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JP5087705B2 - スタンパ用アルミニウム原型用素材、スタンパ用アルミニウム原型及びスタンパ - Google Patents

スタンパ用アルミニウム原型用素材、スタンパ用アルミニウム原型及びスタンパ Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム表面に陽極酸化処理(以下、「アルマイト処理」とも記す。)を施した凹凸構造を形成した鋳型(スタンパ)を作製し、そのスタンパを用いて反射防止物品などを作製するための、処理皮膜欠陥の発生頻度を抑制したスタンパ用アルミニウム原型用素材、スタンパ用アルミニウム原型、それを用いたスタンパ及びその製造方法に関する。
本願は、2009年9月11日に、日本に出願された特願2009−210054号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、凹凸構造の周期を可視光の波長以下に制御した微細凹凸構造を有する反射防止構造を設けることによって、テレビや携帯電話などの液晶面の反射戻り光を減少させる研究がなされている。そしてその方法の一つとして、アルミニウムをアルマイト処理することで微細凹凸構造を生成し、この凹凸部を樹脂などの成形材料に転写することで反射防止物品を製造する方法が採用されてきている。アルマイト処理により形成した凹凸パターンとして、円錐や四角錐などの錐形体が報告されている。
アルミニウムにアルマイト処理を施し、この表面を鋳型(スタンパ)として転写物を製造する場合、スタンパ表面がそのまま転写物に反映されるため、その表面の品質が重要である。この表面品質に影響を与えるものとして、素材中の「第2相粒子」、「結晶粒度」、「結晶方位」と素材の「鏡面研磨性」が挙げられている。そして、「第2相粒子」とその他の項目(「結晶粒度」、「結晶方位」、「鏡面研磨性」)は相反する側面があるとされている。
一般的に、「第2相粒子」は可視光の波長程度以上の相当直径を持つものが表面に存在するとアルマイト処理時に欠陥となる。この欠陥は、スタンパの転写物の凹凸となるため反射光の吸収若しくは散乱が妨げられ好ましくない。一方「第2相粒子」の可視光の波長よりも微小なものが表面に存在する場合でも、アルマイト処理時の欠陥の原因となる。この欠陥が連続して存在したり、可視光の波長程度以下の間隔で断続していたりすると、上記と同じ問題が生じ好ましくない。また、第2相粒子が可視光の波長以下の相当直径で、相当直径以上の近接距離で表面に散在する場合は、同様にアルマイト処理時の欠陥が生じる。しかし、これらによる反射光の吸収若しくは散乱の乱れは人の視覚では認識されない。
そのため、アルマイト処理皮膜の欠陥になりうるアルミニウム中の第2相粒子は極力少ないことが好ましい。その第2相粒子の元になる添加元素及び不純物が少ない純アルミニウムを適用することで、処理皮膜欠陥のない微細凹凸構造が得られることがわかっている。このため、スタンパの素材として純アルミニウムが用いられてきた(例えば特許文献1の段落〔0025〕参照)。
また、特許文献2には、アルミニウム基板上に、0.5〜10質量%のMgを含有するアルミニウム合金膜を形成し、このアルミニウム合金膜にアルマイト処理を施すことにより、規則性に優れた陽極酸化ポーラスアルミナが製造できる旨の記載がある。
特開2005−156695号公報 特開2005−232487号公報
しかしながら、純度の高いアルミニウムの結晶粒は、鋳造工程や塑性加工・焼鈍工程で粗大化し易く、目視にて目立つ粗い結晶粒はアルマイト面にも同様の粒界模様を作る。その結果、スタンパによる転写物にもこの模様が転写されてしまい見た目が損なわれてしまう。
すなわち、高い純度のアルミニウムでは結晶粒が粗くなりやすいため、結晶粒に起因した模様を微細化かつ均一化するために圧延・押出・鍛造等を行っている。しかし、圧延・押出といった塑性加工方法は、加工方向が一方向に限られているため、加工組織において加工方向に延びた筋状の結晶模様が発生しやすい。その結果、スタンパによる転写物にも同様の模様が発生しやすくなる。そこで、圧延・押出といった塑性加工方法を採用する場合は、加工方向を2以上とする複雑な加工が必要となる。
一方、鍛造では、自由に加工方向を入れ替えることで加工組織をコントロールすることができる。また、圧延・押出においては加工前後の寸法で加工度が決まる。一方、鍛造は焼鈍を挿みつつ加工方向を繰り返し入れ替えることで理論上は無限大の加工度を得ることができる。よって、鍛造による加工が好ましい。
なお、冷間加工+焼鈍による再結晶を行った場合、より大きい冷間加工を加えた方がより微細な結晶粒が得られ易いことは一般的に知られており、大きな加工度を取れる鍛造がこの点でも好ましい。
しかしながら、上記のような鍛造により微細な結晶粒としても、鍛造前に鋳造時の粗大な結晶粒の痕跡がある場合(図1参照)、鍛造後に結晶方位のムラとなって残ってしまう(図2参照)。そのため、鍛造後の結晶粒の微細化はもちろん重要だが、その素材となる鋳塊の結晶粒を微細化することが必要となる。
一般的に、鋳造直前の溶湯に微細化剤(例えばAl−Ti−B系)を添加することで鋳造組織を微細にすることができる。しかし、純度の高いアルミニウム場合は微細化しにくいため、微細化剤の添加量が多くなる。その結果、その微細化剤に起因した第2相粒子(例えばTiB)の増加がアルマイト面の表面品質を損なってしまう。
また、Mg(マグネシウム)含有率が低く純度の高いアルミニウムは、軟らかいため、切削加工性や研磨性に劣り、アルミニウム原型表面を平滑に仕上げることが難しい。切削加工や研磨後に残る凹凸はそのままアルマイト後の表面にも残ってしまうため、仕上げる切削・研磨費用の増加に繋がる。
ところで、前記特許文献2では、0.5〜10質量%のMgを添加することにより規則性に優れた陽極酸化ポーラスアルミナを得ている。しかし、特許文献2は、Mg含有アルミニウム合金膜をスパッタ法によるため、特にロール形状のスタンパを形成する際には、特殊な装置が必要となり、コストが増大してしまう。また、Mg添加量が10質量%までと比較的多量であるため、第2相粒子の量が制御できていない。
本発明は、このような、相反する問題を解消すべく案出されたものである。本発明は、鋳造時のアルミニウムの結晶粒を微細化することで、塑性加工及び焼鈍の回数低減を可能とし、かつ、第2相粒子の生成を抑制し、加えて鏡面研磨による凹凸を低減することを目的とする。これにより、本発明は、陽極酸化処理後に方向性のない均一な凹凸模様の形成が可能なスタンパ用アルミニウム原型、並びにそれを用いたスタンパを低コストで提供することを目的とする。
上記課題を解決する本願は、以下の態様を有する。
[1]Mgを0.5〜3.0質量%含有し、不可避的不純物を含めてMg以外の元素が合計で500ppm以下であり、残部がAlからなる成分組成と、平均結晶粒径が1000μm以下であり、かつ第2相粒子の面積率が0.10%以下である鋳造組織を有することを特徴とするスタンパ用アルミニウム原型用素材。
[2]不可避的不純物としてのFeの含有量が200ppm以下及びSiの含有量が100ppm以下である請求項1に記載のスタンパ用アルミニウム原型用素材。
[3]前記不可避的不純物を含めてMg以外の元素を10ppmを超えて含有することを特徴とする、[1]または[2]に記載のアルミニウム原型用素材。
[4]Mgを0.5〜3.0質量%含有し、不可避的不純物を含めてMg以外の元素が合計で500ppm以下であり、残部がAlからなる成分組成と、平均結晶粒径が1000μm以下であり、かつ第2相粒子の面積率が0.10%以下である金属組織を有することを特徴とするスタンパ用アルミニウム原型。
[5]不可避的不純物としてのFeの含有量が200ppm以下及びSiの含有量が100ppm以下である[4]に記載のスタンパ用アルミニウム原型。
[6]前記不可避的不純物を含めてMg以外の元素を10ppmを超えて含有することを特徴とする、[4]または[5]に記載のスタンパ用アルミニウム原型。
[7]Tiの含有量が5ppm以上20ppm以下である、[4]〜[6]のいずれか一項に記載のスタンパ用アルミニウム原型。
[8]塑性加工が施されることにより平均結晶粒径が100μm以下にされた金属組織を有する[4]〜[7]のいずれか一項に記載のスタンパ用アルミニウム原型。
[9]前記塑性加工が鍛造である[4]に記載のスタンパ用アルミニウム原型。
[10]さらに、20〜60HVの硬度を有する[4]〜[9]のいずれか一項に記載のスタンパ用アルミニウム原型。
[11]Mgを0.5〜3.0質量%含有し、不可避的不純物を含めてMg以外の元素が合計で500ppm以下であり、残部がAlからなる成分組成であって、平均結晶粒径が1000μm以下であり、かつ第2相粒子の面積率が0.10%以下である金属組織からなるアルミニウム原型と、表面に微細凹凸構造を有する酸化アルミニウム層と、を有するスタンパ。
[12]前記アルミニウム原型は、不可避的不純物を含めてMg以外の元素を10ppmを超えて含有することを特徴とする、[11]に記載のスタンパ。
[13][11]または[12]に記載のスタンパの製造方法であって、アルミニウム原型の表面を電解液中、定電圧下で陽極酸化して、表面に酸化皮膜を形成する第1の酸化皮膜形成工程(a)と、前記第1の酸化被膜形成工程(a)の後、アルミニウム原型の酸化皮膜を除去する酸化皮膜除去工程(b)と、前記酸化皮膜除去工程(b)の後、アルミニウム原型を電解液中で再度陽極酸化して微細凹凸構造を有する酸化皮膜を形成する第2の酸化皮膜形成工程(c)と、を含むことを特徴とするスタンパの製造方法。
[14][13]に記載のスタンパの製造方法であって、前記第2の酸化皮膜形成工程(c)の後、アルミニウム原型を、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して細孔の径を拡大させる孔径拡大処理工程(d)と、前記孔径拡大処理工程(d)の後、アルミニウム原型を電解液中で再度陽極酸化する繰り返し工程(e)と、前記孔径拡大処理工程(d)と繰り返し工程(e)を繰り返し行い、微細凹凸構造を有する酸化皮膜を得る工程(f)と、をさらに含むことを特徴とする、スタンパの製造方法。
[15][11]に記載のスタンパの表面の微細凹凸構造を、透明基材の表面に転写する、微細凹凸構造を有する透明物品の製造方法
なお、本発明では、アルミニウム原型用素材或いはアルミニウム原型に含まれる、不可避的不純物を含めてMg以外の元素の含有量を合計で500ppm以下と制限している。通常、アルミニウムにはFe,Mn,Si,Ti及びB等が不可避的に含まれている。これら不可避的元素の内、Ti及びBは、本発明のアルミニウム原型用素材或いはアルミニウム原型を構成する合金成分としては不純物として取り扱うべきである。しかしながら、鋳造時の結晶組織微細化のために、このTi及びB等を、ppmオーダーで積極的に添加している。そこで、上記のように「不可避的不純物を含めてMg以外の元素」と表記している。
本発明によれば、アルミニウム溶湯に含まれるMgを0.5〜3.0質量%に制限し、しかも不可避的不純物を含め、Mg以外の元素を合計で500ppm以下に制限することにより、平均結晶粒径が1000μm以下であり、かつ第2相粒子の面積率が0.10%以下のアルミニウム鋳塊を得ることができる。この鋳塊に必要により鍛造等の塑性加工を施すことにより、微細かつ方位の均一な結晶粒を有し、併せて第2相粒子の出現が抑制されたスタンパ用アルミニウム原型が得られる。この原型は高硬度をも有しているため、表面研磨により平滑な表面を容易に形成することができる。その後に陽極酸化処理すれば、方向性のない均一な模様の凹凸転写面が容易に形成することができ、その結果、精度の高いスタンパを安価に提供できる。
高純度アルミニウムの鋳造組織を示す写真 高純度アルミニウムの鍛造組織を示す写真 本アルミニウム合金の鍛造組織を示す写真 実施例1における鍛造材表面のエッチング後の外観を示す写真 実施例2における鍛造材表面のエッチング後の外観を示す写真 実施例3における鍛造材表面のエッチング後の外観を示す写真 比較例1における鍛造材表面のエッチング後の外観を示す写真 比較例2における鍛造材表面のエッチング後の外観を示す写真 比較例3における鍛造材表面のエッチング後の外観を示す写真 表面に陽極酸化アルミナを有するスタンパの製造工程を示す断面図である。 本発明の反射防止物品に用いる反射防止フィルムの製造装置の一例を示す構成図である。
第2相粒子の生成を抑えるために純度の高いアルミニウムを選択すると、鋳造組織及び塑性加工・熱処理による再結晶組織において、両方の結晶粒が粗くなりやすい。また、素材が軟らかいため鏡面研磨性に劣る。一般的に、この問題を低減するため、アルミニウムに合金元素の添加が行われるが、合金元素に起因した第2相粒子が生成しやすくなる。
そこで、アルミニウムに対する固溶限が広く、かつ、第2相粒子を生成しにくいMgに着目し、Mgをアルミニウムに添加した。Mgの添加は、固溶強化による硬度アップにより鏡面切削性の向上が期待でき、アルミニウムに添加される元素の中では一般的なものであるため、安価に添加できるメリットがある。また、鋳造時の結晶粒微細化のために、純度の高いアルミニウムでは大量に添加が必要な微細化剤(例えばAl−Tl−B系)が少量で済むようになり、この微細化剤に起因する第2相粒子(TiB等)も低減することができる。
ただし、この場合の欠点として、Mgと第2相粒子を生成するSi等の他元素が第2相粒子の総量を増加させることと、Mgは固溶しやすいが、特定の濃度・温度域で第2相粒子を生成する場合があること、及びMg等を添加することにより変形抵抗が大きくなるため鍛造等の塑性加工の費用が増加してしまうことが挙げられる。
そのため、Mgの添加濃度と不可避的不純物を含めてMg以外の他の元素の含有量には上限がある。また、Mg添加のみでは結晶粒の微細化が不十分である場合は、鋳造方法・塑性加工・熱処理の最適化を図ることが必要となる。
そこで、本発明者等は、上記観点から、まず、Mg含有量の最適範囲を探索するとともに、他の元素の上限を探索した。
そして、所望のスタンパを得るには、原型素材としてのアルミニウム鋳塊が、Mgを0.5〜3.0質量%含有し、不可避的不純物を含めてMg以外の元素が合計で500ppm以下であり残部がAlからなる成分組成と、平均結晶粒径が1000μm以下であり、かつ第2相粒子の面積率が0.10%以下である鋳造組織を有している必要があることを見出した。
そして、その後必要により鍛造等の塑性加工を受けて、平均結晶粒径が100μm以下であり、かつ第2相粒子の面積率が0.10%以下である金属組織を有する原型を得、その表面にアルマイト処理を施すと、方向性のない均一な凹凸模様を呈するスタンパが低コストで得られることがわかった。
以下に、その詳細及び好ましい態様、並びにその製造方法等を説明する。
組成
一般的に使われているアルミニウム地金の純度は99.7%であるが、第2相粒子が少ないはずの純アルミニウムの場合でも500ppm超の不純物を含んでいる。そして、このような純度99.9質量%程度の純アルミニウム素材でも第2相粒子が多くスタンパ表面の品質としては不十分である。そのため、Mg添加により第2相粒子が生成しやすくなっている本合金では、素原料として高純度アルミニウムを用いることが必要となる。
Mg添加濃度が3質量%を超えると、66〜180℃の温度域で第2相粒子(AlMg)を生成しやすくなる。製造工程に含まれる加工、特に熱間鍛造・焼鈍は再結晶温度(300℃)以上で行われるが、その昇温・冷却過程では短い時間だが66〜180℃の温度域に晒される。また、この製造工程のみならず、スタンパの使用条件にも影響を与える。例えば、アルマイト面の劣化によりスタンパの寿命が来てしまった場合、アルマイト面を再切削して除去し、再アルマイト処理することでスタンパを再生することができる。しかしながら、スタンパの使用温度が66〜180℃の場合、第2相粒子(AlMg)が発生してしまうためスタンパの再生ができず、コストアップに繋がる。あるいは、再アルマイト処理による再生を行う場合は、スタンパの使用温度が66〜180℃以外に限定される。そのため、Mg添加濃度は3質量%以下とする。更に、Mgの固溶強化による変形抵抗を抑え鍛造費用を低減するためには2質量%以下にすることが好ましい。ただし、Mg添加濃度を低くしすぎると塑性加工・熱処理による再結晶後の結晶粒が粗くなりやすいため、0.5質量%以上が良い。Mg添加濃度を0.5質量%未満とし、かつ、鍛造による加工度を上げることにより、再結晶の駆動力となる歪の蓄積を増やし結晶粒の微細化を行うこともできる。しかし、逆に鍛造費用の増加をまねき好ましくない。このように、Mgの添加量の上限は、3%以下とすることが好ましく、2%以下とすることが更に好ましく、1.5%以下とすることがよりに好ましい。Mgの添加量の下限は、0.5%以上とすることが好ましく、0.6%以上とすることが更に好ましい。
なお、Mgの含有による固溶強化のため、アルミニウム鋳塊の硬度が高くなっており、塑性加工の際の加工程度を減らしても硬度が高い素材が得られる。そのため、平均結晶粒径100μm以下のような高い均一性を要求されない場合は、鋳造時に結晶粒が1000μm以下に微細化されているため、後述の熱間鍛造及び/又は冷間鍛造を省いても表面研磨を効果的に行うことができ、これをアルミニウム原型として用いる。これにより、塑性加工を省いた、又は程度を減らしたアルミニウム原型に陽極酸化処理をすることができるため、コストを低減することができる。また、結晶粒が100μm程度の微細化が必要な場合には、後述の塑性加工を行う。鋳造後に塑性加工した素材も高い硬度が保たれており、鏡面研磨が効果的に行なわれ、研磨後の凹凸を少なくすることができる。
Mg以外の不純物は、アルミニウム中にほとんど固溶せず単独でも第2相粒子の原因となる元素(Fe・Mn等)や高温では固溶するものの室温では第2相粒子として析出する元素(Cu等)が存在しており、合計量で500ppm以下とする。これにより、鋳塊及びアルミニウム原型の第2相粒子の面積率を0.10%以下に抑えることができる。特にSiは、もともと高純度アルミニウム中に多く含まれることに加え、鋳造工程にて溶湯と触れる耐火物(シリカ(SiO)・シリコンカーバイド(SiC)等)からの溶出汚染が多いため、濃度が高くなりやすい。また、本合金のようなMgの存在下では容易に第2相粒子(MgSi)を生成しやすいため、Si濃度は100ppm以下が好ましく、50ppm以下が更に好ましく、30ppm以下とすることがより好ましい。Feは、Siの次に高純度アルミニウム中に多く含有される不純物でありアルミニウム中にはほとんど固溶しない。そのため、Fe単独でも第2相粒子の原因となるため、200ppm以下とすることが好ましく、150ppm以下とすることが更に好ましく、10ppm以下とすることがより好ましい。また、Fe濃度は、3ppm以上とすることが好ましく、5ppm以上とすることが更に好ましくい。Fe濃度が3ppm未満となるアルミニウムの調整は容易ではなく、スタンパ用アルミニウム原型及びスタンパの製造費用の多大な増加をまねき好ましくない。
なお、鋳造組織の微細化を容易に行なわせるために、微細化剤を添加することが好ましい。従来、微細化剤としてAl−Ti−B系合金、Al−Ti−C系合金などの形態で添加することが行われている。例えば、Al−Ti−B系母合金を添加する場合、Ti濃度が添加前と比べて5ppm以上100ppm以下上昇する程度に、B濃度が添加前と比べて1ppm以上20ppm以下上昇する程度に添加するのが良い。Tiの添加量の上限は、30ppm以下とすることが好ましく、20ppm以下とすることが更に好ましい。また、Tiの添加量の下限は、5ppm以上とすることが好ましく、7ppm以上とすることが更に好ましく、10ppmを超えることがより好ましい。Tiの添加量が5ppmを下回ると、結晶粒の大きさを十分に小さくできなくなる恐れがある。また、Tiの添加量が20ppmを上回ると、このような素材を用いてスタンパを作成し、透明物品を作成したときに透明物品のヘイズが大きくなってしまう恐れがある。このTi,Bも、前記不可避的不純物を含め、Mg以外の元素が合計で500ppm以下となる範囲で添加する必要がある。Mg以外の元素が合計は100ppm以下であることが更に好ましく、70ppm以下であることがより好ましい。
また、Mg以外の元素が合計で10ppmを超えるように含有されている必要がある。Mg以外の不可避的不純物が10ppm以下となると、結晶粒が粗大になってしまう恐れがある。特に微細化剤の添加後のTi濃度が5ppm以上とすることが好ましく、Ti、Feなどの不可避的不純物を含めMg以外の元素の含有量は10ppmを超えることが好ましく、15ppm以上であることが更に好ましい。また、不可避的不純物の含有量を10ppm以下とするには、非常に高純度のアルミニウムを用意する必要があるが、そのようなアルミニウムの調整は容易ではなく、スタンパ用アルミニウム原型及びスタンパの製造費用の多大な増加をまねき好ましくない。
鋳造
鋳塊の粗大な結晶粒の痕跡が塑性加工・熱処理後にも粗大に残ってしまうため、鋳塊の結晶粒を微細にすることは重要である。しかし、高純度アルミニウムの鋳造組織は粗く、その結晶粒度は、図1に見られるように、センチメートルオーダーである。
そのため、アルミニウムの鋳塊の微細化のためには、一般的にAl−Ti−B系やAl−Ti−C系などの微細化剤を鋳造直前に溶湯に加えTiB粒子やTiC粒子を核として結晶核の発生数を増やすことが行われる。例えばAl−Ti−B系合金を添加する際、元々含まれていたTiやBは凝集し、ほとんど微細化能力を持たない。しかしながら、純度99.95%以上の純度の高いアルミニウムの場合、通常の微細化剤の添加量(Ti濃度上昇量で5〜100ppm、B濃度上昇量で1〜20ppm)では微細化せず、Ti濃度上昇量で350ppm、B濃度上昇量で70ppmの添加量でも微細化しなかった。微細化剤の過剰な添加は、第2相粒子(TiB)の増加につながりスタンパ表面の欠陥の原因となる。
一方、本合金は、原料に高純度アルミニウムを使用しているもののMgが添加されているため高純度アルミニウムではない。その結果、Ti濃度上昇量で8ppm、B濃度上昇量で2ppm程度の少量の微細化剤で、図3に見られるように、200〜500μm程度の微細結晶粒を得ることが可能となる。
なお、本明細書中でスタンパ用アルミニウム原型素材とは、鋳造後、塑性加工前のアルミニウム合金のことをいう。
塑性加工
上記、鋳造組織の微細化により結晶方位に起因した不均一さは軽減できるが、まだ結晶粒度が200〜500μmあり、目視にて目立たなくなる100μm以下を満たしていない。そこで、組織を微細化させるために、アルミニウム原型素材に塑性加工を施す。塑性加工としては、圧延、押出、及び自由鋳造などが挙げられる。塑性加工は圧延・押出などでもよいが、圧延・押出といった塑性加工方法では加工方向が限られているため鋳塊の結晶粒が加工方向に延びた加工組織となり、熱処理による再結晶後にも加工組織の痕跡が加工方向に残ってしまい、筋っぽい組織となってしまう。このため、2方向以上の加工が必要である。一方、自由鍛造は加工方向を自由に選べるため、異方性が無いランダムな組織を作る上で有利であるため好ましい。
また、圧延・押出は加工方向が限られているため、塑性加工前の素材寸法と加工後の寸法にて加工度が決まってしまう。一方、自由鍛造は加工方向を入れ替えることで塑性加工を繰り返し加えることができるため、より大きな加工度を得ることができる。より大きな加工度は再結晶の駆動力となる歪の蓄積につながり、この歪の蓄積は再結晶組織をより微細とし、アルマイト皮膜を鋳型とした転写物の均一性に寄与するため、より微細な結晶粒を得たいときには鍛造処理が好ましい。
この鍛造は、比較的粗い鋳造組織を破壊し微細均一化を主目的とする熱間鍛造と熱間鍛造により微細均一化した素材を更に微細化することを主目的とする冷間鍛造・焼鈍に大別される。
熱間鍛造
熱間鍛造に先立つ予熱温度は重要であり、低温すぎると鍛造時に再結晶が起こらないため均一化が期待できず、高温すぎると予熱時の粒成長が頗著となり粗大な結晶粒が生じ、これの痕跡が冷間鍛造後も残ってしまう。予熱温度は350〜470℃が好ましく、420℃に近いほど好ましい。熱間鍛造は(2/3U−1.5S)×3サイクルを基本とし、より高い均一性が求められる場合には再予熱後に同様の熱間鍛造を繰り返す。ここで、2/3Uや1.5Sやという表記はJISにて定義されているように、2/3Uとは鍛錬成形比2/3のスエ込鍛錬を示し、1.5Sとは鍛錬成形比1.5の実体鍛錬を示す。このスエ込鍛錬(upset forging)と実体鍛錬(solid forging)の順序は問わず、逆になっても良い。
鍛造のサイクル回数は多い方が均一組織を得られ易いが、鍛造時間の増加による鍛造材の温度の低下が大きくなる。この温度低下により鍛造材の温度が300℃未満になると再結晶を起こし難くなり、熱間鍛造の第一の目的である組織の均一化が起こり難くなる。そのため予熱温度を高める必要がでてくるが、予熱温度を高めるとこの予熱の際に結晶粒の粗大化が起こりやすくなる。そのため、鍛造のサイクル回数は多い方が良いが3サイクル程度にとどめるのが良い。鍛造のサイクル回数を減らし鍛造中の温度低下を抑え、これにより予熱温度を下げることもできるが、この場合、均一組織を得るためにサイクル回数の減少を熱間鍛造・再加熱の回数を増やすことで補うことになり、工業的に現実的では無い。
また、(2S−1/2U)×3サイクルのように一度の鍛伸量・据込量を大きくすると同じサイクル回数でも歪の蓄積が多く結晶粒微細化の点では有利である。しかしながら、鍛造時に表面のシワが内部に巻き込まれやすく、このシワが後のアルマイト処理時に欠陥となって現れるため好ましくない。また、熱間鍛造による再結晶の代わりに冷間鍛造+焼鈍を繰り返すことによる再結晶も考えられるが、工数が増えてしまい工業的に現実的では無い。
高い均一性を要求されない場合は、鋳造時に200〜500μmに微細化されているため、この熱間鍛造を省くことができ鍛造コストを低減することができる。
冷間鍛造
冷間鍛造は再結晶粒の微細化のための歪の蓄積が主目的のため、より高い鍛錬比の方が微細化には有利である。しかしながら、鍛錬比が高すぎる場合、鍛造時に割れが入るため、鍛伸・据込を繰り返す場合でも(1.5S−2/3U)×2〜3サイクルに、鍛伸又は据込のみの場合でも2〜12S又は1/2〜1/12Uに留めるのが良い。また、冷間鍛造時には加工熱により鍛造材の温度が上昇する。歪の開放が顕著となる200℃を超えた場合は水冷・空冷等により冷却する方が良く、更に150℃以下に保つ方が好ましい。
なお、必要により熱間鍛造後、アルミニウム合金にポンチなどで中央部に穴を開けて、冷間鍛造を行うことで、中空鍛造を行ってもよい。例えば、熱間鍛造の最後に中央部に穴を開けて外径Φ508−内径Φ130×433Lとし、これを冷却後この内径部に芯金を通してから冷間鍛伸5.87Sを行い外径Φ240−内径Φ130×2543Lとすることで、後の切削工程で削ってしまう内径部分の素材が不必要となり素材歩留を向上させることができる。また、切削工程で中央部を削る中繰り加工が省略できるメリットがある。
焼鈍
鍛造後の焼鈍は、冷間鍛造にて蓄積された歪を駆動力とし再結晶を起こさせるために行う。焼鈍温度は重要であり、低すぎると再結晶が起こらず加工組織が残ってしまう。一方、高すぎると粒成長が起こってしまい粗大な結晶粒は生じてしまう。そのため、焼鈍温度の下限は再結晶が完了する280℃以上が良く、上限は粒成長による粗大化が顕著となる350℃以下が良く、更に結晶粒がより微細となる280℃に近いほど好ましい。
このようにして製造した素材を所望形状に切削加工してアルミニウム原型とする。
なお、本明細書中でスタンパ用アルミニウム原型とは、塑性加工後切削等を行い、陽極酸化する直前のアルミニウム合金のことをいう。なお、平均結晶粒径が100μm以下のような高い均一性を要求されない場合は、塑性加工を省いたアルミニウム合金をアルミニウム原型として用いることができる。アルミニウム原型は、板形状でもロール形状でもよいが、本発明による素材は切削加工によって容易に所望の形状を得ることができる。特に、アルミニウム原型は、ロール形状に切削し、表面をアルマイト処理することで、微細凹凸構造を連続的に転写でき、生産性を高めることが可能である。
以下に、アルミニウム原型の表面を陽極酸化することによって、ピッチが可視光の波長以下である複数の微細凹凸構造を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたスタンパの製造について説明する。
スタンパの製造方法としては、下記の工程を順に行う方法が好ましい。
第1の酸化皮膜形成工程(a):
鏡面化されたアルミニウム原型の表面を電解液中、定電圧下で陽極酸化して、表面に酸化皮膜を形成する(以下、工程(a)とも記す。)。
酸化皮膜除去工程(b):
酸化皮膜を除去し、陽極酸化の細孔発生点をアルミニウム原型の表面に形成する(以下、工程(b)とも記す。)。
第2の酸化皮膜形成工程(c):
細孔発生点が形成されたアルミニウム原型の表面を電解液中、定電圧下で再度陽極酸化して、細孔発生点に対応した細孔を有する酸化皮膜を表面に形成する(以下、工程(c)とも記す。)。
孔径拡大処理工程(d):
細孔の径を拡大させる(以下、工程(d)とも記す。)。
繰り返し工程(e):
必要に応じて、第2の酸化皮膜形成工程(c)と孔径拡大処理工程(d)とを繰り返し行う(以下、工程(e)とも記す。)。
工程(a)〜(e)を有する方法によれば、鏡面化されたアルミニウム原型の表面に、開口部から深さ方向に徐々に径が縮小するテーパ形状の細孔が周期的に形成され、その結果、複数の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたスタンパを得ることができる。
工程(a)の前に、アルミニウム原型の表面の酸化皮膜を除去する前処理を行ってもよい。酸化皮膜を除去する方法としてはクロム酸/リン酸混合液に浸漬する方法等が挙げられる。
また、細孔の配列の規則性はやや低下するが、スタンパの表面を転写した材料の用途によっては工程(a)を行わず、工程(c)から行ってもよい。
以下、各工程を詳細に説明する。
工程(a):
第1の酸化皮膜形成工程(a)では、鏡面化されたアルミニウム原型の表面を電解液中、定電圧下で陽極酸化し、図10に示すように、アルミニウム原型90の表面に、細孔31を有する酸化皮膜32を形成する。
電解液としては、酸性電解液、アルカリ性電解液が挙げられ、酸性電解液が好ましい。
酸性電解液としては、シュウ酸、硫酸、リン酸、これらの混合物等が挙げられる。
シュウ酸を電解液として用いる場合、シュウ酸の濃度は、0.7M以下が好ましい。シュウ酸の濃度が0.7Mを超えると、陽極酸化時の電流値が高くなりすぎて酸化皮膜の表面が粗くなることがある。
また、陽極酸化時の電圧を30〜60Vとすることにより、ピッチが100nm程度の規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたスタンパを得ることができる。陽極酸化時の電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向にあり、ピッチが可視光の波長より大きくなることがある。
電解液の温度は、60℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましい。電解液の温度が60℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象が起こる傾向にあり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
硫酸を電解液として用いる場合、硫酸の濃度は0.7M以下が好ましい。硫酸の濃度が0.7Mを超えると、陽極酸化時の電流値が高くなりすぎて定電圧を維持できなくなることがある。
また、陽極酸化時の電圧を25〜30Vとすることにより、ピッチが63nm程度の規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたスタンパを得ることができる。陽極酸化時の電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向があり、ピッチが可視光の波長より大きくなることがある。
電解液の温度は、30℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましい。電解液の温度が30℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象が起こる傾向にあり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
工程(a)では、陽極酸化を長時間施すことで形成される酸化皮膜が厚くなり、細孔の配列の規則性を向上させることができるが、その際、酸化皮膜の厚さを30μm以下とすることにより、結晶粒界によるマクロな凹凸がより抑制され、光学用途の物品の製造により適したスタンパを得ることができる。酸化皮膜の厚さは、1〜10μmがより好ましく、1〜3μmがさらに好ましい。酸化皮膜の厚さは、電界放出形走査電子顕微鏡等で観察できる。
工程(b):
工程(a)の後、工程(a)により形成された酸化皮膜32を除去することにより、図10に示すように、除去された酸化皮膜32の底部(バリア層と呼ばれる)に対応する周期的な窪み、すなわち、細孔発生点33を形成する。
形成された酸化皮膜32を一旦除去し、陽極酸化の細孔発生点33を形成することで、最終的に形成される細孔の規則性を向上させることができる(例えば、益田、「応用物理」、2000年、第69巻、第5号、p.558参照。)。
酸化皮膜32を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、アルミナを選択的に溶解する溶液によって除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。酸化被膜32は、その一部分を除去する方法で有っても良いが、本工程において酸化被膜32を完全に除去することで、より規則性の高い細孔を形成することができる。
工程(c):
細孔発生点33が形成されたアルミニウム原型90を電解液中、定電圧下で再度陽極酸化し、再び酸化皮膜を形成する。
工程(c)では、工程(a)と同様の条件(電解液濃度、電解液温度、化成電圧等)下で陽極酸化すればよい。
これにより、図10に示すように、円柱状の細孔34が形成された酸化皮膜35を形成できる。工程(c)においても、陽極酸化を長時間施すほど、深い細孔を得ることができるが、例えば反射防止物品などの光学用の物品を製造するためのスタンパを製造する場合には、ここでは0.01〜0.5μm程度の酸化皮膜を形成すればよく、工程(a)で形成するほどの厚さの酸化皮膜を形成する必要はない。
工程(d):
工程(c)の後、工程(c)で形成された細孔34の径を拡大させる孔径拡大処理を行って、図10に示すように、細孔34の径を拡径する。
孔径拡大処理の具体的方法としては、アルミナを溶解する溶液に浸漬して、工程(c)で形成された細孔の径をエッチングにより拡大させる方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。工程(d)の時間を長くするほど、細孔の径は大きくなる。
工程(e):
再度、工程(c)を行って、図10に示すように、細孔34の形状を径の異なる2段の円柱状とし、その後、再度、工程(d)を行う。このように工程(c)と工程(d)を繰り返す、繰り返し工程(e)により、図10に示すように、細孔34の形状を開口部から深さ方向に徐々に径が縮小するテーパ形状にでき、その結果、周期的な複数の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたスタンパ12を得ることができる。
工程(c)及び工程(d)の条件、例えば、陽極酸化の時間及び孔径拡大処理の時間を適宜設定することにより、様々な形状の細孔を形成することができる。よって、スタンパから製造しようとする物品の用途等に応じて、これら条件を適宜設定すればよい。例えば、陽極酸化工程とエッチング工程とを短い間隔で多数回繰り返すと、略円錐状の細孔を得ることができる。また、陽極酸化工程とエッチング工程の時間を調整することで逆釣鐘状や、先鋭形状の凹凸構造を形成することができ、適宜形状を変化させたスタンパを製造することができる。また、このスタンパが反射防止膜等の反射防止物品を製造するものである場合には、このように条件を適宜設定することにより、細孔のピッチや深さを任意に変更できるため、最適な屈折率変化を設計することも可能となる。
こうして製造されたスタンパは、多数の周期的な細孔が形成された結果、表面に微細凹凸構造を有するものとなる。そして、この微細凹凸構造における細孔のピッチが可視光の波長以下、すなわち400nm以下であると、いわゆるモスアイ構造となる。
ピッチは、微細凹凸構造の凹部(細孔)の中心からこれに隣接する凹部(細孔)の中心までの距離である。
ピッチが400nmより大きいと可視光の散乱が起こるため、十分な反射防止機能は発現せず、反射防止膜等の反射防止物品の製造には適さない。
スタンパが反射防止膜等の反射防止物品を製造するものである場合には、細孔のピッチが可視光の波長以下であるとともに、細孔の深さは、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましい。
深さは、微細凹凸構造の凹部(細孔)の開口部から最深部までの距離である。
細孔の深さが50nm以上であれば、スタンパの表面の転写により形成された光学用途の物品の表面、すなわち転写面の反射率が低下する。
また、スタンパの細孔のアスペクト比(深さ/ピッチ)は1.0〜4.0が好ましく、1.3〜3.5が好ましく、1.8〜3.5がさらに好ましく、2.0〜3.0が最も好ましい。アスペクト比が1.0以上であれば、反射率が低い転写面を形成でき、その入射角依存性や波長依存性も十分に小さくなる。アスペクト比が4.0より大きいと転写面の機械的強度が低下する傾向がある。
スタンパの微細凹凸構造が形成された表面は、離型が容易になるように、離型処理が施されていてもよい。離型処理の方法としては、例えば、シリコーン系ポリマーやフッ素ポリマーをコーティングする方法、フッ素化合物を蒸着する方法、フッ素系又はフッ素シリコーン系のシランカップリング剤をコーティングする方法等が挙げられる。
<物品の製造方法>
本発明のスタンパを用いて、微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法は、本発明のスタンパの表面の微細凹凸構造を、透明基材の表面に転写する方法である。具体的には、本発明のスタンパと透明基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填し、これに活性エネルギー線を照射して硬化させて、スタンパの微細凹凸構造が転写された硬化樹脂層を透明基材の表面に形成し、硬化樹脂層が表面に形成された透明基材をスタンパから剥離する方法(いわゆる光インプリント法)が挙げられる。
(透明基材)
基材の形状としては、フィルム、シート、射出成形品、プレス成形品等が挙げられる。
基材の材質としては、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、ガラス等が挙げられる。
(製造装置)
微細凹凸構造を表面に有する物品は、例えば、図11に示す製造装置を用いて、下記のようにして製造される。
表面に微細凹凸構造(図示略)を有するロール状スタンパ20と、ロール状スタンパ20の表面に沿って移動する帯状のフィルム42(透明基材)との間に、タンク22から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給する。
ロール状スタンパ20と、空気圧シリンダ24によってニップ圧が調整されたニップロール26との間で、フィルム42及び活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をニップし、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、フィルム42とロール状スタンパ20との間に均一に行き渡らせると同時に、ロール状スタンパ20の微細凹凸構造の凹部内に充填する。
ロール状スタンパ20の下方に設置された活性エネルギー線照射装置28から、フィルム42を通して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させることによって、ロール状スタンパ20の表面の微細凹凸構造が転写された硬化樹脂層44を形成する。
剥離ロール30により、表面に硬化樹脂層44が形成されたフィルム42をロール状スタンパ20から剥離することによって、表面に微細凹凸構造を有する物品40を得る。
活性エネルギー線照射装置28としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が好ましく、この場合の光照射エネルギー量は、100〜10000mJ/cmが好ましい。
フィルム42は、光透過性フィルムである。フィルムの材料としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、ポリエステル、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、脂環式ポリオレフィン等が挙げられる。
硬化樹脂層44は、後述の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる膜であり、表面に微細凹凸構造を有する。
陽極酸化アルミナのスタンパを用いた場合の物品40の表面の微細凹凸構造は、陽極酸化アルミナの表面の微細凹凸構造を転写して形成されたものであり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる複数の凸部46を有する。
微細凹凸構造としては、略円錐形状、角錐形状等の突起(凸部)が複数並んだ、いわゆるモスアイ構造が好ましい。突起間の間隔が可視光の波長以下であるモスアイ構造は、空気の屈折率から材料の屈折率へと連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となることが知られている。
凸部間の平均間隔は、可視光の波長以下、すなわち400nm以下が好ましい。陽極酸化アルミナのスタンパを用いて凸部を形成した場合、凸部間の平均間隔は100nm程度となることから、200nm以下がより好ましく、150nm以下が特に好ましい。
凸部間の平均間隔は、凸部の形成のしやすさの点から、20nm以上が好ましい。
凸部間の平均間隔は、電子顕微鏡観察によって隣接する凸部間の間隔(凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部の高さは、平均間隔が100nmの場合は、80〜500nmが好ましく、120〜400nmがより好ましく、150〜300nmが特に好ましい。凸部の高さが80nm以上であれば、反射率が十分低くなり、かつ反射率の波長依存性が少ない。凸部の高さが500nm以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。
凸部の高さは、電子顕微鏡によって倍率30000倍で観察したときにおける、凸部の最頂部と、凸部間に存在する凹部の最底部との間の距離を測定した値である。
凸部のアスペクト比(凸部の高さ/凸部間の平均間隔)は、0.5〜5.0が好ましく、0.8〜4.5がより好ましく、1.2〜4.0が特に好ましい。凸部のアスペクト比が0.5以上であれば、超親水性膜や超撥水性膜として充分に使用できる。凸部のアスペクト比が5.0以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。
凸部の形状は、高さ方向と直交する方向の凸部断面積が最表面から深さ方向に連続的に増加する形状、すなわち、凸部の高さ方向の断面形状が、三角形、台形、釣鐘型等の形状が好ましい。
低反射物品を作製する場合、硬化樹脂層44の屈折率とフィルム42の屈折率との差は、0.2以下が好ましく、0.1以下がより好ましく、0.05以下が特に好ましい。屈折率差が0.2以下であれば、硬化樹脂層44とフィルム42との界面における反射が抑えられる。屈折率差は少なければ少ないほど好ましい。
表面に微細凹凸構造を有する場合、その表面が疎水性の材料から形成されていればロータス効果により超撥水性が得られ、その表面が親水性の材料から形成されていれば超親水性が得られることが知られている。
硬化樹脂層44の材料が疎水性の場合の微細凹凸構造の表面の水接触角は、90゜以上が好ましく、110゜以上がより好ましく、120゜以上が特に好ましい。水接触角が90゜以上であれば、水汚れが付着しにくくなるため、十分な防汚性が発揮される。また、水が付着しにくいため、着氷防止を期待できる。撥水製品では、接触角は大きければ大きいほど好ましい。
硬化樹脂層44の材料が親水性の場合の微細凹凸構造の表面の水接触角は、25゜以下が好ましく、23゜以下がより好ましく、21゜以下が特に好ましい。水接触角が25゜以下であれば、表面に付着した汚れが水で洗い流され、また油汚れが付着しにくくなるため、十分な防汚性が発揮される。前記水接触角は、硬化樹脂層44の吸水による微細凹凸構造の変形、それに伴う反射率の上昇を抑える点から、3゜以上が好ましく、より好ましくは5°以上である。
また、表面に微細凹凸構造を有する物品を表示装置などの光学用途に用いる場合、物品のヘイズは1.5%以下であることが好ましく、1.3%以下とすることが更に好ましい。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、重合性化合物及び重合開始剤を含む。
重合性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合及び/又はカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、単官能モノマー、多官能モノマーが挙げられる。
単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等の二官能性モノマー;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の三官能モノマー;コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能以上のモノマー;二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられ、エポキシ基を有するモノマーが特に好ましい。
オリゴマー又は反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独又は共重合ポリマー等が挙げられる。
光硬化反応を利用する場合、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化反応を利用する場合、熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;前記有機過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。
重合開始剤の量は、重合性化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。重合開始剤の量が0.1質量部未満では、重合が進行しにくい。重合開始剤の量が10質量部を超えると、硬化膜が着色したり、機械強度が低下したりすることがある。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、非反応性のポリマー、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物、帯電防止剤、防汚性を向上させるためのフッ素化合物等の添加剤、微粒子、少量の溶媒を含んでいてもよい。
非反応性のポリマーとしては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン等が挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、メチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケート等が挙げられる。
(疎水性材料)
硬化樹脂層の微細凹凸構造の表面の水接触角を90°以上にするためには、疎水性の材料を形成し得る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、フッ素含有化合物又はシリコーン系化合物を含む組成物を用いることが好ましい。
フッ素含有化合物:
フッ素含有化合物としては、フッ素含有モノマー、フッ素含有シランカップリング剤、フッ素含有界面活性剤、フッ素含有ポリマー等が挙げられる。
フッ素含有モノマーとしては、フルオロアルキル基置換ビニルモノマー、フルオロアルキル基置換開環重合性モノマー等が挙げられる。
フルオロアルキル基置換ビニルモノマーとしては、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリレート、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリルアミド、フルオロアルキル基置換ビニルエーテル、フルオロアルキル基置換スチレン等が挙げられる。
フルオロアルキル基置換開環重合性モノマーとしては、フルオロアルキル基置換エポキシ化合物、フルオロアルキル基置換オキセタン化合物、フルオロアルキル基置換オキサゾリン化合物等が挙げられる。
フッ素含有シランカップリング剤としては、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリアセトキシシラン、ジメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
フッ素含有界面活性剤としては、フルオロアルキル基含有アニオン系界面活性剤、フルオロアルキル基含有カチオン系界面活性剤等が挙げられる。
フッ素含有ポリマーとしては、フルオロアルキル基含有モノマーの重合体、フルオロアルキル基含有モノマーとポリ(オキシアルキレン)基含有モノマーとの共重合体、フルオロアルキル基含有モノマーと架橋反応性基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。フッ素含有ポリマーは、共重合可能な他のモノマーとの共重合体であってもよい。
シリコーン系化合物:
シリコーン系化合物としては、(メタ)アクリル酸変性シリコーン、シリコーン樹脂、シリコーン系シランカップリング剤等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸変性シリコーンとしては、シリコーン(ジ)(メタ)アクリレート等が挙げられ、例えば、信越化学工業社製のシリコーンジアクリレート「x−22−164」「x−22−1602」等が好ましく用いられる。
(親水性材料)
硬化樹脂層の微細凹凸構造の表面の水接触角を25°以下にするためには、親水性の材料を形成し得る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、少なくとも親水性モノマーを含む組成物を用いることが好ましい。また、耐擦傷性や耐水性付与の観点からは、架橋可能な多官能モノマーを含むものがより好ましい。なお、親水性モノマーと架橋可能な多官能モノマーは、同一(すなわち、親水性多官能モノマー)であってもよい。さらに、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、その他のモノマーを含んでいてもよい。
親水性の材料を形成し得る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、4官能以上の多官能(メタ)アクリレート、2官能以上の親水性(メタ)アクリレート、必要に応じて単官能モノマーを含む組成物を用いることがより好ましい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:2:4の縮合反応混合物、ウレタンアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL220、EBECRYL1290、EBECRYL1290K、EBECRYL5129、EBECRYL8210、EBECRYL8301、KRM8200)、ポリエーテルアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL81)、変性エポキシアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL3416)、ポリエステルアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL450、EBECRYL657、EBECRYL800、EBECRYL810、EBECRYL811、EBECRYL812、EBECRYL1830、EBECRYL845、EBECRYL846、EBECRYL1870)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、5官能以上の多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートの割合は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を構成する全モノマーの合計に対し、10〜90質量%が好ましく、20〜90質量%がより好ましく、30〜90質量%が特に好ましい。4官能以上の多官能(メタ)アクリレートの割合が10質量%以上であれば、弾性率が高くなって耐擦傷性が向上する。4官能以上の多官能(メタ)アクリレートの割合が90質量%以下であれば、表面に小さな亀裂が入りにくく、外観不良となりにくい。
2官能以上の親水性(メタ)アクリレートとしては、アロニックスM−240、アロニックスM260(東亞合成社製)、NKエステルAT−20E、NKエステルATM−35E(新中村化学社製)等の長鎖ポリエチレングリコールを有する多官能アクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエチレングリコールジメタクリレートにおいて、一分子内に存在するポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位の合計は、6〜40が好ましく、9〜30がより好ましく、12〜20が特に好ましい。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が6以上であれば、親水性が十分となり、防汚性が向上する。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が40以下であれば、4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとの相溶性が良好となり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が分離しにくい。
2官能以上の親水性(メタ)アクリレートの割合は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を構成する全モノマーの合計に対し、3〜90質量%が好ましく、3〜70質量%がより好ましい。2官能以上の親水性(メタ)アクリレートの割合が3質量%以上であれば、親水性が十分となり、防汚性が向上する。2官能以上の親水性(メタ)アクリレートの割合が90質量%以下であれば、弾性率が高くなって耐擦傷性が向上する。
単官能モノマーとしては、親水性単官能モノマーが好ましい。
親水性単官能モノマーとしては、M−20G、M−90G、M−230G(新中村化学社製)等のエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等のエステル基に水酸基を有する単官能(メタ)アクリレート、単官能アクリルアミド類、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート等のカチオン性モノマー類等が挙げられる。
また、単官能モノマーとして、アクリロイルモルホリン、ビニルピロリドン等の粘度調整剤、物品本体への密着性を向上させるアクリロイルイソシアネート類等の密着性向上剤等を用いてもよい。
単官能モノマーの割合は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を構成する全モノマーの合計に対し、0〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。単官能モノマーを用いることにより、基材と硬化樹脂との密着性が向上する。単官能モノマーの割合が20質量%以下であれば、4官能以上の多官能(メタ)アクリレート又は2官能以上の親水性(メタ)アクリレートが不足することなく、防汚性又は耐擦傷性が十分に発現する。
単官能モノマーは、1種又は2種以上を(共)重合した低重合度の重合体として活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に0〜35質量部配合してもよい。低重合度の重合体としては、M−230G(新中村化学社製)等のエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート類と、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェートとの40/60共重合オリゴマー(MRCユニテック社製、MGポリマー)等が挙げられる。
以下の実施例、比較例では、得られた加工品、すなわちアルミニウム原型をHCl:HNO:HF=75:25:5のエッチング液にてエッチングし、評価に供している。
評価方法は、結晶粒度については求積法を用いた。第2相粒子については、EPMAによる直接観察により第2相粒子の面積率と個数で行った。結晶方位の不均一さについては、エッチング彼の外観観察にて行なった。
なお、鏡面研磨性は、一般的に硬度が高い素材の方が平坦に仕上げ易いため、硬度にて代用した。
実施例1;純度99.995質量%のアルミニウムに1.04質量%のMgを添加し溶解した。この溶湯を508mm厚×1110mm巾のDC鋳造鋳型にて、鋳造温度680℃、鋳造速度52mm/min、冷却水量230L/min/鋳型長さ1m当りの鋳造条件にて長さ3850mmの鋳塊を鋳造した。
この鋳造の際、鋳型へ流れ込む溶湯へ微細化剤(Al−Ti−B)をTi濃度上昇量が8ppm、B濃度上昇量が2ppmになるように連続的に添加し、アルミニウムの純度が98.96%、Si含有量が20ppm、Fe含有量が9ppm、Ti含有量が9ppm、B含有量が4ppm、Mg以外の他の元素含有量の合計が57ppmの鋳塊とした。このときの平均結晶粒径は350μm、硬度は32HVであった。
この鋳塊より331mm×331mm×508mmを切出し後の鍛造素材とした。この鍛造素材を369℃まで加熱し0.75U−(1.5S−2/3U)×3サイクルの1回目の熱間鍛造を行い325℃にて終えた。ついで360℃に再加熱を行った後に(1.5S−2/3U)×3サイクルの2回目の熱間鍛造を行い319℃にて終えた。
この素材を30℃まで冷却後、(1.5S−2/3U)×2サイクル−3.1Sの冷間鍛造を行い、Φ245mm×1180mm巾の形状とし173℃にて終えた。
この鍛造塊を300℃にて60min焼鈍し、これよりΦ240mm×20mmを切出し、評価用のサンプルとするためフライス加工・研磨を行った。
前記評価方法で結晶粒度、第2相粒子、結晶方位の不均一さ、及び鏡面研磨性(硬度)を確認すると、平均結晶粒径は、37μmと十分微細であった。また、第2相粒子の面積率が0.01%と少なかった。エッチング後、図1のような結晶方位の不均一さは認められなかった(図4参照)。硬度は、32HVであった。
実施例2;純度99.995質量%のアルミニウムに0.63質量%のMgを添加し溶解した。この溶湯を508mm厚×1110mm巾のDC鋳造鋳型にて、鋳造温度680℃、鋳造速度52mm/min、冷却水量230L/min/鋳型長さ1m当りの鋳造条件にて長さ3850mmの鋳塊を鋳造した。
この鋳造の際、鋳型へ流れ込む溶湯へ微細化剤(Al−5%Ti−1%B)をTi濃度上昇量が8ppm、B濃度上昇量が2ppmになるように連続的に添加し、アルミニウムの純度が99.37%、Si含有量が26ppm、Fe含有量が9ppm、Ti含有量が5ppm、B含有量が2ppm、Mg以外の他の元素含有量の合計が58ppmの鋳塊とした。このときの平均結晶粒径は560μm、硬度は28HVであった。
この鋳塊より331mm×331mm×508mmを切出し後の鍛造素材とした。熱間鍛造、冷間鍛造の鍛錬比は実施例1と同じとした。
この鍛造素材を371℃まで加熱し1回目の熱間鍛造を行い294℃にて終えた。ついで342℃に再加熱を行った後に2回目の熱間鍛造を行い311℃にて終えた。この素材を26℃まで冷却後、冷間鍛造を行いΦ245mm×1180mm巾の形状とし155℃にて終えた。この冷間鍛造の鍛錬比は実施例1と同一である。
この鍛造塊を300℃にて60min焼鈍し、これよりΦ240mm×20mmを切出し、評価用のサンプルとするためフライス加工・研磨を行った。
前記評価方法で結晶粒度、第2相粒子、結晶方位の不均一さ、及び鏡面研磨性(硬度)を確認すると、平均結晶粒径は実施例1よりもMgの添加量が少ないため41μmとやや大きかった。また、第2相粒子の面積率が0.03%であった。エッチング後、実施例1よりも結晶粒が大きいため粗くなっているが図1のような結晶方位の不均一さは認められなかった(図5参照)。硬度は、26HVであった。
実施例3;
鋳塊の製造は実施例1と同様の製造条件にて行い、鋳造後の平均結晶粒径、硬度は実施例1と同様であった。
この鋳塊より340mm×370mm×508mmを切出し後の鍛造素材とし、以下のような方法で中空鍛造を行った。
この鍛造素材を373℃まで過熱し1.18S−(2/3U−1.5S)×3サイクルの1回目の熱間鍛造を行い347℃にて終えた。ついで361℃に再加熱を行った後に(2/3U−1.5S)×2サイクルの2回目の熱間鍛造を行いΦ450mm×400mmとした後、ポンチにて中央部に穴を空け外径Φ472mm−内径Φ140mm×400mmとし329℃にて終えた。
この素材を35℃まで冷却後、5.3Sの冷間鍛造を行い外径Φ235mm−内径Φ130mm×2123mmの形状とし145℃にて終えた。
この鍛造塊を300℃にて60min焼鈍し、これより外径Φ235mm−内径Φ130mm×20mmを切出し、評価用のサンプルとするためフライス加工・研磨を行った。
前記評価方法で結晶粒度、第2相粒子、結晶方位の不均一さ、及び鏡面研磨性(硬度)を確認すると、平均結晶粒径は、38μmと十分微細であった。また、第2相粒子の面積率が0.01%と少なかった。エッチング後、図1のような結晶方位の不均一さは認められなかった(図6参照)。硬度は、32HVであった。
比較例1;純度99.9%のアルミニウムを溶解した。この溶湯を508mm厚×1110mm巾のDC鋳造鋳型にて、鋳造温度680℃、鋳造速度50mm/min、冷却水量315L/min/鋳型長さ1m当りの鋳造条件にて長さ3850mmの鋳塊を鋳造した。
この鋳造の際、鋳型へ流れ込む溶湯へ微細化剤(Al−Ti−B系)をTi濃度上昇量が180ppm、B濃度上昇量が36ppmになるように連続的に添加し、アルミニウムの純度が99.89%、Si含有量が275ppm、Fe含有量が501ppm、Ti含有量が75ppm、B含有量が7ppm、Mg含有量が5ppm、Mg以外の他の元素含有量の合計が1062ppmの鋳塊とした。このときの平均結晶粒径は250μm、硬度は16HVであった。
この鋳塊より500mm×500mm×508mmを切出し後の鍛造素材とした。
この鍛造素材を380℃まで加熱し(2S−1/2U)×2サイクルの1回目の熱間鍛造を行い350℃にて終えた。ついで380℃に再加熱を行った後に(2S−1/2U)×2サイクルの2回目の熱間鍛造を行い320℃にて終えた。
この素材を26℃まで冷却後、(2S−1/2U)×2サイクルの冷間鍛造を行いΦ250mm×300mm×360mmの形状とした。
この鍛造塊を340℃にて60min焼鈍し、これより20mm×250mm×300mmを切出し、評価用のサンプルとするためフライス加工・研磨を行った。
前記評価方法で結晶粒度、第2相粒子、結晶方位の不均一さ、及び鏡面研磨性(硬度)を確認すると、平均結晶粒径は、41μmと十分に微細であった。しかし、Mg以外の他の元素の合計が500ppm以上であるためか、第2相粒子の面積率が0.20%であり0.10%以下を満足できていない。第2相粒子の低減のため、Mg以外の他の元素含有量を低減する必要がある。
鋳造時に微細化剤を添加しているため、エッチング後の結晶方位の不均一さは認められなかった。但し、一般的な微細化剤添加量(Ti濃度上昇量が8ppm、B濃度上昇量が2ppm、)を超えており、微細化剤に起因する第2相粒子(TiB)の増加が懸念される(図6参照)。硬度は、23HVであった。
比較例2;比較例1よりも不純物を低減し純度99.95%のアルミニウムを溶解した。この溶湯を508mm厚×1110mm巾のDC鋳造鋳型にて、鋳造温度680℃、鋳造速度52mm/min、冷却水量230L/min/鋳型長さ1m当りの鋳造条件にて長さ3850mmの鋳塊を鋳造した。このときの平均結晶粒径はセンチメートルオーダーであり非常に粗大であった。また、硬度は16HVであった。
この鋳造の際、微細化剤は添加せず、アルミニウムの純度が99.95%、Si含有量が205ppm、Fe含有量が161ppm、Mg含有量が0ppm、Ti含有量が1ppm、B含有量が10ppm、Mg以外の不純物量の合計が492ppmの鋳塊とした。
この鋳塊より500mm×500mm×508mmを切出し後の鍛造素材とした。
この鍛造素材を414℃まで加熱し(2S−1/2U)×2サイクルの1回目の熱間鍛造を行い354℃にて終えた。ついで393℃に再加熱を行った後に(2S−1/2U)×2サイクルの2回目の熱間鍛造を行い323℃にて終えた。
この素材を32℃まで冷却後、(2S−1/2U)×2サイクルの冷間鍛造を行いΦ250mm×300mm×360mmの形状とした。
この鍛造塊を340℃にて60min焼鈍し、これより20mm×250mm×300mmを切出し、評価用のサンプルとするためフライス加工・研磨を行った。
前記評価方法で結晶粒度、第2相粒子、結晶方位の不均一さ、及び鏡面研磨性(硬度)を確認すると、平均結晶粒径は、40μmと十分に微細であった。また、第2相粒子の面積率が0.08%であった。これらの第2相粒子のうち支配的だったのはAl−Fe系の金属間化合物であった。
比較例1と比べて、第2相粒子の面積率を0.10%以下に抑えるために、Mg以外の他の元素含有量の合計が500ppm以下で、しかもFe含有量を200ppmとしたことが好結果になったことの根拠である。
鋳造時に微細化剤を使用していないため、エッチング後に鋳造時の粗い結晶粒の痕跡が結晶方位の不均一さとして残っていた(図7参照)。硬度は、19HVであった。
この比較例から、Mg以外の他の元素含有量の合計が500ppm以下であり第2相粒子の面積率が0.10%以下に抑えられていても、鋳造時に結晶粒の微細化をしなかった場合、鋳造組織の痕跡が鍛造・焼鈍後にも残って所望の原型が得られないことがわかる。
比較例3;比較例2よりも不純物を低減し純度99.99%のアルミニウムを溶解した。この溶湯を508mm厚×1110mm巾のDC鋳造鋳型にて、鋳造温度680℃、鋳造速度52mm/min、冷却水量230L/min/鋳型長さ1m当りの鋳造条件にて長さ3850mmの鋳塊を鋳造した。
この鋳造の際、微細化剤は添加せず、アルミニウムの純度が99.99%、Si含有量が21ppm、Fe含有量が15ppm、Mg含有量が0ppm、Ti含有量が0ppm、B含有量が0ppm、Mg以外の不純物量の合計が101ppmの鋳塊とした。このときの平均結晶粒径はセンチメートルオーダーであり非常に粗大であった。また、硬度15HVであった。
この鋳塊より500mm×500mm×508mmを切出し後の鍛造素材とした。
この鍛造素材を420℃まで加熱し(2S−1/2U)×2サイクルの1回目の熱間鍛造を行い360℃にて終えた。ついで423℃に再加熱を行った後に(2S−1/2U)×2サイクルの2回目の熱間鍛造を行い356℃にて終えた。
この素材を31℃まで冷却後、(2S−1/2U)×2サイクルの冷間鍛造を行いΦ250mm×300mm×360mmの形状とした。
この鍛造塊を340℃にて60min焼鈍し、これより20mm×250mm×300mmを切出し、評価用のサンプルとするためフライス加工・研磨を行った。
前記評価方法で結晶粒度、第2相粒子、結晶方位の不均一さ、及び鏡面研磨性(硬度)を確認すると、平均結晶粒径は、86μmと粗大になり始めた。第2相粒子の面積率が0.01%であった。鋳造時に微細化剤を使用していないため、エッチング後に鋳造時の粗い結晶粒の痕跡が比較例2と同様に結晶方位の不均一さとして残っていた(図8参照)。
硬度は、18HVであった。
この比較例から、純度が99.99%以上になると結晶粒の粗大化が起こり易く、Mgのような結晶粒の粗大化を抑える元素の添加が必要になることがわかる。
そして、比較例1,2,3から、純アルミニウム系に微細化剤を加える際は、多量の微細化剤が必要になり、多量に微細化剤を添加した際は、第2相粒子が増加する虞があるため好ましくないことがわかる。
以上の実施例及び比較例での原型作製条件及び評価結果をまとめて表1〜5に示す。
表5中、結晶方位が均一でありムラがないものを「○」とし、結晶方位が不均一でありムラがあるものを「×」とした。
実施例4:実施例1にて作成されたアルミニウムを外径:200mm、内径:155mm、長さ:350mmの円筒状に切断し、被加工面の算術平均粗さRaが0.03μm以下となるように表面に鏡面切削加工を行い、円筒状のアルミニウム原型を得た。
工程(a)
アルミニウム原型について、0.3Mシュウ酸水溶液中で、浴温:16℃、直流:40Vの条件下で30分間陽極酸化を行い、酸化皮膜(厚さ:3μm)を形成した。
工程(b):
酸化皮膜が形成されたアルミニウム原型を、50℃に調整した6質量%のリン酸と1.8質量%のクロム酸との混合水溶液に2時間浸漬し、形成された酸化皮膜を溶解除去した。
工程(c):
前記アルミニウム原型について、再び工程(a)と同一条件下において、45秒間陽極酸化を行い、酸化皮膜を形成した。
工程(d):
酸化皮膜が形成されたアルミニウム原型を、5質量%リン酸水溶液(30℃)中に9分間浸漬して、酸化皮膜の細孔を拡径する孔径拡大処理を行った。
工程(e):
前記アルミニウム原型について、再び工程(a)と同一条件下において、45秒間陽極酸化を行った。
工程(f):
前記工程(d)及び工程(e)を合計で4回繰り返し、最後に工程(d)を行い、平均間隔:100nm、深さ:160nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたロール状スタンパを得た。
このようにして得られたロール状スタンパを図11に示す製造装置に設置し、以下のようにして物品を製造した。
以下に示す割合で各成分を混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aを調製した。
コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:2:4の縮合反応混合物;45質量部、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート;45質量部、
X−22−1602:ラジカル重合性シリコーンオイル(信越化学工業社製);10質量部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、イルガキュア184);3.0質量部、
ビス(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、イルガキュア819);0.2質量部。
図11に示すように、ロール状スタンパ20を、冷却水用の流路を内部に設けた機械構造用炭素鋼製の軸芯21にはめ込んだ。ついで、活性エネルギー線硬化性組成物Aをタンク22から所定の温度で供給ノズルを介して、ニップロール26とロール状スタンパ20との間にニップされているフィルム42(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、東洋紡社製、A4300)上に供給した。この際、空気圧シリンダ24によりニップ圧が調整されたニップロール26によりニップされ、ロール状スタンパ20の細孔(凹部)内にも活性エネルギー線硬化性組成物Aが充填された。
毎分7.0mの速度でロール状スタンパ20を回転させながら、活性エネルギー線硬化性組成物Aがロール状スタンパ20とフィルム42との間に挟まれた状態で、活性エネルギー線照射装置28(240W/cmの紫外線照射装置)から紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性組成物Aを硬化させ、硬化樹脂層44を形成した後、剥離ロール30により、表面に硬化樹脂層44が形成されたフィルム42をロール状スタンパ20から剥離して、ピッチが100nm、凹凸高さが150nmの微細凹凸構造を表面に有する物品40を得た。得られた物品について、物品の外観、及びヘイズを測定した。物品の外観については、目視にて結晶粒の痕跡に相当する外観が観察されるかを確認した。物品のヘイズは、JIS K7361−1に準拠したヘイズメーター(スガ試験機社製)を用いて測定した。凹凸の高さは、電子顕微鏡によって倍率30000倍で観察したときにおける、凸部の最頂部と、凸部間に存在する凹部の最底部との間の距離を測定した。その結果を表6に示す。物品の外観については、目視にて結晶粒の痕跡に相当する模様が観察されず、色ムラが小さいものを◎、目視にて結晶粒の痕跡に相当する模様が観察されないものを○、目視にて結晶粒の痕跡に相当する模様が観察されるものを×とした。ヘイズは1.5%以上の物品を×、1.5%未満の物を○とした。
実施例5:実施例1にて作成されたアルミニウムを用い、工程(c)における陽極酸化の時間を50秒間とし、工程(d)における孔径拡大処理の時間を8分間とした以外は、実施例4と同様の方法で、ピッチが100nm、凹凸高さが200nmの微細凹凸構造を表面に有する物品40を得た。得られた物品について、物品の外観、及びヘイズを測定した。その結果を表6に示す。
実施例6:実施例1にて作成されたアルミニウムを用い、工程(c)における陽極酸化の時間を65秒間とし、工程(d)における孔径拡大処理の時間を9分間とした以外は、実施例4と同様の方法で、ピッチが100nm、凹凸高さが200nmの微細凹凸構造を表面に有する物品40を得た。得られた物品について、物品の外観、及びヘイズを測定した。その結果を表6に示す。
実施例7:温度を350度で60分間焼鈍した以外は実施例1と同様にして得たアルミニウムを用い、実施例4と同様の方法で、ピッチが100nm、凹凸高さが150nmの微細凹凸構造を表面に有する物品40を得た。得られた物品について、物品の外観、及びヘイズを測定した。その結果を表6に示す。
実施例8:実施例2にて作成されたアルミニウムを用い、工程(c)における陽極酸化の時間を40秒間とし、工程(d)における孔径拡大処理の時間を9分間とした以外は、実施例4と同様の方法で、ピッチが100nm、凹凸高さが120nmの微細凹凸構造を表面に有する物品40を得た。得られた物品について、物品の外観、及びヘイズを測定した。その結果を表6に示す。
実施例9:温度を350度で60分間焼鈍した以外は実施例2と同様にして得たアルミニウムを用い、実施例4と同様の方法で、ピッチが100nm、凹凸高さが150nmの微細凹凸構造を表面に有する物品40を得た。得られた物品について、物品の外観、及びヘイズを測定した。その結果を表6に示す。
比較例4:比較例1にて作成されたアルミニウムを用いた以外は、実施例4と同様の方法で、ピッチが100nm、凹凸高さが150nmの微細凹凸構造を表面に有する物品40を得た。得られた物品について、物品の外観、及びヘイズを測定した。その結果を表6に示す。
比較例5:比較例2にて作成されたアルミニウムを用いた以外は、実施例4と同様の方法で、ピッチが100nm、凹凸高さが150nmの微細凹凸構造を表面に有する物品40を得た。得られた物品について、物品の外観、及びヘイズを測定した。その結果を表6に示す。
比較例6:比較例3にて作成されたアルミニウムを用いた以外は、実施例4と同様の方法で、ピッチが100nm、凹凸高さが150nmの微細凹凸構造を表面に有する物品40を得た。得られた物品について、物品の外観、及びヘイズを測定した。その結果を表6に示す。
本発明によれば、アルミニウム溶湯に含まれるMgを0.5〜3.0質量%に制限し、しかも不可避的不純物を含め、Mg以外の元素を合計で500ppm以下に制限することにより、平均結晶粒径が1000μm以下であり、かつ第2相粒子の面積率が0.10%以下のアルミニウム鋳塊を得ることができる。この鋳塊に必要により鍛造等の塑性加工を施すことにより、微細かつ方位の均一な結晶粒を有し、併せて第2相粒子の出現が抑制されたスタンパ用アルミニウム原型が得られる。この原型は高硬度をも有しているため、表面研磨により平滑な表面を容易に形成することができる。その後に陽極酸化処理すれば、方向性のない均一な模様の凹凸転写面が容易に形成することができ、その結果、精度の高いスタンパを安価に提供できる。
12 スタンパ
31 細孔
32 酸化皮膜
33 細孔発生点
34 細孔
35 酸化皮膜
90 アルミニウム原型
20 ロール状スタンパ
21 軸芯
22 タンク
24 空気圧シリンダ
26 ニップロール
28 活性エネルギー線照射装置
30 剥離ロール
40 物品
42 フィルム
44 硬化樹脂層

Claims (15)

  1. Mgを0.5〜3.0質量%含有し、不可避的不純物を含めてMg以外の元素が合計で500ppm以下であり、残部がAlからなる成分組成と、平均結晶粒径が1000μm以下であり、かつ第2相粒子の面積率が0.10%以下である鋳造組織を有することを特徴とするスタンパ用アルミニウム原型用素材。
  2. 不可避的不純物としてのFeの含有量が200ppm以下及びSiの含有量が100ppm以下である請求項1に記載のスタンパ用アルミニウム原型用素材。
  3. 前記不可避的不純物を含めてMg以外の元素を10ppmを超えて含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のアルミニウム原型用素材。
  4. Mgを0.5〜3.0質量%含有し、不可避的不純物を含めてMg以外の元素が合計で500ppm以下であり、残部がAlからなる成分組成と、平均結晶粒径が1000μm以下であり、かつ第2相粒子の面積率が0.10%以下である金属組織を有することを特徴とするスタンパ用アルミニウム原型。
  5. 不可避的不純物としてのFeの含有量が200ppm以下及びSiの含有量が100ppm以下である請求項4に記載のスタンパ用アルミニウム原型。
  6. 前記不可避的不純物を含めてMg以外の元素を10ppmを超えて含有することを特徴とする、請求項4又は5に記載のスタンパ用アルミニウム原型。
  7. Tiの含有量が5ppm以上20ppm以下である、請求項4〜6のいずれか一項に記載のスタンパ用アルミニウム原型。
  8. 塑性加工が施されることにより平均結晶粒径が100μm以下にされた金属組織を有する請求項4〜7のいずれか一項に記載のスタンパ用アルミニウム原型。
  9. 前記塑性加工が鍛造である請求項4に記載のスタンパ用アルミニウム原型。
  10. さらに、20〜60HVの硬度を有する請求項4〜9のいずれか一項に記載のスタンパ用アルミニウム原型。
  11. Mgを0.5〜3.0質量%含有し、不可避的不純物を含めてMg以外の元素が合計で500ppm以下であり、残部がAlからなる成分組成であって、平均結晶粒径が1000μm以下であり、かつ第2相粒子の面積率が0.10%以下である金属組織からなるアルミニウム原型と、
    表面に微細凹凸構造を有する酸化アルミニウム層と、を有するスタンパ。
  12. 前記アルミニウム原型は、不可避的不純物を含めてMg以外の元素を10ppmを超えて含有することを特徴とする、請求項11に記載のスタンパ。
  13. 請求項11または12に記載のスタンパの製造方法であって、
    アルミニウム原型の表面を電解液中、定電圧下で陽極酸化して、表面に酸化皮膜を形成する第1の酸化皮膜形成工程(a)と、
    前記第1の酸化被膜形成工程(a)の後、アルミニウム原型の酸化皮膜を除去する酸化皮膜除去工程(b)と、
    前記酸化皮膜除去工程(b)の後、アルミニウム原型を電解液中で再度陽極酸化して微細凹凸構造を有する酸化皮膜を形成する第2の酸化皮膜形成工程(c)と、を含むことを特徴とするスタンパの製造方法。
  14. 請求項13に記載のスタンパの製造方法であって、
    前記第2の酸化皮膜形成工程(c)の後、アルミニウム原型を、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して細孔の径を拡大させる孔径拡大処理工程(d)と、
    前記孔径拡大処理工程(d)の後、アルミニウム原型を電解液中で再度陽極酸化する繰り返し工程(e)と、
    前記孔径拡大処理工程(d)と繰り返し工程(e)を繰り返し行い、微細凹凸構造を有する酸化皮膜を得る工程(f)と、をさらに含むことを特徴とする、スタンパの製造方法。
  15. 請求項11に記載のスタンパの表面の微細凹凸構造を、透明基材の表面に転写する、微細凹凸構造を有する透明物品の製造方法
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