JP5750755B2 - ナノ構造体作製用型体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
該電解研摩の電解液が、濃リン酸40体積部以上75体積部以下、及び、濃硫酸10体積部以上55体積部以下、及び、配合する水5体積部以上25体積部以下を配合し、かつ、該濃硫酸の体積が該配合する水の体積より多くなるように配合してなるものであることを特徴とする型体の製造方法を提供するものである。
本発明のナノ構造体作製用型体(以下、単に「型体」と略記することがある)は、本発明のナノ構造体作製用型体の製造方法を使用して製造されたものであって、ナノ構造体を作製するためのものである。「ナノ構造体」とは、下記するように、例えば、表面にモスアイ(蛾の眼)構造と呼ばれる構造を有しており、一般には空気等の気体に接する最表面からナノ構造体の内部に入っていくにしたがって、徐々にナノ構造体の材質部分が多くなり、そのため屈折率がナノ構造体の内部に入っていくにしたがって、徐々に大きくなることで反射を防止するものである。一般に、屈折率が急激に(不連続に)変化する表面があると、正反射率が大きくなるので、「ナノ構造体」は、その表面近傍の屈折率を急激に(不連続に)変化させないようにしたものである。また、本発明における「ナノ構造体」の表面の形態としては、前記特許文献の何れかの文献に記載のものも挙げられる。
本発明のナノ構造体作製用型体は、アルミニウム材料の表面を後述する電解研摩により加工した後、該アルミニウム材料の表面に、陽極酸化と陽極酸化皮膜のエッチングとの組み合わせによりテーパー形状の細孔を形成させたもので、すなわち、陽極酸化皮膜の形成(陽極酸化)と該陽極酸化皮膜のエッチングの2つの工程を繰り返し行って、テーパー形状の細孔を有する陽極酸化皮膜を形成させたものである。
本発明における「アルミニウム材料」とは、主成分がアルミニウムである材料のことをいい、純アルミニウム(1000系)、アルミニウム合金の何れでもよい。本発明における「純アルミニウム」とは、純度99.00質量%以上のアルミニウムであり、好ましくは純度99.50質量%以上、より好ましくは純度99.85質量%以上、さらに好ましくは純度99.99質量%以上である。「アルミニウム合金」は特に限定はないが、例えば、Al−Mn系合金(3000系)、Al−Mg系合金(5000系)、Al−Mg−Si系合金(6000系)等が挙げられる。
これらの中でも、純アルミニウム(1000系)は、良好なナノ構造体作製用型体が得られる点で、アルミニウム合金5005;アルミニウム合金5005の改良合金(例えば、日本軽金属製58D5)等が、硬度や加工性、耐性に優れている点で特に好ましい。
押出し、引抜き、又は圧延されたままのアルミニウム材料の表面に対して何らかの加工を施す前には、通常、洗浄、脱脂、研摩等が行われることは公知である。しかしながら、上記「よりレベルの高い前研摩」は、その後に電解研摩を行った後、陽極酸化皮膜の形成とエッチングの2つの工程を繰り返し行って得られた型体を転写して得られたナノ構造体の光学特性を良くするために行われるもので、上記「よりレベルの高い前研摩」は決して公知のものではなく、従って、例えば、圧延すじ等をとるため、油性等の付着物等を除くため等の通常の公知の前研摩は、上記したような「よりレベルの高い前研摩」には該当せず、また、かかる公知の前研摩は、本発明においては何ら参考にならない。
脱脂処理としては、例えば、有機溶剤法、界面活性剤法、硫酸法、電解脱脂法、アルカリ脱脂法、乳化脱脂法、リン酸塩法等が挙げられる。アルミニウム材表面を必要以上に荒らさない点から、非侵食性の脱脂処理を行うことが好ましい。
本発明におけるナノ構造体作製用型体は、アルミニウム材料の表面を、特定組成比の電解研摩液を用いた電解研摩により加工することが必須である。
該電解研摩の前に、アルミニウム材料の圧延のむら、表面のキズ、腐食、汚れ等を取るために、その表面をスクラブ洗浄、脱脂処理、研摩等をしてもよく、また、得られるナノ構造体のヘイズ等の光の透過性能を向上させるため等に、上記の機械研摩、化学研摩等の「よりレベルの高い前研摩」を行うことが好ましい。機械研摩、化学研摩の何れか1つでもよく、又はこれらを任意に組み合わせてもよい。アルミニウム材料の表面を前研摩することによって、アルミニウム材料の表面が均一で、平滑で、鏡面状態に仕上げられ、電解研摩を行うに極めて好ましい表面となる。
そして、それを加工して得られたナノ構造体作製用型体は、ヘイズが小さく光の透過性能が著しく向上したナノ構造体を作製できるようになる。
光の透過性能等の光学特性に優れたナノ構造体が得られる点で、濃リン酸50体積部以上75体積部以下、及び、濃硫酸15体積部以上45体積部以下、及び、配合する水10体積部以上20体積部以下を配合し、かつ、該濃硫酸が該配合する水より多くなるように配合することが更に好ましい。
本発明において、「濃リン酸」とは、85質量%リン酸のことであり、「濃硫酸」とは、98質量%硫酸のことである。例えば、96質量%硫酸等の濃度が98質量%ではない硫酸を用いる場合には、98質量%にして換算して上記範囲に入れば、本発明の範囲内に含まれる。濃リン酸についても同様に考え、換算して上記範囲に入れば、本発明の範囲内に含まれる。
また、濃硫酸が多すぎる場合には、電解研摩がされ難い場合があり、濃硫酸が少なすぎる場合には、型体にうねり、点欠陥が生じる場合がある。
また、濃硫酸の体積が「配合する水」の体積以下の場合には、型体にうねり、点欠陥が発生する場合がある。
「うねり」とは、水平方向に数十μm〜数mm程度の周期を持つ緩やかな凹凸のことをいい、アルミニウム材料、型体、型体から転写して得られたナノ構造体に存在している状態をいう。例えば、方眼紙のような直線状の絵柄をアルミニウム材料や型体に映しこんで観察した時、又はナノ構造体を透過させて該絵柄を観察した時に該絵柄が歪んで見えれば、そのアルミニウム材料、型体、型体から転写して得られたナノ構造体の表面に「うねり」が発生していると判断する。
電解液の温度は40℃〜90℃が好ましく、45℃〜80℃がより好ましく、50℃〜70℃が特に好ましい。電解研摩中、電解液の温度は一定に保っても、変化させてもよいが、研摩ムラを防止するために一定に保つのが好ましい。
電解液の撹拌や揺動は、特に限定しないが、研摩ムラを防止するために行うことが好ましい。
その結果、得られた型体を転写して得られたナノ構造体の光学特性を優れたものとすることができる。
本発明の型体の製造方法は、アルミニウム材料の表面を上記電解研摩により加工した後、好ましくは脱膜処理をして、該アルミニウムの表面に陽極酸化と陽極酸化皮膜のエッチングとの組み合わせにより(繰り返しにより)テーパー形状の細孔を形成させる。陽極酸化は、硫酸やシュウ酸等の酸溶液中で、アルミニウム材料を陽極として直流電流を流し、水が電気分解して発生する酸素とアルミニウムを反応させ、表面に細孔を有する酸化アルミニウムの被膜を形成させるものである。
1回の陽極酸化の処理時間が長すぎる場合や短すぎる場合は、ナノ構造体の凹凸部が形成するテーパー形状が良好に形成されず、その型体から得られたナノ構造体は、期待する反射防止効果が得られない場合がある。
また、全体の陽極酸化の処理時間が長すぎる場合は、ナノ構造体の凹凸部の高さが高くなりすぎる場合があり、短すぎる場合は、ナノ構造体の凹凸部の高さが低くなりすぎる場合があり、期待する反射防止効果が得られない場合がある。
エッチングは主に陽極酸化皮膜の孔径拡大と所望の形状の型を得るために行われる。上記の陽極酸化とエッチングとを組み合わせる(繰り返す)ことで、アルミニウム材料表面上の陽極酸化皮膜に形成された、テーパー形状を形成する細孔の孔径、該テーパー形状、細孔の凹凸部の高さ及び深さ等を調整することができる。
本発明における陽極酸化皮膜とは、酸溶液中で、アルミニウム材料を陽極として電流を流し、水が電気分解して発生する酸素とアルミニウムとを反応させ形成させる、酸化アルミニウムの皮膜である。陽極酸化皮膜の全体の厚さは特に限定されないが、ナノ構造体作製用型体の耐久性等の点から、下限は600nm以上が好ましく、1000nm以上がより好ましく、2000nm以上が特に好ましく、4000nm以上が更に好ましい。一方、上限は50000nm以下が好ましく、20000nm以下がより好ましく、10000nm以下が特に好ましく、8000nm以下が更に好ましい。
本発明におけるナノ構造体は、本発明のナノ構造体作製用型体に、ナノ構造体形成材料を埋め込んだ後に、該ナノ構造体形成材料又は該ナノ構造体形成材料が硬化した材料を、該ナノ構造体作製用型体から剥離してなるものである。
すなわち、図1、2において、前記ナノ構造体作製用型体2に、ナノ構造体形成材料1を埋め込んだ後に、該ナノ構造体形成材料1又は該ナノ構造体形成材料1が硬化した材料を、該ナノ構造体製用型体2から剥離して得られる。ナノ構造体形成材料1を埋め込んだ後に、要すれば、光照射、電子線照射及び/又は加熱によってナノ構造体形成材料1を硬化させた後にナノ構造体作製用型体2から剥離して得られる。
なお、ヘイズ、透明性は、実施例に定義した通りである。
また、「点欠陥」のあるナノ構造体作製用型体により製造されたナノ構造体は、商品価値が著しく低下する他、ヘイズが大きく、透明性が低いものとなる場合がある。
熱可塑性組成物としては、ガラス転移温度又は融点まで加熱することによって軟らかくなるものであれば特に制限はないが、例えば、アクリロニトリル−スチレン系重合体組成物、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン系重合体組成物、スチレン−(メタ)アクリレート系重合体組成物、ブダジエン−スチレン系重合体組成物等のスチレン系重合体組成物;塩化ビニル系重合体組成物、エチレン−塩化ビニル系重合体組成物、エチレン−酢酸ビニル系重合体組成物、プロピレン系重合体組成物、プロピレン−塩化ビニル系重合体組成物、プロピレン−酢酸ビニル系重合体組成物、塩素化ポリエチレン系組成物、塩素化ポリプロピレン系組成物等のポリオレフィン系組成物;ケトン系重合体組成物;ポリアセタール系組成物;ポリエステル系組成物;ポリカーボネート系組成物;ポリ酢酸ビニル系組成物、ポリビニル系組成物、ポリブタジエン系組成物、ポリ(メタ)アクリレート系組成物等が挙げられる。
硬化性組成物とは、光照射、電子線照射及び/又は加熱によって硬化する組成物である。中でも、光照射又は電子線照射により硬化する硬化性組成物が、上記した点から好ましい。
「光照射又は電子線照射により硬化する硬化性組成物」(以下、「光硬化性組成物」と略記する)としては特に限定はなく、アクリル系重合性組成物又はメタクリル系重合性組成物(以下、「(メタ)アクリル系重合性組成物」と略記する)、光酸触媒で架橋し得る組成物等、何れも使用できるが、(メタ)アクリル系重合性組成物が、上記ナノ構造に適した機械的強度を与えるため、型体1からの剥離性、化合物群が豊富なため種々の物性のナノ構造体を調製できる等の点から好ましい。
本発明における熱硬化性組成物とは、加熱すると重合を起こして高分子の網目構造を形成し、硬化して元に戻らなくなる組成物であれば特に制限はないが、例えば、フェノール系重合性組成物、キシレン系重合性組成物、エポキシ系重合性組成物、メラミン系重合性組成物、グアナミン系重合性組成物、ジアリルフタレート系重合性組成物、尿素系重合性組成物(ユリア系重合性組成物)、不飽和ポリエステル系重合性組成物、アルキド系重合性組成物、ポリウレタン系重合性組成物、ポリイミド系重合性組成物、フラン系重合性組成物、ポリオキシベンゾイル系重合性組成物、マレイン酸系重合性組成物、メラミン系重合性組成物、(メタ)アクリル系重合性組成物等が挙げられる。フェノール系重合性組成物としては、例えば、レゾール型フェノール樹脂等である。エポキシ系重合性組成物としては、例えば、ビスフェノールA−エピクロロヒドリン樹脂、エポキシノボラック樹脂、脂環式エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、多官能性エポキシ等である。不飽和ポリエステル系重合性組成物としては、例えば、オルソフタル酸系、イソフタル酸系、アジピン酸系、ヘット酸系、ジアリルフタレート系等である。中でも、熱硬化性組成物としては、(メタ)アクリル系重合組成物が好ましい。
本発明の型体1を用いたナノ構造体の作製方法としては、限定されるわけではないが、例えば下記の方法が好ましい。すなわち、上記ナノ構造体形成材料1を基材3上に採取、バーコーター若しくはアプリケーター等の塗工機又はスペーサーを用いて、均一膜厚になるように塗布する。ここで、「基材」としては、特に限定はないが、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略記する)、トリアセチルセルロース等のフィルムが好適である。そして、本発明のナノ構造体作製用型体2を貼り合わせる。貼り合わせた後、硬化性組成物の場合には、該フィルム面から紫外線照射若しくは電子線照射及び/又は熱により硬化させる。あるいは、前記ナノ構造体作製用型体2の上に、直接、ナノ構造体形成材料1を乗せ、塗工機やスペーサー等で均一膜厚の塗布膜を作製してもよい。その後、得られたナノ構造体を該ナノ構造体作製用型体2から剥離させてナノ構造体を作製する。
[ナノ構造体作製用型体の作製]
アルミニウム材料として、99.85質量%のアルミニウムロールを片面平面バフ研摩盤(Speedfam社製)により、アルミナ系の研摩材(フジミ研摩材社製)を用いて、10分間研摩して鏡面を得た。研摩面をスクラブ洗浄後、非浸食性の脱脂処理を行った。
85質量%濃リン酸6Lに、水1Lを加え、更に98質量%濃硫酸3Lを液温が50℃以上にならないように冷やしながら加えて調製したものを電解液とした。
次に、60〜70℃にした上記電解液に、上記のアルミニウムロールを入れ、揺動、攪拌の条件下で、電圧10〜20V、電流を10〜20A/dm2で流した。
電流を流し始めてから5分経過後に電解研摩を終了した。その後、20℃硝酸浴(68%硝酸を水で2倍に希釈)中に10分間浸漬した。
使用液:0.05Mシュウ酸
電圧 :80Vの直流電圧
温度 :5℃
時間 :30秒
使用液:2質量%リン酸
温度 :50℃
時間 :5分
ナノ構造体形成材料である下記に示す光硬化性組成物を、無色透明の厚さ75μmのPETフィルム上に採取、バーコーターNO28にて、均一な膜厚になるよう塗布した。
その後、上記で得られた型体を貼り合わせ、テーパー形状部に光硬化性組成物が充填されたことを確認して、紫外線を照射して重合硬化させた。硬化後、膜を型体から剥離することで、表面に、平均高さ300nmの凸部が平均周期200nmで存在するナノ構造体を得た。
ナノ構造体の厚さは、PETフィルムの厚さも含めて、85μmであった。
下記式(1)で示される化合物(1)11.8質量部、下記化合物(2)23.0質量部、テトラエチレングリコールジアクリレート45.2質量部、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート20.0質量部、及び、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.0質量部を配合して光硬化性組成物を得た。
2HEA−−IPDI−−(アジピン酸と1,6−ヘキサンジオールとの重量平均分子量3500の末端水酸基のポリエステル)−−IPDI−−2HEA
で示される化合物である。ここで、「2HEA」は、2−ヒドロキシエチルアクリレートを示し、「IPDI」は、イソホロンジイソシアネートを示し、「−−」は、イソシアネート基と水酸基の通常の下記の反応による結合を示す。
−NCO + HO− → −NHCOO−
実施例2において、電解液を表1に記載のものを用いた以外は、実施例2と同様にしてナノ構造体作製用型体及びナノ構造体を得た。
実施例2において、電解液を表1に記載のものを用いた以外は、実施例2と同様にしてナノ構造体作製用型体及びナノ構造体を得た。
評価例1
上記実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例7で得られたナノ構造体作製用型体の光沢、うねり、点欠陥及びRaを、以下のように測定し判定した。結果を表1に示す。
光沢は、ナノ構造体作製用型体を目視で光沢を測定し、以下の基準で判定した。
○:光沢が極めて良好
△:光沢が良好
×:光沢なし
ナノ構造体作製用型体に5mm角のマス目状の印刷物を反射させて目視で観察し、印刷物が歪んで見えるかどうかを目視で観察した。それを「ナノ構造体作製用型体のうねり」と判断した。そして以下の基準により「うねり」を判定した。
○:ナノ構造体作製用型体に反射させて観察した5mm角のマス目の印刷物の像に歪みがなく良好である
△:ナノ構造体作製用型体に反射させて観察した5mm角マス目の印刷物の像に歪みがわずかにある
×:ナノ構造体作製用型体に反射させて観察した5mm角マス目の印刷物の像に歪みが多くある
金属顕微鏡(オリンパス社製)を用いて50倍で、ナノ構造体作製用型体の点欠陥の発生を観察した。以下の基準により「点欠陥」を判定した。
○:50μm以上の点欠陥の発生なし
△:50μm以上500μm未満の点欠陥の発生あり
×:500μm以上の点欠陥の発生あり
Raは、JIS B0601(1994)に従って測定した。
上記実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例7で得られたナノ構造体について、うねり、点欠陥、反射率、ヘイズ及び全光線透過率を以下のように測定し判定した。結果を表1に示す。
ナノ構造体を透過させて5mm角のマス目状の印刷物を目視で観察し、印刷物が歪んで見えるかどうかをみた。それを「ナノ構造体のうねり」と判断した。そして以下の基準により「ナノ構造体のうねり」を判定した。
○:ナノ構造体を透過して観察した5mm角のマス目の印刷物に歪みがなく良好である
△:ナノ構造体を透過して観察した5mm角マス目の印刷物に歪みがわずかにある
×:ナノ構造体を透過して観察した5mm角マス目の印刷物に歪みが多くある
金属顕微鏡(オリンパス社製)を用いて、50倍で該ナノ構造体の点欠陥の発生を観察した。以下の基準により「点欠陥」を判定した。
○:50μm以上の点欠陥の発生なし
△:50μm以上500μm未満の点欠陥の発生あり
×:500μm以上の点欠陥の発生あり
島津製作所社製、自記分光光度計「UV−3150」を用い、裏面に黒色テープを貼り付け、5°絶対反射率を測定した。
村上色彩技術研究所製、ヘイズメーター「HM−150」を用いて、可視光線のヘイズ、全光線透過率を測定した。
評価例1の「光沢」、「うねり」及び「点欠陥」の各評価をもとに、以下の基準によりナノ構造体の総合判定を行った。結果を表1に示す。
○:総合的に良好
△:総合的にやや劣る
×:総合的に劣る
比較例2で得られたナノ構造体作製用型体は、電解液中に濃硫酸が配合されていないために、点欠陥の発生があり、それに起因してナノ構造体の総合判定として良好ではなかった。
比較例3で得られたナノ構造体作製用型体は、電解液中の濃硫酸が配合する水より少なかったために、うねり、点欠陥の発生があり、それに起因してナノ構造体の総合判定として良好ではなかった。
比較例4で得られたナノ構造体作製用型体は、電解液中の濃硫酸が配合する水より多くなかったために、うねり、点欠陥の発生があり、それに起因してナノ構造体の総合判定としてやや良好ではなかった。
比較例5で得られたナノ構造体作製用型体は、電解液中の濃硫酸が配合する水がなかったために、うねり、点欠陥の発生があり、それに起因してナノ構造体の総合判定として良好ではなかった。
比較例6で得られたナノ構造体作製用型体は、電解液中の濃リン酸が少なかったために、点欠陥の発生があり、それに起因してナノ構造体の総合判定としてやや良好ではなかった。
比較例7で得られたナノ構造体作製用型体は、電解研摩を行わなかったために、点欠陥の発生があり、それに起因してナノ構造体の総合判定として良好ではなかった。
2 ナノ構造体作製用型体
3 基材
4 ローラー
5 ナノ構造体
6 硬化装置
7 支持ローラー
Claims (5)
- アルミニウム材料の表面を、電解研摩により加工した後、該アルミニウム材料の表面に、陽極酸化と陽極酸化皮膜のエッチングとの組み合わせによりテーパー形状の細孔を形成させる、反射防止体用のナノ構造体を作製するための型体の製造方法であって、
該陽極酸化の1回の処理時間は500秒以下であり、
該電解研摩の電解液が、85質量%リン酸40体積部以上75体積部以下、98質量%硫酸10体積部以上55体積部以下、及び、該85質量%リン酸や該98質量%硫酸中に含まれる水とは別に配合する水5体積部以上25体積部以下を配合し、かつ、該98質量%硫酸の体積が該配合する水の体積より多くなるように配合された組成であることを特徴とする型体の製造方法。 - 反射防止体用のナノ構造体を作製するためのナノ構造体作製用型体であって、請求項1記載の型体の製造方法を使用して製造されたものであることを特徴とするナノ構造体作製用型体。
- 請求項2に記載のナノ構造体作製用型体に、ナノ構造体形成材料を埋め込んだ後に、該ナノ構造体形成材料又は該ナノ構造体形成材料が硬化した材料を、該ナノ構造体作製用型体から剥離してなることを特徴とする反射防止体用のナノ構造体。
- 上記ナノ構造体形成材料が、熱可塑性組成物、又は、「光照射、電子線照射及び/若しくは加熱によって硬化する硬化性組成物」である請求項3に記載の反射防止体用のナノ構造体。
- 請求項2に記載のナノ構造体作製用型体を用いて反射防止体用のナノ構造体を作製することを特徴とする反射防止体の点欠陥及び/又はうねりの発生を少なくしてヘイズを小さくする方法。
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