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JP5657924B2 - 可動体駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、可動体を駆動する可動体駆動装置に関し、特に、車両、船舶、航空機、建造物などで使用されるドアなどの可動体を駆動する際の制御に関する。
ワンボックス型やミニバン型の車両において、後席の側部ドアを、モータの動力で駆動(開閉)するパワースライドドアとすることがある。なお、この種のパワースライドドアにおいては、人力で開閉するときの操作を楽にするために、モータの動力を利用した支援すなわちパワーアシストとして利用されることもある。
このようなパワースライドドアにおいては、環境温度の影響により駆動部の機構的な抵抗(動きやすさ)が変化したり、モータ中の磁石の温度磁力変化により駆動力が変化したりする。しかし、制御回路基板はモータや駆動部から離れた位置にあり、モータや駆動部近傍に感温センサを設けることは部品点数の増加の観点から望ましくない。
また、このようなパワースライドドアにおいては、経年変化によっても駆動部の機構的な抵抗(動きやすさ)が変化したり、モータの駆動力が変化したりすることがあるが、このような変化を検知する有効な手法は存在していなかった。
以上のような状況に対する対処として、パワースライドドアにおいて、ドアの各移動位置における移動速度を検知し、各位置毎に目標速度と現在移動速度との速度差を求め、モータの駆動力を調整する技術が存在している(たとえば、特許文献1)。
また、人力をアシストするパワーアシストドアにおいて、開閉操作のフィーリングを改良するため、ドアの把手に設けたセンサで感知した操作力と仮想的に設定した軽いドア操作力との偏差が小さくなるように、コントローラでモータの力を制御することが行われる(たとえば、特許文献2)。
特開2002−194948号公報 特開2007−9650号公報
以上の特許文献1の手法を実現するには、ドアの移動中に細かく位置・移動速度検知を実行しつつ、移動中の各位置において速度差に基づく駆動力調整を実行する必要がある。すなわち、リアルタイムで計算と制御とが必要になり、CPUに負担を掛けることになる。また、この特許文献1の手法は、各位置において目標速度に近づける制御であるため、パワーアシストドアにおける加速や減速による速度変化には適用できない問題もある。
また、以上の特許文献2記載のようなパワーアシストを可能にするためには、操作力感知用のセンサを備えた特殊なドアでなければならず、既成のドアやセンサをそのまま使用することができない。また、操作力検知用のセンサの検知結果を処理するA−D変換器、CPUのポート、制御プログラムも必要になる。また、この場合は、センサ検知結果に応じた駆動力の制御であるため、温度や経年劣化による抵抗変化に応じた駆動制御をすることができない問題がある。
そして、以上の課題は、スライドドアに限らず、バックドアやトランクリッド等、その他の各種の可動体の駆動制御についても同様である。
本発明の目的は、可動体の駆動抵抗の変化に応じた適切な状態での可動体の駆動が可能な可動体駆動装置を実現することにある。
上述した課題を解決する本願発明は、以下に述べる通りである。
(1)請求項1記載の発明は、可動体をモータの動力で駆動する可動体駆動装置であって、前記モータに所定電圧を印加した時に流れる電流値もしくは所定電流を供給したときに発生する電圧値により前記可動体の駆動抵抗を推定する推定手段と、前記駆動抵抗に基づいて給電補正値を選択する給電補正値選択手段と、前記可動体の駆動抵抗の変化を相殺するように、前記給電補正値に基づいて前記モータへの給電量を調節する制御手段と、を備え、前記推定手段は、前記モータにより前記可動体を移動させない状態で、該可動体の駆動抵抗を推定する、ことを特徴とする可動体駆動装置である。
(2)請求項2記載の発明は、前記制御手段は、前記可動体の駆動中に、前記モータに流れる電流値と所定の閾値とを比較した結果に基づいて前記モータへの給電量を調節する機能を有しており、前記給電補正値に応じて前記閾値を変更し、前記モータに流れる電流値と該変更後の前記閾値との比較結果に基づいて前記給電量を調節する、ことを特徴とする請求項1に記載の可動体駆動装置である。
(3)請求項3記載の発明は、前記閾値として、昇順に大きい第一閾値と第二閾値とが設定され、前記制御手段は、前記電流値が前記第一閾値より小さいときは前記モータへの給電量を増やし、前記電流値が前記第二閾値より大きいときは前記モータへの給電量を減らす、ように設定され、前記制御手段は、前記可動体の駆動抵抗が予め定められた値もしくは範囲より高い場合には前記第一閾値もしくは前記第二閾値の少なくとも一方を上げ、前記可動体の駆動抵抗が予め定められた値もしくは範囲より低い場合には前記第一閾値もしくは前記第二閾値の少なくとも一方を下げる、ことを特徴とする請求項2に記載の可動体駆動装置である。
)請求項記載の発明は、前記可動体の移動を検知する移動検知手段を備え、前記推定手段は、前記移動検知手段の検知結果に基づいて、前記可動体の停止時に前記可動体の駆動抵抗を推定する、ことを特徴とする請求項1−のいずれか一項に記載の可動体駆動装置である。
)請求項記載の発明は、前記制御手段は、前記可動体の移動の指示を受け付けると、前記推定手段による推定の後に前記モータに給電するよう制御する、ことを特徴とする請求項に記載の可動体駆動装置である。
(1)請求項1記載の可動体駆動装置の発明では、モータに所定電圧を印加した時に流れる電流値もしくは所定電流を供給したときに発生する電圧値により可動体の駆動抵抗を推定し、推定された駆動抵抗に基づいて給電補正値を選択し、給電補正値に基づいて、可動体の駆動抵抗の変化を相殺するようにモータへの給電量を調節することにより、温度変化や経年劣化による可動体の駆動抵抗の変化に応じた適切な状態での可動体の駆動が可能になる。また、モータにより可動体を移動させない状態で、モータに所定電圧を印加した時に流れる電流値もしくは所定電流を供給したときに発生する電圧値により可動体の駆動抵抗を推定し、推定された駆動抵抗に基づいて給電補正値を選択し、給電補正値に基づいて、可動体の駆動抵抗の変化を相殺するようにモータへの給電量を調節することで、温度変化や経年劣化による可動体の駆動抵抗の変化を適切に推定し、適切な状態での可動体の駆動が可能になる。
(2)請求項2記載の可動体駆動装置の発明では、可動体の駆動中に、モータに流れる電流値と所定の閾値とを比較した結果に基づいて、モータに要求されるトルクに応じた状態でモータへの給電量を調節する際に、以上の給電補正値に応じて閾値を変更し、モータに流れる電流値と該変更後の閾値との比較結果に基づいて給電量を調節するようにしている。
これにより、温度変化や経年劣化による可動体の駆動抵抗の変化に応じて、モータに要求されるトルクに応じた状態でモータへの給電量を調節する際の判断基準となる閾値が変更されるため、温度変化や経年劣化による可動体の駆動抵抗の変化に応じた適切な給電量調整での可動体の駆動が可能になる。
(3)請求項3記載の可動体駆動装置の発明では、可動体の駆動中に、閾値として昇順に大きい第一閾値と第二閾値とが設定され、電流値が第一閾値より小さいときはモータへの給電量を増やし、電流値が第二閾値より大きいときはモータへの給電量を減らす、ように設定されていて、以上の給電補正値に応じて閾値を変更し、可動体の駆動中にモータに流れる電流値と変更後の閾値とを比較した結果に基づいて、モータに要求されるトルクに応じた状態でモータへの給電量を調節する際に、可動体の駆動抵抗が予め定められた値もしくは範囲より高い場合には第一閾値もしくは第二閾値の少なくとも一方を上げ、可動体の駆動抵抗が予め定められた値もしくは範囲より低い場合には第一閾値もしくは第二閾値の少なくとも一方を下げるよう制御する。なお、閾値を上げるもしくは下げるとは、それまでの値と比較して相対的に変更することを意味する。
ここで、温度変化や経年劣化により、可動体の駆動抵抗が予め定められた値もしくは範囲より高い場合には、第一閾値を上げることで、給電量増加(駆動力増加)を発生しやすくし、第二閾値を上げることで、給電量減少(駆動力減少)を発生しにくくする。
一方、温度変化や経年劣化により、可動体の駆動抵抗が予め定められた値もしくは範囲より低い場合には、第一閾値を下げることで、給電量増加(駆動力増加)を発生しにくくし、第二閾値を下げることで、給電量減少(駆動力減少)を発生しやすくする。
以上の結果、温度変化や経年劣化による可動体の駆動抵抗の変化に応じて、適切な給電量調整での可動体の駆動が可能になる。
)請求項記載の可動体駆動装置の発明では、可動体の移動を検知する移動検知手段の検知結果に基づいて、可動体の停止時に、モータに所定電圧を印加した時に流れる電流値もしくは所定電流を供給したときに発生する電圧値により可動体の駆動抵抗を推定し、推定された駆動抵抗に基づいて給電補正値を選択し、給電補正値に基づいて、可動体の駆動抵抗の変化を相殺するようにモータへの給電量を調節することで、温度変化や経年劣化による可動体の駆動抵抗の変化を適切に推定し、適切な状態での可動体の駆動が可能になる。
)請求項記載の可動体駆動装置の発明では、可動体の移動の指示を受け付けると、可動体の駆動抵抗を推定し、その後にモータに給電するよう制御することで、温度変化や経年劣化による可動体の駆動抵抗の変化を適切に推定し、適切な状態での可動体の駆動が可能になる。
実施形態の可動体駆動装置の構成を示すブロック図である。 実施形態の可動体駆動装置の動作を示すフローチャートである。 実施形態の可動体駆動装置の給電量の制御を示す特性図である。 実施形態の可動体駆動装置の給電量の制御を示す特性図である。 実施形態の可動体駆動装置の動作を示すフローチャートである。 実施形態の可動体駆動装置の動作を示すフローチャートである。 実施形態の可動体駆動装置の給電量の制御を示す特性図である。 実施形態の可動体駆動装置の給電量の制御を示す特性図である。 実施形態の可動体駆動装置を適用する車両の外観を示す説明図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態(実施形態)を詳細に説明する。なお、本発明は、以下に述べる実施形態の具体例に限定されるものではなく、各種の変形が可能である。
〔可動体駆動装置の構成〕
本実施形態の可動体駆動装置100の電気的構成を図1に示す。この図1において、制御部101はCPUや各種プロセッサで構成されており、可動体駆動装置100の各部を制御する制御手段である。
記憶部102は後述する駆動抵抗を推定する際の各種データ、駆動抵抗に基づいた給電補正値データ、各状態におけるモータへの給電量データ、その他各種のデータが格納された記憶手段であり、制御部101からデータの読み出しや変更が可能に構成されている。
センサ104は可動体の停止位置や挟み込みなどを検知する検知手段であり、検知結果は制御部101に伝達される。
スイッチ106は可動体の駆動に関する各種指示が入力される操作手段であり、入力結果は制御部101に伝達される。
駆動回路110は制御部101からの給電量の調節指示に基づいて所定のデューティのモータ駆動信号をモータに供給するドライバ回路などの駆動手段である。
モータMは駆動回路110からのモータ駆動信号によって回転力を発生し、この回転力によって可動体Dを駆動する動力供給源である。なお、この実施形態では、以下の制御の関係で、モータMとしては、ブラシ(整流子)を有する直流モータである場合を具体例とする。
電流検知部120は駆動回路110から供給されるモータ駆動信号によってモータMに流れる電流を検知し、検知結果を制御部101に伝達するもので、シャント抵抗、および、シャント抵抗に生じる電圧を検知する検知手段とを含んで構成される。なお、モータMに流れる電流は、モータ駆動信号のデューティと、モータMが発生するトルクとに応じて変化する。
駆動力伝達部130はモータMによる回転力を変速し、さらに回転力を直線運動に変換して駆動力として可動体Dに伝達する駆動力伝達手段である。
可動体Dは各種ドア等の移動自在な各種物体であり、駆動力伝達部130から伝えられる駆動力により所定の方向に所定の速度で移動する。
移動検知部140は可動体Dの移動を検知し、移動の有無に応じた信号あるいは移動速度に応じた信号を生成し、制御部101に伝達する。この移動検知部140は、たとえば、ホール素子やホールICなどで構成され、移動速度に応じたパルス幅やパルス数の信号を生成する。
なお、可動体駆動装置100を車両に適用した場合の全体の外観図を図9に示す。ここで、可動体Dは、ボディBに移動自在に取り付けられた後部スライドドアなどが該当する。ここで、モータMの回転は、駆動力伝達部130により変速され、さらに、図示されないワイヤなどを介して回転力が直線運動に変換され、ボディBに設けられたレールRに沿って可動体Dが移動可能である。
〔可動体駆動装置の動作(1)〕
以下、図2のフローチャートを参照し、可動体駆動装置100の動作(1)を説明する。
ここでは、動作(1)として、モータM周囲の温度を推定し、この温度の変化による駆動抵抗の変化に対処可能な実施形態について説明を行う。
まず、制御部101は、車両が停止中であるかを確認する(図2中のステップS101)。車両が移動中であった場合には、停止が確認できるまで処理を中断し、(図2中のステップS101でNO)、車両が停止中であれば処理を進める(図2中のステップS101でYES)。
さらに、制御部101は、スイッチ106の操作を禁止する別のロックスイッチがロック状態であるか否か、可動体の移動を許可できない何らかの事情があるか、などを確認する(図2中のステップS102)。ここで、制御部101は、スイッチ106の操作を禁止する別のロックスイッチがロック状態であったり、可動体の移動を許可できない何らかの事情がある場合には、これらの事情が解消するまで処理を中断する(図2中のステップS102でNO)。一方、制御部101は、スイッチ106の操作を禁止する別のロックスイッチがロック状態にされておらず、ほかの事情も存在しない場合には、可動体Dの移動を許可すべく処理を進める(図2中のステップS102でYES)。
そして、制御部101は、スイッチ106の操作を待ち(図2中のステップS103)、利用者から可動体Dを移動させる指示がスイッチ106を介して入力されると(図2中のステップS103でYES)、可動体Dを移動すべく処理を進める(図2中のステップS103でYES)。
ここで、まず制御部101は、モータMも可動体Dも動き始めない程度に低い一定の所定電圧V1をモータMに印加するよう駆動回路110に指示を与える。なお、この際には、制御部101は、移動検知部140の検知結果を参照し、可動体Dが停止しているかを確認する。そして、このときに所定電圧が印加されたモータMに流れる電流値I1を電流検知部120が検知して、該検知結果を制御部101に伝達する(図2中のステップS104)。
なお、この実施形態では、所定電圧V1をモータMに印加したときにモータMに流れる電流値I1を検知しているが、これに限定されるものではない。すなわち、モータMに一定電流を流す定電流源と、モータMの巻線に発生する電圧を検知する電圧検知部とを別途用意し、該定電流源からモータMに一定電流Ic01を流し、このときにモータMの巻線に発生する電圧V01を電圧検知部で検知して、該電圧検知結果を電圧検知部が制御部101に伝達しても良い。
制御部101は、電流検知部120により検知された電流値I1により、モータMが配置されている周囲の温度を推定する(図2中のステップS105)。なお、一定の所定電圧V1をモータMに対して印加しており、この際に流れる電流値I1は温度依存特性を有するため、電流値I1からモータM周囲の温度を推定することが可能になっている。また、この場合の温度推定は、絶対的な温度を推定しても良いし、標準温度として定められた温度との差を求めてもよい。
このため、電流値と温度との対応関係のルックアップテーブルが記憶部102に備えられており、制御部101は、このルックアップテーブルを参照して、電流値I1から温度を推定する(図2中のステップS104)。なお、定電流源から一定電流Ic01を流したときに発生する電圧値V01を検知する場合には、電圧値と温度との対応関係のルックアップテーブルが記憶部102に備えられており、制御部101は、このルックアップテーブルを参照して、電圧値V01から温度を推定する。したがって、制御部101は、請求項における推定手段を構成している。
そして、図3に示すように、モータM周囲、すなわち、駆動力伝達部130付近の温度が常温域より低下すれば、駆動力伝達部の駆動抵抗が増大する。一方、駆動力伝達部130付近の温度が常温域より上昇すれば、駆動力伝達部の駆動抵抗が低下する。また、モータMの温度が常温域より低下すれば、マグネットの磁束が増加し、駆動力が増大する。一方、モータMの温度が常温域より上昇すれば、マグネットの磁束が低下し、駆動力が低下する。したがって、モータMや駆動力伝達部130の温度によって、モータMの駆動力や駆動力伝達部130の駆動抵抗が変化する。一般的には、マグネットの磁束変化によるモータMの駆動力変化よりも、駆動力伝達部130の駆動抵抗変化の割合が大きいため、総合的には、低温になると駆動抵抗が増加し、高温になると駆動抵抗が減少する傾向になる。
そこで、この駆動力や駆動抵抗の変化を打ち消すように、モータMへの給電量(デューティ)を補正する給電補正値が、温度との対応関係であらかじめルックアップテーブルとして記憶部102に備えられている。この場合、給電補正値は、たとえば、常温、低温、高温、といった三段階あるいは、四段階以上であってもよい。なお、常温、低温、高温の各温度範囲は、駆動抵抗の変化具合に応じて任意に設定することができる。
そして、制御部101は、電流値I1から推定された温度が常温範囲よりも低温であれば(図2中のステップS106でYES)、記憶部102内のルックアップテーブルを参照し、低温用給電補正値を選択する(図2中のステップS108)。また、制御部101は、電流値I1から推定された温度が常温範囲であれば(図2中のステップS106でNO、図2中のステップS107でNO)、記憶部102内のルックアップテーブルを参照し、常温用給電補正値を選択する(図2中のステップS109)。なお、この常温用給電補正値としては、補正無しを意味する値であってもよい。また、制御部101は、電流値I1から推定された温度が高温範囲であれば(図2中のステップS106でNO、図2中のステップS107でYES)、記憶部102内のルックアップテーブルを参照し、高温用給電補正値を選択する(図2中のステップS110)。したがって、制御部101は、請求項における給電補正値選択手段を構成している。
なお、ルックアップテーブルを用いて給電補正値を選択して生成する代わりに、モータMの駆動力変化パラメータと、駆動力伝達部130の駆動抵抗変化パラメータと、各パラメータと温度とによる給電補正値計算式とを保持しておいて、推定された温度に応じて適切な給電補正値を計算して生成してもよい。この場合、制御部101は、給電補正値生成手段を構成する。
通常状態、すなわち、ステップS105で推定された温度が低温や高温ではない場合に、制御部101の制御により駆動回路110からモータMに対して、図4(a)実線のようなデューティ特性のモータ駆動信号を供給している。なお、図4(a)において、一点鎖線と二点鎖線とは後述する他の状態を念のため示している。
まず、初動モード(図4(a)A期間の実線)では徐々にデューティを大きくしていき、モータMの回転を上昇させ、可動体Dを加速させる。そして、初動モードで一定時間経過後に、定常モード(図4(a)B期間の実線)ではデューティを一定に保ち、モータMの回転を安定させ、可動体Dをほぼ一定速度で移動させる。そして、定常モードで一定時間経過後に、減速モード(図4(a)C期間の実線)では徐々にデューティを小さくしていき、モータMの回転を低下させ、可動体Dを停止に向けて減速させる。
モータMや駆動力伝達部130が低温であると推定された場合(図2中のステップS107でYES)は、制御部101は低温用給電補正値(図2中のステップS108)でモータMへの給電量を補正する(図2中のステップS111)ため、通常状態(図4(a)実線)よりも大きくなるように調節されたデューティ特性(図4(b)一点鎖線)のモータ駆動信号がモータMに供給される。これにより、低温による可動体Dの駆動抵抗の増加分が、給電量増加により相殺される。
モータMや駆動力伝達部130が高温であると推定された場合(図2中のステップS108でYES)は、制御部101は高温用給電補正値(図2中のステップS110)でモータMへの給電量を補正する(図2中のステップS111)ため、通常状態(図4(a))よりも小さくなるように調節されたデューティ特性(図4(c)の二点鎖線)のモータ駆動信号がモータMに供給される。これにより、高温による可動体Dの駆動抵抗の低下分が、給電量減少により相殺される。
以上のようにすることで、可動体Dの駆動抵抗の変化を相殺するようにモータへの給電量を調節することにより、温度変化や経年劣化による可動体の駆動抵抗の変化に応じた適切な状態での可動体の駆動が可能になる。従って、温度変化による駆動抵抗の変化が存在する場合であっても、温度変化による駆動抵抗の変化が存在しない場合と同じ移動速度で可動体Dを移動させることが可能になる。
〔可動体駆動装置の動作(2)〕
以下、図5のフローチャートを参照し、可動体駆動装置100の動作(2)を説明する。
ここでは、動作(2)として、駆動力伝達部130の駆動抵抗を推定し、この駆動抵抗の変化に対処可能な実施形態について説明を行う。
まず、制御部101は、車両が停止中であるかを確認する(図5中のステップS201)。車両が移動中であった場合には、停止が確認できるまで処理を中断し、(図5中のステップS201でNO)、車両が停止中であれば処理を進める(図5中のステップS201でYES)。
さらに、制御部101は、スイッチ106の操作を禁止する別のロックスイッチがロック状態であるか否か、可動体の移動を許可できない何らかの事情があるか、などを確認する(図5中のステップS202)。ここで、制御部101は、スイッチ106の操作を禁止する別のロックスイッチがロック状態であったり、可動体の移動を許可できない何らかの事情がある場合には、これらの事情が解消するまで処理を中断する(図5中のステップS202でNO)。一方、制御部101は、スイッチ106の操作を禁止する別のロックスイッチがロック状態にされておらず、ほかの事情も存在しない場合には、可動体Dの移動を許可すべく処理を進める(図5中のステップS202でYES)。
そして、制御部101は、スイッチ106の操作を待ち(図5中のステップS203)、利用者から可動体Dを移動させる指示がスイッチ106を介して入力されると(図5中のステップS203でYES)、可動体Dを移動すべく処理を進める(図5中のステップS203でYES)。
ここで、まず制御部101は、モータMが回転して可動体Dを移動させるためのワイヤを若干巻き取る程度であって、可動体Dが動き始めない程度の一定の所定電圧V2をモータMに印加するよう駆動回路110に指示を与える。この際には、制御部101は、移動検知部140の検知結果を参照し、可動体Dが停止しているかを確認する。そして、このときに所定電圧V2が印加されたモータMに流れる電流値I2を電流検知部120が検知して、該検知結果を制御部101に伝達する(図5中のステップS204)。
なお、この実施形態では、所定電圧V2をモータMに印加したときにモータMに流れる電流値I2を検知しているが、これに限定されるものではなく、動作(1)と同様に定電流源と電圧検知部とに置き換えることが可能である。
制御部101は、電流検知部120により検知された電流値I2により、駆動力伝達部130の駆動抵抗を推定する(図5中のステップS205)。なお、一定の所定電圧V2をモータMに対して印加しており、この際に流れる電流値I2は負荷トルク依存特性を有するため、電流値I2から駆動力伝達部130の駆動抵抗を推定することが可能になっている。また、この場合の駆動抵抗推定は、絶対的な駆動抵抗を推定しても良いし、標準駆動抵抗として定められた値との差を求めてもよい。
このため、電流値と駆動抵抗との対応関係のルックアップテーブルが記憶部102に備えられており、制御部101は、このルックアップテーブルを参照して、電流値I2から駆動抵抗を推定する(図5中のステップS204)。なお、定電流源から一定電流Ic02を流したときに発生する電圧値V02を検知する場合には、電圧値と駆動抵抗との対応関係のルックアップテーブルが記憶部102に備えられており、制御部101は、このルックアップテーブルを参照して、電圧値V02から駆動抵抗を推定する。したがって、制御部101は、請求項における推定手段を構成している。
そこで、この駆動抵抗の変化を打ち消すように、モータMへの給電量(デューティ)を補正する給電補正値が、駆動抵抗との対応関係であらかじめルックアップテーブルとして記憶部102に備えられている。この場合、給電補正値は、たとえば、駆動抵抗=大、駆動抵抗=中、駆動抵抗=小、といった三段階あるいは、四段階以上であってもよい。
そして、制御部101は、電流値I2から推定された駆動抵抗が高駆動抵抗であれば(図5中のステップS206でYES)、記憶部102内のルックアップテーブルを参照し、高駆動抵抗用給電補正値を選択する(図5中のステップS208)。また、制御部101は、電流値I2から推定された駆動抵抗が中駆動抵抗(通常範囲)であれば(図5中のステップS206でNO、図5中のステップS207でNO)、記憶部102内のルックアップテーブルを参照し、中駆動抵抗用給電補正値を選択する(図5中のステップS209)。なお、この中駆動抵抗用給電補正値としては、補正無しを意味する値であってもよい。また、制御部101は、電流値I2から推定された駆動抵抗が低駆動抵抗であれば(図5中のステップS206でNO、図5中のステップS207でYES)、記憶部102内のルックアップテーブルを参照し、低駆動抵抗用給電補正値を選択する(図5中のステップS210)。したがって、制御部101は、請求項における給電補正値選択手段を構成している。
なお、ルックアップテーブルを用いて給電補正値を選択して生成する代わりに、駆動抵抗による給電補正値計算式を保持しておいて、推定された駆動抵抗に応じて適切な給電補正値を計算して生成してもよい。この場合、制御部101は、給電補正値生成手段を構成する。
通常状態、すなわち、ステップS205で推定された駆動抵抗が低駆動抵抗や高駆動抵抗ではない場合に、制御部101の制御により駆動回路110からモータMに対して、上述した動作(1)と同様に、図4(a)のようなデューティ特性のモータ駆動信号を供給している。
モータMや駆動力伝達部130が高駆動抵抗であると推定された場合(図5中のステップS207でYES)は、制御部101は高駆動抵抗用給電補正値(図5中のステップS208)でモータMへの給電量を補正する(図5中のステップS211)ため、通常状態(図4(a))よりも大きくなるように調節されたデューティ特性(図4(b))のモータ駆動信号がモータMに供給される。これにより、温度変化や経年変化による可動体Dの駆動抵抗の増加分が、給電量増加により相殺される。
モータMや駆動力伝達部130が低駆動抵抗であると推定された場合(図5中のステップS208でYES)は、制御部101は低駆動抵抗用給電補正値(図5中のステップS210)でモータMへの給電量を補正する(図5中のステップS211)ため、通常状態(図4(a))よりも小さくなるように調節されたデューティ特性(図4(c))のモータ駆動信号がモータMに供給される。これにより、温度変化や経年変化による可動体Dの駆動抵抗の低下分が、給電量減少により相殺される。
以上のようにすることで、可動体Dの駆動抵抗の変化を相殺するようにモータへの給電量を調節することにより、温度変化や経年劣化による可動体の駆動抵抗の変化に応じた適切な状態での可動体の駆動が可能になる。従って、各種変化や経年劣化による駆動抵抗の変化が存在する場合であっても、駆動抵抗の変化が存在しない場合と同じ移動速度で可動体Dを移動させることが可能になる。
〔可動体駆動装置の動作(3)〕
上述した動作(1)における推定温度と上述した動作(2)における推定駆動抵抗との二種類の入力に基づく給電補正値を三次元のルックアップテーブルに予め格納しておいて、制御部101の制御により、所定電圧V1印加で流れる電流I1から温度を推定し、続けて、所定電圧V2印加で流れる電流I2から駆動抵抗を推定し、推定温度と推定駆動抵抗との両方から総合的な給電補正値を求めてモータへの給電量を調節することも可能である。このようにすることでも、可動体Dの駆動抵抗の変化を相殺することにより、温度変化や経年劣化による可動体の駆動抵抗の変化に応じた適切な状態での可動体の駆動が可能になる。従って、各種変化や経年劣化による駆動抵抗の変化が存在する場合であっても、駆動抵抗の変化が存在しない場合と同じ移動速度で可動体Dを移動させることが可能になる。
なお、上述した2入力1出力の三次元のルックアップテーブルを用いる代わりに、動作(1)と動作(2)で示した2つのルックアップテーブルと、該2つのルックアップテーブルの出力を統合して最終的な給電補正値を生成する手段を用いることも可能である。
〔可動体駆動装置の動作(4)〕
以下、図6のフローチャートを参照し、可動体駆動装置100の動作(4)を説明する。
ここでは、動作(4)として、加速あるいは減速を判断する際の閾値を、駆動抵抗の変化に応じて変更することで、適切な動作が可能な実施形態について説明を行う。
まず、制御部101は、車両が停止中であるかを確認する(図6中のステップS301)。車両が移動中であった場合には、停止が確認できるまで処理を中断し、(図6中のステップS301でNO)、車両が停止中であれば処理を進める(図6中のステップS301でYES)。
さらに、制御部101は、スイッチ106の操作を禁止する別のロックスイッチがロック状態であるか否か、可動体の移動を許可できない何らかの事情があるか、などを確認する(図6中のステップS302)。ここで、制御部101は、スイッチ106の操作を禁止する別のロックスイッチがロック状態であったり、可動体の移動を許可できない何らかの事情がある場合には、これらの事情が解消するまで処理を中断する(図6中のステップS302でNO)。一方、制御部101は、スイッチ106の操作を禁止する別のロックスイッチがロック状態にされておらず、ほかの事情も存在しない場合には、可動体Dの移動を許可すべく処理を進める(図6中のステップS302でYES)。
そして、制御部101は、スイッチ106の操作を待ち(図6中のステップS303)、利用者から可動体Dを移動させる指示がスイッチ106を介して入力されると(図6中のステップS303でYES)、可動体Dを移動すべく処理を進める(図6中のステップS303でYES)。
ここで、まず制御部101は、一定の所定電圧VaをモータMに印加するよう駆動回路110に指示を与える。なお、この所定電圧Vaは、動作(1)における所定電圧V1であってもよいし、動作(2)における所定電圧V2であってもよい。そして、このときに所定電圧Vaが印加されたモータMに流れる電流値Ibを電流検知部120が検知して、該検知結果を制御部101に伝達する(図6中のステップS304)。
なお、この実施形態では、所定電圧VaをモータMに印加したときにモータMに流れる電流値Ibを検知しているが、これに限定されるものではない。すなわち、上述した動作(1)や動作(2)のように、定電流源からモータMに一定電流を流し、このときにモータMの巻線に発生する電圧を電圧検知部で検知して、該電圧検知結果を電圧検知部が制御部101に伝達しても良い。
制御部101は、電流検知部120により検知された電流値Ibにより、動作(1)または動作(2)のようにして、駆動力伝達部130の駆動抵抗を推定する(図6中のステップS305)。なお、この場合の駆動抵抗推定は、絶対的な駆動抵抗を推定しても良いし、標準駆動抵抗として定められた値との差を求めてもよい。
ところで、モータMに流れる電流は、モータMの負荷の大小に対応し、負荷が小さいときはモータ電流が小さく、負荷が大きくなるほどモータ電流が大きくなる特性を有している。
このため、モータMにより可動体Dを移動させる場合のモータ電流をIf、モータMにより可動体Dを移動させる方向と人力による操作方向とが一致した場合のモータ電流をIff、モータMにより可動体Dを移動させる方向と人力による操作方向とが反対の場合のモータ電流をIfbとすると、
Iff<If<Ifb
という関係が成立する。
したがって、制御部101はモータMに流れる電流値について、Th1<Th2の関係を有する所定の閾値Th1,Th2を用いて、Iff<If<Ifbの関係を判定することにより、図7に示すように、操作者が可動体Dを加速させようとしているか、減速(停止)させようとしているか、何もしていないか、を判断することができる。そして、制御部101は、モータ電流と閾値Th1,Th2との比較による判定結果(図8(a)参照)により、給電量を調節して加速あるいは減速(停止)の制御を、操作者の意図に合わせて適切に行うことができる。
このような制御を行う場合において、温度変化や駆動抵抗変化を相殺する方向に制御が移行しやすいように、閾値Th1,Th2を補正する給電補正値が、駆動抵抗との対応関係であらかじめルックアップテーブルとして記憶部102に備えられている。この場合、給電補正値は、三段階あるいは、四段階以上であってもよい。
そして、制御部101は、電流値Ibから推定された駆動抵抗が高駆動抵抗であれば(図6中のステップS306でYES)、記憶部102内のルックアップテーブルを参照し、高駆動抵抗用の閾値を選択する(図6中のステップS308)。ここで、高駆動抵抗と推定された場合には、図7(b)のように、閾値Th1,Th2の少なくとも一方の値をTh1’,Th2’と大きくする(上げる)。これにより、モータMへの給電量の調節(図6中のステップS311)は、高駆動抵抗の場合には、中駆動抵抗の場合よりも、加速(給電量増加)しやすく、減速(給電量減少)しにくくなり、結果として加速時間が伸び、減速時間が減り、高駆動抵抗の影響を相殺しやすくなる(図8(b)参照)。
また、制御部101は、電流値Ibから推定された駆動抵抗が中駆動抵抗(通常範囲)であれば(図6中のステップS306でNO、図6中のステップS307でNO)、記憶部102内のルックアップテーブルを参照し、中駆動抵抗用給電補正値を選択する(図6中のステップS309)。なお、この中駆動抵抗用給電補正値としては、補正無しを意味する値であってもよい。
また、制御部101は、電流値Ibから推定された駆動抵抗が低駆動抵抗であれば(図6中のステップS306でNO、図6中のステップS307でYES)、記憶部102内のルックアップテーブルを参照し、低駆動抵抗用給電補正値を選択する(図6中のステップS310)。
ここで、低駆動抵抗と推定された場合には、図7(c)のように、閾値Th1,Th2の少なくとも一方の値をTh1”,Th2”と小さくする(下げる)。これにより、モータMへの給電量の調節(図6中のステップS311)は、低駆動抵抗の場合には、中駆動抵抗の場合よりも、加速(給電量増加)しにくく、減速(給電量減少)しやすくなり、結果として、加速時間が減り、減速時間が増え、低駆動抵抗の影響を相殺しやすくなる(図8(c)参照)。
なお、ルックアップテーブルを用いて給電補正値を選択して生成する代わりに、駆動抵抗による閾値計算式を保持しておいて、推定された駆動抵抗に応じて適切な閾値を算出する給電補正値を計算して生成してもよい。この場合、制御部101は、給電補正値生成手段を構成する。
以上のように駆動抵抗に応じて閾値を変更することで、加速や減速の判定基準が変更され、結果として給電量が調節されることになり、可動体Dの駆動抵抗の変化を相殺するようにモータへの給電量を調節することになって、温度変化や経年劣化による可動体の駆動抵抗の変化に応じた適切な状態での可動体の駆動が可能になる。なお、この実施形態において、閾値を大きくする(上げる)もしくは小さくする(下げる)とは、それまでの値と比較して相対的に変更することを意味している。
したがって、閾値の変更によって加速や減速の判定基準が変更されることにより、温度変化や経年変化による駆動抵抗の変化を操作者に感じさせない状態を保つことが可能になる。
〔可動体駆動装置の動作(5)〕
上述した動作(1)−(3)のいずれかにより給電補正値を求めてモータへの給電量を調節することと、上述した動作(4)による閾値の変更による加速/減速の判定基準の変更とを併用することも可能であり、このようにすることで、より一層、温度変化や経年劣化による可動体の駆動抵抗の変化に応じた適切な状態での可動体の駆動が可能になる。
〔その他の実施形態(1)〕
以上説明した可動体駆動装置において、モータMを流れる電流や発生する電圧で温度や駆動抵抗を推定して各種制御を行っていたが、これに加え、制御部101近傍のサーミスタ等の感温素子の検知結果も加味して制御を行うことが可能である。
この場合に、モータMを流れる電流や発生する電圧で推定された温度と、制御部101近傍の感温素子で検知された温度が著しく異なる場合、例えば、制御部101近傍では高温と検知され、モータMを流れる電流や発生する電圧で低温と推定された場合など、全く逆である場合には、制御部101はエラーであると判断し、上述した制御を停止することも好ましい。
制御部101はエラーであると判断し、上述した制御を停止することも好ましい。
また、この場合に、モータMを流れる電流や発生する電圧で推定された駆動抵抗と、制御部101近傍の感温素子で検知された温度との相関関係を、制御部101が判断することも好ましい。ここで、著しく相関関係を欠く場合、例えば、制御部101近傍では通常温度と検知され、モータMを流れる電流や発生する電圧で推定された駆動抵抗が通常より大幅に大きいと推定された場合などには、制御部101はエラーであると判断し、上述した制御を停止することも好ましい。
〔その他の実施形態(2)〕
以上説明した可動体駆動装置は、図9に示した車両用に限らず、船舶や航空機の可動体駆動装置、あるいは、建物の内外で使用される可動体駆動装置等適宜の用途の可動体駆動装置であって良い。また、ドアは人の出入りに限らず荷物の出し入れ用のドアであって良い。
D 可動体
M モータ
100 可動体駆動装置
101 制御部
102 記憶部
104 センサ
106 スイッチ
110 駆動回路
120 電流検知部
130 駆動力伝達部
140 移動検知部

Claims (5)

  1. 可動体をモータの動力で駆動する可動体駆動装置であって、
    前記モータに所定電圧を印加した時に流れる電流値もしくは所定電流を供給したときに発生する電圧値により前記可動体の駆動抵抗を推定する推定手段と、
    前記駆動抵抗に基づいて給電補正値を選択する給電補正値選択手段と、
    前記可動体の駆動抵抗の変化を相殺するように、前記給電補正値に基づいて前記モータへの給電量を調節する制御手段と、
    を備え
    前記推定手段は、前記モータにより前記可動体を移動させない状態で、該可動体の駆動抵抗を推定する、
    ことを特徴とする可動体駆動装置。
  2. 前記制御手段は、前記可動体の駆動中に、前記モータに流れる電流値と所定の閾値とを比較した結果に基づいて前記モータへの給電量を調節する機能を有しており、
    前記給電補正値に応じて前記閾値を変更し、前記モータに流れる電流値と該変更後の前記閾値との比較結果に基づいて前記給電量を調節する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の可動体駆動装置。
  3. 前記閾値として、昇順に大きい第一閾値と第二閾値とが設定され、
    前記制御手段は、前記電流値が前記第一閾値より小さいときは前記モータへの給電量を増やし、前記電流値が前記第二閾値より大きいときは前記モータへの給電量を減らす、ように設定され、
    前記制御手段は、
    前記可動体の駆動抵抗が予め定められた値もしくは範囲より高い場合には前記第一閾値もしくは前記第二閾値の少なくとも一方を上げ、
    前記可動体の駆動抵抗が予め定められた値もしくは範囲より低い場合には前記第一閾値もしくは前記第二閾値の少なくとも一方を下げる、
    ことを特徴とする請求項2に記載の可動体駆動装置。
  4. 前記可動体の移動を検知する移動検知手段を備え、
    前記推定手段は、前記移動検知手段の検知結果に基づいて、前記可動体の停止時に前記可動体の駆動抵抗を推定する、
    ことを特徴とする請求項1−のいずれか一項に記載の可動体駆動装置。
  5. 前記制御手段は、前記可動体の移動の指示を受け付けると、前記推定手段による推定の後に前記モータに給電するよう制御する、
    ことを特徴とする請求項に記載の可動体駆動装置。
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