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JP5987437B2 - 自動車用侵入検知装置 - Google Patents

自動車用侵入検知装置 Download PDF

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JP5987437B2 JP2012095144A JP2012095144A JP5987437B2 JP 5987437 B2 JP5987437 B2 JP 5987437B2 JP 2012095144 A JP2012095144 A JP 2012095144A JP 2012095144 A JP2012095144 A JP 2012095144A JP 5987437 B2 JP5987437 B2 JP 5987437B2
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Description

本発明は、超音波を利用して車室内への侵入を検出するようにした自動車用侵入検知装置に関するものである。
車室内への侵入を検出(検知)するため、超音波発信手段から車室内に超音波を発信すると共に、車室内に発信された超音波を超音波受信手段で受信することが行われている。特に、受信状態の変化によって、車室内に動く物が存在することが検出できる。すなわち、例えば窃盗者が車室内に手を差し入れたり体ごと侵入した際に、少なからず車室内に動きが生じることとなって受信手段による超音波の受信状態が変化され、窃盗の危険があるということを検出することができる。
特許文献1には、ルーフ部の前端側に、超音波発信手段と超音波受信手段とを有するセンサユニットを配設したものが開示されている。また、超音波発信手段や超音波受信手段は、車室内からの見栄え向上のために、カバー部材によって車室内から覆われることが多く、この場合、カバー部材には超音波が通過される開口部が形成されることになる。
特開2003−237540号公報
超音波センサによって車室内の状態を検出する場合、検出エリア拡大のため、超音波センサの発信範囲や受信範囲を極力広くする必要がある。このため、超音波発信手段や超音波受信手段に、末広がり状のコーン(アンテナ)を付設することが考えられる。しかしながら、コーンを単に末広がり状に形成したのでは、超音波の指向方向がコーンの軸線方向となるメインビームの他に、上下左右の広い範囲に渡ってサイドロブ(サイドローブ)が生じて、超音波が広く分散してしまうことになる。
例えば、超音波発信手段と超音波受信手段とを、車室内前端部におけるルーフ部に近接配設すると共に、メインビームを後方かつ斜め下方を向くように設定した場合を考える。この場合、メインビームによって車室内の前後方向への広い範囲を検出エリアとしてカバーできると共に、下方に向かうサイドロブによって、特に前席(のシートクッション)部分をも検出エリアとしてカバーできることになる。しかしながら、同時に、上方に向かうサイドロブもかなり強いものとなり、この分超音波発信手段や超音波受信手段のエネルギ(消費電力)を無駄に消費してしまうことになる。上方に向かうサイドロブを弱めるために、超音波発信手段や超音波受信手段のエネルギ強度を下げると、下方に向かうサイドロブも弱くなり、前席付近の検出感度が低下してしまうことになる。
このような問題を解消するため、例えば、エネルギ強度を弱めた超音波発信手段や超音波受信手段の少なくとも一方を複数設けることも考えられるが、この場合は、超音波発信手段あるいは超音波受信手段の設置数が多くなり、コストや設置スペースの点で好ましくないものとなる。
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、簡単な構造でもって所望方向のサイドロブを設定できるようにした自動車用侵入検知装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明にあっては、基本的に、超音波発信手段と超音波受信手段との少なくとも一方を車室内から覆うカバー部材が、超音波通過用の開口部を有する点に着目してなされたものである。すなわち、上記開口部に複数のフィン部を設けて、一部の特定のフィン部での反射を利用して、所望方向のサイドロブを強めるようにしてある。
具体的には、本発明にあっては、次のような第1の解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
超音波発信手段から車室内空間に向けて発信された超音波を超音波受信手段で受信して車室内への侵入を検出するようにした自動車用侵入検知装置において、
前記超音波発信手段と前記超音波受信手段との少なくとも一方の手段が、超音波通過用の開口部を有するカバー部材によって車室内から覆われており、
前記開口部には、複数のフィン部が設けられ、
前記複数のフィン部のうち一部の特定フィン部が超音波を反射するように設定されて、該特定のフィン部による超音波の反射方向が、超音波のメインビーム方向とは異なる方向となる所望のサイドロブ方向となるように設定され、
前記フィン部の断面形状が略矩形状とされ、
前記複数のフィン部のうちメインビーム方向のフィン部の指向方向が、超音波の発信方向あるいは受信方向となるように設定され、
前記特定のフィン部の指向方向が、超音波の発信方向あるいは受信方向に対して傾斜されている、
ようにしてある。
上記第1の解決手法によれば、所望のサイドロブ方向の超音波は、特定のフィン部で反射されることになる。すなわち、超音波発信手段の場合は、超音波発信手段から発信された超音波が、特定のフィン部で反射されて、所望のサイドロブ方向に向かうことになる。また、超音波受信手段の場合は、所望のサイドロブ方向からの超音波が、特定のフィン部で反射されて、超音波受信手段に入射されることになる。このようにして、所望方向のサイドロブのみを強くすることができる。また、カバー部材の開口部に設けたフィン部を有効に利用してあるので、構造が簡単であり、コストや実施化等の点でも有利である。そして、超音波発信手段や超音波受信手段のエネルギ強度を高めることなく、かつその設置数を増加させることなく、メインビームと所望方向のサイドロブとによって、広い範囲に渡っての検出エリアを設定することが可能となる(侵入検知精度の向上)。
上記のような基本的な効果に加えて、フィン部の構造を極力簡単なものとする上で好ましいものとなる。
本発明にあっては、次のような第2の解決手法を採択してある。すなわち、請求項2に記載のように、
超音波発信手段から車室内空間に向けて発信された超音波を超音波受信手段で受信して車室内への侵入を検出するようにした自動車用侵入検知装置において、
前記超音波発信手段と前記超音波受信手段との少なくとも一方の手段が、超音波通過用の開口部を有するカバー部材によって車室内から覆われており、
前記開口部には、複数のフィン部が設けられ、
前記複数のフィン部のうち一部の特定フィン部が超音波を反射するように設定されて、該特定のフィン部による超音波の反射方向が、超音波のメインビーム方向とは異なる方向となる所望のサイドロブ方向となるように設定され、
前記特定のフィン部の断面形状とそれ以外のフィン部の断面形状とが互いに相違されている、
ようにしてある。上記第2の解決手法によれば、請求項1における基本的な効果に加えて、フィン部の断面形状設定の自由度が高いものとなる。
上記第1の解決手法または第2の解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項3、請求項4に記載のとおりである。すなわち、
前記超音波発信手段が、超音波通過用の開口部を有する第1カバー部材によって車室内から覆われており、
前記超音波受信手段が、超音波通過用の開口部を有する第2カバー部材によって車室内から覆われており、
前記第1カバー部材および前記第2カバー部材の各開口部にはそれぞれ、前記複数のフィン部が設けられ、
前記第1カバー部材における前記複数のフィン部のうち一部の特定フィン部が、前記超音波発信手段から発信された超音波が前記サイドロブ方向に向けて反射するように設定され、
前記第2カバー部材における前記複数のフィン部のうち一部の特定フィン部が、前記サイドロブ方向からの超音波が前記超音波受信手段に向けて反射するように設定されている、
ようにしてある(請求項対応)。この場合、超音波発信手段および超音波受信手段の両方についてそれぞれ、所望方向のサイドロブに対応した超音波が反射されるようにして、請求項1に対応した効果をより十分に発揮させる上で好ましいものとなる。
前記超音波発信手段および前記超音波受信手段がそれぞれ、ルーフ部の略前端部または略後端部に配設され、
前記超音波発信手段と前記超音波受信手段とが互いに近接配置され、
前記カバー部材が、前記超音波発信手段用と前記超音波受信手段用とで兼用されている、
ようにしてある(請求項対応)。この場合、この場合、カバー部材を兼用させることができ、コストやレイアウト性向上等の上で好ましいものとなる。
本発明にあっては、次のような第3の解決手法を採択してある。すなわち、請求項5に記載のように、
超音波発信手段から車室内空間に向けて発信された超音波を超音波受信手段で受信して車室内への侵入を検出するようにした自動車用侵入検知装置において、
前記超音波発信手段と前記超音波受信手段との少なくとも一方の手段が、超音波通過用の開口部を有するカバー部材によって車室内から覆われており、
前記開口部には、複数のフィン部が設けられ、
前記複数のフィン部のうち一部の特定フィン部が超音波を反射するように設定されて、該特定のフィン部による超音波の反射方向が、超音波のメインビーム方向とは異なる方向となる所望のサイドロブ方向となるように設定され、
前記超音波発信手段および前記超音波受信手段がそれぞれ、車室内の略前端部または略後端部の高所に配設され、
メインビームが斜め下方を向くように設定され、
上下方向に前記複数のフィン部が配設され、
前記複数のフィン部のうち上端側のフィン部が前記特定のフィン部とされて、サイドロブがメインビームよりも下方を向くように設定されている、
ようにしてある。上記第3の解決手法によれば、請求項1における基本的な効果に加えて、メインビームによって車室内の前後方向についての広い範囲を検知エリアとして設定しつつ、サイドロブによってメインビームよりも下方部分を検知エリアとして設定して、特に超音波発信手段あるいは超音波受信手段に近い位置でかつ低い位置に対する侵入検知を行う上で好ましいものとなる。
本発明にあっては、次のような第4の解決手法を採択してある。すなわち、請求項6に記載のように、
超音波発信手段から車室内空間に向けて発信された超音波を超音波受信手段で受信して車室内への侵入を検出するようにした自動車用侵入検知装置において、
前記超音波発信手段と前記超音波受信手段との少なくとも一方の手段が、超音波通過用の開口部を有するカバー部材によって車室内から覆われており、
前記開口部には、複数のフィン部が設けられ、
前記複数のフィン部のうち一部の特定フィン部が超音波を反射するように設定されて、該特定のフィン部による超音波の反射方向が、超音波のメインビーム方向とは異なる方向となる所望のサイドロブ方向となるように設定され、
前記超音波発信手段および前記超音波受信手段がそれぞれ、車室内の略前端部または略後端部の高所に配設され、
メインビームが斜め下方を向くように設定され、
左右方向に前記複数のフィン部が配設され、
前記複数のフィン部のうち左端側または右端側の少なくとも一方のフィン部が前記特定のフィン部とされて、サイドロブがメインビームよりも左方または右方を向くように設定されている、
ようにしてある。上記第4の解決手法によれば、請求項1における基本的な効果に加えて、メインビームによって車室内の前後方向についての広い範囲を検知エリアとして設定しつつ、サイドロブによってメインビームの左方あるいは右方を検知エリアとして設定して、特にサイドドアに近い位置に対する侵入検知を行う上で好ましいものとなる。
前記第3の解決手法または第4の解決手法を前提とした好ましい態様は,請求項7、請求項8に記載のとおりである。すなわち、
前記超音波発信手段と前記超音波受信手段とが互いに近接配置されている、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、コンパクト化やレイアウト性向上等の上で好ましいものとなる。
前記高所が、ルーフ部とされている、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、車室内の上方空間を有効に利用して超音波発信手段および超音波受信手段を配設することができる。
本発明によれば、簡単な構造でもって所望方向のサイドロブを設定することができる。
本発明が適用された車両の一例を示す簡略側面図。 ルーフ部前端部に設けた超音波発信手段と超音波受信手段とのユニット体とそのカバー部材を後下方から見た要部斜視図。 図2のユニット体とカバー部材との分解斜視図。 超音波センサー装置を用いた盗難防止用の制御系統例を示すブロック図。 検知エリアの設定例を示す簡略平面図。 図5の検知エリアを得るための一例を示す簡略平面断面図。 検知エリアの別の設定例を示す簡略平面図。 図7の検知エリアを得るための一例を示す簡略平面断面図。 図7の検知エリアを得るための別の例を示す簡略平面断面図。 図7の検知エリアを得るためのさらに別の例を示す簡略平面断面図。 フィン部の別の例を示す断面図。 検知エリアの設定例を示す簡略側面図。 フィン部の別の例を示す要部正面図。 コーンを設けた例を示す側面図。 コーンの別の例を示すもので、コーンの開口端部側から見た正面図。 図15の上面図。
図1において、Vは、本発明が適用された車両である、車両Vは、実施形態ではワゴン型の自動車とされているが、セダン型、2ドア型、1ボックス型、バス、トラック等、車両Vの形式は特に問わないものである。
車両Vの車室内の前端部高所(実施形態ではルーフ部)のうち左右方向(車幅方向)中間部には、超音波発信手段Tと超音波受信手段Rとが互いに近接して配設されている。超音波発信手段Tと超音波受信手段Rとによる検知エリアAがハッチングを付して示される。この検知エリアAは、メインビームMに対応したもので、車室内の前後方向ほぼ全範囲とされている。そして、検知エリアAは、上方から見た平面視においては、図5に示すように、メインビームMに対して左方に向かう左サイドロブSLと、右方に向かう右サイドロブSRとによって、左右方向にも広がるように設定されている。
図3に示すように、超音波発信手段Tと超音波受信手段Rとは、車室内前端部のルーフ部に固定されるユニット体Uに組み込まれ、車体への組込み状態が図2に示される。このユニット体Uは、センサユニット1と、取付部材2と、カバー部材3とを有する。取付部材2の前面側に対して、センサユニット1が固定される。また、取付部材2の後面側に、カバー部材3が固定される。
取付部材2は、左右一対の取付孔部4,5を有する。取付孔部4に、センサユニット1に接続された超音波発信手段T(の超音波振動子)が嵌合,保持される。また、取付孔部5に、センサユニット1に接続された超音波受信手段R(の超音波振動子)が嵌合、保持される。なお、超音波発信手段T(超音波振動子)は、センサユニット1から駆動電圧を受けて振動されて、超音波を発信する。また、超音波受信手段R(超音波振動子)は、超音波を受けると電圧を発生し、発生された電圧はセンサユニット1によってA/D変換されて、後述する盗難防止の制御のための信号として用いられる。
取付部材2の後面側に固定されたカバー部材3は、取付孔部4,5に対応した位置において、超音波通過用のスリット状の開口部10,11を有する。また、カバー部材3は、左右一対の車室照明ランプ12が組み込まれており、この照明ランプ12は、例えばプッシュ式のスイッチを兼用していて、押圧操作される毎に、ON、OFF(点灯、消灯)が繰り返される他、切換スイッチ13によって、常時消灯、常時点灯、ドアを開いたときにのみ点灯の3つものモードが切換えられる。
図4は、超音波発信手段Tと超音波受信手段Rとが組み込まれた盗難防止用の制御系統例が示される。この図4において、Cはマイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ(制御ユニット)、20は警報器である。超音波発信手段Tから車室内に発信された超音波が超音波受信手段Rによって受信されるが、この受信状態は、車室内に動くものが存在しない定常状態と、動くものが存在する異常状態とで相違される。すなわち、車室内に動くものが存在すると、定常状態に比してドップラー効果が変化されるので、盗難の危険がある異常状態であると判断可能である。上記定常状態であるか異常状態であるかの判断は、コントローラCで行われる。
コントローラCによって異常状態であると判断されると、警報器20が作動される。警報器20の作動としては、周囲に異常を伝達する手法であれば適宜のものを採択することができ、例えば大音量での警報音を発生させたり(警報器20としてスピーカを利用)、スモールランプを点滅させる等(警報器20として車幅灯を利用)、これらを組み合わせて作動させることもできる。なお、警報器20の作動条件として、車両Vのドアが全てロックされている状態であることが前提とされる。なお、センサユニットUにコントローラCの機能を持たせて、センサユニットUによって直接的に警報器20の作動を制御するようにしてもよい。
カバー部材3に形成された開口部10,11について、図6を参照しつつ説明する。なお、図6では、説明の都合上、超音波発信手段Tとこれに対応したカバー部材3の開口部10を示してあるが、超音波受信手段Rについても同様に設定されている(このことは以下の実施形態において、超音波発信手段Tに着目して説明した場合についても同様である)。まず、超音波発信手段T(の軸線で、発信される超音波の中心線)に対して、開口部10がほぼ直交するように配設される。開口部10には、左右方向に間隔をあけて複数のフィン部(リブ部)30が配設されている。図6の例では、各フィン部30は、断面矩形状とされている。なお、フィン部30は、例えば合成樹脂によってカバー部材3と一体に形成されている(例えば射出成形)。
上記複数のフィン部30は、略前後方向に伸びて、互いに平行配置とされている。フィン部30の上下方向長さ(図6紙面直角方向の長さ)は、超音波発信手段Tから発信される超音波の波長λよりも十分に長くされている(例えば20mm〜40mm)。超音波の周波数は、例えば20KHZ〜60KHZの範囲から選択され、実施形態では40KHZとされている)。また、フィン部30の幅(図6左右方向長さ)自体は、超音波の波長λの1/2(λ/2)未満とされている。
超音波発信手段Tは、開口部10(フィン部30)に対して、近接配置されている。これにより、複数のフィン部30のうち左右方向(車幅方向)中央部に位置する複数のフィン部30は、超音波発信手段Tから見たときに、その投影幅がλ/2未満となり、超音波通過の妨げとならないものとなっている。つまり、超音波発信手段Tから発信された超音波は、開口部10の左右方向中間部を通してそのまま後方へと伝達されることになり、これがメインビームMとなる。
一方、複数のフィン部30のうち、左右方向端部に位置する特定のフィン部30Lおよび30Rは、超音波発信手段Tとの距離が近いために、超音波発信手段Tから見たときの投影幅が、λ/2以上の幅を有するようにされている。これにより、超音波発信手段Tから発信された超音波は、特定のフィン部30Lで反射されて、右サイドロブSRを形成することになる。同様に、超音波発信手段Tから発信された超音波は、特定のフィン部30Rで反射されて、左サイドロブSLを形成することになる。このようにして、図5に示すような1つのメインビームMと、所望方向となる左右2つのサイドロブSL、SRとからなる検知エリアA(側面視では図1に示すように後下向きである)が形成されることになる。
超音波受信手段Rおよびこれに対応したカバー部材3の開口部11についても、超音波発信手段T用と同様に設定されている。すなわち、図6に示す場合と同様に、開口部11が複数のフィン部30を有して、左右方向端部のフィン部のみが特定フィン部30L、30Rとされている。つまり、メインビームMの方向から開口部11へ入射される超音波は、そのまま前方へ伝達されて、超音波受信手段Rに入射(受信)されることになる。また、右サイドロブSR方向からの超音波が、左側の特定のフィン部30Lで反射されて、超音波受信手段Rに入射されることになる。さらに、左サイドロブSL方向からの超音波が、右側の特定のフィン部30Rで反射されて、超音波受信手段Rに入射されることになる。このように、超音波受信手段Rについても、超音波の入射方向が、メインビームMと左右一対のサイドロブSL、SRに対応したものとなるようにされるので、受信感度向上の上で好ましいものとなる。
図7は、検知エリアを、平面視において、メインビームMについては図6の場合よりも若干左方を向くように設定され、これに対応して、メインビームMではカバーしにくい右方向については右サイドロブSRを設定すると共に、メインビームMでカバーされる左方向については左サイドロブSLを設定しないようにしてある。
図7のような検知エリアを設定する一例が、図8に示される。図8は、図6の場合と同様に、超音波発信手段Tに着目して示してある。まず、超音波発信手段Tは、その軸線が開口部10に対して傾斜するように設定されている(超音波発信手段Tからの超音波発信方向が、左後方を向くように設定されている。なお、開口部10に設定されたフィン部30は、図6の場合と同じである。
図8の例では、超音波発信手段Tの軸線を開口部10(の面)に対して傾斜設定したことにより、複数のフィン部30のうち左側端部にあるフィン部が、特定のフィン部30Lとされる。すなわち、特定のフィン部30L以外のフィン部30は、超音波発信手段Tから見た投影幅がλ/2未満とされて、超音波発信手段Tの軸線方向にそのまま超音波が伝達されることになって、メインビームMを形成することになる。一方、特定のフィン部30Lにおいては、超音波発信手段Tから見たときの投影幅がλ/2以上とされて、この特定のフィン部30Lで反射されることになる。すなわち、超音波発信手段Tから発信された超音波は、特定のフィン部30Lで反射されて、右サイドロブSRを形成することになる。なお、超音波受信手段Rに対応したカバー部材3の開口部11のフィン部についても、上記の場合と同様にされている(右サイドロブSR方向からの超音波が特定のフィン部30Lで反射されて、超音波受信手段Rに入射(受信)される)。
図9は、ほぼ図7のような検知エリアを設定する別の例を示す。図9の例では、超音波発信手段Tの軸線を開口部10(の面)と直交させてある(図6の場合と同じ)。また、フィン部30の断面形状が、略前後方向を長径とする略楕円形状とされている。すなわち、各フィン部30の厚さ(図9上下方向長さで、長径方向)は互いに等しくされる一方、左方側に向かうにつれて、その短径が大きくされて、左方側の2つのフィン部がほぼ円形に近い特定のフィン部30Lとされている。すなわち、超音波発信手段Tから見たときの投影幅が、特定のフィン部30Lにおいてはλ/2以上となるようにされ、これ以外のフィン部30の投影幅は、λ/2未満となるように設定されている。
図10は、ほぼ図7のような検知エリアを設定する場合の別の例を示すものである。すなわち、開口部10に設定されたフィン部30の断面形状は、図6、図8の場合と同様に、略矩形状とされている。複数のフィン部30のうち、左方側端に位置する特定のフィン部33Lを除いて、その指向方向は、超音波発信手段Tから発信される超音波の広がり方向と略同じとなるように設定され、しかも超音波発信手段Tからみた投影幅がλ/2未満となるように設定されている(メインビームMの形成)。
一方、左方側端に位置する特定のフィン部33Lは、その指向方向が超音波発信手段Tから発信される超音波の広がり方向と交差するように傾斜されて、超音波発信手段Tからみた投影幅がλ/2以上となるようにされている。これにより、超音波発信手段Tから発信された超音波は、特定のフィン部30Lで反射されて、右サイドロブSRを形成することになる。
図11は、フィン部30の断面形状を、カバー部材3を合成樹脂により射出成形する際に、型抜きが容易になるようにした例を示す。すなわち、型抜き方向が、図11左右方向とされるが、これは、カバー部材3の厚さ方向に相当する。そして、フィン部30の断面形状は、図11左右方向に対称形状となるように設定される一方、型抜きの際にアンダーカット部が生じない形状としてある。具体的には、各フィン部30は、略円形あるいは楕円形とされているが、図11左右方向中心線を境に、フィン部30の断面形状が型抜き方向に徐々に小さくなるようにしてある(型抜きの容易化)。以上に加えて、フィン部30の断面形状は、図11上方から下方へ順次、超音波発信手段T、超音波受信手段Rから見たときの投影幅(投影面積)が段階的に小さくなるようにしてある(少なくとも図11中もっとも上方のフィン部が特定のフィン部とされる。図11に示すように、複数のフィン部30の断面形状を相違させることにより、上記のように投影幅を容易に変更することができ、所望方向にサイドロブを得るための超音波の反射フィン部を得ることができる。
図12は、超音波発信手段Tおよび超音波受信手段Rを、互いに近接させた状態で、ルー部の前端部に配設した場合に、図1とは異なるように設定された検知エリアA2を示す。すなわち、検知エリアA2は、斜め下方を向いたメインビーム対応の検知エリアA21と、検知エリアA21よりもさらに下方を向いた下向きの下サイドロブに対応した検知エリアA22としてある。図12のような検知エリアA2の設定においては、検知エリアA21によって、車室内の前後方向広い範囲に渡っての侵入が検知される一方、検知エリアA22によって、前席(の特にシートクッション上)付近に対する侵入が検知される。
図13は、カバー部材3の開口部10、11に形成されたフィン部を、縦横の格子状として形成したものである。すなわち、左右方向に間隔をあけて複数の縦フィン部41が設定され、上下方向に間隔をあけて複数の横フィン部42が設定される。縦フィン部41の一部(特に左端側と右端側との少なくとも一方)を特定のフィン部として(超音波発信手段T、超音波受信手段Rからみたときの投影幅をλ/2以上として)、メインビームに対して左向きあるいは右向きのサイドロブを得ることができる。また、複数の横フィン部42の一部(特に上端側と下端側との少なくとも一方)を特定のフィン部として、下向きあるいは上向のサイドロブを得ることができる。
図14は、超音波発信手段T、超音波受信手段Rにコーン(アンテナ)6あるいは7を設けた例を示し、このコーン6,7は、図4において破線で示される。なお、図3では、各コーン6,7を、末広がり状の円錐形状に形成されると共に、取付部材2を利用して構成するようにしてある。すなわち、取付部材2には、取付孔部4(つまり超音波発信手段T)に連なると共に後方が車室内に開口された発信用のコーン形成用凹部6が形成されている。同様に、取付部材2には、取付孔部5(つまり超音波受信手段R)に連なると共に後方が車室内に開口された受信用のコーン形成用凹部7が形成されている。このように、取付部材2は、超音波発信手段Tおよび超音波受信手段Rのコーンを兼用している。
コーン6,、7を用いることにより、超音波ビームを所望方向に指向させる上で好ましいものとなる。なお、コーン6,7は、前述した開口部10,11(に設定されたフィン部30、41,42)と離間させてもよいが、近接(当接を含む)させるのが好ましいものである。
コーン6(コーン7についても同じ)の形状設定に際しては、次のような条件を満足するようにされている。すなわち、超音波発信手段Tの直径をD、コーン6の開口直径をL、コーン6の指向角度(広がり角度)をθ、超音波の波長をλとすると、次の(1)式を満足するようにされている。
θ≦70×(λ/D)かつL≧2λ ・・・(1)
図15,図16は、コーン6(コーン7についても同じ)、の変形例を示すものであり、断面を扁平な楕円形としてある。本例では、超音波の発信方向を、扁平な短径方向には狭めると共に、大きく広がる長径方向には広げることができ、またコーン6の長さを短くすることが可能となる。コーン6は、次のような条件を満足するように設定するのが好ましい。なお、Lは長径方向の開口幅であり、Hはコーン6の軸線方向長さであり、nは整数(1,2,3・・・・)である。
θ≧70×(λ/D)かつL≧2λかつH=n×λ/2・・・(1)
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。超音波発信手段Tを複数設けてもよく、超音波受信手段Rを複数設けてもよい。また、超音波発信手段Tの数と超音波受信手段Rの数とが相違していてもよいものである。超音波発信手段Tと超音波受信手段Rとの設置位置は適宜選択できるものであり、例えば、フロントウインドガラスの上部位置、リアウインドガラスの上部位置、車室内後端部のルーフ部、リアパッケージトレイ上、インストルメントパネル上面等々、適宜選択でき、また超音波発信手段Tと超音波受信手段Rとを離れた場所に設置するようにしてもよい(例えば、超音波発信手段Tを車室内前端部におけるルーフ部に設置し、超音波受信手段Rを車室内後端部のルーフ部に設置する等)。超音波発信手段Tと超音波受信手段Rとは、互いに近接配置しておくことが、超音波発信方向と超音波受信方向とを一致させる上で好ましく、また制御系を含めて関連部品を集中配置する等の上で好ましいものとなる。また、メインビームと所望方向のサイドロブとの向きが、超音波発信手段Tと超音波受信手段Rとで互いに同一方向となるように設定することにより、発信された超音波を効率的に受信する上で好ましいものとなる。
特定のフィン部は、超音波発信手段T用のみに設けてもよく、あるいは超音波受信手段R用のみに設けてもよい。フィン部の断面形状は、任意に設定でき、1つの開口部10(11)に設定される複数のフィン部間での断面形状を相違させてもよい。要は、超音波発信手段Tあるいは超音波受信手段Rからみたときの投影幅を、超音波を通過させたい位置と反射させたい位置とで変更できるような断面形状であればよい。コーンは、超音波発信手段Tと超音波受信手段Rとのいずれか一方のみに設けるようにしてもよい。特定のフィン部(の反射面)としては、開口部10(11)の内周縁部(における内端面)をも含むものである。。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
本発明は、例えば自動車の盗難防止装置用として適用して好適である。
V:車両
T:超音波発信手段
R:超音波受信手段
A:検知エリア
U:ユニット体
C:コントローラ
M:メインビーム
SR:右サイドロブ
SL:左サイドロブ
1:センサユニット
2:取付部材
3:カバー部材
4、5:取付孔部
6、7:コーン形成用凹部
10,11:開口部
20:警報器
30:フィン部
30L、30R:特定のフィン部
41:縦フィン部
42:横フィン部

Claims (8)

  1. 超音波発信手段から車室内空間に向けて発信された超音波を超音波受信手段で受信して車室内への侵入を検出するようにした自動車用侵入検知装置において、
    前記超音波発信手段と前記超音波受信手段との少なくとも一方の手段が、超音波通過用の開口部を有するカバー部材によって車室内から覆われており、
    前記開口部には、複数のフィン部が設けられ、
    前記複数のフィン部のうち一部の特定フィン部が超音波を反射するように設定されて、該特定のフィン部による超音波の反射方向が、超音波のメインビーム方向とは異なる方向となる所望のサイドロブ方向となるように設定され、
    前記フィン部の断面形状が略矩形状とされ、
    前記複数のフィン部のうちメインビーム方向のフィン部の指向方向が、超音波の発信方向あるいは受信方向となるように設定され、
    前記特定のフィン部の指向方向が、超音波の発信方向あるいは受信方向に対して傾斜されている、
    ことを特徴とする自動車用侵入検知装置。
  2. 超音波発信手段から車室内空間に向けて発信された超音波を超音波受信手段で受信して車室内への侵入を検出するようにした自動車用侵入検知装置において、
    前記超音波発信手段と前記超音波受信手段との少なくとも一方の手段が、超音波通過用の開口部を有するカバー部材によって車室内から覆われており、
    前記開口部には、複数のフィン部が設けられ、
    前記複数のフィン部のうち一部の特定フィン部が超音波を反射するように設定されて、該特定のフィン部による超音波の反射方向が、超音波のメインビーム方向とは異なる方向となる所望のサイドロブ方向となるように設定され、
    前記特定のフィン部の断面形状とそれ以外のフィン部の断面形状とが互いに相違されている、
    ことを特徴とする自動車用侵入検知装置。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記超音波発信手段が、超音波通過用の開口部を有する第1カバー部材によって車室内から覆われており、
    前記超音波受信手段が、超音波通過用の開口部を有する第2カバー部材によって車室内から覆われており、
    前記第1カバー部材および前記第2カバー部材の各開口部にはそれぞれ、前記複数のフィン部が設けられ、
    前記第1カバー部材における前記複数のフィン部のうち一部の特定フィン部が、前記超音波発信手段から発信された超音波が前記サイドロブ方向に向けて反射するように設定され、
    前記第2カバー部材における前記複数のフィン部のうち一部の特定フィン部が、前記サイドロブ方向からの超音波が前記超音波受信手段に向けて反射するように設定されている、
    ことを特徴とする自動車用侵入検知装置。
  4. 請求項において、
    前記超音波発信手段および前記超音波受信手段がそれぞれ、ルーフ部の略前端部または略後端部に配設され、
    前記超音波発信手段と前記超音波受信手段とが互いに近接配置され、
    前記カバー部材が、前記超音波発信手段用と前記超音波受信手段用とで兼用されている、
    ことを特徴とする自動車用侵入検知装置。
  5. 超音波発信手段から車室内空間に向けて発信された超音波を超音波受信手段で受信して車室内への侵入を検出するようにした自動車用侵入検知装置において、
    前記超音波発信手段と前記超音波受信手段との少なくとも一方の手段が、超音波通過用の開口部を有するカバー部材によって車室内から覆われており、
    前記開口部には、複数のフィン部が設けられ、
    前記複数のフィン部のうち一部の特定フィン部が超音波を反射するように設定されて、該特定のフィン部による超音波の反射方向が、超音波のメインビーム方向とは異なる方向となる所望のサイドロブ方向となるように設定され、
    前記超音波発信手段および前記超音波受信手段がそれぞれ、車室内の略前端部または略後端部の高所に配設され、
    メインビームが斜め下方を向くように設定され、
    上下方向に前記複数のフィン部が配設され、
    前記複数のフィン部のうち上端側のフィン部が前記特定のフィン部とされて、サイドロブがメインビームよりも下方を向くように設定されている、
    ことを特徴とする自動車用侵入検知装置。
  6. 超音波発信手段から車室内空間に向けて発信された超音波を超音波受信手段で受信して車室内への侵入を検出するようにした自動車用侵入検知装置において、
    前記超音波発信手段と前記超音波受信手段との少なくとも一方の手段が、超音波通過用の開口部を有するカバー部材によって車室内から覆われており、
    前記開口部には、複数のフィン部が設けられ、
    前記複数のフィン部のうち一部の特定フィン部が超音波を反射するように設定されて、該特定のフィン部による超音波の反射方向が、超音波のメインビーム方向とは異なる方向となる所望のサイドロブ方向となるように設定され、
    前記超音波発信手段および前記超音波受信手段がそれぞれ、車室内の略前端部または略後端部の高所に配設され、
    メインビームが斜め下方を向くように設定され、
    左右方向に前記複数のフィン部が配設され、
    前記複数のフィン部のうち左端側または右端側の少なくとも一方のフィン部が前記特定のフィン部とされて、サイドロブがメインビームよりも左方または右方を向くように設定されている、
    ことを特徴とする自動車用侵入検知装置。
  7. 請求項5または請求項6において、
    前記超音波発信手段と前記超音波受信手段とが互いに近接配置されている、ことを特徴とする自動車用侵入検知装置。
  8. 請求項5ないし請求項7のいずれか1項において、
    前記高所が、ルーフ部とされている、ことを特徴とする自動車用侵入検知装置。


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