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JP5622053B2 - 多相回転機の制御装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置 - Google Patents

多相回転機の制御装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置 Download PDF

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JP5622053B2 JP2012026118A JP2012026118A JP5622053B2 JP 5622053 B2 JP5622053 B2 JP 5622053B2 JP 2012026118 A JP2012026118 A JP 2012026118A JP 2012026118 A JP2012026118 A JP 2012026118A JP 5622053 B2 JP5622053 B2 JP 5622053B2
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Description

本発明は、多相回転機の駆動を制御する制御装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置に関する。
従来、複数の巻線組を有する多相回転機の制御装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1の制御装置は、複数の巻線組毎に、巻線組への通電を切り替えるインバータ部を有している。すなわち、複数系統のインバータ部を有している。そして、複数のインバータ部のうちの1つが故障した場合、故障したインバータ部による巻線組への通電の切替を停止することで、正常なインバータ部により多相回転機の駆動を継続することが開示されている。
特開2005−304119号公報
しかしながら、特許文献1の制御装置では、2つのインバータ部間で短絡等の異常が生じた場合、的確な異常検出ができず、各系統のインバータ部のそれぞれは異常でないにもかかわらず、2つのインバータ部を同時に停止せざるを得なかった。2系統のインバータ部を有する制御装置の場合、2つのインバータ部が停止すると、多相回転機を駆動できなくなる。多相回転機が例えば電動パワーステアリング装置の動力源として用いられる場合、多相回転機の駆動が停止すると、運転者の操舵をアシストすることができなくなる。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数系統のインバータ部の異常を的確に検出可能な多相回転機の制御装置、および、それを用いた電動パワーステアリング装置を提供することにある。
本発明は、複数の相に対応する巻線から構成される複数の巻線組を有する多相回転機の駆動を制御する制御装置であって、インバータ部と制御部と異常検出手段とを備えている。インバータ部は、多相回転機の巻線組毎に設けられ、巻線組への通電を切り替える。すなわち、本発明では、複数系統のインバータ部を備えている。制御部は、インバータ部の作動を制御する。異常検出手段は、インバータ部の異常を検出可能である。
そして、本発明では、異常検出手段は、インバータ部の各系統の相電流に基づき系統毎に第1算出値を算出し、系統毎に算出した複数の第1算出値のうちから選択した2つの値に基づき第2算出値を算出し、第2算出値が所定の範囲から外れた場合、選択した第1算出値に対応するインバータ部の異常を検出する。このように、本発明では、独自に設定した2つの値(第1算出値および第2算出値)に基づき、インバータ部の異常を的確に検出することができる。
本発明では、第1算出値は、各系統の相電流の和、または、各系統の2相電流である。第2算出値は、系統毎に算出した複数の第1算出値のうちから選択した2つの値の差である。第2算出値が所定の範囲から外れた場合、選択した第1算出値に対応するインバータ部間の短絡異常を検出する。
本発明の第1実施形態による制御装置を示す概略図。 本発明の第1実施形態による制御装置を適用した電動パワーステアリング装置を示す概略図。 本発明の第1実施形態の制御装置による異常検出に関する処理を示すフロー図。 本発明の第1実施形態による制御装置の作動を説明するための図。 本発明の第2実施形態による制御装置を示す概略図。 本発明の第2実施形態の制御装置による異常検出に関する処理を示すフロー図。 本発明の第2実施形態による制御装置の作動を説明するための図。
以下、本発明による制御装置を図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態による制御装置1は、多相回転機としてのモータ10を駆動制御するものである。制御装置1は、モータ10とともに、例えば車両のステアリング操作をアシストするための電動パワーステアリング装置に採用される。
図2は、電動パワーステアリング装置99を備えたステアリングシステム90の全体構成を示すものである。電動パワーステアリング装置99には、ハンドル91に接続されたステアリングシャフト92にトルクセンサ94が設けられている。トルクセンサ94は、運転者からハンドル91を経由してステアリングシャフト92に入力される操舵トルクを検出する。
ステアリングシャフト92の先端にはピニオンギア96が設けられており、ピニオンギア96はラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が回転可能に連結されている。
これにより、運転者がハンドル91を回転させると、ハンドル91に接続されたステアリングシャフト92が回転し、ステアリングシャフト92の回転運動は、ピニオンギア96によってラック軸97の直線運動に変換され、ラック軸97の直線運動変位に応じた角度について一対の車輪98が操舵される。
電動パワーステアリング装置99は、操舵アシストトルクを発生するモータ10、当該モータ10を駆動制御する制御装置1、モータ10の回転を減速してステアリングシャフト92に伝える減速ギア93等を備える。モータ10は、減速ギア93を正逆回転させる。電動パワーステアリング装置99は、上述のトルクセンサ94、および、車速を検出する車速センサ95を含む。
この構成により、電動パワーステアリング装置99は、ハンドル91の操舵を補助するための操舵アシストトルクをモータ10から発生し、ステアリングシャフト92に伝達する。
モータ10は、三相ブラシレスモータであり、図示しないロータおよびステータを有している。ロータは、円板状の部材であり、その表面に永久磁石が貼り付けられ、磁極を有している。ステータは、ロータを内部に収容するとともに、回転可能に支持している。ステータは、径内方向へ所定角度毎に突出する突出部を有し、この突出部に図1に示す巻線としてのコイル11、コイル12、コイル13、コイル14、コイル15、および、コイル16が巻回されている。コイル11、コイル12、および、コイル13は、第1巻線組18を構成している。また、コイル14、コイル15、および、コイル16は、第2巻線組19を構成している。第1巻線組18及び第2巻線組19が、特許請求の範囲における「複数の巻線組」に対応している。また、モータ10には、回転位置を検出する位置センサ79が設けられている。
制御装置1は、第1インバータ部20、第2インバータ部30、電流検出部40、コンデンサ60、制御部70、および、バッテリ80等を備えている。
第1インバータ部20は、3相インバータであり、第1巻線組18のコイル11、コイル12、コイル13のそれぞれへの通電を切り替えるべく、6つのスイッチング素子21〜26がブリッジ接続されている。スイッチング素子21〜26は、本形態においては、電界効果トランジスタの一種であるMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)である。以下、スイッチング素子21〜26を、MOS21〜26という。
3つのMOS21〜23は、ドレインが、バッテリ80の正極側に接続された上母線2に結線されている。また、MOS21〜23のソースが、それぞれMOS24〜26のドレインに接続されている。MOS24〜26のソースは、バッテリ80の負極側すなわちグランドに接続された下母線3に結線されている。
対になっているMOS21とMOS24との接続点は、コイル11の一端に接続している。また対になっているMOS22とMOS25との接続点は、コイル12の一端に接続している。さらにまた、対になっているMOS23とMOS26との接続点は、コイル13の一端に接続している。
第2インバータ部30は、第1インバータ部20と同様、3相インバータであり、第2巻線組19のコイル14、コイル15、コイル16のそれぞれへの通電を切り替えるべき、6つのスイッチング素子31〜36がブリッジ接続されている。スイッチング素子31〜36は、スイッチング素子21〜26と同様、MOSFETである。以下、スイッチング素子31〜36を、MOS31〜36という。
3つのMOS31〜33は、ドレインが、バッテリ80の正極側に接続された上母線4に結線されている。また、MOS31〜33のソースが、それぞれMOS34〜36のドレインに接続されている。MOS34〜36のソースは、バッテリ80の負極側すなわちグランドに接続された下母線5に結線されている。
対になっているMOS31とMOS34との接続点は、コイル14の一端に接続している。また対になっているMOS32とMOS35との接続点は、コイル15の一端に接続している。さらにまた、対になっているMOS33とMOS36との接続点は、コイル16の一端に接続している。
ここで、MOS21〜23を第1インバータ部20における「高電位側スイッチング素子」といい、MOS31〜33を第2インバータ部30における「高電位側スイッチング素子」という。また、MOS24〜26を第1インバータ部20における「低電位側スイッチング素子」といい、MOS34〜36を第2インバータ部30における「低電位側スイッチング素子」という。以下、適宜「高電位側スイッチング素子」を「上MOS」といい、「低電位側スイッチング素子」を「下MOS」という。また、必要に応じて「U下MOS24」といった具合に、対応する相を併せて記載する。
このように、本実施形態では、制御装置1は、第1インバータ部20および第2インバータ部30の2つの系統のインバータを有している。以下、適宜、第1インバータ部20の系統を「第1系統」、第2インバータ部30の系統を「第2系統」という。
電流検出部40は、電流検出部41、電流検出部42、電流検出部43、電流検出部44、電流検出部45、および、電流検出部46から構成されている。電流検出部41は、U下MOS24とグランドとの間に設けられ、コイル11に流れる電流を検出する。電流検出部42は、V下MOS25とグランドとの間に設けられ、コイル12に流れる電流を検出する。電流検出部43は、W下MOS26とグランドとの間に設けられ、コイル13に流れる電流を検出する。また、電流検出部44は、U下MOS34とグランドとの間に設けられ、コイル14に流れる電流を検出する。電流検出部45は、V下MOS35とグランドとの間に設けられ、コイル15に流れる電流を検出する。電流検出部46は、W下MOS36とグランドとの間に設けられ、コイル16に流れる電流を検出する。
本実施形態では、電流検出部41〜46にシャント抵抗を用いている。電流検出部41〜46によって検出された検出値(以下、「電流検出値」という。)は、制御部70を構成するレジスタに記憶される。
なお、電流検出部40および位置センサ79から制御部70への制御線は、煩雑になることを避けるため図1においては省略した。
コンデンサ60は、バッテリ80、第1インバータ部20、および第2インバータ部30と接続され、電荷を蓄えることで、MOS21〜26、31〜36への電力供給を補助したり、サージ電流などのノイズ成分を抑制したりする。
制御部70は、制御装置1全体の制御を司るものであって、マイクロコンピュータ77、図示しないレジスタ、駆動回路78等で構成される。
制御部70には、位置センサ79、トルクセンサ94および車速センサ95が接続されている。これにより、制御部70は、位置センサ79によりモータ10の回転位置であるモータ回転位置θ、トルクセンサ94により操舵トルクTq*、車速センサ95により車速Vdcを取得可能である。
ここで、制御部70における通常時、すなわち、制御装置1が正常なときのモータ10の駆動制御に関する処理を簡単に説明する。
制御部70は、駆動フラグの状態に基づきインバータ部(第1インバータ部20または第2インバータ部30)の作動を制御する。例えば第1系統の駆動フラグがオンの場合、制御部70は、第1インバータ部20によりモータ10の駆動を行う。一方、第1系統の駆動フラグがオフの場合、制御部70は、第1インバータ部20によるモータ10の駆動を停止する。同様に、第2系統の駆動フラグがオンの場合、制御部70は、第2インバータ部30によりモータ10の駆動を行う。一方、第2系統の駆動フラグがオフの場合、制御部70は、第2インバータ部30によるモータ10の駆動を停止する。通常(正常時)、第1系統および第2系統の駆動フラグはオンに設定されている。
以下、第1インバータ部20における処理を説明するが、第2インバータ部30においても同様の処理が行われる。
制御部70は、電流検出部41〜43により検出され、レジスタに記憶された電流検出値を読み込む。また、コイル11の電流値U1、コイル12の電流値V1、および、コイル13の電流値W1を電流検出値から算出し、算出された三相電流U1、V1、W1、および位置センサ79によって取得されたモータ回転位置θに基づき、d軸電流検出値Id及びq軸電流検出値Iqを算出する。
また、制御部70は、位置センサ79によって取得されたモータ回転位置θ、トルクセンサ94によって取得された操舵トルクTq*、車速センサ95によって取得された車速Vdcに基づき、d軸指令電流Id*およびq軸指令電流Iq*を算出する。そして、制御部70は、算出したd軸指令電流Id*およびq軸指令電流Iq*と、d軸電流検出値Idおよびq軸電流検出値Iqとから、電流フィードバック制御演算を行い、d軸指令電圧Vdおよびq軸指令電圧Vqを算出する。
また、制御部70は、算出した指令電圧Vd、Vq、およびモータ回転位置θに基づき、三相電圧指令値であるU相指令電圧Vu*、V相指令電圧Vv*、および、W相指令電圧Vw*を算出する。
また、制御部70は、三相電圧Vu*、Vv*、Vw*、および、コンデンサ電圧Vcに基づき、デューティ指令信号であるU相デューティDu、V相デューティDvおよびW相デューティDwを算出し、U相デューティDu、V相デューティDv、およびW相デューティDwをレジスタに書き込む。
そして、駆動回路78において、デューティ指令信号とPWM基準信号とを比較することにより、MOS21〜26のオンおよびオフの切り替えタイミングを制御する。
駆動回路78によるMOS21〜26のオン/オフ制御により、各相(U相、V相、W相)のコイル(コイル11、コイル12、コイル13)に対し、それぞれ、電圧が印加される。電圧ベクトルが連続的に変化することにより、各相のコイルに対し、正弦波の電圧が印加される。
各相のコイルに対し電圧が印加されると、各コイル(コイル11、コイル12、コイル13)には、それぞれ、印加される電圧に応じた電流が流れる。これにより、モータ10には、第1インバータ部20(第1系統)によるトルク(Tq1)が生じる。また、第2インバータ部30(第2系統)も第1インバータ部20と同様に制御されるため、モータ10には、第1インバータ部20によるトルク(Tq1)と第2インバータ部30によるトルク(Tq2)とを加算したトルク(Tq)が生じる。当該トルク(Tq)が、減速ギア93を経由してステアリングシャフト92に入力され、運転者の操舵を補助するためのアシストトルクとなる。
次に、本実施形態の制御装置1による異常検出の仕方について説明する。
本実施形態では、制御部70は、図3に示す一連の処理S100により、第1インバータ部20および第2インバータ部30の異常を検出することができる。
制御部70は、車両のイグニッションキーがオンになると、すなわち、制御装置1に通電されると、処理S100を実行する。S100は、上述の制御部70によるモータ10の駆動制御に関する処理と並行して実行される。
S101では、制御部70は、第1系統の相電流を読み込む。すなわち、電流検出部41、電流検出部42および電流検出部43により、第1系統のU相電流U1、V相電流V1およびW相電流W1を読み込む。
S102では、制御部70は、S101で読み込んだ第1系統のU相電流U1、V相電流V1およびW相電流W1の和である第1算出値C11を算出する。
S103では、制御部70は、第2系統の相電流を読み込む。すなわち、電流検出部44、電流検出部45および電流検出部46により、第2系統のU相電流U2、V相電流V2およびW相電流W2を読み込む。
S104では、制御部70は、S103で読み込んだ第2系統のU相電流U2、V相電流V2およびW相電流W2の和である第1算出値C12を算出する。
S105では、制御部70は、S102で算出した第1算出値C11とS104で算出した第1算出値C12との差(C11−C12)である第2算出値C2を算出し、当該第2算出値C2の絶対値が所定値より大きいか否かを判定する。第2算出値C2の絶対値が所定値より大きい場合(S105:YES)、処理はS106へ移行する。一方、第2算出値C2の絶対値が所定値以下の場合(S105:NO)、処理はS101へ戻る。
S106では、制御部70は、第1インバータ部20と第2インバータ部30との間に短絡による異常が生じたことを検出する。ここで、制御部70は、特許請求の範囲における「異常検出手段」として機能する。
S107では、制御部70は、例えば第1系統の駆動フラグをオフに設定する。これにより、制御部70による第1インバータ部20の切替制御すなわち作動が停止する。一方、制御部70は、第2インバータ部30の切替制御については継続する。そのため、モータ10は、第2インバータ部30のみにより駆動されることとなる。
次に、図4に基づき本実施形態の制御装置1の作動の一例を説明する。
t0の時点では、第1系統および第2系統の駆動フラグは共にオンのため、第1インバータ部20および第2インバータ部30によりモータ10が駆動されている。
t1の時点で第1インバータ部20と第2インバータ部30との間に短絡異常が生じたとする。すると、第1算出値C11は、t2以降、正の値をとりながら増大する。一方、第2算出値C12は、t2以降、負の値をとりながら減少する。よって、第2算出値C2=(C11−C12)の絶対値は、正の値をとりながら増大する。
第2算出値C2の絶対値がt3で所定値に到達すると、第1系統の駆動フラグがオフに設定される。これにより、制御部70による第1インバータ部20の切替制御すなわち作動が停止する。
なお、t3以降、第1インバータ部20の切替制御が停止するため、第1算出値C11および第1算出値C12は0に戻る。よって、第2算出値C2も0に戻る。
(1)以上説明したように、本実施形態では、第1インバータ部20および第2インバータ部30は、モータ10の巻線組(第1巻線組18および第2巻線組19)毎に設けられ、巻線組への通電を切り替える。すなわち、本実施形態では、複数系統(第1系統および第2系統)のインバータ部を備えている。制御部70は、第1インバータ部20および第2インバータ部30の作動を制御する。制御部70は、異常検出手段として機能することで、第1インバータ部20および第2インバータ部30の異常を検出可能である。
そして、本実施形態では、制御部70は、インバータ部の各系統の相電流に基づき系統毎に第1算出値(C11およびC12)を算出し、系統毎に算出した複数の第1算出値(C11およびC12)のうちから選択した2つの値(C11およびC12)に基づき第2算出値C2を算出し、第2算出値C2が所定の範囲から外れた場合、選択した第1算出値(C11およびC12)に対応するインバータ部(第1インバータ部20および第2インバータ部30)の異常を検出する。このように、本実施形態では、独自に設定した2つの値(第1算出値および第2算出値)に基づき、インバータ部の異常を的確に検出することができる。
(2)より具体的には、本実施形態では、第1算出値(C11およびC12)は、各系統の相電流の和であり、第2算出値C2は、系統毎に算出した複数の第1算出値(C11およびC12)のうちから選択した2つの値(C11およびC12)の差(C11−C12)であり、第2算出値C2が所定の範囲から外れた場合、選択した第1算出値(C11およびC12)に対応するインバータ部(第1インバータ部20および第2インバータ部30)間の短絡異常を検出する。このように、本実施形態では、第1算出値(C11およびC12)ならびに第2算出値C2に基づき、第1インバータ部20と第2インバータ部30との間の短絡による異常を検出することができる。
(3)また、本実施形態では、第2算出値C2は絶対値である。これにより、第2算出値C2の取り得る値を正の値に限定できるため、インバータ部の異常を効率的に検出することができる。
(4)また、本実施形態では、制御部70は、異常検出手段として機能しインバータ部(第1インバータ部20および第2インバータ部30)の異常を検出した場合、選択した第1算出値(C11およびC12)に対応する2つのインバータ部(第1インバータ部20および第2インバータ部30)のいずれか一方(本実施形態では第1インバータ部20)の作動を停止する。これにより、2つのインバータ部(第1インバータ部20および第2インバータ部30)の他方(本実施形態では第2インバータ部30)により、モータ10の駆動制御を継続することができる。
(5)電動パワーステアリング装置99は、本実施形態の制御装置1を備えている。よって、第1インバータ部20と第2インバータ部30との間に短絡異常が生じても、第1インバータ部20および第2インバータ部30の両方を停止させることなく、一方(例えば第1インバータ部20)のみ停止させることで、他方(例えば第2インバータ部30)によりモータ10の駆動制御を継続することができる。よって、制御装置1のインバータ部間に短絡異常が生じても、電動パワーステアリング装置99によって、運転者の操舵のアシストを継続することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による制御装置について、図5〜7に基づき説明する。
図5に示すように、第2実施形態では、第1実施形態における電流検出部41、電流検出部42および電流検出部43に替えて、電流検出部47が設けられている。また、第1実施形態における電流検出部44、電流検出部45および電流検出部46に替えて、電流検出部48が設けられている。
電流検出部47は、下母線3に設けられ、第1系統に流れる2相電流を検出する。一方、電流検出部48は、下母線5に設けられ、第2系統に流れる2相電流を検出する。
次に、本実施形態の制御装置による異常検出の仕方について説明する。
本実施形態では、制御部70は、図6に示す一連の処理S200により、第1インバータ部20および第2インバータ部30の異常を検出することができる。
制御部70は、車両のイグニッションキーがオンになると、すなわち、制御装置に通電されると、処理S200を実行する。S200は、制御部70によるモータ10の駆動制御に関する処理と並行して実行される。
S201では、制御部70は、第1系統の2相電流を読み込む。すなわち、電流検出部47により、第1系統の2相電流Xを読み込む。
S202では、制御部70は、S201で読み込んだ第1系統の2相電流Xを第1算出値D11として算出する。
S203では、制御部70は、第2系統の2相電流を読み込む。すなわち、電流検出部48により、第2系統の2相電流Yを読み込む。
S204では、制御部70は、S203で読み込んだ第2系統の2相電流Yを第1算出値D12として算出する。
S205では、制御部70は、S202で算出した第1算出値D11とS204で算出した第1算出値D12との差(X−Y)である第2算出値D2を算出し、当該第2算出値D2の絶対値が所定値より大きいか否かを判定する。第2算出値D2の絶対値が所定値より大きい場合(S205:YES)、処理はS206へ移行する。一方、第2算出値D2の絶対値が所定値以下の場合(S205:NO)、処理はS201へ戻る。
S206では、制御部70は、第1インバータ部20と第2インバータ部30との間に短絡による異常が生じたことを検出する。ここで、制御部70は、特許請求の範囲における「異常検出手段」として機能する。
S207では、制御部70は、例えば第1系統の駆動フラグをオフに設定する。これにより、制御部70による第1インバータ部20の切替制御すなわち作動が停止する。一方、制御部70は、第2インバータ部30の切替制御については継続する。そのため、モータ10は、第2インバータ部30のみにより駆動されることとなる。
次に、図7に基づき本実施形態の制御装置の作動の一例を説明する。
t0の時点では、第1系統および第2系統の駆動フラグは共にオンのため、第1インバータ部20および第2インバータ部30によりモータ10が駆動されている。
t1の時点で第1インバータ部20と第2インバータ部30との間に短絡異常が生じたとする。すると、第1算出値D11は、t2以降、正の値をとりながら増大する。一方、第2算出値D12は、t2以降、負の値をとりながら減少する。よって、第2算出値D2=(D11−D12)の絶対値は、正の値をとりながら増大する。
第2算出値D2の絶対値がt3で所定値に到達すると、第1系統の駆動フラグがオフに設定される。これにより、制御部70による第1インバータ部20の切替制御すなわち作動が停止する。
なお、t3以降、第1インバータ部20の切替制御が停止するため、第1算出値D11および第1算出値D12は0に戻る。よって、第2算出値D2も0に戻る。
以上説明したように、本実施形態では、第1算出値(D11およびD12)は、各系統の2相電流(XおよびY)であり、第2算出値D2は、系統毎に算出した複数の第1算出値(D11およびD12)のうちから選択した2つの値(D11およびD12)の差(D11−D12)であり、第2算出値D2が所定の範囲から外れた場合、選択した第1算出値(D11およびD12)に対応するインバータ部(第1インバータ部20および第2インバータ部30)間の短絡異常を検出する。このように、本実施形態では、第1算出値(D11およびD12)ならびに第2算出値D2に基づき、第1インバータ部20と第2インバータ部30との間の短絡による異常を検出することができる。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、第2算出値の絶対値が所定の範囲から外れた場合、インバータ部の異常を検出する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、正負の値をとり得る第2算出値が所定の範囲から外れた場合、インバータ部の異常を検出することとしてもよい。
また、上述の実施形態では、制御部が、インバータ部での短絡異常を検出すると、第1系統のインバータ部である第1インバータ部20の作動を停止する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、制御部は、インバータ部での短絡異常を検出すると、第2系統のインバータ部である第2インバータ部30の作動を停止することとしてもよい。
本発明は、2系統のインバータ部を備える制御装置に限らず、3系統以上のインバータ部を備える制御装置にも適用することができる。この場合、異常検出手段は、まず、系統毎に相電流の和または2相電流を算出することで第1算出値を算出し、次に、複数の第1算出値のうちから選択した2つの値に基づき第2算出値を算出し、当該第2算出値が所定の範囲から外れた場合、選択した第1算出値に対応するインバータ部の異常を検出する。
本発明による制御装置は、電動パワーステアリング装置の多相回転機に限らず、他の装置に用いられる多相回転機の制御装置として適用することができる。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
1 ・・・・制御装置
10 ・・・モータ(多相回転機)
11、12、13、14、15、16 ・・・コイル(巻線)
18 ・・・第1巻線組(巻線組)
19 ・・・第2巻線組(巻線組)
20 ・・・第1インバータ部(インバータ部)
30 ・・・第2インバータ部(インバータ部)
70 ・・・制御部(異常検出手段)
C11、C12、D11、D12 ・・・第1算出値
C2、D2 ・・・第2算出値

Claims (5)

  1. 複数の相に対応する巻線(11、12、13、14、15、16)から構成される複数の巻線組(18、19)を有する多相回転機(10)の駆動を制御する制御装置(1)であって、
    前記巻線組毎に設けられ、前記巻線組への通電を切り替える複数系統のインバータ部(20、30)と、
    前記インバータ部の作動を制御する制御部(70)と、
    前記インバータ部の異常を検出可能な異常検出手段(70)と、を備え、
    前記異常検出手段は、前記インバータ部の各系統の相電流に基づき系統毎に第1算出値(C11、C12、D11、D12)を算出し、系統毎に算出した複数の前記第1算出値のうちから選択した2つの値に基づき第2算出値(C2、D2)を算出し、前記第2算出値が所定の範囲から外れた場合、選択した前記第1算出値に対応する前記インバータ部の異常を検出し、
    前記第1算出値(C11、C12)は、各系統の相電流の和であり、
    前記第2算出値(C2)は、系統毎に算出した複数の前記第1算出値のうちから選択した2つの値の差であり、
    前記第2算出値が所定の範囲から外れた場合、選択した前記第1算出値に対応する前記インバータ部間の短絡異常を検出することを特徴とする多相回転機の制御装置。
  2. 複数の相に対応する巻線(11、12、13、14、15、16)から構成される複数の巻線組(18、19)を有する多相回転機(10)の駆動を制御する制御装置(1)であって、
    前記巻線組毎に設けられ、前記巻線組への通電を切り替える複数系統のインバータ部(20、30)と、
    前記インバータ部の作動を制御する制御部(70)と、
    前記インバータ部の異常を検出可能な異常検出手段(70)と、を備え、
    前記異常検出手段は、前記インバータ部の各系統の相電流に基づき系統毎に第1算出値(C11、C12、D11、D12)を算出し、系統毎に算出した複数の前記第1算出値のうちから選択した2つの値に基づき第2算出値(C2、D2)を算出し、前記第2算出値が所定の範囲から外れた場合、選択した前記第1算出値に対応する前記インバータ部の異常を検出し、
    前記第1算出値(D11、D12)は、各系統の2相電流であり、
    前記第2算出値(D2)は、系統毎に算出した複数の前記第1算出値のうちから選択した2つの値の差であり、
    前記第2算出値が所定の範囲から外れた場合、選択した前記第1算出値に対応する前記インバータ部間の短絡異常を検出することを特徴とする多相回転機の制御装置。
  3. 前記第2算出値は、絶対値であることを特徴とする請求項1または2に記載の多相回転機の制御装置。
  4. 前記制御部は、前記異常検出手段が前記インバータ部の異常を検出した場合、選択した前記第1算出値に対応する2つの前記インバータ部のいずれか一方の作動を停止することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の多相回転機の制御装置。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の多相回転機の制御装置と、
    運転者の操舵を補助するためのアシストトルクを発生する前記多相回転機と、
    を備える電動パワーステアリング装置(99)。
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