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JP5774275B2 - カラーフィルタ用着色組成物およびカラーフィルタ - Google Patents

カラーフィルタ用着色組成物およびカラーフィルタ Download PDF

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JP5774275B2 JP2009243424A JP2009243424A JP5774275B2 JP 5774275 B2 JP5774275 B2 JP 5774275B2 JP 2009243424 A JP2009243424 A JP 2009243424A JP 2009243424 A JP2009243424 A JP 2009243424A JP 5774275 B2 JP5774275 B2 JP 5774275B2
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Description

本発明は、カラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用されるカラーフィルタ用着色組成物に関するものである。又、本発明は、カラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタに関するものである。
液晶表示装置は、2枚の偏光板に挟まれた液晶層が、1枚目の偏光板を通過した光の偏光度合いを制御して、2枚目の偏光板を通過する光量をコントロールすることにより表示を行う表示装置であり、ツイストネマチック(TN)型液晶を用いるタイプが主流となっている。液晶表示装置は、2枚の偏光板の間にカラーフィルタを設けることによりカラー表示が可能となり、近年、テレビやパソコンモニタなどに用いられるようになったことから、カラーフィルタに対して高輝度化、高コントラスト化の要求が高まっている。
カラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメントを平行又は交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを一定の配列で配置したものからなっている。フィルタセグメントは、数μm〜数100μmと微細であり、しかも色相毎に所定の配列で整然と配置されている。
従来、青色フィルタセグメントの形成に用いられる着色組成物には、一般に耐性および色調に優れたフタロシアニン顔料が用いられることが多い。このフタロシアニン顔料には、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、アルミニウム等の種々の中心金属を持つものが知られている。中でも銅フタロシアニンは、最も色調が鮮明であることから、広く用いられているが、銅フタロシアニン以外の、メタルフリーフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、コバルトフタロシアニン等の異種金属フタロシアニンも実用化されている。また、フタロシアニン顔料は、α型、β型、δ型、ε型等の異なる結晶型を持ち、それぞれが鮮明で着色力も高いという優れた性質を持っていることから、カラーフィルタ用顔料として優れている。従来のカラーフィルタにおいては、これらの銅フタロシアニン顔料をジオキサジン系顔料のC.I.ピグメント バイオレット(Pigment Violet)23等と組み合わせることで、冷陰極管タイプのバックライトを用いた液晶表示装置などの表示装置において、高い明度と広い色表示領域を達成することができていた。
一方、カラーフィルタの高輝度化、高コントラスト化要求に伴って、銅フタロシアニン顔料とジオキサジン顔料を組み合わせるだけでなく、トリアリールメタン系レーキ顔料やトリアリールメタン系染料、その芳香族スルホン酸との造塩物である染料を単独あるいは組み合わせて使用することが行われてきている。
染付けレーキ顔料をカラーフィルタに用いることの検討としては、青色フィルタセグメント(画素)、に用いる顔料としてトリアリールメタンレーキ顔料を用いることが提案されている。(特許文献1参照)。
またトリアリールメタン系色素、特にトリアリールメタン系染料及びその芳香族スルホン酸との造塩物である染料をカラーフィルタの青色画素として用いることも提案されている。(特許文献2参照)
さらにトリアリールメタン系染料とフタロシアニン系染料とを併用してカラーフィルタの青色画素として用いることも提案されている。(特許文献3参照)
しかし一般的に、カラー液晶表示装置では、カラーフィルタの上に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、更にその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。これらの透明電極及び配向膜の性能を充分に得るには、その形成を一般に200℃以上、好ましくは230℃以上の高温で行う必要がある。
トリアリールメタン系レーキ顔料やトリアリールメタン系染料、その芳香族スルホン酸との造塩物である染料を単独あるいは組み合わせて使用した場合には、透明電極及び配向膜形成時の230℃以上の加熱工程において、分光スペクトルの透過率が低くなることで明度が下がり、色差ΔEab*が大きくなるなどの不具合が起きてしまう。明度が下がると、カラーフィルタの輝度が低下してしまうと共に、カラーフィルタのホワイトバランスが透明電極及び配向膜形成前と比べて大きくずれてしまい、工程上問題も大きい。
一方、各色フィルタセグメントの形成に用いられる着色感光性樹脂組成物については、パターン寸法安定性、現像マージン、パターン密着性を改善するために、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加することが知られている(特許文献4参照)。
しかしながら、上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いた場合にも、透明電極及び配向膜形成時の230℃以上の加熱工程において、分光スペクトルの透過率が低くなることで明度が下がり、色差ΔEab*が大きくなるなどの不具合が起きる。
このように、カラーフィルタの高輝度化、高コントラスト化要求に伴って、染料レーキ顔料や染料を使用することによる耐熱性の低下が生じており、カラーフィルタの形成工程での明度低下及び、色差ΔEab*を抑えること(ポストベイクや透明電極及び配向膜の形成工程で高温にさらされても明度が低下しないこと、及び色差ΔEab*が小さいこと)、およびフィルタセグメントのパターン形状にも優れたカラーフィルタを得ることが難しくなってきている。
特開2001−81348号公報 特開2008−304766号公報 特開2002−14222号公報 特開2002−22925公報
本発明の目的は、高輝度であって、カラーフィルタの形成工程においても明度の低下、及び色差ΔEab*が小さい高耐熱性のカラーフィルタ、かつフィルタセグメントのパターン形状についても良好なカラーフィルタ用着色組成物を提供すること、及びこれを用いた高輝度のカラーフィルタを提供することである。
前記課題は、色素と、色素担体と、光重合開始剤と、リン系酸化防止剤とを含んでなるカラーフィルタ用着色組成物であって、該色素が、トリアリールメタン系色素を含有し、かつリン系酸化防止剤の重量(S)と光重合開始剤の重量(I)との重量比(S/I)が0.001〜1.2であることを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物により解決される。
又、本発明によるカラーフィルタ用着色組成物の好ましい態様では、リン系酸化防止剤が、トリス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2−[(4,6,9,11−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−2−イル)オキシ]エチル]アミン、および亜りん酸エチルビス(2,4−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
更に、本発明は、透明基板上に、前記カラーフィルタ用着色組成物から形成されるフィルタセグメントを備えることを特徴とするカラーフィルタにも関する。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、トリアリールメタン系色素を含有した色素と、色素担体と、光重合開始剤と、リン系酸化防止剤とを含んでなるカラーフィルタ用着色組成物であって、トリアリールメタン系色素により高明度であるだけでなく、前記リン系酸化防止剤を含有することにより、透明電極及び配向膜形成時の230℃以上の加熱工程において、明度の低下が小さく、及び色差ΔEab*が小さい。又、明度が低下しないため、カラーフィルタのホワイトバランスが透明電極及び配向膜形成前と比べて変化が小さい。更に、これを用いることにより高輝度のカラーフィルタを形成できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、トリアリールメタン系色素を含有する色素と、色素担体と、光重合開始剤と、リン系酸化防止剤とを含んでなるカラーフィルタ用着色組成物からなる。
また、「C.I.」は、カラーインデクッス(C.I.)を意味する。
[カラーフィルタ用着色組成物]
<色素>
(トリアリールメタン系色素)
本発明における色素は、トリアリールメタン系色素を含むことを特徴とする。
本発明において好ましく用いることのできるトリアリールメタン系色素は、青色、バイオレット色、緑色を呈するものであり、顔料の形態及び/または染料の形態を有するものである。
青色、バイオレット色を呈するとは、C.I. ピグメント ブルー、C.I.ピグメント バイオレット等の顔料、C.I.ベーシック ブルー、C.I.ベーシック バイオレット等の塩基性染料、C.I.ソルベント ブルー、C.I.ソルベント バイオレット等の油溶性染料、C.I.アシッド ブルー、C.I.アシッド バイオレット等の酸性染料、C.I.ディスパース ブルー、C.I.ディスパース バイオレット等の分散性染料等、C.I.フード ブルー、C.I.フード バイオレット等の食用色素等に属するものである。
さらにこれらの酸性染料(直接染料も含む)、塩基性染料をカウンタイオンとしてはたらく化合物で造塩、変性した造塩染料に属するものである。
トリアリールメタン系色素としては、以下の6つの形態の染料及び顔料を用いることができる。ここで有機酸の好ましい形態は無色、白色の有機酸である。ここで無色とはいわゆる透明な状態を意味し、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において、透過率が80%以上、好ましくは95%以上となっている状態と定義されるものである。すなわち染料成分の発色を阻害しない、色変化を起こさないものである必要がある。
イ)トリアリールメタン系染料の塩基性染料(トリアリールメタン系塩基性染料)
ロ)トリアリールメタン系塩基性染料と有機酸との造塩化合物
ハ)トリアリールメタン系染料の酸性染料(トリアリールメタン系酸性染料)
ニ)トリアリールメタン系酸性染料と第四級アンモニウム化合物との造塩化合物
ホ)トリアリールメタン系染料のレーキ顔料(特にトリアリールメタン系塩基性染料のレーキ顔料)
へ)その他のトリアリールメタン系染料(油溶性染料、分散性染料、食用色素など)
これらの形態としては、中でもイ)トリアリールメタン系染料の塩基性染料、ロ)トリアリールメタン系塩基性染料と有機酸との造塩化合物を用いることが好ましい。
トリアリールメタン系染料は、400〜430nmにおいて高い透過率を持つ分光特性を有している。しかし良好な分光特性を持つにもかかわらず、一般的な染料と同様に耐光性、耐熱性が極めて乏しく、高い信頼性が要求されるカラーフィルタを使用する画像表示装置に用いるには、その特性は十分なものではない。そのため、これらの染料における欠点を改善するために、染料をベース化、造塩化、油溶性化、樹脂により変性することが好ましい。あるいは染料をレーキ化して顔料とすることが好ましい。
トリアリールメタン系染料の塩基性染料について説明する。トリアリールメタン系塩基性染料としては、C.I. ベーシック ブルー 1、5、7、26、C.I. ベーシック バイオレット 1、3等があげられる。中でもC.I. ベーシック ブルー 7を用いることが好ましい。
次いで、トリアリールメタン系塩基性染料と有機酸との造塩化合物について説明する。ここで有機酸は、酸基を有するものであれば、塩基性染料のカウンターになり得るが、中でも有機スルホン酸、有機カルボン酸(芳香族カルボン酸、高級脂肪酸)等を用いることが好ましい。
トリアリールメタン系塩基性染料と有機スルホン酸は水溶液、アルコール溶液中等に両者を溶解させることで、反応し造塩化合物を得ることができる。
有機スルホン酸としては、ナフタレン類のスルホン化物、ナフトール類のスルホン化物などを用いることができる。
ナフタレン類のスルホン化物はナフタレンの炭素原子にスルホン酸基が結合した化合物の総称であり、ナフトール類のスルホン化物はナフトールの炭素原子にスルホン酸基が結合した化合物の総称である。
ナフタレン類のスルホン化物にはスルホン酸基が1個結合したナフタレンモノスルホン酸、2個結合したナフタレンジスルホン酸、3個結合したナフタレントリスルホン酸がある。具体的には、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,3−ナフタレンジスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、1,6−ナフタレンジスルホン酸、1,7−ナフタレンジスルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、2,7−ナフタレンジスルホン酸、1,3,5−ナフタレントリスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、1,3,7−ナフタレントリスルホン酸などである。
また、ナフタレン類のスルホン化物は、前記述べたナフタレンスルホン酸に加え、ナフチルアミンスルホン酸も含む。そして、スルホン酸基が1個結合したナフチルアミンモノスルホン酸、2個結合したナフチルアミンジスルホン酸、3個結合したナフチルアミントリスルホン酸がある。 具体的には、1,4−ナフチルアミンスルホン酸(ナフチオン酸)、1,5−ナフチルアミンスルホン酸(ローレンツ酸)、1,6−ナフチルアミンスルホン酸(6−クレーブ酸)、1,7−ナフチルアミンスルホン酸(7−クレーブ酸)、1,8−ナフチルアミンスルホン酸(ペリ酸)、2,1−ナフチルアミンスルホン酸(トビアス酸)、2,5−ナフチルアミンスルホン酸、2,6−ナフチルアミンスルホン酸(ブレンナー酸)、1,3,6−ナフチルアミンジスルホン酸(フロイント酸)、1,3,7−ナフチルアミンジスルホン酸、2,3,6−ナフチルアミンジスルホン酸(アミノR酸)、2,4,6−ナフチルアミンジスルホン酸(C酸)、2,5,7−ナフチルアミンジスルホン酸(アミノJ酸)、2,6,8−ナフチルアミンジスルホン酸(アミノG酸)、1,3,6,8−ナフチルアミントリスルホン酸(コッホ酸)などである。
ナフトール類のスルホン化物にもスルホン酸基が1個結合したナフトールモノスルホン酸、2個結合したナフトールジスルホン酸、3個結合したナフトールトリスルホン酸がある。具体的には、1−ナフトール−2−スルホン酸、1−ナフトール−4−スルホン酸(NW酸)、1−ナフトール−5−スルホン酸(L酸)、1−ナフトール−8−スルホン酸、2−ナフトール−1−スルホン酸、2−ナフトール−6−スルホン酸(シェーファー酸)、2−ナフトール−8−スルホン酸(クロセイン酸)、1−ナフトール−2,4−ジスルホン酸、1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、1−ナフトール−3,8−ジスルホン酸(ε酸)、2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸(R酸)、2−ナフトール−3,8−ジスルホン酸、2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸(G酸)、1−ナフトール−2,4,7−トリスルホン酸、1−ナフトール−3,6,8−トリスルホン酸(オキシコッホ酸)、2−ナフトール−3,6,8−トリスルホン酸などである。
この中でもスルホン酸基が2個結合したナフタレンジスルホン酸及びナフトールジスルホン酸が好ましい。中でも1,5−ナフタレンジスルホン酸、2,7−ナフタレンジスルホン酸、2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、2−ナフトール−3,8−ジスルホン酸が好ましい。
さらにはビクトリアピュアブルーBO(C.I.ベーシック ブルー 7)とナフタレ
ンジスルホン酸とからなる造塩化合物、ビクトリアピュアブルーBO(C.I.ベーシッ
ク ブルー 7)とナフトールジスルホン酸とからなる造塩化合物は好ましい染料である。
ナフタレン類のジスルホン化物、ナフトール類のジスルホン化物をトリアリールメタン系塩基性染料と反応せしめ、本発明の着色剤とする場合、トリアリールメタン系染料2モルに対し、1モルのジスルホン化物が反応し造塩する。これは電荷を中和し、かつ色素成分がカウンタイオン成分のモル比で2倍の量を有していることで、着色剤として染料の発色を損なわないものとなり好ましいものである。すなわち少なくとも2つのスルホン酸基を有する有機スルホン酸を用いることが好ましいものである。
またトリアリールメタン系塩基性染料と有機スルホン酸、(芳香族ヒドロキシカルボン酸)との造塩化合物は従来知られている方法により合成することができる。特開2003−215850号公報などに具体的な手法が開示されている。
一例をあげると、トリアリールメタン系塩基性染料を水に溶解した後、ナフタレン類のスルホン化物及び/またはナフトール類のスルホン化物を添加、攪拌しながら造塩化処理を行なえばよい。 ここでトリアリールメタン系塩基性染料中のアミノ基(−NHC25)の部分とナフタレン類のスルホン化物及び/またはナフトール類のスルホン化物のスルホン酸基(−SO3H)の部分が結合した造塩化合物が得られる。
ここでナフタレン類のスルホン化物及び/またはナフトール類のスルホン化物は造塩処理を行う前に、水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液に溶解させ、スルホン酸ナトリウムの形態(−SO3Na)として用いることもできる。また本発明においては、スルホン酸基(−SO3H)とスルホン酸ナトリウムである官能基(−SO3Na)も同義である。
また前記述べた有機スルホン酸と同様に有機カルボン酸を用いて造塩化合物を得ることができる。有機カルボン酸としては、具体的には、サリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸、アントラニル酸等の芳香族カルボン酸、高級脂肪酸等の脂肪族カルボン酸があげられる。中でもサリチル酸、ナフトエ酸の骨格を有する芳香族ヒドロキシカルボン酸を用いることが好ましいものである。
好ましい芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、中でも3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−フェニルサリチル酸を用いることが好ましい。芳香族ヒドロキシカルボン酸を用いる場合は、トリアリールメタン系染料中のアミノ基(−NHC25)の部分と芳香族ヒドロキシカルボン酸のカルボン酸(−COOH)の部分が結合した造塩化合物が得られる。また水酸基(−OH)は造塩の反応とは関係なく残存している。
さらにはビクトリアピュアブルーBO(C.I.ベーシック ブルー 7)と3,5−
ジ−tert−ブチルサリチル酸や3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸とからなる造塩化合物は好ましい材料である。
一方、本発明に用いることのできる脂肪酸は、炭素原子の総数が6〜26個の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸が好ましい。
飽和脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸等を用いることができる。
不飽和脂肪酸としては、例えば、デシレン酸、ドデシレン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リシノレイン酸、ペトロセリン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リカン酸、パリナリン酸、タリリン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、セトレイン酸、エルカ酸、セラコレイン酸等を用いることができる。
好ましくは炭素原子の総数が16〜22個の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸が好ましい。
これよりバインダー樹脂、溶剤中への分散性が良好であること、造塩化合物として耐熱性、耐光性に優れるものとしては特にステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸を用いることが好ましい。
一方、炭素原子の総数が5個よりも小さい吉草酸、プロピオン酸、酢酸等は有機溶剤に分散しにくく、また水に可溶であるため、温度、湿度の影響を受けやすくこれらの脂肪酸とトリアリールメタン系塩基性染料とからなる造塩化合物はカラーフィルタ用の色材として用いることは困難である。また炭素原子の総数が26個よりも多くなると、造塩化合物中の色素の部分の割合が少なくなり、一定の色を得る場合に多くの造塩化合物を添加する必要があることを考慮しなければならない。一方、脂肪酸の分子量が大きいものは、親油性が強く相溶性、濡れ性に優れバインダー樹脂、溶剤中への分散性が良好になる。
トリアリールメタン系染料の酸性染料としては、食用青色101号(C.I.アシッド ブルー 1)、アシッドピュアブルー(C.I.アシッド ブルー 3)、レーキブルーI(C.I.アシッド ブルー 5)、レーキブルーII(C.I.アシッド ブルー
7)食用青色1号(C.I.アシッド ブルー 9)、C.I.アシッド ブルー 22、C.I.アシッド ブルー 83、C.I.アシッド ブルー 90、C.I.アシッド ブルー 93、C.I.アシッド ブルー 100、C.I.アシッド ブルー 103、C.I.アシッド ブルー 104、C.I.アシッド ブルー 109を用いることが好ましい。
トリアリールメタン系酸性染料と第四級アンモニウム化合物との造塩化合物としては、従来知られている方法により合成することができる。
一例をあげると、トリアリールメタン系酸性染料を水に溶解した後、第四級アンモニウム化合物を添加、攪拌しながら造塩化処理を行なえばよい。ここでトリアリールメタン系酸性染料中のスルホン酸基(−SO3H)の部分と第四級アンモニウム化合物のアンモニウム基(NH4+)の部分が結合した造塩化合物が得られる。
第四級アンモニウム化合物としては、トリエチルベンジルクロライドなどを用いることが好ましい。
またトリアリールメタン系油溶性染料としては、C.I.ソルベント ブルー 124を用いることが好ましい。これは、C.I.ベーシック レッド 9をアニリンと縮合させ得られたものであり、市販されている製品としては、クラリアント社製 COPY BLUE PRがある。
本発明においてトリアリールメタンレーキ顔料は、耐熱性、耐候性に優れ、安定している点で好ましく用いることができる。顔料化においてなされるレーキ化とは、可溶性である染料から沈殿剤により不溶性塩として得ることであり、化学的に反応を有しながら、沈殿剤粒子に染料成分が吸着している状態である。
本発明の着色組成物においては、トリアリールメタン系色素がトリアリールメタン系顔料である場合、キサンテン系色素の成分も同時に、沈殿剤粒子と混合されることで2つの色素が好ましく分散、配合されるものである。
またトリアリールメタン系色素とキサンテン系色素のどちらともレーキ顔料である場合は、レーキ剤を共有できるため極めて良好な混合、分散、配合がなされ良好な発色が得られる。
トリアリールメタン系染料をレーキ化するための沈澱剤としては、塩化バリウム、塩化カルシウム、硫酸アンモニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、酢酸鉛、タンニン酸、カタノール、タモール、コンプレックスアシッドと称されるコンプレックスヘテロポリ酸(フォスフォタングステン酸、フォスフォモリブデン酸、フォスフォタングステン・モリブデン酸、シリコタングステンモリブデン酸、シリコタングステン酸、シリコモリブデン酸)等が挙げられる。中でもコンプレックスヘテロポリ酸を用いたレーキ顔料は、鮮明で着色力が大きく、耐光性が著しく向上したもので、好ましいものである。
本発明におけるトリアリールメタン系レーキ顔料としては具体的に、C.I. ピグメント ブルー 1、C.I. ピグメント ブルー 2、C.I. ピグメント ブルー 9、C.I. ピグメント ブルー 10、C.I. ピグメント ブルー 14、C.I. ピグメント ブルー 62、C.I.ピグメント バイオレット 3、C.I.ピグメント バイオレット 27、C.I.ピグメント バイオレット 39等を上記沈殿剤によりレーキしたものが挙げられる。更に好ましくは、フォスフォタングステン・モリブデン酸によりレーキしたレーキ顔料であり、中でもC.I. ピグメント ブルー 1をフォスフォタングステン・モリブデン酸によりレーキしたレーキ顔料用いることが特に好ましい。
(その他の色素)
本発明の感光性着色組成物は、さらに耐熱性を向上させるために本発明の効果を損なわない範囲で顔料を含有していてもよい。本発明においてトリアリールメタン系色素と併用可能な顔料としては、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、及び80等の青色、シアン色顔料を用いることができる。また、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、及び50等の紫色顔料を併用することができる。
又、無機顔料としては、金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属硫酸塩、及び金属粉等が挙げられ、具体的には、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、酸化チタン、及び四酸化鉄等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組み合わせて用いられる。
本発明の感光性着色組成物には、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内でその他の染料を含有させることもできる。
色素の含有量は、カラーフィルタ用着色組成物の固形分の全重量を基準(100重量%)として5〜70重量%、より好ましくは、20〜50重量%である。
<リン系酸化防止剤>
リン系酸化防止剤としては、市販されているものを使用できるが、トリス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2−[(4,6,9,11−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−2−イル)オキシ]エチル]アミン、亜りん酸エチルビス(2,4−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)が挙げられ、これらからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、これらは1種又は2種以上を使用することができる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤やスルフィド系の酸化防止剤では、カラーフィルタの形成工程で高温にさらされると、分光スペクトルの透過率が低くなることで明度が低下してしまい、色差ΔEab*が大きくなる。そのため、カラーフィルタの輝度が低下し、ホワイトバランスが崩れるため好ましくない。
<光重合開始剤>
光重合開始剤としては、
4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、及びベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;
ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、及び3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、及び2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、及び2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;
1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキ
シム)〕、及びO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、及び
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化
合物;
9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキ
ノン系化合物;
ボレート系化合物;
カルバゾール系化合物;
イミダゾール系化合物;並びに、
チタノセン系化合物等が用いられる。
これらの光重合開始剤は1種又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。これらの光重合開始剤は、カラーフィルタ用着色組成物中の色素の全重量を基準(100重量%)として、5〜200重量%、好ましくは10〜150重量%の量で用いることができる。
カラーフィルタ用着色組成物として、前記リン系酸化防止剤の重量(S)と光重合開始剤の重量(I)との重量比(S/I)は0.001〜1.2であることが好ましく、0.010〜1.1であることがより好ましく、0.080〜0.8であることが特に好ましい。S/Iが0.001未満では、カラーフィルタの形成工程で高温にさらされると、分光スペクトルの透過率が低くなることで明度が低下してしまう。S/Iが1.2を超えると、色素担体、光重合開始剤との配合比率のバランスが悪く、パターン形成が困難となる。
<増感剤>
更に、本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、増感剤を含有させることができる。増感剤は、着色組成物中の光重合開始剤の全重量を基準(100重量%)として、0.1〜60重量%の量で用いることができる。
増感剤としては、カルコン誘導体やジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、及びミヒラーケトン誘導体等が挙げられる。
更に具体例には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。又、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。増感剤は、必要に応じて任意の比率で二種以上用いてもかまわない。
<色素担体>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物に含有される色素担体としては、樹脂及びその前駆体から構成されることが好ましい。樹脂の透過率は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において80%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。透過率が80%より小さいと、コントラスト比及び明度が低下して高品位のカラーフィルタを作製することができない。樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び感光性樹脂が、その前駆体としては、放射線照射により硬化して樹脂を生成するモノマー及び/若しくはオリゴマーが挙げられる。これらを単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
色素担体は、着色組成物中の色素の全重量を基準(100重量%)として、30〜700重量%、好ましくは60〜450重量%の量で用いることができる。又、透明樹脂は、着色組成物中の色素の全重量を基準(100重量%)として、20〜400重量%、好ましくは50〜250重量%の量で用いることができる。又、透明樹脂の前駆体は、着色組成物中の色素の全重量を基準(100重量%)として、10〜300重量%、好ましくは10〜200重量%の量で用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。又、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びフェノール樹脂等が挙げられる。
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、及びアミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基、及びカルボキシル基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリレート化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。又、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
樹脂の前駆体であるモノマー及びオリゴマーとしては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、およびトリシクロデカニル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類;
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレート類;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、およびジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の三官能以上の多官能(メタ)アクリレート;
1, 6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、およびフェノールノボラック樹脂等のエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物であるエポキシ(メタ)アクリレート;
ポリエステル、ポリウレタン、イソシアヌレート、メチロール化メラミン等を変性した各種(メタ)アクリル酸エステル類;並びに
(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等の(メタ)アクリレート以外の単量体が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されない。
これらは、単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
<溶剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、色素を充分に色素担体中に分散させ、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布してフィルタセグメントやブラックマトリックスを形成することを容易にするために溶剤を含有させることができる。
溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、メチルプロピレングリコール、シクロヘキシルアセテート、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソペンチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独で若しくは混合して用いる。
<分散>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、色素又は2種以上の色素からなる色素組成物を、色素担体及び溶剤中に三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、及びアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。又、2種以上の色素を含む感光性着色組成物は、各色素を別々に色素担体及び溶剤中に微細に分散したものを混合して製造することもできる。色素を色素担体及び溶剤中に分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤、及び色素誘導体等の分散助剤を含有させることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を色素担体及び溶剤中に分散してなるカラーフィルタ用着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、色素担体の一部として、溶剤可溶性あるいはアルカリ可溶性バインダーを用いることによって、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材の形態で調製することができる。すなわち、着色レジスト材は、色素と、樹脂の前駆体であるモノマー及び/若しくはオリゴマーと、溶剤可溶性あるいはアルカリ可溶性バインダーと、光重合開始剤と、リン系酸化防止剤と、を含んでなる本発明のカラーフィルタ用着色組成物を、溶剤に分散させたものである。
分散助剤は、着色組成物中の色素の全重量を基準(100重量%)として、0.1〜40重量%、好ましくは0.1〜30重量%の量で用いることができる。
(樹脂型分散剤)
樹脂型顔料分散剤としては、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、色素担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の色素担体への分散を安定化する働きをするものである。
樹脂型顔料分散剤は、ポリビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ホルマリン縮合系、シリコーン系、及びこれらの複合系ポリマーが挙げられ、
顔料親和性部位としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、燐酸基、燐酸エステル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、アミノ基、四級アンモニウム塩基、及びアミド基等の極性基、並びに、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、及びこれらの複合系等の親水性ポリマー鎖等が挙げられ、
色素担体と相溶性のある部位としては、長鎖アルキル鎖、ポリビニル鎖、及びポリエステル鎖等が挙げられる。
樹脂型顔料分散剤として具体的には、
スチレン−無水マレイン酸共縮合物、オレフィン−無水マレイン酸共重合物、ポリ(メタ)アクリル酸塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、(メタ)アクリル酸−ポリビニル系マクロマー共重合体、燐酸エステル基含有アクリル樹脂、芳香族カルボキシル基含有アクリル樹脂、ポリスチレンスルフォン酸塩、アクリルアミド−(メタ)アクリル酸共重合物、カルボキシメチルセルロース、カルボキシル基を有するポリウレタンプレポリマー、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、及びアルギン酸ソーダ等のアニオン系樹脂型顔料分散剤;
ポリビニルアルコール、ポリアルキレンポリアミン、ポリアクリルアミド、及びポリマー澱粉等のノニオン系樹脂型顔料分散剤;並びに、
ポリエチレンイミン、アミノアルキル(メタ)アクリレート共重合物、ポリビニルイミダゾリン、アミノ基を有するポリウレタンプレポリマー、及びサトキンサン等のカチオン系樹脂型顔料分散剤が挙げられ、これらを単独又は2種以上を混合して用いることができる。
市販の樹脂型顔料分散剤としては、
Disperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、及び2001、並びに、Anti−Terra−U、203、及び204、並びに、BYK−P104、P104S、及び220S、並びに、Lactimon、Lactimon−WS、及びBykumen等のビックケミー社製樹脂型顔料分散剤;
SOLSPERSE−3000、9000、13240、13650、13940、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32600、34750、36600、38500、41000、41090、及び53095等の日本ルーブリゾール社製樹脂型顔料分散剤;並びに、
EFKA−46、47、48、452、LP4008、4009、LP4010、LP4050、LP4055、400、401、402、403、450、451、453、4540、4550、LP4560、120、150、1501、1502、及び1503等のエフカケミカルズ社製樹脂型顔料分散剤等が挙げられるが、これらに限定されることなく任意の樹脂型顔料分散剤が使用でき、これらを単独又は2種以上を混合して用いることもできる。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;
ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;
アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;並びに、
アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、及びアルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(色素誘導体)
色素誘導体とは、有機色素に置換基を導入した化合物であり、有機色素には、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、及び特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
<アミン系化合物>
又、本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。
このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、及びN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
<その他の添加成分>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができ、又、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
貯蔵安定剤としては、例えば、
ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、及びジエチルヒドロキシアミン等の4級アンモニウムクロライド類;
乳酸、及びシュウ酸などの有機酸類;
前記有機酸のメチルエステル類;
t−ブチルピロカテコール等のカテコール類;
トリフェニルホスフィン、テトラエチルホスフィン、及びテトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン類;並びに、
亜リン酸塩類等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、
ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、及びビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類;
γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及びγ−(メタ)アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン等の(メタ)アクリロイルシラン類;
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類;
N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類;並びに、
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及びγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類;等が挙げられる。
シランカップリング剤は、着色組成物中の色素の全重量を基準(100重量%)として、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%の量で用いることができる。
<粗大粒子の除去>
カラーフィルタ用着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、更に好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。
[カラーフィルタ]
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、透明基板上に、本発明の感光性着色組成物から形成されるフィルタセグメント及び/又はブラックマトリックスを備えるものであり、一般的なカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメントと、少なくとも1つの緑色フィルタセグメントと、及び少なくとも1つの青色フィルタセグメントとを具備するカラーフィルタであって、少なくとも1つの青色フィルタセグメントが本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成されてなるものである。
また本発明のカラーフィルタは少なくとも1つのマゼンタ色フィルタセグメントと、少なくとも1つのシアン色フィルタセグメントと、及び少なくとも1つのイエロー色フィルタセグメントとを具備するカラーフィルタであって、少なくとも1つのシアン色フィルタセグメントが本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成されてなるものである。
赤色フィルタセグメントを形成するためのカラーフィルタ用赤色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、246、254、255、264、272、及び279等の赤色顔料を用いることができる。また赤色を呈する塩基性染料、酸性染料の造塩化合物を使用することもできる。
またカラーフィルタ用赤色着色組成物には、下記黄色顔料及び/又はオレンジ顔料を併用することができる。黄色顔料としては、例えばC.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、及び214等の黄色顔料を用いることができる。また黄色を呈する塩基性染料、酸性染料の造塩化合物を併用することもできる。
オレンジ色顔料としては、例えばC.I. Pigment orange 36、43、51、55、59、61、71、及び73等のオレンジ色顔料を用いることができる。またオレンジ色を呈する塩基性染料、酸性染料の造塩化合物を併用することもできる。
緑色フィルタセグメントを形成するためのカラーフィルタ用緑色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Green 7、10、36、37、及び58等の緑色顔料を用いることができる。また緑色を呈する塩基性染料、酸性染料の造塩化合物を併用することもできる。さらに緑色感光性着色組成物には上記黄色顔料を併用することができる。
マゼンタ色フィルタセグメントを形成するためのマゼンタ色感光性着色組成物には、例えばC.I. Pigment Violet 1、及び19、並びに、C.I. Pigment Red81、144、146、177、及び169等の紫色顔料及び赤色顔料を用いることができる。マゼンタ色感光性着色組成物には、上記黄色顔料を併用することができる。
イエロー色フィルタセグメントを形成するためのイエロー色感光性着色組成物には、赤色顔料や緑色顔料と併用可能な黄色顔料として例示した顔料を用いることができる。また黄色を呈する塩基性染料、酸性染料の造塩化合物を使用することもできる。
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。又、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
フィルタセグメント及びブラックマトリックスの乾燥膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜5μmである。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等を使用してもよい。
<カラーフィルタの製造方法>
本発明のカラーフィルタは、フォトリソグラフィー法により、製造することができる。フォトリソグラフィー法による各色フィルタセグメント及びブラックマトリックスの形成は、下記の方法で行う。すなわち、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製したカラーフィルタ用着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤又はアルカリ現像液に浸漬するか、若しくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成してフィルタセグメント及びブラックマトリックスを形成することができる。更に、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、印刷法より精度の高いフィルタセグメント及びブラックマトリックスが形成できる。
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。又、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中、「部」とは「重量部」を意味する。
実施例に先立ち、耐熱試験法、及びアクリル樹脂溶液の調製法、トリアリールメタン造塩化合物の製造方法、色素分散体の製造方法について説明する。
顔料の比表面積は、窒素吸着によるBET法で求めた。なお、測定には自動蒸気吸着量測定装置(日本ベル社製「BELSORP18」)を用いた。
塗膜の耐熱試験法について説明する。
透明基板上に乾燥塗膜が約2.5μmとなるように青色着色組成物を塗布し、所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤又はアルカリ現像液に浸漬するか若しくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成する。その後オーブンで230℃1時間加熱、放冷後、得られた塗膜のC光源での色差1(L*(1),a*(1),b*(1))と、最大透過率T1(%)、および明度を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP200」)を用いて測定した。その後、耐熱試験としてオーブンで250℃1時間加熱し、C光源での色差2(L*(2),a*(2),b*(2))、最大透過率T2(%)、明度を測定した。
測定した色差値を用いて、下記計算式により、色差変化率ΔEab*を算出した。
ΔEab* = √((L*(2)- L*(1))2+ (a*(2)- a*(1)) 2+( b*(2)- b*(1)) 2)
又、測定した最大透過率値を用いて、下記計算式により透過率変化率ΔT(%)を算出した。
ΔT (%)= ( T2- T1)/ T1×100
(アクリル樹脂溶液の調製)
反応容器にシクロヘキサノン450部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で、メタクリル酸20.0部、メチルメタクリレート10.0部、ブチルメタクリレート55.0部、ヒドロキシエチルメタクリレート15.0部、及びアゾビスイソブチロニトリル4.0部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
滴下後更に80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、更に80℃で1時間反応を続けてアクリル樹脂溶液を得た。アクリル樹脂の重量平均分子量は、約40000であった。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、その測定値に基づき、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
<トリアリールメタン造塩化合物の製造方法>
(トリアリールメタン造塩化合物1の作製)
下記の手順でトリアリールメタン系造塩化合物を作製した。
7〜15モル%の水酸化ナトリウム溶液中に、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸
(DTBSA)を溶解させ十分に混合・攪拌を行いそのナトリウム塩を得る。このDTB
SAのナトリウム塩水溶液を70〜90℃に加熱した後、ビクトリアピュアブルー染料(
C.I.ベーシック ブルー 7)を少しずつ滴下していく。またビクトリアピュアブル
ー染料は水に溶解し水溶液として用いても良い。ビクトリアピュアブルー染料を滴下した
後、70〜90℃で40〜60分攪拌し十分に反応を行う。反応の終点確認としては濾紙
に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたこ
とと判断できる。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い水洗する。水洗後、
濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥して、ビクトリアピュアブル
ー染料とDTBSAとの造塩化合物、造塩化合物1を得た。
(トリアリールメタン造塩化合物2の作製)
前記トリアリールメタン系造塩化合物1にて用いた3,5−ジ−tert−ブチルサリ
チル酸を用いる代わりに、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(BON酸)を用いる以外は
、トリアリールメタン系造塩化合物1と同様に作製を行い、ビクトリアピュアブルー染料
とBON酸との造塩化合物、造塩化合物2を得た。
(トリアリールメタン造塩化合物3の作製)
前記トリアリールメタン系造塩化合物1にて用いた3,5−ジ−tert−ブチルサリ
チル酸を用いる代わりに、ステアリン酸を用いる以外は、トリアリールメタン系造塩化合
物1と同様に作製を行い、ビクトリアピュアブルー染料とステアリン酸との造塩化合物、
造塩化合物3を得た。
(トリアリールメタン造塩化合物4の作製)
7〜15モル%の水酸化ナトリウム溶液中に、3−フェニルサリチル酸を溶解させ十分
に混合・攪拌を行いそのナトリウム塩を得る。この3−フェニルサリチル酸ナトリウム塩
水溶液を70〜90℃に加熱した後、ビクトリアピュアブルー染料(C.I.ベーシック
ブルー 7)を少しずつ滴下していく。またビクトリアピュアブルー染料は水に溶解し
水溶液として用いても良い。ビクトリアピュアブルー染料を滴下した後、70〜90℃で
40〜60分攪拌し十分に反応を行う。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して
、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたことと判断できる。攪
拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い水洗する。水洗後、濾紙上に残った造塩
化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥して、ビクトリアピュアブルー染料と3−フェニ
ルサリチル酸との造塩化合物を得た。
<色素分散体の製造方法>
(色素分散体(1)の製造)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で2時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し色素分散体を作製した。
C.I.ベーシック ブルー 7 11.0部
(保土ヶ谷化学社製 アイゼンビクトリアピュアブルー BOH)
分散剤(日本ルーブリゾール社「ソルスパーズ20000」) 1.0部
アクリル樹脂溶液 40.0部
シクロヘキサノン 48.0部
(色素分散体(2)の製造)
色素を下記色素に変更した以外は、色素分散体(1)と同様にして色素分散体(2)を作製した。
C.I.ピグメント ブルー 1 11.0部
(クラリアント社製 サンドクリルブルー B−RLE)
(色素分散体(3)の製造)
色素を下記色素に変更した以外は、色素分散体(1)と同様にして色素分散体(3)を作製した。
C.I.アシッド ブルー 90 11.0部
(クラリアント社製 デルマシアニン GN360)
(色素分散体(4)の製造)
色素を下記色素に変更した以外は、色素分散体(1)と同様にして色素分散体(4)を作製した。
C.I.ソルベント ブルー 4 11.0部
(保土ヶ谷化学社製 アイゼンビクトリアブルー B Base)
(色素分散体(5)の製造)
色素を下記色素に変更した以外は、色素分散体(1)と同様にして色素分散体(5)を作製した。
トリアリールメタン造塩化合物1 11.0部
(色素分散体(6)の製造)
色素を下記色素に変更した以外は、色素分散体(1)と同様にして色素分散体(6)を作製した。
トリアリールメタン造塩化合物2 11.0部
(色素分散体(7)の製造)
色素を下記色素に変更した以外は、色素分散体(1)と同様にして色素分散体(7)を作製した。
トリアリールメタン造塩化合物3 11.0部
(色素分散体(8)の製造)
色素を下記色素に変更した以外は、色素分散体(1)と同様にして色素分散体(8)を作製した。
トリアリールメタン造塩化合物4 11.0部
[実施例1〜29及び比較例1〜11]
(カラーフィルタ用着色組成物(レジスト材)の製造)
表1に示すような組成、配合量(重量部)で、色素分散体と、アクリル樹脂溶液と、モノマーと、光重合開始剤と、酸化防止剤と、溶剤との混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、各レジスト材を得た。
Figure 0005774275
表1中の略語について以下に示す。
・モノマー :トリメチロールプロパントリアクリレート
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
・光重合開始剤:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノ
プロパン−1−オール
(チバ・ジャパン社製「イルガキュアー907」)
・酸化防止剤A:トリス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチ ル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチ ル]アミン
・酸化防止剤B:トリス[2−[(4,6,9,11−テトラ−tert−ブチルジベンゾ [d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−2−イル)オキシ]エチル]アミン
・酸化防止剤C:亜りん酸エチルビス(2,4−ジtert−ブチル−6−メチルフェニ ル)
・酸化防止剤D:2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4− ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
・溶剤:シクロヘキサノン
実施例1〜29及び比較例1〜11で得られたカラーフィルタ用組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて乾燥塗膜が約2.5μmとなるように塗布し、70℃で20分乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJで紫外線露光を行った。
塗布基板を230℃で1時間加熱、放冷後、得られた塗膜のC光源での色度(Y, x, y)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP200」を用いて測定した。その後、前記耐熱試験を行い、その時の色差ΔEab*と最大透過率の変化も表2に示す。
塗膜の耐熱性は、色差ΔEab*が4.5以下で透過率変化が6%未満であれば良い耐熱性を有していると言え、色差ΔEab*が2.5以下で透過率変化が3%未満であれば非常に良い耐熱性を有していると言える。
透過率の基準は以下の通りである。
ΔEab*=2.5以下、かつ透過率変化3%未満 ○
ΔEab*=4.5以下、かつ透過率変化3%以上6%未満 △
ΔEab*=4.5より大きい、または透過率変化6%以上 ×

Figure 0005774275
リン系酸化防止剤A〜Cを、その重量(S)と光重合開始剤の重量(I)との比率(S/I)が0.001〜1.2になるように用いた本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成された塗膜は、比較例と比べて耐熱性が良好でかつパターン形状についても良好であった(実施例1〜29)。
リン系酸化防止剤を用いない場合(比較例1,5〜11)、ヒンダーフェノール系酸化防止剤を用いた場合(比較例4)、及びリン系酸化防止剤の比率(S/I)が0.001より小さい場合(比較例2)は、耐熱性が良好な塗膜は得られなかった。
又、リン系酸化防止剤の比率(S/I)が1.2より大きな場合(比較例3)は、パターンを形成することが困難であった。
特に酸化防止剤Aを添加した場合において優れた耐熱性を有する塗膜が得られ、色素として造塩化合物を用いた場合において特に良好な耐熱性を有する塗膜が得られた。
<カラーフィルタの作製>
次に、ガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工し、該基板上にスピンコーターで、色素分散体(1)中の色素で使用しているC.I.ベーシック ブルー 7を、C.I.Pigment Red 254=11.0部に置き換えた以外は色素分散体1と同様にして作製した赤色色素分散体をC光源において(以下、緑色、青色にも用いる)x=0.582、y=0.337になるような膜厚に塗布し着色被膜を形成した。次に、該被膜にフォトマスクを介して、超高圧水銀ランプを用いて300mJ/cm2の紫外線を照射した。次いで2重量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を230℃で20分加熱して、赤色フィルタセグメントを形成した。
同様にして、色素をC.I.Pigment Green 36/C.I.Pigment Yellow 150=7.7/3.3部に置き換えた以外は色素分散体1と同様にして作製した色素分散体を用いてx=0.315、y=0.531となるように、色素分散体(1)を用いてx=0.139、y=0.164になるような膜厚にそれぞれ塗布し、緑色フィルタセグメント、青色フィルタセグメントを形成して、カラーフィルタを得た。
本発明におけるカラーフィルタ用着色組成物を用いると、広い色度範囲において色濃度、および色純度、透明性に優れ、耐熱性、耐光性も良好な青色フィルタセグメントを有するカラーフィルタを作製することが可能であった。



Claims (2)

  1. 色素と、色素担体と、光重合開始剤と、リン系酸化防止剤とを含んでなるカラーフィルタ用着色組成物であって、
    該色素が、イ)トリアリールメタン系染料の塩基性染料、ロ)トリアリールメタン系塩基性染料と有機酸との造塩化合物、ハ)トリアリールメタン系染料の酸性染料、およびニ)トリアリールメタン系酸性染料と第四級アンモニウム化合物との造塩化合物からなる群より選ばれるいずれか1種以上を含むトリアリールメタン系色素を含有し、
    該リン系酸化防止剤が、トリス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2−[(4,6,9,11−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−2−イル)オキシ]エチル]アミン、および亜りん酸エチルビス(2,4−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
    かつリン系酸化防止剤の重量(S)と光重合開始剤の重量(I)との重量比(S/I)が0.001〜1.2であることを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。
  2. 透明基板上に、請求項1記載のカラーフィルタ用着色組成物から形成されるフィルタセグメントを備えることを特徴とするカラーフィルタ。
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