以下、開口フレームの取付構造の好適な実施形態について詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1及び図2に示されるように、開口フレーム4の取付構造1は、下側の第1横架材2と上側の第2横架材3の間に配置された壁パネルP1の間の開口領域Sに、窓フレームWと、まぐさ壁パネルP2と、腰壁パネルP3と、を固定する開口フレーム4を取り付ける構造である。壁パネルP1と、まぐさ壁パネルP2と、腰壁パネルP3とは、ALCパネルであり、例えば、壁パネルP1は高さ3000mm、幅600mm、厚さ100mmといった寸法である。
なお、図2及び図5では、まぐさ壁パネルP2及び腰壁パネルP3の図示を省略している。また、各部位の位置関係の説明で用いる「外」、「内」の語は、建物の外側、内側に対応するものとする。
図2に示されるように、開口フレーム4は、上部が上側の第2横架材3に取り付けられると共に下部が下側の第1下地鋼材6に取り付けられる2本の縦フレーム7を有している。縦フレーム7の間には、両端が縦フレーム7に溶接された2本の横フレーム8が固定されている。
窓フレームWは、左右に配置された縦フレーム7と、上下に配置された横フレーム8に囲まれた領域にはめ込まれている。まぐさ壁パネルP2は、上部が上側の第2横架材3に取り付けられると共に下部が上側の横フレーム8に取り付けられている。腰壁パネルP3は、上部が下側の横フレーム8に取り付けられると共に下部が下側の第1横架材2に取り付けられている。
開口フレーム4の取付構造1では、下側の第1横架材2の上に上側の第2横架材3が配置されている。下側の第1横架材2及び上側の第2横架材3は、木造の建物における木質の梁であり、これら下側の第1横架材2及び上側の第2横架材3のそれぞれには床5が載置されている(図1参照)。
ここで「木質の横架材」とは、木質材のみからなる横架材、木質材が接着やビス締め等の手段により集成された横架材、H形鋼などの鋼材を木質材(集成材を含む)で覆った横架材、複層構成になっていて非木質材の(不燃)層と木質材の層を有する横架材(最外層は木質材であっても非木質材であってもよい)、木質材を耐火被覆材で保護した横架材、木質材からなる主たる構造部材を耐火材で被覆し更にその耐火材を木質材で覆った横架材、木質材(集成材を含む)の中央にH形鋼などの鋼材からなる主たる構造部材を埋設した横架材などがある。
下側の第1横架材2には、下側の第1下地鋼材6が固定され、上側の第2横架材3には上側の第2下地鋼材9が固定されている。壁パネルP1は、下側の第1下地鋼材6を介して下側の第1横架材2に取り付けられると共に、上側の第2下地鋼材9を介して上側の第2横架材3に取り付けられている。
図3に示されるように、開口フレーム4は、正面視して井桁状の形状を有し、L型のアングル材を溶接して構成されている。開口フレーム4は、水平方向に並置された2本の縦フレーム7を有し、それぞれの縦フレーム7は下側の第1横架材2から上側の第2横架材3に亘って延び(図2参照)、水平方向に互いに離間している。
図4に示されるように、L型の縦フレーム7の一片であるパネル表面当接片11は、壁パネルP1の室内側の表面P1aに当接している。縦フレーム7の他片であるパネル小口面当接片12は、パネル表面当接片11の縁辺から起立し、壁パネルP1の小口面P1bに当接している。すなわち、縦フレーム7は、壁パネルP1の室内側の角部を覆うように配置されている。このような縦フレーム7の配置によれば、壁パネルP1の内法幅D1が開口フレーム4の見付け幅D2よりも小さくなり、開口領域Sの開口面積の減少が抑制されるので、開口領域Sにより大きい窓フレームWを配置することができる。
図3に示されるように、パネル表面当接片11の上部には、縦長のネジ貫通穴11aが設けられている。パネル表面当接片11の下部には、縦フレーム7を下側の第1下地鋼材6に固定するための下取付金具13が溶接されている。
左右の縦フレーム7の間で、2本の横フレーム8が上下方向に離間して掛け渡されている。上側の横フレーム8の両端は、鉛直フランジ8bが水平フランジ8aから上方に延びるように縦フレーム7に対して溶接されている。下側の横フレーム8の両端は、鉛直フランジ8bが水平フランジ8aから下方に延びるように縦フレーム7に対して溶接されている。
図5に示されるように、開口フレーム4は、下側の第1下地鋼材6及び上側の第2横架材3に取り付けられている。また、縦フレーム7が当接される壁パネルP1と、上側の第2横架材3との間には隙間が形成されている。
下側の第1下地鋼材6は、下側の第1横架材2に平行に延びる鋼製のアングル材であり、下側の第1横架材2の水平な上面2aにおいてラグスクリュー10によって固定される水平フランジ6aと、水平フランジ6aの縁部から鉛直上方に立設した鉛直フランジ6bと、を有している。鉛直フランジ6bは、下側の第1横架材2の上面2aから僅かに外側にはみ出した位置にある。この鉛直フランジ6bのはみ出し量が、下側の第1下地鋼材6の設置時に調整されることで、壁パネルP1等の設置位置を水平方向に出入り調整することができる。なお、上側の第2下地鋼材9は第1下地鋼材6と同様の構成を有するため説明を省略する。
図6(a)に示されるように、開口フレーム4の上部は、L型のピースアングルである上取付金具14によって上側の第2横架材3の下面3bに固定されている。
図3に示されるように、上取付金具14の鉛直フランジ16は、水平方向に延びた横長のネジ貫通穴16aを有し、縦フレーム7のパネル表面当接片11に当接している(図6(a)参照)。上取付金具14の鉛直フランジ16は、縦フレーム7のパネル表面当接片11に設けられたネジ貫通穴11a及び鉛直フランジ16のネジ貫通穴16aに挿通されたボルトB1と、ボルトB1に螺合されるナットN1とにより縦フレーム7に固定されている。ここで、パネル表面当接片11のネジ貫通穴11aが縦長であり、上取付金具14のネジ貫通穴16aが横長であるので、縦フレーム7に対する上取付金具14の上下方向における位置調整しろを大きくすることができる。
上取付金具14の水平フランジ19は、水平方向に2個並設されたネジ貫通穴19aを有し、上側の第2横架材3の下面3bに当接している(図6(a)参照)。水平フランジ19は、ネジ貫通穴19aを通じてラグスクリュー21を上側の第2横架材3にねじ込むことにより上側の第2横架材3に固定されている。ここで、水平フランジ19のネジ貫通穴19aの穴径は、ラグスクリュー21の首径と略同じとされているので、上取付金具14の面外方向へのずれを抑制することができる。
図6(b)に示されるように、開口フレーム4の下部は、下取付金具13によって下側の第1下地鋼材6の鉛直フランジ6bに固定されている。
図7(a)及び図7(b)に示されるように、下取付金具13は、上下方向に延びた短冊状の金具である。下取付金具13の上部にはパネル表面当接片11に溶接される上段固定部22が設けられている。下取付金具13の下部には、下側の第1下地鋼材6に取り付けられる下段固定部23が設けられている。下段固定部23には、左右対称となるように水平方向に縦長のネジ貫通穴23aが並置されている。
上段固定部22と下段固定部23との間には、屈曲部24が形成されている。このような形状により、図6(b)に示されるように、下段固定部23を下側の第1下地鋼材6の鉛直フランジ6bに当接させることによって、下側の第1下地鋼材6及び下側の第1横架材2よりも開口フレーム4を室外側に配置することができる。
下取付金具13は、下段固定部23が室内側から下側の第1下地鋼材6の鉛直フランジ6bに当接されている。そして、下取付金具13は、下側の第1下地鋼材6の鉛直フランジ6bに設けられたネジ貫通穴26(図3参照)及び下段固定部23のネジ貫通穴23a(図7(a)参照)を室外側から挿通するボルトB2にナットN2を螺合することにより下側の第1下地鋼材6に締結されている。
ここで、ボルトB2は、首部の断面形状が矩形状であり、首部の一辺がネジ貫通穴26の幅と略等しい根角ボルトであることが好ましい。ボルトB2の首部がネジ貫通穴26に嵌った状態では、ナットN2を螺合する場合にボルトB2の共回りが防止される。
また、図3に示されるように、下取付金具13のネジ貫通穴23aが縦長であり、下側の第1下地鋼材6のネジ貫通穴26が横長であるので、下側の第1下地鋼材6に対する下取付金具13の上下方向及び水平方向の位置調整しろを大きくすることができる。
図8に示されるように、下取付金具13は、パネル小口面当接片12から水平方向に突出するようにパネル表面当接片11に溶接されている。すなわち、縦フレーム7に対して開口領域S側にずらして溶接されている。
下取付金具13には、パネル表面当接片11への水平方向の取付位置を示す目印22aと、パネル表面当接片11への垂直方向の取付位置を示す目印22bとが設けられている。目印22aは、ネジ貫通穴23aの縦方向の中心軸線Aからパネル小口面当接片12の板厚だけ外側に設けられている。また、目印22bは、屈曲部24と上段固定部22との間の折れ曲がり部とされている。そして、下取付金具13は、目印22aをパネル小口面当接片12に一致させ、目印22bを縦フレーム7の下端7aに一致させて、縦フレーム7に溶接されている。
このような目印22a,22bを設けることにより、縦フレーム7に対する下取付金具13の取付位置の精度を高めることができると共に、取付作業性を向上することができる。
また、図3に示されるように、この下取付金具13は、縦フレーム7のそれぞれにおいて内側にずらして溶接されている。そして、開口フレーム4を下側の第1下地鋼材6に固定する場合には、内側にあるネジ貫通穴23aを利用する。
図9に示されるように、まぐさ壁パネルP2は、上部が上側の第2横架材3に固定され、下部が開口フレーム4の上側の横フレーム8に固定されている。
図10に示されるように、上側の第2下地鋼材9の鉛直フランジ9bには、取付金具27が固定されている。取付金具27の下部には、まぐさ壁パネルP2を取り付けるための下段固定部27bが設けられている。下段固定部27bには、下段固定部27bに設けられたボルト穴(不図示)に挿入されたボルトB3と、植設ナットN3とによりまぐさ壁パネルP2が固定されている。
また、取付金具27の上部には、壁パネルP1の下部を固定するための上段固定部27aが設けられている。上段固定部27aには、上段固定部27aに設けられたボルト穴(不図示)に挿入されたボルトB4と、植設ナットN4とにより、壁パネルP1の下部が固定されている。
上段固定部27aと下段固定部27bとの間には、取付金具27を上側の第2下地鋼材9の鉛直フランジ9bに固定するためのフランジ固定部33が設けられている。フランジ固定部33は、フランジ固定部33に設けられたボルト穴(不図示)に室外側から挿入されたボルトB5と、ボルトB5に螺合されるナットN5とにより鉛直フランジ9bに固定されている。このフランジ固定部33は、上段固定部27a及び下段固定部27bに対して室内側に膨出しているため、上段固定部27aに取り付けられた壁パネルP1及び下段固定部27bに取り付けられたまぐさ壁パネルP2は、上側の第2下地鋼材9に対して室外側へ離間した位置に配置される。すなわち、壁パネルP1の室内側の表面P1aと上側の第2下地鋼材9の鉛直フランジ9bとの間には所定の隙間が形成されている。
なお、フランジ固定部33には、取付金具27の回り止め処理として、ビス(不図示)が取り付けられていてもよい。この回り止め処理により、ボルトB5を中心とした取付金具27の回転方向の位置が固定され、その結果、壁パネルP1及び腰壁パネルP3の位置が確実に固定される。
上側の第2下地鋼材9の鉛直フランジ9bには、自重受金具37が取り付けられている。自重受金具37は水平方向に延びる水平フランジ37aと、鉛直フランジ7bに固定される鉛直フランジ37bとを有している。壁パネルP1の下端面P1cが水平フランジ37aに当接することにより、壁パネルP1が上下方向に位置決めされると共に、壁パネルP1の自重が自重受金具37に支持される。
図11(a)に示されるように、まぐさ壁パネルP2の下部は、室内側の表面P2aが上側の横フレーム8の鉛直フランジ8bに当接すると共に、下端面P2bが上側の横フレーム8の水平フランジ8aに当接している。この構成により、まぐさ壁パネルP2が上下方向に位置決めされると共に、まぐさ壁パネルP2の自重が上側の横フレーム8に支持される。上側の横フレーム8の鉛直フランジ8bには、イナズマ状の取付金具38の一端側が固定され、取付金具38の他端側は植設ナットN6及びボルトB6によってまぐさ壁パネルP2に固定されている。
図9に示されるように、腰壁パネルP3は、上部が開口フレーム4の下側の横フレーム8に固定され、下部が下側の第1下地鋼材6に固定されている。
図11(b)に示されるように、腰壁パネルP3の上部は、室内側の表面P3aが下側の横フレーム8の鉛直フランジ8bに当接すると共に、上端面P3cが下側の横フレーム8の水平フランジ8aに当接することにより腰壁パネルP3が上下方向に位置決めされる。下側の横フレーム8の鉛直フランジ8bには、イナズマ状の取付金具39の一端側が固定され、取付金具39の他端側が植設ナットN7及びボルトB7によって腰壁パネルP3に固定されている。
図9に示されるように、腰壁パネルP3の下部は、下側の第1下地鋼材6に固定された取付金具27の上段固定部27aに対して、ボルトB8と、植設ナットN8とにより、腰壁パネルP3の下部が第1下地鋼材6に固定されている。
次に、開口フレーム4の取付構造1の施工方法を説明する。図12(a)及び図14(a)に示されるように、下側の第1横架材2に床5及び下側の第1下地鋼材6を取り付け、上側の第2横架材3に床5及び上側の第2下地鋼材9を取り付ける。下側の第1下地鋼材6と上側の第2下地鋼材9の間に壁パネルP1を取り付ける。なお、このとき、壁パネルP1から屋外側に数十センチメートル離間して、仮設足場(不図示)が配置されていてもよい。
次に、開口フレーム4を取り付ける施工について説明する。
まず、開口フレーム4の取付構造1の施工現場の溶接可能な場所において、既製品のアングル材を切断及び接合して井桁状の開口フレーム4を組み立てる。そして、開口フレーム4のネジ貫通穴11aにボルトB1とナットN1を仮締めする。このとき、壁パネルP1の間の水平方向の長さである内法幅D1(図14(a)参照)を採寸し、採寸結果を利用して開口フレーム4を組み立ててもよい。この方法によれば、建物躯体の組み立て誤差を吸収して、開口フレーム4の仕上がり精度を高めることができる。
また、木質の第1横架材2及び上側の第2横架材3から離れた場所で溶接作業を実施することにより、火災の発生リスクを低減して施工現場における作業安全性を高めることができる。さらに、予め定めた所定の場所で溶接作業を実施することにより、溶接作業に必要な接地コード類の引き回し等を不要として作業性を高めることができる。
ここで、壁パネルP1の表面P1aには、ボルトB1のためのあたり加工部41が形成されていてもよい。このあたり加工部41は、ボルトB1の頭部と壁パネルP1とが接触することを避けるためのものである。壁パネルP1の室内側の表面P1aにおいて、上側の第2横架材3の下面3bを挟むように上下に延在させて、あたり加工部41を形成する。
図12(b)及び図14(b)に示されるように、開口フレーム4を室内側から開口領域Sに建込む。図15(a)に示されるように、開口フレーム4の上方を室外側に傾けて、縦フレーム7のパネル小口面当接片12を壁パネルP1の小口面P1bに当接させると共に、パネル表面当接片11を壁パネルP1の室内側の表面P1aに当接させる。続いて、パネル表面当接片11の上端を上側の第2横架材3と壁パネルP1の間に下方から上方に差し込むように、上側の第2横架材3と壁パネルP1の間に挿入しつつ、開口フレーム4の下取付金具13を室内側から下側の第1下地鋼材6の鉛直フランジ6bに押し当てる。
このとき、壁パネルP1にはあたり加工部41(図12(a)参照)が形成されているため、ボルトB1の頭部が壁パネルP1の表面P1aに当接することがないので、パネル表面当接片11を壁パネルP1の表面P1aに密着させつつ差し込むことができる。
一方、ボルトB1の首下部と上側の第2横架材3の下面3bとが接触するとそれ以上に開口フレーム4を上方に差し込むことができなくなる。そこで、本実施形態の施工方法では、縦長に形成されたパネル表面当接片11のネジ貫通穴11aの下端にボルトB1及びナットN1を仮締めすることにより、ボルトB1の首下部と上側の第2横架材3の下面3bとが接触するまでの距離を長くしている。
なお、ボルトB1及びナットN1は、開口フレーム4を壁パネルP1と上側の第2横架材3との間に差し込んだ後であって、下取付金具13を下側の第1下地鋼材6に当接させる前にネジ貫通穴11aに仮締めしてもよい。
図12(c)に示されるように、下取付金具13を、下側の第1下地鋼材6の鉛直フランジ6bに対して基準位置よりも約10mm高い位置に仮固定する。基準位置とは、下側の横フレーム8が腰壁パネルP3の上端面P3cに当接する開口フレーム4の位置である。図16(a)及び図16(b)に示されるように、ボルトB2を室外側から下側の第1下地鋼材6のネジ貫通穴26、下取付金具13のネジ貫通穴23aの順に挿通させてナットN2を螺合する。
図13(a)及び図14(c)に示されるように、腰壁パネルP3を下側の横フレーム8と自重受金具37(図2参照)との間に建込む。
ここで、開口フレーム4が基準位置に固定されていると、図17(a)に示されるように、下側の横フレーム8と自重受金具37との間が腰壁パネルP3の高さと略同じになるので、腰壁パネルP3を容易に建て込むことができない。
一方、本実施形態では、開口フレーム4が基準位置よりも高い位置に仮固定されているので、図17(b)に示されるように、下側の横フレーム8の水平フランジ8aと自重受金具37の水平フランジ37aとの間は、腰壁パネルP3の高さよりも大きい。このような構成では、腰壁パネルP3の下端面P3bを自重受金具37に当接させた場合に、上端面P3cと下側の横フレーム8との間には隙間Dが形成される。従って、腰壁パネルP3を容易に建込むことができる。
腰壁パネルP3を建込んだ後に、腰壁パネルP3の上部を下側の横フレーム8の取付金具39によって下側の横フレーム8に仮固定する(図11(b)参照)。また、腰壁パネルP3の下部を下側の第1下地鋼材6の取付金具27によって下側の第1下地鋼材6に仮固定する(図9参照)。
図13(b)及び図14(d)に示されるように、開口フレーム4を所定位置まで押し下げる。
ここで、図18(a)に示されるように、腰壁パネルP3を仮固定した状態では、上端面P3cと下側の横フレーム8との間に隙間Dが形成されている。そこで、図18(b)に示されるように、下側の横フレーム8が上端面P3cに当接するまで、下側の横フレーム8をハンマー等で叩いて開口フレーム4の高さを調整する。この工程により、腰壁パネルP3と下側の横フレーム8とを隙間なく施工することができる。
図13(c)に示されるように、上取付金具14を開口フレーム4及び上側の第2横架材3に取り付ける。図19(a)に示されるように、開口フレーム4の上部には、ボルトB1及びナットN1が仮締めされている。まず、図19(b)に示されるように、ナットN1を取り外した後に、上取付金具14のネジ貫通穴16a(図3参照)にボルトB1を挿通させて、上取付金具14の鉛直フランジ16をパネル表面当接片11に当接させる。このとき、上取付金具14の水平フランジ19が上側の第2横架材3の下面3bに当接するように、上取付金具14の位置を調整する。ボルトB1に再びナットN1を螺合して、上取付金具14が動かない程度に仮固定する。
図19(c)に示されるように、上取付金具14の水平フランジ19に設けられたネジ貫通穴19aからラグスクリュー21を上側の第2横架材3にねじ込むことにより、上側の第2横架材3に対して上取付金具14を固定する。そして、ナットN1を本締めする。
図13(d)及び図14(e)に示されるように、まぐさ壁パネルP2を建込む。まぐさ壁パネルP2の下端面P2bを上側の横フレーム8に当接させ、取付金具38に仮固定する(図11(a)参照)。また、まぐさ壁パネルP2の上部を上側の第2下地鋼材9の取付金具27の下段固定部27bに対して仮固定する(図10参照)。
最後に、仮固定されている腰壁パネルP3と取付金具27,39とを本固定すると共に、仮固定されているまぐさ壁パネルP2と取付金具27,38とを本固定した後に、窓フレームWをはめ込む(図1参照)。なお、必要に応じて、鋼材用ビスを用いて下側の第1下地鋼材6及び上側の第2下地鋼材9のそれぞれに取付金具27を固定してもよい。また、必要に応じて、鋼材用ビスを用いて取付金具38を上側の横フレーム8に対して固定すると共に鋼材用ビスを用いて取付金具39を上側の横フレーム8に対して固定してもよい。以上の工程により、開口フレーム4の取り付けが施工される。
ここで、開口フレーム4の取り付け施工方法について要約すると、壁パネルP1間で、開口フレーム4を、室内側から上側の第2横架材3と下側の第1横架材2とを越えた状態にした後、縦フレーム7の下端に配置した下取付金具13を下側の第1下地鋼材6に当接させ、縦フレーム7の上側に配置した上取付金具14を上側の第2横架材3の下面3bに対面させる工程と、上取付金具14を、真上に上昇させながら上側の第2横架材3の下面3bに当接させる工程と、下取付金具13と下側の第1下地鋼材6とをボルトB2及びナットN2で固定する工程と、上取付金具14を上側の第2横架材3の下面3bにラグスクリュー21で固定する工程と、ボルトB1に対してナットN1を締め込んで、仮留め状態の上取付金具14を縦フレーム7にしっかり固定させる工程と、を有している。
本実施形態の開口フレーム4の取付構造1によれば、パネル表面当接片11が壁パネルP1の室内側の表面P1aに当接すると共にパネル小口面当接片12が壁パネルP1の小口面P1bに当接するように、室内側から作業を行う。壁パネルP1に押し当てられた縦フレーム7に対して、上取付金具14の鉛直フランジ16を縦フレーム7のパネル表面当接片11の上部に取り付けると共に水平フランジ19を上側の第2横架材3の下面3bに取り付けることにより、縦フレーム7の上部が上側の第2横架材3に固定される。また、縦フレーム7の下部には下取付金具13が固定される。そして、パネル表面当接片11が壁パネルP1の室内側の表面P1aに当接すると、下取付金具13が下側の第1下地鋼材6の鉛直フランジ6bに対して室内側から当接して固定される。従って、開口領域Sの両側の壁パネルP1が先に施工された場合であっても、開口フレーム4を外に出すことなく、開口フレーム4を室内側から容易に取り付けることができる。
また、本実施形態の開口フレーム4の取付構造1では、下側の第1下地鋼材6のネジ貫通穴26は横長の穴であるので、下側の第1下地鋼材6は、ネジ貫通穴26に挿通されたボルトB2に対して水平方向に移動可能とされる。また、下取付金具13のネジ貫通穴23aは縦長の穴であるので、下取付金具13は、ネジ貫通穴23aに挿通されたボルトB2に対して上下方向に移動可能とされる。従って、下取付金具13は、下側の第1下地鋼材6に対して水平方向及び上下方向に移動可能であるため、下側の第1下地鋼材6に対する開口フレーム4の取付位置の調整しろを大きくすることができる。
ところで、下側の第1下地鋼材6には壁パネルP1の水平方向の割り付け位置を規定するための目印M(図8参照)や、ネジ貫通穴26を設けるための目印(不図示)といった複数の目印が設けられることがある。このため、それぞれの目印を共通化することによりケガキ作業で形成する目印の数を少なくしてケガキ作業を省力化することが望まれている。
本実施形態の開口フレーム4の取付構造1では、下取付金具13のネジ貫通穴23aをパネル小口面当接片12から水平方向に突出する方向にずらして設けることが可能になるため、下側の第1下地鋼材6のネジ貫通穴26を壁パネルP1の小口面P1bに対応する割り付け位置に設けることができる。従って、壁パネルP1の位置合わせのための目印Mと下側の第1下地鋼材6のネジ貫通穴26のための目印とを共通化して、ケガキ作業を省力化することができる。
また、図20(a)に示されるように、下取付金具13が開口領域S側にずらして取り付けられていない場合には、ボルトB2の位置が壁パネルP1の割り付け位置よりも壁パネルP1寄りになり、水平方向において、ネジ貫通穴23aの位置が壁パネルP1の小口面P1bから比較的深くなる。従って、腰壁パネルP3を施工していない状態であっても、ボルトB2を下取付金具13のネジ貫通穴23a及び下側の第1下地鋼材6のネジ貫通穴26に容易に挿入することができない。
一方、図20(b)に示されるように、本実施形態の開口フレーム4の取付構造1では、下取付金具13のネジ貫通穴23aがパネル小口面当接片12から水平方向に突出する方向にずらして設けられている場合には、ボルトB2の位置が壁パネルP1の割り付け位置と略同じになり、水平方向において、ネジ貫通穴23aの位置が壁パネルP1の小口面P1bから比較的浅くなる。従って、ボルトB2を下取付金具13のネジ貫通穴23a及び下側の第1下地鋼材6のネジ貫通穴26に容易に挿入することができる。
また、本実施形態の下取付金具13によれば、ネジ貫通穴23aが水平方向に左右対称に並設されているので、縦フレーム7に対する下取付金具13の取付位置を変更することにより、同一形状の下取付金具13を利用することができる。従って、それぞれの縦フレーム7に取り付けられる下取付金具13を共通化して、部品の種類を削減することができる。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。下取付金具13のネジ貫通穴23aと、下側の第1下地鋼材6のネジ貫通穴26との関係は、例えば、ネジ貫通穴23aが大径の穴であり、ネジ貫通穴26が横長であってもよい。この場合には、ネジ貫通穴23aとナットN2との間にはワッシャを配置する。また、ネジ貫通穴23aが横長の穴であり、ネジ貫通穴26が縦長の穴であってもよい。さらに、ネジ貫通穴23aが大径の穴であり、ネジ貫通穴26が縦長の穴であってもよい。これらの構成によれば、下側の第1下地鋼材6に対する下取付金具13の位置調整しろを大きくすることができる。また、下側の第1下地鋼材6のネジ貫通穴26にボルトB2の首部が嵌ることにより、ナットN2の螺合時において共回りを防止して、作業性を向上させることができる。
また、開口フレーム4を建込む工程dでは、図15(b)に示されるように、開口フレーム4の下方が室外側になるように傾けて、先に縦フレーム7の下側を壁パネルP1に当接させた後に、縦フレーム7の上方を室外側に押すことにより縦フレーム7の全体を壁パネルP1に当接させる。そして、当接させた状態で所定の位置まで開口フレーム4を上方に移動させてもよい。