JP2008265770A - ストローの突刺し性に優れた容器用蓋材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】破裂強度が120〜240kPaで、かつ引き裂き強度が20gf/32枚以下であるフィルム層11を最表面に用い、少なくとも容器開口部に接する面にシーラント層13を設ける。前記フィルムには、厚みが12〜25μmのポリエステルフィルムを用いることができ、前記フィルムと前記シーラント層との間に1または2以上の層からなる中間層を設けることができる。中間層の少なくとも一つの層を、アルミニウム箔層12で構成できる。蓋材としての強度を確保した上で、ストローの突き刺し性を向上できる。また、フィルムに印刷性の良好な素材を用いることで印刷性に優れた蓋材とすることができる。
【選択図】図1
Description
しかし、容器によって、蓋材を簡単に剥がして開口できる使い方の他に、容器を封止したままで蓋材にストロー等を突刺して内容物の飲用を可能にすることが求められる。
したがって、このような蓋材ではストローの突刺し性が良好であることが要求されているが、上記の樹脂フィルムを用いた蓋材では、ストローの突き刺し性が良好ではない。この樹脂フィルムの下層にアルミニウム箔層を設けることで、突き刺し性の改善を図ることができる。ただし、有意な効果を得るためにはアルミニウム箔層を20μmを超えた厚さにする必要があり、改善効果も十分とはいえない。また、アルミニウム箔を最表面に用いた蓋材はストローの突刺し性が良好であるが、蓋材表面にグラビ印刷を行った場合、アルミニウムの金属光沢のせいでインキがくすみ、インキの発色(装飾性)に劣った蓋材となってしまうことから、突刺し性に優れ、装飾性の良好な蓋材が求められている。
また、特許文献3に示されている一軸延伸フィルムを複合化した蓋材では、これらフィルムが縦横の熱収縮率が大きく異なるため、カールが強くハンドリングで問題が出る場合が多い。また、本発明分野の飲料容器は、ストローを刺さずに蓋を開けて使用される場合もあるが、その際、開封作業中に基材が破断しやすいという問題がある。
以下に、本発明における具体的な条件設定の理由について説明する。
ストローがフィルム(基材)を突き破るためには、フィルム基材自体の強度は勿論、フィルムの伸びや、フィルム樹脂の粘り等、複数の要素が関わっている。これらの特性は破裂強度を評価することで判別でき、破裂強度が弱い方が、ストローの圧力による基材の切れ目(穴)つきやすい。しかし、120kPa未満では基材強度が不十分で、複合化(印刷・貼り合せ)加工に耐えられない。一方、240kPa超では、一般的な包装用ポリエステルフィルムと突刺し性が変わらない。よって、破壊強度を上記範囲に定める。なお、同様の理由で下限を160kPa、上限を200kPaとするのが望ましい。
フィルム(基材)にストローによる圧力で、一旦切れ目(穴)が出来れば、引き裂き強度が弱い方が、その後、切れ目(穴)が押し広げられてのストローの進入が容易である。 20gf/32枚を超えると、ストローの強度の方が負けて、切れ目(穴)を押し広げるのが困難となる。なお、同様の理由で上限を15gf/32枚とするのが望ましい。 また、フィルムの引き裂き強度が弱いと、内容物の充填時や、商品の輸送時に蓋材が破裂してしまう不具合が発生するなどの理由により下限を5gf/32枚とするのが望ましい。
前記フィルムの厚みを12〜25μmに限定する。12μm未満では、ピッチ印刷が困難で、レコード皺による品質不具合も発生しやすい。一方、25μm超では、良好な突刺し性が得られない。よって、上記フィルムの厚みを上記範囲に定める。なお、同様の理由で下限を12μm、上限を20μmとするのが望ましい。
本発明としては、上記フィルムの材質は、破裂強度、引き裂き強度の条件を満たせば特定のものに限定されるものではないが、好適にはポリエステルフィルムを用いることができる。包装用資材で印刷を伴って使われている代表的なフィルムはPET以外にも、OPPフィルムやセロハン(PT)フィルムがある。OPPは一定以上の延伸処理を施さないと、フィルムの透明性や平滑性を確保出来ないため、所望の破裂強度を有するフィルムの製造が困難である。セロハンは20μm以下の厚みに成膜するのは難しく、ある程度の厚みを確保してしまうと、破裂強度が高くなる。一方PETフィルムは、成膜時に2軸延伸されるため、縦横の強度や伸びの差が少なく、延伸の程度を調整することで、他のフィルムに比べて比較的容易に破裂強度が低く、引き裂き性の良い特性を持ったフィルムを製造できる。
本発明の蓋材では、最表面のフィルムと、容器開口部との封止性を有して該開口部端に熱接着されるシーラント層を有しており、これらの2つの層で構成されるものであっても良いが、これらの間に1または2以上の層からなる中間層を有するものであってもよい。そして、該中間層では、少なくとも一つの層をアルミニウム箔で構成するのが望ましい。このアルミニウム箔によりストローの突刺し性が更に向上する。該アルミニウム箔は、純アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔を意味しており、本発明としては特定の組成に限定されるものではない。
なお、一般的な包装用PETフィルムを最表層に用いた場合、突刺し性を改善しようとして下層にアルミニウム箔層を設ける場合、20μmを超える厚みのアルミニウム箔が必要であり、箔厚の増加によるコスト増が避けられないが、本発明では、アルミニウム箔の厚さを20μm未満にできるので、コスト増を極力抑えてストロー突き刺し性を向上させることができる。
本発明の蓋材10は、最表層に好適には厚みが12〜25μmのポリエステルフィルムなどにより構成されるフィルム層11を有し、該蓋材10が接着される容器20の開口部21側にシーラント層13を有している。上記フィルム11は、厚みが12〜25μmで、かつ破裂強度が140〜240kPa、引き裂き強度が20gf/32枚以下である特性を有している。
なお、破裂強度は、JIS P8112−1994で規定された方法により測定することができる。また、引き裂き強度は、JIS K7127−2:1998で規定された方法により測定することができる。
また、上記シーラント層13には、既知の材料を採用することができ、本発明としては特定のものに限定されず、その厚さも特定されるものではない。
また、本発明では、上記フィルム層11とシーラント層13との間に、1層または複数層の中間層を設けることができる。該中間層は、アルミニウム箔、紙、ポリエチレンフィルムなどにより構成することができる。この実施形態では、中間層としてアルミニウム箔層12を有するものとして説明する。該アルミニウム箔の組成は特に限定されないが、例えば1N30が挙げられる。また、アルミニウム箔層12の厚さは、9〜20μm未満が望ましい。
上記各層の積層は、ドライラミネーションや押し出しポリエチレンラミネーションなどの既知の方法により行うことができ、本発明としては積層方法が特に限定されるものではない。
該容器20には、容器20の側壁にストロー30がプラスチックフィルムに収納される等しており、購買者などが容器20内の内容物を飲用しようとする際には、ストロー30をプラスチックフィルムから取り出し、蓋材10の上方から突き刺す。このとき、蓋材10には、ストロー30により容易に切れ目が形成され、さらにストロー30を突き進めることで切れ目が拡大してストロー30を容器20の内部にまで容易に突き刺すことができる。購買者などは、突き刺したストロー30を通して内容物を飲用することができる。
図3は、いくつかの積層構造の例を示すものである。なお、上記実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明する。
(b)図に示される蓋材10bは、フィルム層11、印刷層11a、接着剤層14a、アルミニウム箔層12が上記と同様にして積層されており、アルミニウム箔層12の下層に押出PE(ポリエチレン)層15、ホットメルトのシーラント層13bが積層されている。
(d)図に示される蓋材10dは、フィルム層11、印刷層11a、接着剤層14a、アルミニウム箔層12が上記と同様にして積層されており、アルミニウム箔層12の下層にドライラミネーションやウェットラミネーションによって接着剤層14bを介して紙層16が積層されており、紙層16の下層に上記シーラント層13cが積層されている。
(g)図に示される蓋材10gは、裏面側に印刷層11aを有するフィルム層11に、ドライラミネーションによって接着剤層14aを介してシーラントフィルム13aが積層されている。
(h)図に示される蓋材10hは、裏面側に印刷層11aを有するフィルム層11に、押出PE層15、シーラント層13bが積層されている。
ポリエステルフィルム(PET)を最表層とし、以下の構成により蓋材を構成した。
蓋材構成 ポリエステルフィルム/アルミニウム箔/シーラント層
ただし、シーラント層にPE−EVAフィルム30μmを用い、ポリエステルフィルムとアルミニウム箔層の厚みを変え、各材料を熱硬化型ウレタン系接着剤3g/m2を用いたドライラミネーション法により積層した供試材を用意した。なお、アルミニウム箔の組成は、1N30とした。
また、比較のため、最表層に防湿セロファンフィルム(PT)を用いたものと、ポリプロピレン二軸延伸フィルム(OPP)を用いたものを用意した。
それぞれの供試材について、突刺し強度とカール度の測定を行った。
突刺し強度は、食品衛生法に定められた試験方法に準拠し、測定針の代わりに市販のストロー(先端角度45度、直径4.84mm)を用い、突刺し角度は標準の垂直方向(90°)に加え、斜め(60°)からの測定も行った。
カール度の測定は、1辺10cmの正方形に裁断した供試材を、水平なテーブル面に置いた際の反り上がり高さを測定し、○:反り上がり高さ5mm未満、△:反り上がり高さ5〜20mm未満、×:反り上がり高さ20mm以上と評価した。
該試験結果を表1に示した。
11 フィルム
12 アルミニウム箔層
13 シーラント層
20 容器
21 開口部
30 ストロー
Claims (3)
- 厚みが12〜25μmで、かつ破裂強度が140〜240kPa、引き裂き強度が20gf/32枚以下であるフィルムを最表面に用い、少なくとも容器開口部に接する面にシーラント層を設けた、ストローの突刺し性に優れた容器用蓋材。
- 前記フィルムが、ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1記載のストローの突刺し性に優れた容器用蓋材。
- 前記フィルムと前記シーラント層との間に1または2以上の層からなる中間層が設けられており、該中間層の少なくとも一つの層が、アルミニウム箔で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のストローの突刺し性に優れた容器用蓋材。
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