次に、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、画像形成装置本体12内には、コントローラ20、通信装置22、像形成部100、光走査装置260、転写装置300及び給紙装置400が配置されている。また、画像形成装置本体12の上部には、原稿読取装置500が装着されおり、画像形成装置本体12の右側面には、画像形成が完了した用紙を画像形成装置本体12の外へ排出するための排出孔14が形成されている。ここで、用紙は画像が記録される記録媒体として用いられている。
また、画像形成装置本体12の右側面には、排出孔14を介して画像形成装置本体12内から排出された用紙が載せられる排出トレー16が装着されている。また、画像形成装置本体12内には、用紙が搬送される搬送路である搬送路600が形成されている。尚、画像形成装置10は、ネットワーク等を介して接続されたコンピュータ端末等から受信した画像データを印刷するプリンター機能を有し、併せてスキャナとしての機能、複写機としての機能及びファクシミリとしての機能を有するものである。
原稿読取装置500は、読み取りの対象となる画像が記された原稿Dが載せられるガラス板502と、ガラス板502に対して原稿Dを押圧するカバー部材504と、ガラス板502上に載せられた原稿Dに記された画像を読み取る読取用光学部510とを有する。読取用光学部510は、ガラス板502上に載せられた原稿Dを光源512によって照明し、原稿Dからの反射光像をミラー群及びレンズを介して画像読取素子514で読み取るように構成されている。原稿読取装置500で読み取られた画像データは、コントローラ20に出力される。
コントローラ20は、原稿読取装置500により読み取られた画像データ又はコンピュータ端末等から受信した画像データに対して、シェーディング補正、原稿の位置ズレ補正、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の予め定められた画像処理を施す。
通信装置22は、例えばコンピュータ端末等から画像データを受信し、受信した画像データをコントローラ20に出力する。
像形成部100は、コントローラ20から出力された画像データに基づいて画像を形成するものであり、例えば4個の画像形成ユニット110Y、画像形成ユニット110M、画像形成ユニット110C及び画像形成ユニット110Kを有する。画像形成ユニット110M、画像形成ユニット110C及び画像形成ユニット110Kは、それぞれがイエローの画像を形成するために用いられ、マゼンタの画像を形成するために用いられ、シアンの画像を形成するために用いられ、黒の画像を形成するために用いられる。また、画像形成ユニット110Y、画像形成ユニット110M、画像形成ユニット110C及び画像形成ユニット110Kは、それぞれが、感光体ドラム112Y、感光体ドラム112M、感光体ドラム112C及び感光体ドラム112Kを有する。
感光体ドラム112Y、感光体ドラム112M、感光体ドラム112C及び感光体ドラム112Kは、それぞれがトナー像を保持する像保持体として用いられている。尚、画像形成ユニット110Y、画像形成ユニット110M、画像形成ユニット110C及び画像形成ユニット110Kの詳細は後述する。
光走査装置260は、コントローラ20から出力された画像データに基づいて光を走査する装置であり、例えば4個の光走査ユニット262Y、光走査ユニット262M、光走査ユニット262C及び光走査ユニット262Kを有する。光走査ユニット262Y、光走査ユニット262M、光走査ユニット262C及び光走査ユニット262Kは、それぞれが光を照射することにより感光体ドラム112Y、感光体ドラム112M、感光体ドラム112C及び感光体ドラム112Kに対して静電潜像を形成する潜像形成装置として用いられている。
転写装置300は中間転写ベルト302を有する。中間転写ベルト302は、感光体ドラム112Y、感光体ドラム112M、感光体ドラム112C及び感光体ドラム112Kに接触し、感光体ドラムY、感光体ドラム112M、感光体ドラム112C及び感光体ドラム112Kと周速差をもって移動しつつ、感光体ドラム112Y、感光体ドラム112M、感光体ドラム112C及び感光体ドラム112Kからトナー像が転写される被転写体として用いられている。
より具体的には、中間転写ベルト302は、感光体ドラム112Y、感光体ドラム112M、感光体ドラム112C及び感光体ドラム112Kと周速差を持って図1に示されている矢印a方向に回転しつつ、感光体ドラム112Y、感光体ドラム112M、感光体ドラム112C及び感光体ドラム112Kからトナー像が転写される。ここで、この実施形態においては、中間転写ベルト302の周速は、感光体ドラム112Y、感光体ドラム112M、感光体ドラム112C及び感光体ドラム112Kの周速よりも速くなるように定められている。中間転写ベルト302の周速は、感光体ドラム112Y、感光体ドラム112M、感光体ドラム112C及び感光体ドラム112Kの周速よりも速くなるように定めることに替えて、感光体ドラム112Y、感光体ドラム112M、感光体ドラム112C及び感光体ドラム112Kの周速よりも遅くなるように定めても良い。
中間転写ベルト302は、帯状であって無端状であり、例えば可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フィルムを帯状に形成し、形成された合成樹脂フィルムの両端を溶着等によって接続することにより形成されたものを用いることができる。
また、中間転写ベルト302は、例えば6個の支持ロールである支持ロール310、支持ロール312、支持ロール314、支持ロール316、支持ロール318及び支持ロール320に回転することができるように掛け回され、支持されている。そして、6個の支持ロールのうちの少なくとも1つが、中間転写ベルト302に駆動を伝達する駆動伝達部材として用いられている。この実施形態においては、支持ロール310が駆動伝達部材として用いられていて、支持ロール310が図示を省略する駆動用モータから駆動の伝達を受けて回転することにより、中間転写ベルトが矢印a方向に回転するように駆動される。
また、転写装置300は、例えば4個の1次転写ロールである1次転写ロール330Y、1次転写ロール330M、1次転写ロール330C及び1次転写ロール330Kを有する。1次転写ロール330Y、1次転写ロール330M、1次転写ロール330C及び1次転写ロール330Kは、それぞれが感光体ドラム112Y、感光体ドラム112M、感光体ドラム112C及び感光体ドラム112Kから中間転写ベルト302にトナー像を転写するための転写電圧が印加される転写部材(1次転写部材)として用いられている。
1次転写ロール330Y、1次転写ロール330M、1次転写ロール330C及び1次転写ロール330Kは、それぞれが中間転写ベルト302の内側に配置されていて、それぞれが中間転写ベルト302に対して感光体ドラム112Y、感光体ドラム112M、感光体ドラム112C及び感光体ドラム112Kと逆側に配置されている。
また、転写装置300は、2次転写ロール390を有する。2次転写ロール390は、中間転写ベルト302から用紙にトナー像を転写するための転写部材(2次転写部材)として用いられていて、中間転写ベルト302を介して支持ロール318に対して押し付けられている。
また、転写装置300は、清掃装置394を有する。清掃装置394は、2次転写ロール390による用紙へのトナー像の転写がなされた後に、中間転写ベルト302の表面に残留するトナー等を除去することにより中間転写ベルト302を清掃する。
給紙装置400は、搬送路600へと用紙を供給する装置であって、用紙が積層されるように収納されている収納容器402と、収納容器402に積層されている用紙中の最も上側にある用紙を搬送路600へ送り出す送出ロール404とを有する。
搬送路600は、給紙装置400から排出トレー16へと用紙を搬送するための搬送路であり、搬送路600に沿って用紙の搬送方向における上流側から順に、先述の送出ロール404と、搬送ロール610と、搬送ロール612と、レジストロール614と、先述の支持ロール318及び2次転写ロール390と、搬送装置620と、搬送装置630と、定着装置180とが配置されている。
搬送ロール610及び搬送ロール612は、送出ロール404によって送り出された用紙をレジストロール614に向けて搬送する。レジストロール614は、搬送ロール612によって搬送方向における下流側に送り出されつつある用紙の先端部の移動を一度停止させて、像形成部100により形成され、1次転写ロール330Y、1次転写ロール330M、1次転写ロール330C及び1次転写ロール330Kによって中間転写ベルト302に転写されたトナー像が2次転写ロール390と中間転写ベルト302との接触部に到達するタイミングに合致させるように用紙の先端部の移動を再開させる。
搬送装置620及び搬送装置630は、重力方向における上側の面にトナー像が転写され、未定着のトナー像が重力方向における上側の面に載せられた状態にある用紙を、重力方向における下側から支えつつ、定着装置180へと向けて搬送する。定着装置180は、例えば熱と圧力とを用いて、用紙の上側の面に載せられたトナー像を用紙の上向きの面に定着させる。
図2には、画像形成ユニット110Y、画像形成ユニット110M、画像形成ユニット110C及び画像形成ユニット110Kが示されている。画像形成ユニット110Y、画像形成ユニット110M、画像形成ユニット110C及び画像形成ユニット110Kは、用いるトナーの色と形成するトナー像の色とが異なるものの、構成はそれぞれが同一である。このため、以下これらの画像形成ユニットを画像形成ユニット110と総称して説明する。また、図2には、1次転写ロール330Y、1次転写ロール330M、1次転写ロール330C及び1次転写ロール330Kが示されている。1次転写ロール330M、1次転写ロール330C及び1次転写ロール330Kは構成がそれぞれに同一であるため、以下、これらの1次転写ロールを1次転写ロール330と総称して説明する。
図2に示されているように、画像形成ユニット110は、先述の感光体ドラム112と、光走査装置260による感光体ドラム112への潜像の形成に先立ち、感光体ドラム112の表面を均一に帯電させる帯電装置120と、感光体ドラム112にトナー像を形成するトナー像形成部として用いられていて、光走査装置260により感光体ドラム112の表面に形成された潜像をトナーを用いて現像する現像装置130と、感光体ドラム112の表面を清掃し、1次転写ロール330による中間転写ベルト302へのトナー像の転写が完了した感光体ドラム112の表面に残留するトナーを除去する清掃装置140とを有する。
また、図2に示すように、1次転写ロール330には、感光体ドラム112から中間転写ベルト302にトナー像を転写するための電圧を1次転写ロール330に印加する電源332が接続されている。ここで、1次転写ロール330M、1次転写ロール330C及び1次転写ロール330Kに印加される電圧は、4個の1次転写ロール全てについて同じ電圧としても良いし、それぞれの1次転写ロールに対してそれぞれに異なる電圧を印加するようにしても良い。
また、1次転写ロール330の長手方向における両端部よりも外側の位置には、それぞれに押圧ロール370が配置されている。押圧ロール370は、中間転写ベルト302を、感光体ドラム112に対して押圧する押圧部材として用いられている。尚、図2には、画像形成装置本体12における前側(紙面における手前側)に配置されている押圧ロール370だけが図示されているものの、先述のように押圧ロール370は、1次転写ロール330の長手方向における両端部よりも外側に位置にそれぞれ1つが配置されていて、1つの1次転写ロール330に対して2つが配置されている(図3を参照)
図3は、図1におけるA−A面の断面を示す断面図であり、図3には、感光体ドラム112K、中間転写ベルト302及び1次転写ロール330Kと、その周辺部とが示されている。先述のように画像形成ユニット110Y、画像形成ユニット110M、画像形成ユニット110C及び画像形成ユニット110Kは構成がそれぞれが同一であり、1次転写ロール330Y、1次転写ロール330M、1次転写ロール330C及び1次転写ロール330Kは、構成がそれぞれに同一である。したがって、以下で説明をする1次転写ロール330Kとその周辺の構成と、1次転写ロール330Yとその周辺の構成、1次転写ロール330Mとその周辺の構成及び1次転写ロール330Cとその周辺の構成とは同一である。
図3に示すように、1次転写ロール330Kは、軸部334とロール本体部336とを有する。軸部334の両端部には、軸部334を回転することができるように支持する軸受338がそれぞれに装着されている。ロール本体部336は、軸部334に固定されていて軸部334と一体として回転する。ここで、1次転写ロール330Kは、例えばモータ等から駆動が伝達されることにより回転するものではなく、中間転写ベルト302に接触し、中間転写ベルト302に連れ回りするものとのなっている。ロール本体部336の材質としては、導電性であり弾性を有する材料を用いることができ、例えは導電性を有するゴム等を用いることができる。
2つの軸受338には、それぞれに付勢部材342が装着されている。付勢部材342は、1次転写ロール330と押圧ロール370とを一体として感光体ドラム112K側に向けて付勢するための部材であり、1次転写ロール330Kと2つの押圧ロール370とを、感光体ドラム112Kが逆側に位置する部材である中間転写ベルト302に対して押し付ける部材である。1次転写ロール330Kと押圧ロール370とが中間転写ベルト302に押し付けられることにより、中間転写ベルト302は感光体ドラム112Kに対して押し付けられる。
付勢部材342としては、例えば弾性を有する金属から形成されたコイルスプリング等を用いることができる。付勢部材342としてコイルスプリングが用いられる場合、このコイルスプリングの一端部が軸受338に装着され、このコイルスプリングの他端部が画像形成装置本体12の一部をなす本体フレーム18等に装着される。
2つの押圧ロール370は、外周面が中間転写ベルト302に接触するように、1次転写ロール330Kの長手方向におけるロール本体部336よりも外側の位置にそれぞれが配置されていて、それぞれが軸受340を用いて軸部334に対して回転することができるように装着されている。このため、押圧ロール370は、軸部334及びロール本体部336とは独立して、中間転写ベルト302に連れ回りして回転する。
また、2つの押圧ロール370は、図2に示されているように、中間転写ベルト302の移動方向において、感光体ドラム112と中間転写ベルト302とが接触する接触領域、すなわち感光体ドラム112と中間転写ベルト302とでニップ部が形成される領域に配置されている。
上述のように、押圧ロール370が中間転写ベルト302に対して連れ回りし、中間転写ベルト302に対して従動するようになっているため、押圧ロール370が固定され、押圧ロール370が回転しないように装着されている場合と比較して、中間転写ベルト302の押圧ロール370が接触する部分に摩耗が生じにくい。また、押圧ロール370が、軸受340を用いてロール本体部336とは独立して回転するようになっているため、押圧ロール370とロール本体部336とが一体として回転する場合と比較して、中間転写ベルト302に加わる負荷が小さくなり中間転写ベルト302の劣化が生じにくくなるとともに、中間転写ベルト302の押圧ロール370の接する部分に摩耗が生じにくくなる。また、上述のように押圧ロール370が軸部334に装着されているため、軸部334とは別に押圧ロール370を装着するための部材を設ける場合と比較して、画像形成装置10の構成が簡単になる。
また、押圧ロール370は、感光体ドラム112Kのトナー像が形成されない非画像形成領域P1に対して中間転写ベルト302を押し付けている。ここで、図3におけるP1は、感光体ドラム112Kのトナー像が形成されない領域を示し、図3におけるP2は、感光体ドラム112Kのトナー像が形成される画像形成領域を示している。画像形成領域P2には、画像形成ユニット110Kで形成されたトナー像が1次転写ロール330Kにより転写される。
より正確には、画像形成領域P2はトナー像を形成可能な領域であり、画像形成領域P2の全部分に常にトナー像が形成されているものではない。例えば、一連の画像形成が終了し、感光体ドラム112Kの表面が清掃装置140によって清掃された後においては、画像形成領域P2にはトナー像が形成されていない。また、例えば、中間転写ベルト302においては、1枚の用紙に対して転写されるトナー像が転写されている領域と次の1枚の用紙に対して転写されるトナー像が転写されている領域のとの間の位置には、通常はトナーが形成されていない。
また、押圧ロール370は、1次転写ロール330Kが中間転写ベルト302に対して押し付けられる際の圧力よりも強い圧力で中間転写ベルト302に対して押し付けられている。そして、このために、押圧ロール370は、感光体ドラム112K側の端部370aが、感光体ドラム112K側の1次転写ロール330Kの端部330aよりも、感光体ドラム112Kに対して近い位置にあるようになっている。この第1の実施形態に係る画像形成装置10においては、2つの押圧ロール370が、1次転写ロール330Kの軸部334に取り付けられているため、押圧ロール370の径を1次転写ロール330Kのロール本体部336の直よりも大きくすれば、押圧ロール370は、感光体ドラム112K側の端部370aが、感光体ドラム112K側の1次転写ロール330Kの端部330aよりも、感光体ドラム112Kに対して近い位置にあるようになる。
また、押圧ロール370の材質としては、例えば絶縁体である樹脂等を用いることができる。また、押圧ロール370は、1次転写ロール330Kのロール本体部336Kよりも硬度が高いものとなっている。
例えば連続して複数枚の用紙に画像を形成する場合においては、上述のように中間転写ベルト302には、中間転写ベルト302の移動方向において、トナーが形成されている領域とトナー像が形成されていない領域と混在している。そして、感光体ドラム112Kと中間転写ベルト302との間の摩擦は、感光体ドラム112K及び中間転写ベルト302にトナーが付着していない場合(トナー像が形成されていない場合)の方が大きく、感光体ドラム112K及び中間転写ベルト302の少なくとも一方にトナーが付着していて、感光体ドラム112Kと中間転写ベルト302との間にトナーが存在する場合の方が小さくなる。
このため、例えば中間転写ベルト302の感光体ドラム112Y、感光体ドラム112M、及び感光体ドラム112Cからトナー像が転写された領域の先端部が感光体ドラム112Kと接触する位置に到達すると、その時点で、感光体ドラム112Kと中間転写ベルト302との間の摩擦が低くなる。そして、仮に押圧ロール370が設けられていないとすると、たとえ一定の速度で感光体ドラム112Kを回転させるように制御をしていたとしても、中間転写ベルト302のトナー像が転写された部分の先端部が感光体ドラム112Kと接触する位置に到達したタイミングで、例えば感光体ドラム112Kが中間転写ベルト302に対してスリップする等の理由で、感光体ドラム112Kの速度が急激に変化する虞がある。そして感光体ドラム112Kの速度に急激な変化が生じると、中間転写ベルト302の進行方向と略垂直な方向に筋が生じる等、画像に不良が生じてしまう。
これに対して、この第1の実施形態に係る画像形成装置10においては、中間転写ベルト302が、感光体ドラム112Kのトナー像が形成されていない非画像形成領域P1に対して付勢部材342、押圧ロール370等の作用により押し付けられている。そして、中間転写ベルト302と感光体ドラム112Kのトナー像が形成されていない非画像形成領域P1との間の摩擦力は、画像形成領域P2とは異なり、感光体ドラム112Kと中間転写ベルト302との間にトナーが存在する状態となることに起因して低下することがない。このため、この第1の実施形態に係る画像形成装置10においては、中間転写ベルト302に対して感光体ドラム112Kがスリップしにくく、感光体ドラム112Kの速度変動が生じにくい。
図4には、本発の第2の実施形態に係る画像形成装置が有する転写装置300の一部が拡大して示されており、図5には、図4に示す転写装置300における感光体ドラム112K、中間転写ベルト302、1次転写ロール330K及び押圧ロール370の位置関係が模式的に示されている。
先述の第1の実施形態に係る画像形成装置10においては、2つの押圧ロール370は、それぞれが1次転写ロール330Kの軸部334に回転することができるように取り付けられていた(図3を参照)。これに対してこの第2の実施形態に係る画像形成装置10においては、図4に示すように、押圧ロール370は、軸部334とは異なる支持軸372に、支持軸372と一体として回転することができるように取り付けられている。ここで、支持軸372は、押圧部材用支持軸として用いられている。
図4に示されているように、支持軸372の一端部側には押圧ロール370が装着され、支持軸372の他端側には軸受374が装着されている。そして、軸受374には、付勢部材376が装着されている、付勢部材376は、押圧ロール370を感光体ドラム112K側に向けて付勢するための部材であり、押圧ロール370を、感光体ドラム112Kが逆側に位置する部材である中間転写ベルト302に対して押し付ける部材である。付勢部材376としては、例えば弾性を有する金属から形成されたコイルスプリング等を用いることができる。付勢部材376としてコイルスプリングが用いられる場合、このコイルスプリングの一端部が軸受374に装着され、このコイルスプリングの他端部が画像形成装置本体12の一部をなす本体フレーム18等に装着される。
この第2の実施形態に係る画像形成装置10においては、先述の第1の実施形態に係る画像形成装置10と同様に、中間転写ベルト302の周速V1は、感光体ドラム112Kの周速V2よりも速くなるように定められている。このため、中間転写ベルト302が移動する方向において、感光体ドラム112Kと中間転写ベルト302と接触する位置であるニップ部Nよりも下流側においては、中間転写ベルト302は移動方向下流側に引っ張られた状態になる。一方、中間転写ベルト302の移動方向におけるニップ部Nよりも上流側の部分においては、ニップ部Nにより中間転写ベルト302の下流側への移動が制限されることにより、中間転写ベルト302が弛んだ状態となる。
そして、この第2の実施形態に係る画像形成装置10においては、先述の第1の実施形態に係る画像形成装置10と同様に、押圧ロール370は、1次転写ロール330Kとは独立して中間転写ベルト302に連れ回りして回転する。また、押圧ロール370は、中間転写ベルト302の移動方向において、感光体ドラム112と中間転写ベルト302とが接触する接触領域、すなわち感光体ドラム112と中間転写ベルト302とでニップ部Nが形成される領域に配置されている。
また、この第2の実施形態に係る画像形成装置10においては、先述の第1の実施形態に係る画像形成装置10と同様に、押圧ロール370は、感光体ドラム112Kのトナー像が形成されない領域である非画像形成領域P1に対して中間転写ベルト302を押圧している。
また、この第2の実施形態に係る画像形成装置10においては、先述の第1の実施形態に係る画像形成装置10と同様に、押圧ロール370は、1次転写ロール330Kが中間転写ベルト302に対して押圧される際の圧力よりも強い圧力で中間転写ベルト302に対して押圧されている。押圧ロール370が、1次転写ロール330Kが中間転写ベルト302に対して押圧される際の圧力よりも強い圧力で中間転写ベルト302に対して押圧されるようにするためには、付勢部材342が軸受338を付勢する強さと、付勢部材376が軸受374を押圧する強さとを、例えば用いるコイルスプリングの選択等により調整すれば良い。
また、この第2の実施形態に係る画像形成装置10においては、先述の第1の実施形態に係る画像形成装置10と同様に、押圧ロール370は、感光体ドラム112K側の端部370aが、感光体ドラム112K側の1次転写ロール330Kの端部330aよりも、感光体ドラム112Kに対して近い位置にあるようになっている。より具体的には、この第2の実施形態に係る画像形成装置10においては、感光体ドラム112K側の端部370aが、感光体ドラム112K側の1次転写ロール330Kの端部330aよりも感光体ドラム112Kに対して近い位置となるように、感光体ドラム112Kを支持する軸(不図示)と、1次転写ロール330Kの軸部334と、押圧ロール370を支持する支持軸372との位置が定められている。
図4及び図5には、1次転写ロール330K近傍に設けられた2つの押圧ロール370のうち、画像形成装置本体12内における後側(図4における左側)に配置されている押圧ロール370のみを図示しているものの、画像形成装置本体12内における前側に配置されている押圧ロール370の構成は、以上で説明をした後側に位置する押圧ロール370と同一である。以上で第1の実施形態に係る画像形成装置10との違いを説明した部分を除き、第2の実施形態に係る画像形成装置10の構成は、先述の第1の実施形態に係る画像形成装置10と同一であるため、その同一部分の説明は省略する。
図6には、本発明の第2の実施形態の変形例に係る画像形成装置10における感光体ドラム112K、中間転写ベルト302、1次転写ロール330K及び押圧ロール370の位置関係が模式的に示されている。前述の第2の実施形態に係る画像形成装置10においては、中間転写ベルト302の周速V1は、感光体ドラム112Kの周速V2よりも速くなるように定められていた。これに対して、この変形例においては、感光体ドラム112Kの周速V2が中間転写ベルト302の周速V1よりも速くなるように感光体ドラム112の周速V2と中間転写ベルト302の周速V1とが定められている。
このため、中間転写ベルト302が移動する方向において、感光体ドラム112Kと中間転写ベルト302と接触する位置であるニップ部Nよりも上流側においては、中間転写ベルト302は感光体ドラム112Kよって下流側へと引っ張られた状態になる。一方、中間転写ベルト302の移動方向におけるニップ部Nよりも下流側の部分においては、中間転写ベルト302が感光体ドラム112Kによってニップ部Nより下流側へと送り出されることにより、中間転写ベルト302が弛んだ状態となる。
そして、この第2の実施形態の変形例に係る画像形成装置10においても、先述の第2の実施形態に係る画像形成装置10等と同様に、押圧ロール370は、中間転写ベルト302の移動方向において、感光体ドラム112と中間転写ベルト302とが接触する接触領域、すなわち感光体ドラム112と中間転写ベルト302とでニップ部Nが形成される領域に配置されている。但し、第2の実施形態に係る画像形成装置10とはニップ部Nが形成される位置が異なり、この第2の実施形態の変形例に係る画像形成装置10においては、ニップ部Nは、中間転写ベルト302が移動する方向において先述の第2の実施形態に係る画像形成装置10よりも上流側の位置に形成されている。
図7は、例えば第1の実施形態に係る画像形成装置10において用いられている感光体ドラム112Kと中間転写ベルト302とを接触させて移動させる実験装置において、感光体ドラム112Kと中間転写ベルト302との速度差を変化させた場合における、感光体ドラム112に加わる負荷トルクの変化を測定した結果を、感光体ドラム112Kと中間転写ベルト302との間にトナーがある場合とない場合とのそれぞれについて示したグラフである。図7においては、中間転写ベルト302の周速に対する感光体ドラム112Kの速度差が横軸に示され、縦軸には感光体ドラム112Kの負荷トルクが示されている。
図7から、感光体ドラム112Kと中間転写ベルト302とで速度差がない場合は、感光体ドラム112Kと中間転写ベルト302との間にトナーがあるどうかにかかわらず感光体ドラム112Kに負荷が加わらないことが分かる。そして、感光体ドラム112Kと中間転写ベルトとの間の速度差が大きくなるにつれて、感光体ドラム112Kと中間転写ベルト302との間にトナーがあるどうかにかかわらず感光体ドラム112Kへの負荷トルクが大きくなることが分かる。
また、図7からは、感光体ドラム112Kと中間転写ベルト302との間にトナー無い場合の方が、感光体ドラム112Kと中間転写ベルト302との間にトナーがある場合よりも速度差に応じた感光体ドラム112Kにおける負荷の増加が大きいことが分かる。
このように、感光体ドラム112Kへの負荷トルクは、感光体ドラム112Kと中間転写ベルト302との間にトナーがあるか否かで異なる。このため、例えば中間転写ベルト302の感光体ドラム112Y、感光体ドラム112M、及び感光体ドラム112Cからトナー像が転写された領域の先端部が感光体ドラム112Kと接触する位置に到達すると、その時点で、感光体ドラム112Kへの負荷トルクが変化し、例えば感光体ドラム112Kが中間転写ベルト302に対してスリップし、感光体ドラム112Kの速度が急激に変化する虞がある。そして感光体ドラム112Kの速度に急激な変化が生じると、中間転写ベルト302の進行方向と略垂直な方向に筋が生じる等、画像に不良が生じてしまう。
このため、上述の本発明の各実施形態に係る画像形成装置10においては、押圧ロール370により中間転写ベルト302を感光体ドラム112のトナー像が形成されない非画像形成領域P1に押圧して、感光体ドラム112の負荷変動に起因する速度の変化を抑制し、感光体ドラム112に速度変化が生じることにより画質の低下が生じにくいようにしている。