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JP5911771B2 - 間欠塗布装置 - Google Patents

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JP5911771B2
JP5911771B2 JP2012176298A JP2012176298A JP5911771B2 JP 5911771 B2 JP5911771 B2 JP 5911771B2 JP 2012176298 A JP2012176298 A JP 2012176298A JP 2012176298 A JP2012176298 A JP 2012176298A JP 5911771 B2 JP5911771 B2 JP 5911771B2
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Description

本発明は、連続走行する基材に塗布液を間欠的に塗付する間欠塗布装置に関し、特に、塗布液の供給を停止することなく連続的に供給しながら、間欠的に塗付する間欠塗布装置に関する。
連続走行する基材に塗布液を間欠的に塗付する間欠塗布装置として、例えば、連続的に供給される金属薄膜シート上に間欠的に正極材料または負極材料からなる塗布液を塗布することにより、所定の長さ及び幅を有する塗布領域と非塗布領域とからなる塗布パターンを形成するリチウムイオン電池の間欠塗布装置が知られている。
このような間欠塗布装置は、塗布液を押し出すダイと、塗布液を貯留する貯留タンクと、貯留された塗布液をダイに供給するポンプなどの供給手段と、供給手段からダイまでの流路に設けられ、流路を開閉することにより、塗布液のダイへの供給と停止とを間欠的に切り替えるバルブ等の切替手段と、を備え、切替手段を開閉制御して塗布液の供給と停止とを交互に行うことにより、基材上に塗布パターンを形成するように構成されている(例えば、特許文献1,2)。
また、このような間欠塗布を行うにあたり、塗布液は粘性を有することから、塗布液の供給停止時においてダイの吐出口付近の塗布液が走行する基材に引っ張られ、塗付領域の終端部に塗布液の引き摺り痕が形成されることがある。
そこで、特許文献1,2記載の間欠塗布装置は、ダイ内の塗布液を受入れるシリンダと、塗布液の供給停止時に作動するピストンとを備え、塗布液の供給停止時にピストンを作動させてダイ内の塗布液をシリンダ内に引き込むことで、吐出口付近にある塗布液をダイ内に引き戻して引き摺り痕の発生を抑止し、直線的な塗付領域の終端部を形成するようになっている。
特許2842347号公報 特許3491196号公報
しかしながら、従来の間欠塗布装置では、以下のような問題があった。
例えば、塗布液の供給停止時には、ダイへの供給を絶つべく、バルブ等の切替手段を閉動作させるものの、ポンプなどの供給手段を停止しない限り、供給手段から切替手段に至るまでの流路において塗布液の圧力が上昇することになる。その結果、切替手段を開動作させ、塗布液のダイへの供給を開始すると、高圧の塗布液が噴出されることから、塗布膜が厚くなり過ぎてしまうことがあった。
このような厚塗りを防止するため、特許文献1,2記載の間欠塗布装置では、塗布液の供給停止時には、切替手段の閉動作と同時に、塗布液の流路を切り替えて塗布液を貯留タンクなどに還元することにより、圧力の上昇を回避させている。
ところが、このような間欠塗布装置では、切替手段の開閉動作に加えて、ピストンの引き込み/押し出し動作を同期させながら間欠塗布を行わなければならず、切替手段の開閉タイミング、ピストンの引き込み/押し出しタイミングを制御する複雑な処理が要求され、良好な運転状態に至るまでに微妙な調整を行わなければならなかった。
さらに、ピストン、切替手段というように可動する部品が多くなると、メンテナンス作業が煩雑になるという問題があった。
また、切替手段の閉動作時において、塗布液を貯留タンクに還元するための還元流路も設けなければならないことから、間欠塗布装置自体が大型化し、省スペース化を図る必要があった。
以上のような問題を解決すべく、本願発明者らは、鋭意研究の結果、バルブ等の切替手段、塗布液を貯留タンクに戻すための還元流路を設けることなく、連続走行する基材に塗布液を間欠的に塗付可能な本発明の間欠塗布装置に想到するに至ったものである。
すなわち、本発明は、上述したような現状の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、ピストンの引込動作時において、供給手段から単位時間あたりに供給される量以上の塗布液を同じ単位時間あたりに受け入れ可能な受容室を設けることにより、切替手段による開閉動作を行うことなく、また、塗布液を貯留タンクなどに戻すための還元流路も設けることなく、供給手段からダイへ塗布液を連続的に供給しながら、走行する基材に対して塗布液を間欠的に塗付可能な間欠塗布装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の間欠塗布装置は、所定の供給手段から供給される塗布液を走行する基材に間欠的に塗付する間欠塗布装置であって、塗布液を吐出する吐出口を先端部に有し、前記供給手段から供給される塗布液の流路となるスリットと、前記スリットに連通し、スリット内の塗布液を受け入れる受容室と、前記受容室をシリンダとして利用しながら動作し、スリット内の塗布液を受容室内に引き込む引込動作と引き込んだ塗布液をスリット内に押し戻す押戻動作とを交互に行うピストンと、を備え、前記受容室は、前記引込動作時において、前記供給手段から単位時間あたりに供給される量以上の塗布液を前記単位時間あたりに受け入れ、この受け入れにより、前記吐出口からの塗布液の吐出を停止させ、基材に塗布液の塗布されない非塗布領域を形成する構成としてある。
本発明の間欠塗布装置によれば、複雑な制御を行うことなく、装置全体のコンパクト化を図りながら、走行する基材に塗布液を間欠的に塗付することができる。
本発明の一実施形態に係る間欠塗布装置を示す概略斜視図である。 本発明の一実施形態に係る間欠塗布装置の内部構造を模式的に示した断面図である。 本発明の一実施形態に係る間欠塗布装置の間欠塗布動作を模式的に示した断面図であり、(a)は、ピストンが最もスリットに近接したときの図であり、(b)は、ピストンが最もスリットから離間したときの図である。
以下、本発明に係る間欠塗布装置の好ましい実施形態について、図1〜図3を参照しながら説明する。
本実施形態に係る間欠塗布装置1は、各図に示すように、塗布液を押し出すダイ10と、基材20を搬送する搬送ロール18と、塗布液を貯留する図示しない貯留タンクと、貯留タンクに貯留された塗布液をダイ10へ供給する図示しないポンプなどの供給手段と、を備え、連続走行する基材20に塗布液を間欠的に塗付する間欠塗布装置として構成されており、例えば、基材20として、銅、アルミニウムなどの金属薄膜シート上に正極材料(例えば、コバルト酸リチウム)または負極材料(例えば、カーボン)からなる塗布液を塗布することにより、塗布液で被覆された領域からなる塗布領域21と、基材20の露出する領域からなる非塗布領域22とを有する塗布パターンの形成されるリチウムイオン電池用の電極箔を製造する間欠塗布装置として構成されている。
さらに、間欠塗布装置1は、供給手段をオンオフ(供給/供給停止)制御することなく、又は、ダイ10への塗布液の供給と停止とを切り替え可能なバルブ等の切替手段を設けることなく、供給手段からダイ10へ塗布液を連続的に供給しながらも、塗布液を間欠的に塗付することができるようになっている。
以下、間欠塗布装置1の各部の構成について説明する。
搬送ロール18は、例えば、円筒状に形成されたステンレス製のロールから構成され、モータ等の駆動手段からの動力を受けて支軸を中心に回転することで、巻架された基材20を図1中c方向に搬送する。
ダイ10は、略直方体形状の外形を有し、供給手段から供給管15を介して供給される塗布液を内部に一時的に貯留するとともに、搬送ロール18に対向する面に形成された吐出口11aから、貯留した塗布液を基材20に向けて押出すように構成されている。
具体的には、ダイ10は、供給管15に連通するスリット11と、スリット11の先端部に形成され搬送ロール18に向かって開口する吐出口11aと、供給管15を介して供給される塗布液をスリット11の手前側で一次的に貯留するマニホールド14と、マニホールドに溜まった空気(ガス)を機外に放出する空気抜き管16と、マニホールド内の圧力を調整可能に開閉するバルブ16aと、スリット11に連通し、スリット11内に滞在する所定量の塗布液を受け入れ可能な内部空間を有する受容室12と、受容室12をシリンダとして利用しながら動作するピストン13と、ピストン13を駆動させるモータなどから構成される昇降装置17と、を備えている。
吐出口11aは、スリット11の先端部に位置するとともに搬送ロール18に対向配置され、塗布膜の厚みを規定する高さ方向の隙間と、基材20の走行方向cに直交する幅Wtとを有する矩形状の開口部であって、塗布液を基材20に向けて吐出可能に形成されている。
塗布領域21を被覆する塗布膜の厚みは、吐出口11aの隙間、基材20の搬送速度、塗布液の粘度などによって決定され、塗布領域21の幅W1は、吐出口11aの開口幅である幅Wtとほぼ同じ値となっている。
スリット11は、吐出口11aの隙間と同じ又はこれよりも大きい隙間と、吐出口11aの幅Wtと同じ又はこれよりも広い幅Wを有し、幅方向に沿った断面形状が幅方向を長辺とする矩形形状に形成され、マニホールド14に溜まった塗布液を吐出口11aに近づくにつれ徐々に薄膜状に均すための流路として形成されている。
また、本実施形態のスリット11は、水平を塗布液の流れ方向として延出形成されている。
受容室12は、スリット11の幅とほぼ同じ幅Wを一辺とする内部空間を有するとともに、少なくとも幅方向で連続的にスリット11に通じ、スリット11内の塗布液を受け入れ可能に形成されている。受容室12が連続的にスリット11に通じるとは、受容室12とスリット11との境界に角を有する段差が形成されることなく、円弧又はテーパを介してなだらかに通じることを意味する。
本実施形態の受容室12は、幅方向に沿った断面形状がスリット11の幅を一辺とする矩形形状を有し、スリット11に対して直交するように形成されている。
ピストン13は、受容室12の矩形形状に対応した断面形状、すなわち受容室12とほぼ同じ幅Wを有する平板状に形成されることにより、受容室12の内部空間全体をそのままシリンダとして利用しながら動作し、スリット11内の塗布液をその内部空間に引き込む引込動作と、引き込んだ塗布液をスリット11内に押し戻す押戻動作とを交互に行う。
この引込/押戻動作は、昇降装置17がピストン13を鉛直方向に昇降させることで実現され、昇降装置17がa方向にピストン13を上昇させる動作を引込動作といい、昇降装置17がb方向にピストン13を降下させる動作を押戻動作という。
このような構成からなる受容室12とピストン13とが協働することにより、基材20に対する間欠塗布が以下のように実現される。
例えば、図3(a)に示すように、ピストン13が最もスリット11に近接したときとなる最下部に位置するときには、マニホールド14を介してスリット11に連続的に流入する塗布液を吐出口11aから吐出することにより、この間に連続走行する基材20には、図1に示すように、走行方向に沿う長さL1に亘って塗布領域21が形成されることになる。つまり、ピストン13が最下部に位置する間を、塗布領域形成期間とすることができる。
一方、図3(b)に示すように、ピストン13がa方向に移動してスリット11内の塗布液を吸引する引込動作では、以下に示すように、基材20上に非塗布領域22が形成されることになる。
具体的には、受容室12は、ピストン13の引込動作時において、供給手段から単位時間あたりに供給される量以上の塗布液を同一の単位時間あたりに受け入れるようになっている。
例えば、供給手段からほぼ一定の流速で一定の量の塗布液がダイ10に供給されているとすると、ピストン13がa方向に移動を開始し、その後速度を上げ、供給手段から単位時間あたりに供給される量以上の塗布液が受容室12に引き込まれ始めると、供給手段から供給される量に相当する塗布液がそのまま受容室12に引き込まれることになるので、吐出口11aからの塗布液の吐出が停止することになる。このタイミングから、基材20上に非塗布領域22が形成し始めることになり、この状態が継続する限り、図1に示すように、連続走行する基材20に非塗布領域22を形成し続けることができる。
すなわち、非塗布領域22は、受容室12が供給手段から単位時間(例えば、1秒)あたりに供給される量以上の塗布液を同一の単位時間(例えば、1秒)あたりに受け入れることで形成され、非塗布領域22の走行方向に沿う長さL2は、この単位時間と受け入れ時間(引き込み時間)との積に比例することになる。
このように、ピストン13の引込動作時において、受容室12が供給手段から単位時間あたりに供給される量以上の塗布液を同一の単位時間あたりに受け入れることにより、吐出口11aからの塗布液の吐出を停止させ、基材20に塗布液の塗布されない非塗布領域22を形成することができる。
また、言い換えると、受容室12が供給手段から単位時間あたりに供給される量以上の塗布液を同一の単位時間あたりに受け入れ不能な状態、例えば、供給される量未満の受け入れでは、吐出口11aから塗布液が吐出され、基材20に塗布液の塗布される塗布領域21が形成されることになる。
なお、受容室12が供給手段から単位時間あたりに供給される量以上の塗布液を同じ単位時間あたりに受け入れるためには、受容室12の断面積(a−b方向と直交方向の断面積)と、引込動作時におけるピストン13のa方向への移動速度との積を、供給手段から単位時間あたりに供給される量以上に設定することで実現できる。
すなわち、受容室12の断面積及び/又はピストン13の移動速度を、供給手段から単位時間あたりに供給される量(流量)以上の塗布液を引き込み可能な値に設定(設計)することにより、受容室12が供給手段から単位時間あたりに供給される量以上の塗布液を同じ単位時間あたりに受け入れることができる。
さらに、この引込動作により、塗布領域21の終端部をきれいな直線形状とすることができる。
これは、この引込動作により、吐出口11a付近にある塗布液もスリット11内に引き込まれるからである。
つまり、非塗布領域22の形成開始時において、粘性を有する塗布液は走行する基材に引っ張られるものの、スリット11内にも向かって引っ張られることから、塗布液の切れがよくなり、これにより、引き摺り痕の発生が抑制されることになる。
特に、受容室12は、スリット11の幅とほぼ同じ幅Wを一辺とする内部空間を有するとともに、少なくとも幅方向で連続的にスリット11に通じているため、吐出口11a付近にある塗布液がスリット11内に幅方向に亘って均等に引き込まれることになるので、塗布領域21の終端部がきれいな直線状となる。
また、この引込動作にあたり、受容室12が受け入れる量は、供給手段から単位時間あたりに供給される量以上であって、この量を超える塗布液を同じ単位時間あたりに受け入れることが好ましい。これは、供給手段から単位時間あたりに供給される量の塗布液のみならず、吐出口11a付近にある塗布液をスリット11内に確実に引き込むためである。
また、受容室12は、引込動作の行われる間に供給手段から供給される量に相当する塗布液を受け入れ可能な容積を少なくとも有することにより、引込動作時において、供給手段から単位時間あたりに供給される量以上の塗布液を同じ単位時間あたりに受け入れながら、引込動作の行われる間に供給手段から供給される量の塗布液を引き込む(受け入れる)ようになっている。
なお、引込動作の行われる間とは、最下部に位置するピストン13が上昇を開始して、スリット11から最も離間したときとなる最上部に移動し、その後、降下が開始するまでの間とすることができる。
これにより、引込動作の行われる間に供給手段から供給される量に相当する塗布液を、ダイ10内に止めおくことができるので、この間は吐出口11aからの塗布液の吐出が停止され、この間に連続走行する基材20には、図1に示すように、走行方向に沿う長さL2に亘って非塗布領域22が形成されることになる。
また、受容室12は、ピストン13の引込動作時及び押戻動作時において、引込動作の行われる間に供給手段から供給される量に相当する塗布液に加え、最上部に位置するピストン13が降下して最下部に移動するまでの間、すなわち、押戻動作の行われる間に供給手段から供給される量に相当する塗布液を引き込むこともできる。
これにより、引込動作の行われる間と押戻動作の行われる間、すなわち、引込動作の開始から押戻動作の終了までに供給手段から供給される量に相当する塗布液を、ダイ10内に止めおくことができるので、少なくともこの間は、吐出口11aからの塗布液の吐出が停止するので、この間に連続走行する基材20には、走行方向に沿う長さL2に亘って非塗布領域22が形成されることになる。
なお、非塗布領域22の長さL2は、非塗布領域22が形成し始めてから引込動作の終了まで又は押戻動作の終了までの時間に比例することから、この間に、搬送ロール19の回転速度を変化させることで、非塗布領域22の長さL2を調整することもできる。例えば、この間の回転速度を遅くすると、非塗布領域22の長さL2が短くなり、回転速度を速くすると、長くすることができる。
次に、最上部に位置するピストン13がb方向に移動して最下部に移動する動作、すなわち、受容室12に引き込んだ塗布液をスリット11内に押し戻す押戻動作では、以下に示すように引込動作時に受容室12が受け入れた塗布液の量に応じて塗布領域21の形成の始期が変化するようになっている。
具体的には、受容室12が引込動作時においてこの引込動作の行われる間に供給手段から供給される量に相当する塗布液を受け入れた場合では、押戻動作の開始後から、塗布領域21の形成が始まることになる。
一方、受容室12が引込動作時及び押戻動作時において、引込動作の行われる間に供給手段から供給される量に相当する塗布液と、押戻動作の行われる間に供給手段から供給される量に相当する塗布液とを受け入れた場合では、押戻動作の終了後から、塗布領域21の形成が始まることになる。
以下、それぞれの場合について説明する。
受容室12が引込動作時においてこの引込動作の行われる間に供給手段から供給される量に相当する塗布液を受け入れた場合には、押戻動作の開始後である、ピストン13がb方向に移動を開始した直後から、塗布領域21の形成が始まることになる。
これは、押戻動作の開始直後において、受容室12には、引込動作の行われる間に供給手段から供給される量に相当する塗布液が既に充填されているとともに、マニホールド14を含むダイ10の内部空間はすべて塗布液で満たされていることに加え、供給手段からは絶間なく塗布液が供給されているからである。
つまり、受容室12が引込動作時にこの引込動作の行われる間に供給手段から供給される量に相当する塗布液を受け入れたときには、押戻動作の開始直後は、ダイ10の内部空間はすべて塗布液で満たされ、供給手段からの供給圧のみでも塗布液が吐出口11aから吐出可能な状態にあることから、ピストン13がb方向に移動を開始した直後から、塗布領域21の形成が始まることになる。
また、このときには、押戻動作の開始直後は、ダイ10の内部空間はすべて塗布液で満たされた状態にあることから、スリット11内の塗布液には、ピストン13のb方向への移動による押圧力と、供給手段からの供給圧とが加わることになる。
そうすると、ピストン13のb方向への移動は、スリット11内の塗布液の圧力を上昇させることになり、このときの圧力の変動は、吐出口11aから吐出される塗布液の量を変動させることになる。
そこで、ピストン13のb方向への移動速度は、スリット11内の塗布液の圧力変動を最小限に抑えるべく、最上部から最下部に亘って一定の速度であることが好ましい。
また、ピストン13が最下部に達すると(図3(a)参照)、スリット11内の塗布液には、ピストン13からの押圧力が加わらず、供給手段からの供給圧のみが加わることになる。そうすると、押戻動作の行われる間と、ピストン13が最下部に位置するときとでは、スリット11内の塗布液に加わる圧力が変化してしまうことになり、このような圧力の変化する二つの状態に跨って塗布領域21を形成すると、塗布膜に厚薄の違いを生じさせることになる。
そこで、ピストン13が最下部に位置する間を塗布領域形成期間とすることなく、ピストン13が最上部から最下部に移動する間、すなわち、押戻動作を行っている間を、塗布液を吐出口11aから吐出させて塗布領域21を形成する塗布領域形成期間とすることもできる。
これにより、押戻動作の行われる間において、供給手段による供給圧と、ピストン13による押圧力とを一定の圧力に維持することにより、厚薄のムラのない塗布領域21を形成することができる。
このように、ピストン13の引込動作時において、受容室12が引込動作の行われる間に供給手段から供給される量に相当する塗布液を受け入れた場合では、押戻動作の開始から、吐出口11aから塗布液を吐出させ、押戻動作の開始から終了までの間に連続走行する基材20には、図1に示すように、走行方向に沿う長さL1に亘った塗布領域21を形成することができる。
また、受容室12を、スリット11の幅とほぼ同じ幅に形成し、少なくとも幅方向で連続的にスリット11に通じさせることにより、ピストン13の押戻動作において、ピストン13の動作による圧力がスリット11内の塗布液に均等に圧力が伝わることになる。
その結果、吐出口11a付近にある塗布液に加わる圧力(正圧)が幅方向に亘って均等になるため、吐出開始時に対応する塗布領域21の始端部を直線状とすることができる。
一方、受容室12が引込動作時及び押戻動作時において、引込動作の行われる間に供給手段から供給される量に相当する塗布液と、押戻動作の行われる間に供給手段から供給される量に相当する塗布液とを受け入れた場合には、押戻動作の終了後から、塗布領域21の形成が始まることになる。
これは、押戻動作の行われる間は、ダイ10の内部空間は未だすべて塗布液で満たされておらず、供給手段からの供給を待っている状態であり、ピストン13が最下部に移動し、押戻動作が終了したときにはじめてダイ10の内部空間がすべて塗布液で満たされることになるからである。
つまり、受容室12が引込動作時及び押戻動作時において、引込動作の行われる間に供給手段から供給される量に相当する塗布液と、押戻動作の行われる間に供給手段から供給される量に相当する塗布液とを受け入れたときには、押戻動作が終了するまで、塗布液で満たされない空間がダイ10内に残されていることから、この空間が塗布液で満たされる押戻動作の終了時が塗布領域形成期間の始期となるのである。
この押戻動作の終了時には、ピストン13が最下部に位置することから、スリット11内の塗布液には、ピストン13からの押圧力が加わらず、供給手段からの供給圧のみが加わることになり、塗布液は供給手段からの圧力により吐出口11aから吐出し、連続走行する基材20に、塗布領域21が形成されることになる。つまり、最初に述べたように、ピストン13がスリット11に最も近接する最下部に位置するときを(図3(a)参照)、塗布領域形成期間とすることもできる。
これにより、ピストン13が最下部に位置する間に、供給手段による供給圧を一定の圧力に維持することにより、厚薄のムラのない塗布領域21を形成することができる。
このように、ピストン13の引込動作時及び押戻動作時において、受容室12が引込動作の行われる間に供給手段から供給される量に相当する塗布液と、押戻動作の行われる間に供給手段から供給される量に相当する塗布液とを受け入れた場合では、押戻動作の終了後から、吐出口11aから塗布液を吐出させ、押戻動作の終了後から引込動作の開始(正確には、供給手段から単位時間あたりに供給される量以上の塗布液が受容室12に引き込まれ始めたとき)までの間に連続走行する基材20には、図1に示すように、走行方向に沿う長さL1に亘った塗布領域21を形成することができる。
なお、この場合でも、ピストン13のb方向への移動は、スリット11内の塗布液の圧力を上昇させることになり、急激な圧力の変動は、吐出口11aから塗布液を吐出させることになるため、ピストン13のb方向への移動は、スリット11内の塗布液の圧力変動を最小限に抑えるべく、最上部から最下部に亘って一定の速度であることが好ましい。
以上説明したように本実施形態の間欠塗布装置1によれば、ピストン13の引込動作と押戻動作のみにより、間欠塗付が実現されるので、複雑な制御を行う必要がない。また、塗布液を貯留タンクに還元することもないので装置全体のコンパクト化を図りながら、走行する基材に塗布液を間欠的に塗付することができる。
以上、本発明の間欠塗布装置の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る間欠塗布装置は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
例えば、バルブ16aを、電磁バルブとして開閉制御可能に構成することにより、ピストン13が引込動作及び/又は押戻動作を行っているときに、バルブ16aを開制御又は閉制御することにより、例えば、ピストン13の引込動作時には、閉制御を行い、ピストン13の押戻動作時には、開制御を行うことで、スリット11内の塗布液の圧力変動を抑制することもできる。
また、ポンプ等の供給手段を停止させることなく、供給手段からの流量を変動制御(例えば、ポンプをPWM制御)しながら、ピストン13を動作させることもできる。
また、昇降装置17をコンピュータにより制御し、上昇及び降下の速度を、例えば、降下時よりも上昇時を速くするなどの調整を行うこともできる。
また、昇降装置17と搬送ロール18を駆動させるモータ等の駆動手段とを、連動制御可能なコンピュータを設けることにより、ピストン13の動作や位置に応じて搬送ロール18の回転速度を調節することもできる。これにより、前述したように、塗布領域21の長さL1、非塗布領域22の長さL2などを調整することもできる。
また、本実施形態の間欠塗布装置1では、スリット11を水平方向に延出形成したが、垂直方向、又はそれ以外の方向に延出形成することもできる。
また、スリット11の延出方向の変更に伴い、スリット11と交わる受容室12の方向も変化するものの、スリット11と受容室12とは必ずしも直交しなくてもよい。
また、受容室12の基材20の走行方向に沿った長さ(隙間)は、スリット11の隙間と同じかそれ以上とすることが好ましい。また、受容室12は、走行方向に沿った長さ方向においても連続的にスリット11に通じることが好ましい。
また、本実施形態の受容室12の幅は、スリット11の基材走行方向に直交する幅とほぼ同じ幅としたがこれより広くてもよい。この場合でも、スリット11内の塗布液を均等に吸引すべく、受容室12は少なくとも幅方向で連続的に(段差を有することなく)スリット11に通じるように(段々と幅が広くなる)、例えば、スリット11と受容室12との連結部を、すり鉢状、又は漏斗状に構成することが好ましい。
また、受容室12の幅方向に沿った断面形状は、矩形状に限らす、丸形、楕円形、多角形でもよく、この形状に応じてピストン13の形状も変化することはいうまでもない。
本発明は、連続走行する基材に塗布液を間欠的に塗付する間欠塗布装置に利用することができる。
1 間欠塗布装置
10 ダイ
11 スリット
11a 吐出口
12 受容室
13 ピストン
14 マニホールド
15 供給管
16 空気抜き管
17 昇降装置
18 搬送ロール
20 基材
21 塗布領域
22 非塗布領域

Claims (4)

  1. 所定の供給手段から供給される塗布液を走行する基材に間欠的に塗付する間欠塗布装置であって、
    塗布液を吐出する吐出口を先端部に有し、前記供給手段から供給される塗布液の流路となるスリットと、
    前記スリットに連通し、スリット内の塗布液を受け入れる受容室と、
    前記受容室をシリンダとして利用しながら動作し、スリット内の塗布液を受容室内に引き込む引込動作と、引き込んだ塗布液をスリット内に押し戻す押戻動作とを交互に行うピストンと、を備え、
    前記受容室は、前記引込動作時において、
    前記供給手段から単位時間あたりに供給される量以上の塗布液を前記単位時間あたりに受け入れ、
    この受け入れにより、前記吐出口からの塗布液の吐出を停止させ、基材に塗布液の塗布されない非塗布領域を形成し、
    前記受容室は、
    前記スリットの前記基材走行方向に直交する幅以上の幅を一辺とする内部空間を有するとともに、少なくとも幅方向で連続的にスリットに通じる
    ことを特徴とする間欠塗布装置。
  2. 前記受容室は、前記引込動作時において、
    前記引込動作の行われる間に前記供給手段から供給される量に相当する塗布液を受け入れ、
    前記押戻動作の開始後において、前記吐出口から塗布液を吐出させ、基材に塗布液の塗布される塗布領域を形成する
    ことを特徴とする請求項1記載の間欠塗布装置。
  3. 前記受容室は、前記引込動作時及び前記押戻動作時において、
    前記引込動作の行われる間に前記供給手段から供給される量に相当する塗布液と、前記押戻動作の行われる間に前記供給手段から供給される量に相当する塗布液とを受け入れ、
    前記押戻動作の終了後において、前記吐出口から塗布液を吐出させ、基材に塗布液の塗布される塗布領域を形成する
    ことを特徴とする請求項1記載の間欠塗布装置。
  4. 前記スリットは、前記幅方向に沿った断面形状が幅方向を長辺とする矩形形状を有し、
    前記受容室は、前記幅方向に沿った断面形状が前記長辺を一辺とする矩形形状を有し、
    前記ピストンは、前記受容室の矩形形状に対応した断面形状を有する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の間欠塗布装置。
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