JP5704641B2 - 低温金型・低圧鋳造法 - Google Patents
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Description
しかしながら、上掲した特許文献1では、キャビティ内を減圧することについては言及されているものの、中子と溶湯が接した際に発生するガスをキャビティ内へ放散させないようにすることは不可能であり、またこの問題に対する技術的対処法については提示されていない。
しかしながら、このような鋳物を製造する工法は、現在までのところ開発されていない。
すなわち、溶湯と金型間の抜熱性を向上させて鋳造組織の微細化を図るには、
(1) 塗型を使用しない、
(2) 溶湯の流動性は粉体の離型剤を用いて確保する、
(3) 低温の金型を用いる
こと、また中子と溶湯との接触により発生したガスの溶湯中への放散を防止するには、
(4) 中子の中空部を巾木の開口部を通して金型外へ排気する
ことが有利である。
しかし、上記(1)〜(4)だけでは、メートルサイズの薄肉鋳物を製造しようとする場合に、溶湯の温度降下が大きいので、これを防止するには
(5) 湯口部についてはヒーターで加熱する
ことが有利である。
本発明は、上記(1)〜(5)の知見に基づいて開発されたものである。
1.内部にキャビティが形成された金型と、該金型の下方に設けられ、溶湯が満たされた溶解炉と、該溶解炉内の溶湯に下端部を浸漬して設けられ、上記溶解炉の炉内空間と上記キャビティとを連通させる導管とをそなえる鋳造装置を用いて行う金型低圧鋳造法において、
上記金型のキャビティ部の平均内面温度を250℃以下とし、かつ該金型の湯口部の内面温度を350℃以上とする一方、該金型のキャビティ部内面に、粉体離型剤を1m2当たり1〜10g塗布し、さらに該キャビティ内に設置した中空の中子の当該中空部を巾木の開口部を通して金型外へ排気しつつ、上記溶解炉の炉内空間を加圧することにより、該溶解炉内の溶湯を上記キャビティに充填することを特徴とする低温金型・低圧鋳造法。
また、溶湯を金型キャビティに充填させ静水圧がかかった時点で、流動中に比べて数倍以上に熱伝達係数が増大し、塗型を介さず金型へ抜熱することによって、従前の低圧鋳造に比べて格段に抜熱速度を向上させることができる。これにより、アルミニウム合金鋳物において2次デンドライトアームスペーシングが20μm 以下の微細組織を達成することができる。
さらに、従来の低圧鋳造法とは異なり、金型のキャビティ温度を250℃以下の低温とすることができるため、熱応力による変形が極めて小さくなる。メートルサイズの鋳物で、高圧ダイカスト並の薄肉を実現することは、従前の低圧鋳造法の金型温度では熱応力変形のために事実上、不可能であった。これに対し、本発明では、金型の温度を従前のように400℃もの高温に保つことなく、また断熱性の粉体離型剤で溶湯の流動性を確保できるので、金型の変形を従前より格段に小さくでき、これによりはじめて、メートルサイズの薄肉中空鋳物を鋳造が可能となる。
これに対し、本発明の鋳造法は、生産数が1万個以下であっても、十分に採算がとれる条件で、メートルサイズの薄肉中空鋳物を微細な組織で鋳造できる、という顕著な効果がある。
図1に、本発明の実施に用いて好適な低温金型・低圧鋳造装置を、側断面で示す。
図中、符号1は金型であり、この金型1は上型10と下型12からなっている。そして、従前の低圧鋳造装置と同様に保持した溶湯に空圧を付与できる気密構造になっている。
14は砂とバインダから形成された中空の中子であり、金型1の内部に設置されている。この中子14は、溶湯と接する面において開口部を持たない。なお、この中子14には、鋳物と中子の剥離を促進するために、必要に応じて中子の外表面に塗型を塗ることもできる。
この中子14の巾木15の一部には、開口部16が設けられており、この開口部16は、金型に彫り込まれた減圧ランナー18に接続されている。この減圧ランナー18は、金型1の外表面に通じており、排気管19を介して減圧タンク20に接続されている。減圧タンク20は排気装置22に接続されている。減圧タンク20と金型1を接続する排気管19にはバルブ24が設置されている。
本発明では、中空の中子の内部を減圧するための減圧機構と、金型キャビティ全体を減圧するための減圧機構を、独立して設けているので、これら2系統の減圧機構を操作することにより、中子の内部とキャビティの内部に対して、減圧開始タイミングおよび到達圧力が個別に独立して制御することができる。
しかも、溶湯がキャビティに充填された後、この加圧状態を所定時間保持することにより、熱伝達係数が数倍以上になることで、溶湯の充填性と凝固速度の向上の両立を図ることができる。
・金型キャビティ部の平均内面温度:120℃
・金型の湯口部の内面温度:400℃
・粉体離型剤:黒鉛、滑石、珪藻土、金属石けんからなる複合粉末(粒径:10μm、塗布量:5g/m2)
・溶湯と金型の間の熱伝達係数:2kW/(m2・℃)
・用いた合金 JIS AC4CH
・溶湯温度:720℃
かくして得られた車体フレームの各部位における2次デンドライトアームスペーシングについて調査したところ、金型近傍、中子近傍で大差なく、20μm 以下の微細組織が得られていることが確認された。
また、得られた車体フレームは、T6の実体品強度で280MPaから300MPa、破断伸びが8%から15%程度の機械的特性を有していた。さらに、総重量で従来と同等の部品に対して、20%以上の軽量化を達成することができた。
しかも、高圧ダイカストでは不可能であった鋳物の中空閉断面化が可能となり、部品剛性の向上を図ることができた。
さらには、溶接廃止による工数削減と寸法精度向上、溶接廃止によるデザイン自由度の向上、高圧ダイカスト廃止による金型費用削減を同時に実現することができた。
10 上型
12 下型
14 中子
15 巾木
16 巾木の開口部
18 減圧ランナー
19 排気管
20 減圧タンク
22 排気装置
24 バルブ
26 ストークス
28 湯口部
30 湯口ヒーター
32 断熱材
Claims (3)
- 内部にキャビティが形成された金型と、該金型の下方に設けられ、溶湯が満たされた溶解炉と、該溶解炉内の溶湯に下端部を浸漬させて設けられ、上記溶解炉の炉内空間と上記キャビティとを連通させる導管とをそなえる鋳造装置を用いて行う金型低圧鋳造法において、
上記金型のキャビティ部の平均内面温度を250℃以下とし、かつ該金型の湯口部の内面温度を350℃以上とする一方、該金型のキャビティ部内面に、粉体離型剤を1m2当たり1〜10g塗布し、さらに該キャビティ内に設置した中空の中子の当該中空部を巾木の開口部を通して金型外へ排気しつつ、上記溶解炉の炉内空間を加圧することにより、該溶解炉内の溶湯を上記キャビティに充填することを特徴とする低温金型・低圧鋳造法。 - 前記金型のキャビティに導入された溶湯と金型の間の熱伝達係数を3kW/(m2・℃)以下に制御することを特徴とする請求項1に記載の低温金型・低圧鋳造法。
- 前記鋳造装置が、金型内部に設置した中空の中子の内部を減圧するための機構と、金型キャビティ全体を減圧するための機構の2系統の減圧機構を有し、各々の減圧機構の減圧開始タイミングおよび到達圧力を個別に制御して鋳造を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の低温金型・低圧鋳造法。
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