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JP5738475B2 - 鞍乗型車両の前部構造 - Google Patents

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JP5738475B2
JP5738475B2 JP2014503879A JP2014503879A JP5738475B2 JP 5738475 B2 JP5738475 B2 JP 5738475B2 JP 2014503879 A JP2014503879 A JP 2014503879A JP 2014503879 A JP2014503879 A JP 2014503879A JP 5738475 B2 JP5738475 B2 JP 5738475B2
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Description

本発明は、フロントカバーに前面開口を備えた鞍乗型車両の前部構造に関する。
従来から、前輪を操舵自在に支持するヘッドパイプをフロントカバーで囲繞し、フロントカバーの上方においてハンドルをハンドルカバーで覆う鞍乗型車両が知られている。この場合、フロントカバーは、上側に、ヘッドパイプに収容されて上端にハンドルが取り付けられるステアリングステムを挿通するための上側開口を備える。ハンドルカバーは、下側に、ステアリングステムを挿通するための下側開口を備える。
この種の鞍乗型車両において、フロントカバーの前壁部の中央部に前面開口を設ける前部構造が開示されている(例えば特許文献1参照)。
特開2011−063099号公報
しかしながら、特許文献1に記載の前部構造では、フロントカバーの前面開口から導入された走行風は、フロントカバーの上側開口からハンドルカバーの下側開口を通ってハンドルカバー内に侵入する。
そのため、侵入する走行風を受けるハンドルカバーの受風面の形状によっては、ハンドルの切れ角と共に受風面の形状が変化し、操舵の感覚が均一にならない場合がある。
また、特許文献1に記載の前部構造では、フロントカバーの前面開口から内部構造が見えてしまうため、外観性に影響を及ぼしていた。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、フロントカバーに前面開口を備えていながら、操舵の感覚が変化することを抑制し、前面開口から内部構造が見えにくい、鞍乗型車両の前部構造を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、車体フレームと、前記車体フレームの前部に設けられ、前輪を操舵自在に支持するヘッドパイプと、前記ヘッドパイプの上方に設けられ、前記前輪を操舵するハンドルと、前記ヘッドパイプの側方周囲を覆うフロントカバーと、前記フロントカバーの上方に設けられ、前記ハンドルの把持部側及びヘッドパイプ側に貫通孔を備え、ハンドル全体を覆うハンドルカバーと、前記ヘッドパイプの前方で前記フロントカバーの前壁部に設けられる前面開口と、を備える鞍乗型車両の前部構造において、前記フロントカバー内で、前記前面開口の後方かつ前記ヘッドパイプの前方間に設けられ、後方にいくほど下方に下がる傾斜面を有し、前面視で前記前面開口と重なる導風壁を備える、ことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記ハンドルと前記前輪とを連結する操舵軸と、前記導風壁の上方に設けられる上部壁と、をさらに備え、前記フロントカバーは、前記ヘッドパイプの前方を覆うフロントカウルと、前記ヘッドパイプの後方を覆うメインフレームカバーと、を備え、前記フロントカウルは、前面視で一体に形成され、前記メインフレームカバーは、上面側に、前記操舵軸を挿通する上面開口を備え、前記上面開口は、前方側に、前記操舵軸を当該上面開口内に出し入れ可能な前方開放部を備え、前記上部壁は、前記フロントカウルの上縁に連結され、前記前方開放部内に配置される、ことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成に加えて、前記導風壁及び前記上部壁は、互いに車幅方向端部で連結されて環状に形成される、ことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成に加えて、前記導風壁は、下面から前記前面開口の上下方向中間位置に向かって突出するリブ壁を備え、前記リブ壁は、車幅方向に沿って略水平に延び、中央部にリブ壁開口を備える、ことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成に加えて、前記導風壁は、中央が下方に凸となる湾曲形状に形成され、前記フロントカバーの後壁部は、前面視で前記導風壁の側方に第1排風ダクトを備える、ことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成に加えて、前記フロントカバーの後壁部は、前記導風壁よりも下方に第2排風ダクトを備える、ことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項2〜6のいずれか1項に記載の構成に加えて、前記導風壁は、車幅方向の両端部において前記フロントカウルに締結され、前縁部において前記フロントカウルに係止される、ことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、フロントカバー内で、前面開口の後方かつヘッドパイプの前方間に設けられ、後方にいくほど下方に下がる傾斜面を有し、前面視で前面開口と重なる導風壁を備える。そのため、導風壁は、前面開口から導入された走行風が上方に向けてハンドルカバー側に流れることを抑制して、下方に導く。これにより、ハンドルカバー内に侵入する走行風の影響を可及的に低減することができ、ハンドルカバー内に侵入する走行風の影響により乗員が感じ取り得る操舵の感覚の変化を抑制することができる。
また、導風壁は、前面視で、前面開口の後方に前面開口と重なるように配置される。これにより、内部構造の露出を抑制して、外観性を高めることができる。
請求項2に記載の発明によれば、フロントカバーの前面側を構成するフロントカウルは、前面視で一体に形成される。そのため、フロントカバーの前面に分割面を形成する必要がない。これにより、フロントカバーによる整流効果を高めることができる。
また、フロントカバーを構成する各カバー部どうしの締結部を可及的に低減して、軽量化を図ることができる。
フロントカバーの後面側を構成するメインフレームカバーは、上面側に、ハンドルと前輪とを連結するステアリングステムを挿通する上面開口を備える。上面開口は、前方側に、ステアリングステムを上面開口内に出し入れ可能な前方開放部を備える。これにより、ステアリングステムの上端にハンドルが取り付けられた状態であっても、ステアリングステムからメインフレームカバーを着脱することが可能となり、生産性及びメンテナンス性が向上する。
導風壁の上方に上部壁を備え、上部壁は、フロントカウルの上縁に連結され、メインフレームカバーの上面開口の前方開放部内に配置される。そのため、上部壁は、前方開放部の空間を覆う。これにより、上部壁という少ない部品点数によって、前方開放部の空間が外観性を損ねてしまう恐れを回避して、上面開口まわりにおける内部構造露出を可及的に低減することができる。
上記の効果を両立しながら、構造的に、ステアリングステムを挿通する上面開口の大きさの最小化を図ることが可能である。これにより、走行風がハンドルカバー側に侵入する恐れをさらに抑制することができる。
請求項3に記載の発明によれば、導風壁及び上部壁は、互いに車幅方向端部で連結されて環状に形成される。これにより、導風壁及び上部壁を、走行風の風圧に耐える剛性を確保しながら、軽量化を図ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、導風壁は、下面から前面開口の上下方向中間位置に向かって突出するリブ壁を備え、リブ壁は、車幅方向に沿った中央部にリブ壁開口を備える。そのため、リブ壁によって、前面開口にグリル形状を創出することができる。また、導風壁のうち前面開口と重なる領域を小さくしても、内部構造の露出を抑制することができる。さらに、前面開口からリブ壁の上方を経て導入された走行風も、リブ壁開口を通って導風壁により下方に導くことができる。
請求項5に記載の発明によれば、導風壁は、中央が下方に凸となる湾曲形状に形成され、フロントカバーの後壁部は、前面視で導風壁の側方に第1排風ダクトを備える。そのため、フロントカバー内に導入された走行風は、導風壁に沿ってその下方及び側方に導かれる。導風壁の側方に導かれた走行風は、フロントカバーの第1排風ダクトから排出される。これにより、フロントカバー内に導入された走行風をより一層効果的に排出することができる。
請求項6に記載の発明によれば、フロントカバーの後壁部は、導風壁よりも下方に第2排風ダクトを備える。そのため、導風壁の下方に導かれた走行風は、フロントカバーの第2排風ダクトから排出される。これにより、フロントカバー内に導入された走行風をより一層効果的に排出することができる。
請求項7に記載の発明によれば、導風壁は、車幅方向の両端部がフロントカウルに締結され、前縁部がフロントカウルに係止される。そのため、フロントカウルに導風壁を密着させることができ、走行風のガイド効果を高めることができる。
本発明の第1実施形態に係る前部構造を備える鞍乗型車両としての自動二輪車を示す左側面図である。 図1に示す自動二輪車の正面図である。 図1に示す自動二輪車の、導風壁及び上部壁を残してフロントカウルを省略して示す要部の拡大正面図である。 図1のIV−IV線に沿ってとられた縦断背面図である。 図1に示す自動二輪車のフロントカバーを示す要部の平面図である。 図5のVI−VI線に沿ってとられた要部の縦断側面図であり、導風壁及び上部壁を取り外した状態のフロントカウルのみを示す図である。 図5のVI−VI線に沿ってとられた要部の縦断側面図であり、導風壁及び上部壁を取り付けた状態のフロントカウル及びメインフレームカバーを示す図である。 導風壁及び上部壁を取り外した状態のフロントカウルを示す要部の背面図である。 導風壁及び上部壁を取り付けた状態のフロントカウルを示す要部の背面図である。 図1に示す自動二輪車の要部を左斜め前方から見た斜視図である。 図10から、導風壁及び上部壁を残してフロントカウルを省略して示す斜視図である。 導風壁及び上部壁の正面図である。 導風壁及び上部壁の底面図である。 導風壁の第2実施形態を概念的に示す斜視図である。 導風壁の第3実施形態を概念的に示す斜視図である。 導風壁の第4実施形態を概念的に示す斜視図である。 導風壁の第5実施形態を概念的に示す斜視図である。 導風壁の第6実施形態を概念的に示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
まず、図1、図2を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る前部構造を備える鞍乗型車両としての自動二輪車1の全体構成について説明する。
以下の説明において、前後、左右及び上下の各方向については、特に断りがない限り、自動二輪車1に乗車する乗員(運転者)から見た方向に従う。また、図中、矢印FRは車両の前方を示し、矢印LHは車両の左方を示し、矢印RHは車両の右方を示し、矢印UPは車両の上方を示す。
図1に示すように、本実施形態の自動二輪車1は、車体フレーム10と、車体フレーム10に操舵可能に支持され、前輪21を含んで構成される操舵ユニット20と、後輪31と、エンジン32と、スイングアーム33と、ピボット軸34と、チェーンドライブ35と、リアクッション36と、排気管37と、消音器38と、車体を覆う車体カバー40と、灯火器80と、着座用のシート85と、バックミラー86と、スタンド89と、を主体として構成される。
車体フレーム10は、ヘッドパイプ11と、メインフレーム12と、シートレール13と、ピボットプレート14と、ヘッドパイプ11から前方に延出したステー17と、ステー17の先端に固定される支持プレート18と、を備える。
ヘッドパイプ11は、車体フレーム10の前端部に配置される。メインフレーム12は、前端部においてヘッドパイプ11に固定され、ヘッドパイプ11から後方に向かって斜め下方に延びる。メインフレーム12の後部から、後方かつ上方に、左右一対のシートレール13が延出する。
ピボットプレート14は、その上部においてメインフレーム12の後部に固定される。ピボットプレート14は、ピボット軸34(後述)を支点として、スイングアーム33(後述)を揺動可能に支持する。
支持プレート18は、車体カバー40のうちのフロントカバー41(後述)を支持する。
操舵ユニット20は、前輪21と、操舵軸としてのステアリングステム22と、フロントフォーク23と、ハンドル24と、把持部としての左右のグリップ25L、25Rと、を備える。
ステアリングステム22は、ヘッドパイプ11に対して左右に回動可能に支持される。フロントフォーク23は、ステアリングステム22の下端部に固定されたボトムブリッジ22aにそれぞれ支持されると共に、前輪21を軸支する。ハンドル24は、ステアリングステム22の上端部に連結されて左右に延びる。左グリップ25Lは、ハンドル24の左端側に取り付けられる。右グリップ25Rは、ハンドル24の右端側に取り付けられる。
エンジン32は、略水平のシリンダ軸線を有し、車体フレーム10に固定される。
スイングアーム33は、その前端部において、ピボット軸34を支点としてピボットプレート14に揺動可能に支持される。スイングアーム33の後端部には、後輪31が軸支される。
チェーンドライブ35は、エンジン32の出力軸と、後輪31とをチェーンで結ぶ。
リアクッション36は、スイングアーム33の後端部とシートレール13の中間部との間に配置される。排気管37は、エンジン32の下部に接続されており、この排気管37は、後方に延出されて、消音器38に接続される。
車体カバー40は、フロントカバー41と、ハンドルカバー42と、左右一対のサイドカバー43と、左右一対のリアサイドカバー44と、フロントフェンダ45と、リアフェンダ46と、を備える。フロントカバー41については後述する。
ハンドルカバー42は、フロントカバー41の上方に設けられる。ハンドルカバー42は、左右のグリップ25L、25Rを除いて、ハンドル24全体を覆う。ハンドルカバー42は、ハンドル24のグリップ25L、25R側に貫通孔42a備え、ヘッドパイプ11側に貫通孔42bを備える。
左右一対のサイドカバー43は、前端側においてフロントカバー41に取り付けられ、後端側において左右一対のリアサイドカバー44に取り付けられる。リアサイドカバー44の後端側は、リアフェンダ46に取り付けられる。
フロントフェンダ45は、ボトムブリッジ22aに取り付けられる。リアフェンダ46は、シートレール13の下側に取り付けられる。
灯火器80は、ヘッドライト81と、フロントウインカ82と、テールライト83と、リアウインカ84と、を備える。
ヘッドライト81は、ハンドルカバー42に固定されて、ハンドルカバー42の前面に位置する。フロントウインカ82は、フロントカバー41に固定されて、フロントカバー41の前面に位置する。テールライト83は、リアフェンダ46の後部に取り付けられる。リアウインカ84は、リアフェンダ46に取り付けられる。
シート85は、シートレール13の上方に配置される。バックミラー86は、ハンドル24の左右に取り付けられる。スタンド89は、ピボットプレート14の下端部に起伏自在に取り付けられる。
次に、図1、図2に加えて、図3〜図13を参照して、自動二輪車1の前部構造について説明する。
図1に示すように、車体カバー40のフロントカバー41は、ヘッドパイプ11の前方を覆うフロントカウル50と、ヘッドパイプ11の後方を覆うメインフレームカバー60と、を備える。
図1、図2に示すように、フロントカバー41の前壁部を形成するフロントカウル50は、車両の前面を構成する。フロントカウル50は、前面視で一体物として形成される。
図2、図5に示すように、フロントカウル50は、支持プレート18にボルト留めするための3つのボルト通し孔51を備える。各ボルト通し孔51にボルト18aを通して支持プレート18に留めることにより、フロントカウル50は、ヘッドパイプ11に固定される。
図6、図8に示すように、フロントカウル50は、後側(裏側)に、メインフレームカバー60を取り付けるための取り付け孔52を備える。
図1、図2に示すように、フロントカウル50は、上部中央に前面開口55を備え、前面開口55の前方に前方下壁面54を備える。図2、図3、図8に示すように、前面開口55は、車幅方向の中央が下方に凸となる湾曲形状に形成される。前面開口55は、開口上縁55a及び開口下縁55bを備える。
図6、図7に示すように、前面開口55の開口上縁55aは、開口下縁55bよりも前方に設けられる。前方下壁面54は、後方にいくほど上方に傾斜している。
図6〜図9に示すように、フロントカウル50は、前面開口55の後部上側(開口上縁55aの上側)に、導風壁71(後述)の前縁部を差し込んで係止する複数の係止リブ56を備える。フロントカウル50は、それ自身の後部上側に、上部壁74(後述)の前側上部フランジ76b(後述)を差し込んで係止する複数の係止リブ57を備える。フロントカウル50は、前面開口55の左右両側に、壁部材70(後述)を取り付けるための取り付け孔58を備える。
図1、図4に示すように、フロントカバー41の後壁部を形成するメインフレームカバー60は、左右一対のサイドカバー43と共に、ヘッドパイプ11の後方側でかつシート85の前方における車両の内部を覆ってカバーする。
メインフレームカバー60は、フロントカウル50の取り付け孔52にボルト留めすることにより、フロントカウル50に取り付けられる。サイドカバー43は、フロントカウル50に取り付けられる。
図5に示すように、メインフレームカバー60は、上面側に、ステアリングステム22を挿通する上面開口61を備える。上面開口61は、前方側に、ステアリングステム22を上面開口61内に出し入れ可能な前方開放部62を備える。
図4に示すように、メインフレームカバー60は、上部左右に、第1排風ダクト63を備えると共に、第1排風ダクト63よりも下方左右に、第2排風ダクト64を備える。
図1に示すように、フロントカバー41は、内部に、壁部材70を備える。
図3、図5、図10〜図13に示すように、壁部材70は、フロントカウル50の前面開口55の後部上側からヘッドパイプ11に向けて下向きに傾斜する導風壁71と、導風壁71の後部上方(すなわち、フロントカウル50の上縁)位置から後方に延出して、メインフレームカバー60の前方開放部62内に配置される上部壁74と、を備える。
導風壁71及び上部壁74は、車幅方向端部で互いに連結されて、前面視で環状に一体形成される。壁部材70の車幅方向中央部には、導風壁71と上部壁74とを連結する中央リブ77が形成される。壁部材70の車幅方向両端部には、フロントカウル50に固定するためのボルト通し孔78が形成される。
壁部材70は、導風壁71の前縁部をフロントカウル50の複数の係止リブ56に係止させ、上部壁74の前側上部フランジ76b(後述)をフロントカウル50の複数の係止リブ57に係止させた状態で、ボルト通し孔78にボルト58aを通してフロントカウル50の取り付け孔58にボルト留めすることにより、フロントカウル50の所定位置に固定される。
導風壁71は、フロントカバー41内において、フロントカウル50の前面開口55の後方で、かつヘッドパイプ11の前方との間に設けられ、後方にいくほど下方に下がる傾斜面を有する。そして、導風壁71は、前面視で前面開口55と重なる(図3参照)。
導風壁71は、車幅方向の中央が下方に凸となる湾曲形状に形成される。
導風壁71は、前側下面から前面開口55の上下方向中間位置に向かって前方へ突出するリブ壁(フィン)72を備える。リブ壁72は、車幅方向に沿って車幅方向の中央が下方に凸となる湾曲形状で略水平に延び、中央部にリブ壁開口73を備える。
上部壁74は、前方から後方へ下向きに延びる上部壁部75と、上部壁部75の前縁から上向きに延びる起立壁部76と、を備える。
上部壁部75は、車幅方向両端側に段差部75aを備える。段差部75aは、上部壁部75の車幅方向両端部が中央部に対して段差をもって下側に位置することにより形成される。
起立壁部76は、車幅方向両端側に段差部76aを備える。段差部76aは、起立壁部76の車幅方向両端部が中央部に対して段差をもって前側に位置することにより形成される。
起立壁部76の上縁には、前側上部フランジ76bが形成される。
上部壁部75の段差部75a及び起立壁部76の段差部76aは、上部壁74がメインフレームカバー60の前方開放部62内に配置される際に、メインフレームカバー60側との合わせ部として機能する。
次に、自動二輪車1の前部構造の作用について説明する。
自動二輪車1を走行させると、フロントカウル50の前面開口55から走行風が導入される。導入された走行風は、前面開口55の後部上側からヘッドパイプ11に向けて下向きに傾斜する導風壁71によって、後方かつ下向きに導かれるため、ハンドルカバー42内に侵入する走行風の量を抑制できる。また、このとき、走行風は、車幅方向の中央が下方に凸となる湾曲形状の導風壁71によって、左右に分かれるように導かれる。このように、導風壁71によって、前面開口55から後方かつ下向きに、しかも左右に分かれるように導かれた走行風は、メインフレームカバー60の第1排風ダクト63から後方へ排出され、また、第2排風ダクト64からも後方へ排出される。
そのため、前面開口55から導入された走行風のうち、上向きにメインフレームカバー60の上面開口61を通り、ハンドルカバー42の貫通孔42bを通ってハンドルカバー42内に侵入する走行風の量は、さらに抑制される。
また、メインフレームカバー60の上面開口61に、ステアリングステム22を出し入れするために設けられた前方開放部62には、導風壁71の上方においてフロントカウル50の上縁位置から後方に延出する上部壁74の上部壁部75が配置される。
そのため、メインフレームカバー60の上面開口61に設けられた前方開放部62に、上部壁74が配置されない場合に比べて、ハンドルカバー42内に侵入する走行風の量を、さらに低減できる。
第1実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)フロントカバー41内で、前面開口55の後方かつヘッドパイプ11の前方間に設けられ、後方にいくほど下方に下がる傾斜面を有し、前面視で前面開口55と重なる導風壁71を備える。そのため、導風壁71は、前面開口55から導入された走行風が上方に向けてハンドルカバー42側に流れることを抑制して、下方に導く。これにより、ハンドルカバー42内に侵入する走行風の影響を可及的に低減することができ、ハンドルカバー42内に侵入する走行風の影響により乗員が感じ取り得る操舵の感覚の変化を抑制することができる。
また、導風壁71は、前面視で、前面開口55の後方に前面開口55と重なるように配置される。これにより、内部構造の露出を抑制して、外観性を高めることができる。
(2)フロントカバー41の前面側を構成するフロントカウル50は、前面視で一体に形成される。そのため、フロントカバー41の前面に分割面を形成する必要がない。これにより、フロントカバー41による整流効果を高めることができ、フロントカバー41を構成する各カバー部どうしの締結部を可及的に低減して、軽量化を図ることができる。
(3)フロントカバー41の後面側を構成するメインフレームカバー60は、上面側に、ハンドル24と前輪21とを連結するステアリングステム22を挿通する上面開口61を備える。上面開口61は、前方側に、ステアリングステム22を上面開口61内に出し入れ可能な前方開放部62を備える。これにより、ステアリングステム22の上端にハンドル24が取り付けられた状態であっても、ステアリングステム22からメインフレームカバー60を着脱することが可能となり、生産性及びメンテナンス性が向上する。
(4)導風壁71の上方に上部壁74を備え、上部壁74は、フロントカウル50の上縁に連結され、メインフレームカバー60の上面開口61の前方開放部62内に配置される。そのため、上部壁74は、前方開放部62の空間を覆う。これにより、上部壁74という少ない部品点数によって、前方開放部62の空間が外観性を損ねてしまう恐れを回避して、上面開口61まわりにおける内部構造の露出を可及的に低減することができる。
(5)上記(3)、(4)の効果を両立しながら、構造的に、ステアリングステム22を挿通する上面開口61の大きさの最小化を図ることが可能である。これにより、走行風がハンドルカバー42側に侵入する恐れをさらに抑制することができ、上記(1)の効果をさらに高めることができる。
(6)導風壁71及び上部壁74は、互いに車幅方向端部で連結されて環状に形成される。これにより、導風壁71及び上部壁74を、走行風の風圧に耐える剛性を確保しながら、軽量化を図ることができる。
(7)導風壁71は、下面から前面開口55の上下方向中間位置に向かって突出するリブ壁72を備え、リブ壁72は、車幅方向に沿った中央部にリブ壁開口73を備える。そのため、リブ壁72によって、前面開口55にグリル形状を創出することができる。また、導風壁71のうち前面開口55と重なる領域を小さくしても、内部構造の露出を抑制することができる。さらに、前面開口55からリブ壁72の上方を経て導入された走行風も、リブ壁開口73を通って導風壁71により下方に導くことができる。
(8)導風壁71は、中央が下方に凸となる湾曲形状に形成され、フロントカバー41の後壁部は、前面視で導風壁71の側方に第1排風ダクト63を備える。そのため、フロントカバー41内に導入された走行風は、導風壁71に沿ってその下方及び側方に導かれる。導風壁71の側方に導かれた走行風は、フロントカバー41の第1排風ダクト63から排出される。これにより、フロントカバー41内に導入された走行風をより一層効果的に排出することができる。
(9)フロントカバー41の後壁部は、導風壁71よりも下方に第2排風ダクト64を備える。そのため、導風壁71の下方に導かれた走行風は、フロントカバー41の第2排風ダクト64から排出される。これにより、フロントカバー41内に導入された走行風をより一層効果的に排出することができる。
(10)導風壁71は、車幅方向の両端部がフロントカウル50に締結され、前縁部がフロントカウル50に係止される。そのため、フロントカウル50に導風壁71を密着させることができ、走行風のガイド効果を高めることができる。
<第2実施形態>
図14は、導風壁71Aの第2実施形態を概念的に示す斜視図である。本実施形態では、第1実施形態と同様の部分に、第1実施形態で用いた符号にAを付加した符号を付けて示し、重複する説明は省略する。
本実施形態において、導風壁71Aは、平板状に形成される。この場合、前面開口55Aから導入された走行風は、導風壁71Aに沿ってその下方及び側方に導かれる。
第2実施形態によれば、上記(1)の効果と同様の効果がある。
<第3実施形態>
図15は、導風壁71Bの第3実施形態を概念的に示す斜視図である。本実施形態では、第1実施形態と同様の部分に、第1実施形態で用いた符号にBを付加した符号を付けて示し、重複する説明は省略する。
本実施形態において、導風壁71Bは、平板状の導風壁部71Baの後方側に、車幅方向に沿って前方下向きに折り曲げられた折り曲げ部71Bbが形成される。この場合、前面開口55Bから導入された走行風は、導風壁部71Baに沿ってその下方及び側方に導かれ、さらに折り曲げ部71Bbに沿ってその下方及び側方に導かれる。
第3実施形態によれば、上記(1)の効果と同様の効果がある。
加えて、(11)折り曲げ部71Bbを備えているため、内部構造の露出をさらに抑制して、外観性をさらに高めることができる。
<第4実施形態>
図16は、導風壁71Cの第4実施形態を概念的に示す斜視図である。本実施形態では、第1実施形態と同様の部分に、第1実施形態で用いた符号にCを付加した符号を付けて示し、重複する説明は省略する。
本実施形態において、導風壁71Cは、車幅方向中央に下向きの屈曲部71Ccを有する屈曲板状の導風壁部71Caの後方側に、車幅方向に沿って前方下向きに折り曲げられた折り曲げ部71Cbが形成される。この場合、前面開口55Cから導入された走行風は、導風壁部71Caに沿ってその下方及び側方に導かれ、さらに折り曲げ部71Cbに沿ってその下方及び側方に導かれる。
第4実施形態によれば、上記(1)、(11)の効果と同様の効果がある。
加えて、(12)導風壁部71Caは車幅方向中央に下向きの屈曲部71Ccを有しているため、前面開口55Cから導入された走行風は、導風壁部71Caに沿ってより効果的に側方に導かれる。
<第5実施形態>
図17は、導風壁71Dの第5実施形態を概念的に示す斜視図である。本実施形態では、第1実施形態と同様の部分に、第1実施形態で用いた符号にDを付加した符号を付けて示し、重複する説明は省略する。
本実施形態において、導風壁71Dは、車幅方向に沿って所定の間隔で複数の屈曲部71Dcを有する屈曲板状の導風壁部71Daの後方側に、車幅方向に沿って前方下向きに折り曲げられた折り曲げ部71Dbが形成される。この場合、前面開口55Dから導入された走行風は、導風壁部71Daに沿ってその下方及び側方に導かれ、さらに折り曲げ部71Dbに沿ってその下方及び側方に導かれる。
第5実施形態によれば、上記(1)、(11)、(12)の効果と同様の効果がある。
加えて、(13)導風壁部71Daは車幅方向に沿って所定の間隔で複数の屈曲部71Dcを有しているため、導風壁71Dを薄肉化して軽量化しても、強度・剛性を確保できる。また、意匠的に高級感があり、外観性をより一層高めることができる。
<第6実施形態>
図18は、導風壁71Eの第6実施形態を概念的に示す斜視図である。本実施形態では、第1実施形態と同様の部分に、第1実施形態で用いた符号にEを付加した符号を付けて示し、重複する説明は省略する。
本実施形態において、導風壁71Eは、平板状に形成され、導風壁71Eの下面にリブ壁72Eが形成され、リブ壁72Eにはリブ壁開口73Eが形成される。この場合、前面開口55Eから導風壁71Eとリブ壁72Eとの間に導入された走行風は、リブ壁開口73Eを通過して、導風壁71Eに沿ってその下方及び側方に導かれる。また、前面開口55Eからリブ壁72Eの下方において導入された走行風は、導風壁71Eに沿ってその下方及び側方に導かれる。
第6実施形態によれば、上記(1)、(7)の効果と同様の効果がある。
<その他の実施形態>
なお、図17に示す第6実施形態は、図13に示す第2実施形態の導風壁71Aと同様の平板状の導風壁71Eの下面に、リブ壁72E及びリブ壁開口73Eを備えたものである。
しかしながら、これに限定されず、例えば、図14に示す第3実施形態の導風壁71Bの下面に、リブ壁72B(図示せず)及びリブ壁開口73B(図示せず)を備えてもよい。
同様に、図15に示す第4実施形態の導風壁71Cの下面に、リブ壁72C(図示せず)及びリブ壁開口73C(図示せず)を備えてもよい。また、図16に示す第5実施形態の導風壁71Dの下面に、リブ壁72D(図示せず)及びリブ壁開口73D(図示せず)を備えてもよい。
10…車体フレーム
11…ヘッドパイプ
21…前輪
22…ステアリングステム(操舵軸)
24…ハンドル
25L、25R…グリップ(把持部)
41…フロントカバー
42…ハンドルカバー
42a、42b…貫通孔
50…フロントカウル
55…前面開口
60…メインフレームカバー
61…上面開口
62…前方開放部
63…第1排風ダクト
64…第2排風ダクト
71…導風壁
72…リブ壁
73…リブ壁開口
74…上部壁

Claims (6)

  1. 車体フレーム(10)と、
    前記車体フレーム(10)の前部に設けられ、前輪(21)を操舵自在に支持するヘッドパイプ(11)と、
    前記ヘッドパイプ(11)の上方に設けられ、前記前輪(21)を操舵するハンドル(24)と、
    前記ハンドル(24)と前記前輪(21)とを連結する操舵軸(22)と、
    前記ヘッドパイプ(11)の側方周囲を覆うフロントカバー(41)と、
    前記フロントカバー(41)の上方に設けられ、前記ハンドル(24)の把持部(25L、25R)側及びヘッドパイプ(11)側に貫通孔(42a、42b)を備え、ハンドル(24)全体を覆うハンドルカバー(42)と、
    前記ヘッドパイプ(11)の前方で前記フロントカバー(41)の前壁部に設けられる前面開口(55)と、を備える鞍乗型車両の前部構造において、
    前記フロントカバー(41)内で、前記前面開口(55)の後方かつ前記ヘッドパイプ(11)の前方間に設けられ、後方にいくほど下方に下がる傾斜面を有し、前面視で前記前面開口(55)と重なる導風壁(71)と、
    前記導風壁(71)の上方に設けられる上部壁(74)と、を備え
    前記フロントカバー(41)は、前記ヘッドパイプ(11)の前方を覆うフロントカウル(50)と、前記ヘッドパイプ(11)の後方を覆うメインフレームカバー(60)と、を備え、
    前記フロントカウル(50)は、前面視で一体に形成され、
    前記メインフレームカバー(60)は、上面側に、前記操舵軸(22)を挿通する上面開口(61)を備え、
    前記上面開口(61)は、前方側に、前記操舵軸(22)を当該上面開口(61)内に出し入れ可能な前方開放部(62)を備え、
    前記上部壁(74)は、前記フロントカウル(50)の上縁に連結され、前記前方開放部(62)内に配置される、
    鞍乗型車両の前部構造。
  2. 前記導風壁(71)及び前記上部壁(74)は、互いに車幅方向端部で連結されて環状に形成される、請求項に記載の鞍乗型車両の前部構造。
  3. 前記導風壁(71)は、下面から前記前面開口(55)の上下方向中間位置に向かって突出するリブ壁(72)を備え、
    前記リブ壁(72)は、車幅方向に沿って略水平に延び、中央部にリブ壁開口(73)を備える、
    請求項1又は2に記載の鞍乗型車両の前部構造。
  4. 前記導風壁(71)は、中央が下方に凸となる湾曲形状に形成され、
    前記フロントカバー(41)の後壁部は、前面視で前記導風壁(71)の側方に第1排風ダクト(63)を備える、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の鞍乗型車両の前部構造。
  5. 前記フロントカバー(41)の後壁部は、前記導風壁(71)よりも下方に第2排風ダクト(64)を備える、請求項1〜のいずれか1項に記載の鞍乗型車両の前部構造。
  6. 前記導風壁(71)は、車幅方向の両端部において前記フロントカウル(50)に締結され、前縁部において前記フロントカウル(50)に係止される、請求項のいずれか1項に記載の鞍乗型車両の前部構造。
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