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JP5982658B2 - カバー付き水栓 - Google Patents

カバー付き水栓 Download PDF

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JP5982658B2
JP5982658B2 JP2012044712A JP2012044712A JP5982658B2 JP 5982658 B2 JP5982658 B2 JP 5982658B2 JP 2012044712 A JP2012044712 A JP 2012044712A JP 2012044712 A JP2012044712 A JP 2012044712A JP 5982658 B2 JP5982658 B2 JP 5982658B2
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Description

この発明はクランク脚付きのカバー付き水栓に関する。
クランク脚付きの壁付きの混合水栓として、従来、水栓本体の本体ボデーを金属の鋳物製とし、その内部に弁部その他の水栓機構部を内蔵させた形態のものが広く用いられている。
この種の水栓では、壁裏の元配管に接続状態に壁に取り付けた水側及び湯側の一対のクランク脚によって水栓本体を支持することができる。
また水側及び湯側の左右一対のクランク脚を壁面と平行方向に回転させてその回転角度を調整し、また一対のクランク脚の元配管へのねじ込み量をそれぞれ調節することで、水栓本体を水平姿勢に姿勢調節したり、水栓本体と壁との間隔を左右(使用者から見た正面視において左右)均等にしたり、或いは水栓本体の、左右一対のクランク脚との接続部間の間隔と、壁側の水及び湯の元配管の接続部間の間隔のずれを吸収したりすることができる。
ところで従来の水栓の場合、金属製の鋳物製の本体ボデーがそのまま水栓の外観を成しており、そこで水栓の意匠性を高めるべく、従来にあっては一般に本体ボデー外面にメッキを施して外面を美麗に仕上げることを行っている。
しかしながらこの場合、良好な外観を実現するために本体ボデーに余剰の肉を付けて外面をフラットとし、研磨処理を施した上でメッキ処理することとなるため、本体ボデーが必然的に重くなって施工作業がしづらくなり、また鋳物材料の使用量も多くなるとともに、研磨及びメッキ処理の工程が必要となってコストも高くなってしまう。
また使用者が本体ボデーに触れたときの火傷防止などのために、本体ボデーにウォータージャケット構造を設けて、そこに水を巡らすようにしており、そのウォータージャケット構造のために本体ボデーの構造が複雑化し、また重量も重くなってしまう。
水栓本体をカバーで覆って成るカバー付き水栓では、こうした問題を解決することができる。
具体的にはカバー付き水栓の場合、カバーが水栓の外観を成すために水栓の本体ボデーに余剰の肉を付けてその外面を凹凸の無いフラットな形に形成したりしなくても良く、重量を軽量化することができる。
またカバーによって、使用者が直接本体ボデーに触れるのを防ぐことが可能となり、従来本体ボデーに設けていたウォータージャケット構造を省くことも可能となる。
更にカバー付き水栓にあっては、カバーの種類を変えることで様々な外観を水栓に与えることが可能となる。
ところでクランク脚によって水栓本体を壁に取り付ける形式の従来のクランク脚付きのカバー付き水栓にあっては、カバーにより主として水栓本体だけを覆い、クランク脚を露出させたままとしている。
例えば下記特許文献1,特許文献2にこの種のクランク脚付きのカバー付き水栓が開示されている。
このようにクランク脚を露出させる形式の従来のカバー付き水栓では、工場生産段階で予め水栓本体にカバーを取り付けておき、そのカバー付きの水栓本体を施工現場でクランク脚にて壁に取付施工することができ、施工が容易であるといった利点がある。
しかしながら一方で、このようなカバー付き水栓の場合、水栓設置状態でクランク脚が外部に露出して水栓の外観の一部をなすため、従来のカバー無しの水栓と同様に、クランク脚にメッキ処理を施して外観を美麗に仕上げておかなければならず、そのための処理にコストが多くかかってしまう。
またその他に、水栓設置状態でクランク脚が外部に露出していると、クランク脚は複雑な屈曲形状をしているために水栓の外観が煩雑化してしまう他、クランク脚が汚れの付き易い個所となり、しかもクランク脚は上記のように複雑な屈曲形状をしているために掃除がしにくく、汚れが付いたままとなり勝ちで、そのことが水栓の外観を悪化させる。
そこでこのような水側及び湯側の一対のクランク脚を水栓本体とともに内側に隠すように、カバーにてそれらを外側から覆っておくといったことが考えられる。
但しこの場合、カバーの壁側の端と壁との間に、クランク脚の壁へのねじ込み量のばらつき等の施工上の誤差により隙間が生じ、その隙間が水栓の美観を損なう要因となる。
下記特許文献3には、カバー付きの水栓が示され、そこにおいて水栓カバー(30)の壁側の端と壁との間に生じる隙間を、端部カバー(50)にて隠蔽するようになした点が開示されている。
但しこの特許文献3に開示のものは、水栓カバー(30)の外面の外側に端部カバーを位置させて隙間を隠蔽するものであり、この場合、端部カバーの、水栓カバー(30)の外側に位置している部分が段付形状となって外側に現れてしまい、その段違い部分が外観上目立つ部分となって水栓の美観を損なってしまい、また水栓の品位を低下させてしまう。
またこの特許文献3に開示のものは、一対のクランク脚の回転角度の調整や、壁裏の元配管へのねじ込み量を調節することで水栓本体を水平姿勢に姿勢調節したり、水栓本体と壁との間隔を左右均等にしたり、水栓本体における左右一対のクランク脚との接続部間の間隔と、壁側の水及び湯の元配管の接続部間の間隔のずれを吸収したりするものではなく、また構造上クランク脚の元配管へのねじ込み量のばらつきによって、水栓カバー(30)と壁との間の隙間の大小が異なってしまうといった問題を生じるものでもない。
更にこの特許文献3に開示のものは、水栓カバー(30)付きの状態で水栓本体を壁に固定するものであり、これらの点で本発明とは異なる。
特開2011−219959号公報 特開昭61−183527号公報 特開2001−207495号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、水栓設置に際して施工上生じるカバーと壁との間の隙間に起因して水栓の美観が悪化する問題を解決し得て、壁への設置状態で水栓の美観を良好となし得るクランク脚付きのカバー付き水栓を提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1のものは、水栓本体と、該水栓本体を壁に固定する水側及び湯側の一対のクランク脚と、該水栓本体を覆うカバーと、を備えたクランク脚付きのカバー付き水栓であって、前記カバーは、前記一対のクランク脚ごと前記水栓本体を覆う本体カバーと、該本体カバーの壁側の端と該壁との間に生ずる隙間を隠蔽する隙間カバーとを有していて、該隙間カバーが、前記クランク脚及び該クランク脚を介して前記壁に固定される前記水栓本体及び前記本体カバーを含んで構成される水栓主体に設けたスライド保持部により、該本体カバーの内側に、前記壁に向けて前後方向にスライド可能に保持させてあることを特徴とする。
請求項2のものは、請求項1において、前記隙間カバーが、前記隙間を隠蔽する状態に位置調節された状態で前記水栓主体に固定されるものとなしてあり、該隙間カバーには、前記本体カバーの、前記水栓本体及びクランク脚を上側から覆う上面カバー部側の位置に被固定部が設けてあり、該被固定部において該隙間カバーが前記水栓主体に設けた固定部に固定されるものとなしてあることを特徴とする。

請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記本体カバーには、前記一対のクランク脚ごと前記水栓本体を側方から覆う、前記壁に対する正面視において左右一対の側面カバー部が備えてあり、該側面カバー部のそれぞれの内面には係合部が、また前記隙間カバーには該係合部に対応する位置に、該係合部に対して前記左右方向に係合する被係合部が設けてあり、それら係合部と被係合部との係合により前記一対の側面カバー部が前記左右方向に拘束されていることを特徴とする。
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記隙間カバーには、前記壁に沿った方向に延びる被押圧部が設けてあるとともに、前記本体カバーには、前記水栓本体及びクランク脚を下側から覆う下面カバー部に、前記被押圧部を前記壁に向けて押圧操作可能とする開口部が設けてあることを特徴とする。
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記隙間カバーと前記水栓主体との一方には、該隙間カバーを抜け防止する爪が、他方には該爪を前記抜け方向に掛止させる掛止部が設けてあることを特徴とする。
発明の作用・効果
以上のように本発明のクランク脚付きのカバー付き水栓は、一対のクランク脚ごと水栓本体を覆う本体カバーと、本体カバーの壁側の端と壁との間に生ずる隙間を隠蔽する隙間カバーとを有するものとなし、そしてその隙間カバーを、本体カバーの内側にスライド可能に保持させたもので、本発明のカバー付き水栓では、クランク脚をカバーの内側に隠すことができるため、クランク脚へのメッキ処理を省くことが可能となる。
またクランク脚に汚れが付き易かったり、またその汚れの掃除がしにくいことでクランク脚に汚れが付いたままとなり易く、そのことが水栓の美観を悪化させる問題を解決でき、クランク脚付きの水栓の美観を高めることができる。
また湯側のクランク脚をカバーの内側に覆っておくことができるため、使用者が意図しない動きで湯側のクランク脚に触れてしまって熱い思いをしたり、場合によって火傷をしてしまう恐れも無くすことができる。
また本発明のカバー付き水栓では、水栓設置時において本体カバーと壁との間に隙間が生じたとき、隙間カバーを壁側にスライド移動させて壁に当接させることで、本体カバーと壁との間の隙間を隠蔽することができる。
しかも本発明のカバー付き水栓では、その隙間カバーが本体カバーの内側に保持させてあるため、詳しくはクランク脚及びクランク脚を介して壁に固定される水栓本体及び本体カバーを含んで構成される水栓主体に設けたスライド保持部により、本体カバーの内側に前後方向(壁に向って前後方向)にスライド可能に保持させてあるため、本体カバーの壁側の端部を外面側から隙間カバーにて覆い隙間を隠蔽する場合のように、隙間カバーが本体カバーの外面に対して段違い形状で突出し、隙間カバーの端面が外部に現れてしまったり、或いは本体カバーと隙間カバーとの継目が目立ったものとなって水栓の美観を悪くしてしまうといった問題を生じないようにでき、水栓を良好な美観で壁に設置施工することができる。また設置状態において水栓の品位を高めることができる。
ここで水栓主体は、水栓本体に固定された金属製等の剛性のブラケットを含んで構成しておくことができる。
本発明では、隙間カバーを上記水栓主体に固定するものとなして、その隙間カバーに、本体カバーの上面カバー部側の位置に被固定部を設け、その被固定部において隙間カバーを水栓主体の固定部に固定するようになしておくことができる(請求項2)。
本体カバーの内側でスライド可能となした隙間カバーを、本体カバーと壁との間の隙間を隠蔽した後に水栓主体に固定する場合、施工時に隙間カバーがその固定部を支点として本体カバーに対し相対的に回転したとき、その固定個所が上面カバー部から下方に大きく離れた位置であると、そこを支点とした隙間カバー上面部の回転角度が大きくなる。
そうすると本体カバーの上面カバー部に対して、隙間カバーの上面が相対的に大きく傾いてしまい、また隙間カバーが大きく傾くことで隙間カバーと壁との間に隙間を生ぜしめてしまい、そのことが水栓の美観を悪化させる要因となる。
しかるに隙間カバーを上面カバー部側の位置で本体カバーに固定しておけば、回転の支点となる隙間カバーの固定個所が上面カバー部に近い位置となるため、隙間カバーが本体カバーに対し相対的に回転したとき、本体カバーの上面カバー部に対する隙間カバーの上面の傾きを小さく抑制することができ、また隙間カバーと壁との間に隙間が生じるのを防ぐことができ、或いは隙間を可及的に小さくすることができ、水栓設置状態の美観を良好に保持することができる。
ここで上面カバー部側の位置とは、本体カバーの全高に対して半分より上側の位置を意味するが、出来得る限り上面カバー部に近い位置であることが望ましい。
次に請求項3は、本体カバーに左右一対の側面カバー部を備えて、それら一対の側面カバー部のそれぞれの内面に係合部を設け、また隙間カバーには対応する位置に被係合部を設けて、それら係合部と被係合部との係合により、一対の側面カバー部を左右方向に拘束するようになしたものである。
例えば本体カバーを樹脂の成形品となした場合、成形の際に一対の側面カバー部が開く方向に成形品、即ち本体カバーが反り変形してしまうことがある。
本体カバーがそのような反り変形を生じていると施工の仕上り状態が悪化し、水栓の美観が低下する。
しかるに請求項3によれば、本体カバーの側面カバー部に設けた係合部と、隙間カバーの被係合部との係合により一対の側面カバー部を左右方向に拘束するため、一対の側面カバー部が開く方向に本体カバーが反り変形するのを抑制でき、成形時の条件の如何に拘らず本体カバーを良好な形状に保持することができる。
そしてこれにより水栓設置状態の美観を良好に保持することができる。
請求項4は、隙間カバーに、壁に沿った方向に延びる被押圧部を設けるとともに、本体カバーには、その下面カバー部に開口部を設けたもので、この請求項4によれば、クランク脚を壁に取り付け、またそのクランク脚に水栓本体を接続して固定し、その後に本体カバーを取り付けた後において、その本体カバーの開口部から指などを挿入して被押圧部を壁に向けて押圧し、スライド可能とされている隙間カバーを壁に押し当てるようになすことができる。
即ち壁に対して隙間カバーを押し当てる作業を容易に行うことができ、作業が行い難いことによって隙間カバーと壁との間に隙間が生じてしまったり、或いはその隙間がばらついてしまったりするのを防ぐことができる。
特にそのような壁への当接状態で隙間カバーを水栓主体に固定する場合、片方の手(指)で開口部を通じ被押圧部を押して隙間カバーを壁に押し当てた状態で、もう片方の手で固定作業を行う際の作業がし易くなり、固定作業中に隙間カバーが壁から部分的に離れてしまって、壁との間に隙間を生じてしまった状態で隙間カバーを固定してしまうといったことを防ぐことができる。
次に請求項5は、隙間カバーと水栓主体との一方に、隙間カバーを抜け防止する爪を、他方に爪をその抜け方向に掛止させる掛止部を設けたもので、この請求項5によれば、設置現場でカバー付き水栓を壁に設置施工する際、本体カバーの内側にスライド可能に保持させた隙間カバーが脱落してしまい、作業が行いづらかったり、或いはその脱落によって隙間カバーが傷付いてしまったりするのを防ぐことができ、施工の作業性を良くすることができるとともに、脱落による隙間カバーの傷付きを防ぐことができる。
本発明の一実施形態のクランク脚付きのカバー付き水栓の外観斜視図である。 図1とは異なる方向で示したカバー付き水栓の外観斜視図である。 図1のカバー付き水栓の底面図である。 図1,図2とは異なる方向で示したカバー付き水栓の外観斜視図である。 図1のカバー付き水栓を、カバーを除いた状態で示した図である。 図1のカバー付き水栓における本体ボデーにクランク脚を接続した状態を示した図である。 図1のカバー付き水栓のカバーを分解して水栓本体とともに示した図である。 図1のカバー付き水栓における上カバーを示した図である。 図1のカバー付き水栓における下カバーを示した図である。 図1のカバー付き水栓における隙間カバーを示した図である。 図1の上カバーと隙間カバーとを組付状態で示した図である。 図1のカバー付き水栓の施工手順の説明図である。 図12に続く施工手順の説明図である。 図13に続く施工手順の説明図である。 図1のカバー付き水栓における隙間カバーの作用説明図である。 本発明の他の実施形態のクランク脚付きのカバー付き水栓の外観斜視図である。 図16のカバー付き水栓を、本体カバーを除いた状態で示した図である。 図16のカバー付き水栓を、クランク脚を除いた状態で底面側から示した図である。 図16のカバー付き水栓のブラケット及び隙間カバーを示した図である。 図16のカバー付き水栓におけるカバーの固定構造を示した図である。
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1〜図4において、10はクランク脚を備えた壁付きのカバー付き水栓(混合水栓)(以下単に水栓とすることがある)で、図7に示しているようにハウジングをなす本体ボデー12の内部に温調弁ユニット,切替弁ユニットその他の水栓機構部を内蔵した水栓本体14と、壁W(図5参照)裏に配管された給水用の元配管,給湯用の元配管からの水,湯をそれぞれ水栓本体14に供給する給水用の配管,給湯用の配管を兼ねた水側のクランク脚16,湯側のクランク脚18と、それらを囲い込むカバー(ここでは樹脂製)20を含んで構成されている。
ここで本体ボデー12は金属の鋳物から成っている。但し外面の研磨及びメッキ処理は施されておらず、外面は鋳肌そのままとなっている。
この実施形態において、カバー20は、図7に示しているように水栓本体14に下向きに被せられて、水側及び湯側の一対のクランク脚16,18ごと水栓本体14を上側から覆う上カバー42と、一対のクランク脚16,18ごと水栓本体14を下側から覆う蓋カバーとしての下カバー44とから成る本体カバー21と、本体カバー21詳しくは上カバー42の壁W側の端と壁Wとの間の隙間を隠蔽する隙間カバー46とを有している。
水栓本体14は、一対のクランク脚16,18にて壁Wに固定され、また上カバー42と下カバー44とから成る本体カバー21は、水栓本体14に固定されるようになっており、この実施形態では、それら一対のクランク脚16,18と、水栓本体14と、上カバー42及び下カバー44から成る本体カバー21とで水栓主体15が構成されている。
クランク脚16,18は、図6,図7及び図4,図5に示しているように壁W裏の元配管にシール状態にねじ接続されて、壁Wから水平方向に突き出す雄ねじ管から成る管体22と、これから壁面と平行方向に直角に折れ曲った管体24とを有しており、その管体24の先端部に袋ナット26が設けられている。
ここで水側のクランク脚16及び湯側のクランク脚18における一対の管体24は、正面視においてハ字状をなしている。
そしてこの袋ナット26により管体24の先端部が水栓本体14、詳しくは本体ボデー12に備えられた、外周面に雄ねじを有する水側,湯側の接続口28にねじ接続されている。
ここで袋ナット26及び接続口28は、それぞれその軸線が壁W(厳密にはその壁面)と直交する方向を向いている。
即ちこの実施形態において、水栓本体14は、壁Wに水側及び湯側の一対のクランク脚16,18を取り付けた後、クランク脚16,18に対して接続口28が袋ナット26にて接続されることで、それらクランク脚16,18を介して壁Wに固定される。
その際、クランク脚16,18の壁Wと平行方向の回転角度や壁Wへのねじ込み量の調整によって、水栓本体14が正しく水平姿勢で壁Wに取り付けられる。
また左右一対のクランク脚16,18のねじ込み量を調節することで、水栓本体14と壁Wとの間隔が左右均等に調整される。
尚図3,図6において、30は壁W裏の元配管とクランク脚16の管体22との接続部を覆って隠蔽する椀座である。
一方、本体ボデー12の前部からはカラン側の吐水口32が下向きに突出しており、また図5にも示しているようにその背面からは、シャワー水をシャワーホースを介してシャワーヘッドに吐水するシャワーエルボ34が下向きに突出している。
尚、カラン側の吐水口32の先端部には雄ねじ部が設けられていて、そこにキャップ35(図2参照)が螺着されている。
本体ボデー12にはまた、左右方向(使用者からの正面視における左右方向)の中央部の前面に、その前面から前方に部分的に突出するブロック状の被係合部36が一体に設けられている。
この被係合部36には、その下面で開口する雌ねじ穴37が上下向きに設けられている。
この本体ボデー12を含む水栓本体14の左端側(使用者からの正面視において左端側)には温調ハンドル38が、また右端側には切替ハンドル40がそれぞれ回転操作可能に取り付けられており、これら温調ハンドル38,切替ハンドル40が、図1及び図2に示すようにカバー20から左右方向に突出せしめられている。
ここで温調ハンドル38は、回転操作によって吐水の温度調節を行う。また切替ハンドル40は、回転操作によってカラン側の吐水口32からの吐水と、シャワーエルボ34からの吐水との切替えを行うとともに、カラン側の吐水口32及びシャワーエルボ34からの吐水の流量調節と吐止水とを行う。
上記の上カバー42は、図8にも示しているように略水平方向に平坦な板状の上面カバー部48と、上面カバー部48の前端から下向きに折れ曲った板状の前面カバー部50と、上面カバー部48の左右(壁Wに対する正面視における左右)の各一端から下向きに立ち下がった一対の板状の側面カバー部52とを有する、下面が開放された箱型形状とされており、その上面カバー部48によって、水側及び湯側の一対のクランク脚16,18ごと水栓本体14を上側から覆い、また前面カバー部50によって水栓本体14を前側から覆い、更に一対の側面カバー部52によって、一対のクランク脚16,18ごと水栓本体14を側方から覆っている。
ここで一対の側面カバー部52には、温調ハンドル38と切替ハンドル40とを突出させるための逆U字状の切欠部54が設けられている。
一対の側面カバー部52のそれぞれには、図8に示しているようにその内面側の、上面カバー部48に近い上部の位置に4角筒状の筒形状部84が設けてある。
各筒形状部84は、上壁部と下壁部及び一対の側壁部とを有しており、その上壁部が、上面カバー部48との間に隙間を形成し、その隙間に後述の隙間カバー46の板状のスライド部86(図10及び図11参照)を挿入させて、これを前後方向にスライド可能に保持するスライド保持部150を構成している。
また下壁部が、図10及び図11に示す隙間カバー46の後述の板状の被固定部154を固定する固定部152を構成している。
更に一対の側面カバー部52のそれぞれの内面からは、板状の突出片156が突き出している。
各突出片156の下部は、側面カバー部52の内面との間にスリット状の隙間を形成する係合片(係合部)158とされている。
係合片158は、側面カバー部52の内面との間のスリット状の隙間に、図10及び図11に示す隙間カバー46の後述の板状の被係合部160を前後方向に移動可能に挿入させて、かかる被係合部160に対し左右方向に係合し、被係合部160と協働して一対の側面カバー部52を左右方向に拘束する働きをなす。
前面カバー部50は、図7,図8及び図1,図2に示すように上部56と下部58とを有している。
上部56は、下方に進むにつれて前方に迫り出す湾曲形状とされており、また下部58は、下方に進むにつれて水栓本体14側に後向きに移行する傾斜形状とされている。
図12に示しているようにこの傾斜形状の下部58は、その下端が水栓本体14、詳しくは本体ボデー12の下端に近い位置まで下向きに延び出している。
一方下カバー44は、図7及び図9に示すように略水平方向に延びる平坦な板状の下面カバー部60を有しており、一対のクランク脚16,18ごと水栓本体14を下側から覆っている。
尚下カバー44は、その前端部が斜め上向きに湾曲して延びており、その湾曲部62が上カバー42の前面カバー部50、詳しくはその下部58の下端に繋がっている。
下カバー44はまた、水栓本体12の前部の側面の一部を覆う左右一対の起立部64を有している。
これら一対の起立部64には、温調ハンドル38,切替ハンドル40を突出させるための円弧状の切欠部66が設けられている。
尚この下カバー44の下面カバー部60には、図9にも示しているように水栓本体14の上記のカラン側の吐水口32を下向きに突出させるための円形且つ貫通の開口部68と、シャワーエルボ34を下向きに突出させるための左右に長円形状をなす貫通の開口部70とが左右方向の中央部に設けられている。
この下カバー44の下面カバー部60は、一対のクランク脚16,18における管体22の上部の高さ位置で、水栓本体14を下側から覆う主部60Aと、一対のクランク脚16,18を下側から覆う脚カバー部60Bとを有している。
脚カバー部60Bは、図2に示しているように下向きに湾曲して突出した逆ブリッジ状をなしており、管体22に組み込まれた止水栓の回転式の操作部72、及びストレーナを脱着操作するための回転式の操作部74を操作するための開口部76をその前端位置に形成している。
ここで開口部76は、使用者側の前方に向けて開口した正面方向の開口部とされている。
上記隙間カバー46は、クランク脚16,18の壁Wへのねじ込み量のばらつきその他の施工上の誤差等によって、本体カバー21即ち上カバー42の壁W側の端と壁Wとの間に生じる隙間を閉鎖し隠蔽する働きを有するもので、図7及び図10に示しているように板状をなす平坦な上面閉鎖部78と、上面閉鎖部78の左,右端から立ち下る一対の板状の側面閉鎖部80と、上面閉鎖部78の壁W側の後端から立ち下り、それら一対の側面閉鎖部80及び上面閉鎖部78を連結する板状の連結部162とを有している。
ここで上面閉鎖部78の上面は上向きの突出し部を有しないフラットな面とされている。
この実施形態において、隙間カバー46は、本体カバー21詳しくは上カバー42の内側に前後方向(壁Wに向っての前後方向)にスライド可能に保持されている(後述の固定部152での固定がされていない状態で)。
具体的には、隙間カバー46は、上面閉鎖部78の左右両端部において前方に延出する板状のスライド部86を有していて、このスライド部86が、上カバー21の上記のスライド保持部150と上面カバー部48との間の隙間に挿入され、かかるスライド部86において隙間カバー46が上カバー42のスライド保持部150により前後方向にスライド可能に保持されている。
隙間カバー46は、また、これらスライド部86の下側でスライド部86に対向して延びる板状の被固定部154を有している。これら被固定部154は、スライド部86から垂下する板状の支持部166にて支持されている。
この被固定部154には、前後方向に延び且つ前端で開口する長穴状の挿通部88が設けられている。
隙間カバー46は、この被固定部154において上カバー42に固定される。
詳しくは、図11に示しているようにボルト90を被固定部154の挿通部88に挿通し、更に上カバー42における固定部152の挿通孔94に上向きに挿通し、そして筒形状部84の内部でナット92にねじ込むことで、被固定部154が固定部152に固定される。
即ち隙間カバー46が、被固定部154において固定部152により上カバー42に固定される。
この実施形態において、隙間カバー46の被固定部154は上カバー42の上面カバー部48側の位置に設けてあり、上面カバー部48に近い上側位置で隙間カバー46が上カバー42に固定される。
ここで上面カバー部48側とは、上面カバー部48からの距離が本体カバー21全高さの1/2以下の範囲内であることを意味する。
尚このとき、下カバー44もまた上カバー42,隙間カバー46とともに同時に固定される。
詳しくは、図7及び図9に示しているように下カバー44からは下端が開口し、上端に底部を有する有底の円筒状の固定部96が立ち上がっており、上記ボルト90は、図11に示すようにこの円筒状の固定部96の下端の開口からその内部に挿入された上、上端の底部に設けた挿通孔98,上記の挿通部88,挿通孔94に挿通された上、ナット92にねじ込まれ、これにより隙間カバー46が上カバー42と下カバー44とに対して同時に固定される。
一対の上記支持部166からは弾性片168が前方に延び出しており、各先端部に爪170が左右方向に互いに逆向きに、即ち上カバー42の側面カバー部52に向けて設けられている。
ここで爪170には傾斜形状のカム面172が設けられている。
これら爪170は、上カバー42の上記の筒形状部84の一方の側壁部を掛止部174としてそこに掛止し、水栓10の施工時等において隙間カバー46の上カバー42からの抜けを防止する。
尚、隙間カバー46を上カバー42に対して後方から内側に挿入し、隙間カバー46を上カバー42に組み付ける際、爪170はカム面172を筒形状部84の掛止部174に接触させ、そのカム作用で弾性片168を弾性変形させつつ掛止部174を乗り越える。そして乗り越えたところで弾性片168が変形解除されることで掛止部174に掛止可能状態となる。
隙間カバー46はまた、一対の側面カバー部52の下端部から前方に延びる板状の被係合部160を有している。
これら被係合部160は、上カバー42の上記の係合片158と側面カバー部52との間に形成されるスリット状の隙間に挿入されて係合片158に係合される。
そして係合片158と被係合部160との係合により一対の側面カバー部52が左右方向に拘束される。
この実施形態では、隙間カバー46を本体カバー21即ち上カバー42の内側に前後方向にスライド可能に保持した状態で、壁Wに取り付けられた一対のクランク脚16,18に水栓本体14を接続固定し、更にその水栓本体14に対して本体カバー21を取り付けた後において、隙間カバー46を壁W側にスライド移動させ、壁Wに当てることで、上カバー42と壁Wとの間の隙間を隙間カバー46にて閉鎖し、隠蔽する。
その際、隙間カバー46を壁Wに向けて押圧操作し、壁W側に移動させるための被押圧部176が隙間カバー46に設けられている。
詳しくは、隙間カバー46の左右両端位置に、側面閉鎖部80から左右方向外方に壁Wに沿って平行に突出するリブ状の被押圧部176が設けられ、また左右方向の中央部において上記の連結部162から壁Wと平行方向に垂直に立ち下る板状の被押圧部178が隙間カバー46に設けられている。
上カバー42の内側にスライド可能に保持された隙間カバー46は、左右方向中央部の幅広の板状の被押圧部178を壁Wに向けて後向きに押圧することで、或いは左右両端の一対のリブ状の被押圧部176を後方に押圧することで、壁Wに向ってスライド移動させ、壁Wに当接させることができる。
この実施形態では、左右一対のリブ状の被押圧部176、及び場合によって連結部162もまた被押圧部と成り得るものであるが、隙間カバー46を後方に押す際の主たる操作部は左右方向中央の被押圧部178となる。
左右方向中央の被押圧部178を押圧操作することで、隙間カバー46を左右バランス良く全体的に後方移動させることができる。
その際、この実施形態では下カバー44に設けた長穴状の貫通の開口部70を、その押圧作業用の開口部として利用することができる。
この開口部70は、シャワーエルボ34を下向きに露出させるための開口部であるが、この開口部70は、シャワーエルボ34を左右方向に回転可能とするために左右方向の長穴形状とされており、そこでこの開口部70から手(指)を下カバー44内部に挿入し、隙間カバー46の被押圧部178を押圧操作することで、隙間カバー46を左右バランス良く均等に壁Wに向って押動することができる。
尚この被押圧部178の下端及び上記一対の側面閉鎖部80の下端からは、水平方向直角に突き出した曲げ部180,182が設けられている。
これら曲げ部180,182は、隙間カバー46のスライド移動時に、下カバー44の下面カバー部60の内面上を前後方向に移動せしめられる。
図8に示しているように、上カバー42には、左右方向の略中央部において前面カバー部50から、詳しくはその下部58から後方に突出する板状の係合部100が設けられている。
係合部100は、水栓本体14の上記の被係合部36の直下に位置して、被係合部36に対し上向きに係合せしめられており、上カバー42の前部に上向きの力が加わった場合においても、それらの係合作用により、上カバー42の前部が浮上り防止されている。
この板状の係合部100は、左右の両端面が3角形状の補強リブ104にて前面カバー部50における下部58の内面に連結されており、この補強リブ104によって係合部100が強度補強されている。
この実施形態では、係合部100に貫通の挿通孔106が設けられており、図13及び図14に示しているようにこの挿通孔106を挿通してビス108が、水栓本体14の被係合部36の開口から内部の雌ねじ穴37にねじ込まれることで、係合部100が水栓本体14の前部に固定されている。
但し係合部100の主たる働きは水栓本体14の被係合部36に上向きに係合して、上カバー42前部の浮上り防止することにあり、従ってビス108による固定は省くことが可能である。
上カバー42にはまた、上記の係合部100よりも壁W側の奥側位置において、図7及び図8に示しているように上面カバー部48の内面(下面)から立ち下る円筒状の一対の固定部112が左右両側位置に設けられている。
一方水栓本体14、詳しくは本体ボデー12には、平面視において対応する左,右位置に、詳しくは組付状態で固定部112と上下に対向する位置に一対の鍔状の被固定部114が一体に設けられている。
これら被固定部114には貫通の挿通孔116が設けられている。
上カバー42は、一対の固定部112において水栓本体14の対応する一対の被固定部114に固定されている。
詳しくは、図14に示しているように円筒状の固定部112の内部には、円筒状の雌ねじ金具118が埋め込まれており、そこにビス120が、被固定部114の挿通孔116を挿通してねじ込まれることで、かかるビス120によって固定部112と被固定部114とがねじ締結され、固定されている。
この実施形態では、下カバー44もまた、図7及び図9に示す固定部122において、水栓本体14の被固定部114に対し、上カバー42とともに固定されている。
詳しくは、下カバー44は、上カバー42の上記の係合部100を下側から覆う状態に、水栓本体14に対して下側から上向きに被せられており、この下カバー44には、その係合部100よりも奥側の位置、詳しくは組付状態で上カバー42の固定部112及び水栓本体14の被固定部114に対して上下に対向する直下の位置に、円筒状の固定部122が設けられている。
この下カバー44の円筒状の固定部122は、その下端が開口し上端に底部124(図14参照)を有する有底円筒状をなしており、図14に示すようにこの固定部122の下端の開口からビス120を上向きに挿入し、更に底部124の挿通孔126及び被固定部114の挿通孔116を挿通して、上カバー42の固定部112の内部の雌ねじ金具118にねじ込むことで、上カバー42の固定部112と下カバー44の固定部122とが、被固定部114を上下両側から挟み込む状態に、被固定部114に同時に固定されている。
即ち上カバー42と下カバー44とが、共通の1つのビス120によって水栓本体14に同時に固定されている。
上カバー42にはまた、図8に示すように左右両端に近い位置で、上面カバー部48の内面(下面)から水栓本体14に向けて下向きに突出する一対の板状のリブ128が設けられており、またそれらリブ128の内側位置において、上面カバー部48の内面から下向きに突出する一対の板状のリブ130が設けられている。
図12に示すように、左右方向の両外側の一対のリブ128は、図6及び図7に示す水栓本体14の左右両端部のフランジ部(第2の被係合部)132に対して左右方向の両外側から係合し、上カバー42を水栓本体14に対して左右方向に位置決めする働きを有している。
尚下カバー44においても、水栓本体14の上記のフランジ部132に対して左右方向の両外側から係合し、下カバー44を水栓本体14に対して左右方向に位置決めするリブ138(図7,図9参照)が、下カバー44の内面から水栓本体14に向けて上向きに突出する状態に設けられている。
また下カバー44には、上カバー42の側面カバー部52の内面に嵌合して、下カバー44と上カバー42との組付けの左右方向位置を規定するリブ148が、起立部64とは段違い形状で設けられている。
上記一対のリブ128は、水栓本体14、詳しくは本体ボデー12の外周形状に対応した形状で湾曲する湾曲形状のストッパ部134を有している。
これらストッパ部134は、図12(B)に示しているように水栓本体14における本体ボデー12の前面に当接して、上カバー42を水栓本体14に対して前後方向に位置決めする働きをなす。
これら一対のリブ128はまた、ストッパ部134の後側で前後方向に延び、水栓本体14に対して下向きに当接するガイド部136を有している。
これらガイド部136は、上カバー42を水栓本体14に対して上下方向に位置決めする働きを有し、またその当接状態を保ちつつ、ストッパ部134が水栓本体14から前方に離れた位置と、水栓本体14に後方向きに当接する位置との間で水栓本体14の上面に対して相対摺動し、上カバー42を前後方向にスライドガイドするガイド部としての働きを有している。
これらリブ128におけるストッパ部134,ガイド部136の詳細な作用については後述する。
一方、左右方向の内側位置の一対のリブ130は、水栓本体14に対する上カバー42の取付状態の下で、水栓本体14の上面、詳しくは図5及び図7に示す水栓本体14の被当接部142の上面との間に、図13に示す所定の微小な隙間を形成する状態でかかる被当接部142に下向きに対向する当接部140を有している。
これら当接部140は、上カバー42の上面カバー部48に対して下向きの力が加わったとき、水栓本体14の被当接部142に当接して、上面カバー部48の更なる変形を抑制するように働く。
従って、ここでは当接部140と被当接部142との間の隙間は、上面カバー部48に下向きの力が加わって変形開始したときに、当接部140が被当接部142に当ることができるように微小な隙間に設定してある。
上記各一対のリブ128,130は何れも前後方向に延びる形態で設けられているが、上カバー42の上面カバー部48の内面には、左右方向に延びる形態でリブ144が設けられている。
更に前後方向に延びるリブ128,130に続いて、前面カバー部50に沿って延びるリブ146が設けられている。
これら複数のリブ128,130,144,146は、樹脂製且つ板状の上カバー42の各部を補強する働きをなしている。
尚本実施形態のカバー付き水栓では、図14に示しているように上カバー42の上面カバー部48,前面カバー部50、更に下カバー44の下面カバー部60が、水栓本体14から離隔した状態で水栓本体14を囲い込んでおり、それら各カバー部と水栓本体14との間に空間を形成している。そしてその空間により断熱効果をもたせている。
次に本実施形態のカバー付き水栓の施工手順を、各要部の作用とともに以下に説明する。
本実施形態のカバー付き水栓を設置現場で設置施工する際には、先ず一対のクランク脚16,18を、雄ねじ管から成る管体22を壁W裏の元配管に対しねじ込むことでそれら元配管に接続し、壁Wに取り付ける。
その後、予め壁Wから前方に退避させていた椀座30を壁W側にねじ込んで(椀座30の内周面には雌ねじが設けてある)、椀座30を壁Wに当接させ、その椀座30によってクランク脚16,18と対応する元配管との接続部を隠蔽する。
その後、図6に示しているように水栓本体14を、一対の接続部28において一対のクランク脚16,18の管体24の端部に袋ナット26にて接続する。
ここにおいて水栓本体14が壁Wに取り付いた状態となる。
本実施形態においては、その後においてカバー20を水栓本体14に固定し、取り付けることとなる。
その際、先ず上カバー42を、隙間カバー46をスライド可能に保持した状態で水栓本体14に対して上側から下向きに被せ、水栓本体14に取り付ける。
このとき、上カバー42の係合部100が、図12(A)に示しているように水栓本体14よりも前方に位置するようにして、上カバー42を水栓本体14に下向きに被せる。
係合部100が水栓本体14よりも前方に位置していないと、上カバー42を水栓本体14に被せる際に、係合部100が水栓本体14と干渉してしまうため、良好に上カバー42を水栓本体14に被せることができない。
さてこのようにして係合部100が水栓本体14よりも前方に位置するようにして上カバー42を水栓本体14に被せたとき、図12(A)に示すように上カバー42の左右一対のリブ128に設けた湾曲形状のストッパ部134が、水栓本体14の前面から前方に離れて位置した状態となる。
そしてリブ128に備えたガイド部136が、水栓本体14の上面に下向きに当接し、その当接作用によって上カバー42が隙間カバー46とともに水栓本体14にて支持された状態となる。
尚このとき、図12(A)に示しているように上カバー42の固定部112もまた、水栓本体14の対応する被固定部114に対し前方に離隔して位置した状態となる。
そこで次に上カバー42を壁Wに向って後方に押し込む。
このとき、一対のリブ128のガイド部136が、水栓本体14の上面への当接状態を保ちつつ、水栓本体14に対して相対的に摺動し、そして一定量上カバー42を押し込むと、リブ128に設けた湾曲形状のストッパ部134が、水栓本体14の前面に当接してストッパ作用し、ここにおいて上カバー42の押込端が規定される。即ち上カバー42が、水栓本体14に対して前後方向に位置決めされる(図12(B))。
上カバー42に設けた係合部100及び固定部112は、上カバー42の押込みに伴って後方に一体に移動し、そしてストッパ部134が水栓本体14の前面に当って、上カバー42が水栓本体14に対して前後方向に位置決めされたところで、係合部100が水栓本体14の被係合部36の直下に位置して、被係合部36に対し上向きに係合する状態となり、また上カバー42の固定部112が、図12(B)に示しているように水栓本体14の被固定部114の真上に位置して、被固定部114に対し上下に対向した状態となる。
そこで次に、図13に示しているように、ビス108を上カバー42の係合部100の挿通孔106から、水栓本体14の被係合部36の雌ねじ穴37にねじ込んで、上カバー42を水栓本体14に対して固定(仮固定)する。
以上のようにして上カバー42を水栓本体14に下向きに被せ、仮固定したら、次に図13に示しているように下カバー44を水栓本体14に対して下側から上向きに被せ、水栓本体14に固定する。
このときの下カバー44の水栓本体14への固定は次のようにして行う。
即ち、下カバー44の円筒状の固定部122の下端の開口から、図14に示しているようにビス120を固定部122内に挿入し、更に続いてビス120を固定部122の挿通孔126,水栓本体14の被固定部114の挿通孔116を挿通して、上カバー42の円筒状の固定部112内の雌ねじ金具118にねじ込む。
ここにおいて上カバー42の固定部112と、下カバー44の固定部122とが、水栓本体14の被固定部114を上下両側から挟み込んだ状態に、それら3者がねじ締結され、固定される。
即ち上カバー42と、水栓本体14と、下カバー44との3者が同時固定される。
ここにおいて上カバー42の係合部100が下カバー44にて下側から覆われ、また水栓本体14及び一対のクランク脚16,18の全体が、上カバー42と下カバー44とで囲い込まれた状態となり、それらが本体カバー21の内部に隠れた状態となる。
このとき、上カバー42と壁Wとの間には施工上隙間が生じる。
例えば、図15(B),(C)に示しているようにカバー付き水栓10を壁Wに取り付けるに際して、クランク脚16,18のねじ込み量のばらつきによって、上カバー42と壁Wとの間に隙間が生じ且つその隙間の大きさも様々となる。
そこで次に、隙間カバー46を壁W側にスライド移動させてその隙間を隙間カバー46にて閉鎖する。
その作業は次のようにして行う。
即ち、下カバー44の長穴状の開口部70から片方の手(指)を下カバー44の内部に挿入して、隙間カバー46の左右中央部の被押圧部178を壁Wに向けて後向きに押し、隙間カバー46を壁W側にスライド移動させて壁Wに当接させる。
尚、隙間カバー46の壁W側へのスライド移動を、左右両端位置のリブ状の被押圧部176を押圧して行うこともできるが、作業上開口部70から手を挿入して被押圧部178を押すことで、隙間カバー46を移動させる方が作業が行い易い。
次に片方の手で隙間カバー46を壁Wに押し当てた状態を保ちながら、今一方の手でドライバ等の工具を用いて隙間カバー46を上カバー21に対して、即ち水栓主体15に対して固定する作業を行う。
この作業は次のようにして行う。
即ち下カバー44の円筒状の固定部96の下端の開口から図11に示すボルト90を挿入し、そしてボルト90を固定部96の上端の挿通孔98及び隙間カバー46の被固定部154の挿通部88、上カバー42の筒形状部84における固定部152の挿通孔94に上向きに挿通し、そして筒形状部84内部のナット92に対してねじ込むことで、隙間カバー46が上カバー42及び下カバー44に対してしっかりと固定された状態となる。
以上のような本実施形態のカバー付き水栓10では、クランク脚16,18をカバー20の内側に隠すことができるため、クランク脚16,18へのメッキ処理を省くことが可能となる。
またクランク脚16,18に汚れが付き易かったり、またその汚れの掃除がしにくいことでクランク脚16,18に汚れが付いたままとなり易く、そのことが水栓の美観を悪化させる問題を解決でき、クランク脚16,18付きのカバー付き水栓10の美観を高めることができる。
また湯側のクランク脚18をカバー20の内側に覆っておくことができるため、使用者が意図しない動きで湯側のクランク脚18に触れてしまって熱い思いをしたり、場合によって火傷をしてしまう恐れも無くすことができる。
また本実施形態のカバー付き水栓10では、水栓設置時において本体カバー21と壁Wとの間に隙間が生じたとき、隙間カバー46を壁W側にスライド移動させて壁Wに当接させることで、本体カバー21と壁Wとの間の隙間を隠蔽することができる。
しかも本実施形態のカバー付き水栓10では、その隙間カバー46が本体カバー21、詳しくは上カバー42の内側に保持させてあるため、上カバー42の壁W側の端部を外面側から隙間カバーにて覆い隙間を隠蔽する場合のように、隙間カバーが上カバー42の外面に対して段違い形状で突出し、隙間カバーの端面が外部に現れてしまったり、或いは上カバー42と隙間カバーとの継目が目立ったものとなってカバー付き水栓10の美観を悪くしてしまうといった問題を生じず、カバー付き水栓10を良好な美観で壁Wに設置施工することができる。また設置状態においてカバー付き水栓10の品位を高めることができる。
また本実施形態では、隙間カバー46が上面カバー部48側の位置で上カバー42に固定してあって、回転の支点となる隙間カバー46の固定個所が上面カバー部48に近い位置であるため、隙間カバー46が上カバー42に対し相対的に回転したとき、上カバー42の上面カバー部48に対する隙間カバー46の上面の傾きを小さく抑制でき、また隙間カバー46と壁Wとの間に隙間が生じるのを防ぐことができる。或いは隙間を可及的に小さくすることができる。これによりカバー付き水栓10設置状態の美観を良好とすることができる。
更に本実施形態では、上カバー42に左右一対の側面カバー部52を備えて、それら一対の側面カバー部52のそれぞれの内面に係合部158を設け、また隙間カバー46には対応する位置に被係合部160を設けて、それら係合部158と被係合部160との係合により、一対の側面カバー部52を左右方向に拘束しているため、成形の際に一対の側面カバー部52が開く方向に上カバー42が反り変形するのを抑制でき、成形時の条件の如何に拘らず上カバー42を良好な形状に保持することができる。
そしてこれによりカバー付き水栓10設置状態の美観を良好に保持することができる。
更に本実施形態は、隙間カバー46に、壁Wに沿った方向に延びる被押圧部178を設けるとともに、下カバー44の下面カバー部60に開口部70が設けてあるため、その開口部70から指などを挿入して被押圧部178を壁に向けて押圧し、隙間カバー46を壁Wに押し当てるようになすことができる。
従って片方の手(指)で開口部70を通じ被押圧部178を押して隙間カバー46を壁Wに押し当てた状態で、もう片方の手で固定作業を行う際の作業がし易くなり、固定作業中に隙間カバー46が壁Wから部分的に離れてしまって、壁Wとの間に隙間を生じてしまった状態で隙間カバー46を固定してしまうといったことを防ぐことができる。
更に本実施形態では、隙間カバー46に抜け防止用の爪170を、上カバー42に爪170を抜け方向に掛止させる掛止部174を設けていることから、設置現場でカバー付き水栓10を壁Wに設置施工する際、上カバー42の内側にスライド可能に保持させた隙間カバー46が脱落してしまい、作業が行いづらかったり、或いはその脱落によって隙間カバー46が傷付いてしまったりするのを防ぐことができ、施工の作業性を良くすることができるとともに、脱落による隙間カバー46の傷付きを防ぐことができる。
次に図16〜図20は本発明の他の実施形態を示している。
この実施形態のカバー付き水栓10もまたクランク脚付きのもので、水側及び湯側の一対のクランク脚16,18と、クランク脚16,18を介して壁Wに固定される水栓本体14と、一対のクランク脚16,18ごと水栓本体14を囲い込むカバー20とを有し、またカバー20が、上カバー42と下カバー44とを有する本体カバー21と隙間カバー46とで構成され、更にクランク脚16,18,水栓本体14,本体カバー21とを含んで水栓主体15が構成されている点で上記実施形態と同様である。
また水栓本体14として、上記実施形態と同じものが共通に用いられている。
但しこの実施形態では、カバー20を水栓本体14に固定するための、補強部材を兼ねた金属製の剛性のブラケット200を有し、そのブラケット200を含んで水栓主体15が構成されている点で上記実施形態と異なる。
ブラケット200は、図19に示すように左右方向の離隔した位置に一対の固定機能部202を有している。
一対の固定機能部202のそれぞれは、水栓本体14の被固定部114に固定される水栓本体側の固定部204を有しており、更にこれから左右方向外方に離隔した位置において、上カバー42,下カバー44及び隙間カバー46を固定するためのカバー側の固定部206を有している。
そしてそれぞれに、固定具としてのボルト等を挿通する挿通孔210及び雌ねじ孔208,212が設けられている。
更に隙間カバー46側の後述の爪170を前後方向に移動可能に挿入させ、且つこれを掛止させる長穴状の掛止孔(掛止部)214と、更に同じく隙間カバー46側の後述のスライド部236を下側から支持してこれをスライド可能に保持するスライド保持部216が設けられている。
ブラケット200は、これら一対の固定機能部202を連結部213で左右方向に連結した形態の一体構造体をなしている。
この実施形態において、ブラケット200は水栓本体14側の固定部204において水栓本体14に固定され、水栓本体14にて保持される。
カバー側の固定部206においては、上カバー42及び下カバー44が、即ち本体カバー21が次のようにして固定される。
詳しくは、図20に示しているように挿通孔210に対してボルト218が上向きに挿通され、そして上カバー42の固定部220の内側に保持されたナット222に対してボルト218がねじ込まれることで、上カバー42がブラケット200の固定部206に固定される。
また挿通孔210の後側位置において、ビス228が下カバー44の固定部224に設けられた挿通孔226を挿通して、固定部206の雌ねじ孔212にねじ込まれることで、下カバー44がブラケット200の固定部206に固定される。
図19に示すように、上記隙間カバー46は左右方向に細長い形状のもので、上面閉鎖部78と左右一対の側面閉鎖部80とを有しており、更にそれら上面閉鎖部78と側面閉鎖部80とを前端側で連結する板状の前面部230を有している。
そしてこの前面部230の左右両端部から、被固定部154が前方に突出せしめられている。
この被固定部154には、図19の部分拡大図で示すように前後方向に長穴形状をなす挿通孔232が設けられており、更に前方に突出する向きで弾性片168が設けられて、その先端部に爪170が設けられている。
更に上向きの立上り部234に、前後方向に延びるスライド部236が設けられている。
このスライド部236の下側には溝238が形成されている。
この隙間カバー46は、次のようにしてブラケット200の固定部206に固定される。
即ち、隙間カバー46の被固定部154を、ブラケット200の固定部206と下カバー44の固定部224との間に挟み込んだ状態で、図20に示す上記のビス228を、固定部224の挿通孔226及び隙間カバー46の被固定部154の長穴状の挿通孔232に挿通して、ブラケット200の雌ねじ孔212にねじ込むことで、かかる隙間カバー46が被固定部154においてブラケット200の固定部206に固定される。
尚、ビス228を緩めた状態では隙間カバー46は前後方向にスライド可能である。
この実施形態では、隙間カバー46が上カバー42の上面カバー部48側で水栓主体15、詳しくはブラケット200に対して固定されていないが、隙間カバー46の被固定部154及びブラケット200の固定部206を、図20に示す位置よりも上面カバー部48に近い上側に設けておくことで、隙間カバー46を上面カバー部48側でブラケット200に固定するようになすこともできる。
上記のように被固定部154には、前後方向に延びるリブ状のスライド部236が設けられていて、その下側の溝238にブラケット200における固定部206のスライド保持部216が挿入せしめられ、そのスライド保持部216によってスライド部236が、即ち隙間カバー46が前後方向にスライド可能に保持されている。
尚この実施形態では、隙間カバー46の前面部230が被押圧部として構成されている。
従ってこの実施形態では、図18に示す下カバー44の長穴状の開口部70を通じて下カバー44の内部に手(指)を挿入し、そしてその手で隙間カバー46の前面部230を後方に押すことで、隙間カバー46をブラケット200に対して、即ち水栓主体15に対して後方にスライド移動させることができる。
そして隙間カバー46を壁Wに押し当てた状態で、今一方の手を用いてビス228により隙間カバー46を被固定部154においてブラケット200の固定部206に固定作業することができる。
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば本発明は下カバーを省略して上カバー単独で本体カバーを構成したり、或いは下カバーを設ける場合において、下カバーの側に前面カバー部,側面カバー部の一部を形成したり、或いは前面カバー部,側面カバー部の全体を下カバーに形成し、上カバーをその上面を閉じる蓋カバーとして構成するといったことも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
10 カバー付き水栓
14 水栓本体
15 水栓主体
16,18 クランク脚
20 カバー
21 本体カバー
46 隙間カバー
48 上面カバー部
52 側面カバー部
60 下面カバー部
68,70 開口部
84 筒形状部
86,236 スライド部
150,216 スライド保持部
152,206 固定部
154 被固定部
158 係合片(係合部)
160 被係合部
170 爪
174 掛止部
176,178 被押圧部
214 掛止孔(掛止部)
230 前面部(被押圧部)

Claims (5)

  1. 水栓本体と、該水栓本体を壁に固定する水側及び湯側の一対のクランク脚と、該水栓本体を覆うカバーと、を備えたクランク脚付きのカバー付き水栓であって、
    前記カバーは、前記一対のクランク脚ごと前記水栓本体を覆う本体カバーと、該本体カバーの壁側の端と該壁との間に生ずる隙間を隠蔽する隙間カバーとを有していて、該隙間カバーが、前記クランク脚及び該クランク脚を介して前記壁に固定される前記水栓本体及び前記本体カバーを含んで構成される水栓主体に設けたスライド保持部により、該本体カバーの内側に、前記壁に向けて前後方向にスライド可能に保持させてあることを特徴とするカバー付き水栓。
  2. 請求項1において、前記隙間カバーが、前記隙間を隠蔽する状態に位置調節された状態で前記水栓主体に固定されるものとなしてあり、該隙間カバーには、前記本体カバーの、前記水栓本体及びクランク脚を上側から覆う上面カバー部側の位置に被固定部が設けてあり、該被固定部において該隙間カバーが前記水栓主体に設けた固定部に固定されるものとなしてあることを特徴とするカバー付き水栓。
  3. 請求項1,2の何れかにおいて、前記本体カバーには、前記一対のクランク脚ごと前記水栓本体を側方から覆う、前記壁に対する正面視において左右一対の側面カバー部が備えてあり、該側面カバー部のそれぞれの内面には係合部が、また前記隙間カバーには該係合部に対応する位置に、該係合部に対して前記左右方向に係合する被係合部が設けてあり、それら係合部と被係合部との係合により前記一対の側面カバー部が前記左右方向に拘束されていることを特徴とするカバー付き水栓。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記隙間カバーには、前記壁に沿った方向に延びる被押圧部が設けてあるとともに、前記本体カバーには、前記水栓本体及びクランク脚を下側から覆う下面カバー部に、前記被押圧部を前記壁に向けて押圧操作可能とする開口部が設けてあることを特徴とするカバー付き水栓。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、前記隙間カバーと前記水栓主体との一方には、該隙間カバーを抜け防止する爪が、他方には該爪を前記抜け方向に掛止させる掛止部が設けてあることを特徴とするカバー付き水栓。
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