以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1および図2を用いて、第1の実施の形態におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法(以下、単にリニューアル方法と記す)について説明する。
ここでは、まず、本実施の形態によるリニューアル方法が適用されるリニューアル前のマシンルームレスエレベータ装置(以下、単にエレベータ装置と記す)について図1を用いて説明する。
図1に示すように、エレベータ装置1は、昇降路2内を昇降自在な乗りかご3と、乗りかご3に既設主ロープ4を介して連結された釣合錘10と、既設主ロープ4を介して乗りかご3及び釣合錘10を昇降させる既設巻上機20と、を備えている。
乗りかご3には、既設主ロープ4が巻き掛けられる一対のかごシーブ5が設けられている。
釣合錘10は、錘枠11を有しており、錘枠11には、既設主ロープ4が巻き掛けられる一対の既設錘シーブ(錘シーブ)12a、12bが設置されている。また、錘枠11には、複数の錘体13が設置されており、乗りかご3の質量との釣合を図っている。
本実施の形態においては、既設巻上機20は、機械室ではなく昇降路2の上部に設けられている。より具体的には、昇降路2の上部に既設巻上機ベース21が設けられており、既設巻上機20はこの既設巻上機ベース21上に設置されている。
既設巻上機20は、既設主ロープ4が巻き掛けられる既設トラクションシーブ22を有している。既設巻上機20は、既設トラクションシーブ22に巻き掛けられた既設主ロープ4を巻き上げる。また、既設巻上機20は、既設巻上機ブレーキ部23を有している。
既設主ロープ4の両端は、昇降路2の上部に設けられたヒッチ部(図示せず)に取り付けられている。既設主ロープ4は、一方(図1の左側)のヒッチ部から他方(図1の右側)のヒッチ部に向かって、一対のかごシーブ5、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22、一対の既設錘シーブ12a、12bに、この配列順で巻き掛けられている。
このような構成において、既設巻上機20が既設トラクションシーブ22を回転駆動することにより、既設主ロープ4が巻き上げられ、既設主ロープ4を介して乗りかご3および釣合錘10がそれぞれ昇降する。これにより、乗りかご3は、エレベータ装置1が設置された建物の複数の階床にそれぞれ設けられた乗場間を昇降する。
ところで、昇降路2内には、上下方向に延びるかごガイドレール6が設けられている。このかごガイドレール6に沿って乗りかご3が昇降するようになっている。図1に示すように、本実施の形態においては、かごガイドレール6の上部に既設巻上機ベース21が取り付けられている。なお、図1に示す例では、かごガイドレール6を模式的に示している。また、図示はしないが、昇降路2内には、上下方向に延びる錘ガイドレールが設けられており、この錘ガイドレールに沿って釣合錘10が昇降するようになっている。上述した既設巻上機ベース21は、この錘ガイドレールの上部に取り付けられていてもよい。
次に、図1に示すエレベータ装置1をリニューアルした後のエレベータ装置1ついて図2を用いて説明する。
図2に示すエレベータ装置1は、ロープ巻上機能が取り除かれた既設巻上機20と、新設主ロープ7を介して乗りかご3および釣合錘10を昇降させる新設巻上機40と、を備えている。
既設巻上機20は、昇降路2内から撤去されることなく、昇降路2内に残存している。しかしながら、既設巻上機20は主ロープを巻き上げるロープ巻上機能が取り除かれている。そして、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22には、新設主ロープ7が巻き掛けられており、既設トラクションシーブ22は、リニューアル後のエレベータ装置1においては、そらせシーブとして利用されている。また、リニューアル後の既設巻上機20は、ブレーキ機能を有している。より具体的には、新設主ロープ7を巻き掛ける工程の後において、既設巻上機20は、ブレーキ機能を有している。すなわち、既設巻上機20には、既設巻上機ブレーキ部23が残されている。既設巻上機20のブレーキ機能は、後述する新設巻上機40の新設巻上機ブレーキ部43に連動するようになっている。
新設巻上機40は、機械室ではなく昇降路2の上部に設けられている。より具体的には、昇降路2の上部に新設巻上機ベース41が設けられており、新設巻上機40はこの新設巻上機ベース41上に設置されている。本実施の形態では、新設巻上機40は、既設巻上機20と同等の高さ位置に設置されている。
新設巻上機40は、新設主ロープ7が巻き掛けられる新設トラクションシーブ42を有している。新設巻上機40は、新設トラクションシーブ42に巻き掛けられた新設主ロープ7を巻き上げる。また、新設巻上機40は、新設巻上機ブレーキ部43を有している。
新設主ロープ7の両端は、昇降路2の上部に設けられたヒッチ部(図示せず)に取り付けられている。新設主ロープ7は、一方(図2の左側)のヒッチ部から他方(図2の右側)のヒッチ部に向かって、一対のかごシーブ5、そらせシーブ(既設巻上機20の既設トラクションシーブ22)、一方(図2の左側)の既設錘シーブ12a、新設巻上機40の新設トラクションシーブ42、他方(図2の右側)の既設錘シーブ12bに、この配列順で巻き掛けられている。
このような構成において、新設巻上機40が新設トラクションシーブ42を回転駆動することにより、新設主ロープ7が巻き上げられ、新設主ロープ7を介して乗りかご3および釣合錘10がそれぞれ昇降する。これにより、乗りかご3は、エレベータ装置1が設置された建物の複数の階床にそれぞれ設けられた乗場間を昇降する。このように、ロープ巻上機能が、既設巻上機20から新設巻上機40に移されている。
ところで、図2に示すように、本実施の形態においては、かごガイドレール6に新設巻上機ベース41が取り付けられている。なお、新設巻上機ベース41は、錘ガイドレールに取り付けられていてもよい。
次に、このような構成からなる本実施の形態における作用について説明する。ここでは、図1に示すリニューアル前のエレベータ装置1から図2に示すリニューアル後のエレベータ装置1にリニューアルするための、エレベータ巻上機のリニューアル方法について説明する。
まず、既設主ロープ4が、一対のかごシーブ5、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22、一対の既設錘シーブ12a、12b、およびヒッチ部から取り外される。
続いて、既設巻上機20の主ロープを巻き上げるロープ巻上機能が取り除かれる。このとき、例えば、図示しない制御装置に接続されていた制御配線を取り除いてもよく、または当該制御装置の制御回路を改造してもよい。なお、既設巻上機20のブレーキ機能は取り除かれない。また、既設巻上機20および既設巻上機ベース21は昇降路2内から撤去されることなく、昇降路2内に残存する。既設巻上機20の既設トラクションシーブ22は、そらせシーブとして利用される。
次に、新設巻上機ベース41上に、新設トラクションシーブ42を有する新設巻上機40が設置される。この場合、まず、昇降路2の上部に、新設巻上機40の新設巻上機ベース41が取り付けられる。続いて、新設巻上機ベース41上に新設巻上機40が取り付けられる。
その後、新設主ロープ7が、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22、および新設巻上機40の新設トラクションシーブ42に巻き掛けられる。このとき、例えば、新設主ロープ7の一端が、一方(図2の左側)のヒッチ部に取り付けられる。続いて、新設主ロープ7が、一対のかごシーブ5、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22、一方の既設錘シーブ12a、新設巻上機40の新設トラクションシーブ42、他方の既設錘シーブ12bに、この配列順となるように巻き掛けられる。なお、新設主ロープ7が、一対のかごシーブ5、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22、一方の既設錘シーブ12a、新設巻上機40の新設トラクションシーブ42、他方の既設錘シーブ12bに、この配列順となるように巻き掛けられれば、新設主ロープ7を各機器に巻き掛ける順番は任意である。その後、新設主ロープ7の他端が、他方(図2の右側)のヒッチ部に取り付けられる。
このようにして、リニューアル作業が完了し、図2に示すエレベータ装置1が得られる。エレベータ装置1の新設主ロープ7は、既設巻上機20ではなく新設巻上機40によって巻き上げられるようになり、ロープ巻上機能を有する巻上機が既設巻上機20から新設巻上機40に交換される。この場合、昇降している乗りかご3および釣合錘10を停止させる場合には、新設巻上機40の新設巻上機ブレーキ部53だけでなく、既設巻上機20の既設巻上機ブレーキ部23を作動させて、乗りかご3および釣合錘10を制動することができる。
このように本実施の形態によれば、既設巻上機20を撤去することなく、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22が、昇降路2内でそらせシーブとして利用されている。このことにより、既設巻上機20および既設巻上機ベース21を有効利用することができ、既設巻上機20および既設巻上機ベース21の撤去および搬出を省略することができる。このため、リニューアル時の作業量を軽減することができ、リニューアル作業の効率を向上させることができる。この結果、リニューアル作業の工期を短縮することができるとともに、リニューアル費用を削減することができる。
また、本実施の形態によれば、新設主ロープ7が、既設トラクションシーブ22、一方の既設錘シーブ12a、新設トラクションシーブ42、他方の既設錘シーブ12bに、この配列順で巻き掛けられている。このことにより、新設主ロープ7が、既設トラクションシーブ22、新設トラクションシーブ42に、この配列順で巻き掛けられる場合よりも、新設トラクションシーブ42に巻き掛けられる新設主ロープ7の巻き掛け角度を大きくすることができる。このため、新設主ロープ7と新設トラクションシーブ42との間の摩擦(トラクション)を、効果的に発生させることができる。このため、新設主ロープ7の巻き上げに要求される所定のトラクションをより効率的に得ることができる。
また、本実施の形態によれば、既設巻上機20が、ブレーキ機能を有している。このことにより、新設巻上機40の新設巻上機ブレーキ部53と、既設巻上機20の既設巻上機ブレーキ部23とによってブレーキの2重化を図ることができる。このため、制動力を増大させてエレベータ装置1の安全性を高めることができる。
また、本実施の形態によれば、新設巻上機40が、昇降路2の上部に設けられている。このため、降雨等により昇降路2内が冠水した場合であっても、新設巻上機40が冠水する事態を回避し得る。
なお、上述した本実施の形態においては、既設主ロープ4を取り外す工程と、既設巻上機20のロープ巻上機能を取り除く工程と、新設巻上機40を設置する工程と、新設主ロープ7を巻き掛ける工程と、がこの順番で行われる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、リニューアル作業が完了した後に、図2に示すエレベータ装置1が得られていれば、各工程の順番はこれに限られることはない。
また、上述した本実施の形態においては、既設巻上機20および新設巻上機40が昇降路2の上部に設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、既設巻上機20が昇降路2の上部に設けられていた場合であっても、新設巻上機40を昇降路2の下部に設けるようにしてもよい。この場合、追加のそらせシーブを使用することにより、新設主ロープ7をかごシーブ5、新設トラクションシーブ42および既設錘シーブ12a、12bに巻き掛けることができる。この場合、例えば、図3に示すような態様で、新設主ロープ7を巻き掛けることができる。このため、既設巻上機20および既設巻上機ベース21を有効利用することができ、既設巻上機20および既設巻上機ベース21の撤去および搬出を省略することができる。
また、上述した本実施の形態においては、釣合錘10に、2つの既設錘シーブ12a、12bが設置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、釣合錘10に設置される既設錘シーブは1つであってもよい。この場合、既設錘シーブは、新設主ロープ7が並列状に巻き掛けられる2つのシーブ溝群(図示せず)を含むように構成され得る。
(第2の実施の形態)
次に、図3および図4を用いて、本発明の第2の実施の形態におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法について説明する。
図3および図4に示す第2の実施の形態においては、既設巻上機が昇降路の下部に設けられている点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図3および図4において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図3に示すように、本実施の形態のリニューアル前のエレベータ装置1においては、既設巻上機20は、機械室ではなく昇降路2の下部に設けられている。より具体的には、昇降路2の下部に既設巻上機ベース21が設けられており、既設巻上機20はこの既設巻上機ベース21上に設置されている。
昇降路2の上部には、2つの既設そらせシーブ50a、50bが設けられている。この場合、例えば、既設そらせシーブベースが設けられており、2つの既設そらせシーブ50a、50bは、昇降路2の上部に設けられた既設そらせシーブベースに設置されている。
既設主ロープ4は、一方(図3の左側)のヒッチ部から他方(図3の右側)のヒッチ部に向かって、一対のかごシーブ5、一方の既設そらせシーブ50a、既設トラクションシーブ22、他方の既設そらせシーブ50b、一対の既設錘シーブ12a、12bに、この配列順で巻き掛けられている。
次に、図3に示すエレベータ装置1をリニューアルした後のエレベータ装置1ついて図4を用いて説明する。
図4に示すエレベータ装置1では、2つの既設そらせシーブ50a、50bのうち一方(図3の右側)の既設そらせシーブ50bが撤去され、新設トラクションシーブ42を有する新設巻上機40が設置されている。
新設巻上機40は、機械室ではなく昇降路2の上部に設置されている。新設巻上機40の新設トラクションシーブ42は、撤去された既設そらせシーブ50bが設置されていた位置に配置されることが好適である。より具体的には、昇降路2の上部に新設巻上機ベース41が設けられており、新設巻上機40は、この新設巻上機ベース41上に設置されている。
新設主ロープ7は、一方(図4の左側)のヒッチ部から他方(図4の右側)のヒッチ部に向かって、一対のかごシーブ5、既設そらせシーブ50a、既設トラクションシーブ22、新設トラクションシーブ42、既設錘シーブ12a、12bに、この配列順で巻き掛けられている。
次に、図3に示すリニューアル前のエレベータ装置1から図4に示すリニューアル後のエレベータ装置1にリニューアルするための、エレベータ巻上機のリニューアル方法について説明する。
まず、既設主ロープ4が、一対のかごシーブ5、一方の既設そらせシーブ50a、既設トラクションシーブ22、他方の既設そらせシーブ50b、一対の既設錘シーブ12a、12bおよびヒッチ部から取り外される。
続いて、新設巻上機40を設置する前に、昇降路2の上部に設けられていた既設そらせシーブ50bが撤去される。この場合、例えば、昇降路2の上部に設けられた既設そらせシーブベースから既設そらせシーブ50bが撤去される。
次に、新設巻上機40が、昇降路2の上部に設置される。この場合、新設巻上機40の新設トラクションシーブ42は、撤去された既設そらせシーブ50bが設置されていた位置に配置されることが好適である。
その後、新設主ロープ7が、既設トラクションシーブ22、および新設トラクションシーブ42に巻き掛けられる。このとき、例えば、新設主ロープ7の一端が、一方(図4の左側)のヒッチ部に取り付けられる。続いて、新設主ロープ7が、一対のかごシーブ5、一方の既設そらせシーブ50a、既設トラクションシーブ22、他方の既設そらせシーブ50b、一対の既設錘シーブ12a、12bに、この配列順となるように巻き掛けられる。その後、新設主ロープ7の他端が、他方(図4の右側)のヒッチ部に取り付けられる。
このようにして、リニューアル作業が完了し、図4に示すエレベータ装置1が得られる。
このように本実施の形態によれば、既設巻上機20が昇降路2の下部に設けられている場合であっても、既設巻上機20を撤去することなく、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22が、昇降路2内でそらせシーブとして利用されている。このことにより、既設巻上機20および既設巻上機ベース21を有効利用することができ、既設巻上機20および既設巻上機ベース21の撤去および搬出を省略することができる。このため、リニューアル時の作業量を軽減することができ、リニューアル作業の効率を向上させることができる。この結果、リニューアル作業の工期を短縮することができるとともに、リニューアル費用を削減することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、既設主ロープ4を取り外す工程と、既設そらせシーブ50bが撤去される工程と、新設巻上機40が設置される工程と、新設主ロープ7を巻き掛ける工程と、がこの順番で行われる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、既設そらせシーブ50bが撤去された後に、新設巻上機40が設置されるとともに、リニューアル作業が完了した後に、図4に示すエレベータ装置1が得られていれば、各工程の順番はこれに限られることはない。
また、上述した本実施の形態においては、釣合錘10に、2つの既設錘シーブ12a、12bが設置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、釣合錘10に設置される既設錘シーブは1つであってもよい。この場合、既設錘シーブは、新設主ロープ7が並列状に巻き掛けられる2つのシーブ溝群(図示せず)を含むように構成され得る。
(第3の実施の形態)
次に、図5を用いて、本発明の第3の実施の形態におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法について説明する。
図5に示す第3の実施の形態においては、既設トラクションシーブを撤去して、既設巻上機に新設そらせシーブを設置する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図5において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図5に示すように、本実施の形態のリニューアルした後のエレベータ装置1においては、既設巻上機20に新設そらせシーブ60が設置されている。
既設巻上機20は、既設トラクションシーブ22が撤去され、この既設トラクションシーブ22の代替えとして、既設巻上機20に新設そらせシーブ60が設置されている。このようにして、本実施の形態では、既設トラクションシーブ22が新設そらせシーブ60に交換されている。この交換は、例えば、主ロープの変更に対応させることを目的とすることができる。より具体的には、ロープ径の変更によりシーブ径を変更する場合や、シーブ溝の個数を変更する場合等に既設トラクションシーブ22を新設そらせシーブ60に交換することが好適である。このため、新設そらせシーブ60のシーブ径は、既設トラクションシーブ22のシーブ径よりも大きくてもよく、または小さくてもよい。また、新設そらせシーブ60のシーブ溝の個数は、既設トラクションシーブ22のシーブ溝の個数よりも多くてもよく、または少なくてもよい。
新設主ロープ7は、一方(図5の左側)のヒッチ部から他方(図5の右側)のヒッチ部に向かって、一対のかごシーブ5、新設そらせシーブ60、一方の既設錘シーブ12a、新設トラクションシーブ42、他方の既設錘シーブ12bに、この配列順で巻き掛けられている。
次に、図1に示すリニューアル前のエレベータ装置1から図6に示すリニューアル後のエレベータ装置1にリニューアルするための、エレベータ巻上機のリニューアル方法について説明する。
まず、既設主ロープ4が、一対のかごシーブ5、既設トラクションシーブ22、一対の既設錘シーブ12a、12b、およびヒッチ部から取り外される。
続いて、既設巻上機20の主ロープを巻き上げるロープ巻上機能が取り除かれるとともに、既設巻上機20から既設トラクションシーブ22が撤去される。なお、既設巻上機20のブレーキ機能は取り除かれない。また、既設巻上機20および既設巻上機ベース21は昇降路2内から撤去されることなく、昇降路2内に残存する。
次に、既設トラクションシーブ22が撤去された既設巻上機20に、新設そらせシーブ60が設置される。
次に、新設トラクションシーブ42を有する新設巻上機40が、設置される。
その後、新設主ロープ7が、新設そらせシーブ60および新設トラクションシーブ42に巻き掛けられる。このとき、例えば、新設主ロープ7の一端が、一方(図5の左側)のヒッチ部に取り付けられる。続いて、新設主ロープ7が、一対のかごシーブ5(図示せず)、新設そらせシーブ60、一方の既設錘シーブ12a(図示せず)、新設トラクションシーブ42、他方の既設錘シーブ12b(図示せず)に、この配列順となるように巻き掛けられる。その後、新設主ロープ7の他端が、他方(図5の右側)のヒッチ部に取り付けられる。
このようにして、リニューアル作業が完了し、図5に示すエレベータ装置1が得られる。
このように本実施の形態によれば、既設トラクションシーブ22が取り外された既設巻上機20に、新設そらせシーブ60が設置されている。このことにより、既設トラクションシーブ22を新設そらせシーブ60に交換して、主ロープの変更に対応させることができる。このため、既設巻上機20および既設巻上機ベース21を有効利用することができる。この結果、既設巻上機20および既設巻上機ベース21の撤去および搬出を省略することができる。このため、リニューアル時の作業量を軽減することができ、リニューアル作業の効率を向上させることができる。この結果、リニューアル作業の工期を短縮することができるとともに、リニューアル費用を削減することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、既設主ロープ4を取り外す工程と、既設巻上機20のロープ巻上機能が取り除かれるとともに、既設トラクションシーブ22が撤去される工程と、新設そらせシーブ60が設置される工程と、新設巻上機40が設置される工程と、新設主ロープ7を巻き掛ける工程と、がこの順番で行われる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、リニューアル作業が完了した後に、図5に示すエレベータ装置1が得られていれば、各工程の順番はこれに限られることはない。
(第4の実施の形態)
次に、図6を用いて、本発明の第4の実施の形態におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法について説明する。
図6に示す第4の実施の形態においては、撤去された既設巻上機が、既設錘シーブが撤去された錘枠に設置される点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図6において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図6に示すように、本実施の形態のリニューアルした後のエレベータ装置1においては、釣合錘10の錘枠11から、一対の既設錘シーブ12a、12bが撤去されている。また、既設巻上機20が設置されていた既設巻上機ベース21から、既設トラクションシーブ22を有する既設巻上機20が撤去されている。そして、既設巻上機ベース21から撤去された既設巻上機20が、既設錘シーブ12a、12bが撤去された錘枠11に設置されている。
錘枠11に設置されている既設巻上機20は、釣合錘10の錘として機能している。そして、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22には、新設主ロープ7が巻き掛けられており、既設トラクションシーブ22は、リニューアル後のエレベータ装置1においては、錘シーブとして利用されている。すなわち、既設トラクションシーブ22は、撤去された錘シーブ12の代替えとして機能している。
新設巻上機40は、昇降路2の上部に設置されているとともに新設トラクションシーブ42を有している。新設巻上機40は、既設巻上機20が設置されていた位置に配置されることが好適である。より具体的には、昇降路2の上部に既設巻上機ベース21が残存しており、新設巻上機40はこの既設巻上機ベース21上に設置されている。
新設主ロープ7は、一方(図6の左側)のヒッチ部から他方(図6の右側)のヒッチ部に向かって、一対のかごシーブ5、新設トラクションシーブ42、錘枠11に設置された既設巻上機20の既設トラクションシーブ22に、この配列順で巻き掛けられている。
次に、図1に示すリニューアル前のエレベータ装置1から図6に示すリニューアル後のエレベータ装置1にリニューアルするための、エレベータ巻上機のリニューアル方法について説明する。
まず、既設主ロープ4が、一対のかごシーブ5、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22、一対の既設錘シーブ12a、12b、およびヒッチ部から取り外される。
続いて、既設巻上機20が設置されている既設巻上機ベース21から、既設トラクションシーブ22を有する既設巻上機20が撤去される。撤去された既設巻上機20のロープ巻上機能およびブレーキ機能は、取り除かれる。なお、既設巻上機ベース21は、昇降路2内から撤去されることなく、昇降路2内に残存する。
次に、新設トラクションシーブ42を有する新設巻上機40が設置される。この場合、既設巻上機ベース21上に新設巻上機40が取り付けられる。
次に、新設巻上機40によって新設主ロープ7を介して昇降される釣合錘10から、釣合錘10の錘枠11に設置されていた既設錘シーブ12a、12bが撤去される。
次に、撤去された既設巻上機20が、既設錘シーブ12a、12bが撤去された錘枠11に設置される。このようにして、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22は、錘シーブとして利用される。
その後、新設主ロープ7が、新設トラクションシーブ42、および錘枠11に設置された既設巻上機20の既設トラクションシーブ22に巻き掛けられる。このとき、例えば新設主ロープ7の一端が、一方(図6の左側)のヒッチ部に取り付けられる。続いて、新設主ロープ7が、一対のかごシーブ5、新設トラクションシーブ42、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22に、この配列順となるように巻き掛けられる。その後、新設主ロープ7の他端が、他方(図6の右側)のヒッチ部に取り付けられる。
このようにして、リニューアル作業が完了し、図6に示すエレベータ装置1が得られる。
このように本実施の形態によれば、既設巻上機20を昇降路2から搬出することなく、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22が、錘シーブとして利用されている。また、既設巻上機ベース21を撤去することなく、新設巻上機40が既設巻上機ベース21上に設置されている。このことにより、既設巻上機20および既設巻上機ベース21を有効利用することができ、既設巻上機20の搬出を省略するとともに、既設巻上機ベース21の撤去および搬出を省略することができる。このため、リニューアル時の作業量を軽減することができ、リニューアル作業の効率を向上させることができる。この結果、リニューアル作業の工期を短縮することができるとともに、リニューアル費用を削減することができる。
また、本実施に形態によれば、既設巻上機20が、釣合錘10の錘として利用されている。このことにより、既設巻上機20を有効利用することができ、既設巻上機20の搬出を省略することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、既設主ロープ4を取り外す工程と、既設巻上機20を撤去する工程と、新設巻上機40を設置する工程と、既設錘シーブ12a、12bを撤去する工程と、既設巻上機20を設置する工程と、新設主ロープ7を巻き掛ける工程と、がこの順番で行われる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、リニューアル作業が完了した後に、図6に示すエレベータ装置1が得られていれば、各工程の順番はこれに限られることはない。
また、上述した本実施の形態においては、既設巻上機20が昇降路2の上部に設けられていた例(図1参照)について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、既設巻上機20が昇降路2の下部に設けられていてもよい(図3参照)。この場合においても、図7に示すように、既設巻上機20を既設巻上機ベース21から撤去し、撤去した既設巻上機20を錘枠11に設置し、既設巻上機ベース21上に新設巻上機40を設置すればよい。このことにより、新設主ロープ7をかごシーブ5、新設トラクションシーブ42および既設トラクションシーブ22に巻き掛けることができる。このため、既設巻上機20および既設巻上機ベース21を有効利用することができ、既設巻上機20の搬出を省略するとともに、既設巻上機ベース21の撤去および搬出を省略することができる。
また、上述した本実施の形態においては、錘枠11に設置されていた錘体13が、例えば、既設錘シーブ12a、12bを撤去する際に撤去されてもよい。
(第5の実施の形態)
次に、図8を用いて、本発明の第5の実施の形態におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法について説明する。
図8に示す第5の実施の形態においては、既設巻上機が撤去された既設巻上機ベースに、新設そらせシーブが設置される点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図8において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図8に示すように、本実施の形態のリニューアルした後のエレベータ装置1においては、既設巻上機ベース21から既設巻上機20が撤去されている。しかしながら、既設巻上機ベース21は、昇降路2内から撤去されることなく、昇降路2内に残存している。そして、既設巻上機20が撤去された既設巻上機ベース21上に、新設そらせシーブ70が設置されている。
新設主ロープ7は、一方(図8の左側)のヒッチ部から他方(図8の右側)のヒッチ部に向かって、一対のかごシーブ5、新設そらせシーブ70、一方の既設錘シーブ12a、新設トラクションシーブ42、他方の既設錘シーブ12bに、この配列順で巻き掛けられている。
次に、図1に示すリニューアル前のエレベータ装置1から図8に示すリニューアル後のエレベータ装置1にリニューアルするための、エレベータ巻上機のリニューアル方法について説明する。
まず、既設主ロープ4が、一対のかごシーブ5、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22、一対の既設錘シーブ12a、12b、およびヒッチ部から取り外される。
続いて、既設巻上機ベース21から、既設巻上機20が撤去される。このとき、既設巻上機ベース21は昇降路2内から撤去されることなく、昇降路2内に残存し、新設そらせシーブ70のベースとして利用される。撤去された既設巻上機20のロープ巻上機能およびブレーキ機能は、取り除かれる。
次に、既設巻上機20が撤去された既設巻上機ベース21上に、新設そらせシーブ70が設置される。
次に、新設トラクションシーブ42を有する新設巻上機40が設置される。
その後、新設主ロープ7を、新設そらせシーブ70および新設トラクションシーブ42に巻き掛ける。このとき、例えば新設主ロープ7の一端が、一方(図8の左側)のヒッチ部に取り付けられる。続いて、新設主ロープ7が、一対のかごシーブ5、新設そらせシーブ70、一方の既設錘シーブ12a、新設トラクションシーブ42、他方の既設錘シーブ12bに、この配列順となるように巻き掛けられる。その後、新設主ロープ7の他端が、他方(図8の右側)のヒッチ部に取り付けられる。
このようにして、リニューアル作業が完了し、図8に示すエレベータ装置1が得られる。
このように本実施の形態によれば、既設巻上機ベース21を撤去することなく、新設そらせシーブ70が、既設巻上機ベース21上に設置されている。このことにより、既設巻上機ベース21を有効利用することができ、既設巻上機ベース21の撤去および搬出を省略することができる。このため、リニューアル時の作業量を軽減することができ、リニューアル作業の効率を向上させることができる。この結果、リニューアル作業の工期を短縮することができるとともに、リニューアル費用を削減することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、既設主ロープ4を取り外す工程と、既設巻上機20を撤去する工程と、新設そらせシーブ70を設置する工程と、新設巻上機40を設置する工程と、新設主ロープ7を巻き掛ける工程と、がこの順番で行われる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、リニューアル作業が完了した後に、図8に示すエレベータ装置1が得られていれば、各工程の順番はこれに限られることはない。
また、上述した本実施の形態においては、既設巻上機20が昇降路2の上部に設けられていた例(図1参照)について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、既設巻上機20が昇降路2の下部に設けられていてもよい(図3参照)。この場合においても、図9に示すように、既設巻上機20を既設巻上機ベース21から撤去し、既設巻上機ベース21上に新設そらせシーブ70を設置し、新設巻上機ベース41上に新設巻上機40を設置すればよい。このことにより、新設主ロープ7をかごシーブ5、新設そらせシーブ70および新設トラクションシーブ42に巻き掛けることができる。このため、既設巻上機ベース21を有効利用することができ、既設巻上機ベース21の撤去および搬出を省略することができる。
以上述べた実施の形態によれば、リニューアル作業の工期を短縮し、リニューアル費用を削減することができる。
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。