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JP5802191B2 - リンク機構の制御装置 - Google Patents

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JP5802191B2
JP5802191B2 JP2012279307A JP2012279307A JP5802191B2 JP 5802191 B2 JP5802191 B2 JP 5802191B2 JP 2012279307 A JP2012279307 A JP 2012279307A JP 2012279307 A JP2012279307 A JP 2012279307A JP 5802191 B2 JP5802191 B2 JP 5802191B2
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Description

本発明は、基体と該基体に対して可動な可動部との間に設けられた1つ又は複数の関節機構と、前記1つ又は複数の関節機構を変位させる駆動力を出力するアクチュエータとを備え、前記1つ又は複数の関節機構の各々は、剛性を可変的に制御可能に構成された弾性変形可能な弾性要素を介して動力伝達を行うように構成されているリンク機構の制御装置に関する。
従来、基体と該基体に対して可動な可動部との間に設けられた複数の関節機構と、複数の関節機構を変位させる駆動力を出力するアクチュエータとを備え、複数の関節機構の各々は、剛性を可変的に制御可能に構成された弾性変形可能な弾性要素を介して動力伝達を行うように構成されているリンク機構の制御装置が知られている(特許文献1)。このリンク機構の制御装置は、可動部が外部の物体と衝突するときに、可動部より基体に近い側の関節機構の弾性要素の剛性を、他の関節機構の弾性要素の剛性よりも小さくするように制御している。
特開2008−302496号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたようなリンク機構の制御装置では、可動部が物体と衝突することによる各関節機構の運動エネルギー等を考慮せずに、各関節機構の弾性要素の剛性が制御されている。このため、各関節機構において、可動部が物体と衝突したときに、当該関節機構に許容されている負荷よりも大きな負荷が当該関節機構に作用することで、当該関節機構が損傷するおそれがある。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、基体と該基体に対して可動な可動部との間に設けられた1つ又は複数の関節機構と、1つ又は複数の関節機構を変位させる駆動力を出力するアクチュエータとを備え、1つ又は複数の関節機構の各々は、剛性を可変的に制御可能に構成された弾性変形可能な弾性要素を介して動力伝達を行うように構成されているリンク機構の制御装置において、可動部が外部の物体と衝突した場合であっても、関節機構の損傷を防止できるリンク機構の制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、基体と該基体に対して可動な可動部との間に設けられた1つ又は複数の関節機構と、前記1つ又は複数の関節機構を変位させる駆動力を出力するアクチュエータとを備え、前記1つ又は複数の関節機構の各々は、剛性を可変的に制御可能に構成された弾性変形可能な弾性要素を介して動力伝達を行うように構成されているリンク機構の制御装置であって、前記可動部が外部の物体と衝突する場合における前記可動部と前記物体との間の相対的な速度に対応する、前記1つ又は複数の関節機構の各々の相対的な変位速度を決定するように構成された相対的変位速度決定部と、前記可動部が前記物体と衝突する場合における前記1つ又は複数の関節機構の各々の前記弾性要素の剛性を、前記1つ又は複数の関節機構の各々に対して決定される第1剛性以上且つ第2剛性以下となるように決定するように構成された特性決定部と、前記可動部が前記物体と衝突する場合における前記1つ又は複数の関節機構の各々の前記弾性要素の剛性を、前記特性決定部によって決定された剛性に制御するように構成された特性制御部とを備え、前記特性決定部は、前記1つ又は複数の関節機構の各々において、当該関節機構の前記弾性要素の弾性変形量が当該関節機構の前記弾性要素の最大変形量である場合における当該関節機構の前記弾性要素の弾性エネルギーが、前記相対的変位速度決定部によって決定された当該関節機構の変位速度で当該関節機構が変位するときの当該関節機構の運動エネルギー以上となるように、前記第1剛性を決定し、前記1つ又は複数の関節機構の各々において、前記可動部が前記物体と衝突することによる当該関節機構の変位が開始された時点から、当該衝突による当該関節機構の変位によって蓄積された当該関節機構の前記弾性要素の弾性エネルギーによる当該関節機構の変位が開始される時点までの時間が、前記アクチュエータによって当該関節機構を変位させることで、当該関節機構の変位速度を、前記相対的変位速度決定部によって決定された当該関節機構の相対的な変位速度の向きを反転させた速度だけ変化させる場合に当該関節機構で実現可能な最短時間以上となるように、前記第2剛性を決定することを特徴とする。
ここで、本発明における弾性要素の弾性変形量とは、弾性要素に動力を伝達する側と該動力が当該弾性要素を介して伝達される側との間の相対的な変位量を意味する。
本発明によれば、1つ又は複数の関節機構の各々において、当該関節機構の弾性要素の剛性が第1剛性以上である場合には、可動部が物体と衝突することによる当該関節機構の運動エネルギーが、当該関節機構の弾性要素が弾性変形することによって当該弾性要素に蓄積される弾性エネルギーに全て変換されるので、可動部が物体と衝突することによる当該関節機構の損傷を防止できる。
また、1つ又は複数の関節機構の各々において、当該関節機構の弾性要素の剛性が第2剛性以下である場合には、可動部が物体と衝突することによる当該関節機構の変位が開始されてから、当該衝突による当該関節機構の変位によって蓄積された当該関節機構の弾性要素の弾性エネルギーによる当該関節機構の変位が開始される時点(すなわち、当該弾性エネルギーの放出が開始される時点)までの期間内に(換言すると、可動部が物体と衝突することによる当該関節機構の運動エネルギーが当該関節機構の弾性要素の弾性エネルギーに変換されている間に)、アクチュエータによって当該関節機構を変位させることで、当該関節機構の変位速度を、相対的変位速度決定部によって決定された当該関節機構の相対的な変位速度の向きを反転させた速度だけ変化させることが可能となり、当該関節機構の弾性要素の弾性エネルギーによって、当該関節機構が強制的に変位されてしまうことを防止できる。これにより、可動部が物体と衝突することによる当該関節機構の損傷を防止できる。
特性決定部が、1つ又は複数の関節機構の各々において、上記のような第1剛性以上且つ第2剛性以下の範囲に当該関節機構の弾性要素の剛性を決定し、特性制御部が、該決定された剛性となるように、可動部が物体と衝突する場合における当該関節機構の弾性要素の剛性を制御することで、可動部が物体と衝突することによる当該関節機構の損傷を防止できる。
本発明において、前記1つ又は複数の関節機構のうちの任意の1つの関節機構を第i関節機構と定義したとき、前記特性決定部は、前記第i関節機構の前記弾性要素の前記第1剛性を次式(1)に従って得られる剛性以上に決定することが好ましい。
但し、式(1)において、I_t_iは、前記可動部が前記物体と衝突する場合における、前記第i関節機構を変位させる場合の慣性モーメント又は慣性質量を示す。なお、I_t_iは、第i関節機構が回転関節機構の場合には、慣性モーメントであり、直動関節機構の場合には、慣性質量である。また、Δω_iは、前記相対的変位速度決定部によって決定された前記第i関節機構の相対的な変位速度を示し、x_lim_iは、前記第i関節機構の前記弾性要素の最大変形量を示す。
ここで、第i関節機構の弾性要素の剛性をk_iと定義したとき、式(1)は、次式(1−1)を満たすk_iである。
式(1−1)において、左辺は、可動部が物体と衝突する場合における第i関節機構の運動エネルギー(以下、関節衝突運動エネルギーという)を示す。また、右辺は、第i関節機構の弾性要素の剛性がk_iのときにおいて、第i関節機構の弾性要素の弾性変形量が、当該第i関節機構の弾性要素の最大変形量の場合における当該第i関節機構の弾性要素の弾性エネルギー(関節最大弾性エネルギーという)を示す。
第i関節機構の第1剛性が、式(1)に従って得られる剛性以上に設定されることは、式(1−1)において、右辺の関節最大弾性エネルギーが左辺の関節衝突運動エネルギー以上、すなわち、関節衝突運動エネルギーの全てが関節最大弾性エネルギーに変換されることを意味する。このため、第1剛性が、式(1)によって得られる剛性以上に設定されることで、可動部が物体と衝突することによる第i関節機構の損傷を防止できる。
本発明において、前記1つ又は複数の関節機構のうちの任意の1つの関節機構を第i関節機構と定義したとき、前記特性決定部は、前記第i関節機構の前記弾性要素の前記第2剛性を次式(2)に従って得られる剛性以下に決定することが好ましい。
但し、式(2)において、I_t_iは、前記可動部が前記物体と衝突する場合における、前記第i関節機構を変位させる場合の慣性モーメント又は慣性質量を示す。なお、I_t_iは、第i関節機構が回転関節機構の場合には、慣性モーメントであり、直動関節機構の場合には、慣性質量である。また、πは、円周率を示し、A_max_iは、前記第i関節機構を前記アクチュエータによって変位させる場合に当該第i関節機構で実現可能な最大加速度を示し、Δω_iは、前記相対的変位速度決定部によって決定された前記第i関節機構の相対的な変位速度を示す。
ここで、第i関節機構の弾性要素の剛性をk_iと定義したとき、式(2)は、次式(2−1)を満たすk_iである。
式(2−1)において、左辺は、第i関節機構の弾性要素の剛性がk_iのときにおいて、第i関節機構の弾性要素の固有振動数の逆数が表す周期の4分の1周期を示す。詳細には、左辺は、可動部が物体と衝突することによる第i関節機構の変位が開始された時点から、当該衝突による第i関節機構の変位によって蓄積された第i関節機構の弾性要素の弾性エネルギーによる第i関節機構の変位が開始される時点までの時間を示す。
また、右辺は、第i関節機構で実現可能な最大加速度で、アクチュエータにより第i関節機構を変位させるときに、第i関節機構の変位速度を、相対的変位速度決定部によって決定された第i関節機構の相対的な変位速度の向きを反転させた速度だけ変化させるときの時間(第i関節機構で実現可能な最短時間)を示す。
第i関節機構の第2剛性が、式(2)に従って得られる剛性以下に設定されることは、式(2−1)において、右辺の時間が左辺の時間以下、すなわち、可動部が物体と衝突することによる第i関節機構の運動エネルギーが第i関節機構の弾性要素の弾性エネルギーに変換されている間に、第i関節機構の状態を、アクチュエータにより第i関節機構を変位させることで、第i関節機構の弾性要素の弾性エネルギーによる第i関節機構の強制的な変位が防止される状態にできることを意味する。これにより、可動部が物体と衝突することによる第i関節機構の損傷を防止できる。
本発明において、前記特性決定部は、前記可動部により近い関節機構ほど、その前記弾性要素の剛性を小さく決定することが好ましい。これにより、剛性が小さく決定されることで、可動部により近い関節機構が動きやすくなる。可動部が物体と衝突することによる可動部の変位に応じて各関節機構が変位するときに、可動部により近い関節機構が動きやすくなることで、基体により近い関節機構の変位を小さくできる。従って、可動部が物体と衝突したときに基体が受ける影響を小さくできる。
本発明において、前記特性決定部が前記1つ又は複数の関節機構の各々の前記第1剛性及び前記第2剛性を決定したときに、前記1つ又は複数の関節機構のうち前記第1剛性が前記第2剛性よりも大きくなった関節機構である限界関節機構が存在する場合もあり得る。
この場合には、前記相対的変位速度決定部は、前記限界関節機構の前記弾性要素の剛性が前記第2剛性と等しいと仮定した場合において、前記可動部が前記物体と衝突することによる前記限界関節機構の変位が開始された時点から、当該衝突による前記限界関節機構の変位によって蓄積された前記限界関節機構の前記弾性要素の弾性エネルギーによる前記限界関節機構の変位が開始される時点までの期間、前記アクチュエータによって前記限界関節機構を前記限界関節機構で実現可能な最大加速度で変位させたときの前記限界関節機構の変位速度の変化量を、前記限界関節機構の相対的な変位速度として再度決定すると共に、前記1つ又は複数の関節機構のうち前記限界関節機構ではない関節機構の各々において、現時点で決定されている当該関節機構の相対的な変位速度よりも大きくなるように当該関節機構の相対的な変位速度を再度決定し、前記特性決定部は、前記1つ又は複数の関節機構の各々において、前記相対的変位速度決定部が再度決定した変位速度に基づいて、前記第1剛性及び前記第2剛性を再度決定することが好ましい。
限界関節機構の弾性要素の剛性が、第1剛性よりも小さい第2剛性であっても、衝突による当該限界関節機構の運動エネルギーの全てを、当該限界関節機構の弾性要素の弾性エネルギーに変換することができるようにするためには、当該限界関節機構の変位速度が小さくなる必要がある。併せて、可動部が物体と衝突する場合の可動部の変位速度が変化しないようにするために、限界関節機構以外の他の関節機構の変位速度を大きくする必要がある。
そこで、相対的変位速度決定部は、限界関節機構の変位速度が小さくなるように、可動部が物体と衝突することによる限界関節機構の変位が開始された時点から、当該衝突による限界関節機構の変位によって蓄積された限界関節機構の弾性要素の弾性エネルギーによる限界関節機構の変位が開始される時点までの期間、限界関節機構で実現可能な最大加速度で、アクチュエータによって限界関節機構を変位させたときの限界関節機構の変位速度の変化量を、限界関節機構の相対的な変位速度として再度決定する。
更に、相対的変位速度決定部は、可動部が物体と衝突する場合の可動部の変位速度が変化しないようにするために、1つ又は複数の関節機構のうち限界関節機構ではない関節機構の各々において、再度決定される前の当該関節機構の相対的な変位速度よりも大きくなるように、当該関節機構の相対的な変位速度を再度決定する。そして、特性決定部は、該再度決定された相対的な変位速度に応じて第1剛性及び第2剛性を再度決定する。
このように、限界関節機構の変位速度が減少した分が、限界関節機構ではない関節機構の変位速度の増加により補償されることで、当該限界関節機構が、当該限界関節機構に許容されない変位速度で変位することが防止され、当該限界関節機構の損傷を防止できる。
本発明において、前記特性決定部は、前記限界関節機構よりも前記可動部に近い前記関節機構の前記弾性要素の剛性が、前記限界関節機構よりも前記基体に近い前記関節機構の前記弾性要素の剛性よりも小さくなるように、前記1つ又は複数の関節機構のうちの前記限界関節機構ではない関節機構の前記弾性要素の剛性を再度決定することが好ましい。これにより、限界関節機構よりも可動部に近い関節機構が動きやすくなることで、可動部が物体に衝突することによる限界関節機構への影響を小さくできる。
本発明において、前記1つ又は複数の関節機構の各々は、前記弾性要素及び、前記特性制御部により粘性係数を可変的に制御可能に構成された粘性要素を介して動力伝達を行うように構成され、前記特性決定部は、前記1つ又は複数の関節機構の各々において、当該関節機構の前記弾性要素の剛性を決定したときに、当該関節機構の挙動特性が臨界減衰又は過減衰の特性になるように、前記決定された剛性に応じた当該関節機構の前記粘性要素の粘性係数を決定し、前記特性制御部は、前記1つ又は複数の関節機構の各々において、前記特性決定部が決定した粘性係数となるように、当該関節機構の前記粘性要素の粘性係数を制御することが好ましい。
これにより、各関節機構の挙動特性が臨界減衰又は過減衰の特性となり、減衰振動の特性になることが防止される。従って、1つ又は複数の関節機構の各々の減衰振動が防止されることで、該関節機構の減衰振動に応じた可動部の振動の発生が防止され、各関節機構の弾性要素の弾性による可動部と物体との衝突が生じることが防止される。これにより、可動部が物体と衝突することによる各関節機構の損傷を防止できる。
本発明の実施形態の制御装置を備えるリンク機構を示す図。 本実施形態のリンク機構の関節機構を示す図。 図2の関節機構の伝達機構を示す図。 図3の伝達機構の特性可変機構を示す図。 図4のV−V線断面図。 本実施形態のリンク機構の制御装置の機能ブロック図。 本実施形態のリンク機構の制御装置が実行する関節機構の特性制御処理の手順を示すフローチャート。
(1.構成)
(1−1.リンク機構)
図1〜図7を参照して、本発明の実施形態の制御装置及び該制御装置を備えるリンク機構について説明する。図1に示されるように、リンク機構1は、基体2と、先端部3と、複数の関節機構Ji(i=1,2,...,N)と、複数のリンク部材Li(i=0,1,...,N)と、アクチュエータ4(図2参照)と、制御装置30(図6参照)とを備える。
複数の関節機構Jiの「i」は、基体2から先端部3に向かって1から数えたときの順番を表している。なお、関節機構の順番がi番目であることを明示的に指定する場合には、第i関節機構と表す。例えば、j番目の関節機構を「第j関節機構Jj」と表す場合がある。また、複数のリンク部材Liの「i」は、基体2から先端部3に向かって0から数えたときの順番を表している。なお、リンク部材の順番がi番目であることを明示的に指定する場合には、第iリンク部材と表す。例えば、j番目のリンク部材を「第jリンク部材Lj」と表す場合がある。
基体2は、床面上等の所定の位置に固定されている。なお、基体2は、動力装置等を備え、該動力装置の駆動力によって、その位置及び姿勢を変更可能に構成されていてもよい。先端部3は、当該リンク機構1におけるエンドエフェクタとして機能する。先端部3は、複数の関節機構Jiを介して連結されている複数のリンク部材Liによって基体2に連結されている。
複数の関節機構Ji(i=1,...,N)の各々には、2つのリンク部材Li-1,Liが連結されている。
また、複数の関節機構Jiの各々は、当該関節機構Jiに連結されている2つのリンク部材Li-1,Liの相対的な位置及び姿勢を変化させるように構成されている。
なお、本実施形態では、全ての関節機構Jiが回転関節機構として構成されている。このため、以降の説明では、所定の関節機構Jiに連結された2つのリンク部材Li-1,Liの相対的な位置及び姿勢を、関節角度ψ_iということもある。なお、本実施形態における「関節角度ψ_iが変化する」ことが、本発明における「関節機構が変位する」ことに相当する。
また、複数の関節機構Jiの各々には、当該関節機構Jiの関節角度ψ_iを検知する角度センサ(図示省略)が設けられている(以下、該角度センサが検知した関節角度ψ_iを実関節角度ψ_act_iという)。
なお、本実施形態では、全ての関節機構Jiが回転関節機構として構成されているが、各関節機構Jiは、回転関節機構及び直動関節機構のいずれで構成されていてもよい。また、関節機構Jiの数は任意の数でよい。
アクチュエータ4は、複数の関節機構Jiの各々に設けられており、各関節機構Jiを変位させる駆動力を出力する。また、各リンク部材Liには、当該リンク部材Liが、外部の物体Objと衝突するときの該リンク部材Liと該外部の物体Objとの間の相対的な速度(以下、「衝突相対速度」という)ΔVを認識する速度センサ(図示省略)が設けられている。
制御装置30は、図示しないCPU,メモリ等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持されたリンク機構1の制御用プログラムを、CPUで実行する。
(1−2.関節機構)
(1−2−1.関節機構の構成)
次に、複数の関節機構Jiの詳細について図2〜図5を参照して説明する。なお、本実施形態において、各関節機構Jiは、全て同じ構成の回転関節機構である。
図2に示すように、関節機構Jiは、ワイヤ11と、駆動プーリ12aと、被動プーリ12bと、これらのプーリ12a,12bの間に弾性力と粘性力とを発生させる伝達機構8とを備える。
また、駆動プーリ12aには、アクチュエータ4のアクチュエータ出力軸4aに連結された減速機7が連結されている。そして、駆動プーリ12aは、アクチュエータ4から減速機7を介して付与される回転駆動力(トルク)によって、アクチュエータ出力軸4aの回転に連動して回転するようになっている。
なお、減速機7は、任意の構造のものでよく、例えば、ハーモニックドライブ(登録商標)若しくは複数のギヤにより構成される減速機を採用することができる。あるいは、減速機7は、直動を回転運動に変換する機構を備えるものであってもよい。その場合には、アクチュエータとして、例えば、電動モータ及びボールネジにより構成される直動アクチュエータや、電動式のリニアモータ等を採用してもよい。
また、第i関節機構Jiにおいて、第iリンク部材Liは、駆動プーリ12a及び被動プーリ12bを回転自在に支持している(図示省略)。また、第i関節機構Jiにおいて、被動プーリ12bに第i-1リンク部材Li-1が固定されている。
被動プーリ12bは、その回転軸心が駆動プーリ12aの回転軸心と平行になるようにして、該駆動プーリ12aの側方に並設されている。
伝達機構8は、両プーリ12a,12b間の剛性及び粘性を変更するための特性可変機構10と、駆動プーリ12a及び被動プーリ12bの間に架け渡されたワイヤ11とを備える。
ワイヤ11は、図3に示すように、両プーリ12a,12bの間で延在する二条の張設部分11a,11bを有し、該張設部分11a,11b以外の部分が両プーリ12a,12bの外周のうちの内端側の部分(駆動プーリ12aの外周のうちの被動プーリ12bに臨む部分、及び被動プーリ12bの外周のうちの駆動プーリ12aに臨む部分)を除く箇所に滑らないように巻き掛けられている。なお、ワイヤ11は、多少の伸縮性を有する。
特性可変機構10は、例えば図3〜図5に示すように構成されている。すなわち、特性可変機構10は、両端部にローラ13a,13bが回転自在に枢着された回転バー14を備えている。この回転バー14は、その中央部に固定された回転軸15の軸心まわりに該回転軸15と一体に回転可能とされている。回転軸15は、駆動プーリ12a及び被動プーリ12bの間の位置で、両プーリ12a,12bの回転軸心と平行な姿勢で配置されている。
回転バー14の両端部のローラ13a,13bは、各々の回転軸心が駆動プーリ12a及び被動プーリ12bの回転軸心と平行な方向に向けられている。
そして、ローラ13a,13bのうちの一方のローラ13aの内端側(他方のローラ13bに臨む側)の外周部が、ワイヤ11の二条の張設部分11a,11bのうちの一方の張設部分11aに圧接され、他方のローラ13bの内端側(一方のローラ13aに臨む側)の外周部が、ワイヤ11の他方の張設部分11bに圧接されている。この場合、ワイヤ11の張設部分11a,11bの各々は、ローラ13a,13bの圧接箇所で湾曲されている。
特性可変機構10は、更に、回転バー14に回転軸15を介して連結されて該回転バー14と一体に回転可能に設けられたギヤ(平歯車)16と、このギヤ16に噛合されたスプリングウォーム17と、このスプリングウォーム17を回転駆動する電動モータ18と、粘性オイルが内部に封入されたシリンダ19とを備えている。
スプリングウォーム17は、ウォームギヤとして機能可能にコイルスプリング状に形成されたばね部材であり、電動モータ18の回転駆動軸18aに外挿されている。そして、スプリングウォーム17の電動モータ18の本体寄りの一端は、回転駆動軸18aに固定されたバネ座部材20aに固定されている。従って、スプリングウォーム17は、電動モータ18の回転駆動軸18aと一体に回転し、このスプリングウォーム17の回転に伴い、ギヤ16が回転するようになっている。
シリンダ19は、スプリングウォーム17の他端側で回転駆動軸18aと同軸心に配置された筒部21を有する。この筒部21の内部を電動モータ18の回転駆動軸18aが貫通し、該筒部21が、回転駆動軸18aに沿って、その軸心方向に摺動可能とされている。そして、筒部21のスプリングウォーム17側の端面に固定されたバネ座部材20bにスプリングウォーム17の他端が固定されている。従って、スプリングウォーム17の伸縮に伴い、シリンダ19の筒部21が電動モータ18の回転駆動軸18aの軸心方向に摺動するようになっている。
また、筒部21の内部には、回転駆動軸18aに固定されたピストン22が設けられており、このピストン22の外周面が筒部21の内周面に摺接されている。
そして、筒部21の内部でピストン22により画成された2つの油室23a,23bに粘性オイルが封入されている。これらの油室23a,23bは、オリフィス部24を有する連通管25により連通されている。この場合、オリフィス部24は、図示しない弁機構等により開口面積を変化させることが可能となっている。
(1−2−2.関節機構の動作)
以上の構成の関節機構Jiの動作を説明しておく。電動モータ18により、スプリングウォーム17を回転駆動することで、該スプリングウォーム17に噛合されたギヤ16を介して回転バー14が回転する。従って、電動モータ18のサーボ制御によって、回転バー14の回転角度(位相角)を制御することができる。ここで、以降の説明では、回転バー14の位相角を、図3に示すように、回転バー14の延在方向(ローラ13a,13bの間隔方向)が駆動プーリ12a及び被動プーリ12bの間隔方向と直交する状態からの該回転バー14の回転角度φとして定義する。
両プーリ12a,12b間の動力伝達(回転駆動力の伝達)を行っていない状態で、回転バー14の位相角φをある既定の角度値(例えば図3のφ0)に制御し、その状態で電動モータ18の回転駆動軸18aの回転(ひいては、スプリングウォーム17の回転)を停止させた状態(以降、この状態を基準状態という)を想定する。
この基準状態において、前記アクチュエータ4から駆動プーリ12aに回転駆動力(トルク)を付与すると、ワイヤ11の張設部分11a,11bの一方に、当該回転駆動力に比例した張力が発生し、その張力を介して、駆動プーリ12aから被動プーリ12bに回転駆動力が伝達される。
同時に、ワイヤ11の張設部分11a,11bの一方に発生する上記張力に起因して、ローラ13a,13bのうちの該張設部分11a又は11bに接触するローラ13a又は13bに、両プーリ12a,12bの間隔方向とほぼ直交する方向の並進力が作用する。
例えば、図3に示すように、駆動プーリ12aに反時計まわり方向のトルクτdを付与すると、ワイヤ11の張設部分11aにトルクτdに比例する張力Te(=τd/駆動プーリ12aの有効回転半径)が発生し、この張力Teによってローラ13aに並進力Fが作用する。なお、この並進力Fの大きさは、トルクτdにほぼ比例する。また、図3中の張力Teは、ローラ13aに対して作用する張力を示している。
基準状態での回転バー14の位相角がゼロでない場合(例えば図3に示す状況)では、ローラ13a又は13bに作用する上記並進力(以降、これをFと表記する)に起因して、回転バー14に回転駆動力(トルク)が作用することとなる。これにより、駆動プーリ12aが被動プーリ12bに対して相対回転すると共に、回転バー14が回転する。ひいては、前記スプリングウォーム17に噛合しているギヤ16が回転バー14と一体に回転する。
この場合、ローラ13a又は13bに作用する上記並進力Fに起因して回転バー14に作用するトルク(以降、τaと表記する)は、上記並進力Fに対して、次式(122−1)の関係を有する。なお、図3に示す如く、φ0は、基準状態での回転バー14の位相角φの値、Raは、回転軸15の軸心まわりでのローラ13a,13bの軸心部の回転半径である。
τa=F・sin(φ0)・Ra …(122−1)
このように回転バー14にトルクτaが作用している状況で、スプリングウォーム17は回転しないので、ギヤ16の回転によってスプリングウォーム17の一部(詳しくは、ギヤ16の噛合部分と前記電動モータ18側のバネ座部材20aとの間の部分)が伸長又は短縮され、その伸縮量に応じた弾性力をスプリングウォーム17が発生する。
この場合、スプリングウォーム17の基準状態からの伸縮量、ひいては、回転バー14の基準状態からの回転量(位相角の変化量)は、該スプリングウォーム17の弾性力(並進力)によってギヤ16に作用するトルクと、ワイヤ11の張力によってローラ13a又は13bに作用する上記並進力Fに起因して回転バー14に作用するトルク(=ギヤ16に作用するトルク)とが釣り合う状態で平衡する。この平衡状態で、駆動プーリ12aに付与されるトルクτdが伝達機構8を介して被動プーリ12bに伝達されることとなる。
上記平衡状態での回転バー14の基準状態からの回転量をΔφ[rad]、ギヤ16の回転半径をRb、スプリングウォーム17の剛性(スプリングウォーム17の伸縮量の単位変化量あたりに発生する弾性力の変化量)をk_sp_wとおくと、上記平衡状態でのスプリングウォーム17の弾性力によってギヤ16に作用するトルク(以降、これをτbと表記する)は、次式(122−2)により与えられる。
τb=k_sp_w・sin(Δφ)・Rb≒k_sp_w・Δφ・Rb …(122−2)
この式(122−2)と前記式(122−1)とから、上記平衡状態における並進力Fと、回転バー14の基準状態からの回転量Δφとの関係は、次式(122−3)により与えられる。
F=(k_sp_w・Rb/(sin(φ0)・Ra))・Δφ …(122−3)
従って、ワイヤ11の張力によってローラ13a又は13bに作用する並進力Fは、回転バー14の基準状態からの回転量Δφに比例するものとなる。
ここで、ワイヤ11の張力によってローラ13a又は13bに作用する並進力Fは、駆動プーリ12aに付与されるトルク(ひいては被動プーリ12bに伝達されるトルク)が大きいほど、大きくなる。また、被動プーリ12bに対する駆動プーリ12aの相対回転量(基準状態からの相対回転量)は、上記平衡状態での回転バー14の基準状態からの回転量が大きいほど、大きくなる。
従って、両プーリ12a,12b間の相対回転量が一定に維持される定常状態で、駆動プーリ12aから被動プーリ12bに伝達されるトルク(被動プーリ12bに付与されるトルク)をτspと表記し、両プーリ12a,12b間の相対回転量をΔθと表記すると、τspとΔθとの間には、近似的に次式(122−4)の比例関係が成立する。
τsp=k・Δθ …(122−4)
よって、伝達機構8は、駆動プーリ12aと被動プーリ12bとの動力伝達を行うバネ部材として機能する。そして、上記トルクτspは、伝達機構8によって両プーリ12a,12b間に発生する弾性力によって伝達されるトルク(以下、「弾性力トルク」という)τspに相当する。この場合、式(122−4)におけるkは、両プーリ12a,12b間の相対回転量Δθの変化に対する弾性力トルクτspの変化の比率である。
このkは、両プーリ12a,12b間の剛性を示しており、kの値が大きいほど、両プーリ12a,12b間の剛性が高い(両プーリ12a,12b間の回転量の差が発生しにくくなる)ことを意味する。伝達機構8の剛性kの値は、基本的には、基準状態での回転バー14の位相角φ0に応じたものとなり、φ0が大きいほど、剛性kの値が小さくなる。
制御装置30のメモリには、基準状態での回転バー14の位相角φ0と剛性kとを対応づけたテーブルが記憶保持されている。制御装置30は、伝達機構8の剛性kの値が、目標となる剛性(以下、「目標剛性」という)k_cmdとなるように制御するときには、メモリに記憶保持されたテーブルに従って、目標剛性k_cmdに対する基準状態での回転バー14の位相角φ0を取得して、回転バー14の位相角φ0が該位相角φ0となるように電動モータ18を制御する。
ここで、電動モータ18、スプリングウォーム17、ギヤ16、回転バー14、及びワイヤ11をまとめて弾性要素5という。また、両プーリ12a,12b間の剛性kのことを、弾性要素5の剛性kという。また、両プーリ12a,12b間の相対回転量Δθが、弾性要素5の弾性変位量となる(すなわち、本発明における弾性要素の弾性変形量に相当する)。
また、本実施形態の伝達機構8では、回転バー14が基準状態から回転するとき、スプリングウォーム17の伸縮に伴い、シリンダ19の筒部21がピストン22に対して相対的に摺動する。
このとき、油室23a,23b間で、オリフィス部24を有する連通管25を介して粘性オイルが流通することで、筒部21の摺動に対する抵抗力となる粘性力が発生する。これにより、回転バー14の基準状態からの回転、ひいては、被動プーリ12bに対する駆動プーリ12aの相対回転に対する抵抗力となる粘性力が、両プーリ12a,12b間で発生することとなる。そして、この粘性力は、オリフィス部24の開口面積を変化させることで、変化することとなる。
この場合、オリフィス部24の開口面積を一定に維持した場合にシリンダ19で発生する粘性力は、ピストン22に対する筒部21の移動速度、ひいては、スプリングウォーム17の伸縮速度に比例する。そして、スプリングウォーム17の伸縮速度は、回転バー14の回転速度にほぼ比例する。
また、両プーリ12a,12b間の相対回転量の時間的変化率、すなわち、両プーリ12a,12b間の相対回転速度(両プーリ12a,12bの各々の回転角速度の差)は、回転バー14の回転速度に応じたものとなり、回転バー14の回転速度が大きいほど、両プーリ12a,12b間の相対回転速度が大きいものとなる。
従って、両プーリ12a,12b間の相対回転速度をΔω_pulley[rad/s]と表記し、両プーリ12a,12b間の粘性力によって被動プーリ12bに付与されるトルク(以降、粘性トルクという)をτdpと表記すると、Δω_pulleyとτdpとの間には、近似的に次式(122−5)の関係が成立する。
τdp=C・Δω_pulley …(122−5)
よって、伝達機構8は、駆動プーリ12aと被動プーリ12bとの間に粘性力を発生する機能も有する。この場合、式(122−5)におけるCは、両プーリ12a,12b間の相対回転速度Δω_pulleyの変化に対する粘性トルクτdpの変化の比率であり、以降、粘性係数Cという。
この粘性係数Cは、両プーリ12a,12b間の粘性の度合を示しており、Cの値が大きいほど、両プーリ12a,12b間の粘性が高い(両プーリ12a,12b間に発生する粘性力が大きくなりやすい)ことを意味する。そして、伝達機構8の粘性係数Cの値は、基本的には、オリフィス部24の開口面積に応じたものとなり、該開口面積が大きいほど、Cの値が小さくなる。
制御装置30のメモリには、オリフィス部24の開口面積と粘性係数Cとを対応づけたテーブルが記憶保持されている。制御装置30は、伝達機構8の粘性係数Cの値が、目標となる粘性係数(以下、「目標粘性係数」という)C_cmdとなるように制御するときには、メモリに記憶保持されたテーブルに従って、目標粘性係数C_cmdに対するオリフィス部24の開口面積を取得して、オリフィス部24の開口面積が該取得された開口面積となるように制御する。
以降、シリンダ19及びオリフィス部24を、まとめて粘性要素6という。また、両プーリ12a,12b間の粘性係数Cのことを、粘性要素6の粘性係数Cという。
(2.制御装置)
次に、制御装置30の詳細について図6を参照して説明する。
以降の説明においては、第i関節機構Ji(但し、iは基体2から先端部3に向かって数えたときの関節機構の順番を表す)に関する符号を明示的に表す場合には、符号の末尾に「_i」を付与する。
また、本実施形態の制御装置30は、特にことわりの無い限り、基体2に対して固定された座標系(以下、「基体座標系」という)を用いて制御をしている。基体座標系におけるx軸,y軸,z軸に関連する値を明示的に表す場合には、符号の末尾に「_x」、「_y」、「_z」を付与する。
また、物体Objに衝突するリンク部材(以下、「衝突リンク部材」という)Lcollと基体2との間にある1つ又は複数の関節機構Jiのうち、最も衝突リンク部材Lcollに近い関節機構Jiを「Jcoll」として表す。また、衝突リンク部材Lcollに関する値を表す場合には、符号の末尾に「_coll」を付与する場合がある。このとき、collは、1〜Nのいずれかとなる。
なお、本実施形態における衝突リンク部材Lcollは、本発明における可動部に相当する。また、基体2との間に1つ又は複数の関節機構Jiを有するリンク部材Li(i=1,2,...,N)のいずれもが、物体Objと衝突する可能性があるので、これらのリンク部材Li(i=1,2,...,N)のいずれもが、本発明における可動部となり得る。
制御装置30は、関節トルク決定部31と、慣性モーメント算出部32と、相対的変位速度決定部33と、特性決定部34と、特性制御部35とを備える。また、特性決定部34は、第1剛性決定部341と、第2剛性決定部342と、剛性決定部343と、粘性係数決定部344とを備える。
関節トルク決定部31は、先端部3に作用する力の目標である目標力F_cmdに基づいて、各関節機構Jiの目標トルクτ_cmd_iを決定する(「2−1.目標トルク」参照)。そして、関節トルク決定部31は、当該関節機構Jiの出力トルクが該目標トルクτ_cmd_iとなるようにアクチュエータ4を制御する。
慣性モーメント算出部32は、基体2と衝突リンク部材Lcollの間にある1つ又は複数の関節機構(以降、このような1つ又は複数の関節機構を「対象関節機構」という)Ji(i=1,2,...,coll)の各々において、当該対象関節機構Jiに設けられた角度センサから出力された当該対象関節機構Jiの関節角度ψ_iに基づいて、当該対象関節機構Jiが変位するときの慣性モーメントI_t_iを算出する(「2−2.慣性モーメント」参照)。
相対的変位速度決定部33は、各リンク部材Liのうち衝突リンク部材Lcollに設けられた速度センサから出力された衝突相対速度ΔVから相対的関節変位速度Δω_iを決定する(「2−3.相対的関節変位速度」参照)。ここで、相対的関節変位速度Δω_iとは、物体Objと衝突リンク部材Lcollが、当該物体Objと衝突することによって生じる、各対象関節機構Jiの関節変位の速度(以下、「関節変位速度」という)ω_iの変化量を表す。本実施形態では、関節機構Jiが回転関節機構であるので関節変位速度ω_iは角速度である。
そして、第1剛性決定部341が、各対象関節機構Jiにおいて、当該対象関節機構Jiが変位するときの慣性モーメントI_t_iと、当該対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iに基づいて、当該対象関節機構Jiの弾性要素5の第1剛性k1_iを決定する(「2−4−1.第1剛性」参照)。このとき、第1剛性決定部341は、各対象関節機構Jiにおいて、関節最大弾性エネルギーが、関節衝突運動エネルギー以上となるように、当該対象関節機構Jiの第1剛性k1_iを決定する。
ここで、関節最大弾性エネルギーとは、「対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性変位量Δθ_iが対象関節機構Jiの弾性要素5の最大変位量Δθ_lim_iである場合における対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性エネルギー」である。また、関節衝突運動エネルギーとは、「相対的変位速度決定部33によって決定された第i対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iで第i対象関節機構Jiが変位するときの第i対象関節機構Jiの運動エネルギー」である。
これにより、各対象関節機構Jiにおいて、当該対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iが第1剛性k1_i以上である場合には、関節衝突運動エネルギーが、当該対象関節機構Jiの弾性要素5が弾性変形することによって当該弾性要素5に蓄積される弾性エネルギーに全て変換される。従って、衝突リンク部材Lcollが物体Objと衝突することによる当該対象関節機構Jiの損傷を防止できる。
また、第2剛性決定部342が、各対象関節機構Jiにおいて、当該対象関節機構Jiが変位するときの慣性モーメントI_t_iと、当該対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iに基づいて、当該対象関節機構Jiの弾性要素5の第2剛性k2_iを決定する(「2−4−2.第2剛性」参照)。このとき、第2剛性決定部342は、各対象関節機構Jiにおいて、第1時間が第2時間以上となるように、当該対象関節機構Jiの第2剛性k2_iを決定する。
ここで、第1時間とは、「衝突リンク部材Lcollが物体Objに衝突することに起因する第i対象関節機構Jiの変位が開始された時点から、第i対象関節機構Jiの変位によって蓄積された第i対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性エネルギーによる第i対象関節機構Jiの変位が開始されるまでの時間」である。
また、第2時間とは、「アクチュエータ4によって第i対象関節機構Jiを変位させることで、第i対象関節機構Jiの関節変位速度ω_iを、相対的変位速度決定部33によって決定された当該対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iの向きを反転させた速度だけ変化させる場合に当該対象関節機構Jiで実現可能な最短時間」である。
これにより、各対象関節機構Jiにおいて、当該対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iが第2剛性k2_i以下である場合には、衝突リンク部材Lcollが物体Objと衝突することによる当該対象関節機構Jiの変位が開始されてから、当該衝突による当該対象関節機構Jiの変位によって蓄積された当該対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性エネルギーによる当該対象関節機構Jiの変位が開始される時点(すなわち、当該弾性エネルギーの放出が開始される時点)までの期間内に(換言すると、関節衝突運動エネルギーが当該対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性エネルギーに変換されている間に)、アクチュエータ4によって当該対象関節機構Jiを変位させることで、当該対象関節機構Jiの関節変位速度ω_iを、相対的変位速度決定部33によって決定された当該対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iの向きを反転させた速度だけ変化させることが可能となる。
これにより、当該対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性エネルギーによって、当該対象関節機構Jiが強制的に変位されてしまうことを防止できる。従って、衝突リンク部材Lcollが物体Objと衝突することによる当該対象関節機構Jiの損傷を防止できる。
そして、剛性決定部343は、第1剛性k1_i以上且つ第2剛性k2_i以下の範囲内で各対象関節機構Jiの目標剛性k_cmd_iを決定する(「2−4−3.目標剛性」参照)。
また、粘性係数決定部344は、各対象関節機構Jiの挙動特性が臨界減衰又は過減衰の特性になるように、該決定された目標剛性k_cmd_iに応じた各対象関節機構Jiの粘性要素6の目標粘性係数C_cmd_iを決定する(「2−5.目標粘性係数」参照)。
これにより、各対象関節機構Jiの挙動特性が減衰振動の特性となることが防止され、該対象関節機構Jiの減衰振動に応じた衝突リンク部材Lcollの振動の発生が防止され、各対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性による衝突リンク部材Lcollと物体Objとの衝突が生じることが防止される。従って、衝突リンク部材Lcollが物体Objと衝突することによる各対象関節機構Jiの損傷を防止できる。
そして、特性制御部35は、各対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iが目標剛性k_cmd_iとなるように該剛性k_iを制御すると共に、各対象関節機構Jiの粘性要素6の粘性係数C_iが目標粘性係数C_cmd_iとなるように該粘性係数C_iを制御する。剛性k_iの制御は、各対象関節機構Jiに備えられている回転バー14の位相角を電動モータ18により制御することを通じてなされる。また、粘性係数C_iの制御は、各対象関節機構Jiに備えられているオリフィス部24の開口面積を制御することを通じてなされる。
以下、上記制御の詳細について説明する。
(2−1.目標トルク)
関節トルク決定部31は、各関節機構Jiの目標トルクτ_cmd(=(τ_cmd_1,τ_cmd_2,...,τ_cmd_N))を、目標力F_cmd(=(F_cmd_x,F_cmd_y,F_cmd_z))に基づいて、次式(21)に従って決定する。
τ_cmd=JT・F_cmd …(21)
但し、JTは、ヤコビ行列Jの転置行列である。ヤコビ行列Jは、基体座標系における、先端部3の変位速度と、各関節機構Jiの関節変位速度ω_iとの関係を規定するヤコビ行列である。
なお、ここでは、目標力F_cmdとして、x,y,zの並進3方向を表す3要素のベクトルが用いられているが、x軸,y軸,z軸の3つの軸周りの回転成分(ロール、ピッチ、ヨー)を表す3つの要素を更に加えて6要素のベクトルが用いられてもよい。この場合には、ヤコビ行列J等は、目標力F_cmdの要素に合わせて適宜設定される。
(2−2.慣性モーメント)
慣性モーメント算出部32は、各関節機構Jiの実関節角度ψ_act_iに応じて、各リンク部材Liの位置及び姿勢を求める。そして、慣性モーメント算出部32は、各リンク部材Liの位置及び姿勢から、各対象関節機構において、当該対象関節機構Jiを変位させる場合の慣性モーメントI_t_iを次式(22)に従って求める。
但し、「×」という記号は、外積を表す。また、I_kは、基体座標系における、第k関節機構Jkのみに着目したときの当該第k関節機構Jkを回転させるときの慣性テンソルである。また、rgc_k(=(rgc_k_x, rgc_k_y, rgc_k_z))は、第kリンク部材Lkの重心位置を示す位置ベクトルであり、r_i(=(r_i_x, r_i_y, r_i_z))は、第i対象関節機構Jiの回転中心の位置を示す位置ベクトルである。m_kは、第kリンク部材Lkの質量である。また、a_i(=(a_i_x, a_i_y, a_i_z))は、第i対象関節機構Jiの回転方向を表す回転軸ベクトルである。a_iは、第i対象関節機構Jiの回転軸を示すように適宜設定される。
式(22)の「||I_k・a_i||」は、第i対象関節機構Jiと先端部3との間にあるリンク部材Lk(k=i,i+1,...,N-1,N)の各々において、当該リンク部材Lkが、第i対象関節機構Jiの回転中心軸線と平行で、且つ当該リンク部材Lkの重心を通る軸を中心に回転するときの慣性モーメント(以下、「第1慣性モーメント」という)である。従って、式(22)のI_Aは、第i対象関節機構Jiと先端部3との間にある各リンク部材Lk(k=i,i+1,...,N-1,N)における第1慣性モーメントの総和である。
また、式(22)の「||a_i × (rgc_k - r_i)||2・m_k」は、第i対象関節機構Jiと先端部3との間にあるリンク部材Lk(k=i,i+1,...,N-1,N)の各々において、当該リンク部材Liを第i対象関節機構Jiの回転軸周りに回転させるときの慣性モーメント(以下、「第2慣性モーメント」という)である。従って、式(22)のI_Bは、第i対象関節機構Jiと先端部3との間にある各リンク部材Lk(k=i,i+1,...,N-1,N)における第2慣性モーメントの総和である。
なお、各対象関節機構Jiにおいて、当該対象関節機構Jiを変位させる場合の慣性モーメントI_t_iは、式(22)に従って算出されるものに限らず、他の演算式等によって算出されてもよい。
(2−3.相対的関節変位速度)
相対的変位速度決定部33は、衝突リンク部材Lcollに設けられた速度センサが出力した衝突相対速度ΔVに対応する、各対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iを決定する。なお、相対的変位速度決定部33は、後述するように、剛性決定部343から再決定要求が出力されている場合には(図6の剛性決定部343から相対的変位速度決定部33への破線矢印を参照)、衝突相対速度ΔVに加え、後述する相対的関節限界速度Δω_lim_iに基づいて、各対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iを決定する(「2−4−4.第1剛性>第2剛性の場合」参照)。
相対的変位速度決定部33は、次式(23)に従って、衝突相対速度ΔV(=(ΔV_x,ΔV_y,ΔV_z))に応じて、各対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iを決定する。
Δω=Jcoll+・ΔV …(23)
ここで、Jcoll+は、以下に示されるヤコビ行列Jcollの疑似逆行列である。ヤコビ行列Jcollは、基体座標系における、衝突リンク部材Lcollの変位速度と、対象関節機構Jiの関節変位速度ω_iとの関係を規定するヤコビ行列である。また、Δωは、(Δω_1,Δω_2,...,Δω_coll)で表される。すなわち、Δωは、各対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iの全てを要素とするベクトルである。
なお、同一のΔVに対するΔωは、必ずしも1つに決定されるものではない。例えば、リンク機構1が冗長性を有している場合には、同一のΔVに対するΔωは、複数存在する。リンク機構1が冗長性を有する場合には、衝突リンク部材Lcollに近い対象関節機構Jiほど、相対的関節変位速度Δω_iが大きくなるようにヤコビ行列Jcollの疑似逆行列Jcoll+が設定される。
これにより、衝突リンク部材Lcollに近い対象関節機構Jiがより大きく動くことで、基体2により近い対象関節機構Jiの動きを小さくできる。従って、衝突リンク部材Lcollが物体Objと衝突したときに基体2が受ける影響を小さくできる。
なお、本明細書において「衝突リンク部材Lcollに近い対象関節機構Ji」とは、対象関節機構Jiとリンク部材Liとが互いに連結された経路上において、衝突リンク部材Lcollに近い対象関節機構Jiである。
(2−4.目標剛性の決定)
(2−4−1.第1剛性)
第1剛性決定部341は、各対象関節機構Jiにおいて、慣性モーメント算出部32が算出した慣性モーメントI_t_i、及び相対的変位速度決定部33が決定した相対的関節変位速度Δω_iに基づいて、次式(241)に従って得られる剛性以上の値に第1剛性k1_iを決定する。
ここで、第i対象関節機構Jiの弾性要素5の最大変位量Δθ_lim_iは、当該第i対象関節機構Jiの負荷トルク限界(当該第i対象関節機構Jiで伝達し得る最大トルク)がτ_lim_i、及び弾性要素5の剛性がk_iのとき、「τ_lim_i=k_i・Δθ_lim_i」を満たすΔθ_lim_iである。なお、第i対象関節機構Jiの弾性要素5の最大変位量Δθ_lim_iとは、当該第i対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性変形可能な変位限界であってもよい。この場合、例えば、スプリングウォーム17の弾性変形可能な変位限界に応じて決定される。
式(241)は、次式(241−1)を満たす第i対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iである。
式(241−1)において、左辺は、前述した関節衝突運動エネルギーである(「2.制御装置」参照)。また、右辺は、前述した関節最大弾性エネルギーである(「2.制御装置」参照)。
第i対象関節機構Jiの第1剛性k1_iが、式(241)に従って得られる剛性以上に設定されることは、式(241−1)において、右辺の関節最大弾性エネルギーが左辺の関節衝突運動エネルギー以上、すなわち、関節衝突運動エネルギーの全てが第i対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性エネルギーに変換されることを意味する。このため、第1剛性k1_iが、式(241)によって得られる剛性以上に設定されることで、衝突リンク部材Lcollが物体Objと衝突することによる各対象関節機構Jiの損傷を防止できる。
(2−4−2.第2剛性)
第2剛性決定部342は、各対象関節機構Jiにおいて、慣性モーメント算出部32が算出した慣性モーメントI_t_i、及び相対的変位速度決定部33が決定した相対的関節変位速度Δω_iに基づいて、次式(242)に従って得られる剛性以下の値に第2剛性k2_iを決定する。
但し、式(242)において、A_max_iは、第i対象関節機構Jiをアクチュエータ4によって変位させる場合に当該第i対象関節機構Jiで実現可能な最大加速度を示す。
式(242)は、次式(242−1)を満たす第i対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iである。
式(242−1)において、左辺は、第i対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性がk_iのときにおいて、第i対象関節機構Jiの弾性要素5の固有振動数の逆数が表す周期の4分の1周期を示す。すなわち、左辺は、前述した第1時間である(「2.制御装置」参照)。
また、右辺は、第i対象関節機構Jiで実現可能な最大加速度A_max_iで、アクチュエータ4により第i対象関節機構Jiを変位させるときに、第i対象関節機構Jiの変位速度ω_iを、相対的変位速度決定部33によって決定された第i対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iの向きを反転させた速度だけ変化させるときの時間(第i対象関節機構Jiで実現可能な最短時間)を示す。すなわち、右辺は、前述した第2時間である(「2.制御装置」参照)。
第i対象関節機構Jiの第2剛性k2_iが、式(242)に従って得られる剛性以下に設定されることは、式(242−1)において、右辺の第2時間が左辺の第1時間以下、すなわち、衝突リンク部材Lcollが物体Objと衝突することによる第i対象関節機構Jiの運動エネルギーが第i対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性エネルギーに変換されている間に、第i対象関節機構Jiの状態を、アクチュエータ4により第i対象関節機構Jiを変位させることで、第i対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性エネルギーによる第i対象関節機構Jiの強制的な変位が防止される状態にできることを意味する。これにより、衝突リンク部材Lcollが物体Objと衝突することによる第i対象関節機構Jiの損傷を防止できる。
(2−4−3.目標剛性)
剛性決定部343は、各対象関節機構Jiにおいて、当該対象関節機構Jiの弾性要素5の目標剛性k_cmd_iを、上記のようにして決定された第1剛性k1_i以上且つ第2剛性k2_i以下となるように決定する。各対象関節機構Jiにおいて、当該対象関節機構Jiの弾性要素5の目標剛性k_cmd_iは、第1剛性k1_i以上且つ第2剛性k2_i以下の範囲内であればいずれの値であってもよい。
本実施形態においては剛性決定部343は、衝突リンク部材Lcollにより近い対象関節機構Jiほど、その弾性要素5の目標剛性k_cmd_iを小さく決定している。
これにより、衝突リンク部材Lcollにより近い対象関節機構Jiが動きやすくなる。衝突リンク部材Lcollが物体Objと衝突することによる衝突リンク部材Lcollの変位に応じて各対象関節機構Jiが変位するときに、衝突リンク部材Lcollにより近い対象関節機構Jiが動きやすくなることで、基体2により近い対象関節機構Jiの変位を小さくできる。従って、衝突リンク部材Lcollが物体Objと衝突したときに基体2が受ける影響を小さくできる。
(2−4−4.第1剛性>第2剛性の場合)
例えば、衝突相対速度ΔVが大きい場合等において、相対的関節変位速度Δω_iが大きくなり、ひいては、第1剛性決定部341が決定した第1剛性k1_iが、第2剛性決定部342が決定した第2剛性k2_iよりも大きくなることもあり得る(以下、このような対象関節機構Jiを限界関節機構Jlim_iという)。
この場合において、限界関節機構Jlim_iの弾性要素5の剛性k_iが第1剛性k1_iである場合には、関節衝突運動エネルギーが第i対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性エネルギーに変換されている間に、第i対象関節機構Jiの状態を、アクチュエータ4により第i対象関節機構Jiを変位させることで、第i対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性エネルギーによる第i対象関節機構Jiの強制的な変位が防止される状態にできない。
従って、制御装置30は、限界関節機構Jlim_iにおいて、第1剛性k1_iが第2剛性k2_i以下となるように、第1剛性k1_i及び第2剛性k2_iを再度決定する必要がある。そこで、剛性決定部343は、第1剛性k1_iが第2剛性k2_iよりも大きくなった対象関節機構Ji(すなわち、限界関節機構Jlim_i)があった場合には、相対的変位速度決定部33に対して相対的関節変位速度Δω_iを再度決定する要求(以下、「再決定要求」という)を出力する(図6の剛性決定部343から相対的変位速度決定部33への破線矢印を参照)。
これにより、相対的変位速度決定部33は、以下のようにして、相対的関節変位速度Δω_iを再度決定する。
式(241−1)及び式(242−1)より、相対的関節変位速度Δω_iの減少に伴い、関節衝突運動エネルギー(式(241−1)の左辺)が減少すると共に、第1時間(式(242−1)の右辺)が減少することが分かる。また、式(241−1)及び式(242−1)より、剛性k_iの減少に伴い、関節最大弾性エネルギー(式(241−1)の右辺)が減少すると共に、第2時間(式(242−1)の左辺)が増加することが分かる。
限界関節機構Jlim_iにおいて、「関節衝突運動エネルギー≦関節最大弾性エネルギー」且つ「第1時間≦第2時間」となるように、第1剛性k1_iを第2剛性k2_iまで減少させるためには、限界関節機構Jlim_iの相対的関節変位速度Δω_iを、以下に示される相対的関節限界速度Δω_lim_iまで減少させる必要がある。これにより、第1時間を減少させることができる。また、限界関節機構Jlim_iの第1剛性k1_iの減少によって、第2時間を増加させることができる。
従って、本実施形態において、相対的変位速度決定部33は、限界関節機構Jlim_iの弾性要素5の剛性k_iが現時点で決定されている第2剛性k2_iと等しいと仮定した場合における、限界関節機構Jlim_iの相対的関節変位速度Δω_iを相対的関節限界速度Δω_lim_iとして決定する。相対的関節限界速度Δω_lim_iは、剛性k_iが第2剛性k2_iのときにおいて、式(241−1)を満たす相対的関節変位速度Δω_iを算出することで決定される。
これにより、限界関節機構Jlim_iの弾性要素5の目標剛性k_cmd_iが、第1剛性k1_i(この場合、第1剛性k1_iは、第2剛性k2_iと等しい)に設定された場合であっても、相対的関節変位速度Δω_iが減少している。従って、限界関節機構Jlim_iにおいて、「関節衝突運動エネルギー≦関節最大弾性エネルギー」且つ「第1時間≦第2時間」を満たすことができる。
更に、相対的変位速度決定部33は、衝突リンク部材Lcollが物体Objと衝突する場合の衝突リンク部材Lcollの衝突相対速度ΔVが変化しないようにするために、各対象関節機構Jiのうち限界関節機構Jlim_iではない対象関節機構(以下、「通常関節機構」ともいう)Jiの各々において、現時点で決定されている当該通常関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iよりも大きくなるように当該通常関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iを再度決定する。
ここで、相対的変位速度決定部33による相対的関節変位速度Δω_iを再度決定する処理の具体例を以下に説明する。相対的変位速度決定部33は、各通常関節機構Jiにおいて、次式(244−1)に従ってΔω_diff_iを算出する。
Δω_diff_i=Δω_now_i−Δω_lim_i …(244−1)
但し、Δω_now_iは、現時点で決定されている第i対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iを意味する。
そして、相対的変位速度決定部33は、次式(244−2)に従ってΔV_diffを算出する。
ΔV_diff=ΔV−Jcoll・Δω_diff …(244−2)
但し、Δω_diffは、各対象関節機構Jiにおいて、「現時点で決定されている相対的関節変位速度Δω_now_iのうち通常関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_now_i」と、「限界関節機構Jlim_iの相対的関節変位速度Δω_now_iが相対的関節限界速度Δω_lim_iに変更されたもの」との全てを要素として持つベクトルである。例えば、第j対象関節機構Jj及び第k対象関節機構Jkが限界関節機構Jlim_j,Jlim_kである場合には、Δω_diffは、「(Δω_now_1,Δω_now_2,...,Δω_lim_j,...,Δω_lim_k,...,Δω_now_N)」で表される。
すなわち、式(244−2)の右辺第2項は、限界関節機構Jlim_iの相対的関節変位速度Δω_iを相対的関節限界速度Δω_lim_iに制限したときにおける、衝突リンク部材Lcollの変位速度を表す。従って、ΔV_diff(=(ΔV_diff_x,ΔV_diff_y,ΔV_diff_z))は、限界関節機構Jlim_iの相対的関節変位速度Δω_iを相対的関節限界速度Δω_lim_iに制限したことによって変化する衝突リンク部材Lcollの変位速度と物体Objの変位速度との間の相対的な変位速度の、衝突相対速度ΔVに対する差分を表している。
そして、相対的変位速度決定部33は、次式(244−3)に従ってΔω_diffを算出する。
Δω_diff=Jcoll_norm+・ΔV_diff …(244−3)
但し、Jcoll_norm+は、以下に示されるヤコビ行列Jcoll_normの疑似逆行列である。ヤコビ行列Jcoll_normは、基体座標系における、衝突リンク部材Lcollの変位速度と、対象関節機構Ji(i=1,2,...,coll)のうち通常関節機構Jiの各関節変位速度ω_iとの関係を規定するヤコビ行列である。
また、Δω_diffは、対象関節機構Ji(i=1,2,...,coll)のうち通常関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iの全てを要素とするベクトルである。例えば、第k対象関節機構Jkが限界関節機構Jlim_kである場合には、Δω_diffは、(Δω_diff_1,Δω_diff_2,...,Δω_diff_k-1,Δω_diff_k+1,...,Δω_diff_coll)で表される。
このため、Δω_diff_iは、限界関節機構Jlim_iの相対的関節変位速度Δω_iが相対的関節限界速度Δω_lim_iに制限されたことによる衝突リンク部材Lcollの変位速度の変化分を、通常関節機構Jiで補償する際において、通常関節機構Jiが現時点で決定されている相対的関節変位速度Δω_now_iに対して更にどの程度大きくする必要があるかを表している。
そして、相対的変位速度決定部33は、各対象関節機構Jiにおいて、当該対象関節機構Jiが、通常関節機構Jiの場合には次式(244−4)に従って新たな相対的関節変位速度Δω_iを再度決定し、限界関節機構Jlim_iの場合には次式(244−5)に従って新たな相対的関節変位速度Δω_iを再度決定する。
Δω_i=Δω_now_i+Δω_diff_i …(244−4)
Δω_i=Δω_lim_i …(244−5)
そして、特性決定部34は、各対象関節機構Jiにおいて、相対的変位速度決定部33が上記のように再度決定した相対的関節変位速度Δω_iに基づいて、第1剛性k1_i及び第2剛性k2_iを再度決定する。
以上により、限界関節機構Jlim_iの相対的関節変位速度Δω_iが減少した分が、通常関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iの増加により補償されることで、当該限界関節機構Jlim_iが、当該限界関節機構Jlim_iに許容されない関節変位速度ω_iで変位することが防止され、当該限界関節機構Jlim_iの損傷を防止できる。
(2−5.目標粘性係数)
粘性係数決定部344は、剛性決定部343が決定した目標剛性k_cmd_iに基づいて、次式(25)に従って目標粘性係数C_cmd_iを決定する。
但し、式(25)において、ζは減衰比を示す。減衰比ζは、対象関節機構Jiの挙動特性が、臨界減衰又は過減衰の特性となるように設定される(すなわち、ζが1以上に設定される)。
(2−6.フローチャート)
制御装置30によって実行される上記制御処理の手順の一例について図7のフローチャートを参照して説明する。本フローチャートで示される制御処理プログラムは、所定時間(例えば、10[msec])毎に呼び出されて実行される。
制御装置30は、まず最初のステップST1において、物体Objに衝突するリンク部材Liが存在するか否かを判定する。制御装置30は、例えば、図示しない外界センサ(カメラ等)等の情報より、各リンク部材Liのいずれかが物体Objと衝突する可能性を推定している。そして、制御装置30は、各リンク部材Liのいずれかにおいて該可能性が一定以上である場合には、該可能性が一定以上のリンク部材Liを物体Objに衝突する可能性があるリンク部材Liであると推定している。
制御装置30は、ステップST1において、各リンク部材Liにおいて物体Objに衝突する可能性があると推定されたリンク部材Liが存在していない場合には、物体Objに衝突するリンク部材Liが存在しないと判定し、本フローチャートの処理を終了する。また、制御装置30は、ステップST1において、各リンク部材Liのいずれかにおいて物体Objに衝突する可能性があると推定されたリンク部材Liが存在している場合には、物体Objに衝突するリンク部材Liが存在すると判定し、ステップST2に進む。
制御装置30は、ステップST2において、衝突リンク部材Lcollが物体Objに衝突するときの、各対象関節機構Jiにおける慣性モーメントI_t_iを算出する(慣性モーメント算出部32の処理に相当)。制御装置30は、ステップST2の処理が終了するとステップST3に進み、衝突相対速度ΔVに対応する、相対的関節変位速度Δω_iを決定する(相対的変位速度決定部33の処理に相当)。制御装置30は、ステップST3の処理が終了するとステップST4に進み、第1剛性k1_i及び第2剛性k2_iを決定する(第1剛性決定部341及び第2剛性決定部342の処理に相当)。
制御装置30は、ステップST4の処理が終了するとステップST5に進み、第1剛性k1_iが第2剛性k2_i以下であるか否かを判定する。制御装置30は、ステップST5において、第1剛性k1_iが第2剛性k2_iより大きいと判定した場合には、ステップST6に進む。制御装置30は、ステップST6において、各対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iを前述したように再度決定した後、ステップST4に戻る(「2−4−4.第1剛性>第2剛性の場合」に記載されている相対的変位速度決定部33の処理に相当)。
制御装置30は、ステップST5において、第1剛性k1_iが第2剛性k2_i以下と判定した場合には、ステップST7に進む。制御装置30は、ステップST7において、各対象関節機構Jiの目標剛性k_cmd_iを決定する(剛性決定部343の処理に相当)。制御装置30は、ステップST7の処理が終了するとステップST8に進み、各対象関節機構Jiの目標剛性k_cmd_iに応じた目標粘性係数C_cmd_iを決定する(粘性係数決定部344の処理に相当)。
制御装置30は、ステップST8の処理が終了するとステップST9に進み、各対象関節機構Jiの剛性k_i及び粘性係数C_iが、目標剛性k_cmd_i及び目標粘性係数C_cmd_iとなるように制御する(特性制御部35の処理に相当)。制御装置30は、ステップST9の処理が終了すると本フローチャートの処理を終了する。
(3.変形例)
本実施形態において、第1剛性決定部341は、前述した式(241)に従って得られる剛性以上の値に第1剛性k1_iを決定しているが、他の演算式等によって算出されてもよい。
また、本実施形態において、第2剛性決定部342は、前述した式(242)に従って得られる剛性以下の値に第2剛性k2_iを決定しているが、他の演算式等によって算出されてもよい。
また、本実施形態において、剛性決定部343は、対象関節機構Jiの弾性要素5の目標剛性k_cmd_iを、衝突リンク部材Lcollにより近い対象関節機構Jiほど、その弾性要素5の目標剛性k_cmd_iを小さく決定しているが、第1剛性k1_i以上且つ第2剛性k2_i以下の範囲内であれば、いずれの値に決定してもよい。
また、本実施形態では、第1剛性k1_iが第2剛性k2_iよりも大きくなったときに、前述した式(244−1)〜(244−5)によって相対的関節変位速度Δω_iを再度決定しているが、その他の態様によって、第1剛性k1_iが第2剛性k2_i以下となるように相対的関節変位速度Δω_iを再度決定してもよい。
また、関節機構Jiは、少なくとも弾性要素5を備えている態様であれば、粘性要素6を備えていない態様であってもよい。
また、関節機構Jiは、駆動側のリンクと被動側のリンクとの間で動力伝達をする際に、該動力が弾性力及び粘性力に変換されて伝達される態様であれば、本実施形態の態様以外の態様であってもよい。例えば、駆動側のリンクと被動側のリンクとの間の動力伝達経路上に、剛性及び粘性係数を変更可能に構成された導電性高分子アクチュエータが用いられていてもよい。
1…リンク機構、30…制御装置、Obj…物体、2…基体、3…先端部、Ji…関節機構、4…アクチュエータ、5…弾性要素、6…粘性要素、11…ワイヤ(弾性要素)、14…回転バー(弾性要素)、16…ギヤ(弾性要素)、17…スプリングウォーム(弾性要素)、18…電動モータ(弾性要素)、19…シリンダ(粘性要素)、24…オリフィス部(粘性要素)、Δθ…弾性変位量(弾性変形量)、Δθ_i…弾性変位量(弾性変形量)、Δθ_lim_i…最大変位量(最大変形量)、k_i…剛性、C_i…粘性係数、k1_i…第1剛性、k2_i…第2剛性、ΔV…衝突相対速度(相対的な速度)、ω_i…関節変位速度(変位速度)、Δω_i…相対的関節変位速度(相対的な変位速度)、I_t_i…慣性モーメント、Lcoll…衝突リンク部材(可動部)、33…相対的変位速度決定部、34…特性決定部、35…特性制御部。

Claims (7)

  1. 基体と該基体に対して可動な可動部との間に設けられた1つ又は複数の関節機構と、前記1つ又は複数の関節機構を変位させる駆動力を出力するアクチュエータとを備え、前記1つ又は複数の関節機構の各々は、剛性を可変的に制御可能に構成された弾性変形可能な弾性要素を介して動力伝達を行うように構成されているリンク機構の制御装置であって、
    前記可動部が外部の物体と衝突する場合における前記可動部と前記物体との間の相対的な速度に対応する、前記1つ又は複数の関節機構の各々の相対的な変位速度を決定するように構成された相対的変位速度決定部と、
    前記可動部が前記物体と衝突する場合における前記1つ又は複数の関節機構の各々の前記弾性要素の剛性を、前記1つ又は複数の関節機構の各々に対して決定される第1剛性以上且つ第2剛性以下となるように決定するように構成された特性決定部と、
    前記可動部が前記物体と衝突する場合における前記1つ又は複数の関節機構の各々の前記弾性要素の剛性を、前記特性決定部によって決定された剛性に制御するように構成された特性制御部とを備え、
    前記特性決定部は、
    前記1つ又は複数の関節機構の各々において、当該関節機構の前記弾性要素の弾性変形量が当該関節機構の前記弾性要素の最大変形量である場合における当該関節機構の前記弾性要素の弾性エネルギーが、前記相対的変位速度決定部によって決定された当該関節機構の変位速度で当該関節機構が変位するときの当該関節機構の運動エネルギー以上となるように、前記第1剛性を決定し、
    前記1つ又は複数の関節機構の各々において、前記可動部が前記物体と衝突することによる当該関節機構の変位が開始された時点から、当該衝突による当該関節機構の変位によって蓄積された当該関節機構の前記弾性要素の弾性エネルギーによる当該関節機構の変位が開始される時点までの時間が、前記アクチュエータによって当該関節機構を変位させることで、当該関節機構の変位速度を、前記相対的変位速度決定部によって決定された当該関節機構の相対的な変位速度の向きを反転させた速度だけ変化させる場合に当該関節機構で実現可能な最短時間以上となるように、前記第2剛性を決定することを特徴とするリンク機構の制御装置。
  2. 請求項1に記載のリンク機構の制御装置において、前記1つ又は複数の関節機構のうちの任意の1つの関節機構を第i関節機構と定義したとき、前記特性決定部は、前記第i関節機構の前記弾性要素の前記第1剛性を次式(1)に従って得られる剛性以上に決定することを特徴とするリンク機構の制御装置。
    但し、
    I_t_i:前記可動部が前記物体と衝突する場合における、前記第i関節機構を変位させる場合の慣性モーメント又は慣性質量
    Δω_i:前記相対的変位速度決定部によって決定された前記第i関節機構の相対的な変位速度
    x_lim_i:前記第i関節機構の前記弾性要素の最大変形量
  3. 請求項1又は2に記載のリンク機構の制御装置において、前記1つ又は複数の関節機構のうちの任意の1つの関節機構を第i関節機構と定義したとき、前記特性決定部は、前記第i関節機構の前記弾性要素の前記第2剛性を次式(2)に従って得られる剛性以下に決定することを特徴とするリンク機構の制御装置。
    但し、
    I_t_i:前記可動部が前記物体と衝突する場合における、前記第i関節機構を変位させる場合の慣性モーメント又は慣性質量
    π:円周率
    A_max_i:前記第i関節機構を前記アクチュエータによって変位させる場合に当該第i関節機構で実現可能な最大加速度
    Δω_i:前記相対的変位速度決定部によって決定された前記第i関節機構の相対的な変位速度
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のリンク機構の制御装置において、前記特性決定部は、前記可動部により近い関節機構ほど、その前記弾性要素の剛性を小さく決定することを特徴とするリンク機構の制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリンク機構の制御装置において、
    前記相対的変位速度決定部は、前記特性決定部が前記1つ又は複数の関節機構の各々の前記第1剛性及び前記第2剛性を決定したときに、前記1つ又は複数の関節機構のうち前記第1剛性が前記第2剛性よりも大きくなった関節機構である限界関節機構が存在する場合には、前記限界関節機構の前記弾性要素の剛性が前記第2剛性と等しいと仮定した場合において、前記可動部が前記物体と衝突することによる前記限界関節機構の変位が開始された時点から、当該衝突による前記限界関節機構の変位によって蓄積された前記限界関節機構の前記弾性要素の弾性エネルギーによる前記限界関節機構の変位が開始される時点までの期間、前記アクチュエータによって前記限界関節機構を前記限界関節機構で実現可能な最大加速度で変位させたときの前記限界関節機構の変位速度の変化量を、前記限界関節機構の相対的な変位速度として再度決定すると共に、前記1つ又は複数の関節機構のうち前記限界関節機構ではない関節機構の各々において、現時点で決定されている当該関節機構の相対的な変位速度よりも大きくなるように当該関節機構の相対的な変位速度を再度決定し、
    前記特性決定部は、前記1つ又は複数の関節機構の各々において、前記相対的変位速度決定部が再度決定した変位速度に基づいて、前記第1剛性及び前記第2剛性を再度決定することを特徴とするリンク機構の制御装置。
  6. 請求項5に記載のリンク機構の制御装置において、前記特性決定部は、前記限界関節機構よりも前記可動部に近い前記関節機構の前記弾性要素の剛性が、前記限界関節機構よりも前記基体に近い前記関節機構の前記弾性要素の剛性よりも小さくなるように、前記1つ又は複数の関節機構のうちの前記限界関節機構ではない関節機構の前記弾性要素の剛性を再度決定することを特徴とするリンク機構の制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のリンク機構の制御装置において、
    前記1つ又は複数の関節機構の各々は、前記弾性要素及び、前記特性制御部により粘性係数を可変的に制御可能に構成された粘性要素を介して動力伝達を行うように構成され、
    前記特性決定部は、前記1つ又は複数の関節機構の各々において、当該関節機構の前記弾性要素の剛性を決定したときに、当該関節機構の挙動特性が臨界減衰又は過減衰の特性になるように、前記決定された剛性に応じた当該関節機構の前記粘性要素の粘性係数を決定し、
    前記特性制御部は、前記1つ又は複数の関節機構の各々において、前記特性決定部が決定した粘性係数となるように、当該関節機構の前記粘性要素の粘性係数を制御することを特徴とするリンク機構の制御装置。
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