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JP6062696B2 - 耐圧包装袋及びそれに充填された製品 - Google Patents

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JP6062696B2
JP6062696B2 JP2012213459A JP2012213459A JP6062696B2 JP 6062696 B2 JP6062696 B2 JP 6062696B2 JP 2012213459 A JP2012213459 A JP 2012213459A JP 2012213459 A JP2012213459 A JP 2012213459A JP 6062696 B2 JP6062696 B2 JP 6062696B2
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Description

本発明は、耐圧包装袋及びそれに充填された製品に関する。
従来、炭酸飲料の容器には、炭酸飲料に溶解している炭酸ガスが温度又は振動によって気化しても、内圧に耐えることができるように、金属缶、ビン、ペットボトルなどの剛性容器が使用されている(例えば、特許文献1〜3を参照。)。
軟包材容器は、耐圧強度が不足するため、内圧によって破袋するおそれがあり、炭酸飲料の容器として不向きであるとされていた。そこで、軟包材容器を炭酸飲料の容器として用いるためには、炭酸飲料の製造方法を工夫する必要があった(例えば、特許文献4を参照。)。特許文献4は、キャッピング後に容器の内部で炭酸ガスをゼリー又は飲料に溶解させて、ヘッドスペースを小さくすることで、内圧を吸収して破袋を防止するものである。
特開2009−202881号公報 特開2009−255979号公報 特開2005−313971号公報 特開2005−328756号公報
特許文献1〜3のような剛性容器は、空の状態であっても軟包材容器と比較して嵩高いため、充填前の容器の輸送若しくは保管又は使用後の廃棄物の保管に大きなスペースが必要となるという問題があった。また、剛性容器は、軟包材容器と比較して、容量が多くなるにつれて、容器自体の質量が相対的に重くなる傾向にあり、大容量の剛性容器は、取り扱いが困難になるという問題があった。
特許文献4の製造方法は、溶解させることができる炭酸の量に限界がある。さらに、特許文献4の製造方法は、強制的に炭酸を溶解させる炭酸飲料に関する技術であり、例えば、ビールのように発酵によって発生した炭酸が溶解している炭酸飲料には適用することができない。これまで、内圧による破袋を防止した軟包材容器は開示されていない。
本発明の目的は、軟包材容器であって、内圧による破袋を防止した耐圧包装袋及びそれに充填された製品を提供することである。
本発明に係る耐圧包装袋は、少なくともベースフィルム層及びシーラント層を積層したフィルム1と少なくともベースフィルム層及びシーラント層を積層したフィルム2とを有し、前記シーラント層同士を内側にして互いに向い合わせて配置し、周縁シール部を設けて収容室を形成してなる袋本体と、前記フィルム1又はフィルム2の少なくともいずれか一方に設けた注出口とを備え、前記フィルム1及び前記フィルム2は、それぞれ積層構造を備えており、各前記積層構造の各層の引張弾性率と厚さとの積が、MD方向及びTD方向ともに前記シーラント層側の最表層から前記ベースフィルム層側の最表層に向けて増大し、次の要件をすべて満たすことを特徴とする。前記フィルム1及び前記フィルム2が、それぞれ積層構造を備えており、各前記積層構造の各層の引張弾性率と厚さとの積が、MD方向及びTD方向ともに前記シーラント層側の最表層から前記ベースフィルム層側の最表層に向けて増大することによって、内圧によるデラミネーションの発生を抑制し、耐圧性をより高めることができる。
(1)瞬間耐圧強度が、0.4MPa以上であること。
(2)前記フィルム1及び前記フィルム2のそれぞれの引張強度が、いずれもMD(Machine Direction)方向及びTD(Transverse Direction)方向ともに235N/15mm以上であること。
(3)前記周縁シール部のシール強度が、190N/15mm以上であること。
(4)前記フィルム1及び前記フィルム2のそれぞれの厚さが、いずれも150μm以上230μm以下であること。
(5)前記フィルム1及び前記フィルム2のそれぞれのヤング率が、いずれも1200MPa以上1900MPa以下であること。
本発明に係る耐圧包装袋では、前記収容室は、平面視で六角形以上の多角形又は円形であることが好ましい。内圧による応力を分散して耐圧性をより高めることができる。
本発明に係る耐圧包装袋では、前記周縁シール部のシールパターンが、横目形状であることが好ましい。破袋を防止して安全性の高い容器とすることができる。
本発明に係る耐圧包装袋では、前記周縁シール部が、熱板式ヒートシール法で形成されてなることが好ましい。周縁シール部の全域において均一に融着させることができ、耐圧性をより高めることができる。
本発明に係る飲料、レトルト食品又は蓄熱材は、本発明に係る耐圧包装袋に充填されたことを特徴とする。
本発明は、軟包材容器であって、内圧による破袋を防止した耐圧包装袋及びそれに充填された製品を提供することができる。
本実施形態に係る耐圧包装袋の第一例を示す側面図であり、内容物が充填された状態を示す。(a)はフィルムを重ね合わせた状態を示す断面図であり、(b)はフィルムをヒートシールした状態を示す断面図である。 本実施形態に係る耐圧包装袋の第一例を示す側面図であり、折り畳んだ状態を示す。 本実施形態に係る耐圧包装袋の第一例を示す上面図である。 図3のA−A断面図である。 本実施形態に係る耐圧包装袋の第二例を示す上面図である。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
図1は、本実施形態に係る耐圧包装袋の第一例を示す側面図であり、内容物が充填された状態を示す。(a)はフィルムを重ね合わせた状態を示す断面図であり、(b)はフィルムをヒートシールした状態を示す断面図である。図2は、本実施形態に係る耐圧包装袋の第一例を示す側面図であり、折り畳んだ状態を示す。図3は、本実施形態に係る耐圧包装袋の第一例を示す上面図である。本実施形態に係る耐圧包装袋100は、少なくともベースフィルム層1a及びシーラント層1bを積層したフィルム1と少なくともベースフィルム層2a及びシーラント層2bを積層したフィルム2とを、シーラント層1b,2b同士を内側にして互いに向い合わせ、その周縁に周縁シール部3を設けて収容室4を形成してなる袋本体10と、フィルム1に設けた注出口20とを備え、次の要件をすべて満たす。
(1)瞬間耐圧強度が、0.4MPa以上であること。
(2)フィルム1及びフィルム2のそれぞれの引張強度が、いずれもMD方向及びTD方向ともに235N/15mm以上であること。
(3)周縁シール部3のシール強度が、190N/15mm以上であること。
(4)フィルム1及びフィルム2のそれぞれの厚さが、いずれも150μm以上230μm以下であること。
(5)フィルム1及びフィルム2のそれぞれのヤング率が、いずれも1200MPa以上1900MPa以下であること。
フィルム1は、ラミネートフィルムである。ベースフィルム層1aは、例えば、ナイロン(NY)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(OPP)である。ベースフィルム層1aは、1層で設けるか、又は2層以上で設けてもよい。また、ベースフィルム層1aは、少なくとも1層のガスバリア層を含むことが好ましい。ガスバリア層は、例えば、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム、アルミ箔、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)をコーティングしたフィルム、シリカ若しくはアルミナなどを蒸着したフィルム、MXD‐6系ナイロン、有機無機ハイブリッドコートをしたフィルムである。シーラント層1bは、例えば、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(CPP)フィルム、エチレン‐酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルムである。この中で、低温ヒートシール性に優れる点でポリエチレンフィルムが好ましく、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムが特に好ましい。シーラント層1bは、1層で設けるか、又は2層以上で設けてもよい。フィルム1の層数は、4層以上であることが好ましく、5層以上であることが特に好ましい。ここで、フィルム1の層数は、ベースフィルム層1aの合計層数とシーラント層1bの合計層数との和である。また、フィルム1は、各層の引張弾性率と厚さとの積が、MD方向及びTD方向ともにシーラント層1b側の最表層からベースフィルム層1a側の最表層に向けて増大する積層構造を備えることが好ましい。このような積層構造とすることで、内圧によるデラミネーションの発生を抑制し、耐圧性をより高めることができる。ベースフィルム層1a側の最表層の引張弾性率(単位MPa)と厚さ(単位μm)との積は、MD方向及びTD方向ともに185000以下であることが好ましく、120000以下であることがより好ましい。245000を超えると内圧による変形に追従することができず、割れが生じる場合がある。
フィルム2は、ラミネートフィルムである。ベースフィルム層2a及びシーラント層2bは、ベースフィルム層1a及びシーラント層1bで列挙したものを用いることができる。ベースフィルム層2a又はシーラント層2bは、1層で設けるか、又は2層以上設けてもよい。また、フィルム1と同様にベースフィルム層2aは、少なくとも1層のガスバリア層を含むことが好ましい。フィルム2は、フィルム1と同一の積層構造とするか、又は異なる積層構造としてもよい。フィルム2の層数は、4層以上であることが好ましく、5層以上であることが特に好ましい。ここで、フィルム2の層数は、ベースフィルム層2aの合計層数とシーラント層2bの合計層数との和である。また、フィルム2は、各層の引張弾性率と厚さとの積が、MD方向及びTD方向ともにシーラント層2b側の最表層からベースフィルム層2a側の最表層に向けて増大する積層構造を備えることが好ましい。このような積層構造とすることで、内圧によるデラミネーションの発生を抑制し、耐圧性をより高めることができる。ベースフィルム層2a側の最表層の引張弾性率と厚さとの積は、MD方向及びTD方向ともに185000以下であることが好ましく、120000以下であることがより好ましい。245000を超えると内圧による変形に追従することができず、割れが生じる場合がある。本実施形態は、フィルム1及びフィルム2の材質及び積層構造に限定されない。
フィルム1及びフィルム2のそれぞれの引張強度は、いずれもMD方向及びTD方向ともに235N/15mm以上である(要件(2))。引張強度は、より好ましくは260N/15mmである。引張強度が235N/15mm未満では、フィルムの強度が不足して、内圧が高まるとフィルムが破れてしまう。引張強度の上限は、特に制限はないが、例えば、360N/15mmである。
ベースフィルム層1a,2aの厚さは、それぞれ30μm以上130μm以下であることが好ましく、50μm以上100μm以下であることがより好ましい。ベースフィルム層1a,2aの厚さが30μm未満では、フィルムの引張強度が不足する場合がある。また、フィルムの耐熱性が不足する場合がある。ベースフィルム層1a,2aの厚さが130μmを超えると、熱伝導が低下するため、シール時間を長く、かつ、シール温度を高く設定しなければ所望のシール強度が得られない場合がある。シール強度を得るためにシール温度を上げて供給熱量を過剰にすると、周縁シール部3のシーラント層1b,2bの樹脂が流れ、周縁シール部3におけるフィルム1,2の厚さが薄くなる。そうすると、周縁シール部3の強度が弱くなり、結果として所望のシール強度が得られない場合がある。シーラント層1b,2bの厚さは、それぞれ80μm以上200μm以下であることが好ましく、100μm以上150μm以下であることがより好ましい。シーラント層1b,2bの厚さが80μm未満では、シール強度が不足する場合がある。シーラント層1b,2bの厚さが200μmを超えると、ベースフィルム層1a,2aの厚さを相対的に薄くする必要があり、フィルムの引張強度が不足する場合がある。また、フィルムの耐熱性が不足する場合がある。シーラント層1b,2bの厚さは、ベースフィルム層1a,2aの厚さよりも厚くすることが好ましい。このようにすることで、高温、かつ、短時間でのヒートシールが可能となり、生産効率を高めることができる。ここで、ベースフィルム層1a,2aの厚さは、ベースフィルム層1a,2aを1層で形成した場合は当該層の厚さであり、ベースフィルム層1a,2aを2層以上で形成した場合は、各層の厚さを合計した厚さである。シーラント層1b,2bの厚さについても同様である。
フィルム1及びフィルム2のそれぞれの厚さは、いずれも150μm以上230μm以下である(要件(4))。より好ましくは180μm以上200μm以下である。150μm未満では、フィルムの強度が不足して、内圧が高まるとフィルムが破れてしまう。230μmを超えると、シール時間を長く、かつ、シール温度を高く設定しなければ所望のシール強度が得られない。また、フィルムが内圧による変形に追従することができず、割れが生じる。さらに、フィルムが変形しにくいため、適正な内容量を充填することができない。ここで、厚さは、フィルム1及びフィルム2のそれぞれの総厚である。以降、特に断りがない限り、「厚さ」はフィルム1又はフィルム2の総厚を示す。
フィルム1及びフィルム2のそれぞれのヤング率は、いずれも1200MPa以上1900MPa以下である(要件(5))。より好ましくは、1300MPa以上1500MPa以下である。1900MPaを超えると、内容物を充填するときに、フィルムが変形に追従することができず、割れが生じる。1200MPa未満では、内容物を充填後内圧が高まったときにフィルムが膨張して変形や破れが生じる。
袋本体10は、図1〜図3に示すように、平袋であることが好ましい。平袋とは、図2に示すように、折り畳んだ状態が扁平形状である袋をいい、フィルム1とフィルム2との間にマチ部を有さない。平袋では、周縁シール部3は、2枚のフィルム(フィルム1及びフィルム2)をヒートシールして環状の周縁シール部3が一つ形成される。袋本体10を平袋とすることで、周縁シール部3の数が少ないため、耐圧性をより高めることができる。袋本体10の変形形態例としては、図示しないが、袋本体がマチ部を有する形態としてもよい。ここで、マチ部を有する袋は、一般的にガゼット袋と呼ばれ、周縁シール部は、フィルム1とマチ部のフィルム及びフィルム2とマチ部のフィルムとをヒートシールして環状の周縁シール部が二つ形成される。また、ガゼット袋は前記の環状形に限らず、矩形の2辺にマチを設ける形状なども適用可能である。また、袋体の底辺にマチを有する、一般的に自立袋やスタンディング袋と呼ばれる形状などにも適用可能である。マチ部のフィルムはフィルム1又はフィルム2と同構成であることが好ましい。マチ部のフィルムは、フィルム1及びフィルム2とは別体としてマチ部用のフィルムを用意するか、又はフィルム1又はフィルム2を折り曲げて、マチ部を形成してもよい。
袋本体10の周縁には、図3に示すように、全周にわたって周縁シール部3が設けられている。周縁シール部3のシール強度は、190N/15mm以上である(要件(3))。より好ましくは210N/15mmである。190N/15mm未満では、内圧が周縁シール部3を剥がそうとする力に対抗することができず、破袋する。シール強度の上限は、特に制限はないが、例えば、360N/15mm以下である。
周縁シール部3の幅Wは、特に制限はないが、5〜30mmであることが好ましい。より好ましくは、8〜20mmである。周縁シール部3を形成する方法は、例えば、熱板式ヒートシール法、インパルスシール法、溶断シール法などの外部加熱による熱溶融法、超音波シール法、高周波シール法などの内部加熱による熱溶融法、接着剤法、感圧接着剤法、感熱接着剤法などの接着剤法、チャックなどの嵌合具を用いる機械的結束法である。この中で、外部加熱による熱溶融法が好ましく、熱板式ヒートシール法がより好ましい。熱板式ヒートシール法は、所定の温度に設定した上下2枚の熱板の間にフィルムを挿入し、所定の圧力及び時間で加圧してヒートシールする方法である。熱板シール法では、図1(b)に示すように、シール部においてフィルム1及びフィルム2のシーラント層1b,2bの樹脂が溶融して混ざり合うことで一つの層を形成するため、周縁シール部3の全域において均一に融着させることができ、耐圧性をより高めることができる。これに対して、インパルスシール法は、シールバーと加圧板との間にフィルムを挟圧するとともに、リボン状ヒータに高圧電流を瞬間的に印加してシールバーを加熱し、ヒートシールする方法である。インパルスシール法では、シール部の温度が急激に上昇するため、加圧によって周縁シール部のシーラント層の樹脂が流れ、周縁シール部におけるフィルムの厚さが薄くなる場合がある。そうすると、周縁シール部の強度が弱くなり、そこを起点に破袋する場合がある。また、加圧状態で冷却する工程を必要とするため、生産性に劣る。したがって、インパルスシール法の適用は可能であるが、熱板式シール法と比較して管理条件を厳密にする必要がある。
本実施形態に係る耐圧包装袋100では、周縁シール部3のシールパターンが、横目形状であることが好ましい。図4は、図3のA−A断面図である。横目形状とは、図3及び図4に示すように、周縁シール部3と収容室4との境界線5に平行な凹凸条6を少なくとも1本以上形成した形状をいう。凹凸条6では、フィルム1とフィルム2とが相互に入り込んで凹凸を形成し、周縁シール部3が波板状となる。凹凸条6を設けることで、周縁シール部3の端部で剥離が生じても、剥離の進展が凹凸条6で停止されて破袋を防止できるため、安全性を高めることができる。凹凸条6の本数は、周縁シール部3のシール幅に応じて適宜選択するものであり、特に制限はないが、例えば、シール幅が20mmの場合では、1〜10本であることが好ましく、3〜5本であることがより好ましい。また、隣接する凹凸条6同士の間隔は、等しくするか、又は異なるものとしてもよい。図3では、4本の凹凸条6を等間隔に配置した形態を示した。図示しないが、凹凸条6同士の間隔を異なるものとする形態例としては、凹凸条6同士の間隔を、収容室4側で相対的に狭く、周縁部側で相対的に広くする形態である。
収容室4は、周縁シール部3で囲んで形成した袋本体10の内部空間である。収容室4は、図3に示すように平面視で円形であることが好ましい。円形とすることで、内圧による応力を分散して耐圧性をより高めることができる。図5は、本実施形態に係る耐圧包装袋の第二例を示す上面図である。収容室4は、平面視で六角形以上の多角形であっても、円形と同様に内圧による応力を分散する効果が得られる。六角形以上の多角形は、例えば、六角形(不図示)、七角形(不図示)、八角形(図5に図示)、九角形(不図示)、十角形(不図示)である。多角形は、圧力の局所的な集中を防止する点で、正多角形であることが好ましい。
収容室4の容量は、0.5リットル以上7リットル以下であることが好ましく、1リットル以上5リットル以下であることがより好ましい。
注出口20は、内容物を注出する部分である。図1では、注出口20をフィルム1の壁面上に設けた形態を示したが、フィルム2の壁面上に設ける形態(不図示)又はフィルム1及びフィルム2の両方の壁面上にそれぞれ設ける形態(不図示)としてもよい。注出口20は、キャップ21を有することが好ましい。なお、本実施形態は、注出口20の形態に制限されない。
本実施形態に係る耐圧包装袋100では、瞬間耐圧強度が、0.4MPa以上である(要件(1))。より好ましくは安全上の観点から0.5MPa以上である。本実施形態では、耐圧性を有するとは、要件(1)を満たすことをいう。すなわち、0.4MPa未満では、耐圧包装袋とはいえない。
次に、各要件の関係について説明する。要件(5)は、内容物を充填するときにフィルムが変形に追従し、かつ、内容物の充填後、内圧が高まったときにフィルムが膨張せずに容器を所定の形状に維持するための要件である。次に、要件(2)〜(4)の関係について説明する。破袋の原因及びパターンは、主に(A)周縁シール部3のシール強度が不十分であるため、周縁シール部3が剥離する、(B)周縁シール部3のシール強度及びフィルム1,2の引張強度がともに十分であるため、周縁シール部3の端部でフィルム1,2が破断する、(C)フィルム1,2の引張強度が不十分であるため、周縁シール部3の端部以外の場所でフィルム1,2が破断する、の3パターンである。3パターンのうち、(B)のパターンであるとき、耐圧試験において瞬間耐圧強度が最も高くなる。すなわち、本実施形態では、周縁シール部3のシール強度及びフィルム1,2の引張強度がともに十分な強度とする必要がある。フィルム1,2の引張強度は、フィルム1,2の厚さが厚くなるにつれて高くなる傾向にあるため、フィルム1,2の厚さを厚くするほど、瞬間耐圧強度を高くすることができるようにも思われる。しかし、現実にはシール強度は、フィルムが薄いときはフィルム1,2の厚さが厚くなるにつれて高くなるものの、ある厚さを超えるとそれを境に低下する傾向にある。これは、フィルム1,2が厚くなりすぎると、図1(b)に示すように、シーラント層1b,2b同士が混じり合う程度にシーラント層1b,2bを十分に溶融させてヒートシールすることができなくなることによる。このように、フィルム1,2の厚さをパラメータとすると、フィルム1,2の引張強度と周縁シール部3のシール強度とは異なる挙動を示し、厚さ、引張強度及びシール強度の3つの要素は互いに依存した関係を有する。本実施形態に係る耐圧包装袋100は、要件(2)〜(4)を同時に満たし、かつ、要件(5)を満たすことで、要件(1)を実現できる耐圧性を備えた容器となる。
本実施形態に係る飲料、レトルト食品又は蓄熱材は、本実施形態に係る耐圧包装袋に充填されている。飲料は、流動性を有すればよく、液体に限らず、例えば、ゼリー状、固体(粉体)を含有する液体を包含する。飲料は、炭酸飲料であることが好ましい。炭酸飲料は、例えば、ビール、発泡酒、ソーダ水、炭酸入りジュースである。蓄熱材は、保温材又は保冷材を含む。本実施形態に係る耐圧包装袋をレトルト食品又は蓄熱材の容器として適用することで、調理時又は使用時の温度変化によって内容物の容積が変化しても、破袋を防ぐことができる。
次に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(実施例1)
ベースフィルム層としてPETフィルム(エステルフィルム、東洋紡績社製、厚さ25μm、引張弾性率(単位MPa)と厚さ(単位μm)との積:MD方向98000、TD方向100500)、PETフィルム(クラリスタC、クラレ社製、厚さ12μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向52800、TD方向55200)、NYフィルム(エンブロンE、ユニチカ社製、厚さ25μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向45000、TD方向42500)及びNYフィルム(ハーデンフィルム、東洋紡績社製、厚さ25μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向36750、TD方向24500)とシーラント層としてLLDPEフィルム(リックスフィルム、東洋紡績社製、厚さ100μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向17000、TD方向19000)とを順に積層し、直径30cmの円形状を有するフィルム(総厚187μm)を2枚用意した。そのうち、1枚のフィルムの中心部に直径4cmの孔を形成し、そこへ注出口としてキャップ付きスパウト(DMキャップ、藤森工業社製)を熱融着で取付けた。2枚のフィルムを、図2に示すように、シーラント層同士を内側にして向かい合わせた状態で、熱板シール機(手動シール装置、ハマ製作所社製)を用いて、シール温度150℃、シール圧力0.3MPa及びシール時間5秒のシール条件で、シール幅18mmの周縁シールを形成して、耐圧包装袋を作製した。
(実施例2)
フィルムを、ベースフィルム層としてPETフィルム(太閤ポリエステルフィルム、フタムラ化学社製、厚さ12μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向55080、TD方向59520)、PETフィルム(セービックス、ユニチカ社製、厚さ12μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向49200、TD方向49200)、NYフィルム(エンブロンE、ユニチカ社製、厚さ25μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向45000、TD方向42500)及びNYフィルム(エンブレム、ユニチカ社製、厚さ25μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向42500、TD方向37500)とシーラント層としてLLDPEフィルム(リックスフィルム、東洋紡績社製、厚さ150μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向25500、TD方向28500)とを順に積層したフィルム(総厚224μm)に変更し、周縁シール部のシール条件を、シール温度150℃、シール圧力0.3MPa及びシール時間7秒とした以外は、実施例1と同様にして耐圧包装袋を作製した。
(比較例1)
フィルムを、ベースフィルム層としてPETフィルム(太閤ポリエステルフィルム、フタムラ化学社製、厚さ12μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向55080、TD方向59520)、PETフィルム(セービックス、ユニチカ社製、厚さ12μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向49200、TD方向49200)及びNYフィルム(ハーデンフィルム、東洋紡績社製、厚さ25μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向36750、TD方向24500)とシーラント層としてLLDPEフィルム(リックスフィルム、東洋紡績社製、厚さ100μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向17000、TD方向19000)とを順に積層したフィルム(総厚149μm)に変更し、周縁シール部のシール条件を、シール温度150℃、シール圧力0.3MPa及びシール時間3秒とした以外は、実施例1と同様にして包装袋を作製した。
(比較例2)
フィルムを、ベースフィルム層としてPETフィルム(太閤ポリエステルフィルム、フタムラ化学社製、厚さ12μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向55080、TD方向59520)、PETフィルム(セービックス、ユニチカ社製、厚さ12μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向49200、TD方向49200)及びNYフィルム(ハーデンフィルム、東洋紡績社製、厚さ25μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向36750、TD方向24500)とシーラント層としてLLDPEフィルム(トーセロT.U.X、東セロ社製、厚さ150μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向21000、TD方向24000)とを順に積層したフィルム(総厚199μm)に変更し、周縁シール部のシール条件を、シール温度150℃、シール圧力0.3MPa及びシール時間7秒とした以外は、実施例1と同様にして包装袋を作製した。
(比較例3)
フィルムを、ベースフィルム層としてPETフィルム(エステルフィルム、東洋紡績社製、厚さ12μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向47040、TD方向48240)、NYフィルム(ハーデンMXフィルム、東洋紡績社製、厚さ25μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向62500、TD方向50000)及びNYフィルム(エンブレム、ユニチカ社製、厚さ25μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向42500、TD方向37500)とシーラント層としてLLDPEフィルム(リックスフィルム、東洋紡績社製、厚さ100μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向17000、TD方向19000)とを順に積層したフィルム(総厚162μm)に変更し、周縁シール部のシール条件を、シール温度150℃、シール圧力0.3MPa及びシール時間3秒とした以外は、実施例1と同様にして包装袋を作製した。
(比較例4)
フィルムを、ベースフィルム層としてPETフィルム(ルミラー、東レ社製、厚さ100μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向400000、TD方向400000)、PETフィルム(セービックス、ユニチカ社製、厚さ12μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向49200、TD方向49200)、NYフィルム(ハーデンMXフィルム、東洋紡績社製、厚さ25μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向62500、TD方向50000)及びNYフィルム(ハーデンフィルム、東洋紡績社製、厚さ25μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向36750、TD方向24500)とシーラント層としてLLDPEフィルム(リックスフィルム、東洋紡績社製、厚さ120μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向20400、TD方向22800)とを順に積層したフィルム(総厚282μm)に変更し、周縁シール部のシール条件を、シール温度160℃、シール圧力0.3MPa及びシール時間7秒とした以外は、実施例1と同様にして包装袋を作製した。
(比較例5)
フィルムを、ベースフィルム層としてPETフィルム(ルミラー、東レ社製、厚さ75μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向300000、TD方向300000)、PETフィルム(セービックス、ユニチカ社製、厚さ12μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向49200、TD方向49200)、NYフィルム(ハーデンMXフィルム、東洋紡績社製、厚さ25μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向62500、TD方向50000)及びNYフィルム(ハーデンフィルム、東洋紡績社製、厚さ25μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向36750、TD方向24500)とシーラント層としてLLDPEフィルム(リックスフィルム、東洋紡績社製、厚さ120μm、引張弾性率と厚さとの積:MD方向20400、TD方向22800)とを順に積層したフィルム(総厚257μm)に変更し、周縁シール部のシール条件を、シール温度160℃、シール圧力0.3MPa及びシール時間5秒とした以外は、実施例1と同様にして包装袋を作製した。
実施例又は比較例で用いたフィルムについて次の評価を行った。
(引張強度及びヤング率)
JIS K 7127:1999「プラスチック−引張特性の試験方法−第3部:フィルム及びシートの試験条件」に準じて引張試験を行った。具体的には、フィルムをMD方向、TD方向にそれぞれ幅15mm、長さ150mmに10枚ずつ切り出して試験片を採取した。各試験片は予め23℃、50%RHの環境下で24hr以上状態調節した後、オートグラフ(型式:AG−IS、島津製作所社製、引張側ロードセル:1000N)を用いて引張試験を行った。チャック間距離は、100mm、引張速度300mm/min、測定環境は23℃、50%RHとした。ヤング率は、得られた荷重‐伸び曲線の立ち上がり部分の接線から算出した。また、引張強度は、フィルムが破断した時の強度である。引張強度及びヤング率は、それぞれ各方向について10枚の平均値とした。結果を表1に示す。
実施例の耐圧包装袋及び比較例の包装袋について次の評価を行った。
(シール強度)
任意の3箇所で周縁シール部を幅15mm、長さ75mmに切り出して試験片を採取した。試験片を引張強度及びヤング率と同じ条件で状態調整した後、オートグラフ(型式:AG−IS、島津製作所社製、引張側ロードセル:1000N)を用いてT字剥離してシール強度を測定した。チャック間距離は、100mm、引張速度300mm/min、測定環境は23℃、50%RHとした。シール強度は、8箇所の平均値とした。結果を表1に示す。
(瞬間耐圧強度)
瞬間耐圧試験機(PETボトル耐圧試験機 EH−5000、エビック社製)を用いて瞬間耐圧強度を測定した。具体的には、注出口天面円周を押さえてシールし、試験機の注水口から収容室内に水を送り、破袋した時の圧力を瞬間耐圧強度とした。さらに、破袋箇所を観察して記録した。破袋箇所は、周縁シール部が剥離したとき(パターンA)は「シール剥離」、周縁シール部の端部でフィルムが破断したとき(パターンB)は「シール部割れ」、周縁シール部の端部以外の場所でフィルムが破断したとき(パターンC)は「フィルム裂け」と記載した。試験において、内圧の上限は0.55MPaとし、0.55MPaで破袋しない場合は、直ちに試験を終了し、瞬間耐圧強度は0.55以上、破袋箇所は破袋なしと記録した。
Figure 0006062696
1 フィルム
2 フィルム
1a,2aベースフィルム層
1b,2b シーラント層
3 周縁シール部
4 収容室
5 境界線
6 凹凸条
10 袋本体
20 注出口
21 キャップ
100,101 耐圧包装袋

Claims (5)

  1. 少なくともベースフィルム層及びシーラント層を積層したフィルム1と少なくともベースフィルム層及びシーラント層を積層したフィルム2とを有し、前記シーラント層同士を内側にして互いに向い合わせて配置し、周縁シール部を設けて収容室を形成してなる袋本体と、
    前記フィルム1又はフィルム2の少なくともいずれか一方に設けた注出口とを備え、
    前記フィルム1及び前記フィルム2は、それぞれ積層構造を備えており、各前記積層構造の各層の引張弾性率と厚さとの積が、MD方向及びTD方向ともに前記シーラント層側の最表層から前記ベースフィルム層側の最表層に向けて増大し、
    次の要件をすべて満たすことを特徴とする耐圧包装袋。
    (1)瞬間耐圧強度が、0.4MPa以上であること。
    (2)前記フィルム1及び前記フィルム2のそれぞれの引張強度が、いずれもMD方向及びTD方向ともに235N/15mm以上であること。
    (3)前記周縁シール部のシール強度が、190N/15mm以上であること。
    (4)前記フィルム1及び前記フィルム2のそれぞれの厚さが、いずれも150μm以上230μm以下であること。
    (5)前記フィルム1及び前記フィルム2のそれぞれのヤング率が、いずれも1200MPa以上1900MPa以下であること。
  2. 前記収容室は、平面視で六角形以上の多角形又は円形であることを特徴とする請求項1に記載の耐圧包装袋。
  3. 前記周縁シール部のシールパターンが、横目形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐圧包装袋。
  4. 前記周縁シール部が、熱板式ヒートシール法で形成されてなることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の耐圧包装袋。
  5. 請求項1〜のいずれか一つに記載の耐圧包装袋に充填されたことを特徴とする飲料、レトルト食品又は蓄熱材。
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