JP2021098219A - 鋳造金型及びアルミ鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
アルミニウム製品として、車両部品の一つであるナックルが知られている。ナックルは、車軸部を中心として放射状に張り出し部が延びている複雑な形状の部品である。
特許文献1の技術を、図9(平面図)に基づいて説明する。
図9に示すように、鋳造金型100は、車軸部を形成する中央キャビティ101と、この中央キャビティ101から一方に延びる第1キャビティ102と、中央キャビティ101から他方に延びる第2キャビティ103とを有する。
溶湯は、湯口104→湯道105→第1キャビティ102→中央キャビティ101→第2キャビティ103のように流れる。
また、第2キャビティ103の末端まで溶湯が到達するように、溶湯温度を高める必要がある。溶湯温度が低すぎると、溶湯が凝固して末端まで流れなくなるからである。
しかし、溶湯温度が高いと、凝固時間が長くなり、生産性が低下する。
この要望に応えるべく、本発明者らは、湯口104を第1キャビティ102と第2キャビティ103の中間位置に移すことを検討した。湯口から第2キャビティ末端までの距離が約半分になるからである。この検討内容を、図10と図11に基づいて詳しく説明する。
湯口125から第2キャビティ123末端までの距離が短くなり、注湯時間が短縮でき、生産性が高まる。
生産性を高めことができても、鋳造欠陥が発生することは、容認されない。
この鋳造金型は、底面に設けられる湯口と、この湯口から立ち上がる主湯道と、この主湯道から分岐する第1湯道と、この第1湯道で溶湯が供給され前記第1張り出し部を形成する第1キャビティと、前記主湯道から分岐する第2湯道と、この第2湯道で溶湯が供給され前記第2張り出し部を形成する第2キャビティとを有し、
前記主湯道の出口に、この主湯道へ突出する円錐部が設けられ、前記主湯道を通る溶湯が前記円錐部の円錐面に沿いながら前記第1湯道と前記第2湯道に分流されるようにしたことを特徴とする。
前記鋳物は、ナックルであり、
前記中央部は、車軸穴を有する車軸部であり、
前記鋳造金型は、前記車軸穴を形成する柱部を更に備え、
前記円錐部は、前記柱部の先端に設けられていることを特徴とする。
前記溶湯は、電磁ポンプで汲み上げられて、前記湯口から前記主湯道に供給され、前記円錐部の円錐面に沿いながら前記第1湯道と前記第2湯道に分流され、前記第1湯道を通る溶湯が前記第1キャビティに注湯され、前記第2湯道を通る溶湯が前記第2キャビティに注湯されることを特徴とする。
また、第1キャビティと第2キャビティの間に湯口及び主湯道を設けたので、湯口から第2キャビティ末端までの距離が短くなった。
よって、本発明によれば、鋳造欠陥を伴わないで、湯口から第2キャビティ末端までの距離を短くすることができる鋳造金型が提供される。
ナックルであれば、車軸穴は必須である。車軸穴を形成する柱部に円錐部を設けたので、円錐部を容易に主湯道へ突出させることができ、鋳造金型の製造コストを抑えることができる。
しかし、本発明では、溶湯が円錐部の円錐面に沿いながら流れる。円錐面により流れ方向は穏やかに変化するため、流動性の高い溶湯を鋳造金型へ注湯することができる。
溶湯の流動性が高いと、溶湯がキャビティの末端まで良好に到達するため、溶湯温度や金型温度を下げることができる。溶湯温度や金型温度が下がると溶湯の凝固時間が短くなり、生産性がさらに高まる。
この例では、保持炉10に鋼製フレーム13を載せ、この鋼製フレーム13で電磁ポンプ20が支えられているが、保持炉10への電磁ポンプ20の取付け形態は任意である。
図2に示すように、電磁ポンプ20は、ベースフランジ21と、このベースフランジ21を貫通して上下に伸びている導湯管22と、この導湯管22に収納される鉄心部材23と、導湯管22の下部を囲う下部コイル24と、この下部コイル24を囲いつつベースフランジ21に吊るされる下部ケース25と、導湯管22の上部を囲う上部コイル26と、この上部コイル26を囲いつつベースフランジ21に載っている上部ケース27と、導湯管22から上へ伸びる吐出管28と、この吐出管28を囲う湯面計29と、を備えている。
次に、上部コイル26に通電し、下部コイル24を非通電にすると、溶湯が湯面計29まで引き上げられる。湯面計29のレベルが「待機レベル」になる。
上部コイル26の電流をさらに増すと、溶湯は湯面計29を超えて、吐出管28より上へ吐出される。すると、図1に示す導湯ブロック14を通って、鋳造金型50に注湯される。
よって、電磁ポンプ20は、保持炉10に貯留した溶湯12を汲み上げて、鋳造金型50へ供給する加圧注湯手段である。
この磁場31の変動(変位)に起因して、溶湯12の圧力(吐出圧力)が、細かい周期(100Hz)で、微小変動する。すなわち、細かな脈動が不可避的に発生する。
図4(a)に示すように、鋳物35は、中央部36と、この中央部36から張り出す第1張り出し部42と、中央部36から第1張り出し部42とは別方向へ第2張り出し部43とを有する。鋳物35の用途は、任意であるが、例えば、車両部品の一種であるナックル鋳物である。
このような形態のナックル鋳物40に好適な鋳造金型50を図5で説明する。
可動型52には、第1張り出し部(図4(b)、符号42)を形成する第1キャビティ53と、第2張り出し部(図4(b)、符号43)を形成する第2キャビティ54と、第3張り出し部(図4(b)、符号44)を形成する第3キャビティ55とが設けられている。
第1湯道61は第1キャビティ53に繋がり、第2湯道62は第2キャビティ54に繋がり、第3湯道63は第3キャビティ55に繋がっている。
そのため、湯口58から主湯道59へ流れる溶湯12は、円錐部57の頂点57aで分けられ、円錐面57bに沿って流れる。したがって、第1湯道61、第2湯道62及び第3湯道63を流れる溶湯12は、乱れることなく円滑に流れる。
そこで、従来の技術(重力金型鋳造法)と本発明(電磁ポンプを用いた鋳造法)とを比較しつつ、金型130又は鋳造金型50へ注湯する溶湯について説明する。
図6(a)に示すように、重力金型鋳造法では、金型130の高い位置に設けた湯口131から、注湯する。溶湯は下へ傾斜する湯道132を通って、キャビティ133を満たす。湯口131からキャビティ133の末端(終端)までの距離は長くなる。そのため、溶湯の温度は高めにする。
図6(c)に示すように、実施例では、電磁ポンプ20で金型50へ注湯する。
鋳造時間が、ほぼ半分になったので、生産性の向上が図れる。
図8に示すように、製品部46と非製品部47とを分離する。製品部46は、機械加工を施すことで、ナックルに仕上げる。非製品部47は、スクラップとされ、再溶解され、次の鋳造に供される。
重力金型鋳造法又は低圧金型鋳造法に比較して、電磁ポンプを用いた鋳造法の場合、溶湯127の流動性が高まる。流動性が高まると、流速が増加したのと同等の現象が起こる。すなわち、渦の発生や乱れは流速が大きいほど顕著になる。したがって、重力金型鋳造法又は低圧金型鋳造法に比較して、電磁ポンプを用いた鋳造法では溶湯流れの乱れ対策が強く求められる。
図5に示す溶湯12は、電磁ポンプ(図1、符号20)で汲み上げられて、湯口58から主湯道59に供給され、円錐部57の円錐面57bに沿いながら第1湯道61と第2湯道62に分流され、第1湯道61を通る溶湯が第1キャビティ53に注湯され、第2湯道62を通る溶湯が第2キャビティ54に注湯される。
また、主湯道59から円盤状に湯道が広がる場合であっても、円盤状の湯道は、断面視で第1湯道と第2湯道を含むため、本発明に含まれる。
よって、円錐部57は、狭義の正円錐に限定されない。
Claims (3)
- 中央部と、この中央部から張り出す第1張り出し部と、前記中央部から前記第1張り出し部とは別方向へ第2張り出し部とを有する鋳物を鋳造する鋳造金型であって、
この鋳造金型は、底面に設けられる湯口と、この湯口から立ち上がる主湯道と、この主湯道から分岐する第1湯道と、この第1湯道で溶湯が供給され前記第1張り出し部を形成する第1キャビティと、前記主湯道から分岐する第2湯道と、この第2湯道で溶湯が供給され前記第2張り出し部を形成する第2キャビティとを有し、
前記主湯道の出口に、この主湯道へ突出する円錐部が設けられ、前記主湯道を通る溶湯が前記円錐部の円錐面に沿いながら前記第1湯道と前記第2湯道に分流されるようにしたことを特徴とする鋳造金型。 - 請求項1記載の鋳造金型であって、
前記鋳物は、ナックルであり、
前記中央部は、車軸穴を有する車軸部であり、
前記鋳造金型は、前記車軸穴を形成する柱部を更に備え、
前記円錐部は、前記柱部の先端に設けられていることを特徴とする鋳造金型。 - 請求項1又は請求項2記載の鋳造金型へアルミニウムの溶湯を注湯するアルミ鋳造方法であって、
前記溶湯は、電磁ポンプで汲み上げられて、前記湯口から前記主湯道に供給され、前記円錐部の円錐面に沿いながら前記第1湯道と前記第2湯道に分流され、前記第1湯道を通る溶湯が前記第1キャビティに注湯され、前記第2湯道を通る溶湯が前記第2キャビティに注湯されることを特徴とするアルミ鋳造方法。
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