および色相に優れた画像が得られた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 画像形成装置、2 液体現像剤、3 現像ローラ、4 規制ブレード、5 感光体、6 中間転写体、7 クリーニングブレード、8 荷電装置、9 バックアップローラ、10 コート紙、11 ヒートローラ。

Claims (2)

  1. 樹脂と前記樹脂に分散された着色剤とを含むトナー粒子が絶縁性液体に分散されてなる液体現像剤であって、
    前記着色剤は、ニグロシンと顔料誘導体とカーボンブラックとを含み、
    前記トナー粒子における前記ニグロシンの含有割合をWn(質量%)とし、前記トナー粒子における前記顔料誘導体の含有割合をWs(質量%)としたとき、前記Wnおよび前記Wsは0.15≦Ws/Wn≦0.80を満たす、液体現像剤。
  2. 前記顔料誘導体は、中心原子がCr、Fe、Co、Ni,Zn、Mn、MgおよびAlのいずれか1つである金属フタロシアニンもしくは金属フタロシアニン誘導体、または、アゾ顔料誘導体である、請求項1に記載の液体現像剤。
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