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JP5600396B2 - 光学フィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、カメラ等の撮影装置や光学機器等に使用される光学フィルタに関するものである。
従来からデジタルカメラやビデオカメラ等の光学機器には、光量調節を行うための光量調節装置が組み込まれている。この光量調節装置はCCD等の固体撮像素子に入射する光量を、絞り羽根の開閉により調節するものであり、被写界が明るい場合に、より小さく絞り込まれるようになっている。
従って、快晴時や高輝度の被写体を撮影する際には光量を減衰させるために絞りを小絞りとしているが、そのままでは光は絞りで回折し、撮影した画像の劣化を引き起こしてしまう。また、CCDが高感度化するほど光量を減衰させる必要があり、その傾向も顕著となる。
そこで、この問題の対策として、絞り羽根にフィルム状のND(Neutral Density)フィルタ等の光学素子を取り付け、絞り開口が大きいまま光量を減衰させるようにしている。
具体的には、絞り羽根の一部に、絞り羽根とは別部材から成るNDフィルタを接着剤等で装着することにより、被写体が高輝度の時には絞り開口の径を小さくなり過ぎるまで絞り過ぎずに、絞り開口を一定の大きさに維持する。その代りに、NDフィルタを光軸上に位置させることにより通過光量を制限している。
更には、NDフィルタの光量調節機能に濃度勾配を有しているものを用い、このNDフィルタを光軸上で移動させることにより、更なる光量調節を行うこともある。また、絞り羽根にNDフィルタを装着せずに、独立して光学的作用を持たせた種々の絞り装置も提案されている。
NDフィルタ等の光学素子としては、特許文献1に示すようにフィルム状から成る材料に、光を吸収する有機色素又は顔料を練り込むタイプのものが知られている。また、特許文献2に示すように透明基板上にインクを塗布したり、特許文献3に示すように真空蒸着法を用いて透明基板上に無機硬質膜を成膜するものも知られている。
特開平10−96971号公報 特開2004−246305号公報 特開平10−133254号公報
近年、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮像機器は小型化が進み、NDフィルタ等の光学素子表面における反射光がゴーストの原因となる場合がある。
一般に、NDフィルタの基本構成は透明基材の片面に金属膜、金属酸化物、誘電体膜等の積層膜から成る光吸収膜(ND膜)を成膜したものである。通常では、図11(a)に示すように、NDフィルタ1は透明基板2の片面にND膜3を形成し、他面には反射防止膜4を成膜したり、図11(b)に示すように透明基板2の両面にND膜3を成膜している。また、図11(c)に示すように、フィルム材料に有機色素や顔料を練り込んだ基板5の両面に、反射防止膜4を成膜しているものもある。
図12は図11(a)、(b)に示すND膜3の膜構成図を示し、透明基板2上にTiOx層とAl23層を交互に積層し、最表層にSiO2層を成膜することにより7層構成としている。
また近年では、反射防止効果が得られる構造体として、光の波長以下のピッチで周期的に凹凸を形成した微細凹凸周期構造(Moth eye構造)が実用化されている。これは微細凹凸周期構造が形成された表面の層全体の屈折率が、空気と微細凹凸周期構造を形成する材料との体積比により決定されるため、大幅に最表面の屈折率を低下させることが可能になる。
しかし、反射防止効果は上述の反射防止膜より大きいものの、光学フィルタとして使用するために微細凹凸周期構造を形成した基板上に蒸着膜を成膜したり、インクを塗布する必要のある場合には問題を有している。特に、比較的膜厚を厚くする必要がある場合には、微細凹凸周期構造が蒸着膜やインクで埋没してしまい、反射防止効果が弱まってしまう虞れがある。
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、微細凹凸周期構造による良好な反射防止効果と、所定の波長を減衰させる光減衰効果を同時に有する光学フィルタを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る光学フィルタは、透明基板の表面の少なくとも一部に微細凹凸周期構造を形成し、該微細凹凸周期構造は所定の波長の光を減衰させる物質を含み、光の反射を防止するための可視光領域の波長よりも小さいピッチと高さを有することを特徴とする。
本発明に係る光学フィルタは、透明基板上に光吸収材料を含有した材料を用い、可視光波長以下のピッチと高さから成る微細凹凸周期構造を形成することにより、基板表面における反射を抑制しながら光減衰効果を得ることができる。
撮影光学系の構成図である。 微細凹凸周期構造の模式図である。 微細凹凸周期構造の模式図である。 微細凹凸周期構造の模式図である。 微細凹凸周期構造の製作方法の説明図である。 微細凹凸周期構造の製作方法の説明図である。 光学素子の断面模式図である。 光学素子の断面模式図である。 光学素子の断面模式図である。 光学素子の断面模式図である。 従来のNDフィルタの構成図である。 従来のNDフィルタの膜構成図である。
本発明を図1〜図10に図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施例における撮像機器の撮影光学系の構成図を示しており、レンズ11、光量絞り装置12、レンズ13〜15、赤外カットフィルタであるローパスフィルタ16、CCD等から成る固体撮像素子17が順次に配列されている。光量調節のための光量絞り装置12において、絞り羽根支持板18には一対の絞り羽根19a、19bが可動に取り付けられ、絞り羽根19aにはNDフィルタ20が取り付けられている。
光量絞り装置12はNDフィルタ20の取り付けられた絞り羽根19a、及び絞り羽根19bにより形成される略菱形形状の開口部を通過する可視光領域の光を、略均一に減衰させて減光させることができる。また、NDフィルタ20は絞り羽根19aに取り付けずに、単独で開口部に挿入することも可能である。
このような撮像光学系において、レンズ11を通過した光線は、光量絞り装置12を介して通過光量が調節され、固体撮像素子17の表面に結像して電気信号に変換される。
図2はNDフィルタ20の表面に形成された蛾目(Moth eye)構造から成る微細凹凸周期構造の模式図を示している。NDフィルタ20の基材となる厚さ約100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂フィルムから成る透明な基板21上には、ピッチP、高さDの円錐形状の突起部22が等間隔で無数に配置され微細凹凸周期構造23が形成されている。
基板21としては、可視光領域の光の透過率が80%以上のPET樹脂フィルムを使用しているが、PET以外にも透明性及び機械的強度を有するフィルム状の合成樹脂基板やガラス基板を使用することも可能である。例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド等を用いてもよい。
また、基板21の板厚は、NDフィルタ20としての剛性を保持しながら、可能な限り薄いことが望ましく、具体的には300μm以下とすることが好ましく、より好ましくは50〜100μmである。
各突起部22は最頂部から最底部に向かうにつれて体積は徐々に増加し、それに対応した有効屈折率も突起部22の最頂部から最底部に向かい連続的に分布する。そのため、空気層から基板21に向かって滑らかな有効屈折率分布を有し、この微細凹凸周期構造23に入射した光は、急激な屈折率差がないため、光は殆ど反射されずに基板21に到達する。
なお、良好な反射防止効果を得るために、突起部22は図2に示すように円錐形状にすることが好ましいが、図3に示す四角錐形状の突起部24、或いは他の多角錐形状、更には図4に示す逆円錐形状の凹部25とした微細凹凸周期構造23を用いてもよい。
また、微細凹凸周期構造23の突起部22、24、凹部25のピッチPは、可視光領域の波長(λ=400〜700nm)よりも小さいことが好ましく、本実施例では300nmとしている。ピッチPが小さくなるほど、反射防止効果が得られる波長も低波長側に拡大されるが、ピッチPを小さくするほど微細凹凸周期構造23の形成が困難になるため、ピッチPは100〜300nm程度が好ましい。
また、突起部22、24の高さD、凹部25の深さDとピッチPとの比(アスペクト比)であるD/Pが大きいほど、反射防止効果が大きくなり、D/Pが0.2以上であることが好ましく、より好ましくは1以上である。
微細凹凸周期構造23を構成する突起部22、24、凹部25を形成するには、基板21の表面又は形成すべき微細凹凸周期構造23と逆の形状を有する転写型の表面に固化可能材料で膜を塗布し、基板21と密着させて固化可能材料を固化させる方法がある。
本実施例においては、図5に示すように微細凹凸周期構造23と逆パターンの微細凹凸周期構造31を有する転写型32に少量の固化可能材料33を塗布し、基板21を転写型32と下型34を用いて密着させる。そして、転写型32の外部から紫外線を照射し、固化可能材料33を光硬化させた後に、基板21を転写型32から剥離することにより、微細凹凸周期構造23を有するNDフィルタ20が得ることができる。
片面を形成後に、反対面も同様にして微細凹凸周期構造23を形成してもよい。また図6に示すように、上下一対の転写型32を使用し、上下方向から基板21に密着させることにより、両面同時に微細凹凸周期構造23を形成することもできる。
なお、転写型32に微細凹凸周期構造31を形成する方法は種々あるが、例えば型基材に電子線描画でレジストパターンを形成し、これを反応性イオンエッチングによりエッチングして微細凹凸周期構造を形成することができる。本実施例においては、石英製型の基材上に高さ350nm、ピッチ300nmの微細凹凸周期構造31を形成している。
なお本実施例においては、転写型32として透明な石英板を用い、固化可能材料33を固化させる際に転写型32を透過させて光の照射を行ったが、基板21側から光照射を行うことにより金属製の転写型を用いることも可能である。
固化可能材料33としては初期状態で流動性を有し、紫外線等の光や熱や電子線等の活性エネルギ線を照射することにより、固化する硬化性組成物を使用する。また、反応を促進したり調節したりする成分や、他の成分を配合することにより調製することができ、主成分として重合性化合物と重合開始剤の混合物が含まれている。
重合性化合物としては、例えば1モルの多価アルコールと、2モル以上の(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物;多価アルコールと、多価カルボン酸又はその無水物と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物等が挙げられる。具体的には、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート等の1モルの多価アルコールと、2モル以上の(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物;トリメチロールエタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、マロン酸、コハク酸、セバシン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、グルタル酸、無水マレイン酸等の多価カルボン酸又はその無水物と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体からそれぞれ任意に選択された組み合わせで得られるエステル化物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
光硬化反応を利用する場合の光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、エチルフェニルグリオキシレート、p−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。また、市販の光重合開始剤を使用してもよく、これらも1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
熱硬化反応を利用する場合の熱重合開始剤としては、例えばt−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;前記有機過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。また、市販の熱重合開始剤を使用してもよく、これらも1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
電子線硬化反応を利用する場合の電子線硬化開始剤としては、例えばベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。また、市販の電子線硬化開始剤を使用してもよく、これらも1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上述した光重合開始剤、熱重合開始剤、電子線硬化開始剤は単独で用いても、所望の組み合わせで用いてもよい。活性エネルギ線の具体例としては、可視光線、紫外線、電子線、赤外線等が挙げられ、一般的には高圧水銀ランプ等を用いた紫外線が多く用いられている。
本実施例における光学素子においては、上述した固化可能材料33に所定の波長の光を減衰させる物質として光吸収材料を含有させている。光吸収材料としては特に限定せず、一般に使用されている染料、顔料等が使用でき、これらを単独で使用しても混合して用いてもよい。光学フィルタをNDフィルタとして使用する場合には、黒色の光吸収材料を使用することになるが、例えば黒色の顔料を単体で用いても、シアン、マゼンタ、イエローの顔料を混合して使用してもよい。
以下に、市販されている黒、シアン、マゼンタ、イエローの顔料を例示する。黒色の顔料としては、Raven1060、Raven1080、Raven1170、Raven1200、Raven1250、Raven1255、Raven1500、Raven2000、Raven3500、Raven5250、Raven5750、Raven7000、Raven5000 ULTRAII、Raven1190 ULTRAII(以上、コロンビアン・カーボン社製)、Black Pearls L、MOGUL−L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW200、Color Black 18、Color Black S160、Color Black S170、Special Black 4、Special Black 4A、Special Black 6、Printex35、PrintexU、Printex140U、PrintexV、Printex140V(以上デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学社製)等を挙げることができるが、これらに限定されることはない。
シアン色の顔料としては、C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:2、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:4、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等が挙げられるが、これらに限定されることはない。
マゼンタ色の顔料としては、C.I.Pigment Red−5、C.I.Pigment Red−7、C.I.Pigment Red−12、C.I.Pigment Red−48、C.I.Pigment Red−48:1、C.I.Pigment Red−57、C.I.Pigment Red−112、C.I.Pigment Red−122、C.I.Pigment Red−123、C.I.Pigment Red−146、C.I.Pigment Red−168、C.I.Pigment Red−184、C.I.Pigment Red−202、C.I.Pigment Red−207等が挙げられるが、これらに限定されることはない。
イエローの顔料としては、C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.Pigment Yellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154等が挙げられるが、これらに限定されることはない。
本実施例においては、固化可能材料33としてアクリル樹脂共重合体、多官能アクリルモノマー、メタクリルモノマー、光重合開始剤、増感剤、添加剤から成るアクリル重合感光性樹脂組成物に黒色顔料を分散させたものを用いている。本実施例では、微細凹凸周期構造23に黒色顔料を含有させたことにより、可視光領域の波長の光を略均一に減衰させることができる。
本実施例においては黒色顔料の含有量を調整し、基板21の両面に、それぞれ光学濃度0.25となる微細凹凸周期構造23を形成し、光学濃度0.5のNDフィルタ20を得ることができる。
NDフィルタ20の表面には、図7(a)に示すように、転写型32の微細凹凸周期構造31が転写された微細凹凸周期構造23が転写され、このNDフィルタ20はλ=400〜700nm波長の光において最大反射率は0.5%となる。
また、光学素子を赤外カットフィルタとして使用する場合には、赤外光領域の光を吸収(減衰)する物質として、アントラキノン化合物やナフタロシアニン化合物等赤外線に対して吸収効果を有する材料を用いることができる。
このようにして、図7(a)に示すNDフィルタ20を得ることができるが、図7(b)に示すように、片面の微細凹凸周期構造41には光吸収材料を含有させずに、単に反射防止膜として利用してもよい。NDフィルタ20の光学濃度は光を減衰させる機能を有する光吸収材料の含有量により調整可能であり、両面で異なった光学濃度のNDフィルタ20を形成することもできる。
NDフィルタ20の表面の少なくとも一部に、微細凹凸周期構造23、41をそれぞれ異なる面積で形成することにより、表裏合わせて、透過光量の異なる領域が複数あるNDフィルタ20を形成することもできる。更に、基板21の同一面内で光を減衰させる光吸収材料の濃度を変化させることにより、図8(a)に示すような複数の異なる減衰率の領域を有する多濃度タイプのNDフィルタ20を作成することもできる。また、図9(a)に示すような連続的に減衰率の変化する領域を有するグラデーションタイプのNDフィルタ20も作製可能である。
図8(b)、図9(b)は、図8(a)、図9(a)のNDフィルタ20の位置と光学濃度の関係図を示している。
上述の方法により製作したNDフィルタ20を光量絞り装置12に使用すると、光量の変化を緩やかにすることができると共に、NDフィルタ20の表面反射も低減でき、良好な撮影画像を得ることができる。光量絞り装置12への挿入の方法は絞り羽根19aに取り付けてもよいし、絞り羽根19aとは別個に出し入れできるようにしてもよい。
更に、図10に示すように、基板21’自体に光吸収材料を含有させたNDフィルタ20の上に、光吸収材料を含有させた微細凹凸周期構造23を形成することもできる。これにより、NDフィルタ20全体としての透過光量の減衰を大きくすることができるので、高濃度のNDフィルタ20を比較的容易に製作することが可能となる。
また、図10に示す基板21’の代りに赤外カットガラスを利用して、微細凹凸周期構造23が減衰させる波長以外の領域のフィルタを使用することによって、多彩な領域の波長を減衰させられる光学素子を構成することが可能となる。例えば、NDフィルタと赤外カットフィルタを1つの部材で構成することができる。この場合に、微細凹凸周期構造23は上述した実施例を適用可能であることは云うまでもない。
このように作製したNDフィルタ20と、従来例のNDフィルタ1とを光量絞り装置12の絞り羽根19aに別個に取り付け、撮像画像を評価した。
表1は従来例である本実施例で作製した光学濃度0.25のNDフィルタ20と、図11(b)に示す基板面に光学濃度0.25の蒸着膜を成膜したNDフィルタ1を比較した表を示している。表1に示すように、基板21上に微細凹凸周期構造23を形成したNDフィルタ20については反射率も小さくゴーストも見られなかったが、微細凹凸周期構造23を形成していないNDフィルタ1については若干のゴーストが見られた。
表1
微細凹凸周期構造 ゴースト 最大反射率(λ=400〜700nm)
NDフィルタ20 あり なし 0.5%
NDフィルタ1 なし あり(軽微) 4%
本発明の光学素子は実施例のフィルタの他に、各種の光学部材の表面、例えばレンズ、ガラス板等に適用することもできる。
12 光量絞り装置
20 NDフィルタ
21、21’ 基板
22、24 突起部
23、31、41 微細凹凸周期構造
25 凹部
32 転写型
33 固化可能材料
34 下型

Claims (9)

  1. 透明基板の表面の少なくとも一部に微細凹凸周期構造を形成し、該微細凹凸周期構造は所定の波長の光を減衰させる物質を含み、光の反射を防止するための可視光領域の波長よりも小さいピッチと高さを有することを特徴とする光学フィルタ
  2. 前記所定の波長の光を減衰させる物質は、少なくとも可視光領域の波長を減衰させることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ
  3. 前記微細凹凸周期構造は可視光領域の波長を略均一に減衰させるNDフィルタとしての機能を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルタ
  4. 前記可視光領域の波長を略均一に減衰させる前記微細凹凸周期構造は、複数の異なる減衰率の領域を有することを特徴とする請求項3に記載の光学フィルタ
  5. 前記可視光領域の波長を略均一に減衰させる前記微細凹凸周期構造は、連続的に減衰率の変化する領域を有することを特徴とする請求項3に記載の光学フィルタ
  6. 前記所定の波長の光を減衰させる物質は、赤外光領域の波長を減衰させることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ
  7. 開口を形成するための絞り羽根と、前記開口を通過する光の光量を調節するために請求項1〜5の何れか1つに記載の光学フィルタとを備えていることを特徴とする光量調節装置。
  8. 請求項7に記載の光量調節装置の撮像光学系によって形成される像を電気信号に変換する固体撮像素子と、該固体撮像素子に入射する赤外光領域の波長を減衰させる請求項6に記載の光学フィルタを有することを特徴とする撮像機器。
  9. 撮像光学系を通過する光量を調節する請求項7に記載の光量調節装置と、前記撮像光学系によって形成される像を電気信号に変換する固体撮像素子とを有することを特徴とする撮像機器。
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