JP2007043835A - モータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 巻線20aに通電されることによって作動するモータ20と、モータ20の駆動制御,巻線推定温度の算出およびモータ焼損保護を行う制御部3を備えたパワーウインドウ装置1であって、制御部3のコントローラ31は、推定温度記憶手段と、通電時に作動条件に応じて推定温度の温度上昇値を算出する温度上昇値算出手段と、温度上昇値算出手段によって算出された温度上昇値を推定温度記憶手段に記憶された推定温度に加算して推定温度を更新する推定温度更新手段とを備え、温度上昇値算出手段は、温度上昇値を算出するための温度上昇値算定式を複数有し、これら複数の算定式を用いて作動条件に応じて最適な温度上昇値を算出する。
【選択図】 図2
Description
ところが、上記保護素子をモータ近傍に配設すると、モータ体格が大きくなって装置全体が大型化してしまう。このため、特許文献1に記載のモータ制御装置では、上記保護素子を設けることなく、モータを駆動制御する制御部によって、モータに印加している電圧の大きさおよび印加時間と、前回の推定温度値から、モータの推定温度を算出するように構成している。特許文献1に記載のモータ制御装置では、算出された推定温度が所定の過熱保護温度以上になったときにはモータ駆動が停止され、さらに推定温度が過熱保護解除温度値になるまで停止状態が維持されるようになっている。
図1〜図7は本発明の一実施形態に係るものであり、図1はパワーウインドウ装置の説明図、図2は図1のパワーウインドウ装置の電気構成図、図3はモータ回転速度と温度勾配の関係を表わすグラフ、図4はモータ発熱温度の時間変化を表わすグラフ、図5,図6は温度上昇値算定式を算出するための説明図、図7はモータ推定温度算出処理の処理フローである。
本例の昇降機構2は、ドア10に固定された減速機構を有するモータ20と、モータ20に駆動される扇形状のギヤ21aを備えた昇降アーム21と、昇降アーム21とクロスして枢支される従動アーム22と、ドア10に固定された固定チャンネル23およびウインドウガラス11と一体のガラス側チャンネル24とを主要構成要素としている。
本例のモータ20は、制御部3から電力供給を受けることにより、回転子の巻線20aに通電され、これにより回転子とマグネットを有する固定子との間で磁気吸引作用が生じて回転子が正逆回転するように構成されている。本例の昇降機構2では、モータ20の回動に応じて昇降アーム21および従動アーム22が揺動すると、これらの各端部がチャンネル23,24により摺動規制を受け、Xリンクとして駆動し、ウインドウガラス11を昇降作動させる。
制御部3は、このパルス信号によって、ウインドウガラス11の昇降位置を算出する。また、制御部3は、パルス信号の間隔によってモータ20の回転速度(モータ回転速度)、またはこれに対応するウインドウガラス11の昇降速度を算出することができる。
本例のコントローラ31は、CPU、ROM,RAM等のメモリ、入力回路、出力回路等を備えるマイクロコンピュータで構成されている。CPUは、メモリ,入力回路及び出力回路とバスを介して互いに接続されている。
コントローラ31は、通常時、操作スイッチ4からの操作信号に基づいて駆動回路32を介してモータ20を正逆回転させて、ウインドウガラス11を開閉動作させる。
コントローラ31は、温度センサ33からの周辺温度検出信号を受け取り、これに基づいて基板周辺の周辺温度を算出している。
また、モータ制御部としてのコントローラ31は、駆動回路32を介してモータ20へ通電した印加電圧の大きさを検出する不図示の電圧センサを有しており、常時、モータ印加電圧を監視している。また、コントローラ31は、通電時間をカウントしている。
また、上述のようにコントローラ31は、回転検出装置25からのパルス信号によってモータ20の回転速度を監視している。
一方、巻線20aへ通電されないモータ停止中には、コントローラ31は、所定の温度減算処理を行う。この温度減算処理は、推定温度を周辺温度まで減算していく処理であり、温度カウンタの値から所定の補正値(減算温度)を所定時間ごとに減算していく。
具体的には、操作スイッチ4は、一端側へ1段階操作されると開スイッチがオンされ、ウインドウガラス11を通常開動作(すなわち操作している間だけ開動作)させるための通常開指令信号をコントローラ31へ出力する。また、操作スイッチ4は、他端側へ1段階操作されると閉スイッチがオンされ、ウインドウガラス11を通常閉動作(すなわち操作している間だけ閉動作)させるための通常閉指令信号をコントローラ31へ出力する。
図3は、温度上昇値の算定に用いられる温度上昇値算定式A1,A2,A3のグラフである。直線a1,a2,a3は、それぞれ温度上昇値算定式A1,A2,A3に対応している。図3の縦軸は単位時間当たりの温度上昇値である温度勾配(発熱温度上昇勾配)α(℃/s)を表わしており、横軸はモータ回転速度ω(rad/s)を表わしている。
算定式A1,A2,A3は、モータ印加電圧V(本例では、電源電圧に相当)とモータ回転速度ωを変数とする1次関数の和で表わされ、それぞれ温度勾配α1,α2,α3が算出される。なお、図3ではモータ印加電圧Vを所定の値に設定し、変数をモータ回転速度ωのみとして表示している。
算定式A1,A2,A3で表わされる直線a1,a2,a3は、負の傾きを有しており、傾きの大きさ(絶対値)が大きい順から算定式A1,A2,A3となっている。そして、算定式A1,A2で表わされる直線はモータ回転速度ω1で交差し、算定式A2,A3で表わされる直線はモータ回転速度ω2(ω2>ω1)で交差する。
モータ20の逆起電力をE(V),逆起電力定数をKE(Vs/rad),モータ回転速度をω(rad/s)とすると、モータ20の逆起電力Eとモータ回転速度ωの関係は、
E=KE・ω ・・・(式1)
で表わされる。これにより、アーマチャ抵抗をRa(Ω),モータ通電電流をIa(A)とすると、モータ印加電圧V(V)は、
V=E+Ra・Ia=KE・ω+Ra・Ia ・・・(式2)
で表わされる。
P=1/2・Ra・Ia 2=(V−KE・ω)2/2Ra ・・・(式3)
で表わされる。
モータ20の発熱温度θ(℃)は、モータ20の熱抵抗をU(℃/W),熱容量をC(J/℃)とすると、
θ=P・U・{1−exp(−t/UC)} ・・・(式4)
と時間関数で表わすことができる。図4に発熱温度θを表す曲線を実線で示す。
θ≒(V−KE・ω)2/2CRa・t ・・・(式4)
となる。図4に近似式による発熱温度θを表わす直線を破線で示す。
本例では、この近似式の傾きを推定温度更新時の発熱温度上昇勾配αとして用いる。式4から分かるように、発熱温度上昇勾配αは、モータ印加電圧V,モータ回転速度ω(および逆起電力定数KE)を変数とする。
α=x2/2CRa ・・・(式5)
と表わせる。αはxの2次関数で表わされる。図5は、xに対する発熱温度上昇勾配αの理論上の変化(曲線b)を表わしている。
また、図5には、アーマチャ抵抗Raのバラツキや温度変化,熱容量Cのバラツキ誤差を考慮して、曲線bを近似した直線c1,c2,c3を図示している。上記バラツキとしては、個体差によるバラツキ,経時変動によるバラツキ等がある。これらは、
αn=Kxn・x+α0n ・・・(式6)
(ただし、n=1,2,3)
で表わされる。式6ではαnはxの1次関数で表わされる。なお、Kxn(n=1,2,3)はそれぞれ直線c1〜c3の傾き、α0n(n=1,2,3)はそれぞれx=0となるα軸との交点の値である。
直線c2,c3はx1で交差し、直線c1,c2はx2(x2>x1)で交差している。また、直線dは実使用上でのxの最大値(x3)を表わしている。
このように曲線bを複数の直線で近似することにより、x(すなわち、V,ω)に対する発熱温度上昇勾配αの算出処理を簡略化することができる。
また、xに対する余裕代としては、電圧値を検出する電圧センサや回転検出装置25の誤差、逆起電力定数KEの誤差が考慮されている。すなわち、図6は横軸をモータ回転速度ω,縦軸をモータ印加電圧Vとして、x=0を直線(破線)e1で表示している。
さらに電圧センサのバラツキに対する余裕代をV0,回転検出装置25のバラツキに対する余裕代を−ω0と設定すると、図6では直線e2は+V方向にV0,−ω方向にω0だけシフトする。
逆起電力定数KE,電圧センサ,回転検出装置25のバラツキに対して余裕代をとったものは直線e3で表わされる。
αn=Kxn・{(V−V0)−KE´・(ω−ω0)}+α0n ・・・(式7)
(ただし、n=1,2,3)
このようにして算定式A1,A2,A3が導出される。
この式7でモータ印加電圧Vを所定の値に設定し、縦軸に温度勾配α、横軸にモータ回転速度ωをとった場合の温度勾配αn(n=1,2,3)の変化が、図3の直線a1〜a3で表わされる。算定式A1〜A3は、モータ回転速度ωおよびモータ印加電圧Vの1次関数の和で表わされるので、余裕代を付加または係数を変更することによって、容易に算定式A1〜A3を調整することが可能である。
コントローラ31は、上述のようにモータ作動時には、周辺温度,モータ印加電圧,通電時間,モータ回転速度等と基準データおよび現在の推定温度から繰り返し処理ごとに、算定式A1〜A3を用いて温度上昇値を算出し、この温度上昇値を現在の温度カウンタに加算して温度カウンタの更新を行っている。そして、コントローラ31は、この温度カウンタが所定温度値に達した場合には、駆動回路32によるモータ20への電力供給を停止させる。
図7に示す処理手順は、コントローラ31によって所定の処理時間ごとに繰り返し行われるものである。
まず、コントローラ31は、ステップS1でモータ20へ電力供給しているか否かを判定する。モータ20へ通電していない場合(ステップS1;No)は、ステップS7でコントローラ31は温度減算処理を行う。モータ温度は、通電されていないときは周辺温度に向けて降下していく。この温度減算処理では、繰り返し処理時間の間に下がる温度降下分(減算温度)を算出して、温度カウンタの値に負の値である減算温度を加算して、温度カウンタの値を更新する。これにより、温度カウンタの値は周辺温度に向けて降下していく。
モータ印加電圧Vを算出すると、コントローラ31はステップS3でモータ回転速度ωを算出する。コントローラ31は、回転検出装置25からのパルス信号に基づいてモータ回転速度ωを算出する。
次に推定温度更新手段としてのコントローラ31は、ステップS4で算出した温度勾配α1,α2,α3のうち最大の温度勾配αmaxを選択する(ステップS5)。
そして、ステップS6で現在の温度カウンタの値に補正値(温度上昇値)を加算して、温度カウンタの値を更新する。補正値は、温度勾配αmaxに繰り返し処理時間を乗算して算出される。
更新値が焼損温度を超えた場合(ステップS8;Yes)は、ステップS9でコントローラ31は、モータ20への通電を停止させて、モータ20の焼損保護を行う。一方、更新値が焼損温度を超えていない場合(ステップS8;No)は、ステップS10でコントローラ31は焼損保護を行わずにモータ20への通電を継続させる。
なお、本例では焼損保護のためにモータ20への通電を停止しているが、これに限らず、モータ印加電圧Vを低くしたり、通電電流を小さくしたりしてモータ温度が上昇し難くなるように構成して、焼損保護を行ってもよい。
また、上記実施形態では、本発明をパワーウインドウ装置1に適用した例を示したが、これに限らず、モータを有する装置全般に適用することができる。
10‥ドア、11‥ウインドウガラス、20‥モータ、20a‥巻線、
21‥昇降アーム、21a‥ギヤ、22‥従動アーム、23,24‥チャンネル、
25‥回転検出装置、25a‥ホール素子、31‥コントローラ、
32‥駆動回路、33‥温度センサ
Claims (5)
- 巻線に通電されることによって作動するモータと、該モータを駆動制御するモータ制御部と、前記モータの巻線の推定温度を算出する推定温度算出部と、前記推定温度が所定の温度を超えた場合に前記モータの焼損保護を行うモータ保護部と、を備えたモータ制御装置であって、
前記推定温度算出部は、
前記推定温度を記憶する推定温度記憶手段と、
前記巻線への通電時に前記モータの作動条件に応じて前記推定温度の温度上昇値を算出する温度上昇値算出手段と、
該温度上昇値算出手段によって算出された温度上昇値を前記推定温度記憶手段に記憶された推定温度に加算して該推定温度を更新する推定温度更新手段と、を備え、
前記温度上昇値算出手段は、前記温度上昇値を算出するための温度上昇値算定式を複数有し、該複数の温度上昇算定式を用いて最適な温度上昇値を算出することを特徴とするモータ制御装置。 - 前記温度上昇値算出手段は、前記複数の温度上昇値算定式から算出した温度上昇値のうち最も大きいものを最適な温度上昇値として選択することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
- 前記温度上昇値算出手段は、前記モータの単位作動時間当たりの温度上昇値を算出し、
前記推定温度更新手段は、前記モータの単位作動時間ごとに前記推定温度を更新することを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ制御装置。 - 前記温度上昇値算定式は、前記モータの回転速度および印加電圧の1次関数の和で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
- 前記温度上昇値算定式は、少なくとも前記モータの回転速度および印加電圧に対する余裕代が付加されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
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