JP5802191B2 - リンク機構の制御装置 - Google Patents
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Description
(1−1.リンク機構)
図1〜図7を参照して、本発明の実施形態の制御装置及び該制御装置を備えるリンク機構について説明する。図1に示されるように、リンク機構1は、基体2と、先端部3と、複数の関節機構Ji(i=1,2,...,N)と、複数のリンク部材Li(i=0,1,...,N)と、アクチュエータ4(図2参照)と、制御装置30(図6参照)とを備える。
(1−2−1.関節機構の構成)
次に、複数の関節機構Jiの詳細について図2〜図5を参照して説明する。なお、本実施形態において、各関節機構Jiは、全て同じ構成の回転関節機構である。
以上の構成の関節機構Jiの動作を説明しておく。電動モータ18により、スプリングウォーム17を回転駆動することで、該スプリングウォーム17に噛合されたギヤ16を介して回転バー14が回転する。従って、電動モータ18のサーボ制御によって、回転バー14の回転角度(位相角)を制御することができる。ここで、以降の説明では、回転バー14の位相角を、図3に示すように、回転バー14の延在方向(ローラ13a,13bの間隔方向)が駆動プーリ12a及び被動プーリ12bの間隔方向と直交する状態からの該回転バー14の回転角度φとして定義する。
このように回転バー14にトルクτaが作用している状況で、スプリングウォーム17は回転しないので、ギヤ16の回転によってスプリングウォーム17の一部(詳しくは、ギヤ16の噛合部分と前記電動モータ18側のバネ座部材20aとの間の部分)が伸長又は短縮され、その伸縮量に応じた弾性力をスプリングウォーム17が発生する。
この式(122−2)と前記式(122−1)とから、上記平衡状態における並進力Fと、回転バー14の基準状態からの回転量Δφとの関係は、次式(122−3)により与えられる。
従って、ワイヤ11の張力によってローラ13a又は13bに作用する並進力Fは、回転バー14の基準状態からの回転量Δφに比例するものとなる。
よって、伝達機構8は、駆動プーリ12aと被動プーリ12bとの動力伝達を行うバネ部材として機能する。そして、上記トルクτspは、伝達機構8によって両プーリ12a,12b間に発生する弾性力によって伝達されるトルク(以下、「弾性力トルク」という)τspに相当する。この場合、式(122−4)におけるkは、両プーリ12a,12b間の相対回転量Δθの変化に対する弾性力トルクτspの変化の比率である。
よって、伝達機構8は、駆動プーリ12aと被動プーリ12bとの間に粘性力を発生する機能も有する。この場合、式(122−5)におけるCは、両プーリ12a,12b間の相対回転速度Δω_pulleyの変化に対する粘性トルクτdpの変化の比率であり、以降、粘性係数Cという。
次に、制御装置30の詳細について図6を参照して説明する。
関節トルク決定部31は、各関節機構Jiの目標トルクτ_cmd(=(τ_cmd_1,τ_cmd_2,...,τ_cmd_N))を、目標力F_cmd(=(F_cmd_x,F_cmd_y,F_cmd_z))に基づいて、次式(21)に従って決定する。
但し、JTは、ヤコビ行列Jの転置行列である。ヤコビ行列Jは、基体座標系における、先端部3の変位速度と、各関節機構Jiの関節変位速度ω_iとの関係を規定するヤコビ行列である。
慣性モーメント算出部32は、各関節機構Jiの実関節角度ψ_act_iに応じて、各リンク部材Liの位置及び姿勢を求める。そして、慣性モーメント算出部32は、各リンク部材Liの位置及び姿勢から、各対象関節機構において、当該対象関節機構Jiを変位させる場合の慣性モーメントI_t_iを次式(22)に従って求める。
相対的変位速度決定部33は、衝突リンク部材Lcollに設けられた速度センサが出力した衝突相対速度ΔVに対応する、各対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iを決定する。なお、相対的変位速度決定部33は、後述するように、剛性決定部343から再決定要求が出力されている場合には(図6の剛性決定部343から相対的変位速度決定部33への破線矢印を参照)、衝突相対速度ΔVに加え、後述する相対的関節限界速度Δω_lim_iに基づいて、各対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iを決定する(「2−4−4.第1剛性>第2剛性の場合」参照)。
ここで、Jcoll+は、以下に示されるヤコビ行列Jcollの疑似逆行列である。ヤコビ行列Jcollは、基体座標系における、衝突リンク部材Lcollの変位速度と、対象関節機構Jiの関節変位速度ω_iとの関係を規定するヤコビ行列である。また、Δωは、(Δω_1,Δω_2,...,Δω_coll)で表される。すなわち、Δωは、各対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iの全てを要素とするベクトルである。
(2−4−1.第1剛性)
第1剛性決定部341は、各対象関節機構Jiにおいて、慣性モーメント算出部32が算出した慣性モーメントI_t_i、及び相対的変位速度決定部33が決定した相対的関節変位速度Δω_iに基づいて、次式(241)に従って得られる剛性以上の値に第1剛性k1_iを決定する。
第2剛性決定部342は、各対象関節機構Jiにおいて、慣性モーメント算出部32が算出した慣性モーメントI_t_i、及び相対的変位速度決定部33が決定した相対的関節変位速度Δω_iに基づいて、次式(242)に従って得られる剛性以下の値に第2剛性k2_iを決定する。
剛性決定部343は、各対象関節機構Jiにおいて、当該対象関節機構Jiの弾性要素5の目標剛性k_cmd_iを、上記のようにして決定された第1剛性k1_i以上且つ第2剛性k2_i以下となるように決定する。各対象関節機構Jiにおいて、当該対象関節機構Jiの弾性要素5の目標剛性k_cmd_iは、第1剛性k1_i以上且つ第2剛性k2_i以下の範囲内であればいずれの値であってもよい。
例えば、衝突相対速度ΔVが大きい場合等において、相対的関節変位速度Δω_iが大きくなり、ひいては、第1剛性決定部341が決定した第1剛性k1_iが、第2剛性決定部342が決定した第2剛性k2_iよりも大きくなることもあり得る(以下、このような対象関節機構Jiを限界関節機構Jlim_iという)。
但し、Δω_now_iは、現時点で決定されている第i対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iを意味する。
但し、Δω_diffは、各対象関節機構Jiにおいて、「現時点で決定されている相対的関節変位速度Δω_now_iのうち通常関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_now_i」と、「限界関節機構Jlim_iの相対的関節変位速度Δω_now_iが相対的関節限界速度Δω_lim_iに変更されたもの」との全てを要素として持つベクトルである。例えば、第j対象関節機構Jj及び第k対象関節機構Jkが限界関節機構Jlim_j,Jlim_kである場合には、Δω_diffは、「(Δω_now_1,Δω_now_2,...,Δω_lim_j,...,Δω_lim_k,...,Δω_now_N)」で表される。
但し、Jcoll_norm+は、以下に示されるヤコビ行列Jcoll_normの疑似逆行列である。ヤコビ行列Jcoll_normは、基体座標系における、衝突リンク部材Lcollの変位速度と、対象関節機構Ji(i=1,2,...,coll)のうち通常関節機構Jiの各関節変位速度ω_iとの関係を規定するヤコビ行列である。
Δω_i=Δω_lim_i …(244−5)
そして、特性決定部34は、各対象関節機構Jiにおいて、相対的変位速度決定部33が上記のように再度決定した相対的関節変位速度Δω_iに基づいて、第1剛性k1_i及び第2剛性k2_iを再度決定する。
粘性係数決定部344は、剛性決定部343が決定した目標剛性k_cmd_iに基づいて、次式(25)に従って目標粘性係数C_cmd_iを決定する。
制御装置30によって実行される上記制御処理の手順の一例について図7のフローチャートを参照して説明する。本フローチャートで示される制御処理プログラムは、所定時間(例えば、10[msec])毎に呼び出されて実行される。
本実施形態において、第1剛性決定部341は、前述した式(241)に従って得られる剛性以上の値に第1剛性k1_iを決定しているが、他の演算式等によって算出されてもよい。
Claims (7)
- 基体と該基体に対して可動な可動部との間に設けられた1つ又は複数の関節機構と、前記1つ又は複数の関節機構を変位させる駆動力を出力するアクチュエータとを備え、前記1つ又は複数の関節機構の各々は、剛性を可変的に制御可能に構成された弾性変形可能な弾性要素を介して動力伝達を行うように構成されているリンク機構の制御装置であって、
前記可動部が外部の物体と衝突する場合における前記可動部と前記物体との間の相対的な速度に対応する、前記1つ又は複数の関節機構の各々の相対的な変位速度を決定するように構成された相対的変位速度決定部と、
前記可動部が前記物体と衝突する場合における前記1つ又は複数の関節機構の各々の前記弾性要素の剛性を、前記1つ又は複数の関節機構の各々に対して決定される第1剛性以上且つ第2剛性以下となるように決定するように構成された特性決定部と、
前記可動部が前記物体と衝突する場合における前記1つ又は複数の関節機構の各々の前記弾性要素の剛性を、前記特性決定部によって決定された剛性に制御するように構成された特性制御部とを備え、
前記特性決定部は、
前記1つ又は複数の関節機構の各々において、当該関節機構の前記弾性要素の弾性変形量が当該関節機構の前記弾性要素の最大変形量である場合における当該関節機構の前記弾性要素の弾性エネルギーが、前記相対的変位速度決定部によって決定された当該関節機構の変位速度で当該関節機構が変位するときの当該関節機構の運動エネルギー以上となるように、前記第1剛性を決定し、
前記1つ又は複数の関節機構の各々において、前記可動部が前記物体と衝突することによる当該関節機構の変位が開始された時点から、当該衝突による当該関節機構の変位によって蓄積された当該関節機構の前記弾性要素の弾性エネルギーによる当該関節機構の変位が開始される時点までの時間が、前記アクチュエータによって当該関節機構を変位させることで、当該関節機構の変位速度を、前記相対的変位速度決定部によって決定された当該関節機構の相対的な変位速度の向きを反転させた速度だけ変化させる場合に当該関節機構で実現可能な最短時間以上となるように、前記第2剛性を決定することを特徴とするリンク機構の制御装置。 - 請求項1に記載のリンク機構の制御装置において、前記1つ又は複数の関節機構のうちの任意の1つの関節機構を第i関節機構と定義したとき、前記特性決定部は、前記第i関節機構の前記弾性要素の前記第1剛性を次式(1)に従って得られる剛性以上に決定することを特徴とするリンク機構の制御装置。
I_t_i:前記可動部が前記物体と衝突する場合における、前記第i関節機構を変位させる場合の慣性モーメント又は慣性質量
Δω_i:前記相対的変位速度決定部によって決定された前記第i関節機構の相対的な変位速度
x_lim_i:前記第i関節機構の前記弾性要素の最大変形量 - 請求項1又は2に記載のリンク機構の制御装置において、前記1つ又は複数の関節機構のうちの任意の1つの関節機構を第i関節機構と定義したとき、前記特性決定部は、前記第i関節機構の前記弾性要素の前記第2剛性を次式(2)に従って得られる剛性以下に決定することを特徴とするリンク機構の制御装置。
I_t_i:前記可動部が前記物体と衝突する場合における、前記第i関節機構を変位させる場合の慣性モーメント又は慣性質量
π:円周率
A_max_i:前記第i関節機構を前記アクチュエータによって変位させる場合に当該第i関節機構で実現可能な最大加速度
Δω_i:前記相対的変位速度決定部によって決定された前記第i関節機構の相対的な変位速度 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のリンク機構の制御装置において、前記特性決定部は、前記可動部により近い関節機構ほど、その前記弾性要素の剛性を小さく決定することを特徴とするリンク機構の制御装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリンク機構の制御装置において、
前記相対的変位速度決定部は、前記特性決定部が前記1つ又は複数の関節機構の各々の前記第1剛性及び前記第2剛性を決定したときに、前記1つ又は複数の関節機構のうち前記第1剛性が前記第2剛性よりも大きくなった関節機構である限界関節機構が存在する場合には、前記限界関節機構の前記弾性要素の剛性が前記第2剛性と等しいと仮定した場合において、前記可動部が前記物体と衝突することによる前記限界関節機構の変位が開始された時点から、当該衝突による前記限界関節機構の変位によって蓄積された前記限界関節機構の前記弾性要素の弾性エネルギーによる前記限界関節機構の変位が開始される時点までの期間、前記アクチュエータによって前記限界関節機構を前記限界関節機構で実現可能な最大加速度で変位させたときの前記限界関節機構の変位速度の変化量を、前記限界関節機構の相対的な変位速度として再度決定すると共に、前記1つ又は複数の関節機構のうち前記限界関節機構ではない関節機構の各々において、現時点で決定されている当該関節機構の相対的な変位速度よりも大きくなるように当該関節機構の相対的な変位速度を再度決定し、
前記特性決定部は、前記1つ又は複数の関節機構の各々において、前記相対的変位速度決定部が再度決定した変位速度に基づいて、前記第1剛性及び前記第2剛性を再度決定することを特徴とするリンク機構の制御装置。 - 請求項5に記載のリンク機構の制御装置において、前記特性決定部は、前記限界関節機構よりも前記可動部に近い前記関節機構の前記弾性要素の剛性が、前記限界関節機構よりも前記基体に近い前記関節機構の前記弾性要素の剛性よりも小さくなるように、前記1つ又は複数の関節機構のうちの前記限界関節機構ではない関節機構の前記弾性要素の剛性を再度決定することを特徴とするリンク機構の制御装置。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のリンク機構の制御装置において、
前記1つ又は複数の関節機構の各々は、前記弾性要素及び、前記特性制御部により粘性係数を可変的に制御可能に構成された粘性要素を介して動力伝達を行うように構成され、
前記特性決定部は、前記1つ又は複数の関節機構の各々において、当該関節機構の前記弾性要素の剛性を決定したときに、当該関節機構の挙動特性が臨界減衰又は過減衰の特性になるように、前記決定された剛性に応じた当該関節機構の前記粘性要素の粘性係数を決定し、
前記特性制御部は、前記1つ又は複数の関節機構の各々において、前記特性決定部が決定した粘性係数となるように、当該関節機構の前記粘性要素の粘性係数を制御することを特徴とするリンク機構の制御装置。
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