JP5991349B2 - 作業車両の原動部構造 - Google Patents
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Description
そこで、本発明の主たる課題は、かかる問題点を解消することにある。
請求項1に係る発明は、エンジンルーム(8)内に配置されるエンジン(E)と、該エンジン(E)の冷却水を冷却するラジエータ(50)と、前記エンジン(E)とラジエータ(50)の間に配置され、駆動状態と停止状態に切換可能な外気吸入用の冷却ファン(20)及び排気用の排塵ファン(30)と、前記エンジン(E)から前記冷却ファン(20)及び前記排塵ファン(30)への伝動を、夫々接続及び遮断する第1テンションローラ(26)及び第2テンションローラ(36)と、該第1テンションローラ(26)及び第2テンションローラ(36)を移動操作して、前記冷却ファン(20)の駆動状態において排塵ファン(30)を停止状態に切換え、前記冷却ファン(20)の停止状態においては排塵ファン(30)を駆動状態に切換える駆動状態切換手段(45)とを備え、該駆動状態切換手段(45)は、前記冷却ファン(20)を支持する第1回転軸(24)の軸心方向から見て、冷却ファン(20)の回転軌跡の外側に配置され、前記駆動状態切換手段(45)は、電動モータの出力により回転する出力軸(45D)と、前記出力軸(45D)の回転により、該出力軸(45D)回りに公転する2つのピン(45C)を有し、前記2つのピン(45C)に一端が装着され、前記第1テンションローラ(26)の支持部(26B)及び前記第2テンションローラ(36)の支持部(36B)の夫々にロッド(80D)およびスプリング(80E)を介して他端が接続される2つのアーム(80C)を備え、該2つのアーム(80C)の中間部は、前記第1テンションローラ(26)の支持部(26B)及び前記第2テンションローラ(36)の支持部(36B)における前記スプリング(80E)の装着部と前記出力軸(45D)を結ぶ直線から離れる方向に湾曲した形状に形成されている作業車両の原動部構造である。
請求項4に係る発明は、前記冷却ファン(20)の羽根(20A)の翼角度と前記排塵ファン(30)の羽根(30A)の翼角度が互いに反対の角度に設定されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の作業車両の原動部構造である。
〈原動部の第1の態様〉
エンジンルーム8の内側には、図3,4に示すように、エンジンEが配置され、エンジンEの外気を吸入する上流側である右側には、一定の間隔を隔てて、エンジンEによって加熱された冷却水を冷却するラジエータ50が配置されている。
上側回転軸10に伝動された回転は、上側回転軸10の右側端部に取付けられた第1プーリ21と、第1プーリ21と第2プーリ23に巻回された第1ベルト22を介して、エンジンルーム8の上下方向の中間部に左右方向に向かって延設された回転軸(請求項における「第1回転軸」)24の左側端部に取付けられた第2プーリ23に伝動される。
冷却ファン20の回転時には、カバー8Aの濾過体8Bを介して、外気をエンジンルーム8の内側に吸入して、ラジエータ50等の表面に送風することにより、ラジエータ50の冷却効率を高めることができる。なお、便宜上、冷却ファン20の回転時を駆動状態といい、冷却ファン20の回転の停止時を停止状態という。
排塵ファン30の回転時には、カバー8Aの濾過体8Bを介して、内気を外部に排気して、内気を濾過体8Bに送風することにより、濾過体8Bに付着した粉塵を除去することができ、冷却ファン20による外気の吸入効率を一定に維持することができる。なお、便宜上、排塵ファン30の回転時を駆動状態といい、排塵ファン30の回転の停止時を停止状態という。
次に、冷却ファン20について説明する。冷却ファン20は、図3,4に示すように、羽根20Aと、羽根20Aの基部を支持する中心部20Dから形成され、中心部20Dは、回転軸24の右側端部に取付けられている。
次に、排塵ファン30について説明する。排塵ファン30は、図3,4に示すように、冷却ファン20の外気の吸入効率の低下を防止するために、冷却ファン20の左側に配置されている。
冷却ファン20の外気の吸入効率の低下を防止するために、羽根30Aの外径は、冷却ファン20の羽根20Aの外径よりも小さく形成されている。
次に、回転軸24と筒状回転軸34を、支持部25を介して配置した構成について説明する。回転軸24を軸支する支持部25の左側部の外周部は、図3,6に示すように、背面視において第2プーリ23と第4プーリ33の間に、上下方向に延設されたブラケット40の連結部43に取付けられている。
(冷却ファン等への伝動の切換え)
次に、エンジンEの回転を冷却ファン20または排塵ファン30に切換えて伝動する構成について説明する。
エンジンEの回転を冷却ファン20に伝動して冷却ファン20を回転するには、第1プーリ21と第2プーリ23に巻回された第1ベルト22の上下方向の略中間部に、第1テンションローラ26のローラ26Aを押圧させることにより第1ベルト22の張力を所定以上にすることにより行なう。すなわち、第1ベルト22の張力を所定以上の張力にすることにより、第1ベルト22と第1プーリ21の間、及び第1ベルト22と第2プーリ23の間での滑りを防止し、第1プーリ21に伝動されたエンジンEの回転を、第1ベルト22を介して第2プーリ23に伝動する。
エンジンEの回転を排塵ファン30に伝動して排塵ファン30を回転するには、第3プーリ31と第4プーリ33に巻回された第2ベルト32の上下方向の略中間部に、第2テンションローラ36のローラ36Aを押圧させることにより第2ベルト32の張力を所定以上にすることにより行なう。すなわち、第2ベルト32の張力を所定以上の張力にすることにより、第2ベルト32と第3プーリ31の間、及び第2ベルト32と第4プーリ33の間での滑りを防止し、第3プーリ31に伝動されたエンジンEの回転を、第2ベルト32を介して第4プーリ33に伝動する。
〈原動部の第2の態様〉
次に、図8〜図16を参照して、第2の態様に係る原動部について説明する。第2の態様に係る原動部は、主に、回転軸24と筒状回転軸34へエンジンEの動力を伝達する伝動軸がエンジンEの後方に配置されている点や、駆動状態切換手段45がエンジンルーム8の外側に配置されている点で、第1の態様に係る原動部と異なっている。なお、以下の説明において、第1の態様と共通する構成、作用及び効果についての重複する説明は省略する。
エンジンEの回転動力は、エンジンEの回転動力の出力軸であるクランクシャフト60の機体外側(右側)の端部から、エンジンEの後方に配置された中間伝動部150へ伝達される。この中間伝動部150に伝達された動力は、この中間伝動部150において、ファン伝動部160と排出伝動部170に分岐して伝達される。なお、ファン伝動部160は、冷却ファン20と排塵ファン30を含むファン装置を駆動する伝動部であり、排出伝動部170は、排出筒7を含む穀粒排出装置を駆動する伝動部である。
中間伝動部150は、クランクシャフト60のプーリ61に巻き掛けられたベルト62と、このベルト62が巻き掛けられるプーリ63と、このプーリ63と一体回転する後部伝動軸110と、後部伝動軸110の機体外側(右側)部に設けられ、後部伝動軸110と一体回転する第1プーリ121及び第3プーリ131と、後部伝動軸110の機体内側(左側)端部が入り込む伝動ギヤボックス70と、この伝動ギヤボックス70に設けられ、プーリ72を有する軸71を含む。なお、伝動ギヤボックス70の内部では、後部伝動軸110に設けられたベベルギヤと軸71に設けられたベベルギヤが噛合っている。
排出伝動部170は、軸71プーリ72に巻き掛けられるベルト73と、このベルト73が巻き掛けられるプーリ74と、このプーリ74と一体回転する排出螺旋軸75を含む。この排出螺旋軸75は、グレンタンク5内の下部に配置されており、貯留された穀粒を排出筒7側へ移送すると共に、排出筒7に内装される螺旋軸を駆動するものである。なお、ベルト73には穀粒排出装置の伝動を接続及び遮断するテンションクラッチ(図示省略)が設けられている。
ファン伝動部160は、前記第1プーリ121に巻き掛けられる第1ベルト122と、この第1ベルト122が巻き掛けられる第2プーリ23と、この第2プーリ23から冷却ファン20に到る前述の各伝動部材と、第3プーリ131に巻き掛けられる第2ベルト132と、この第2ベルト132が巻き掛けられる第4プーリ33と、この第4プーリ33から排塵ファン30に到る各伝動部材を含む。
中間伝動部150は、エンジンルーム8の後側に配置され、更に、少なくともその一部が、前記後側フレーム1Bと後述する左後側フレーム(請求項における「後側フレーム」であり、「フレーム」)1Dよりも後側に配置されている。また、中間伝動部150は、エンジンルーム8とグレンタンク5の前壁5Aの間に形成される空間Sに配置されている。
ファン伝動部160は、冷却ファン20及び排塵ファン30と、エンジンEの間に形成される空間である間隔部Bに配置されている。すなわち、ファン伝動部160は、エンジンルーム8の後側に配置される中間伝動部から、間隔部Bに入り込んで、冷却ファン20及び排塵ファン30に至る。
回転軸24と筒状回転軸34は、支持部25に回転自在に支持されている。支持部25は、溶接等の手段によりブラケット140(請求項における「ファンフレーム」)の中心部140Aと一体化されている。ブラケット140は、回転軸24の軸心方向から見て中心部140Aから、支持部25から放射方向に延伸する3つのアーム部を有する三又形状に形成されている。すなわち、ブラケット140は、前方かつ、やや上方へ延びる前アーム部141と、後方へ延びる後アーム部142と、下方へ延びる下アーム部143を有する。
また、ブラケットの中心部140Aは、第2プーリ23及び第4プーリ33の外径と略同径に形成されている。第2プーリ23の外周部23Aと中心部140A、第4プーリ33と中心部140Aは、それぞれ、回転軸24の軸心方向で近接しており、両者の隙間から塵埃等の異物が侵入しない程度に形成されている。すなわち、第2プーリ23と第4プーリ33の外周部における回転軸24の軸心方向での隙間は、ブラケット140の中心部140Aにより塞がれている。
ブラケット140は、図12〜14に示すとおり、前アーム部141の先端部(前端部)は、前側フレーム1Aと連結されている。後アーム部142の先端部(後端部)は、後側フレーム1Bと連結されている。下アーム部143の先端部(下端部)は、機体フレーム1に設けられたブラケット1Eと連結されている。
(駆動状態切換手段)
駆動状態切換手段45は、エンジンルーム8の外(後側)に配置されている。駆動状態切換手段45は、エンジンルーム8の左後側フレーム1Dの後部に取り付けられている。ここで、左後側フレーム1Dとは、エンジンルーム8の左後方において、機体フレーム1から立ち上げられたフレームである。また、前側フレーム1A、後側フレーム1Bと、エンジンルーム8の左前部に配置される左前側フレーム(請求項における「フレーム」)1Cと共に、操縦席6を支持する構造部材である。
ブラケット91は、ステー90にリザーバタンク92を固定するためのボルトを利用して共締めすることにより、ステー90に固定されている。
上記の構成により、駆動状態切換手段45は、電動機を駆動して、出力軸45Dを一定角度回転させる。このとき、ピン45Cは、出力軸45D回りに公転して、連繋手段80のインナーケーブル80Bを押し引きし、第1テンションローラ26,第2テンションローラ36によるベルトの張力を変化させる。すなわち、駆動状態切換手段45は、一方のテンションローラに接続されたインナーケーブル80Bを駆動状態切換手段45側へ引き付け、トルク・スプリング85の付勢力に抗してベルトの張力を減少させると共に、他方のテンションローラに接続されたインナーケーブル80Bを押し出すことでテンションローラの引き付け力を減少させて、ベルトの張力を増加させる。
図16に示すとおり、プーリ63は、後部伝動軸110に固定キー64によって固定されている。後部伝動軸110の外周面にキー溝部111が形成されている。このキー溝部111内に入り込んだ固定キー64が、プーリ63と後部伝動軸110の間に介在することで、プーリ63が、後部伝動軸110に相対回転不能な状態で固定される。なお、キー溝部111は、後部伝動軸110の軸心方向に間隔をおいて、後部伝動軸110の外周面の2箇所に形成されている。
図16(a)は、プーリ63の位置が左側の位置に設定された状態であり、図16(b)は、プーリ63の位置が右側の位置に設定された状態である。このようにプーリ63の位置を変更する際には、第1カラー112と第2カラー113を入れ替えて後部伝動軸110に装着する。また、プーリ63の位置変更に伴って、プーリ62に巻き掛けられるベルト62に張力を付与するテンションローラ115を付け替える。
(第2の態様に係る効果)
第2の態様の原動部において、中間伝動部150は、エンジンルーム8の外(後側)に配置されている。このことにより、エンジンEと冷却ファン20及び排塵ファン30の間の間隔部Bに位置する伝動部材を少なくすることができ、エンジンEと2つのファンを接近させて送風による冷却効率を高めることができる。また、中間伝動部150のメンテナンスが容易になる。
次に、図18〜図19を参照して、第1テンションローラ26及び第2テンションローラ36と、これらのテンションローラへの連繋手段80の接続形態の第1の変形例について説明する。第1テンションローラ26は、ピン86を基準として、ローラ26A,36Aが設けられた側とは反対側へ向って延在するベルトストッパ102を備えている。また、第2テンションローラ36はベルトストッパ103を備えている。これらのベルトストッパ102,103は、丸棒状に形成され、溶接などの接合手段により夫々ローラ支持部26B、36Bに固定されている。
次に、図20〜図21を参照して、第1テンションローラ26及び第2テンションローラ36、駆動状態切換手段45と、連繋手段80の接続形態の第2の変形例について説明する。
連繋手段80は、ピン45Cに一端が装着されるアーム80Cと、アーム80Cの他端に連結されるロッド80Dと,ロッド80Dと第1テンションローラ26及び第2テンションローラ36を接続するスプリング80Eを備えている。
1B 後側フレーム(フレーム)
1C 左前側フレーム(フレーム)
1D 左後側フレーム(フレーム)
8 エンジンルーム
20 冷却ファン
24 回転軸(第1回転軸)
26 第1テンションローラ
26B (ロッド支持部)支持部
30 排塵ファン
34 筒状回転軸(第2回転軸)
36 第2テンションローラ
36B ロッド支持部(支持部)
45 駆動状態切換手段
45C ピン
45D 出力軸
50 ラジエータ
80C アーム
80D ロッド
80E スプリング
140 ブラケット(フレーム)
142 後アーム部
142A 開口部
E エンジン
Claims (5)
- エンジンルーム(8)内に配置されるエンジン(E)と、
該エンジン(E)の冷却水を冷却するラジエータ(50)と、
前記エンジン(E)とラジエータ(50)の間に配置され、駆動状態と停止状態に切換可能な外気吸入用の冷却ファン(20)及び排気用の排塵ファン(30)と、
前記エンジン(E)から前記冷却ファン(20)及び前記排塵ファン(30)への伝動を、夫々接続及び遮断する第1テンションローラ(26)及び第2テンションローラ(36)と、
該第1テンションローラ(26)及び第2テンションローラ(36)を移動操作して、前記冷却ファン(20)の駆動状態において排塵ファン(30)を停止状態に切換え、前記冷却ファン(20)の停止状態においては排塵ファン(30)を駆動状態に切換える駆動状態切換手段(45)とを備え、
該駆動状態切換手段(45)は、前記冷却ファン(20)を支持する第1回転軸(24)の軸心方向から見て、冷却ファン(20)の回転軌跡の外側に配置され、
前記駆動状態切換手段(45)は、
電動モータの出力により回転する出力軸(45D)と、
前記出力軸(45D)の回転により、該出力軸(45D)回りに公転する2つのピン(45C)を有し、
前記2つのピン(45C)に一端が装着され、前記第1テンションローラ(26)の支持部(26B)及び前記第2テンションローラ(36)の支持部(36B)の夫々にロッド(80D)およびスプリング(80E)を介して他端が接続される2つのアーム(80C)を備え、
該2つのアーム(80C)の中間部は、前記第1テンションローラ(26)の支持部(26B)及び前記第2テンションローラ(36)の支持部(36B)における前記スプリング(80E)の装着部と前記出力軸(45D)を結ぶ直線から離れる方向に湾曲した形状に形成されている
作業車両の原動部構造。 - 前記駆動状態切換手段(45)は、前記エンジンルーム(8)の隅部に配置されるフレーム(1A,1B,1C,1D)のうちの、エンジンルーム(8)の後部に位置する後側フレーム(1B,1D)の近傍に配置されている
請求項1に記載の作業車両の原動部構造。 - 前記冷却ファン(20)及び前記排塵ファン(30)を回転自在に支持するファンフレーム(140)は、前記後側フレーム(1B)と連結されると共に、中央部分に開口部(142A)が形成された後アーム部(142)を有する
請求項1または請求項2に記載の作業車両の原動部構造。 - 前記冷却ファン(20)の羽根(20A)の翼角度と前記排塵ファン(30)の羽根(30A)の翼角度が互いに反対の角度に設定されている
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の作業車両の原動部構造。 - 前記排塵ファン(30)を支持する第2回転軸(34)は、前記第1回転軸(24)と同一軸心上に配置されている
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の作業車両の原動部構造。
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