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JP5715796B2 - 有機光電変換素子の製造方法 - Google Patents

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JP5715796B2 JP2010243117A JP2010243117A JP5715796B2 JP 5715796 B2 JP5715796 B2 JP 5715796B2 JP 2010243117 A JP2010243117 A JP 2010243117A JP 2010243117 A JP2010243117 A JP 2010243117A JP 5715796 B2 JP5715796 B2 JP 5715796B2
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Description

本発明は、有機光電変換素子及びその製造方法に関する。
有機光電変換素子は、無機光電変換素子などの他の素子と比較して、構造がシンプルであること、印刷による製造が可能であるなど容易かつ安価に製造できること、などの利点を有している。しかし、光電変換効率が劣ることが、有機光電変換素子の実用化の妨げになっていた。
有機光電変換素子の光電変換効率が低い原因の一つとして、素子を構成する活性層中に混在する、不溶成分、ダスト等の存在が挙げられている。
特許文献1では、有機薄膜太陽電池の製造例として、光電変換層を構成する材料を含む溶液を、予め孔径0.2μmの炉紙でフィルタリングしてから塗布する例が記載されている。
特開2006−245073号公報
しかし、特許文献1のフィルタリングの条件では、光電変換層を構成する材料中の、溶媒への未溶解成分(例:不溶成分、ダスト)を十分に除去できず、有機光電変換素子において漏れ電流が発生するおそれがあり、光電変換効率を向上させることは困難であった。
本発明は、光電変換効率に優れる有機光電変換素子、及び該素子を得るための製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、活性層の形成に当り、該層の材料である有機化合物を含む液を孔径0.15μm以下のフィルターを用いてろ過してから塗布することにより、液に残存する、溶媒への未溶解成分(例:不溶成分、ダスト)などが引き起こす、膜の平坦性の低下、接合界面との不整合性等の問題を解消し、光電変換効率の高い有機光電変換素子を提供できることを見出し、本発明に到達した。
本発明は、以下の〔1〕〜〔3〕を提供する。
〔1〕一対の電極と、前記一対の電極の間に位置し、有機化合物を含む活性層とを備える有機光電変換素子の製造方法であって、
工程(A):前記有機化合物を含む液を孔径0.15μm以下のフィルターを用いてろ過し精製液を得る工程、及び
工程(B):前記精製液から前記活性層を成膜する工程
を含む有機光電変換素子の製造方法。
〔2〕一対の電極と、前記一対の電極の間に位置し、有機化合物を含む活性層とを備える有機光電変換素子であって、該活性層中に、粒子径が0.15μmを超える金属微粒子、又は金属酸化物微粒子を実質的に含まない有機光電変換素子。
〔3〕上記〔1〕に記載の製造方法により製造される有機光電変換素子。
本発明の製造方法によれば、光電変換効率に優れた有機光電変換素子を効率良く製造することができる。
図1は、本発明における有機光電変換素子の層構成の一例を示す図である。 図2は、本発明における有機光電変換素子の層構成の他の一例を示す図である。 図3は、本発明における有機光電変換素子の層構成の他の一例を示す図である。 図4は、実施例及び比較例の各有機薄膜太陽電池の暗電流−電圧特性を示すグラフである。
以下の説明において示す図面における各部材の縮尺は、実際と異なる場合がある。また、有機光電変換素子には電極のリード線などの部材も存在するが、本発明の説明として直接的に関係はないために記載および図示を省略している。
本発明が対象とする有機光電変換素子の基本的な構成は、一対の電極と活性層とを有する構成である。一対の電極のうち少なくとも一方は透明又は半透明である。有機光電変換素子において、一対の電極のうち透明又は半透明な電極は、通常は陽極である。また、一対の電極のうち、透明又は半透明でなくてもよい電極は通常は陰極である。有機光電変換素子における活性層の位置は、通常は一対の電極の間である。活性層は1層であってもよいが、複数層であってもよい。また、一対の電極の間に、活性層以外の層が設けられてもよく、この層を本明細書においては中間層と称する場合がある。
活性層は、有機化合物を含む層である。有機化合物としては、電子供与性化合物(p型半導体)と電子受容性化合物(n型半導体)が例示される。活性層は、単層であっても、複数の層が重ね合わされた積層体であってもよい。活性層の形態としては、電子供与性化合物で形成された層(電子供与性層)と電子受容性化合物で形成された層(電子受容性層)とが重ね合わされた、いわゆるpnヘテロ接合型の活性層;電子供与性化合物と電子受容性化合物とが混合して、バルクへテロジャンクション構造を形成したバルクへテロ接合型の活性層、等が例示され、本発明における活性層はいずれの形態であってもよい。
有機光電変換素子の層構成の例について、図1〜図3を参照しつつ説明する。図1〜図3はそれぞれ、有機光電変換素子の層構成の例を示す図である。以下、図1について説明した後、図2について図1と異なる点のみ説明し、図3について、図1及び図2と異なる点のみ説明する。
図1の例では、第1電極32及び第2電極34の間に活性層40が狭持された積層体が基板20に搭載されて、有機光電変換素子10を構成する。基板20側から採光する場合には、基板20は透明又は半透明である。
通常、第1電極32および第2電極34のうち少なくとも一方は透明または半透明である。基板20側から採光する場合は、第1電極32が透明または半透明である。
第1電極32及び第2電極34のうちいずれが陽極でありいずれが陰極であるかは、特に限定されない。例えば、基板20側から順次積層して有機光電変換素子10を製造する場合、陰極(例えば、アルミニウムなど)の成膜に蒸着法を用いるとすると、蒸着はより後の工程である方が好ましい場合がある。よってこの例の場合は、第1電極32が陽極であり、第2電極34が陰極であることが好ましい。また、この例の場合は、アルミニウム電極は、厚みの設定によっては透明または半透明にするのが困難な場合がある。よって、基板20側から採光し得るようにするため、基板20および第1電極32が透明または半透明に形成されることが好ましい。
図2の例では、活性層40は、第1活性層42および第2活性層44の2つの層で構成されており、pnヘテロ接合型の活性層である。第1活性層42および第2活性層44のうちの一方の層が電子受容性層であり、他方の層が電子供与性層である。
図3の例では、第1中間層52と第2中間層54が設けられている。第1中間層52は活性層40と第1電極32との間に、第2中間層54は活性層40と第2電極34との間に、それぞれ位置する。第1中間層52と第2中間層54は、いずれか一方のみを設けるものであってもよい。また、図3では各中間層を単層として描いているが、各中間層は複数の層により構成してもよい。
中間層はさまざまな機能を有していてもよい。第1電極32が陽極である場合を想定すると、第1中間層52は、例えば、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔注入層およびその他の機能を有する層であり得る。この場合、第2電極34は陰極であり、第2中間層54は、例えば電子輸送層、電子ブロック層およびその他の機能を有する層であり得る。反対に、第1電極32を陰極とし、第2電極34を陽極とした場合、これに応じて中間層もそれぞれ位置が入れ替わることになる。
本発明の製造方法は、上述の有機光電変換素子の製造方法であって、下記の工程(A)及び工程(B)を含む。
工程(A):有機化合物を含む液を孔径0.15μm以下のフィルターを用いてろ過し精製液を得る工程、及び
工程(B):前記精製液から活性層を成膜する工程
工程(A)においては、有機化合物を含む液を孔径0.15μm以下のフィルターを用いてろ過し精製液を得る。
工程(A)における有機化合物とは、有機光電変換素子において活性層を構成する有機化合物を意味する。有機化合物の例としては、前述したように、電子供与性化合物及び電子受容性化合物の組み合わせを挙げ得る。電子供与性化合物、電子受容性化合物は、特に限定されず、これらの化合物のエネルギー準位のエネルギーレベルから相対的に決定され得る。
電子供与性化合物としては、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体等が挙げられる。これらのうち、オリゴチオフェン及びその誘導体が好ましく、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)がより好ましい。
一方、電子供与性化合物としては、下記式(1)で示される構成単位を有する化合物も好ましい。
Figure 0005715796
式(1)で示される構成単位を有する化合物は、さらに、式(2)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 0005715796
式(2)中、Ar1及びAr2は、同一又は相異なり、3価の複素環基を表す。
1は、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO2−、−Si(R3)(R4)−、−N(R5)−、−B(R6)−、−P(R7)−又は−P(=O)(R8)−を表す。
3、R4、R5、R6、R7及びR8は、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、複素環オキシ基、複素環チオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。R50は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、複素環オキシ基、複素環チオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。
51は、炭素数6以上のアルキル基、炭素数6以上のアルキルオキシ基、炭素数6以上のアルキルチオ基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアリールオキシ基、炭素数6以上のアリールチオ基、炭素数7以上のアリールアルキル基、炭素数7以上のアリールアルキルオキシ基、炭素数7以上のアリールアルキルチオ基、炭素数6以上のアシル基又は炭素数6以上のアシルオキシ基を表す。
1とAr2は、Ar1に含まれる複素環の隣接位に結合し、C(R50)(R51)とAr1は、Ar2に含まれる複素環の隣接位に結合している。
このような、式(1)で示される構成単位を有する化合物としては、下記の式(3)で表される化合物と式(4)で表される化合物を重合して得られるポリマー(以下、高分子化合物Aという。)が例示される。
Figure 0005715796
Figure 0005715796
また、式(1)で示される構成単位を有する化合物としては、下記の式(5)で表されるポリマー(高分子化合物B)が例示される。
Figure 0005715796
電子供与性化合物としては、ポリスチレンの標準試料を用いて算出したポリスチレン換算の重量平均分子量において、3000〜10000000の高分子化合物が好ましく用いられる。重量平均分子量が3000より低いと、デバイス作製時の膜形成に欠陥が生じることがあり、10000000より大きいと溶媒への溶解性又は素子作製時の塗布性が低下することがある。電子供与性化合物の重量平均分子量としてさらに好ましくは8000〜5000000であり、特に好ましくは10000〜1000000である。
電子供与性化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
電子受容性化合物としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、C60等のフラーレン類及びその誘導体、バソクプロイン等のフェナントレン誘導体、酸化チタンなどの金属酸化物、カーボンナノチューブ等が挙げられる。電子受容性化合物としては、好ましくは、酸化チタン、カーボンナノチューブ、フラーレン、フラーレン誘導体であり、特に好ましくはフラーレン、フラーレン誘導体が挙げられる。
フラーレンの例としては、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、及びC84フラーレンなどが挙げられる。
フラーレン誘導体の例としては、C60フラーレン誘導体、C70フラーレンの誘導体、C76フラーレン誘導体、C78フラーレン誘導体、C84フラーレン誘導体が挙げられる。フラーレン誘導体の具体的構造としては、以下のようなものが挙げられる。
Figure 0005715796
また、フラーレン誘導体の例としては、[5,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル([5,6]−PCBM)、[6,6]−フェニル C61酪酸メチルエステル([6,6]−PCBM、C60PCBM、[6,6]−Phenyl C61 butyric acid methyl ester)、[6,6]−フェニル C71酪酸メチルエステル(C70PCBM、[6,6]−Phenyl C71 butyric acid methyl ester)、[6,6]−フェニル C85酪酸メチルエステル(C84PCBM、[6,6]−Phenyl C85 butyric acid methyl ester)、[6,6]−チェニル C61酪酸メチルエステル([6,6]−Thienyl C61 butyric acid methyl ester)などが挙げられる。
電子受容性化合物としては、前記の具体例のうち、フラーレン、フラーレン誘導体が好ましく、[5,6]−PCBM、[6,6]−PCBMがより好ましい。電子受容性化合物としてフラーレン誘導体を用いる場合、フラーレン誘導体の割合が、電子供与性化合物100重量部に対して、10〜1000重量部であることが好ましく、20〜500重量部であることがより好ましい。
電子受容性化合物は、1種類の化合物に限らず、2種類以上の化合物を組み合わせて用い得る。
工程(A)において、有機化合物を含む液は、有機化合物を溶媒に溶解して調製され得る。溶媒は、電子供与性化合物及び電子受容性化合物の種類等により適宜選択され、水及び有機溶媒が例示される。有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン等の不飽和炭化水素溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類溶媒等が挙げられる。これらのうち、ハロゲン化不飽和炭化水素溶媒が好ましく、ジクロロベンゼンがより好ましく、オルトジクロロベンゼンがさらにより好ましい。
溶媒への、有機化合物の添加量は、特に限定されず適宜最適な範囲を選択することができ、通常は0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上となる量である。
有機化合物を含む液が電子供与性化合物と電子受容性化合物とを両方含む液として調製される場合には、電子供与性化合物と電子受容性化合物との合計量が、液中、通常0.2重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上となるように添加される。また、電子供与性化合物と電子受容性化合物の配合比は、通常は1〜20:20〜1、好ましくは1〜10:10〜1、さらに好ましくは1〜5:5〜1に調整され得る。電子供与性化合物を含む液と電子受容性化合物を含む液とが個々に調製される場合には、電子供与性化合物又は電子受容性化合物が、液中、通常0.4重量%以上、好ましくは0.6重量%以上、より好ましくは2重量%以上となるように添加される。
工程(A)において、有機化合物を含む液のろ過に用いられるフィルターは、孔径が0.15μm以下であり、0.12μm以下であることが好ましく、0.11μm以下であることがより好ましく、0.10μm以下であることがさらにより好ましい。孔径が0.15μm以下であることにより、液に含まれる、不溶成分及びダストを十分回収でき、光電変換効率に優れた有機光電変換素子が得られる。フィルターの孔径の下限は、特には限定されず、目詰まりの起こらない範囲で適宜設定し得る。
フィルターの材料は、孔径が0.15μm以下のフィルターを構成し得るものであれば特に制限なく、例えば、ろ紙;フッ素樹脂(例えばPTFE(四フッ化エチレン樹脂)、パーフルオロ樹脂など)、セルロースエステル及びナイロンが挙げられる。フィルターのタイプに特に制限はなく、例えば、シリンジフィルター、フィルターディスク、メンブレン等のいずれを用いてもよい。
工程(A)においては、有機化合物を含む液がろ過され、不溶成分、ダスト等の未溶解成分が充分に除去された精製液を得る。なお、本発明の製造方法で有機化合物が2種類以上用いられる場合には、工程(A)においてこれらの2種類以上の有機化合物を含む液がろ過され、精製液が調製されてもよいし、各有機化合物を含む液がそれぞれろ過され、各化合物の精製液が調製されてもよい。例えば、活性層がバルクヘテロ接合型の有機光電変換素子を製造する場合は、工程(A)において、電子供与性化合物と電子受容性化合物とを両方含む液がろ過されて精製液が調製され、工程(B)に供され得る。一方、活性層がpnヘテロ接合型の有機光電変換素子を製造する場合には、工程(A)において、電子供与性化合物を含む液と電子受容性化合物を含む液がろ過されて、それぞれの精製液が調製され得る。
工程(B)においては、前記工程(A)において調製された精製液から、活性層を成膜する。
成膜は、工程(A)において調製された精製液を用いること以外の限定は特になく、如何なる方法で製造してもよい。例えば、工程(A)で調製された精製液を、電極または中間層上に塗工し、溶媒を揮発させればよい。塗工の方法としては、例えば、塗布法が挙げられる。
塗布法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等が例示される。このうち、スピンコート法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましく、スピンコート法がより好ましい。
活性層がバルクヘテロ接合型の有機光電変換素子を製造する場合は、例えば、工程(A)において、電子供与性化合物と電子受容性化合物の両方を含む精製液を調製し、該精製液を電極または中間層上に塗工し、溶媒を揮発させることにより、活性層を形成し得る。
一方、活性層がpnヘテロ接合型の有機光電変換素子を製造する場合には、例えば、工程(A)において、電子供与性化合物を含む精製液と電子受容性化合物を含む精製液とを調製し、電子供与性化合物を含む精製液を電極または中間層上に塗工し、溶媒を揮発させて電子供与性層を形成する。続いて、電子受容性化合物を含む精製液を電子供与性層上に塗工し、溶媒を揮発させて電子受容性層を形成する。このようにして2層構成の活性層を形成し得る。電子供与性層および電子受容性層の形成順序は上記の逆でもよい。
活性層の厚さは、通常、1nm〜100μmであり、好ましくは2nm〜1000nmであり、より好ましくは5nm〜500nmであり、さらにより好ましくは20nm〜200nmである。
工程(A)及び工程(B)を経て得られる活性層には、粒子径が0.15μmを超える金属微粒子、及び金属酸化物微粒子は、実質的に含まれない。粒子径が0.15μmを超える金属微粒子や金属酸化物微粒子としては、例えば、Fe、Al、Pd、Ga、Li、Na、K、Rb、Csなどの金属微粒子;アルミナ、シリカゲルなどの金属酸化物微粒子等が挙げられる。実質的に含まれない、とは、活性層における含有量が、好ましくは100重量ppm以下、より好ましくは30重量ppm以下であることを意味する。
本発明の製造方法においては、工程(A)及び工程(B)を含むものであればよく、有機光電変換素子を製造するための他の工程を適宜含み得る。例えば活性層以外の層(電極、中間層などの層)の形成工程に特に制限はない。例えば、工程(A)に先立ち、基板上に電極を形成し、また、工程(B)の後に、活性層上に電極を形成することにより、図1または図2に例示する有機光電変換素子を製造することが挙げられる。また、工程(A)に先立ち、基板上に電極を形成し、電極の上に中間層を形成してから、工程(A)及び工程(B)を行い、その後、活性層上に中間層を形成し、さらに中間層上に電極を形成することにより、図3に例示する有機光電変換素子を形成しうる。電極の形成においては、電極の材料の種類や厚みなどの条件を勘案し、適宜、様々な薄膜形成方法を選択し得る。中間層の形成においても、中間層の材料の種類や厚みなどの条件を勘案し、適宜、様々な薄膜形成方法を選択し得る。電極及び/又は中間層の形成を、液による成膜によって行う場合は、上記の工程(B)で例示した塗布法などを適宜採用し得るほか、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD)などを採用してもよい。また、基板上に電極を形成した後は、直接その上に活性層を形成してもよいし、任意に、加熱、紫外線オゾン(UV−O3)処理、大気曝露等の他の工程に供した後、活性層を形成してもよい。
基板は、電極を形成する際、及び、有機物の層を形成する際に、化学的に変化しないものであればよい。基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン等が挙げられる。不透明な基板の場合には、反対の電極(即ち、一対の電極のうち基板から遠い方の電極)が透明又は半透明であることが好ましい。
透明又は半透明の電極を構成する電極材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が例示される。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらのうち2以上の複合体(例:インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド(IZO))、NESA等の導電性材料を用いて作製された膜;金、白金、銀、銅等の金属薄膜が例示され、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズ等の導電性材料を用いて作製された膜が好ましい。電極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が例示される。また、電極材料として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。
透明又は半透明の電極と対をなす電極は、透明又は半透明であってもよいが、透明でも半透明でもなくてもよい。該電極を構成する電極材料としては、金属、導電性高分子等が例示される。該電極材料の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属;前記金属のうち2つ以上の合金;1種以上の前記金属と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン及び錫からなる群から選ばれる1種以上の金属との合金;グラファイト、グラファイト層間化合物;ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体が挙げられる。合金としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
中間層の材料としては、フッ化リチウム(LiF)等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化物等が例示される。また、酸化チタン等無機半導体の微粒子、PEDOT(ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン)なども例示される。このうち、陽極側の中間層はPEDOT、陰極側の中間層はアルカリ金属(より好ましくはLiF)であることが好ましい。
有機光電変換素子の動作機構の概要を以下説明する。透明又は半透明の電極から入射した光エネルギーがフラーレン誘導体等の電子受容性化合物(n型の有機半導体)及び/又は共役高分子化合物等の電子供与性化合物(p型の有機半導体)で吸収され、電子とホールが結合した励起子を生成する。生成した励起子が移動して、電子受容性化合物と電子供与性化合物が隣接しているヘテロ接合界面に達すると、界面でのそれぞれのHOMOエネルギー及びLUMOエネルギーの違いにより電子とホールが分離し、独立に動くことができる電荷(電子とホール)が発生する。発生した電荷は、それぞれ電極へ移動することにより外部へ電気エネルギー(電流)として取り出すことができる。
本発明の有機光電変換素子は、透明又は半透明の電極から太陽光等の光を照射することにより、電極間に光起電力が発生するので、有機薄膜太陽電池として動作させてもよい。また、有機薄膜太陽電池を複数集積することにより有機薄膜太陽電池モジュールとして用いてもよい。
さらに、電極間に電圧を印加した状態、あるいは無印加の状態で、透明又は半透明の電極から光を照射することにより、光電流が流れるので、有機光センサーとして動作させてもよい。そして、有機光センサーを複数集積することにより有機イメージセンサーとして用いてもよい。
有機薄膜太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、セルの上を充填樹脂、保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料からなる透明の支持基板を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型モジュール構造等が知られている。本発明の有機薄膜太陽電池のモジュール構造も、使用目的、使用場所又は環境に応じて、適宜これらのモジュール構造から選択され得る。
スーパーストレートタイプあるいはサブストレートタイプと呼ばれる代表的なモジュール構造は、片側または両側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定間隔にセルが配置され、隣り合うセル同士が金属リードまたはフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に集電電極が配置されており、発生した電力を外部に取り出される構造である。基板とセルの間には、セルの保護又は集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフィルムまたは充填樹脂の形で用いてもよい。また、外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必要のない場所において使用する場合には、表面保護層を透明プラスチックフィルムで構成することにより、または上記充填樹脂を硬化させて保護機能を付与することにより、片側の支持基板をなくすことが可能である。内部の密封およびモジュールの剛性を確保するため、通常、支持基板の周囲は金属製のフレームでサンドイッチ状に固定する。また同様の理由から、通常、支持基板とフレームの間は封止材料で密封シールされる。また、セルそのものの材料、支持基板の材料、充填材料及び封止材料の素材として可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成することもできる。
ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出しながら順次セルを形成し、所望のサイズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のある素材でシールすることにより電池本体を作製できる。また、フレキシブル支持体を用いた太陽電池は、Solar Energy Materials and Solar Cells,48,p383−391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造を取ることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太陽電池は曲面ガラス等に接着固定して使用することもできる。
有機化合物を含む液の成膜時に不溶成分、ダスト等の未溶解成分が、液中に存在していると、塗布膜上にクラックが発生するおそれがある。また、不溶成分、ダスト等の未溶解成分が核となり、凝集粒が発生するおそれがある。クラックの発生及び凝集粒の発生は、接合界面での電気的又は化学的接触の不良、リーク電流の発生等の現象を招来する。本発明によれば、これらの現象の発生を低減させることができるので、光電変換効率が向上する。
実施例1(有機光電変換素子の作製)
スパッタリング法にて成膜された約150nmの膜厚のITOがパターニングされたガラス基板を有機溶媒、アルカリ洗剤、超純水で洗浄し、乾かした。この基板に、紫外線オゾン(UV−O3)装置にてUV−O3処理を行った。
ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸を水に溶解させた水溶液(HCスタルクビーテック社製、Bytron P TP AI 4083)の懸濁液を孔径0.5ミクロンのフィルターでろ過した。ろ過後の懸濁液を、基板のITO面側に、スピンコートにより70nmの厚みで成膜して、大気中においてホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。
次に、高分子化合物Aと[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル([6,6]−PCBM)の重量比1:3のオルトジクロロベンゼン溶液を作製した。高分子化合物Aの添加量は、オルトジクロロベンゼンに対して1重量%とした。高分子化合物Aは、ポリスチレン換算の重量平均分子量が17000であり、ポリスチレン換算の数平均分子量が5000であった。高分子化合物Aの光吸収端波長は925nmであった。
その後孔径0.1μmのフィルターで上記溶液のろ過を行った。得られた抽出物をスピンコートした後、N2雰囲気中で乾燥を行った。
このようにして形成された活性層の上部に、抵抗加熱蒸着装置内にて、LiFを約2.3nm、続いてAlを約70nmの膜厚で成膜し、電極を形成した。さらに封止材としてエポキシ樹脂(急速硬化型アラルダイト)にて封止用のガラス板を接着することで封止処理を施し、有機薄膜太陽電池を得た。
実施例2(有機光電変換素子の作製)
スパッタリング法にて成膜された約150nmの膜厚のITOがパターニングされたガラス基板を有機溶媒、アルカリ洗剤、超純水で洗浄し、乾かした。この基板に、UV−O3装置にてUV−O3処理を行った。
ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸を水に溶解させた水溶液(HCスタルクビーテック社製、Bytron P TP AI 4083)の懸濁液を孔径0.5ミクロンのフィルターでろ過した。ろ過後の懸濁液を、基板のITO面側に、スピンコートにより70nmの厚みで成膜して、大気中においてホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。
次に、電子供与性高分子材料としての高分子化合物Bと[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル([6,6]−PCBM)の重量比1:0.8のオルトジクロロベンゼン溶液を作製した。高分子化合物Bの添加量は、オルトジクロロベンゼンに対して1重量%とした。その後孔径0.1μmのフィルターでろ過を行った。得られた抽出物をスピンコートした後、N2雰囲気中で乾燥を行った。
最後に、このようにして形成された活性層の上部に、抵抗加熱蒸着装置内にて、LiFを約2.3nm、続いてAlを約70nmの膜厚で成膜し、電極を形成した。さらに封止材としてエポキシ樹脂(急速硬化型アラルダイト)にて封止用のガラス板を接着することで封止処理を施し、有機薄膜太陽電池を得た。
比較例1(有機光電変換素子の作製)
スパッタリング法にて成膜された約150nmの膜厚のITOがパターニングされたガラス基板を有機溶媒、アルカリ洗剤、超純水で洗浄し、乾かした基板に、UV−O3装置にてUV−O3処理を行った。
ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸を水に溶解させた水溶液(HCスタルクビーテック社製、Bytron P TP AI 4083)の懸濁液を孔径0.5ミクロンのフィルターでろ過した。ろ過後の懸濁液を、基板のITO面側に、スピンコートにより70nmの厚みで成膜して、大気中においてホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。
次に、高分子化合物Aと、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル([6,6]−PCBM)の重量比1:3のオルトジクロロベンゼン溶液を作製した。高分子化合物Aの添加量はオルトジクロロベンゼンに対して1重量%とした。その後孔径0.2μmのフィルターでろ過を行った。得られた抽出物をスピンコートした後、N2雰囲気中で乾燥を行った。
更に、この活性層の上部に抵抗加熱蒸着装置内にて、LiFを約2.3nm、続いてAlを約70nmの膜厚で成膜し、さらに封止材としてエポキシ樹脂(急速硬化型アラルダイト)にて封止用のガラス板を接着することで封止処理を施し、有機薄膜太陽電池を得た。
比較例2(有機光電変換素子の作製)
スパッタリング法にて成膜された約150nmの膜厚のITOがパターニングされたガラス基板を有機溶媒、アルカリ洗剤、超純水で洗浄し、乾かした。この基板に、UV−O3装置にてUV−O3処理を行った。
ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸を水に溶解させた水溶液(HCスタルクビーテック社製、Bytron P TP AI 4083)の懸濁液を孔径0.5ミクロンのフィルターでろ過した。ろ過後の懸濁液を、基板のITO面側に、スピンコートにより70nmの厚みで成膜して、大気中においてホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。
次に、高分子化合物Aと[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル([6,6]−PCBM)の重量比1:3のオルトジクロロベンゼン溶液を作製した。高分子化合物Aの添加量は、オルトジクロロベンゼンに対して1重量%とした。その後孔径0.5μmのフィルターでろ過を行った。得られた抽出物をスピンコートした後、N2雰囲気中で乾燥を行った。
このようにして形成された活性層の上部に、抵抗加熱蒸着装置内にて、LiFを約2.3nm、続いてAlを約70nmの膜厚で成膜し、電極を形成した。さらに封止材としてエポキシ樹脂(急速硬化型アラルダイト)にて封止用のガラス板を接着することで封止処理を施し、有機薄膜太陽電池を得た。
比較例3(有機光電変換素子の作製)
スパッタリング法にて成膜された約150nmの膜厚のITOがパターニングされたガラス基板を有機溶媒、アルカリ洗剤、超純水で洗浄し、乾かした。この基板に、UV−O3装置にてUV−O3処理を行った。
ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸を水に溶解させた水溶液(HCスタルクビーテック社製、Bytron P TP AI 4083)の懸濁液を孔径0.5ミクロンのフィルターでろ過した。ろ過後の懸濁液を、基板のITO面側に、スピンコートにより70nmの厚みで成膜して、大気中においてホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。
次に、電子供与性高分子材料としての高分子化合物Bと[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル([6,6]−PCBM)の重量比1:0.8のオルトジクロロベンゼン溶液を作製した。高分子化合物Bの添加量は、オルトジクロロベンゼンに対して1重量%とした。その後孔径0.2μmのフィルターでろ過を行った。得られた抽出物をスピンコートした後、N2雰囲気中で乾燥を行った。
最後に、このようにして形成された活性層の上部に、抵抗加熱蒸着装置内にて、LiFを約2.3nm、続いてAlを約70nmの膜厚で成膜し、さらに封止材としてエポキシ樹脂(急速硬化型アラルダイト)にて封止用のガラス板を接着することで封止処理を施し、有機薄膜太陽電池を得た。
比較例4(有機光電変換素子の作製)
スパッタリング法にて成膜された約150nmの膜厚のITOがパターニングされたガラス基板を有機溶媒、アルカリ洗剤、超純水で洗浄し、乾かした基板に、UV−O3装置にてUV−O3処理を行った。
ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸を水に溶解させた水溶液(HCスタルクビーテック社製、Bytron P TP AI 4083)の懸濁液を孔径0.5ミクロンのフィルターでろ過した。ろ過後の懸濁液を、基板のITO面側に、スピンコートにより70nmの厚みで成膜して、大気中においてホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。
次に、電子供与性高分子材料としての高分子化合物Bと[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル([6,6]−PCBM)の重量比1:0.8のオルトジクロロベンゼン溶液を作製した。高分子化合物Bの添加量はオルトジクロロベンゼンに対して1重量%とした。その後孔径0.5μmのフィルターでろ過を行った。得られた抽出物をスピンコートした後、N2雰囲気中で乾燥を行った。
最後に、このようにして形成された活性層の上部に、抵抗加熱蒸着装置内にて、LiFを約2.3nm、続いてAlを約70nmの膜厚で成膜し、電極を形成した。さらに封止材としてエポキシ樹脂(急速硬化型アラルダイト)にて封止用のガラス板を接着することで封止処理を施し、有機薄膜太陽電池を得た。
(光電変換効率の評価)
実施例及び比較例において得られた有機光電変換素子である有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正四角形であった。これらの有機薄膜太陽電池に、ソーラシミュレーター(分光計器製、商品名:CEP−2000型、放射照度100mW/cm2)を用いて一定の光を照射し、開放端電圧を測定した。各有機薄膜太陽電池の開放端電圧を表1及び表2に示す。また、各有機薄膜太陽電池の暗電流−電圧特性を図4に示す。
実施例1において作製した有機光電変換素子は、比較例1と比較例2において作製した有機光電変換素子に比べて高い開放端電圧を示した。また、実施例1において作製した有機光電変換素子は、比較例1と比較例2において作製した有機光電変換素子と比較して、光電変換効率が低下する要因の1つである素子から漏れる電流(暗電流)の発生を抑制した。また実施例2において作製した有機光電変換素子は、比較例3と比較例4において作製した有機光電変換素子に比べて高い開放端電圧を示した。
Figure 0005715796
Figure 0005715796
本発明は、有機光電変換素子を提供することから、有用である。
10 有機光電変換素子
20 基板
32 第1電極
34 第2電極
40 活性層
42 第1活性層
44 第2活性層
52 第1中間層
54 第2中間層

Claims (2)

  1. 一対の電極と、前記一対の電極の間に位置し、有機化合物を含む活性層とを備える有機光電変換素子の製造方法であって、
    前記有機化合物は、電子供与性化合物とフラーレン誘導体を含む電子受容性化合物とを含み、
    工程(A):前記有機化合物を含む液を孔径0.15μm以下のフィルターを用いてろ過し精製液を得る工程、及び
    工程(B):前記精製液から前記活性層を成膜する工程
    を含む有機光電変換素子の製造方法。
  2. 前記有機化合物を含む液における溶媒は、不飽和炭化水素溶媒又はハロゲン化不飽和炭化水素溶媒である請求項1に記載の製造方法。
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