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JP5888086B2 - 車両用フロントフード - Google Patents

車両用フロントフード Download PDF

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JP5888086B2
JP5888086B2 JP2012097518A JP2012097518A JP5888086B2 JP 5888086 B2 JP5888086 B2 JP 5888086B2 JP 2012097518 A JP2012097518 A JP 2012097518A JP 2012097518 A JP2012097518 A JP 2012097518A JP 5888086 B2 JP5888086 B2 JP 5888086B2
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Description

本発明は、車体前部においてエンジンルームの上方に配置される車両用フロントフードに関するものである。
自動車等の車両では、車体前部にエンジンルームが設けられていて、このエンジンルームの上方には車両用フロントフード(以下、単にフロントフードと称する)が配置されている。このフロントフードには、車種によってエアインテークが設定されることがある。エアインテークは、フロントフードに設けられた開口部に取り付けられ、車両のエンジンルーム内に設けられたダクトと開口部とを接続してエンジンルーム内に外気を導入する部材である。
上述したフロントフードには、車両と被衝突体との衝突時に被衝突体が乗り上げることがあり、特に被衝突体が歩行者であった場合、フロントフードには歩行者の頭部が接触することがある。このため、フロントフードは、変形により衝突エネルギーを吸収して、被衝突体(特に歩行者)への衝撃荷重が緩和されるように設計されている。故に、フロントフードにエアインテークを設定する場合においても、それを設定していない場合と同等程度の衝撃エネルギー吸収性能を備えることができるようにする必要があった。換言すれば、エアインテークにおいても高い衝撃エネルギー吸収性能が求められている。
そこで、例えば特許文献1では、フード上に配置されるフードエアインテーク(エアインテーク)を、上壁部、下壁部および側壁部を有する矩形筒状とし、その側壁部に薄肉部を形成している。特許文献1によれば、エアインテークの上壁部に当接した被衝突体がかかる上壁部を下方へ押圧した際に、薄肉部を起点にして側壁部ひいてはエアインテークが容易に変形するため、被衝突体に作用する衝撃荷重を低減できるとしている。
ここで、上述したようにエアインテークは本来エンジンルーム内への外気の導入を目的とした部材(空気導入部材)であるが、近年では、外気の導入を必要としない場合であっても、エアインテーク形状の外装部材(ダミーのエアインテーク)が車体前部のデザインとして採用される傾向がある。このような場合、エアインテークを通常通り空気導入部材として用いる場合と異なり、ダクト等の周辺部材の剛性を利用した剛性の向上が困難である。このため、ダミーのエアインテークを採用する場合には、その内面に内装部材を取り付けることにより剛性を向上させていた。
特開2004−291813号公報
ところで、車体前部のエンジンルームに配置される構造物の中でも特にエンジン(エンジン本体)は非常に硬いため、エンジンに衝突すると被衝突体が大きなダメージを受けてしまう。このため、エンジン近傍では、フロントフードとエンジンとの距離を十分に確保することが望まれる。しかしながら、フロントフードの意匠や、エンジンルーム内における構造物のレイアウト等による制約が生じる場合、フロントフードとエンジンとの距離を十分に確保できるとは限らない。このような場合、エンジン近傍に配置されるエアインテークやそれに取り付けられる内装部材において衝撃を吸収するための構造を設けることが好ましいが、単にエアインテークや内装部材の全体に衝撃吸収構造を設けると、それらの部材の重量の増加やコストの増大を招いてしまう。
本発明は、このような課題に鑑み、重量の増加やコストの増大を最小限に留めながらも、衝突時の衝撃を良好に吸収することができ、被衝突体への衝撃荷重を緩和することが可能な車両用フロントフードを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用フロントフードの代表的な構成は、車体前部のエンジンルームの上方に配置される車両用フロントフードであって、当該車両用フロントフードの外面を構成し開口部を有するフードアウタパネルと、フードアウタパネルの内側に配置され、フードアウタパネルの開口部に対応する領域に開口部を有し当該車両用フロントフードの内面を構成するフードインナパネルと、フードアウタパネルの開口部に対応する位置に通気孔を有するエアインテーク形状を有し開口部の縁を覆うようにフードアウタパネルに取り付けられる外装部材と、外装部材の内面に取り付けられ通気孔を塞ぐ車幅方向にわたる壁面部を少なくとも有する内装部材とを備え、内装部材は、その壁面部の裏側から車体後方に向かって立設するリブを有し、リブの車両前後方向の長さは、車体側方から見た断面視においてフードインナパネルとエンジンルーム内に配置される構造物の前端との間隔が所定距離未満の箇所では、間隔が所定距離以上の箇所よりも車体後方に延長されていることを特徴とする。
上記構成によれば、内装部材において、エンジンルーム内に配置される構造物、例えばエンジンの前端とフードインナパネルとの間隔が所定距離未満の箇所、すなわちエンジンとフードインナパネルとの間隔が短い箇所ではリブが長めに設定される。これにより、被衝突体との衝突時にリブとエンジンとを他の箇所よりも早期に接触させることができ、この接触によりリブが変形して潰れることで被衝突体からの衝撃エネルギーを吸収し、被衝突体への衝撃荷重を緩和することが可能である。一方、エンジンの前端とフードインナパネルとの間隔が所定距離以上の箇所、すなわちエンジンとフードインナパネルとの間隔が長い箇所ではリブが短めに設定される。これにより、エンジンの前端とフードインナパネルとの間隔が十分に保たれている箇所では、軽量化およびコストダウンを図ることができ、且つ型構造を簡素化することができる。したがって上記構成によれば、重量の増加やコストの増大を最小限に留めながらも、衝突時の衝撃を良好に吸収することができ、被衝突体への衝撃荷重を緩和することが可能となる。
上記フードアウタパネルの開口部の前縁と後縁とは高低差を有し、外装部材は、フードアウタパネルの開口部の前縁近傍から車体後方に向かって延びる前方面と、開口部の後縁近傍から車体前方に向かって延びる後方面とを有し、内装部材は、壁面部の下端から延長されて車高方向において外装部材の前方面の下方且つフードインナパネルの上方に配置される底面部と、壁面部の上端から車体後方に向かって延びるフランジとを更に有し、内装部材は、フランジの後端近傍に前方に向かって切り欠いた切欠部を有し、底面部の前端近傍に固定具を挿通される内装側挿通穴を有し、外装部材は、切欠部に対応する位置に下方に向かって突出した爪部を有し、内装側挿通穴に対応する位置に固定具を挿通される外装側挿通穴を有し、内装部材は、爪部を切欠部に突き当てることにより後端近傍が外装部材に固定され、外装側挿通穴および内装側挿通穴に固定具を挿通することにより前端近傍が外装部材に固定されるとよい。
かかる構成によれば、内装部材は、後端近傍よりも前端近傍において強固に外装部材に固定される。このため、被衝突体との衝突によって外装部材が変形した際に、内装部材の後端近傍の外装部材との固定点が外れ、内装部材は前端近傍の固定点を中心として下方に回転するように移動する。これにより、上述したリブをより速やかにエンジン(エンジンルーム内の構造物)と接触させ変形させることができるため、衝撃エネルギー吸収性能を更に向上させることが可能となる。
上記外装部材は、前方面の背面から下方に立設する爪部を有し、内装部材は、底面部において外装部材の爪部に対応する位置に爪受穴を有し、爪部を爪受穴に嵌め込むことにより内装部材が外装部材に固定されているとよい。これにより、内装部材と外装部材の前方部での固定がさらに強固になる。
本発明によれば、重量の増加やコストの増大を最小限に留めながらも、衝突時の衝撃を良好に吸収することができ、被衝突体への衝撃荷重を緩和することが可能な車両用フロントフードを提供することができる。
本実施形態にかかる車両用フロントフードを示す斜視図である。 図1のA−A断面図である。 外装部材の外観斜視図である。 内装部材の外観斜視図である。 内装部材を取り付けられた外装部材の後方斜視図である。 図5の断面図である。 被衝突体の衝突時の外装部材および内装部材の変形について説明する図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本実施形態にかかる車両用フロントフードを示す斜視図である。図2は、図1のA−A断面図である。図1に示す車両用フロントフード(以下、フロントフード100と称する)は、車体前部においてエンジンルーム(不図示)の上方に配置される。図2に示すように、フロントフード100は、フードアウタパネル(以下、アウタパネル110と称する)と、フードインナパネル(以下、インナパネル120と称する)を備える。
アウタパネル110は、フロントフード100の外面を構成する部材である。図2に示すように、このアウタパネル110の内側には、フロントフード100の内面を構成するインナパネル120が配置されている。本実施形態では、図1および図2に示すようにアウタパネル110に開口部110aが形成されていて、この開口部110aには、その縁を覆うように外装部材130が取り付けられている。また図2に示すように、インナパネル120には、アウタパネル110の開口部110aに対応する領域に開口部120aが形成されている。
図3は、外装部材130の外観斜視図であり、図3(a)は外装部材130の前方斜視図であり、図3(b)は外装部材130の後方斜視図である。本実施形態の外装部材130は、車体前部(不図示)のデザインとして設けられたダミーのエアインテークである。図2および3(a)に示すように、外装部材130は、アウタパネル110の上面から突出するように配置されて、アウタパネル110の開口部110aに対応する位置に通気孔132を有するエアインテーク形状である。
図2および図3に示すように、本実施形態の外装部材130は、アウタパネル110の開口部110aの前縁112近傍から車体後方に向かって延びる前方面134aと、開口部110aの後縁114近傍から車体前方に向かって延びる後方面134bとを有する。これらの前方面134aおよび後方面134bは、側方面136a・136bによって連続している。
車高方向において、前方面134aおよび後方面134bとの間には、仕切壁138a・138b・138cが車幅方向に複数設けられている。これらの仕切壁138a〜138cにより、外装部材130の車高方向での剛性が向上され、通気孔132が通気孔132a・132b・132c・132dに分割される。なお、仕切壁の数は例示にすぎず、任意に変更することが可能である。
図3(b)に示すように、外装部材130では、前方面134aの背面に、そこから下方に立設する爪部137a・137b・137c・137dが形成されている。同様に、後方面134bの背面には、後述する内装部材140に形成される切欠部142e〜142hに対応する位置に、下方に向かって突出した爪部137e・137f・137g・137hが形成されている。また前方面134aの背面には、後述する内装部材140に形成されるスクリュ穴143a・143b(内装側挿通穴)に対応する位置に、固定具であるスクリュ160(図6(b)参照)を挿通される外装側挿通穴となるボス139a・139bが形成されている。
更に、前方面134aの背面には、外装部材130を車体に固定する際に用いられるクリップ150(図7参照)が取り付けられるやぐら形状のボス139cが設けられている。クリップ150が挿通される車体側(インナパネル120側)の穴120bは前後方向の寸法が長い長穴形状になっている。これにより、車体に固定する際に外装部材130の仮止めができる。また同じく前方面134aの背面には、外装部材130を車体に固定する際に用いられる固定具であるスクリュ(不図示)を挿通されるボス139d・139e・139f・139g・139h・139iが設けられている。なお、爪部137a〜137hおよびボス139a〜139iについては後に詳述する。また爪部およびボスの数はこれに限定するものではなく、適宜変更可能である。
ここで、上述した外装部材130を、その本来の趣旨である空気導入部材、すなわちエアインテークとして用いる場合には、走行中の外気(不図示)が、図3(a)に示す破線矢印の方向から通気孔132を通過し、エンジンルーム(不図示)内に導入される。これに対し、本実施形態では外装部材130はダミーのエアインテークとして用いられるため、通気孔132から外気を導入する必要がない。このため外装部材130の内面には内装部材140が取り付けられ、通気孔132が塞がれる。
図4は、内装部材140の外観斜視図であり、図4(a)は内装部材140の前方斜視図であり、図4(b)は内装部材140の後方斜視図である。図4に示すように、内装部材140は、外装部材130の通気孔132(図3参照)に対向してかかる通気孔132を塞ぐように車幅方向にわたる壁面部140aを有する。
図2に示すように、本実施形態の壁面部140aは、外装部材130の後方面134bの下方から車高方向に延びる縦壁である。詳細には、本実施形態のアウタパネル110は、その開口部110aの前縁112と後縁114とに高低差を有し、その高低差に対応するように、外装部材130の前方面134aおよび後方面134bも高低差を有する。このような場合、前方面134aおよび後方面134bの車高方向の空間に通気孔132が設けられているため、壁面部140aを縦壁とすることにより通気孔132を好適に塞ぐことができる。
また図2に示すように、内装部材140では、壁面部140aの下端から延長されて、車高方向において外装部材130の前方面134aの下方且つインナパネル120の上方に配置される底面部140bが設けられている。この底面部140bおよび壁面部140aの側縁には、車体前方に張り出すフランジ140cおよび140dが形成されている。これにより、内装部材140の縁が外装部材130の内面に沿う形状となるためそれらの間の隙間を低減することができ、且つ内装部材140の剛性の向上が図れる。
図4に示すように、底面部140bには、外装部材130の爪部137a〜137dに対応する位置に爪受穴142a・142b・142c・142dが形成されている。また底面部140bの前端近傍には、外装部材130への取付時に固定具であるスクリュ160(図6(b)参照)を挿通される内装側挿通穴としてスクリュ穴143a・143bが形成されている。一方、本実施形態の内装部材140では、壁面部140aの上端から車体後方に向かって延びるフランジ141が設けられていて、このフランジ141の後端近傍には、前方に向かって切り欠いた切欠部142e・142f・142g・142hが形成されている。
図5は、内装部材140を取り付けられた外装部材130の後方斜視図である。図6は、図5の断面図であり、図6(a)は図5のB−B断面図であり、図6(b)は図5のC−C断面図である。なお、理解を容易にするために、図1に示したA−A断面の位置を図5においても示し、図6(a)ではアウタパネル110およびインナパネル120を図示している。
上述した爪部137a〜137dを爪受穴142a〜142dに嵌め込み、爪部137e〜137h(図3(b)参照)を切欠部142e〜142hに嵌め込むと、図5に示すように外装部材130の背面に内装部材140が取り付けられる。このとき、図6(a)に示すように、内装部材140は、爪受穴142a〜142d(図6(a)では爪受穴142bを図示)が爪部137a〜137d(図6(a)では爪部137bを図示)に、切欠部142e〜142h(図6(a)では切欠部142fを図示)が爪部137e〜137h(図6(a)では爪部137fを図示)に突き当てられた状態で固定されている。
そして、図6(b)に示すように、スクリュ穴143a・143b(図6(b)ではスクリュ穴143aを図示)およびボス139a・139b(図6(b)ではボス139aを図示)にスクリュ160を挿入することにより、外装部材130に内装部材140が固定される。すなわち本実施形態では、内装部材140は、後端近傍では爪部137e〜137hを切欠部142e〜142hに突き当てることにより外装部材130に固定され、前端近傍では、爪部137a〜137dを爪受穴142a〜142dに嵌め込むことに加え、ボス139a・139b(外装側挿通穴)およびスクリュ穴143a・143b(内装側挿通穴)にスクリュ160(固定具)を挿通することにより外装部材130に固定されている。これにより、内装部材140は、後端近傍よりも前端近傍において強固に外装部材130に固定されるため、後述するように被衝突体との衝突時に内装部材140に形成されているリブ144a・144bとエンジンルーム内の構造物(本実施形態においてはエンジン170)とを速やかに接触させることが可能となる。
上述したように内装部材140が取り付けられた後、外装部材130がフロントフード100(アウタパネル110およびインナパネル120)に取り付けられる。まず、やぐら形状のボス139cにおいて、クリップ150によって外装部材130の前方面134a(前部)がインナパネル120の前後方向に長い長穴120bに挿通される。これにより、外装部材130がインナパネル120に仮止めされる。また、爪部137e〜137hにおいて、車両後方側に略L字形状のL字部137i・137j・137k・137lが設けられている(図3(b)参照)。これにより、図6(a)に示すようにL字部137i〜137l(図6(b)ではL字部137jを例示)がアウタパネル110の後縁114に突き当てられる。
そして、ボス139d〜139iにスクリュ(不図示)が挿通されることにより、図2に示すように外装部材130の前端近傍がアウタパネル110の前縁112に固定される。一方、外装部材130の後端近傍では、上述したように爪部137e〜137hのL字部137i〜137lが、突き当てられたアウタパネル110の後縁114をくわえ込むことにより、かかるアウタパネル110に固定される(図6(a)参照)。
ここで、上記説明した内装部材140の背面には、図4(b)に示すようにリブが形成されている。詳細には、図2に示すように、内装部材140の壁面部140aには、その背面(裏側)から、車体後方に向かうリブ144aが立設している。これにより、内装部材140ひいてはそれが取り付けられる外装部材130の剛性の向上を図ることができる。また図4(b)に示すように本実施形態の壁面部140aの背面には、リブ144aに加え、それと交差するリブ144bが車体後方に向かうように立設している。すなわち、壁面部140aの背面には、2方向のリブ144a・144bからなる格子状のリブが形成されている。これにより、複数の方向からの衝撃に対する強度を得ることができ、より一層高い剛性を得ることが可能となる。
なお、本実施形態では、3行のリブ144aおよび13列のリブ144bを壁面部140aに設けたが、この数は一例であり、限定するものではない。これらのリブ144aおよび144bの数は任意に設定可能であり、その数を変更することにより、変形容易性および剛性のバランスを必要に応じて容易に調節することが可能である。また本実施形態ではリブ144a・144bは格子状に設けられているが、これにおいても限定されず、ハニカム構造や円柱型等の他の形状を採用することも可能である。
更に本実施形態では、リブ144a・144bの車両前後方向の長さを、車体側方から見た断面視においてインナパネル120とエンジンルーム内に配置される構造物の前端との間隔に応じて異ならせている。詳細には、リブ144a・144bの車両前後方向の長さは、車体側方から見た断面視においてインナパネル120とエンジンルーム内に配置される構造物の前端との間隔が所定距離未満の箇所では、その間隔が所定距離以上の箇所よりも車体後方に延長されている。以下、エンジンルーム内に配置される構造物としてエンジン170(図2参照)を例示して説明する。
まず図4(b)に示すように、本実施形態の内装部材140は、車幅方向において、領域D、領域E1、領域E2、領域F1、領域F2の5つの領域に分けられる。これらの領域のうち、領域Dは、エンジン170の最も突出している箇所近傍に配置される領域であり、インナパネル120とエンジン170の前端との間隔L1(図2参照)は所定距離未満である。領域E1・E2は、エンジン170がさほど突出していない領域近傍に配置される領域であり、インナパネル120とエンジン170の前端との間隔L2(図6(a)参照)は所定距離以上である。そして、領域F1・F2は、インナパネル120の後方にエンジン170が存在しない箇所である。
上記の領域Dではリブ144a・144bが領域E1・E2よりも車体後方に延長されている。すなわち領域Dのリブ144aの車両前後方向の長さ(図2参照)はそれぞれ、領域E1・E2のリブ144aの長さ(図6(a)参照)よりも長く設定されている。また領域F1・F2では、リブそのものが設けられていない(図4(b)参照)。
図7は、被衝突体の衝突時の外装部材130および内装部材140の変形について説明する図である。フロントフード100の上方から被衝突体(不図示)が衝突し、図7(a)に示すように外装部材130に白抜き矢印方向の衝撃が加わると、図7(b)に示すように、外装部材130の後方面134bが下方に潰れるように変形する。すると、変形した外装部材130によって押されることにより内装部材140が車体後方に向かって倒れ、図7(c)に示すように内装部材140の壁面部140aの背面に形成されたリブ144a・144b(図7ではリブ144aのみ図示)がエンジン170に接触する。これにより、リブ144a・144bが変形して潰れることで被衝突体からの衝撃エネルギーが吸収され、被衝突体への衝撃荷重が緩和される。
このとき、上述したように本実施形態では、内装部材140において、エンジン170(エンジンルーム内に配置される構造物)の前端とインナパネル120との間隔が所定距離未満の箇所(領域D)ではリブ144a・144bが長めに設定されている。これにより、フロントフード100への被衝突体の衝突時に、領域Dにおいて、領域E1・E2よりも早期にリブ144a・144bをエンジン170と接触させることができる。したがって、領域Dのようなエンジン170とインナパネル120との間隔が短い箇所において、迅速且つ確実に衝撃エネルギーが吸収され、被衝突体への衝撃荷重を効果的に緩和することが可能である。
特に本実施形態では、上述したように内装部材140の後端近傍は、爪部137e〜137hを切欠部142e〜142hに突き当てることによる外装部材130への固定のみである。このため、外装部材130の変形によって内装部材140の後端と外装部材130との固定が外れやすくなっていて、被衝突体からの衝撃によって内装部材140が前端近傍の固定点を中心として下方に回転するように移動する。これにより、リブ144a・144bをより速やかにエンジン170と接触させて変形させることができるため、衝撃エネルギー吸収性能を更に向上させることができる。
一方、内装部材140において、エンジン170の前端とインナパネル120との間隔が所定距離以上の箇所(領域E1・E2)では、リブ144a・144bが短めに設定されることにより、エンジン170の前端とインナパネル120との間隔が十分に保たれている箇所では、リブ144a・144bによる重量化が抑制される。したがって、軽量化やコストダウン、型構造の簡素化を図ることが可能となる。更に本実施形態では、後方にエンジン170が配置されていない箇所である領域F1・F2においてリブを廃止しているため、上述した効果をより高めることができる。
以上説明したように、本実施形態の車両用フロントフード(フロントフード100)によれば、エンジン170(エンジンルーム内に配置される構造物)の前端とインナパネル120との間隔が狭い箇所に設けられる長めのリブにより、良好な衝撃エネルギー吸収性能を得ることができる。一方、エンジン170の前端とインナパネル120との間隔が広い箇所に設けられる短めのリブにより、リブによる重量化を抑制することができる。したがって、重量の増加やコストの増大を最小限に留めながらも、衝突時の衝撃を良好に吸収することができ、被衝突体への衝撃荷重を緩和することが可能となる。
なお、上述した実施形態においては、ダミーとして用いられる外装部材130に取り付けられる内装部材140にリブを設ける場合について詳述した。これに対し、外装部材130を空気導入部材として用いる場合、通気孔132を塞ぐ内装部材140は当然にして取り付けられず、車体前部に配置されたインタークーラに繋がるダクト(ともに不図示)が外装部材130の背面に取り付けられる。このような場合、ダクトにおいて、外装部材130に取り付けられる側に設けられる開口部の周囲、またはその開口部を塞がない程度に開口部の内部にリブを設ければ、本実施形態の壁面部140aに形成されたリブ144a・144bと同様の効果が得られる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、車体前部においてエンジンルームの上方に配置される車両用フロントフードに利用することができる。
100…フロントフード、110…アウタパネル、110a…開口部、112…前縁、114…後縁、120…インナパネル、120a…開口部、130…外装部材、132…通気孔、132a…通気孔、132b…通気孔、132c…通気孔、132d…通気孔、134a…前方面、134b…後方面、136a…側方面、136b…側方面、137a…爪部、137b…爪部、137c…爪部、137d…爪部、137e…爪部、137f…爪部、137g…爪部、137h…爪部、137i…L字部、137j…L字部、137k…L字部、137l…L字部、138a…仕切壁、138b…仕切壁、138c…仕切壁、139a…ボス、139b…ボス、139c…ボス、139d…ボス、139e…ボス、139f…ボス、139g…ボス、139h…ボス、140…内装部材、140a…壁面部、140b…底面部、141…フランジ、142a…爪受穴、142b…爪受穴、142c…爪受穴、142d…爪受穴、142e…切欠部、142f…切欠部、142g…切欠部、142h…切欠部、143a…スクリュ穴、143b…スクリュ穴、144a…リブ、144b…リブ、150…クリップ、160…スクリュ、170…エンジン

Claims (3)

  1. 車体前部のエンジンルームの上方に配置される車両用フロントフードであって、
    当該車両用フロントフードの外面を構成し開口部を有するフードアウタパネルと、
    前記フードアウタパネルの内側に配置され、該フードアウタパネルの開口部に対応する領域に開口部を有し当該車両用フロントフードの内面を構成するフードインナパネルと、
    前記フードアウタパネルの開口部に対応する位置に通気孔を有するエアインテーク形状を有し該開口部の縁を覆うように前記フードアウタパネルに取り付けられる外装部材と、
    前記外装部材の内面に取り付けられ前記通気孔を塞ぐ車幅方向にわたる壁面部を少なくとも有する内装部材とを備え、
    前記内装部材は、その壁面部の裏側から車体後方に向かって立設するリブを有し、
    前記リブの車両前後方向の長さは、車体側方から見た断面視において前記フードインナパネルと前記エンジンルーム内に配置される構造物の前端との間隔が所定距離未満の箇所では、該間隔が所定距離以上の箇所よりも車体後方に延長されていることを特徴とする車両用フロントフード。
  2. 前記フードアウタパネルの開口部の前縁と後縁とは高低差を有し、
    前記外装部材は、前記フードアウタパネルの開口部の前縁近傍から車体後方に向かって延びる前方面と、該開口部の後縁近傍から車体前方に向かって延びる後方面とを有し、
    前記内装部材は、前記壁面部の下端から延長されて車高方向において前記外装部材の前方面の下方且つ前記フードインナパネルの上方に配置される底面部と、該壁面部の上端から車体後方に向かって延びるフランジとを更に有し、
    前記内装部材は、前記フランジの後端近傍に前方に向かって切り欠いた切欠部を有し、前記底面部の前端近傍に固定具を挿通される内装側挿通穴を有し、
    前記外装部材は、前記切欠部に対応する位置に下方に向かって突出した爪部を有し、前記内装側挿通穴に対応する位置に前記固定具を挿通される外装側挿通穴を有し、
    前記内装部材は、前記爪部を前記切欠部に突き当てることにより後端近傍が前記外装部材に固定され、前記外装側挿通穴および前記内装側挿通穴に前記固定具を挿通することにより前端近傍が該外装部材に固定されることを特徴とする請求項1に記載の車両用フロントフード。
  3. 前記外装部材は、前記前方面の背面から下方に立設する爪部を有し、
    前記内装部材は、前記底面部において前記外装部材の爪部に対応する位置に爪受穴を有し、
    前記爪部を前記爪受穴に嵌め込むことにより前記内装部材が前記外装部材に固定されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用フロントフード。
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