JP5703566B2 - 偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム - Google Patents
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Description
(1)150℃、30分間加熱したときの熱収縮率が長手方向および幅方向とも2.0%以下
(2)150℃、30分間加熱したときの長手方向の熱収縮率と幅方向の熱収縮率の差が1.0%以下
(3)マイクロ波透過型分子配向計で測定したMOR値が1.80〜2.10
(4)フィルム幅方向における配向角の変化量が500mm当り3.0°〜5.0°
第2の発明は、さらに下記要件(5)および(6)を満たす前記偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである。
(5)全光線透過率が85%以上
(6)フィルム表面の3次元中心面平均表面粗さSRaが0.020μm以上、0.035μm以下
第3の発明は、下記要件(7)および(8)を満たす偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法である。
(7)横延伸を120℃〜140℃の範囲で4.2〜4.8倍で行うこと
(8)熱固定を220〜230℃の温度で熱固定を行うこと
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径(最も離れた2点間の距離)を測定し、その平均値を平均粒径とする。
MOR値を上記範囲にするためには、縦方向および横方向の延伸倍率を制御することが好ましい。
これまで、光学的な軸精度を保持するために、比較的低温での熱固定処理が推奨されている。しかしながら、軸精度と熱寸法安定性の両立を図るためには、本願発明では熱固定処理工程の温度は220℃以上230℃以下が好ましい。熱固定処理の温度が220℃以上では、熱収縮率の絶対値が小さくなり好ましい。また、熱固定処理の温度が230℃以下であると、フィルムが不透明になり難く、また破断の頻度が少なくなり好ましい。
JIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」ヘーズ(曇価)に準拠して測定した。測定器には、日本電色工業社製NDH−300A型濁度計を用いた。
JIS C 2318−1997 5.3.4(寸法変化)に準拠して測定した。測定すべき方向に対し、フィルムを幅10mm、長さ250mmに切り取り、200mm間隔で印を付け、5gfの一定張力下で印の間隔(A)を測定する。次いで、フィルムを150℃の雰囲気中のオーブンに入れ、無荷重下で150±3℃で30分間加熱処理した後、5gfの一定張力下で印の間隔(B)を測定する。以下の式より熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)=(A−B)/A×100
フィルムの表面を触針式三次元表面粗さ計(株式会社小坂研究所社製、SE−3AK)を用いて、針の半径2μm、荷重30mg、針のスピード0.1mm/秒の条件下で、フィルムの長手方向にカットオフ値0.25mmで、測定長1mmにわたって測定し、2μmピッチで500点に分割し、各点の高さを三次元粗さ解析装置(株式会社小坂研究所社製、TDA−21)に取り込ませた。これと同様の操作をフィルムの幅方向について2μm間隔で連続的に150回、即ちフィルムの幅方向0.3mmにわたって行い、解析装置にデータを取り込ませた。次に、前記解析装置を用いて、三次元平均表面粗さSRaを求めた。SRaの単位はμmである。なお、測定は3回行い、それらの平均値を採用した。
MOR値の測定は、王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計を用いて行った。測定するポイントはフィルムの幅方向における中央部のポイント及びその中央部とフィルム両端部と結ぶ端部側の1/5のポイントの合計3ヶ所である。つまりフィルムの幅方向の直線における一方の端部からの10%、50%、90%の距離の3ヶ所のポイントにおいてMOR値が測定される。
フィルム幅において、端縁を0%とし、他の端縁を100%とする。該フィルム幅の10%に相当する領域から90%に相当する領域について、幅方向に100mmピッチで連続してn個の100mm四方の正方形のフィルムサンプルを切り出した。該正方形のフィルムサンプルは長手方向、又は幅方向のいずれかの軸を基準に直角に切り出した。各フィルムサンプルについて、王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計を用いて、フィルム長手方向に対する分子鎖主軸の配向角(θi)、及び下記式によって定義される機械軸方向(長手方向、または幅方向のいずれか)に対する光学主軸の傾斜角(ξi)を測定した。
|θ|≦45度のとき ξ=|θ|
|θ|>45度のとき ξ=|90度−|θ||
上記フィルムサンプルより測定した光学主軸の傾斜角のうち、最大値を光学主軸の最大傾斜角(ξmax)、最小値を最小傾斜角(ξmin)とした。
最大傾斜角を得た測定位置をLmax(mm)、最小傾斜角を得た測定位置をLmin(mm)とした場合に、500mmあたりの配向角の変化量は下記式で表すことができる。
(配向角の変化量)=(ξmax−ξmin)/(Lmax−Lmin)×500
得られたフィルムを幅10mmに裁断し、JIS−K−7127(2000)に準拠し、株式会社オリエンテック製「テンシロン万能試験機RTA−T−4M」を用い、初期長50mm、引張速度200mm/分として引張試験を行った。当該引張試験により得られた応力−歪み曲線の最初の直線部分を用い、直線上の2点間の応力の差を同じ2点間の歪みの差によって除すことにより、引張弾性率を得た。当該測定は、温度23±2℃、相対湿度50±15%RHに調整された標準環境下にて行い、縦方向及び横方向について測定した。縦方向もしくは横方向の引張弾性率について何れか小さい方の値が80%以上のものは耐破れ性を○とし、80%未満のものは耐破れ性を×とした。
得られたフィルムの片面に下記シリコーン塗布液を加工張力10kg/mを印可した状態でダイコート方式でシリコーンを塗布し、120℃のオーブンで乾燥させた。
(シリコーン塗布液)
硬化性シリコーン(KS847H、信越化学) 100質量部
硬化剤(CAT PL−50T、信越化学) 2質量部
希釈剤 メチルエチルケトン/キシレン/メチルイソブチルケトン 898質量部
得られたシリコ−ン塗布後のサンプルをロ−ルからカットして、平坦なテ−ブルの上に5mの長さを広げて、塗布面に蛍光灯の光を反射させて下記評価方法により熱しわの有無を確認する。
○:熱しわは全く見られず良好。
△:全面に熱しわは見られないが部分的に熱しわがみられる。
×:全面に熱しわが確認できる。
(8)で得られた離型フィルムを幅方向が偏光フィルムの配向軸と平行となるように、粘着剤を介して離型フィルムを偏光フィルムに密着させ偏光板とした。白色光源とカメラの間に、2枚の偏光板をクロスニコルに配置し、その間に離型フィルムを密着させた偏光板を配置した。光源として180Wのメタハラ伝送ライト、カメラとして55mmマクロレンズを備えた5000画素ラインカメラを用いた。サンプルを5m/minで移動させながら検査範囲(12×7cm)について異物検査を行った。カメラからの画像信号は画像処理装置で処理し、検出された50μm以上の欠点を測定した。同様のサンプルを検査範囲(12×7cm)についてクロスニコル下で同様に50μm以上の欠点を測定した。得られた結果から以下のようにして検査性を評価した。
○:コントラストが良好で目視結果と自動検査結果が同等(目視検査の欠点数の98%
以上を自動検出)、かつ、自動検査時の滑り性が良好
△:目視結果と自動検査結果がほぼ同等(目視検査の欠点数の98%未満を自動検出)
×:干渉斑の発生
ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)(PET樹脂(A))として、不活性粒子を含有していない、固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた。また、PET樹脂(B)として、平均粒径2.3μmの不定形塊状シリカ粒子を2000ppm含有した、固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた。
縦延伸倍率を2.6倍に変更する以外は実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは配向角変動を抑制し、MOR値が大きいことにより、更に優れた偏光板検査性を達成した。
縦延伸倍率を2.9倍に変更する以外は実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは配向角変動、MOR値が若干悪化したが、高精度の検査に好適に使用し得るフィルムであった。
表1に記載の条件変更以外は、実施例1と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。
表1に記載の条件変更以外は、実施例1と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、ヘイズが高く、検査時のコントラストがやや低下した。
表1に記載の条件変更以外は、実施例1と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、滑り性が不良で、製膜工程中で微小キズが発生した。
縦延伸倍率を3.4倍、横延伸倍率を4.3倍、熱固定温度を240℃に変更する以外は実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。
本比較例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、高温での熱寸法安定性に優れるが、配向角の変動が大きく、偏光板検査性に劣るものであった。
表1に記載の条件変更以外は、実施例1と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。
本比較例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、高温での熱寸法安定性に劣り、MOR値も小さく、大画面用途の偏光板製造工程において、高精度の検査に使用することができなかった。
表1に記載の条件変更以外は、実施例1と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、フィルムが一方向に裂けやすく、耐破れ性が低いものであった。
Claims (2)
- 二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであって、
前記二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、多層構成を有するフィルムであって、表面層のみ微粒子を含有し、
下記構成要件(1)〜(4)を満たす偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム。
(1)150℃、30分間加熱したときの熱収縮率が長手方向および幅方向とも2.0%以下
(2)150℃、30分間加熱したときの長手方向の熱収縮率と幅方向の熱収縮率の差が0.8%以下
(3)マイクロ波透過型分子配向計で測定したMOR値が1.80〜2.10
(4)フィルム幅方向における配向角の変化量が500mm当り3.0°〜5.0° - 前記二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであって、さらに下記要件(5)および(6)を満たす請求項1に記載の偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム。
(5)全光線透過率が85%以上
(6)フィルム表面の3次元中心面平均表面粗さSRaが0.020μm以上、0.035μm以下
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